説明

無線リソース割り当て方法

【課題】無線アクセスネットワーク側で各ユーザに対する上限帯域制御を行えるようにし、移動体通信システム全体として、リソースの有効活用を行うことができるようにする。
【解決手段】
複数の無線端末からまたは複数の無線端末への呼接続要求を受信した際に、予め設定された、複数の無線端末に関する規制情報を受信して記憶し、複数の無線端末に関する規制情報に基いて、複数の無線端末それぞれについて、無線リソース割り当ての上限値を設定し、無線リソース割り当ての上限値から既に割り当てをおこなった無線リソース値を減算し、各無線端末に対する無リソースの割り当てが設定した上限値を超えないように各無線端末に対する無線リソースの割り当てを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体通信技術に関し、特に、無線基地局においてユーザへの無線リソースの割り当て制御を行うスケジューリング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)やLTE(Long Term Evolution)などの3.9世代以降の移動体通信システムにおいては、ユーザへ割り当てる帯域に上限値を設定し、その上限値以下の帯域を割り当てる制御は、コアネットワーク側の装置、例えばゲートウェイで行われている。
【0003】
移動体通信システムにおいて、基地局装置が行う無線リソース管理技術のひとつに、スケジューリングがある。LTEを例にとってスケジューリングについて説明する。LTEの無線フレームは、時間領域における時間長が10msである。この無線フレームは、時間長1msの10個のサブフレームから構成され、サブフレーム単位に誤り訂正などが行われるため、1msが基本の伝送時間間隔として定義されている。サブフレームは、連続する2つのスロットに分解され、適応型OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を採用している下りリンクでは、1スロット(0.5ms)は7OFDMシンボルで構成される。
【0004】
一方、周波数領域は、各ユーザに割り当てられた帯域に応じた数のサブキャリアが割り当てられる。LTEでは、12サブキャリア(15kHz×12=180kHz)×7シンボルをリソースブロックと呼んで、伝送の基本単位としている。前述のサブフレームは、連続する2つのリソースブロックから構成されることになる。また、1サブキャリア×1シンボルが、個別に変調される基本単位で、リソースエレメントとよばれる。上りリンクにおいても、下りリンクと同様に、時間長0.5ms×帯域幅180kHzを1リソースブロックとしてユーザへの割り当てを行う。
【0005】
移動体通信システムにおいて、ユーザへのスケジューリングアルゴリズムのひとつに、プロポーショナルフェアネスがある。プロポーショナルフェアネスではユーザ毎の無線リソースの割り当てを機会均等を確保したうえで、無線状況がいいときに多くのスロットの割り当てを行うように制御する。
【0006】
プロポーショナルフェアネスの具体的な実現方法のひとつとしては、ユーザの過去のスループットの平均値及び瞬時値の比率を算出し、その比率の大小に基づいてユーザと無線リソースの割り当てを計画する技術が特許文献1に記載されている。プロポーショナルフェアネススケジューリングについては、特許文献1の他、非特許文献1、非特許文献2に紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2009/131099
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】1xEV-DO:効率性向上策を駆使し,携帯データ通信で初の定額制を実現(中)-技術の広場:ITpro :渡辺、松田
【非特許文献2】A.Jalali, R.Padovani, and R.Pankaj, "Data throughput of CDMA-HDR a high efficiency-high data rate personal communication wireless system," IEEE Proc. VTC Spring 2000, pp.1854-1858, May 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
背景技術で述べたように、従来の移動体通信システムにおいては、各ユーザへ割り当てる帯域に上限値を設定し、その上限値以下の帯域を各ユーザに割り当てる制御は、コアネットワーク側の装置、例えばゲートウェイで行われ、無線アクセスネットワーク側の基地局装置には、各ユーザに割り当てる帯域を上限値以下に制御するための制御手段がなかった。
【0010】
