説明

無線周波数回路及びモジュラー送信又は受信システム用の自動インピーダンス整合方法

【課題】無線周波数回路及びモジュラー送信又は受信システム用の自動インピーダンス整合方法を提供する。
【解決手段】インピーダンス整合段階において、整合計算モジュール(M−C)は、取り外し可能なやり方で増幅モジュール(M−P)と、アンテナANTを含むアンテナモジュール(M−A)、整合インピーダンス回路網MN、及び回路網の制御データを記憶するための記憶手段MEMとの間に接続される。次に整合計算が行なわれ、整合計算モジュール(M−C)は回路網の制御データを記憶手段MEMに供給する。本システムを使用する段階において、整合計算モジュール(M−C)は取り除かれ、アンテナモジュール(M−A)は取り外し可能なやり方で増幅モジュール(M−P)に直接接続され、整合インピーダンス回路網MNは所望のインピーダンス整合に対応する、記憶された制御データによって制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数アンテナ用の自動インピーダンス整合回路の製作に関する。
【背景技術】
【0002】
一定の無線周波数データ送信用途において、送信又は受信アンテナは、アンテナ外部の条件に大きく依存し、とりわけアンテナが設置されている環境に依存するインピーダンスを有し得ることが観察されている。
【0003】
例えば、医療用遠隔測定法において、アンテナは人体内に置かれたゾンデの中に挿入され、次にインピーダンスは、アンテナがそこに位置する生物学的環境に大きく依存することが起こり得る。それはアンテナがその中に沈められ得る、周囲組織(筋肉、脂肪)又は液体環境(血液、他の液体)の電気特性(導電率、誘電率)に依存する。
【0004】
より従来型の無線周波数送信用途(携帯電話技術等)においてさえも、アンテナのインピーダンスはユーザーの位置する環境に応じて変化し得る。
【0005】
送信(又はそれぞれ受信)システムは少なくとも1つの増幅器を備え、1つ以上のフィルター及び(送信システム用の増幅器の出力における、及び受信システム用の増幅器の入力における)アンテナがそれに関連し得る。
【0006】
一般的に、アンテナのインピーダンス変動は、極端な小型化の制約を有する用途において使用される、高い品質係数を持つ非常に小さいアンテナに対して特に敏感である。
【0007】
これらのインピーダンス変動は、ミスマッチ損失と呼ばれる損失を生じ得る。これらの損失は、アンテナに供給する送信システム又はアンテナから信号を受ける受信システムが、(送信システムの出力において、又は受信システムの入力において)それが明確に定義された公称インピーダンスによってローディングされるとき、一般に最適な性能を持つように設計されるという事実から生じる。その公称値と異なるインピーダンスによりローディングされるとき、それは低下した性能を有する。ミスマッチ損失は40dBにもなり得る。
【0008】
それが、増幅器の出力と送信アンテナとの間に(そしてこれはまた受信アンテナ用の入力に対しても行われ得る)インピーダンス整合回路網を置くことが既に試みられている理由であり、それは増幅器がアンテナのものと異なり、望ましくはそれに対して設計された公称値、例えば100Ω又は500Ωに等しいインピーダンスを体験することを意味する。その整合回路網は調整されることができ、すなわち周囲状況がどうであれ、整合が出来る限り最良になるようにアンテナの環境条件を考慮に入れるため、その容量性素子及び/又は誘導素子は可変値を有する。
【0009】
米国特許出願公開第2009−0066440号明細書において、送信システムの出力における(又は受信システムの入力における)、電流及び電圧の振幅と位相の双方が検出される、送信又は受信システムにおける自動インピーダンス整合方法が提案された。電圧と電流の間の比率は、整合回路網及びインピーダンスZantのアンテナで形成されるアセンブリによってローディングされるシステムにより見られる、負荷インピーダンスZmを表わす。負荷インピーダンスZmが測定され、アンテナのインピーダンスZantは、測定された負荷インピーダンスZm及び、測定時の構成が既知である整合回路網のインピーダンスから計算され、最後にアンテナの実環境条件において、増幅器の公称インピーダンスに整合している増幅器によって体験されるインピーダンスを生じるために、整合回路網の1つ以上のインピーダンスに加えられなければならない変更が計算される。
