無線受信装置および無線受信方法
【課題】オーバーヘッドによる伝送効率劣化や、信号処理演算量を低減し、高精度なバースト同期を実現する。
【解決手段】差動符号化された同期符号系列をトレーニングシンボルとし、該トレーニングシンボルと情報シンボルとから構成された無線バースト信号を受信する無線受信装置が、無線バースト信号に含まれるトレーニングシンボル系列を用いて、オーバーサンプリングされた受信バースト信号系列からフレーム・シンボルタイミングを検出し、当該検出されたフレーム・シンボルタイミングに基づいて、受信バーストシンボル系列を抽出する。また、当該抽出された受信バーストシンボル系列から受信情報シンボル系列を抽出してシンボル識別を行う。
【解決手段】差動符号化された同期符号系列をトレーニングシンボルとし、該トレーニングシンボルと情報シンボルとから構成された無線バースト信号を受信する無線受信装置が、無線バースト信号に含まれるトレーニングシンボル系列を用いて、オーバーサンプリングされた受信バースト信号系列からフレーム・シンボルタイミングを検出し、当該検出されたフレーム・シンボルタイミングに基づいて、受信バーストシンボル系列を抽出する。また、当該抽出された受信バーストシンボル系列から受信情報シンボル系列を抽出してシンボル識別を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線受信装置および無線受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物理的に異なる場所に設置された各通信局が、特定の割り当てられた時間帯のみ信号を送出し通信を行う方式は、時分割多元接続通信(Time Division Multiple Access:TDMA)方式と呼ばれる。TDMAを用いる無線通信システムとしては、衛星通信システム(Dyanet)や(例えば、非特許文献1参照)、簡易型携帯電話システムPHS(例えば、非特許文献2参照)などが知られている。また、通信時間帯の割り当てを必要としない自立分散型の多元接続通信方式として、CSMA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式がある。IEEE802.11に準拠した無線LANシステム(例えば、非特許文献3参照)などは、このCSMA/CA方式を採用している。
【0003】
これらTDMAシステムやCSMA/CAに共通しているのは、いずれも時間軸上で無線伝送信号が多重化されている点である。時分割通信を実現するためには、各通信局から送信される無線伝送信号は間欠的にならざるを得ない。すなわち、バースト通信を行うことが必須となる。無線バースト信号を受信して情報を取り出すためには、シンボルタイミング同期、搬送波周波数同期、搬送波位相同期(伝搬路変動補償を含む)、フレーム同期といった各種同期技術が必要となる(例えば、非特許文献4参照)。
【0004】
これらの各種同期を実現するためには、無線バースト伝送信号に伝送したい情報信号系列だけでなく、各種同期を確立するための既知の信号系列(トレーニング信号)を時間軸上で多重化する方法が知られている。
【0005】
図9(a)、(b)は、従来技術による、Dyanetや、PHSに代表されるシステム(以下、第1の従来システム)のバースト構成を示す概念図である。Dyanetでは、シンボルタイミング同期のためのBTR(Bit Timing Recovery)シンボル、搬送波周波数同期のためのCR(Carrier Recovery)シンボル、フレーム同期のためのUW(Unique Word)シンボルがトレーニング信号として用いられている(非特許文献1)。同じくPHSでも、シンボルタイミング同期および搬送波周波数同期のためのPR(Preamble)シンボル、フレーム同期のためのUWシンボルが用いられている(非特許文献2)。
【0006】
このように、第1の従来システムでは、図9(a)、(b)に示すように、シンボルタイミング同期および搬送波周波数同期に必要なトレーニング信号とフレーム同期のためのトレーニング信号とを分離する必要がある。このため、トレーニング信号によるオーバーヘッドが大きくなり、特に情報シンボル信号部分が短いバーストに対して伝送効率が劣化するという問題がある。
【0007】
図10は、第1の従来システムの受信同期処理を示す機能ブロック図である。第1の従来システムの受信同期処理では、クロック位相誤差推定10、シンボルタイミング同期確立11、搬送波周波数オフセット推定12、搬送波周波数同期確立13、UW相関検出14、及びフレーム同期確立15を行う。図10に示すように、これらの3つの受信同期処理、すなわち、シンボルタイミング同期確立11、搬送波周波数同期確立13、フレーム同期確立15を別の演算処理で行うことが必要であり、さらに各々のブロックで自己相関演算や、離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform:DFT)など負荷の大きい演算を必要とするため、受信処理ベースバンド回路の回路規模や、消費電力などが増大するという問題がある。
【0008】
さらに、第1の従来システムでは、同期検波を行うために、搬送波位相同期が必要である。第1の従来システムでは、逆変調方式などに代表される搬送波再生方式を用いて搬送波位相同期を確立する。位相不確定性については、無変調信号であるCRを用いて除去するか、あるいは位相不確定性が存在しても復調が可能となるように、変調時に情報シンボルの差動符号化を行う。
【0009】
また、第1の従来システムは、いずれも逐次復調方式であるが、搬送波周波数同期を確立し搬送波再生を行うには、複数のバースト信号を繰り返し参照して引き込むことが必要であり、1バースト時間で引き込むことはできない。また、フレーム同期を行うには、UWのビット判定が必要であり、予め搬送波周波数同期が高精度に取れている必要がある。
【0010】
すなわち、第1の従来システムでは、以下の3つの問題点を有している。
(A1)各受信同期処理のために、それぞれ専用のトレーニング信号を別々に用意する必要があるため、オーバーヘッドが大きくなり、特に情報シンボル信号部分が短い場合に伝送効率が劣化する。
(A2)各受信同期処理を異なる信号処理で行うため、演算量が多く、受信装置の回路規模および消費電力が増大する。
(A3)各受信同期を1受信バースト内で確立することができない。
【0011】
上記(A3)を解決するバースト無線伝送システムとして、IEEE802.11a(以下、第2の従来システム)がある(上記非特許文献3)。IEEE802.11aは、マルチキャリア伝送方式である直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を適用したIEEE802.11準拠無線LANの規格の1つである。
【0012】
図11は、第2の従来システムのバースト構成を示す概念図である。第2の従来システムでは、各受信同期処理を実現するために、シンボルタイミング同期、搬送波周波数同期、フレーム同期用のショートプリアンブル(ShortPR)と、伝搬路歪み補償用のロングプリアンブル(LongPR)との2種類のトレーニング信号がバースト先頭に配置される。
【0013】
また、図12は、第2の従来システムの受信同期処理示す機能ブロック図である。ショートプリアンブル信号部に対し、スライディング相互相関演算20により、相互相関演算を行い、ピーク検出21により、相互相関値のピーク位置を検出し、フレーム同期確立シンボルタイミング同期確立22により、シンボルタイミング同期およびフレーム同期を確立し、自己相関演算23及び位相検出24により、自己相関値の位相成分を検出して、搬送波周波数同期確立25により、搬送波周波数同期を確立する。搬送波周波数同期には、ロングプリアンブル信号部を用いることもできる。
【0014】
第2の従来システムでは、受信バースト信号に含まれるトレーニング信号情報を蓄積し相関演算を行うことによって各受信同期を確立する。そのため、1受信バースト内で各受信同期が確立可能であり、第1の従来システムの問題点(A3)を解決できる。
【0015】
しかし、第2の従来システムでは、ショートプリアンブルが短い時間周期とならざるを得ないことから、擬似雑音(Pseudo Noise:PN)系列を用いた場合と比較して、自己相関の直交性が劣化する。そのため、相互相関値のピーク検出精度がPN系列を用いた場合より劣化し、シンボルタイミング同期およびフレーム同期精度が劣化するという問題がある。
【0016】
また、第2の従来システムでは、送受信装置間の搬送波周波数オフセットの影響によってショートプリアンブル信号部内での位相回転量が無視できないような低速通信の場合、相互相関値の積和演算において各項の位相が回転してしまい、所望サンプル位置で相関値がピークを取らない可能性がある。このとき、シンボルタイミングおよびフレーム同期制度は劣化する。
【0017】
すなわち、第2の従来システムは、(A3)の問題を解決してはいるものの、以下の4つの問題点を有している。
(B1)各受信同期処理のために、それぞれ専用のトレーニング信号を別々に用意する必要があるため、オーバーヘッドが大きくなり、特に情報シンボル信号部分が短い場合に伝送効率が劣化する。
(B2)各受信同期処理を異なる信号処理で行うため、演算量が多く、受信装置の回路規模および消費電力が増大する。
(B4)ショートプリアンブルがPN系列とならないため、PN系列を用いた場合と比較してシンボルタイミング同期およびフレーム同期精度が劣化する。
(B5)低速通信においては、ショートプリアンブル内での位相が回転し、シンボルタイミング同期およびフレーム同期精度が劣化する。
【0018】
上記(B4)および(B5)の問題を解決するため、フレーム同期用にUWの差動符号化を用いて、相互相関演算を用いたピーク検出前に遅延検波を行うフレーム同期方式(以下、第3の従来方式)が考案されている(例えば、非特許文献5参照)。
【0019】
図13は、第3の従来方式を用いた無線受信装置の構成を示すブロック図である。なお、図13では、デジタル信号処理を行うベースバンド処理部のみを示し、前には無線信号受信のための空中線および無線部が接続される。
【0020】
アナログ受信バースト信号S300は、A/D変換器301によってデジタル受信バースト信号S301に変換される。A/D変換後のデジタル受信バースト信号S301は、受信フィルタ302に入力され、受信フィルタ処理後の受信バースト信号S302が出力される。受信フィルタ処理後の受信バースト信号S302は、シンボルタイミング同期回路303によってシンボルタイミングの検出および同期が行われ、受信バーストシンボル系列S303が出力される。
【0021】
受信バーストシンボル系列S303は、搬送波周波数同期回路304に入力され、搬送波周波数同期後の受信バーストシンボル系列S304が出力される。搬送波周波数同期後の受信バーストシンボル系列S304は、フレーム検出回路305に入力され、フレーム位置情報S305が出力される。受信バーストシンボル系列S304は、フレーム同期回路306に入力されフレーム位置情報S305に基づいてフレーム同期が確立され、受信バーストシンボル系列S306が出力される。フレーム同期確立後の受信バーストシンボル系列S306は、シンボル識別回路307で情報シンボルからデータビット系列に変換され、受信データ信号S307として出力される。
【0022】
図14は、図13に示した無線受信装置におけるフレーム検出回路305の構成を示すブロック図である。シンボルタイミングおよび搬送波周波数同期確立後の受信バーストシンボル系列S304は、トレーニングシンボル抽出回路401に入力され、受信トレーニングシンボル区間に相当するシンボル系列S401が入力シンボル毎に出力される。受信トレーニングシンボル系列S401は、1シンボル遅延回路402に入力され、1シンボル遅延後の受信トレーニングシンボル系列S402が出力される。1シンボル遅延前の受信トレーニングシンボル系列S401および1シンボル遅延後の受信トレーニングシンボル系列S402は、複素共役乗算回路403に入力されることによって差動復号化、すなわち遅延検波される。遅延検波後の受信トレーニングシンボル系列S403が出力される。
【0023】
遅延検波後の受信トレーニングシンボル系列S403は、ビット判定回路(遅延検波)404に入力され、ビット判定(シンボル識別)され、ビット判定後の受信フレーム同期符号系列S404が出力される。一方、同期符号系列生成回路405は、既知のフレーム同期符号系列S405を生成する。受信フレーム同期符号系列S404および既知のフレーム同期符号系列S405は、相互相関計算回路(ビット演算)406に入力され、相互相関値S406が出力される。受信バースト信号の入力シンボル毎に入力される相互相関値S406は、相関ピーク検出回路407に入力され、相関値が最大となるシンボル位置をフレーム位置として検出し、フレーム位置情報S305が出力される。
【0024】
第3の従来方式は、前述した第1の従来システムと同様に、フレーム同期のためにUWをトレーニング信号として含む必要がある。UWの符号系列としてPN系列のような自己相関の直交性に優れた符号系列を用いることが可能であるため、第2の従来システムの(B4)の問題点を解決できる。また、UWの符号系列を遅延検波することによって送受信装置間の搬送波周波数オフセットの影響を低減できるため、(B5)の問題点も解決できる。
【0025】
但し、第3の従来方式は、また、フレーム位置の検出にはシンボルタイミング同期確立後の遅延検波およびビット判定が必要であるため、図9に示すバースト構成を有する第1の従来システム同様に、UWの他にシンボルタイミング同期および搬送波周波数同期を確立するためのトレーニングシンボル系列を備える必要がある。
【0026】
したがって、前述した第1の従来システムの(A3)の問題点を解決した上で、第3の従来方式を適用したとしても、第2の従来システムの(B1)および(B2)の問題点を解決することはできない。
【非特許文献1】Kiyoshi Kobayashi, Tetsu Sakata, Yoichi Matsumoto, Shuji Kubota,“Fully Digital Burst Modem for Satellite Multimedia Communication Systems”IEICE Transaction of Communications,vol.E80-B,no.1,January1997.
【非特許文献2】Yoichi Matsumoto, Shuji Kubota, Shuzo Kato,“A New Burst Coherent Demodulator for Microcellular TDMA/TDD Systems”IEICE Transaction on Communications,vol.E77-B,No.7,July1994.
【非特許文献3】松江英明,守倉正博,“802.11高速無線LAN教科書”IDGジャパン,2003.
【非特許文献4】三瓶政一,“ディジタルワイヤレス伝送技術”ピアソン・エデュケーション,2002.