ゲートウェイ装置で帯域制御が行なわれると、そうとは知らずに無線状況がよいユーザの無線端末が送信した上りデータが、無線基地局までは到達したものの、ゲートウェイ装置で行なわれている帯域制御のために破棄されてしまうという問題が発生する。破棄されたデータについては、TCP/IP等の再送制御が発生するので、無線アクセスネットワーク側のトラフィックが再送により増加し無線端末の通信レートが急激に低下してしまうという問題点があった。
【0011】
逆に、下りリンクの帯域がコアネットワーク側のゲートウェイ装置などで規制されると、無線アクセスネットワーク側の無線リソースが有効に活かされないという問題点があった。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ボトルネックになり易い無線アクセスネットワーク側で各ユーザに対する上限帯域制御を行えるようにし、移動体通信システム全体として、リソースの有効活用を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、基地局装置における複数の無線端末への無線リソースの割り当て方法であって、複数の無線端末からまたは複数の無線端末への呼接続要求を受信した際に、予め設定された、複数の無線端末に関する規制情報を受信して記憶し、複数の無線端末に関する規制情報に基いて、複数の無線端末それぞれについて、無線リソース割り当ての上限値を設定し、無線リソース割り当ての上限値から既に割り当てをおこなった無線リソース値を減算し、各無線端末に対する無リソースの割り当てが設定した上限値を超えないように各無線端末に対する無線リソースの割り当てを行ようにした。
【0014】
また、複数の無線端末それぞれについて設定する無線リソース割り当ての上限値は、下りリンク単独で設定、または、上りリンク単独で設定、または、下りリンクおよび上りリンク両方にそれぞれ個別に設定、または、下りリンクと上りリンクの合計値として設定するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一般にコアネットワーク側よりもボトルネックになりやすい無線アクセスネットワーク側で各無線端末に割り当て可能な上限帯域の制御を行うことにより、無線アクセスネットワークにおいて割り当てられた帯域と、コアネットワーク側で制限されている帯域の違いにより発生する再送処理による輻輳を抑えることができる。また、各ユーザの規制条件により、きめ細かい上限帯域の制御を行うことができ、無線リソースを無駄なく割り当てることが可能となる。本発明によれば、基地局装置において上限帯域を制御するので、コアネットワーク側の例えばゲートウェイ装置で行われる上限帯域規制で廃棄されるようなパケットを基地局装置が送信することをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例における移動体通信システムの構成を説明する図である。
【図2】本発明の一実施例における基地局装置の構成を説明する図である。
【図3】本発明の一実施例における呼接続処理を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の一実施例における下りリンクの上限帯域制御処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例における上りリンクの上限帯域制御処理を説明するフローチャートである。
【図6】下りリンクについて、従来の無線リソース割り当て方法と、本発明の無線リソース割り当て方法、それぞれによる無線端末への無線リソースの割り当て例を示す図である。
【図7】上りリンクについて、従来の無線リソース割り当て方法と、本発明の無線リソース割り当て方法、それぞれによる無線端末への無線リソースの割り当て例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【0018】
本発明は、基地局装置におけるスケジューラのアルゴリズムを拡張して実現するものである。本発明においては、スケジューリングにおける各ユーザへの無線リソースの割り当ての単位であるリソースブロック単位で、各ユーザに割り当てる上限帯域に対応する割り当てリソースブロック数を設定し、その上限のリソースブロック数を超えないように各ユーザに対しリソースブロックを割り当てることで、無線アクセスネットワークにおいて上限帯域制御を実現する。
【0019】
本実施例では、無線基地局装置が、無線端末からの呼接続要求を受信して呼接続を行なう際に、無線端末の識別情報に基いて、無線端末のユーザに関する規制情報を入手し、入手した規制情報に基いて、呼ごとに上限帯域に対応する割り当てリソースブロック数を設定し、上限帯域制御を行う。割り当てリソースブロック数は、上りリンク、下りリンクそれぞれ個別に各ユーザの規制情報に基づき、時間軸上で全体スロット数に対する各ユーザの上限スロット数を計算し、その上限スロット数から決定することができる。
【0020】
各ユーザの規制情報は、各ユーザと通信事業者との契約内容などに基づいて設定され、課金サーバーなどで維持されている。無線基地局装置は、呼接続時やハンドオフ開始時に、課金サーバーにアクセスし、ユーザの規制情報を取得して使用する。このユーザ毎の上限帯域の制御は、