【0010】
この整合方法は旧式の方法と比較して、反復計算無しで整合を可能にするという相当な利点を有する。整合を実施するためには1回の測定で十分である。しかしながら、それは多くの回路と計算手段を必要とする。この回路とこれらの計算手段は高価でスペースを要することが判明し、一方で一定数の用途においては、それらを1回又は数回を超えて使う必要がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、そのような整合動作を低頻度で必要とする、送信及び受信システムにおける自動インピーダンス整合方法の、工業実装の費用を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、次のステップ:
―増幅器を含むシステムの第一のモジュールを、インピーダンス整合計算手段を含む第二のモジュールに、取り外し可能なやり方で接続するステップと、
―第二のモジュールが第一のモジュールに接続され、第三のモジュールがアンテナ、整合インピーダンス回路網、及びインピーダンス回路網の制御データを記憶するための記憶手段を含む一方で、第三のモジュールを第二のモジュールに、取り外し可能なやり方で接続するステップと、
―第二のモジュールが従って第一と第三のモジュールとの間に取り外し可能なやり方で接続される一方で、第二のモジュールにおいて整合計算を実施し、そして第二のモジュールによって、この計算から生じる整合回路用の制御データを第三のモジュールに供給するステップと、
―制御データを第三のモジュールの記憶手段に記憶するステップと、
―第二のモジュールを取り除き、そして整合回路網を通じて増幅器をアンテナに接続するような方法で、第三のモジュールを第一のモジュールに取り外し可能なやり方で接続し、次に整合回路網が記憶された制御データによって制御されるステップと
を含む、送信又は受信システム用のインピーダンス整合方法が提案されている。
【0013】
従って、送信又は受信システムは通常、第三のモジュールに直接接続された第一のモジュールを用いて動作する。第二のモジュールが第一と第三のモジュール間に置かれるのは、局部的なインピーダンス整合動作に対してだけである。要望されるインピーダンス整合を行うことが必要なとき、単一の第二のモジュールが数十又は数百の第一及び第三のモジュールに対して順々に使用されることができ、本システムは整合の調整動作の間を除いて、2つだけのモジュールを含む。
【0014】
この方法を実施するため、本発明は少なくとも1つの増幅器、アンテナ、及び増幅器とアンテナ間に配置された整合インピーダンス回路網を備える無線周波数送信又は受信システムを提案し、このシステムは、それが増幅モジュール及びアンテナモジュールを備え、増幅モジュールが増幅器及び、アンテナモジュールへの取り外し可能な接続用の少なくとも1つの第一のコネクターを含み、アンテナモジュールがアンテナ、整合インピーダンス回路網、増幅モジュールからアンテナモジュールに無線周波数信号を送信するための、増幅モジュールの第一のコネクターと協働する少なくとも1つの第一のコネクター、回路網のインピーダンスに所望される値を与えるために、そのインピーダンスの制御を可能にする制御データの恒久的な記憶用の記憶手段、及び記憶されるべき制御データを外部から受信するために、アンテナモジュールと外部との取り外し可能な接続を可能にする、少なくとも1つの第二のコネクターを含むことを特徴とする。
【0015】
増幅モジュールはまた、取り外し可能なやり方で、増幅モジュールによるアンテナモジュールへの給電用の、アンテナモジュールのコネクターに接続された(望ましくは別のコネクターで、例外的に同じコネクターである)コネクターを備える。これはアンテナモジュールが、その動作のために給電を必要とする場合にのみ当てはまる。この点には後で戻るであろう。