【非特許文献5】小倉浩嗣,芹沢睦,“TDMAデジタル移動通信のためのスロット同期方式,”B−292,1990年電子情報通信学会秋季全国大会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
上述したように、第1および第2の従来システムや、第3の従来方式では、バースト無線伝送を行う上でオーバーヘッドとなるトレーニングシンボルによる伝送効率の劣化、回路規模や、消費電力の増大、低速通信におけるシンボルタイミング同期や、フレーム同期精度の劣化といった問題を解決することができない、という問題があった。
【0028】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、無線バースト通信においてオーバーヘッドによる伝送効率劣化を低減することができ、また、信号処理演算量を低減し、高精度なバースト同期を実現することができる無線受信装置および無線受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、差動符号化された同期符号系列をトレーニングシンボルとし、該トレーニングシンボルと情報シンボルとから構成された無線バースト信号を受信する無線受信装置において、前記無線バースト信号に含まれるトレーニングシンボル系列を用いて、オーバーサンプリングされた受信バースト信号系列からフレーム・シンボルタイミングを検出するフレーム・シンボルタイミング検出手段と、前記フレーム・シンボルタイミング検出手段で検出されたフレーム・シンボルタイミングに基づいて、受信バーストシンボル系列を抽出するフレーム・シンボルタイミング同期手段と、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段で抽出された受信バーストシンボル系列から受信情報シンボル系列を抽出してシンボル識別を行うシンボル識別手段とを備えることを特徴とする無線受信装置である。
【0030】
本発明は、上記の発明において、前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出手段と、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを1シンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力する1シンボル時間遅延手段と、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記1シンボル時間遅延手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列の1シンボル時間差動復号化を行う複素共役乗算手段と、前記複素共役乗算手段から出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するダウンサンプリング手段と、既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成手段と、前記トレーニングシンボル生成手段から出力されるトレーニングシンボル系列の1シンボル時間差動復号化を行う1シンボル時間差動復号化手段と、前記1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記1シンボル時間差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値を計算し、入力サンプル毎に出力する相互相関計算手段と、前記相互相関値計算手段から出力された相互相関値から、相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出手段とを備えることを特徴とする。
【0031】
本発明は、上記の発明において、前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出手段と、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを、それぞれ1〜Kシンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力するK個の遅延手段と、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記K個の遅延手段から出力された各受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列のそれぞれ1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の複素共役乗算手段と、前記K個の複素共役乗算手段から出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するK個のダウンサンプリング手段と、既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成手段と、前記トレーニングシンボル生成手段から出力されるトレーニングシンボル系列の1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の差動復号化手段と、前記差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値をそれぞれ計算し、入力サンプル毎に出力するK個の相互相関計算手段と、前記K個の相互相関値計算手段から出力されたK個の相互相関値に対し、各シンボル遅延時間に対応して位相補償を行う位相補償手段と、前記位相補償手段から出力されたK個の位相補償後相互相関値の和を計算する和算手段と、前記和算手段から相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出手段とを備えることを特徴とする。
【0032】
本発明は、上記の発明において、前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、さらに搬送波周波数の推定を行い、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【0033】
本発明は、上記の発明において、前記相関ピーク検出手段は、さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の相互相関値の位相成分から搬送波周波数を推定し、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【0034】
本発明は、上記の発明において、前記相関ピーク検出手段は、さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の和算前の相互相関値の一部あるいは全てを用いて、その位相成分から搬送波周波数を推定し、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、フレーム・シンボルタイミングだけでなく搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【0035】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、差動符号化された同期符号系列をトレーニングシンボルとし、該トレーニングシンボルと情報シンボルとから構成された無線バースト信号を受信する無線受信方法において、前記無線バースト信号に含まれる既知のトレーニングシンボル系列を用いて、オーバーサンプリングされた受信バースト信号系列からフレーム・シンボルタイミングを検出するフレーム・シンボルタイミング検出ステップと、前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップで検出されたフレーム・シンボルタイミングに基づいて、受信バーストシンボル系列を抽出するフレーム・シンボルタイミング同期ステップと、前記フレーム・シンボルタイミング同期ステップで抽出された受信バーストシンボル系列から受信情報シンボル系列を抽出してシンボル識別を行うシンボル識別ステップとを含むことを特徴とする無線受信方法である。
【0036】
本発明は、上記の無線受信方法において、前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出ステップと、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを1シンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力する1シンボル時間遅延ステップと、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記1シンボル時間遅延ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列の1シンボル時間差動復号化を行う複素共役乗算ステップと、前記複素共役乗算ステップにおいて出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するダウンサンプリングステップと、既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成ステップと、前記トレーニング抽出ステップにおいて出力されるトレーニングシンボル系列の1シンボル時間差動復号化を行う1シンボル時間差動復号化ステップと、前記1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記1シンボル時間差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値を計算し、入力サンプル毎に出力する相互相関計算ステップと、前記相互相関値計算ステップにおいて出力された相互相関値から、相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出ステップとを含むことを特徴とする。
【0037】
本発明は、上記の無線受信方法において、前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出ステップと、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを、それぞれ1〜Kシンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力するK個の遅延ステップと、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記K個の遅延ステップにおいて出力された各受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列のそれぞれ1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の複素共役乗算ステップと、前記K個の複素共役乗算ステップにおいて出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するK個のダウンサンプリングステップと、既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成ステップと、前記トレーニングシンボル生成ステップにおいて出力されるトレーニングシンボル系列の1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の差動復号化ステップと、前記差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値をそれぞれ計算し、入力サンプル毎に出力するK個の相互相関計算ステップと、前記K個の相互相関値計算ステップにおいて出力されたK個の相互相関値に対し、各シンボル遅延時間に対応して位相補償を行う位相補償ステップと、前記位相補償ステップにおいて出力されたK個の位相補償後相互相関値の和を計算する和算ステップと、前記和算ステップにおいて相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出ステップとを含むことを特徴とする。
【0038】
本発明は、上記の無線受信方法において、前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、さらに搬送波周波数の推定を行い、前記フレーム・シンボルタイミング同期ステップにおいては、さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【0039】
本発明は、上記の無線受信方法において、前記相関ピーク検出手段ステップにおいては、さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の相互相関値の位相成分から搬送波周波数を推定し、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段ステップにおいては、さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【0040】
本発明は、上記の無線受信方法において、前記相関ピーク検出手段ステップにおいては、さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の和算前の相互相関値の一部あるいは全てを用いて、その位相成分から搬送波周波数を推定し、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段ステップにおいては、フレーム・シンボルタイミングだけでなく搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
この発明によれば、無線バースト通信に必要なフレーム同期およびシンボルタイミング同期に必要なトレーニングシンボル系列を共通のトレーニングシンボル系列として提供するため、各受信同期処理のために個別のトレーニングシンボル系列を備える必要が無く、オーバーヘッドを削減し、システムの伝送効率を向上させることができる。
【0042】
また、トレーニングシンボル系列として、任意の同期符号系列を用いることができる。ただし、同期符号系列として自己相関の直交性に優れる系列、例えばM系列などを用いることによって、受信装置におけるフレーム同期およびシンボルタイミング同期精度をさらに向上させることができる。
【0043】
また、さらに同期符号系列を差動符号化して送信しているため、受信時に同期用トレーニングシンボル系列の差動復号化(遅延検波)を行うことが可能となる。差動復号化の際に搬送波周波数同期前の搬送波周波数オフセットを相殺することができるため、送受信装置間の局所発振器誤差の影響による相互相関ピーク検出精度の劣化を低減することができる。
【0044】
また、複数のトレーニングシンボル系列をバースト内の異なる位置に挿入した場合には、フェージング等の伝搬路変動によってバースト内で信号電力が変動した場合でも、高精度なフレーム同期およびシンボルタイミング同期が可能となる。
【0045】
また、フレーム・シンボルタイミング検出手段において同時にフレーム同期とシンボルタイミング同期を確立することができるため、第1の従来システムで必要であったシンボルタイミング同期手段が不要となり、受信装置の回路規模を削減することが可能となる。
【0046】
また、オーバーサンプリングされた受信バースト信号に対してスライディング相互相関演算を行うことにより、フレーム位置およびシンボルタイミング位置を共通のピーク位置として同時に検出することが可能である。
【0047】
また、トレーニングシンボルの隣接シンボルに相当するサンプル間隔で複素共役演算を行う(差動復号化する)ことによって、受信信号から差動符号化前の同期符号系列を抽出することができる。相互相関計算手段では、検出された差動復号化後の同期符号系列と、既知のトレーニングシンボルの同期符号系列とのスライディング相互相関演算を行うことにより、そのフレーム位置およびシンボルタイミング位置を共通の位置として同時に検出することが可能となる。
【0048】
また、トレーニングシンボル部における差動復号化処理は同期符号系列の自己相関演算に相当する。したがって、nシンボルの差動復号化を前段で行う前記相互相関計算手段から出力される相互相関値の位相成分は、nシンボルあたりの送受信装置間の搬送波周波数オフセットを含んでおり、各相互相関計算手段から出力される各相互相関値の位相が揃わない。そこで、前記位相補償手段において各相互相関値の位相を揃えた後に和算処理を行うことで、搬送波周波数オフセットによる相関ピークの劣化を低減することができる。
【0049】
また、位相補償手段は、例えばnシンボル差動復号化で得られた各相互相関値に対しては、その位相成分θnを検出した後、−{(n−1)/n}×θnの位相回転を与えることで実施できる。前期位相回転を施すことによって各相互相関値の位相成分を1/n、すなわち1シンボルあたりの位相回転量に揃えることができる。
【0050】
また、前記フレーム・シンボルタイミング検出処理における前記相互相関演算結果の位相成分が1シンボルあたりの送受信装置間の搬送波周波数オフセットとなることから、前記位相成分を検出することによって搬送波周波数オフセットの推定が可能となる。
【0051】
また、トレーニングシンボルの隣接シンボルに相当するサンプル間隔で複素共役演算を行う(差動復号化する)だけでなく、複数シンボルに相当するサンプル間隔でも複素共役演算(差動復号化する)ことによって、トレーニングシンボル系列長を長くして相関計算を行った場合と等価な効果を得ることができる。
【0052】
すなわち、同じトレーニングシンボル長でもフレーム同期およびシンボルタイミング同期精度が向上することから、伝送効率を劣化させずに対雑音同期特性を向上させることが可能となる。あるいは、対雑音同期特性を維持したままトレーニングシンボル長の短縮が可能となり、伝送効率の向上が可能となる。
【0053】
また、フレーム・シンボルタイミング検出処理における前記相互相関演算結果の位相成分が1〜Kシンボルあたりの送受信装置間の搬送波周波数オフセットとなることから、前記各位相成分を検出し、これらの一部あるいは全てを組み合わせて用いる搬送波周波数オフセットの推定が可能となる。差動復号化シンボル間隔が小ければ引き込み範囲は広いが周波数推定精度が低く、逆に差動復号化間隔が大きければ引き込み範囲は狭いが周波数推定精度が高くなることから、複数段に分けて周波数を推定するなど、これらを適切に組み合わせて引き込み範囲が広く周波数推定精度にも優れた搬送波周波数同期を実施することも可能である。
【0054】
また、フレーム・シンボルタイミング検出処理において既に相互相関値演算処理が終了していることから、搬送波周波数オフセット推定のための付加的な信号処理が不要であり、搬送波周波数オフセット推定のための受信信号処理演算量あるいは回路規模を低減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0056】
A.第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による無線送信装置の構成を示すブロック図である。なお、図1では、デジタル信号処理を行うベースバンド処理部のみを示し、後段には無線信号送信のための無線部および空中線が接続される。図において、シンボル生成回路101は、送信データビット系列S100から送信情報シンボル系列S101を生成する。トレーニングシンボル生成回路102は、同期符号系列生成回路201と差動符号化回路202とを備えている。同期符号系列生成回路201は、同期符号系列S201を生成する。差動符号化回路202は、同期符号系列S201からトレーニングシンボル系列S102を生成する。多重化回路103は、送信情報シンボル系列S101とトレーニングシンボル系列S102とを時間多重し、送信バーストシンボル系列S103を生成する。送信フィルタ手段104は、送信バーストシンボル系列S103を帯域制限し、送信バースト信号S104を出力する。D/A変換手段105は、送信フィルタ処理後の送信バースト信号S104を、アナログ送信バースト信号S105に変換する。