(1)上りリンク、または、下りリンク一方について個別に行う
(2)上りリンクと下りリンク両方にそれぞれ行う
(3)上りリンク+下りリンクの合計値で行う
のいずれでも、呼対応に行うことができる。
【0021】
(1)の上りリンク、下りリンク個別に行うケースでは、規制を行わないリンクに対しては、通常のプロポーショナルフェアネスなどのアルゴリズムでスケジューリングを行い、上限帯域制御は行わず、通常のQoS制御のみ行う。無線基地局装置は、上りリンクと下りリンクを単独で、ユーザと通信事業者などとの間の契約に基づく規制条件により、単位時間における全スロット数からそのユーザが使用可能な上限送信許可スロット数を決定し、上限スロット数から上限リソースブロック数を計算し、計算した上限送信許可リソースブロック数に基づき、呼ごとに、上限帯域制御を行なう。
【0022】
基地局装置のスケジューラは、上りリンク、下りリンクそれぞれについて、単位時間あたりの全リソースブロック数の内で、上限送信許可リソースブロック数までそのユーザに割り当てる。実際には、基地局装置と通信を行うユーザは複数であるため、他のユーザの割り当て帯域や、セクタの規制があるので、割り当ては、最大の場合で、全リソースブロック数の合計がセクタ最大レート以内となるように行なわれる。
【0023】
(2)の上りと下りそれぞれに、上限送信許可リソースブロック数を設定して規制をするケースでは、上りリンク、下りリンクそれぞれ独立に、単位時間における全スロット数からそのユーザが使用可能な上限送信許可スロット数を決定し、上限送信許可スロット数からそのユーザが使用可能な上限送信許可リソースブロック数を設定し、上限帯域制御を行なう。
【0024】
(3)上りと下りを合わせて上限送信許可リソースブロック数を与え規制する場合は、上りリンク+下りリンクの合計で同様に上限送信許可リソースブロック数を設定し、上限帯域制御を行なう。
【0025】
本発明の上限帯域制御による規制の内容を通信事業者がユーザに対して示す場合は、例えば通信事業者がカタログなどで提示できる。カタログなどへの掲載内容の具体例を示すと、「上りリンクの上限帯域規制率(対上りリンク全体の無線リソースに対する割合): 1/100以内」、「下りリンクの上限帯域規制率(対下りリンク全体の無線リソースに対する割合):7/10以内」、「上りリンク+下りリンクの上限帯域規制率(対上りリンク+下りリンク全体の無線リソースに対する割合): 13/50以内」といった記載になると考えられる。これらの比率は、いずれも、最大レートに対する比率を表わす。
【0026】
課金サーバーには各ユーザの規制情報や、各ユーザが使用したデータ量の情報等が無線端末ごとに蓄積されている。これらの情報は、ゲートウェイなどの装置から更新されている。基地局装置は、呼を接続する際に、課金サーバーにアクセスして、ユーザの規制情報を入手し、基地局装置内に記憶する。
【0027】
従来の基地局装置では、下りリンクの無線リソース割り当ては、ゲートウェイからデータが到着しているか、または、再送パケットがある場合、ユーザへの無線リソース割り当てを行う。一方上りは、無線端末から、データの送信要求のある呼を対象に、基地局装置において無線リソースの割り当てを行っていた。本発明の上限帯域の制御は、通常のスケジューリングにより無線リソースの割り当てが行われた後に行うものである。
【0028】
(移動体通信システムの構成)
図1に、本発明の一実施例における移動体通信システムの構成を示す。
図1において、UE(User Equipment)1、UE2、…UEnはセクタ内に存在する無線端末である。基地局装置200は、ネットワークを介して課金サーバー、ゲートウェイ等に接続されている。基地局装置は、基地局装置に接続された無線端末に対し、スケジューリングにより無線リソースの割り当てを行う。本実施例は、スロット毎に、リソースブロック単位で、スケジューリングにより基地局装置に接続された複数の無線端末にリソースの割り当てを行った後、そのスロットの各リソースブロックへの呼の割り当て内容を確認し、各呼への割り当てリソースブロック数が上限送信許可リソースブロック数以下となるようにすることで、呼毎に上限帯域制御が可能となる。
【0029】
図1では無線端末UE1、UE2、UE3、…UEnの呼に対して上限帯域制御を行う。呼の上限帯域制御は、前述のように、(1)下りリンク、上りリンク、一方のみの制御、(2)下りリンクと上りリンク別々の制御、(3)上りリンク+下りリンクの合計での制御、の複数のパターンでの制御が可能である。どのパターンで制御を行なうかの設定は、ユーザが通信事業者と契約を行う時に契約内容に基づいて設定され、課金サーバーに登録され保持される。課金サーバーには、前述のパターン設定を含むユーザ毎の規制情報が、そのユーザが送受信したデータ量の情報とともに保持される。ユーザの無線端末が送受信したデータ量の情報は、ゲートウェイから通知され、更新される。