【0016】
インピーダンス整合動作の間、このシステム構成は増幅モジュールとアンテナモジュールとの間に、インピーダンス整合計算モジュールを挿入することにより変更される。このために、インピーダンス整合計算モジュールは:
―増幅モジュールから計算モジュールへの無線周波数信号の送信用の、増幅モジュールの第一のコネクターに取り外し可能なやり方で接続された第一のコネクターと、
―計算モジュールからアンテナモジュールへの無線周波数信号の送信用の、アンテナモジュールの第一のコネクターに取り外し可能なやり方で接続された第二のコネクターと、
―アンテナモジュールの第二のコネクターに、取り外し可能なやり方で接続された第三のコネクターと、
―アンテナのインピーダンスに応じて、及び計算モジュールの第三のコネクターとアンテナモジュールの第二のコネクターとを通じて、対応する制御データを記憶手段に供給するための、整合インピーダンス値を計算する手段と
を備える。
【0017】
増幅モジュールはまた、計算モジュールへ給電を提供するための、計算モジュールのコネクターへの取り外し可能な接続用の(望ましくは第二のコネクターで、例外的に同じコネクターである)コネクターを備える。望ましくは、それはまたアンテナモジュールへ給電を提供するための、アンテナモジュールのコネクターへの取り外し可能な接続用のコネクターを備える。アンテナモジュール自体への給電用のコネクターは、増幅モジュールによるアンテナモジュールの直接的な給電のため、増幅モジュールの対応するコネクターに直接接続可能であることが望ましい。
【0018】
その結果として、アンテナモジュールの第一のコネクターは、計算モジュールの第一のコネクターと同一であることが望ましい。同様に、増幅モジュールの第一のコネクターは、計算モジュールの第二のコネクターと同一であることが望ましい。
【0019】
計算されたデータの記憶は、そのデータの保存及び使用のために何らエネルギー源を必要としない、磁気作動及び磁気保持スイッチによって行われ得る。それはまたヒューズ(しかし一度だけ使用可)により、あるいは電気的消去・プログラム可能型読取専用メモリ(EEPROM)によって行われ得る。この後者の場合、第三のモジュールはメモリ内の情報がそこから引き出され、整合回路網への制御データとして適用され得るために、電源を持つ必要がある。この電源は、それが直接第三のモジュールに接続されるとき、第一のモジュールによって用意され得るが、しかし第三のモジュールが自立した電源、電池もしくは蓄電池を備えることも又なされ得る。
【0020】
整合回路網は、T又はπ構成の3つの無効インピーダンス、例えば1つのコンデンサー及び2つのインダクタンス、又はさらに好ましくは、1つのインダクタンス及び2つのコンデンサーを有する、単純な回路によって構成され得る。これらのインピーダンスの少なくとも1つは可変であるが、しかし実際にはインピーダンスのうち2つが可変であろう。可変インダクタンスよりも可変コンデンサーを作る方が容易なことを考慮すると、望ましくは、2つの可変コンデンサー及び1つの固定インダクタンスが使用されるであろう。可変インピーダンスは、望ましくは直列及び/又は並列で、電子制御によって個々に切り替え可能な、幾つかの要素インピーダンスの形で作られる。
【0021】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図に関連して与えられている、以下の詳細記述を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】自動インピーダンス整合手段を含む無線周波数送信回路の一般的構成を示す。
【図2】本発明による無線周波数送信システムのモジュールを示す。
【図3】その構成において自動インピーダンス整合を可能にする、本発明による送信システムを示す。
【図4】アンテナモジュールのインピーダンスが、前もって増幅器のインピーダンスと整合している、正常な動作構成における、本発明による送信システムを示す。