【0057】
上述した構成において、送信データビット系列S100は、シンボル生成回路101に入力され、送信情報シンボル系列S101が生成される。また、トレーニングシンボル生成手段102では、同期符号系列生成手段201によって同期符号系列S201が生成される。同期符号系列S201は差動符号化手段202に入力され、トレーニングシンボル系列S102が生成される。送信情報シンボル系列S101とトレーニングシンボル系列S102は、シンボル多重化手段103によって時間多重され、送信バーストシンボル系列S103が生成される。
【0058】
送信バーストシンボル系列S103は、帯域制限のための送信フィルタ手段104に入力され、送信フィルタ処理後の送信バースト信号S104が出力される。送信フィルタ処理後の送信バースト信号S104は、D/A変換手段105によってアナログ送信バースト信号S105に変換される。アナログ送信バースト信号S104は、最終的に無線部に入力されて搬送波周波数に変換され、無線伝送される。
【0059】
図2は、本第1の実施形態を用いた場合に生成されるバースト構成を示す概念図である。図2に示すように、本第1の実施形態では、第1の従来システムに見られた各受信同期処理用の個別トレーニングパターンは不要であり、共通のトレーニングシンボル系列を用いてフレーム同期、シンボルタイミング同期、搬送波周波数同期を確立することが可能である。
【0060】
上述した第1の実施形態によれば、無線バースト通信に必要なフレーム同期およびシンボルタイミング同期に必要なトレーニングシンボル系列を共通のトレーニングシンボル系列として提供するため、各受信同期処理のために個別のトレーニングシンボル系列を備える必要が無く、オーバーヘッドを削減し、システムの伝送効率を向上させることができる。
【0061】
また、本第1の実施形態によれば、トレーニングシンボル系列として、任意の同期符号系列を用いることができる。但し、同期符号系列として自己相関の直交性に優れる系列、例えば、M系列などを用いることによって、受信装置におけるフレーム同期およびシンボルタイミング同期精度をさらに向上させることができる。
【0062】
また、本第1の実施形態によれば、同期符号系列を差動符号化して送信しているため、受信時に同期用トレーニングシンボル系列の差動復号化(遅延検波)を行うことが可能となる。差動復号化の際に搬送波周波数同期前の搬送波周波数オフセットを相殺することができるため、送受信装置間の局所発振器誤差の影響による相互相関ピーク検出精度の劣化を低減することができる。
【0063】
さらに、本第1の実施形態によれば、複数のトレーニングシンボル系列をバースト内の異なる位置に挿入した場合には、フェージング等の伝搬路変動によってバースト内で信号電力が変動した場合でも、高精度なフレーム同期およびシンボルタイミング同期が可能となる。
【0064】
なお、本第1の実施形態においては、無線送信装置が逐次トレーニングシンボル系列を生成できるトレーニングシンボル生成回路102を備える必要が無く、代わりに生成されたトレーニングシンボル系列を記憶する記憶手段を設けるようにしてもよい。
【0065】
B.第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、本第2の実施形態による無線受信装置の構成を示すブロック図である。図において、A/D変換器301は、受信バースト信号S300をオーバーサンプリングおよびA/D変換し、受信バースト信号S301を出力する。受信フィルタ302は、受信バースト信号S301を帯域制限し、受信バースト信号S302を出力する。フレーム・シンボルタイミング検出回路503は、帯域制限された受信バースト信号S302からフレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1と搬送波周波数情報S503−2とを出力する。
【0066】
フレーム・シンボルタイミング同期回路504は、受信バースト信号S302に対し、フレーム・シンボルタイミング位置信号S503−1に基づいて、フレーム同期処理およびシンボルタイミングに基づくダウンサンプリング処理を行うとともに、に搬送波搬送波情報S503−2に基づいて、搬送波周波数同期を行い、受信バーストシンボル系列S504を出力する。情報シンボル識別回路505は、受信バーストシンボル系列S504から受信データビット系列S505を出力する。
【0067】
上述した構成において、受信装置無線部より入力された受信バースト信号S300は、A/D変換器301においてオーバーサンプリングおよびA/D変換され、A/D変換後の受信バースト信号S301が出力される。A/D変換後の受信バースト信号S301は、受信フィルタ302に入力され、帯域制限された受信バースト信号S302が出力される。帯域制限された受信バースト信号S302は、フレーム・シンボルタイミング検出回路503に入力され、フレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1と搬送波周波数情報S503−2とが出力される。
【0068】
フレーム・シンボルタイミング位置信号S503−1及び搬送波搬送波情報S503−2は、フレーム・シンボルタイミング同期手段504に入力され、フレーム・シンボルタイミング位置信号S503−1に基づいて、フレーム同期処理およびシンボルタイミングに基づくダウンサンプリング処理が行われるとともに、搬送波搬送波情報S503−2に基づいて、搬送波周波数同期が行われ、フレーム・シンボルタイミング同期受信バーストシンボル系列S504が出力される。フレーム・シンボルタイミング同期後の受信バーストシンボル系列S504は、情報シンボル識別手段505に入力され、受信データビット系列S505が出力される。
【0069】
上述した第2の実施形態によれば、フレーム・シンボルタイミング検出回路において同時にフレーム同期とシンボルタイミング同期とを確立することができるため、従来必要であったシンボルタイミング同期手段が不要となり、受信装置の回路規模を削減することが可能となる。
【0070】
C.第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本第3の実施形態は、上述した第2の実施形態の無線受信装置においてフレーム同期およびシンボルタイミング同期を実現するもので、オーバーサンプリングされた受信バースト信号からトレーニングシンボル系列成分を抽出してスライディング相互相関演算を行ってピーク位置を検出し、フレーム位置およびシンボルタイミング位置として同定することを特徴とする。前述した第3の従来方式とは、サンプル毎に信号処理する点で異なる。
【0071】
図4は、本第3の実施形態による、図3のフレーム・シンボルタイミング検出回路503の構成を示すブロック図である。図において、トレーニングシンボル部サンプル抽出回路601は、受信フィルタ302から出力された、オーバーサンプリングされた受信バースト信号S302から、トレーニングシンボル区間に相当するサンプル系列S601を入力サンプル毎に出力する。Nsサンプル(1シンボル時間)遅延回路602は、サンプル系列S601から、1シンボル時間に相当するサンプル遅延後の受信トレーニングシンボル部のサンプル系列S602を出力する。
【0072】
複素共役乗算回路603は、1シンボル時間遅延前の受信トレーニングシンボル部のサンプル系列S601および1シンボル時間遅延後の受信トレーニングシンボル部のサンプル系列S602の複素共役乗算を行うことにより差動復号化を行う。1/Nsダウンサンプリング回路604は、1シンボル時間差動復号化後の受信トレーニングシンボル部のサンプル系列S603から、入力サンプル毎に1シンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル部のサンプル系列S604を出力する。
【0073】
トレーニングシンボル生成回路605は、既知のトレーニングシンボル系列S605を生成する。1シンボル差動復号化回路606は、既知のトレーニングシンボル系列S605を、1シンボル差動復号化し、トレーニングシンボル系列S606を出力する。相互相関計算回路607は、1シンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S604および1シンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S606の相互相関値S607を多値複素演算によって計算する。
【0074】
相関ピーク検出回路608は、受信バースト信号の入力サンプル毎に出力される相互相関値S607が最大となるサンプル位置を、フレーム・シンボル位置として検出し、フレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1として出力するとともに、フレーム・シンボルタイミング位置S503−1に対応する相関ピーク値の位相成分を用いて搬送波周波数オフセットを推定し、搬送波周波数情報S503−2として出力する。これは、フレーム・シンボルタイミング検出処理において、トレーニングシンボル部における差動復号化処理が同期符号系列の自己相関演算に相当し、結果としてフレーム・シンボルタイミング検出位置における相互相関演算結果の位相成分に搬送波周波数オフセット成分が含まれることを利用している。
【0075】
上述した構成において、受信フィルタ302から出力されたオーバーサンプリングされた受信バースト信号S302は、トレーニングシンボル部サンプル抽出回路601に入力され、トレーニングシンボル区間に相当するサンプル系列S601が入力サンプル毎に出力される。受信トレーニングシンボル部サンプル系列S601は、Nsサンプル遅延回路602に入力され、1シンボル時間に相当するサンプル遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S602が出力される。
【0076】
1シンボル時間遅延前の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S601および1シンボル時間遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S602は、複素共役乗算回路603に入力されることによって差動復号化される。差動復号化後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S603は、ダウンサンプリング回路604に入力され、入力サンプル毎に1シンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S604が出力される。
【0077】
一方、トレーニングシンボル生成回路605では、無線送信装置で生成されるのと同じ既知のトレーニングシンボル系列S605が生成される。既知のトレーニングシンボル系列S605は、1シンボル差動復号化回路606に入力され、1シンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S606が出力される。1シンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S604および1シンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S606は、相互相関計算回路607に入力され、両者の相互相関値S607が多値複素演算によって計算される。
【0078】
受信バースト信号の入力サンプル毎に出力される相互相関値S607は、相関ピーク検出回路608に入力され、相関値が最大となるサンプル位置がフレーム・シンボル位置として検出され、フレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1として出力されるとともに、フレーム・シンボルタイミング位置S503−1に対応する相関ピーク値の位相成分を用いて搬送波周波数オフセットが推定され、搬送波周波数情報S503−2が併せて出力される。
【0079】
上述した本第3の実施形態によれば、オーバーサンプリングされた受信バースト信号に対してスライディング相互相関演算を行うことにより、フレーム位置およびシンボルタイミング位置を共通のピーク位置として同時に検出することができる。
【0080】
また、本第3の実施形態によれば、トレーニングシンボルの隣接シンボルに相当するサンプル間隔で複素共役演算を行う(差動復号化する)ことによって、受信信号から差動符号化前の同期符号系列を抽出することができる。また、検出された差動復号化後の同期符号系列と、既知のトレーニングシンボルの同期符号系列とのスライディング相互相関演算を行うことにより、そのフレーム位置およびシンボルタイミング位置を共通の位置として同時に検出することができる。
【0081】
また、本第3の実施形態によれば、同期用トレーニングシンボル系列の差動復号化(遅延検波)を行うことによって、搬送波周波数同期前の搬送波周波数オフセットを相殺することができるため、送受信装置間の局所発振器誤差の影響による相互相関ピーク検出精度の劣化を低減することができる。
【0082】
なお、本第3の実施形態では、図4に示すフレーム・シンボルタイミング検出回路503では、トレーニングシンボル生成回路605として、図1に示したトレーニングシンボル生成回路102と同一構成を用いている。トレーニングシンボル生成回路605では、原同期符号系列の差動符号化が行われ、差動復号化回路606では、差動復号化が行われるが、いずれも既知の同期符号系列に対する信号処理であるため、実際には差動符号化および符号化の処理対を省略することもできる。
【0083】
また、本第3の実施形態において、フレーム・シンボルタイミング検出回路503は、逐次トレーニングシンボル系列を生成できるトレーニングシンボル生成回路602を備えずに、代わりにトレーニングシンボル系列を記憶する記憶手段を備えるようにしてもよい。
【0084】
D.第4の実施形態
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本第4の実施形態は、上述した第3の実施形態と同様に、第2の実施形態の無線受信装置においてフレーム同期およびシンボルタイミング同期を実現するもので、オーバーサンプリングされた受信バースト信号から、トレーニングシンボル系列成分を抽出し、スライディング相互相関演算を行ってピーク位置を検出し、フレーム位置およびシンボルタイミング位置として同定することを特徴とする。第3の従来方式とは、サンプル毎に信号処理する点で異なる。
【0085】
図5は、本第4の実施形態による、図3に示すフレーム・シンボルタイミング検出回路503の他の構成例を示すブロック図である。図において、トレーニングシンボル部サンプル抽出回路701は、受信フィルタ302から出力されたオーバーサンプリングされた受信バースト信号S302を、トレーニングシンボル区間に相当するサンプル系列S701として入力サンプル毎に出力する。1×Nsサンプル遅延回路702−1〜K×Nsサンプル遅延回路702−Kは、受信トレーニングシンボル部サンプル系列S701から、1〜Kシンボル時間に相当するサンプル遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S702−1〜Kを出力する。
【0086】
複素共役乗算回路703−1〜703−Kは、時間遅延処理前の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S701および1〜Kシンボル時間遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S702−1〜S702−Kを差動復号化する。1/Nsダウンサンプリング回路704−1〜704−Kは、1〜Kシンボル時間差動復号化後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S703−1〜S703−Kから、入力サンプル毎に1〜Kシンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S704−1〜S704−Kを出力する。
【0087】
トレーニングシンボル生成回路705は、既知のトレーニングシンボル系列S705を生成する。1〜Kシンボル差動復号化回路706−1〜706−Kは、既知のトレーニングシンボル系列S705から、1〜Kシンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S706−1〜S706−Kを出力する。相互相関計算回路707−1〜707−Kは、1〜Kシンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S704−1〜S704−Kおよび1〜Kシンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S706−1〜S706−Kから、両者の相互相関値S707−1〜S707−Kを多値複素演算によって計算する。
【0088】
位相補償回路708は、相互相関値S707−1〜S707−Kから、差動符号化時の遅延時間差によって異なる搬送波周波数オフセットの影響の違いを補償し、位相補償後の相互相関値S708−1〜S708−Kとして出力する。和算回路709は、位相補償後の相互相関値S708−1〜S708−Kを和算し、相互相関値S709として出力する。相関ピーク検出回路710は、和算後の相互相関値S709から、受信バースト信号の入力サンプル毎に、相関値が最大となるサンプル位置がフレーム・シンボル位置として検出し、フレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1として出力する。搬送波周波数推定回路711は、フレーム・シンボルタイミング位置S503−1に対応する相互相関値S707−1〜Kの位相成分を用いて搬送波周波数オフセットを推定し、搬送波周波数情報S503−2として出力する。これは、上述した第3の実施形態と同様に、フレーム・シンボルタイミング検出処理において、トレーニングシンボル部における差動復号化処理が同期符号系列の自己相関演算に相当し、結果としてフレーム・シンボルタイミング検出位置における相互相関演算結果の位相成分に搬送波周波数オフセット成分が含まれることを利用している。
【0089】
上述した構成において、受信フィルタ302から出力されたオーバーサンプリングされた受信バースト信号S302は、トレーニングシンボル部サンプル抽出回路701に入力され、トレーニングシンボル区間に相当するサンプル系列S701が入力サンプル毎に出力される。受信トレーニングシンボル部サンプル系列S701は、1×Nsサンプル遅延回路702−1〜K×Nsサンプル遅延回路702−Kに入力され、1〜Kシンボル時間に相当するサンプル遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S702−1〜S702−Kが出力される。時間遅延処理前の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S701および1〜Kシンボル時間遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S702−1〜S702−Kは、複素共役乗算回路703−1〜703−Kに入力されることによって差動復号化される。1〜Kシンボル時間差動復号化後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S703−1〜S703−Kは、ダウンサンプリング回路704−1〜704−1Kに入力され、入力サンプル毎に1〜Kシンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S704−1〜S704−Kが出力される。
【0090】