【0030】
本実施例においては、上限送信可能リソースブロック数の設定は、単位時間あたりの総スロット数に対する該当ユーザの無線端末への割り当てスロット数の比で設定する場合について説明する。具体的には、最大レート1/100(単位時間当たりの無線端末への割り当てスロット数/単位時間あたりの総スロット数=1/100)のような形で設定する。(2)のパターンで下りリンク、上りリンク別々に制御する場合には、下りリンク10/1000、上りリンク5/1000のように設定する。この場合、無線端末には、それぞれ下りリンクについては、10/1000×単位時間当たりの総スロット数、上りリンクについては5/1000×単位時間当たりの総スロット数のスロットに含まれるリソースブロック数を上限として、無線リソースを割り当てることができる。このように無線端末へのリソースの割り当てを行うことにより、その無線端末へは、下りリンクについては最大レートの10/1000、上りリンクについては最大レートの5/1000の上限帯域制限を設けたことになる。
【0031】
単位時間の総スロット数としては、LTEの場合、大きすぎない値として、1秒に相当する1000スロット単位で制御を行なうことが多いと思われる。
【0032】
下りリンクの上限帯域制御を行う場合は、無線端末ごとに、規制情報として、例えば単位時間に該当無線端末に割り当てることのできる最大スロット数または最大スロット数から算出したリソースブロック数を設定し、下りリンクの上限送信可能リソースブロック数とする。そして、スロット単位で、通常のスケジューリングにより、スロットの割り当てを行った後、割り当て結果を確認し、単位時間あたりのリソースブロック数の割り当てが、前述の上限送信可能リソースブロック数以内になるように制御する。確認の結果、無線端末に対してリソースブロックの割り当てを行うと、その無線端末に対して割り当て可能な上限送信可能リソースブロック数から、割り当てたリソースブロック数を減算し、残り送信許可リソースブロック数を求める。残り送信許可リソースブロックがなくなると、残りの単位時間の間はその無線端末に対してリソースブロックの割り当てを行わない。単位時間経過後、次の単位時間の間に、その無線端末に対して、設定された上限送信可能リソースブロック数までリソースブロックを再度割り当てることができる。
【0033】
上りリンクの上限帯域制御も、同様に行う。上りリンクと下りリンクの制御は、独立して個別に設定することができる。また、上りリンク+下りリンクの合計値で、上限帯域制御を行うこともできる。
【0034】
(基地局)
次に、本発明の一実施例における基地局装置の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施例における基地局装置の構成を示す図である。
基地局装置は、ゲートウェイ、または隣接基地局装置など、他の装置から中継網を介して下りリンクのデータを網インタフェース205で受信する。受信した下りリンクのデータは、スケジューラ204において各無線端末へのリソース割り当て処理が行なわれる。本実施例では、スロット単位で、スケジューラが各無線端末へのリソース割り当てを行った後、スケジューラ付加部206において上限御処理を行い、上限帯域制御処理を行なった無線リソースの割り当て結果に従い、下りリンクのデータを各無線端末に送信する。
【0035】
一方、上りリンクについては、基地局装置は、各無線端末から、上りリンクの無線リソース割り当て要求を、アンテナ201を介して無線周波数(RF:Radio Frequency)部202において受信し、受信した上りリンクの無線リソース割り当て要求に基づいて、スケジューラ204で各無線端末に対して上りリンクの無線リソースの割り当てを行う。本実施例では、上りリンクについても、スロット単位で通常のスケジューリングのアルゴリズムに基いて無線端末への無線リソース割り当てを行った後、スケジューラ付加部206において上限帯域制御処理を行い、上限帯域制御を行なった結果の無線リソース割り当て情報を各無線端末に通知する。各無線端末は、通知された割り当て情報に基いて上りリンクのデータの送信を行うことで、基地局装置は上限帯域制御が行なわれた上りデータを受け取り、網インタフェース205を経て、中継装置やゲートウェイに出力する。スケジューラ付加部206には、呼接続時に課金サーバーから取得した無線端末の規制情報を保持し、スケジューラ付加部206は、規制情報に基いて上限送信許可リソースブロック数を算出する。
【0036】
(呼接続フロー)
次に、本発明の一実施例における呼接続処理について説明する。
図3は、本発明の一実施例における基地局装置が行う呼接続処理の内容を説明するフローチャートである。
本実施例においては、無線基地局装置は、無線端末または中継網を介して呼接続要求を受信すると(S301)、課金サーバーにアクセスし、課金サーバーから、呼接続しようとする無線端末の規制情報を取得し(S302)、その無線端末が通信継続中は、取得した規制情報をスケジューラ付加部に保持する。(S303)