【図5】整合インピーダンス回路網の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の詳細な記述において、アンテナは増幅器の出力により供給される送信アンテナであることが、システム的に考えられるであろう。増幅器は、その出力に置かれる負荷が公称インピーダンスZoptであるとき、及び動作周波数が角周波数ω=2π.fに対応するfであるとき、最適なやり方で動作するように設計される。高い周波数において、インピーダンスZoptは一般に複素であろう。増幅器の入力に接続されたインピーダンスが公称インピーダンスZoptであり、動作周波数がfであるとき、アンテナが、最適なやり方で動作するように設計された、増幅器の入力に接続されている受信アンテナの場合、本発明は同じように適用可能である。
【0024】
図1は送信搬送波周波数fで動作する増幅器AMP、増幅器により供給されるアンテナANT、増幅器AMPの出力とアンテナANTとの間に直列に挿入された整合回路網MNを有する、無線周波数送信回路のブロック線図を示す。この線図はまた増幅器AMPと回路網MNとの間のフィルター、及び/又は回路網MNとアンテナとの間のフィルターを含み得る。
【0025】
整合回路網MNは、増幅器の負荷インピーダンスが増幅器の最適インピーダンスZoptに等しいか、この最適インピーダンスにできる限り近いように、その機能が作用することである自動インピーダンス整合回路内に含まれる。増幅器の負荷は、それ自体がアンテナANTによって信号を取り込まれる、回路網MNによって基本的に構成される。
【0026】
回路網MNに加えて、整合回路は:
―増幅器の出力と整合回路網MNとの間に直列に置かれる測定インピーダンスであって、それが増幅器から出力される電流iの測定用に使われ、このインピーダンスが望ましくはインピーダンス1/j.C.ωの単純なコンデンサーCであり、その端子を横切る電圧がv=i/j.C.ω、電流がi=j.v.C.ωである測定インピーダンスと、
―測定インピーダンスの端子を横切る電圧v、及び増幅器の出力における(又はアンテナにより信号を取り込まれる整合回路網の入力における)電圧Vを複素数値として、すなわちこれらの電圧間の位相差の値を含めて測定するための回路CMと、
―増幅器の出力インピーダンスとその出力に加えられる負荷のインピーダンスとの間の整合を達成するため、どのようなインピーダンス値が、整合回路網MNのインピーダンスに与えられるべきかを、これらの複素数値v及びVから数学的に計算することを可能にする、計算手段DSPと
を備える。
【0027】
計算手段DSPは、直接又は論理制御回路を介して、図示されておらず、回路網MNの一部分であり、その回路網の各インピーダンスに対して所望のインピーダンス値を確立する、スイッチ用の制御信号を供給する。
【0028】
米国特許出願公開第2009−0066440号明細書は、整合回路が動作する方法を記述している。要約すると、計算手段DSPは増幅器の実負荷のインピーダンスZm=V/iの係数及び偏角を電圧V及び電流iから計算し、後者は電圧Vから得られる。そこから、それらはベクトル・インピーダンスZmの実数部及び虚数部を計算する。これらの値、及び整合回路網MNを構成する様々なインピーダンスZ1、Z2等の既知の実インピーダンス値から、それらはアンテナの有効インピーダンスZantを計算する。それらは、増幅器の負荷インピーダンスの所望の値Zoptから、及び計算されたアンテナのインピーダンスZantから、整合回路網MNの1つ以上の変更されたインピーダンス値Z’1、Z’2を計算し、最後にそれらは、その回路網のインピーダンスZ1、Z2等に対し、こうして計算された変更値Z’1、Z’2を与えるための適切な制御信号を、回路網MNに供給する。送信及び受信システムは、整合回路網のインピーダンスがこれらの計算値Z’1、Z’2等をとる時、整合状態となる。
【実施例】
【0029】