一方、トレーニングシンボル生成回路705では、既知のトレーニングシンボル系列S705が生成される。既知のトレーニングシンボル系列S705は、1〜Kシンボル差動復号化手段706−1〜706−Kに入力され、1〜Kシンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S706−1〜S706−Kが出力される。1〜Kシンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S704−1〜S704−Kおよび1〜Kシンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S706−1〜S706−Kは、相互相関計算回路707−1〜Kに入力され、両者の相互相関値S707−1〜S707−Kが多値複素演算によって計算される。
【0091】
相互相関値S707−1〜S707−Kは、位相補償回路708に入力され、差動符号化時の遅延時間差によって異なる搬送波周波数オフセットの影響の違いが補償され、位相補償後の相互相関値S708−1〜S708−Kが出力される。位相補償後の相互相関値S708−1〜S708−Kは、和算回路709に入力され、和算後の相互相関値S709が出力される。和算後の相互相関値S709は、受信バースト信号の入力サンプル毎に相関ピーク検出回路710に入力され、相関値が最大となるサンプル位置がフレーム・シンボル位置として検出され、フレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1として出力される。さらに、搬送波周波数推定回路711において、フレーム・シンボルタイミング位置S503−1に対応する相互相関値S707−1〜S707−Kの位相成分を用いて搬送波周波数オフセットを推定し、搬送波周波数情報S503−2として出力することもできる。
【0092】
上述した本第4の実施形態によれば、オーバーサンプリングされた受信バースト信号に対してスライディング相互相関演算を行うことにより、フレーム位置およびシンボルタイミング位置を共通のピーク位置として同時に検出することが可能である。
【0093】
また、本第4の実施形態によれば、同期用トレーニングシンボル系列の差動復号化(遅延検波)を行うことによって、搬送波周波数同期前の搬送波周波数オフセットを相殺することができるため、送受信装置間の局所発振器誤差の影響による相互相関ピーク検出精度の劣化を低減することができる。
【0094】
また、本第4の実施形態によれば、トレーニングシンボルの隣接シンボルに相当するサンプル間隔で複素共役演算を行う(差動復号化する)だけでなく、複数シンボルに相当するサンプル間隔でも複素共役演算(差動復号化する)ことによって、トレーニングシンボル系列長を長くするのと等価な効果を得ることができる。すなわち、同じトレーニングシンボル長でもフレーム同期およびシンボルタイミング同期精度が向上することから、伝送効率を劣化させずに対雑音同期特性を向上させることが可能となる。あるいは、対雑音同期特性を維持したまま、トレーニングシンボル長の短縮が可能となり、伝送効率を向上させることができる。
【0095】
また、本第4の実施形態によれば、トレーニングシンボル部における差動復号化処理は、同期符号系列の自己相関演算に相当する。したがって、nシンボルの差動復号化を前段で行う相互相関計算回路から出力される相互相関値の位相成分は、nシンボルあたりの送受信装置間の搬送波周波数オフセットを含んでおり、各相互相関計算回路から出力される各相互相関値の位相が揃わない。そこで、位相補償回路において各相互相関値の位相を揃えた後に和算処理を行うことで、搬送波周波数オフセットによる相関ピークの劣化を低減することができる。
【0096】
また、本第4の実施形態によれば、位相補償回路は、例えば、nシンボル差動復号化で得られた各相互相関値に対しては、その位相成分θnを検出した後、−{(n−1)/n}×θnの位相回転を与えることで実施できる。位相回転を施すことによって各相互相関値の位相成分を1/n、すなわち1シンボルあたりの位相回転量に揃えることができる。
【0097】
なお、本第4の実施形態において、トレーニングシンボル系列長をNTRとすると、相互相関計算を行う前段の差動復号化の最大遅延時間K[シンボル]の上限値はNTR−1で与えられる。但し、位相補償回路のθnが±πを超えると、補償可能な引き込み位相範囲を超えて相関ピーク特性が劣化するため、θnが±πを超えない最大のnがKの上限値となる。実際に受信装置に実装するKの値は、さらに受信装置の回路規模、処理遅延、フレームおよびシンボルタイミング同期精度とのトレードオフなどで決定される。
【0098】
E.第3の実施形態および第4の実施形態の実施例
次に、上述した第3の実施形態、および第4の実施形態の実施例について説明する。但し、上述した第3の実施形態は、第4の実施形態においてK=1とした場合と同じである。なお、トレーニングシンボル系列長を変化させた、第1の実施例及び第2の実施例についてフレーム誤検出率を評価している。
【0099】
図6は、本第1の実施例、及び第2の実施例の計算機シミュレーション条件を示す表図である。トレーニングシンボルの変調方式としてBPSK、情報シンボルの変調方式としてBPSKあるいはQPSKを仮定した。また、低CNR領域において良好な無線伝送特性を得るために、畳み込み符号化およびビタビ復号化を用いた誤り訂正を仮定した。伝搬路モデルとしては、白色ガウス雑音環境(Additive White Gaussian Noise:AWGN)を仮定した。
【0100】
図7(a)、(b)は、本第1の実施例、及び第2の実施例で用いたバースト構成を示す概念図である。第1の実施例においては、32シンボルの情報シンボル系列の前後に8シンボルずつ、第1の実施例においては、同じく16シンボルずつのトレーニングシンボル系列を付加した。なお、同期符号系列としては、それぞれ符号長7および符号長15のM系列を使用し、これを差動符号化したものをトレーニングシンボル系列とした。
【0101】
図8は、本第1の実施例及び第2の実施例において、フレーム誤検出率=1%を満足する所要CNR特性を示す図である。図6に示したパラメータ条件で同期検波を用いた場合、情報シンボルパケット誤り率=1%を満たす所要CNR特性が、QPSKにおいて約3dB、BPSKにおいて約0dBである。上述した第3の実施形態を用いたK=1の場合には、第1の実施例および第2の実施例にそれぞれQPSKとBPSKを適用した場合には、フレーム誤検出率とパケット誤り率とが同水準の所要CNR特性となり、無線バースト通信システムの設計としては、トレーニングシンボル長がやや不足している。ここで、上述した第4の実施形態を適用してK≧2とすることによって、所要CNRの余裕を1dB以上確保することが可能となり、トレーニングシンボル長を大きくすることなく、フレーム誤検出率をパケット誤り率よりも十分小さくすることが可能となる。
【0102】
また、第1の実施例と第2の実施例とを比較すると、Kの値が同じ場合、トレーニングシンボル長の違いが、フレーム同期特性にして約2.5dB程度の違いであることが分かる。ここで、第1の実施例のK=3と、第2の実施例のK=1とがほぼ同じ同期特性であることからも、第4の実施形態では、フレーム同期特性を劣化させることなく伝送効率を向上させることが分かる。
【0103】
上述した第1〜第4の実施形態によれば、無線バースト通信においてオーバーヘッドによる伝送効率劣化を低減することができる。また、無線受信装置における信号処理演算量を低減しつつ、フレームおよびシンボルタイミング同期を確立することができる。また、低速無線通信においても、高精度な同期特性を実現するフレームおよびシンボルタイミング同期を確立することができる。また、より短いトレーニングシンボル長で、雑音耐性の高いフレームおよびシンボルタイミング同期を確立することができる。また、フレームおよびシンボルタイミング同期を確立するのと同時に搬送波周波数同期も確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1の実施形態による無線送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本第1の実施形態を用いた場合に生成されるバースト構成を示す概念図である。
【図3】本第2の実施形態による無線受信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本第3の実施形態によるフレーム・シンボルタイミング検出回路503の構成を示すブロック図である。
【図5】本第4の実施形態によるフレーム・シンボルタイミング検出回路503の他の構成例を示すブロック図である。
【図6】本第1の実施例、及び第2の実施例の計算機シミュレーション条件を示す表図である。
【図7】本第1の実施例、及び第2の実施例で用いたバースト構成を示す概念図である。
【図8】本第1の実施例及び第2の実施例において、フレーム誤検出率=1%を満足する所要CNR特性を示す図である。
【図9】従来技術による、Dyanetや、PHSに代表されるシステムのバースト構成を示す概念図である。
【図10】第1の従来システムの受信同期処理を示す機能ブロック図である。
【図11】第2の従来システムのバースト構成を示す概念図である。
【図12】第2の従来システムの受信同期処理示す機能ブロック図である。
【図13】第3の従来方式を用いた無線受信装置の構成を示すブロック図である。
【図14】第3の従来方式を用いた無線受信装置におけるフレーム検出回路305の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0105】
101 シンボル生成回路
102 トレーニングシンボル生成回路
103 多重化回路
104 送信フィルタ
105 D/A変換回路
201 同期符号系列生成回路
202 差動符号化回路
301 A/D変換器
302 受信フィルタ
503 フレーム・シンボルタイミング検出回路
504 フレーム・シンボルタイミング同期回路
505 情報シンボル識別回路
601 トレーニングシンボル部サンプル抽出回路
602 Nsサンプル遅延回路
603 複素共役乗算回路
604 1/Nsダウンサンプリング回路
605 トレーニングシンボル生成回路
606 1シンボル差動復号化回路
607 相互相関計算回路
608 相関ピーク検出回路
701 トレーニングシンボル部サンプル抽出回路
702−1〜702−K 1〜K×Nsサンプル遅延回路
703−1〜703−K 複素共役乗算回路
704−1〜704−K 1/Nsダウンサンプリング回路
705 トレーニングシンボル生成回路
706−1〜706−K 1〜Kシンボル差動復号化回路
707−1〜707−K 相互相関計算回路
708 位相補償回路
709 和算回路
710 相関ピーク検出回路
711 搬送波周波数推定回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線受信装置および無線受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物理的に異なる場所に設置された各通信局が、特定の割り当てられた時間帯のみ信号を送出し通信を行う方式は、時分割多元接続通信(Time Division Multiple Access:TDMA)方式と呼ばれる。TDMAを用いる無線通信システムとしては、衛星通信システム(Dyanet)や(例えば、非特許文献1参照)、簡易型携帯電話システムPHS(例えば、非特許文献2参照)などが知られている。また、通信時間帯の割り当てを必要としない自立分散型の多元接続通信方式として、CSMA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式がある。IEEE802.11に準拠した無線LANシステム(例えば、非特許文献3参照)などは、このCSMA/CA方式を採用している。
【0003】
これらTDMAシステムやCSMA/CAに共通しているのは、いずれも時間軸上で無線伝送信号が多重化されている点である。時分割通信を実現するためには、各通信局から送信される無線伝送信号は間欠的にならざるを得ない。すなわち、バースト通信を行うことが必須となる。無線バースト信号を受信して情報を取り出すためには、シンボルタイミング同期、搬送波周波数同期、搬送波位相同期(伝搬路変動補償を含む)、フレーム同期といった各種同期技術が必要となる(例えば、非特許文献4参照)。
【0004】
これらの各種同期を実現するためには、無線バースト伝送信号に伝送したい情報信号系列だけでなく、各種同期を確立するための既知の信号系列(トレーニング信号)を時間軸上で多重化する方法が知られている。
【0005】
図9(a)、(b)は、従来技術による、Dyanetや、PHSに代表されるシステム(以下、第1の従来システム)のバースト構成を示す概念図である。Dyanetでは、シンボルタイミング同期のためのBTR(Bit Timing Recovery)シンボル、搬送波周波数同期のためのCR(Carrier Recovery)シンボル、フレーム同期のためのUW(Unique Word)シンボルがトレーニング信号として用いられている(非特許文献1)。同じくPHSでも、シンボルタイミング同期および搬送波周波数同期のためのPR(Preamble)シンボル、フレーム同期のためのUWシンボルが用いられている(非特許文献2)。
【0006】
このように、第1の従来システムでは、図9(a)、(b)に示すように、シンボルタイミング同期および搬送波周波数同期に必要なトレーニング信号とフレーム同期のためのトレーニング信号とを分離する必要がある。このため、トレーニング信号によるオーバーヘッドが大きくなり、特に情報シンボル信号部分が短いバーストに対して伝送効率が劣化するという問題がある。
【0007】
図10は、第1の従来システムの受信同期処理を示す機能ブロック図である。第1の従来システムの受信同期処理では、クロック位相誤差推定10、シンボルタイミング同期確立11、搬送波周波数オフセット推定12、搬送波周波数同期確立13、UW相関検出14、及びフレーム同期確立15を行う。図10に示すように、これらの3つの受信同期処理、すなわち、シンボルタイミング同期確立11、搬送波周波数同期確立13、フレーム同期確立15を別の演算処理で行うことが必要であり、さらに各々のブロックで自己相関演算や、離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform:DFT)など負荷の大きい演算を必要とするため、受信処理ベースバンド回路の回路規模や、消費電力などが増大するという問題がある。
【0008】
さらに、第1の従来システムでは、同期検波を行うために、搬送波位相同期が必要である。第1の従来システムでは、逆変調方式などに代表される搬送波再生方式を用いて搬送波位相同期を確立する。位相不確定性については、無変調信号であるCRを用いて除去するか、あるいは位相不確定性が存在しても復調が可能となるように、変調時に情報シンボルの差動符号化を行う。
【0009】
また、第1の従来システムは、いずれも逐次復調方式であるが、搬送波周波数同期を確立し搬送波再生を行うには、複数のバースト信号を繰り返し参照して引き込むことが必要であり、1バースト時間で引き込むことはできない。また、フレーム同期を行うには、UWのビット判定が必要であり、予め搬送波周波数同期が高精度に取れている必要がある。
【0010】
すなわち、第1の従来システムでは、以下の3つの問題点を有している。
(A1)各受信同期処理のために、それぞれ専用のトレーニング信号を別々に用意する必要があるため、オーバーヘッドが大きくなり、特に情報シンボル信号部分が短い場合に伝送効率が劣化する。
(A2)各受信同期処理を異なる信号処理で行うため、演算量が多く、受信装置の回路規模および消費電力が増大する。
(A3)各受信同期を1受信バースト内で確立することができない。
【0011】
上記(A3)を解決するバースト無線伝送システムとして、IEEE802.11a(以下、第2の従来システム)がある(上記非特許文献3)。IEEE802.11aは、マルチキャリア伝送方式である直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を適用したIEEE802.11準拠無線LANの規格の1つである。
【0012】
図11は、第2の従来システムのバースト構成を示す概念図である。第2の従来システムでは、各受信同期処理を実現するために、シンボルタイミング同期、搬送波周波数同期、フレーム同期用のショートプリアンブル(ShortPR)と、伝搬路歪み補償用のロングプリアンブル(LongPR)との2種類のトレーニング信号がバースト先頭に配置される。
【0013】
また、図12は、第2の従来システムの受信同期処理示す機能ブロック図である。ショートプリアンブル信号部に対し、スライディング相互相関演算20により、相互相関演算を行い、ピーク検出21により、相互相関値のピーク位置を検出し、フレーム同期確立シンボルタイミング同期確立22により、シンボルタイミング同期およびフレーム同期を確立し、自己相関演算23及び位相検出24により、自己相関値の位相成分を検出して、搬送波周波数同期確立25により、搬送波周波数同期を確立する。搬送波周波数同期には、ロングプリアンブル信号部を用いることもできる。
【0014】
第2の従来システムでは、受信バースト信号に含まれるトレーニング信号情報を蓄積し相関演算を行うことによって各受信同期を確立する。そのため、1受信バースト内で各受信同期が確立可能であり、第1の従来システムの問題点(A3)を解決できる。
【0015】
しかし、第2の従来システムでは、ショートプリアンブルが短い時間周期とならざるを得ないことから、擬似雑音(Pseudo Noise:PN)系列を用いた場合と比較して、自己相関の直交性が劣化する。そのため、相互相関値のピーク検出精度がPN系列を用いた場合より劣化し、シンボルタイミング同期およびフレーム同期精度が劣化するという問題がある。
【0016】
また、第2の従来システムでは、送受信装置間の搬送波周波数オフセットの影響によってショートプリアンブル信号部内での位相回転量が無視できないような低速通信の場合、相互相関値の積和演算において各項の位相が回転してしまい、所望サンプル位置で相関値がピークを取らない可能性がある。このとき、シンボルタイミングおよびフレーム同期制度は劣化する。
【0017】
すなわち、第2の従来システムは、(A3)の問題を解決してはいるものの、以下の4つの問題点を有している。
(B1)各受信同期処理のために、それぞれ専用のトレーニング信号を別々に用意する必要があるため、オーバーヘッドが大きくなり、特に情報シンボル信号部分が短い場合に伝送効率が劣化する。
(B2)各受信同期処理を異なる信号処理で行うため、演算量が多く、受信装置の回路規模および消費電力が増大する。
(B4)ショートプリアンブルがPN系列とならないため、PN系列を用いた場合と比較してシンボルタイミング同期およびフレーム同期精度が劣化する。
(B5)低速通信においては、ショートプリアンブル内での位相が回転し、シンボルタイミング同期およびフレーム同期精度が劣化する。
【0018】
上記(B4)および(B5)の問題を解決するため、フレーム同期用にUWの差動符号化を用いて、相互相関演算を用いたピーク検出前に遅延検波を行うフレーム同期方式(以下、第3の従来方式)が考案されている(例えば、非特許文献5参照)。
【0019】
図13は、第3の従来方式を用いた無線受信装置の構成を示すブロック図である。なお、図13では、デジタル信号処理を行うベースバンド処理部のみを示し、前には無線信号受信のための空中線および無線部が接続される。
【0020】
アナログ受信バースト信号S300は、A/D変換器301によってデジタル受信バースト信号S301に変換される。A/D変換後のデジタル受信バースト信号S301は、受信フィルタ302に入力され、受信フィルタ処理後の受信バースト信号S302が出力される。受信フィルタ処理後の受信バースト信号S302は、シンボルタイミング同期回路303によってシンボルタイミングの検出および同期が行われ、受信バーストシンボル系列S303が出力される。
【0021】
受信バーストシンボル系列S303は、搬送波周波数同期回路304に入力され、搬送波周波数同期後の受信バーストシンボル系列S304が出力される。搬送波周波数同期後の受信バーストシンボル系列S304は、フレーム検出回路305に入力され、フレーム位置情報S305が出力される。受信バーストシンボル系列S304は、フレーム同期回路306に入力されフレーム位置情報S305に基づいてフレーム同期が確立され、受信バーストシンボル系列S306が出力される。フレーム同期確立後の受信バーストシンボル系列S306は、シンボル識別回路307で情報シンボルからデータビット系列に変換され、受信データ信号S307として出力される。