(下りリンクの上限帯域制御処理)
次に、本発明の一実施例における下りリンクの上限帯域制御処理について説明する。
図4は、本発明の一実施例の基地局装置における下りリンクの上限帯域制御処理を説明するシーケンス図である。
基地局装置は、中継網やゲートウェイから送信された下りリンクのデータを受信し、無線端末の優先度に対応したバッファに格納する。(S401)下りリンクスケジューリングでは、呼接続時に取得した無線端末の規制情報に基いて、呼ごとに残り下り送信許可リソースブロック数、残り送信許可リソースブロック数を設定する。残り下り送信許可リソースブロック数、残り送信許可リソースブロック数は、単位時間経過ごとに初期化する。(S402)なお、本実施例では、単位時間は1秒(1000スロット)としている。
そして、以下の処理を1スロットごとに、そのスロットに含まれる全リソースブロックに対し繰り返し行う。(S403)
まず、通常のスケジューリングによりリソースブロックを各無線端末に割り当てる。(S404) その後、スロットに含まれる各リソースブロックの割り当て結果を確認し、リソースブロックを割り当てた無線端末の呼が下り帯域規制対象であるかどうか判断する。(S405) 下り帯域制御対象呼でない場合には、ステップ407に進む。下り帯域制御対象呼である場合には、残り下り送信許可リソースブロック数0より大きい値であるかどうか確認し(S406)、0より大きい値であり、リソースブロックを割り当て可能である場合には、ステップ407に進む。ステップ407では、さらに上りと下りの合計値での帯域制御対象であるかどうか判定する。(S407) 上りと下りの合計値での帯域制御対象呼である場合には、残り送信許可リソースブロック数が0より大きい値であるかどうか確認する。(S408)
ステップ406、ステップ408において、残り下り送信許可リソースブロック数、残り送信許可リソースブロック数が0の場合には、リソースブロックの割り当ては行わず、ステップ405に戻り、次のリソースブロックについて処理を行う。ステップ406、408で残り下り送信許可リソースブロック数、残り送信許可リソースブロック数が0より大きく、リソースブロックの割り当てが可能な場合には、リソースブロックをその呼に割り当て、割り当てた分の残り下り送信許可リソースブロック数または残り送信許可リソースブロック数を1減算する。
【0037】
ステップ404からステップ409までの処理を、スロットごとに、単位時間に送信される全スロット数分の全リソースブロックに対し繰り返す。(S410)リソースブロックの割り当てに従って、下りリンクの送信データを設定し(S411)、各無線端末に送信する。(S412)
(上りリンクの上限帯域制御処理)
次に、本発明の一実施例における上りリンクの上限帯域制御処理について説明する。
図5は、本発明の一実施例の基地局装置における上りリンクの上限帯域制御処理を説明するシーケンス図である。
基地局装置は、無線端末からの上りデータ送信要求を受信し、保持する。(S501)次に、呼接続時に取得した無線端末の規制情報に基いて、呼の残り上り送信許可リソースブロック数、残り送信許可リソースブロック数を設定する。残り上り送信許可リソースブロック数、残り送信許可リソースブロック数は、単位時間経過ごとに初期化する。(S502)なお、本実施例では、単位時間は1秒(1000スロット)としている。
そして、以下の処理を1スロットごとに、そのスロットに含まれる全リソースブロックに対し繰り返し行う。(S503)
まず、通常のスケジューリンブアルゴリズムで、リソースブロックを各無線端末に割り当てる。(S504) その後、スロットに含まれる各リソースブロックの割り当て結果を確認し、リソースブロックを割り当てた無線端末の呼が上り帯域規制対象であるかどうか判断する。(S505) 上り帯域制御対象呼でない場合には、ステップ507に進む。上り帯域制御対象呼である場合には、残り上り送信許可リソースブロック数0より大きい値であるかどうか確認し(S506)、0より大きい値であり、リソースブロックを割り当て可能である場合には、ステップ507に進む。ステップ507では、さらに上りと下りの合計値での帯域制御対象であるかどうか判定する。(S507) 上りと下りの合計値での帯域制御対象呼である場合には、残り送信許可リソースブロック数が0より大きい値であるかどうか確認する(S508)。
【0038】
ステップ506、ステップ508において、残り上り送信許可リソースブロック数、残り送信許可リソースブロック数が0の場合には、リソースブロックの割り当ては行わず、ステップ505に戻り、次のリソースブロックについて、帯域制御処理を行う。ステップ506、508で残り上り送信許可リソースブロック数、残り送信許可リソースブロック数が0より大きく、リソースブロックの割り当てが可能な場合には、リソースブロックをその呼に割り当て、割り当てた分の残り上り送信許可リソースブロック数または残り送信許可リソースブロック数を1つ減算する。