本発明によれば、取り外し可能なやり方で共に接続され得る3つのモジュールを用いて、2つの可能な構成に従って送信(又は受信)システムを構成する備えがなされる。これらのモジュールは、それぞれ(場合に応じて送信増幅器又は受信増幅器を含む)増幅モジュール、整合計算モジュール、及びアンテナと整合インピーダンス回路網を備えるアンテナモジュールである。これらのモジュールは、取り外し可能なやり方で増幅モジュールをアンテナモジュールに:
―インピーダンス整合動作中に、アンテナモジュールと増幅モジュールとの間に整合計算モジュールの介在を伴って、
―又は整合動作後に、直接的に
接続可能にする、コネクターを備える。
【0030】
この記述において言及されているコネクター及び接続は、直接的電気接触コネクター及び接続である。
【0031】
図2は、この場合は送信システムである、このシステムの3つの可能なモジュールを示す。本モジュールは受信システムに対して同じであろうが、しかし増幅モジュールは増幅器の出力側ではなく、入力側にある別のモジュールに接続されるであろう。
【0032】
増幅モジュールM−Pは、アンテナから送信することが望まれる無線周波数信号を生成する回路と、とりわけモジュールの出力において、無線周波数で動作する電力増幅器とを含む。モジュールの出力増幅器のみが図示されている。
【0033】
アンテナモジュールM−Aは、アンテナANTだけでなく、メモリ素子MEMと関連する電気的に制御可能な整合インピーダンス回路網MNもまた備える。メモリ素子は、インピーダンスの回路網の制御データ、すなわち、それらが回路網MNに適用されるとき、明確に定義された値(整合計算段階において、整合計算モジュールにより決定された値)を回路網のインピーダンスに対して課するデータを記憶する。
【0034】
整合回路網MNは論理信号により制御可能なインピーダンスを含み、メモリ素子は論理信号メモリであることが望ましい。例えば、メモリは回路網MNの部分を形成する制御スイッチのために使用される2進情報を記憶し、これらのスイッチは、それらが関連するインピーダンス素子の値に対して作用する。例えば、スイッチは並列のコンデンサーのグループの値を変更するため、或る容量性素子を他の容量性素子に並列に接続する。
【0035】
メモリMEMは最終情報を記憶する永久メモリ、又は再プログラム可能なメモリであり得る。それは第一の場合、例えばヒューズにより構成され得る。第二の場合、それはEEPROMメモリであり得るが、この場合そのプログラミング中及びそれが読み取られている間の双方において、このメモリ用の電源を用意する必要がある。メモリはまた磁気的に動作し、磁気的に保持される素子(スイッチ)のグループによっても構成されることができ、この場合、システムの整合計算段階の間も、動作段階の間のいずれも、その使用に対して電源を用意する必要はない。
【0036】
整合計算モジュールM−Cは、インピーダンス整合を達成するために回路網MNに与えられるべき、インピーダンス値の計算に必要な素子を含む。それは従って、計算が上述のように行われる場合、測定インピーダンスCと、測定インピーダンスの端子を横切る電圧及び、増幅器の出力における(又はアンテナモジュールの入力における)電圧を測定し、それらをデジタル値に変換する測定回路CMと、そして計算を実行し、その計算値を回路網のインピーダンスに与えるためのメモリ素子MEM用の制御信号を生み出す、デジタルプロセッサDSPとを基本的に備える。
【0037】
増幅モジュールM−Pは、整合計算モジュールM−Cに接続されるよう意図されている2つのコネクターK1P及びK2Pを含む。整合計算モジュールM−Cは、それゆえ
探求されている接続を確立するために、コネクターK1P及びK2Pとそれぞれ協働する2つの対応するコネクターK1C及びK2Cを含む。
【0038】
図中において点線の円内の数字は、各モジュールのコネクターの番号を表わし、或るモジュールの第一のコネクターは番号1、第二のコネクターは番号2を持つ、等である。
【0039】
コネクターK1P及びK1Cは無線周波数コネクター、例えば同軸コネクターである。
【0040】