【0022】
図14は、図13に示した無線受信装置におけるフレーム検出回路305の構成を示すブロック図である。シンボルタイミングおよび搬送波周波数同期確立後の受信バーストシンボル系列S304は、トレーニングシンボル抽出回路401に入力され、受信トレーニングシンボル区間に相当するシンボル系列S401が入力シンボル毎に出力される。受信トレーニングシンボル系列S401は、1シンボル遅延回路402に入力され、1シンボル遅延後の受信トレーニングシンボル系列S402が出力される。1シンボル遅延前の受信トレーニングシンボル系列S401および1シンボル遅延後の受信トレーニングシンボル系列S402は、複素共役乗算回路403に入力されることによって差動復号化、すなわち遅延検波される。遅延検波後の受信トレーニングシンボル系列S403が出力される。
【0023】
遅延検波後の受信トレーニングシンボル系列S403は、ビット判定回路(遅延検波)404に入力され、ビット判定(シンボル識別)され、ビット判定後の受信フレーム同期符号系列S404が出力される。一方、同期符号系列生成回路405は、既知のフレーム同期符号系列S405を生成する。受信フレーム同期符号系列S404および既知のフレーム同期符号系列S405は、相互相関計算回路(ビット演算)406に入力され、相互相関値S406が出力される。受信バースト信号の入力シンボル毎に入力される相互相関値S406は、相関ピーク検出回路407に入力され、相関値が最大となるシンボル位置をフレーム位置として検出し、フレーム位置情報S305が出力される。
【0024】
第3の従来方式は、前述した第1の従来システムと同様に、フレーム同期のためにUWをトレーニング信号として含む必要がある。UWの符号系列としてPN系列のような自己相関の直交性に優れた符号系列を用いることが可能であるため、第2の従来システムの(B4)の問題点を解決できる。また、UWの符号系列を遅延検波することによって送受信装置間の搬送波周波数オフセットの影響を低減できるため、(B5)の問題点も解決できる。
【0025】
但し、第3の従来方式は、また、フレーム位置の検出にはシンボルタイミング同期確立後の遅延検波およびビット判定が必要であるため、図9に示すバースト構成を有する第1の従来システム同様に、UWの他にシンボルタイミング同期および搬送波周波数同期を確立するためのトレーニングシンボル系列を備える必要がある。
【0026】
したがって、前述した第1の従来システムの(A3)の問題点を解決した上で、第3の従来方式を適用したとしても、第2の従来システムの(B1)および(B2)の問題点を解決することはできない。
【非特許文献1】Kiyoshi Kobayashi, Tetsu Sakata, Yoichi Matsumoto, Shuji Kubota,“Fully Digital Burst Modem for Satellite Multimedia Communication Systems”IEICE Transaction of Communications,vol.E80-B,no.1,January1997.
【非特許文献2】Yoichi Matsumoto, Shuji Kubota, Shuzo Kato,“A New Burst Coherent Demodulator for Microcellular TDMA/TDD Systems”IEICE Transaction on Communications,vol.E77-B,No.7,July1994.
【非特許文献3】松江英明,守倉正博,“802.11高速無線LAN教科書”IDGジャパン,2003.
【非特許文献4】三瓶政一,“ディジタルワイヤレス伝送技術”ピアソン・エデュケーション,2002.
【非特許文献5】小倉浩嗣,芹沢睦,“TDMAデジタル移動通信のためのスロット同期方式,”B−292,1990年電子情報通信学会秋季全国大会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
上述したように、第1および第2の従来システムや、第3の従来方式では、バースト無線伝送を行う上でオーバーヘッドとなるトレーニングシンボルによる伝送効率の劣化、回路規模や、消費電力の増大、低速通信におけるシンボルタイミング同期や、フレーム同期精度の劣化といった問題を解決することができない、という問題があった。
【0028】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、無線バースト通信においてオーバーヘッドによる伝送効率劣化を低減することができ、また、信号処理演算量を低減し、高精度なバースト同期を実現することができる無線受信装置および無線受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、差動符号化された同期符号系列をトレーニングシンボルとし、該トレーニングシンボルと情報シンボルとから構成された無線バースト信号を受信する無線受信装置において、前記無線バースト信号に含まれるトレーニングシンボル系列を用いて、オーバーサンプリングされた受信バースト信号系列からフレーム・シンボルタイミングを検出するフレーム・シンボルタイミング検出手段と、前記フレーム・シンボルタイミング検出手段で検出されたフレーム・シンボルタイミングに基づいて、受信バーストシンボル系列を抽出するフレーム・シンボルタイミング同期手段と、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段で抽出された受信バーストシンボル系列から受信情報シンボル系列を抽出してシンボル識別を行うシンボル識別手段とを備えることを特徴とする無線受信装置である。
【0030】
本発明は、上記の発明において、前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出手段と、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを1シンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力する1シンボル時間遅延手段と、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記1シンボル時間遅延手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列の1シンボル時間差動復号化を行う複素共役乗算手段と、前記複素共役乗算手段から出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するダウンサンプリング手段と、既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成手段と、前記トレーニングシンボル生成手段から出力されるトレーニングシンボル系列の1シンボル時間差動復号化を行う1シンボル時間差動復号化手段と、前記1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記1シンボル時間差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値を計算し、入力サンプル毎に出力する相互相関計算手段と、前記相互相関値計算手段から出力された相互相関値から、相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出手段とを備えることを特徴とする。
【0031】
本発明は、上記の発明において、前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出手段と、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを、それぞれ1〜Kシンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力するK個の遅延手段と、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記K個の遅延手段から出力された各受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列のそれぞれ1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の複素共役乗算手段と、前記K個の複素共役乗算手段から出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するK個のダウンサンプリング手段と、既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成手段と、前記トレーニングシンボル生成手段から出力されるトレーニングシンボル系列の1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の差動復号化手段と、前記差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値をそれぞれ計算し、入力サンプル毎に出力するK個の相互相関計算手段と、前記K個の相互相関値計算手段から出力されたK個の相互相関値に対し、各シンボル遅延時間に対応して位相補償を行う位相補償手段と、前記位相補償手段から出力されたK個の位相補償後相互相関値の和を計算する和算手段と、前記和算手段から相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出手段とを備えることを特徴とする。
【0032】
本発明は、上記の発明において、前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、さらに搬送波周波数の推定を行い、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【0033】
本発明は、上記の発明において、前記相関ピーク検出手段は、さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の相互相関値の位相成分から搬送波周波数を推定し、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【0034】
本発明は、上記の発明において、前記相関ピーク検出手段は、さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の和算前の相互相関値の一部あるいは全てを用いて、その位相成分から搬送波周波数を推定し、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、フレーム・シンボルタイミングだけでなく搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【0035】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、差動符号化された同期符号系列をトレーニングシンボルとし、該トレーニングシンボルと情報シンボルとから構成された無線バースト信号を受信する無線受信方法において、前記無線バースト信号に含まれる既知のトレーニングシンボル系列を用いて、オーバーサンプリングされた受信バースト信号系列からフレーム・シンボルタイミングを検出するフレーム・シンボルタイミング検出ステップと、前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップで検出されたフレーム・シンボルタイミングに基づいて、受信バーストシンボル系列を抽出するフレーム・シンボルタイミング同期ステップと、前記フレーム・シンボルタイミング同期ステップで抽出された受信バーストシンボル系列から受信情報シンボル系列を抽出してシンボル識別を行うシンボル識別ステップとを含むことを特徴とする無線受信方法である。
【0036】
本発明は、上記の無線受信方法において、前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出ステップと、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを1シンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力する1シンボル時間遅延ステップと、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記1シンボル時間遅延ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列の1シンボル時間差動復号化を行う複素共役乗算ステップと、前記複素共役乗算ステップにおいて出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するダウンサンプリングステップと、既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成ステップと、前記トレーニング抽出ステップにおいて出力されるトレーニングシンボル系列の1シンボル時間差動復号化を行う1シンボル時間差動復号化ステップと、前記1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記1シンボル時間差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値を計算し、入力サンプル毎に出力する相互相関計算ステップと、前記相互相関値計算ステップにおいて出力された相互相関値から、相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出ステップとを含むことを特徴とする。
【0037】
本発明は、上記の無線受信方法において、前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出ステップと、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを、それぞれ1〜Kシンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力するK個の遅延ステップと、前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記K個の遅延ステップにおいて出力された各受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列のそれぞれ1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の複素共役乗算ステップと、前記K個の複素共役乗算ステップにおいて出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するK個のダウンサンプリングステップと、既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成ステップと、前記トレーニングシンボル生成ステップにおいて出力されるトレーニングシンボル系列の1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の差動復号化ステップと、前記差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値をそれぞれ計算し、入力サンプル毎に出力するK個の相互相関計算ステップと、前記K個の相互相関値計算ステップにおいて出力されたK個の相互相関値に対し、各シンボル遅延時間に対応して位相補償を行う位相補償ステップと、前記位相補償ステップにおいて出力されたK個の位相補償後相互相関値の和を計算する和算ステップと、前記和算ステップにおいて相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出ステップとを含むことを特徴とする。
【0038】
本発明は、上記の無線受信方法において、前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、さらに搬送波周波数の推定を行い、前記フレーム・シンボルタイミング同期ステップにおいては、さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【0039】
本発明は、上記の無線受信方法において、前記相関ピーク検出手段ステップにおいては、さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の相互相関値の位相成分から搬送波周波数を推定し、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段ステップにおいては、さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【0040】
本発明は、上記の無線受信方法において、前記相関ピーク検出手段ステップにおいては、さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の和算前の相互相関値の一部あるいは全てを用いて、その位相成分から搬送波周波数を推定し、前記フレーム・シンボルタイミング同期手段ステップにおいては、フレーム・シンボルタイミングだけでなく搬送波周波数同期を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
この発明によれば、無線バースト通信に必要なフレーム同期およびシンボルタイミング同期に必要なトレーニングシンボル系列を共通のトレーニングシンボル系列として提供するため、各受信同期処理のために個別のトレーニングシンボル系列を備える必要が無く、オーバーヘッドを削減し、システムの伝送効率を向上させることができる。
【0042】
また、トレーニングシンボル系列として、任意の同期符号系列を用いることができる。ただし、同期符号系列として自己相関の直交性に優れる系列、例えばM系列などを用いることによって、受信装置におけるフレーム同期およびシンボルタイミング同期精度をさらに向上させることができる。
【0043】
また、さらに同期符号系列を差動符号化して送信しているため、受信時に同期用トレーニングシンボル系列の差動復号化(遅延検波)を行うことが可能となる。差動復号化の際に搬送波周波数同期前の搬送波周波数オフセットを相殺することができるため、送受信装置間の局所発振器誤差の影響による相互相関ピーク検出精度の劣化を低減することができる。
【0044】
また、複数のトレーニングシンボル系列をバースト内の異なる位置に挿入した場合には、フェージング等の伝搬路変動によってバースト内で信号電力が変動した場合でも、高精度なフレーム同期およびシンボルタイミング同期が可能となる。
【0045】
また、フレーム・シンボルタイミング検出手段において同時にフレーム同期とシンボルタイミング同期を確立することができるため、第1の従来システムで必要であったシンボルタイミング同期手段が不要となり、受信装置の回路規模を削減することが可能となる。
【0046】
また、オーバーサンプリングされた受信バースト信号に対してスライディング相互相関演算を行うことにより、フレーム位置およびシンボルタイミング位置を共通のピーク位置として同時に検出することが可能である。
【0047】
また、トレーニングシンボルの隣接シンボルに相当するサンプル間隔で複素共役演算を行う(差動復号化する)ことによって、受信信号から差動符号化前の同期符号系列を抽出することができる。相互相関計算手段では、検出された差動復号化後の同期符号系列と、既知のトレーニングシンボルの同期符号系列とのスライディング相互相関演算を行うことにより、そのフレーム位置およびシンボルタイミング位置を共通の位置として同時に検出することが可能となる。
【0048】