【0039】
ステップ504からステップ509までの処理を、スロットごとに、単位時間に送信される全スロット数分の全リソースブロックに対し繰り返す。(S510)リソースブロックの割り当て情報を報知情報で無線端末に通知し(S511)、各無線端末は割り当て情報に従ってデータを送信してくるので、基地局装置はそのデータを受信しゲートウェイまたは中継網に送信する(S512)
次に、従来のスケジューラによるリソースブロックの割り当て結果と、本実施例によるリソースブロックの割り当て結果を対比して説明する。
図6(a)は、従来のスケジューラで生成した、下りリソースブロック割り当ての例を示す図である。
ゲートウェイで帯域規制が行われているような場合には、ゲートウェイでデータ送信量が制御されてしまっているため、リソースブロックに空きがあるにもかかわらず、割り当てがされていないリソースブロックが多い。
【0040】
図6(b)は、本発明の一実施例おけるスケジューラで生成した、下りリソースブロックの割り当ての例を示す図である。
本発明の実施例のスケジューラでは、残り下り送信許可リソースブロック数の有無、残り送信許可リソースブロック数の有無によりリソースブロックの割り当てを行うことにより、より空きスロットを少なくし、無線のリソースを有効活用ができる。
【0041】
図7(a)は、従来のスケジューラで生成した、上りリソースブロック割り当ての例を示す図である。
図7(a)に示す例では、ゲートウェイより先において帯域規制が行われているような場合には、せっかく送信したデータがゲートウェイで破棄されてしまうため、無駄な送信、さらには破棄された場合には破棄されたデータに対する再送要求が発生し、無線区間の輻輳発生、通信レートの低下の原因となる。
【0042】
図7(b)は、本発明の一実施例おけるスケジューラで生成した、上りリソースブロックの割り当ての例を示す図である。
本発明の実施例のスケジューラでは、規制情報に従って、残り上り送信許可リソースブロック数、残り送信許可リソースブロック数を設定して、その値に基づいて無線端末にリソースの割り当てを行うので、無線端末に対して、無駄なデータの送信をさせないようにし、ゲートウェイでの破棄をなくすことができる。その結果再送処理が発生することが少なくなるので、再送処理による通信レートの低下を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0043】
101,102,103… 無線端末、
200 基地局装置
201 アンテナ
202 無線周波数部
203 データ格納部
204 スケジューラ
205 網インタフェース
206 スケジューラ付加部
300 課金サーバ
400 ゲートウェイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線端末と無線によりデータの送受信を行う基地局装置における前記複数の無線端末への無線リソースの割り当て方法であって、
前記複数の無線端末からまたは前記複数の無線端末への呼接続要求を受信した際に予め設定された前記複数の無線端末に関する規制情報を受信して記憶し、
前記複数の無線端末に関する規制情報に基いて、前記複数の無線端末それぞれについて、無線リソース割り当ての上限値を設定し、
各無線リソース割り当ての上限値から既に割り当てをおこなった無線リソース値を減算し、各無線端末に対する無リソースの割り当てが前記設定した上限値を超えないように各無線端末に対する無線リソースの割り当てを行うことを特徴とする無線リソース割り当て方法。
【請求項2】
前記複数の無線端末それぞれについて設定する無線リソース割り当ての上限値は、下りリンク単独で設定することを特徴とする請求項1記載の無線リソース割り当て方法。
【請求項3】
前記複数の無線端末それぞれについて設定する無線リソース割り当ての上限値は、上りリンク単独で設定することを特徴とする請求項1記載の無線リソース割り当て方法。
【請求項4】
前記複数の無線端末それぞれについて設定する無線リソース割り当ての上限値は、下りリンクおよび上りリンク両方にそれぞれ個別に設定することを特徴とする請求項1記載の無線リソース割り当て方法。
【請求項5】
前記複数の無線端末それぞれについて設定する無線リソース割り当ての上限値は、下りリンクと上りリンクの合計値として設定することを特徴とする請求項1記載の無線リソース割り当て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−249039(P2012−249039A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118638(P2011−118638)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】