コネクターK2P、K2Cは、増幅モジュールM−Pから整合計算モジュールM−Cに、後者の動作用に必要な電気エネルギー(例えば約3V、5V、又は12Vの直流供給電圧)を送ることを目的とする給電コネクターである。
【0041】
モジュールM−Cはまた、アンテナモジュールM−Aとの接続用の少なくとも2つのコネクターK’1C及びK’2Cを備える。アンテナモジュールM−Aはそれゆえ、モジュールM−CとM−Aとの間の接続を確立するため、コネクターK’1C及びK’2Cと協働する2つの対応するコネクターK1A及びK2Aを含む。さらに、コネクターK1A及びK2Aは整合計算モジュールが取り除かれたとき、図4に示すように、増幅モジュールとアンテナモジュールとの間に直接的接続を確立するため、コネクターK1P及びK2Pと直接協働することができる。コネクターK’1C及びK1Aはそれゆえ無線周波数コネクター、例えば同軸コネクターである。コネクターK’2C及びK2Aは給電コネクターである。
【0042】
実際には、コネクターK’1CはコネクターK1Pと同一であり、それは双方ともコネクターK1Aに適合しなければならないからである。そして同様に、コネクターK’2CはコネクターK2Pと同一であり、それは双方ともコネクターK2Aに適合出来なければならないからである。
【0043】
しかしながら給電コネクターK’2C及びK2Aはオプションである。それらはアンテナモジュールが動作するために外部電源を必要とする場合、そして特にメモリ素子MEMが記憶されたデータを整合回路網に供給するために電源を必要とするが、自立的な電源を持たない場合に存在する。しかしながら、メモリ素子MEMが自立的な電源(電池もしくは蓄電池)を持つ場合、又はそれが書き込み或いは読み取りにおいて動作するための電源を必要としない場合、コネクターK’2C及びK2Aは必要でない。
【0044】
最後に、整合計算モジュールは、メモリ素子MEM内に記憶されるべき制御データの送信用コネクターK’3Cを備える。本コネクターは望ましくは論理信号を送信するために設計されたコネクターであり、整合インピーダンス回路網のための制御データは、望ましくは2進法の形で送信される。コネクターK’3Cは並列において論理信号の送信用多極コネクター、又はデータ信号が直列に送信される場合は単極コネクターであり得る。
【0045】
アンテナモジュールM−Aは、コネクターK’3Cにより送信される信号を受信するため、及びそれらをメモリ素子MEMに送信するために、コネクターK’3Cと協働する多極又は単極コネクターK3Aを含む。
【0046】
3つのモジュールに対して共通大地電位を確立することを可能にする接地接続は、図2には明確に示されていない。この接続は一般に給電コネクター又は同軸コネクター、あるいは論理信号コネクターの一部分である。
【0047】
さらに、この説明全体にわたり給電コネクターと無線周波数信号コネクターとの間に図中で区別がなされているが、しかし或る場合には、同じコネクターが無線周波数信号と、無線周波数信号に重ねられたDC電源電圧の双方を送信するため、これらのコネクターは統合されることが生じ得る。これ以降、説明を簡単にするため、図2に示すように無線周波数コネクターは給電コネクターから分離されることを想定する。
【0048】
図3は、インピーダンス整合計算を行うことが望まれるときに用いられる3モジュールの構成における、本発明による送信システムを示す。
【0049】
増幅モジュールのコネクターK1P及びK2Pは、計算モジュールのコネクターK1C及びK2Cと係合している。計算モジュールのコネクターK’1C、K’2C(後者が存在する場合)、K’3Cは、アンテナモジュールのコネクターK1A、K2A(後者が存在する場合)、K3Aと係合している。
【0050】
測定回路CMは、測定コンデンサーCの端子における電位(それらは位相差を考慮すると複素である)を測定し、それらをデジタル形式に変換する。測定された信号の周波数は、システムの正常動作周波数、又は特別にインピーダンス計算専用の周波数であり得る。双方の場合において、測定回路は動作周波数よりも低い周波数における測定を可能にする、周波数変更回路を備え得る。