また、トレーニングシンボル部における差動復号化処理は同期符号系列の自己相関演算に相当する。したがって、nシンボルの差動復号化を前段で行う前記相互相関計算手段から出力される相互相関値の位相成分は、nシンボルあたりの送受信装置間の搬送波周波数オフセットを含んでおり、各相互相関計算手段から出力される各相互相関値の位相が揃わない。そこで、前記位相補償手段において各相互相関値の位相を揃えた後に和算処理を行うことで、搬送波周波数オフセットによる相関ピークの劣化を低減することができる。
【0049】
また、位相補償手段は、例えばnシンボル差動復号化で得られた各相互相関値に対しては、その位相成分θnを検出した後、−{(n−1)/n}×θnの位相回転を与えることで実施できる。前期位相回転を施すことによって各相互相関値の位相成分を1/n、すなわち1シンボルあたりの位相回転量に揃えることができる。
【0050】
また、前記フレーム・シンボルタイミング検出処理における前記相互相関演算結果の位相成分が1シンボルあたりの送受信装置間の搬送波周波数オフセットとなることから、前記位相成分を検出することによって搬送波周波数オフセットの推定が可能となる。
【0051】
また、トレーニングシンボルの隣接シンボルに相当するサンプル間隔で複素共役演算を行う(差動復号化する)だけでなく、複数シンボルに相当するサンプル間隔でも複素共役演算(差動復号化する)ことによって、トレーニングシンボル系列長を長くして相関計算を行った場合と等価な効果を得ることができる。
【0052】
すなわち、同じトレーニングシンボル長でもフレーム同期およびシンボルタイミング同期精度が向上することから、伝送効率を劣化させずに対雑音同期特性を向上させることが可能となる。あるいは、対雑音同期特性を維持したままトレーニングシンボル長の短縮が可能となり、伝送効率の向上が可能となる。
【0053】
また、フレーム・シンボルタイミング検出処理における前記相互相関演算結果の位相成分が1〜Kシンボルあたりの送受信装置間の搬送波周波数オフセットとなることから、前記各位相成分を検出し、これらの一部あるいは全てを組み合わせて用いる搬送波周波数オフセットの推定が可能となる。差動復号化シンボル間隔が小ければ引き込み範囲は広いが周波数推定精度が低く、逆に差動復号化間隔が大きければ引き込み範囲は狭いが周波数推定精度が高くなることから、複数段に分けて周波数を推定するなど、これらを適切に組み合わせて引き込み範囲が広く周波数推定精度にも優れた搬送波周波数同期を実施することも可能である。
【0054】
また、フレーム・シンボルタイミング検出処理において既に相互相関値演算処理が終了していることから、搬送波周波数オフセット推定のための付加的な信号処理が不要であり、搬送波周波数オフセット推定のための受信信号処理演算量あるいは回路規模を低減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0056】
A.第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による無線送信装置の構成を示すブロック図である。なお、図1では、デジタル信号処理を行うベースバンド処理部のみを示し、後段には無線信号送信のための無線部および空中線が接続される。図において、シンボル生成回路101は、送信データビット系列S100から送信情報シンボル系列S101を生成する。トレーニングシンボル生成回路102は、同期符号系列生成回路201と差動符号化回路202とを備えている。同期符号系列生成回路201は、同期符号系列S201を生成する。差動符号化回路202は、同期符号系列S201からトレーニングシンボル系列S102を生成する。多重化回路103は、送信情報シンボル系列S101とトレーニングシンボル系列S102とを時間多重し、送信バーストシンボル系列S103を生成する。送信フィルタ手段104は、送信バーストシンボル系列S103を帯域制限し、送信バースト信号S104を出力する。D/A変換手段105は、送信フィルタ処理後の送信バースト信号S104を、アナログ送信バースト信号S105に変換する。
【0057】
上述した構成において、送信データビット系列S100は、シンボル生成回路101に入力され、送信情報シンボル系列S101が生成される。また、トレーニングシンボル生成手段102では、同期符号系列生成手段201によって同期符号系列S201が生成される。同期符号系列S201は差動符号化手段202に入力され、トレーニングシンボル系列S102が生成される。送信情報シンボル系列S101とトレーニングシンボル系列S102は、シンボル多重化手段103によって時間多重され、送信バーストシンボル系列S103が生成される。
【0058】
送信バーストシンボル系列S103は、帯域制限のための送信フィルタ手段104に入力され、送信フィルタ処理後の送信バースト信号S104が出力される。送信フィルタ処理後の送信バースト信号S104は、D/A変換手段105によってアナログ送信バースト信号S105に変換される。アナログ送信バースト信号S104は、最終的に無線部に入力されて搬送波周波数に変換され、無線伝送される。
【0059】
図2は、本第1の実施形態を用いた場合に生成されるバースト構成を示す概念図である。図2に示すように、本第1の実施形態では、第1の従来システムに見られた各受信同期処理用の個別トレーニングパターンは不要であり、共通のトレーニングシンボル系列を用いてフレーム同期、シンボルタイミング同期、搬送波周波数同期を確立することが可能である。
【0060】
上述した第1の実施形態によれば、無線バースト通信に必要なフレーム同期およびシンボルタイミング同期に必要なトレーニングシンボル系列を共通のトレーニングシンボル系列として提供するため、各受信同期処理のために個別のトレーニングシンボル系列を備える必要が無く、オーバーヘッドを削減し、システムの伝送効率を向上させることができる。
【0061】
また、本第1の実施形態によれば、トレーニングシンボル系列として、任意の同期符号系列を用いることができる。但し、同期符号系列として自己相関の直交性に優れる系列、例えば、M系列などを用いることによって、受信装置におけるフレーム同期およびシンボルタイミング同期精度をさらに向上させることができる。
【0062】
また、本第1の実施形態によれば、同期符号系列を差動符号化して送信しているため、受信時に同期用トレーニングシンボル系列の差動復号化(遅延検波)を行うことが可能となる。差動復号化の際に搬送波周波数同期前の搬送波周波数オフセットを相殺することができるため、送受信装置間の局所発振器誤差の影響による相互相関ピーク検出精度の劣化を低減することができる。
【0063】
さらに、本第1の実施形態によれば、複数のトレーニングシンボル系列をバースト内の異なる位置に挿入した場合には、フェージング等の伝搬路変動によってバースト内で信号電力が変動した場合でも、高精度なフレーム同期およびシンボルタイミング同期が可能となる。
【0064】
なお、本第1の実施形態においては、無線送信装置が逐次トレーニングシンボル系列を生成できるトレーニングシンボル生成回路102を備える必要が無く、代わりに生成されたトレーニングシンボル系列を記憶する記憶手段を設けるようにしてもよい。
【0065】
B.第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、本第2の実施形態による無線受信装置の構成を示すブロック図である。図において、A/D変換器301は、受信バースト信号S300をオーバーサンプリングおよびA/D変換し、受信バースト信号S301を出力する。受信フィルタ302は、受信バースト信号S301を帯域制限し、受信バースト信号S302を出力する。フレーム・シンボルタイミング検出回路503は、帯域制限された受信バースト信号S302からフレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1と搬送波周波数情報S503−2とを出力する。
【0066】
フレーム・シンボルタイミング同期回路504は、受信バースト信号S302に対し、フレーム・シンボルタイミング位置信号S503−1に基づいて、フレーム同期処理およびシンボルタイミングに基づくダウンサンプリング処理を行うとともに、に搬送波搬送波情報S503−2に基づいて、搬送波周波数同期を行い、受信バーストシンボル系列S504を出力する。情報シンボル識別回路505は、受信バーストシンボル系列S504から受信データビット系列S505を出力する。
【0067】
上述した構成において、受信装置無線部より入力された受信バースト信号S300は、A/D変換器301においてオーバーサンプリングおよびA/D変換され、A/D変換後の受信バースト信号S301が出力される。A/D変換後の受信バースト信号S301は、受信フィルタ302に入力され、帯域制限された受信バースト信号S302が出力される。帯域制限された受信バースト信号S302は、フレーム・シンボルタイミング検出回路503に入力され、フレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1と搬送波周波数情報S503−2とが出力される。
【0068】
フレーム・シンボルタイミング位置信号S503−1及び搬送波搬送波情報S503−2は、フレーム・シンボルタイミング同期手段504に入力され、フレーム・シンボルタイミング位置信号S503−1に基づいて、フレーム同期処理およびシンボルタイミングに基づくダウンサンプリング処理が行われるとともに、搬送波搬送波情報S503−2に基づいて、搬送波周波数同期が行われ、フレーム・シンボルタイミング同期受信バーストシンボル系列S504が出力される。フレーム・シンボルタイミング同期後の受信バーストシンボル系列S504は、情報シンボル識別手段505に入力され、受信データビット系列S505が出力される。
【0069】
上述した第2の実施形態によれば、フレーム・シンボルタイミング検出回路において同時にフレーム同期とシンボルタイミング同期とを確立することができるため、従来必要であったシンボルタイミング同期手段が不要となり、受信装置の回路規模を削減することが可能となる。
【0070】
C.第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本第3の実施形態は、上述した第2の実施形態の無線受信装置においてフレーム同期およびシンボルタイミング同期を実現するもので、オーバーサンプリングされた受信バースト信号からトレーニングシンボル系列成分を抽出してスライディング相互相関演算を行ってピーク位置を検出し、フレーム位置およびシンボルタイミング位置として同定することを特徴とする。前述した第3の従来方式とは、サンプル毎に信号処理する点で異なる。
【0071】
図4は、本第3の実施形態による、図3のフレーム・シンボルタイミング検出回路503の構成を示すブロック図である。図において、トレーニングシンボル部サンプル抽出回路601は、受信フィルタ302から出力された、オーバーサンプリングされた受信バースト信号S302から、トレーニングシンボル区間に相当するサンプル系列S601を入力サンプル毎に出力する。Nsサンプル(1シンボル時間)遅延回路602は、サンプル系列S601から、1シンボル時間に相当するサンプル遅延後の受信トレーニングシンボル部のサンプル系列S602を出力する。
【0072】
複素共役乗算回路603は、1シンボル時間遅延前の受信トレーニングシンボル部のサンプル系列S601および1シンボル時間遅延後の受信トレーニングシンボル部のサンプル系列S602の複素共役乗算を行うことにより差動復号化を行う。1/Nsダウンサンプリング回路604は、1シンボル時間差動復号化後の受信トレーニングシンボル部のサンプル系列S603から、入力サンプル毎に1シンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル部のサンプル系列S604を出力する。
【0073】
トレーニングシンボル生成回路605は、既知のトレーニングシンボル系列S605を生成する。1シンボル差動復号化回路606は、既知のトレーニングシンボル系列S605を、1シンボル差動復号化し、トレーニングシンボル系列S606を出力する。相互相関計算回路607は、1シンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S604および1シンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S606の相互相関値S607を多値複素演算によって計算する。
【0074】
相関ピーク検出回路608は、受信バースト信号の入力サンプル毎に出力される相互相関値S607が最大となるサンプル位置を、フレーム・シンボル位置として検出し、フレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1として出力するとともに、フレーム・シンボルタイミング位置S503−1に対応する相関ピーク値の位相成分を用いて搬送波周波数オフセットを推定し、搬送波周波数情報S503−2として出力する。これは、フレーム・シンボルタイミング検出処理において、トレーニングシンボル部における差動復号化処理が同期符号系列の自己相関演算に相当し、結果としてフレーム・シンボルタイミング検出位置における相互相関演算結果の位相成分に搬送波周波数オフセット成分が含まれることを利用している。
【0075】
上述した構成において、受信フィルタ302から出力されたオーバーサンプリングされた受信バースト信号S302は、トレーニングシンボル部サンプル抽出回路601に入力され、トレーニングシンボル区間に相当するサンプル系列S601が入力サンプル毎に出力される。受信トレーニングシンボル部サンプル系列S601は、Nsサンプル遅延回路602に入力され、1シンボル時間に相当するサンプル遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S602が出力される。
【0076】
1シンボル時間遅延前の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S601および1シンボル時間遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S602は、複素共役乗算回路603に入力されることによって差動復号化される。差動復号化後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S603は、ダウンサンプリング回路604に入力され、入力サンプル毎に1シンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S604が出力される。
【0077】
一方、トレーニングシンボル生成回路605では、無線送信装置で生成されるのと同じ既知のトレーニングシンボル系列S605が生成される。既知のトレーニングシンボル系列S605は、1シンボル差動復号化回路606に入力され、1シンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S606が出力される。1シンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S604および1シンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S606は、相互相関計算回路607に入力され、両者の相互相関値S607が多値複素演算によって計算される。
【0078】
受信バースト信号の入力サンプル毎に出力される相互相関値S607は、相関ピーク検出回路608に入力され、相関値が最大となるサンプル位置がフレーム・シンボル位置として検出され、フレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1として出力されるとともに、フレーム・シンボルタイミング位置S503−1に対応する相関ピーク値の位相成分を用いて搬送波周波数オフセットが推定され、搬送波周波数情報S503−2が併せて出力される。
【0079】
上述した本第3の実施形態によれば、オーバーサンプリングされた受信バースト信号に対してスライディング相互相関演算を行うことにより、フレーム位置およびシンボルタイミング位置を共通のピーク位置として同時に検出することができる。
【0080】
また、本第3の実施形態によれば、トレーニングシンボルの隣接シンボルに相当するサンプル間隔で複素共役演算を行う(差動復号化する)ことによって、受信信号から差動符号化前の同期符号系列を抽出することができる。また、検出された差動復号化後の同期符号系列と、既知のトレーニングシンボルの同期符号系列とのスライディング相互相関演算を行うことにより、そのフレーム位置およびシンボルタイミング位置を共通の位置として同時に検出することができる。
【0081】
また、本第3の実施形態によれば、同期用トレーニングシンボル系列の差動復号化(遅延検波)を行うことによって、搬送波周波数同期前の搬送波周波数オフセットを相殺することができるため、送受信装置間の局所発振器誤差の影響による相互相関ピーク検出精度の劣化を低減することができる。
【0082】
なお、本第3の実施形態では、図4に示すフレーム・シンボルタイミング検出回路503では、トレーニングシンボル生成回路605として、図1に示したトレーニングシンボル生成回路102と同一構成を用いている。トレーニングシンボル生成回路605では、原同期符号系列の差動符号化が行われ、差動復号化回路606では、差動復号化が行われるが、いずれも既知の同期符号系列に対する信号処理であるため、実際には差動符号化および符号化の処理対を省略することもできる。
【0083】
また、本第3の実施形態において、フレーム・シンボルタイミング検出回路503は、逐次トレーニングシンボル系列を生成できるトレーニングシンボル生成回路602を備えずに、代わりにトレーニングシンボル系列を記憶する記憶手段を備えるようにしてもよい。
【0084】
D.第4の実施形態
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本第4の実施形態は、上述した第3の実施形態と同様に、第2の実施形態の無線受信装置においてフレーム同期およびシンボルタイミング同期を実現するもので、オーバーサンプリングされた受信バースト信号から、トレーニングシンボル系列成分を抽出し、スライディング相互相関演算を行ってピーク位置を検出し、フレーム位置およびシンボルタイミング位置として同定することを特徴とする。第3の従来方式とは、サンプル毎に信号処理する点で異なる。
【0085】
図5は、本第4の実施形態による、図3に示すフレーム・シンボルタイミング検出回路503の他の構成例を示すブロック図である。図において、トレーニングシンボル部サンプル抽出回路701は、受信フィルタ302から出力されたオーバーサンプリングされた受信バースト信号S302を、トレーニングシンボル区間に相当するサンプル系列S701として入力サンプル毎に出力する。1×Nsサンプル遅延回路702−1〜K×Nsサンプル遅延回路702−Kは、受信トレーニングシンボル部サンプル系列S701から、1〜Kシンボル時間に相当するサンプル遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S702−1〜Kを出力する。
【0086】
複素共役乗算回路703−1〜703−Kは、時間遅延処理前の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S701および1〜Kシンボル時間遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S702−1〜S702−Kを差動復号化する。1/Nsダウンサンプリング回路704−1〜704−Kは、1〜Kシンボル時間差動復号化後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S703−1〜S703−Kから、入力サンプル毎に1〜Kシンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S704−1〜S704−Kを出力する。
【0087】
トレーニングシンボル生成回路705は、既知のトレーニングシンボル系列S705を生成する。1〜Kシンボル差動復号化回路706−1〜706−Kは、既知のトレーニングシンボル系列S705から、1〜Kシンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S706−1〜S706−Kを出力する。相互相関計算回路707−1〜707−Kは、1〜Kシンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S704−1〜S704−Kおよび1〜Kシンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S706−1〜S706−Kから、両者の相互相関値S707−1〜S707−Kを多値複素演算によって計算する。
【0088】
位相補償回路708は、相互相関値S707−1〜S707−Kから、差動符号化時の遅延時間差によって異なる搬送波周波数オフセットの影響の違いを補償し、位相補償後の相互相関値S708−1〜S708−Kとして出力する。和算回路709は、位相補償後の相互相関値S708−1〜S708−Kを和算し、相互相関値S709として出力する。相関ピーク検出回路710は、和算後の相互相関値S709から、受信バースト信号の入力サンプル毎に、相関値が最大となるサンプル位置がフレーム・シンボル位置として検出し、フレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1として出力する。搬送波周波数推定回路711は、フレーム・シンボルタイミング位置S503−1に対応する相互相関値S707−1〜Kの位相成分を用いて搬送波周波数オフセットを推定し、搬送波周波数情報S503−2として出力する。これは、上述した第3の実施形態と同様に、フレーム・シンボルタイミング検出処理において、トレーニングシンボル部における差動復号化処理が同期符号系列の自己相関演算に相当し、結果としてフレーム・シンボルタイミング検出位置における相互相関演算結果の位相成分に搬送波周波数オフセット成分が含まれることを利用している。
【0089】
上述した構成において、受信フィルタ302から出力されたオーバーサンプリングされた受信バースト信号S302は、トレーニングシンボル部サンプル抽出回路701に入力され、トレーニングシンボル区間に相当するサンプル系列S701が入力サンプル毎に出力される。受信トレーニングシンボル部サンプル系列S701は、1×Nsサンプル遅延回路702−1〜K×Nsサンプル遅延回路702−Kに入力され、1〜Kシンボル時間に相当するサンプル遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S702−1〜S702−Kが出力される。時間遅延処理前の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S701および1〜Kシンボル時間遅延後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S702−1〜S702−Kは、複素共役乗算回路703−1〜703−Kに入力されることによって差動復号化される。1〜Kシンボル時間差動復号化後の受信トレーニングシンボル部サンプル系列S703−1〜S703−Kは、ダウンサンプリング回路704−1〜704−1Kに入力され、入力サンプル毎に1〜Kシンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S704−1〜S704−Kが出力される。
【0090】
一方、トレーニングシンボル生成回路705では、既知のトレーニングシンボル系列S705が生成される。既知のトレーニングシンボル系列S705は、1〜Kシンボル差動復号化手段706−1〜706−Kに入力され、1〜Kシンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S706−1〜S706−Kが出力される。1〜Kシンボル差動復号化後の受信トレーニングシンボル系列S704−1〜S704−Kおよび1〜Kシンボル差動復号化後の既知のトレーニングシンボル系列S706−1〜S706−Kは、相互相関計算回路707−1〜Kに入力され、両者の相互相関値S707−1〜S707−Kが多値複素演算によって計算される。
【0091】
相互相関値S707−1〜S707−Kは、位相補償回路708に入力され、差動符号化時の遅延時間差によって異なる搬送波周波数オフセットの影響の違いが補償され、位相補償後の相互相関値S708−1〜S708−Kが出力される。位相補償後の相互相関値S708−1〜S708−Kは、和算回路709に入力され、和算後の相互相関値S709が出力される。和算後の相互相関値S709は、受信バースト信号の入力サンプル毎に相関ピーク検出回路710に入力され、相関値が最大となるサンプル位置がフレーム・シンボル位置として検出され、フレーム・シンボルタイミング位置情報S503−1として出力される。さらに、搬送波周波数推定回路711において、フレーム・シンボルタイミング位置S503−1に対応する相互相関値S707−1〜S707−Kの位相成分を用いて搬送波周波数オフセットを推定し、搬送波周波数情報S503−2として出力することもできる。
【0092】
上述した本第4の実施形態によれば、オーバーサンプリングされた受信バースト信号に対してスライディング相互相関演算を行うことにより、フレーム位置およびシンボルタイミング位置を共通のピーク位置として同時に検出することが可能である。
【0093】
また、本第4の実施形態によれば、同期用トレーニングシンボル系列の差動復号化(遅延検波)を行うことによって、搬送波周波数同期前の搬送波周波数オフセットを相殺することができるため、送受信装置間の局所発振器誤差の影響による相互相関ピーク検出精度の劣化を低減することができる。
【0094】
また、本第4の実施形態によれば、トレーニングシンボルの隣接シンボルに相当するサンプル間隔で複素共役演算を行う(差動復号化する)だけでなく、複数シンボルに相当するサンプル間隔でも複素共役演算(差動復号化する)ことによって、トレーニングシンボル系列長を長くするのと等価な効果を得ることができる。すなわち、同じトレーニングシンボル長でもフレーム同期およびシンボルタイミング同期精度が向上することから、伝送効率を劣化させずに対雑音同期特性を向上させることが可能となる。あるいは、対雑音同期特性を維持したまま、トレーニングシンボル長の短縮が可能となり、伝送効率を向上させることができる。
【0095】
また、本第4の実施形態によれば、トレーニングシンボル部における差動復号化処理は、同期符号系列の自己相関演算に相当する。したがって、nシンボルの差動復号化を前段で行う相互相関計算回路から出力される相互相関値の位相成分は、nシンボルあたりの送受信装置間の搬送波周波数オフセットを含んでおり、各相互相関計算回路から出力される各相互相関値の位相が揃わない。そこで、位相補償回路において各相互相関値の位相を揃えた後に和算処理を行うことで、搬送波周波数オフセットによる相関ピークの劣化を低減することができる。
【0096】
また、本第4の実施形態によれば、位相補償回路は、例えば、nシンボル差動復号化で得られた各相互相関値に対しては、その位相成分θnを検出した後、−{(n−1)/n}×θnの位相回転を与えることで実施できる。位相回転を施すことによって各相互相関値の位相成分を1/n、すなわち1シンボルあたりの位相回転量に揃えることができる。
【0097】
なお、本第4の実施形態において、トレーニングシンボル系列長をNTRとすると、相互相関計算を行う前段の差動復号化の最大遅延時間K[シンボル]の上限値はNTR−1で与えられる。但し、位相補償回路のθnが±πを超えると、補償可能な引き込み位相範囲を超えて相関ピーク特性が劣化するため、θnが±πを超えない最大のnがKの上限値となる。実際に受信装置に実装するKの値は、さらに受信装置の回路規模、処理遅延、フレームおよびシンボルタイミング同期精度とのトレードオフなどで決定される。
【0098】
E.第3の実施形態および第4の実施形態の実施例
次に、上述した第3の実施形態、および第4の実施形態の実施例について説明する。但し、上述した第3の実施形態は、第4の実施形態においてK=1とした場合と同じである。なお、トレーニングシンボル系列長を変化させた、第1の実施例及び第2の実施例についてフレーム誤検出率を評価している。
【0099】
図6は、本第1の実施例、及び第2の実施例の計算機シミュレーション条件を示す表図である。トレーニングシンボルの変調方式としてBPSK、情報シンボルの変調方式としてBPSKあるいはQPSKを仮定した。また、低CNR領域において良好な無線伝送特性を得るために、畳み込み符号化およびビタビ復号化を用いた誤り訂正を仮定した。伝搬路モデルとしては、白色ガウス雑音環境(Additive White Gaussian Noise:AWGN)を仮定した。
【0100】
図7(a)、(b)は、本第1の実施例、及び第2の実施例で用いたバースト構成を示す概念図である。第1の実施例においては、32シンボルの情報シンボル系列の前後に8シンボルずつ、第1の実施例においては、同じく16シンボルずつのトレーニングシンボル系列を付加した。なお、同期符号系列としては、それぞれ符号長7および符号長15のM系列を使用し、これを差動符号化したものをトレーニングシンボル系列とした。
【0101】
図8は、本第1の実施例及び第2の実施例において、フレーム誤検出率=1%を満足する所要CNR特性を示す図である。図6に示したパラメータ条件で同期検波を用いた場合、情報シンボルパケット誤り率=1%を満たす所要CNR特性が、QPSKにおいて約3dB、BPSKにおいて約0dBである。上述した第3の実施形態を用いたK=1の場合には、第1の実施例および第2の実施例にそれぞれQPSKとBPSKを適用した場合には、フレーム誤検出率とパケット誤り率とが同水準の所要CNR特性となり、無線バースト通信システムの設計としては、トレーニングシンボル長がやや不足している。ここで、上述した第4の実施形態を適用してK≧2とすることによって、所要CNRの余裕を1dB以上確保することが可能となり、トレーニングシンボル長を大きくすることなく、フレーム誤検出率をパケット誤り率よりも十分小さくすることが可能となる。
【0102】
また、第1の実施例と第2の実施例とを比較すると、Kの値が同じ場合、トレーニングシンボル長の違いが、フレーム同期特性にして約2.5dB程度の違いであることが分かる。ここで、第1の実施例のK=3と、第2の実施例のK=1とがほぼ同じ同期特性であることからも、第4の実施形態では、フレーム同期特性を劣化させることなく伝送効率を向上させることが分かる。
【0103】
上述した第1〜第4の実施形態によれば、無線バースト通信においてオーバーヘッドによる伝送効率劣化を低減することができる。また、無線受信装置における信号処理演算量を低減しつつ、フレームおよびシンボルタイミング同期を確立することができる。また、低速無線通信においても、高精度な同期特性を実現するフレームおよびシンボルタイミング同期を確立することができる。また、より短いトレーニングシンボル長で、雑音耐性の高いフレームおよびシンボルタイミング同期を確立することができる。また、フレームおよびシンボルタイミング同期を確立するのと同時に搬送波周波数同期も確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1の実施形態による無線送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本第1の実施形態を用いた場合に生成されるバースト構成を示す概念図である。
【図3】本第2の実施形態による無線受信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本第3の実施形態によるフレーム・シンボルタイミング検出回路503の構成を示すブロック図である。
【図5】本第4の実施形態によるフレーム・シンボルタイミング検出回路503の他の構成例を示すブロック図である。
【図6】本第1の実施例、及び第2の実施例の計算機シミュレーション条件を示す表図である。
【図7】本第1の実施例、及び第2の実施例で用いたバースト構成を示す概念図である。
【図8】本第1の実施例及び第2の実施例において、フレーム誤検出率=1%を満足する所要CNR特性を示す図である。
【図9】従来技術による、Dyanetや、PHSに代表されるシステムのバースト構成を示す概念図である。
【図10】第1の従来システムの受信同期処理を示す機能ブロック図である。
【図11】第2の従来システムのバースト構成を示す概念図である。
【図12】第2の従来システムの受信同期処理示す機能ブロック図である。
【図13】第3の従来方式を用いた無線受信装置の構成を示すブロック図である。
【図14】第3の従来方式を用いた無線受信装置におけるフレーム検出回路305の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0105】
101 シンボル生成回路
102 トレーニングシンボル生成回路
103 多重化回路
104 送信フィルタ
105 D/A変換回路
201 同期符号系列生成回路
202 差動符号化回路
301 A/D変換器
302 受信フィルタ
503 フレーム・シンボルタイミング検出回路
504 フレーム・シンボルタイミング同期回路
505 情報シンボル識別回路
601 トレーニングシンボル部サンプル抽出回路
602 Nsサンプル遅延回路
603 複素共役乗算回路
604 1/Nsダウンサンプリング回路
605 トレーニングシンボル生成回路
606 1シンボル差動復号化回路
607 相互相関計算回路
608 相関ピーク検出回路
701 トレーニングシンボル部サンプル抽出回路
702−1〜702−K 1〜K×Nsサンプル遅延回路
703−1〜703−K 複素共役乗算回路
704−1〜704−K 1/Nsダウンサンプリング回路
705 トレーニングシンボル生成回路
706−1〜706−K 1〜Kシンボル差動復号化回路
707−1〜707−K 相互相関計算回路
708 位相補償回路
709 和算回路
710 相関ピーク検出回路
711 搬送波周波数推定回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動符号化された同期符号系列をトレーニングシンボルとし、該トレーニングシンボルと情報シンボルとから構成された無線バースト信号を受信する無線受信装置において、
前記無線バースト信号に含まれるトレーニングシンボル系列を用いて、オーバーサンプリングされた受信バースト信号系列からフレーム・シンボルタイミングを検出するフレーム・シンボルタイミング検出手段と、
前記フレーム・シンボルタイミング検出手段で検出されたフレーム・シンボルタイミングに基づいて、受信バーストシンボル系列を抽出するフレーム・シンボルタイミング同期手段と、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段で抽出された受信バーストシンボル系列から受信情報シンボル系列を抽出してシンボル識別を行うシンボル識別手段と
を備えることを特徴とする無線受信装置。
【請求項2】
前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、
前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出手段と、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを1シンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力する1シンボル時間遅延手段と、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記1シンボル時間遅延手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列の1シンボル時間差動復号化を行う複素共役乗算手段と、
前記複素共役乗算手段から出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するダウンサンプリング手段と、
既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成手段と、
前記トレーニングシンボル生成手段から出力されるトレーニングシンボル系列の1シンボル時間差動復号化を行う1シンボル時間差動復号化手段と、
前記1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記1シンボル時間差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値を計算し、入力サンプル毎に出力する相互相関計算手段と、
前記相互相関値計算手段から出力された相互相関値から、相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項3】
前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、
前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出手段と、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを、それぞれ1〜Kシンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力するK個の遅延手段と、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記K個の遅延手段から出力された各受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列のそれぞれ1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の複素共役乗算手段と、
前記K個の複素共役乗算手段から出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するK個のダウンサンプリング手段と、
既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成手段と、
前記トレーニングシンボル生成手段から出力されるトレーニングシンボル系列の1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の差動復号化手段と、
前記差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値をそれぞれ計算し、入力サンプル毎に出力するK個の相互相関計算手段と、
前記K個の相互相関値計算手段から出力されたK個の相互相関値に対し、各シンボル遅延時間に対応して位相補償を行う位相補償手段と、
前記位相補償手段から出力されたK個の位相補償後相互相関値の和を計算する和算手段と、
前記和算手段から相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項4】
前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、
さらに搬送波周波数の推定を行い、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、
さらに搬送波周波数同期を行う
ことを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項5】
前記相関ピーク検出手段は、
さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の相互相関値の位相成分から搬送波周波数を推定し、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、
さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする請求項2記載の無線受信装置。
【請求項6】
前記相関ピーク検出手段は、
さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の和算前の相互相関値の一部あるいは全てを用いて、その位相成分から搬送波周波数を推定し、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、