【0051】
収集されたデジタル値は、増幅器AMPに接続された負荷のインピーダンスZmの計算を可能にする。この負荷は、アンテナモジュールのインピーダンスと直列の測定インピーダンス(コンデンサーC)により構成され、アンテナモジュールのインピーダンスは、アンテナによって信号を取り込まれる整合回路網によって形成されるアセンブリのインピーダンスである。
【0052】
整合回路網の実インピーダンスが分ると、複素インピーダンスZmに基づいて、アンテナのインピーダンスZantの実数部及び虚数部が計算され得る。整合回路網の実インピーダンスは、メモリ素子内に記憶されている制御データと1対1で関連付けられる。これらのデータは計算プロセッサDSPによりメモリに置かれ、従ってプロセッサによって知られている。例えば、計算は所定の初期制御データをメモリに置くことで始まると想像され得る。
【0053】
アンテナの実インピーダンスZantが分ると、回路網MN及び直列のアンテナANTのアセンブリが、増幅器に対する負荷として最適な全体インピーダンスZoptを持つように、整合回路網MN内に置かれなければならないインピーダンスを計算することが可能である。この最適インピーダンスが何であるかを決定するのは、増幅器の構造である。その計算は、測定コンデンサーCのインピーダンスを考慮に入れる。プロセッサDSPは必要なインピーダンス値を計算し、それらをコネクターK’3C上において制御データの形(望ましくは2進数)でそれらを送信する。これらのデータはメモリ素子MEM内に永久メモリとして置かれ、その結果として整合回路網のインピーダンスを変更する。
【0054】
一旦このインピーダンスの決定が完了し、その結果がアンテナモジュール内に記憶されると、計算モジュールM−Cは除去することができる。
【0055】
送信システムは次に、図4に示されるその正常な動作構成をとる。アンテナモジュールM−Aは、無線周波数コネクターK1A及びK1Pを通じて直接、増幅モジュールM−Pに接続されている。
【0056】
コネクターK2P及びK2Aもまた、それらが存在するときは、整合回路網MNを制御するためにメモリ素子が給電を必要とする場合に係合している。
【0057】
このシステム構成において、コネクターK3Aは増幅モジュールのコネクターに接続されていない。
【0058】
アンテナによって信号を取り込まれる回路網MNのインピーダンスは、メモリ素子MEM内に記憶されたデータが、その結果を達成する値を回路網のインピーダンスに対して課するため、最適値Zoptを有する。
【0059】
オプションの給電コネクターK’2C及びK2Aは、コネクターK’3C及びK3A内に組み込まれた、特定の給電(及び接地)ピン端子であり得ることに注意されたい。
【0060】
図5はEEPROMメモリにより制御され得る、整合インピーダンス回路網の一例を示す。この回路網は、並列の2つのコンデンサーCp1とCp2の間で直列に1つのインダクタンスLを有する、πネットワークである。コンデンサーCp1は、メモリ素子の制御下で個々に接続又は接続解除され得る、並列の幾つかのコンデンサーCp11,Cp12-----,Cp1nにより構成される。トランジスターT11〜T1nにより、それぞれ構成されるスイッチは、各コンデンサーと直列に置かれる。コンデンサーCp1は所定の時間に接続されるコンデンサーに応じて、可能な値のグループをとることができる。個々のコンデンサーは各々、n個のコンデンサーで容易に2の値を得るために、それぞれの2進数の重みに対応し得る。コンデンサーCp2はCp1と同じように構成される。
【符号の説明】
【0061】
AMP 増幅器
f 送信搬送波周波数
opt 最適インピーダンス
測定コンデンサー
V 電圧
電圧
MN 整合インピーダンス回路網
ANT アンテナ
CM 測定回路
DSP 計算手段
MEM 記憶手段
M−P 増幅モジュール
M−C 整合計算モジュール
M−A アンテナモジュール
1P 無線周波数コネクター
2P 給電コネクター