フレーム・シンボルタイミングだけでなく搬送波周波数同期を行うことを特徴とする請求項3記載の無線受信装置。
【請求項7】
差動符号化された同期符号系列をトレーニングシンボルとし、該トレーニングシンボルと情報シンボルとから構成された無線バースト信号を受信する無線受信方法において、
前記無線バースト信号に含まれる既知のトレーニングシンボル系列を用いて、オーバーサンプリングされた受信バースト信号系列からフレーム・シンボルタイミングを検出するフレーム・シンボルタイミング検出ステップと、
前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップで検出されたフレーム・シンボルタイミングに基づいて、受信バーストシンボル系列を抽出するフレーム・シンボルタイミング同期ステップと、
前記フレーム・シンボルタイミング同期ステップで抽出された受信バーストシンボル系列から受信情報シンボル系列を抽出してシンボル識別を行うシンボル識別ステップと
を含むことを特徴とする無線受信方法。
【請求項8】
前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、
前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出ステップと、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを1シンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力する1シンボル時間遅延ステップと、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記1シンボル時間遅延ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列の1シンボル時間差動復号化を行う複素共役乗算ステップと、
前記複素共役乗算ステップにおいて出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するダウンサンプリングステップと、
既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成ステップと、
前記トレーニング抽出ステップにおいて出力されるトレーニングシンボル系列の1シンボル時間差動復号化を行う1シンボル時間差動復号化ステップと、
前記1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記1シンボル時間差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値を計算し、入力サンプル毎に出力する相互相関計算ステップと、
前記相互相関値計算ステップにおいて出力された相互相関値から、相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出ステップと
を含むことを特徴とする請求項7記載の無線受信方法。
【請求項9】
前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、
前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出ステップと、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを、それぞれ1〜Kシンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力するK個の遅延ステップと、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記K個の遅延ステップにおいて出力された各受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列のそれぞれ1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の複素共役乗算ステップと、
前記K個の複素共役乗算ステップにおいて出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するK個のダウンサンプリングステップと、
既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成ステップと、
前記トレーニングシンボル生成ステップにおいて出力されるトレーニングシンボル系列の1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の差動復号化ステップと、
前記差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値をそれぞれ計算し、入力サンプル毎に出力するK個の相互相関計算ステップと、
前記K個の相互相関値計算ステップにおいて出力されたK個の相互相関値に対し、各シンボル遅延時間に対応して位相補償を行う位相補償ステップと、
前記位相補償ステップにおいて出力されたK個の位相補償後相互相関値の和を計算する和算ステップと、
前記和算ステップにおいて相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出ステップと
を含むことを特徴とする請求項7記載の無線受信方法。
【請求項10】
前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、
さらに搬送波周波数の推定を行い、
前記フレーム・シンボルタイミング同期ステップにおいては、
さらに搬送波周波数同期を行う
ことを特徴とする請求項7記載の無線受信方法。
【請求項11】
前記相関ピーク検出手段ステップにおいては、
さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の相互相関値の位相成分から搬送波周波数を推定し、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段ステップにおいては、
さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする請求項8記載の無線受信方法。
【請求項12】
前記相関ピーク検出手段ステップにおいては、
さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の和算前の相互相関値の一部あるいは全てを用いて、その位相成分から搬送波周波数を推定し、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段ステップにおいては、
フレーム・シンボルタイミングだけでなく搬送波周波数同期を行うことを特徴とする請求項9記載の無線受信方法。
【請求項1】
差動符号化された同期符号系列をトレーニングシンボルとし、該トレーニングシンボルと情報シンボルとから構成された無線バースト信号を受信する無線受信装置において、
前記無線バースト信号に含まれるトレーニングシンボル系列を用いて、オーバーサンプリングされた受信バースト信号系列からフレーム・シンボルタイミングを検出するフレーム・シンボルタイミング検出手段と、
前記フレーム・シンボルタイミング検出手段で検出されたフレーム・シンボルタイミングに基づいて、受信バーストシンボル系列を抽出するフレーム・シンボルタイミング同期手段と、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段で抽出された受信バーストシンボル系列から受信情報シンボル系列を抽出してシンボル識別を行うシンボル識別手段と
を備えることを特徴とする無線受信装置。
【請求項2】
前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、
前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出手段と、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを1シンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力する1シンボル時間遅延手段と、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記1シンボル時間遅延手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列の1シンボル時間差動復号化を行う複素共役乗算手段と、
前記複素共役乗算手段から出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するダウンサンプリング手段と、
既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成手段と、
前記トレーニングシンボル生成手段から出力されるトレーニングシンボル系列の1シンボル時間差動復号化を行う1シンボル時間差動復号化手段と、
前記1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記1シンボル時間差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値を計算し、入力サンプル毎に出力する相互相関計算手段と、
前記相互相関値計算手段から出力された相互相関値から、相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項3】
前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、
前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出手段と、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを、それぞれ1〜Kシンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力するK個の遅延手段と、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出手段から出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記K個の遅延手段から出力された各受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列のそれぞれ1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の複素共役乗算手段と、
前記K個の複素共役乗算手段から出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するK個のダウンサンプリング手段と、
既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成手段と、
前記トレーニングシンボル生成手段から出力されるトレーニングシンボル系列の1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の差動復号化手段と、
前記差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値をそれぞれ計算し、入力サンプル毎に出力するK個の相互相関計算手段と、
前記K個の相互相関値計算手段から出力されたK個の相互相関値に対し、各シンボル遅延時間に対応して位相補償を行う位相補償手段と、
前記位相補償手段から出力されたK個の位相補償後相互相関値の和を計算する和算手段と、
前記和算手段から相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項4】
前記フレーム・シンボルタイミング検出手段は、
さらに搬送波周波数の推定を行い、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、
さらに搬送波周波数同期を行う
ことを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項5】
前記相関ピーク検出手段は、
さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の相互相関値の位相成分から搬送波周波数を推定し、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、
さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする請求項2記載の無線受信装置。
【請求項6】
前記相関ピーク検出手段は、
さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の和算前の相互相関値の一部あるいは全てを用いて、その位相成分から搬送波周波数を推定し、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段は、
フレーム・シンボルタイミングだけでなく搬送波周波数同期を行うことを特徴とする請求項3記載の無線受信装置。
【請求項7】
差動符号化された同期符号系列をトレーニングシンボルとし、該トレーニングシンボルと情報シンボルとから構成された無線バースト信号を受信する無線受信方法において、
前記無線バースト信号に含まれる既知のトレーニングシンボル系列を用いて、オーバーサンプリングされた受信バースト信号系列からフレーム・シンボルタイミングを検出するフレーム・シンボルタイミング検出ステップと、
前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップで検出されたフレーム・シンボルタイミングに基づいて、受信バーストシンボル系列を抽出するフレーム・シンボルタイミング同期ステップと、
前記フレーム・シンボルタイミング同期ステップで抽出された受信バーストシンボル系列から受信情報シンボル系列を抽出してシンボル識別を行うシンボル識別ステップと
を含むことを特徴とする無線受信方法。
【請求項8】
前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、
前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出ステップと、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを1シンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力する1シンボル時間遅延ステップと、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記1シンボル時間遅延ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列の1シンボル時間差動復号化を行う複素共役乗算ステップと、
前記複素共役乗算ステップにおいて出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するダウンサンプリングステップと、
既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成ステップと、
前記トレーニング抽出ステップにおいて出力されるトレーニングシンボル系列の1シンボル時間差動復号化を行う1シンボル時間差動復号化ステップと、
前記1シンボル時間差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記1シンボル時間差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値を計算し、入力サンプル毎に出力する相互相関計算ステップと、
前記相互相関値計算ステップにおいて出力された相互相関値から、相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出ステップと
を含むことを特徴とする請求項7記載の無線受信方法。
【請求項9】
前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、
前記トレーニングシンボル区間に相当する受信信号サンプルを入力サンプル毎に出力するトレーニングシンボル部サンプル抽出ステップと、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプルを、それぞれ1〜Kシンボル時間相当のサンプル時間遅延させて出力するK個の遅延ステップと、
前記トレーニングシンボル部サンプル抽出ステップにおいて出力された受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列と、前記K個の遅延ステップにおいて出力された各受信トレーニングシンボル部信号サンプル系列との複素共役乗算を行い、受信トレーニングシンボル部サンプル系列のそれぞれ1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の複素共役乗算ステップと、
前記K個の複素共役乗算ステップにおいて出力されたトレーニングシンボル部信号サンプルのダウンサンプリングを行い、差動復号化された受信トレーニングシンボル系列を抽出するK個のダウンサンプリングステップと、
既知のトレーニングシンボル系列を生成するトレーニングシンボル生成ステップと、
前記トレーニングシンボル生成ステップにおいて出力されるトレーニングシンボル系列の1〜Kシンボル時間差動復号化を行うK個の差動復号化ステップと、
前記差動復号化された受信トレーニングシンボル系列と、前記差動復号化された既知のトレーニングシンボル系列との相互相関値をそれぞれ計算し、入力サンプル毎に出力するK個の相互相関計算ステップと、
前記K個の相互相関値計算ステップにおいて出力されたK個の相互相関値に対し、各シンボル遅延時間に対応して位相補償を行う位相補償ステップと、
前記位相補償ステップにおいて出力されたK個の位相補償後相互相関値の和を計算する和算ステップと、
前記和算ステップにおいて相関値が最大となるサンプル位置をフレーム・シンボルタイミング位置として検出する相関ピーク検出ステップと
を含むことを特徴とする請求項7記載の無線受信方法。
【請求項10】
前記フレーム・シンボルタイミング検出ステップにおいては、
さらに搬送波周波数の推定を行い、
前記フレーム・シンボルタイミング同期ステップにおいては、
さらに搬送波周波数同期を行う
ことを特徴とする請求項7記載の無線受信方法。
【請求項11】
前記相関ピーク検出手段ステップにおいては、
さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の相互相関値の位相成分から搬送波周波数を推定し、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段ステップにおいては、
さらに搬送波周波数同期を行うことを特徴とする請求項8記載の無線受信方法。
【請求項12】
前記相関ピーク検出手段ステップにおいては、
さらに前記フレーム・シンボルタイミング位置の和算前の相互相関値の一部あるいは全てを用いて、その位相成分から搬送波周波数を推定し、
前記フレーム・シンボルタイミング同期手段ステップにおいては、
フレーム・シンボルタイミングだけでなく搬送波周波数同期を行うことを特徴とする請求項9記載の無線受信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−177341(P2009−177341A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11826(P2008−11826)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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