1C 無線周波数コネクター
2C 給電コネクター
1A 無線周波数コネクター
2A 給電コネクター
3A アンテナモジュールの第二のコネクター
K’1C 無線周波数コネクター
K’2C 給電コネクター
K’3C 制御データの送信用コネクター
p1 コンデンサー
p11 コンデンサー
p12 コンデンサー
p1n コンデンサー
p2 コンデンサー
インダクタンス
11 トランジスター
1n トランジスター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信又は受信システム用のインピーダンス整合方法であって、次のステップ:
―増幅器(AMP)を含む第一のモジュール(M−P)を、インピーダンス整合計算手段を含む第二のモジュール(M−C)に、取り外し可能なやり方で接続するステップと、
―前記第二のモジュールが前記第一のモジュールに接続され、第三のモジュール(M−A)がアンテナ(ANT)、整合インピーダンス回路網(MN)、及びインピーダンス回路網の制御データを記憶するための記憶手段(MEM)を含む一方で、前記第三のモジュールを前記第二のモジュールに、取り外し可能なやり方で接続するステップと、
―第二のモジュールが従って前記第一と第三のモジュールとの間に取り外し可能なやり方で接続される一方で、前記第二のモジュールにおいて整合計算を実施し、そして前記第二のモジュールによって、この計算から生じる前記整合インピーダンス回路網用の制御データを前記第三のモジュールに供給するステップと、
―前記制御データを前記第三のモジュールの記憶手段に記憶するステップと、
―前記第二のモジュールを取り除き、そして前記整合インピーダンス回路網を通じて前記増幅器を前記アンテナに接続するような方法で、前記第三のモジュールを前記第一のモジュールに取り外し可能なやり方で接続し、前記整合インピーダンス回路網が記憶された前記制御データによって制御されるステップと
を含む、インピーダンス整合方法。
【請求項2】
少なくとも1つの増幅器(AMP)、アンテナ(ANT)、及び前記増幅器と前記アンテナ間に配置された整合インピーダンス回路網(MN)を備える無線周波数送信又は受信システムであって、このシステムは、それが増幅モジュール(M−P)及びアンテナモジュールを備え、前記増幅モジュールが前記増幅器及び、前記アンテナモジュール(M−A)への取り外し可能な接続用の少なくとも1つの第一のコネクター(K1P)を含み、前記アンテナモジュールが前記アンテナ、前記整合インピーダンス回路網、前記増幅モジュールから前記アンテナモジュールに無線周波数信号を送信するための、前記増幅モジュールの前記第一のコネクターと協働する少なくとも1つの第一のコネクター(K1A)、回路網のインピーダンスに所望される値を与えるために、前記回路網のインピーダンスの制御を可能にする制御データの恒久的な記憶用の記憶手段(MEM)、及び記憶されるべき制御データを外部から受信するために、前記アンテナモジュールと外部との取り外し可能な接続を可能にする、少なくとも1つの第二のコネクター(K3A)を含むことを特徴とする、無線周波数送信又は受信システム。
【請求項3】
前記増幅モジュールが、前記アンテナモジュールへの前記増幅モジュールによる給電用の前記アンテナモジュールのコネクター(K2A)に、取り外し可能なやり方で接続されるコネクター(K2P)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の送信システム。
【請求項4】
無線周波数送信又は受信システムであって、それがさらに、前記増幅モジュールと前記アンテナモジュールとの間に置かれたインピーダンス整合計算モジュール(M−C)を含み、前記インピーダンス整合計算モジュールが:
―前記増幅モジュールから前記計算モジュールへの無線周波数信号の送信用の、前記増幅モジュールの第一のコネクター(K1P)に取り外し可能なやり方で接続された第一のコネクター(K1C)と、
―前記計算モジュールから前記アンテナモジュールへの無線周波数信号の送信用の、前記アンテナモジュールの第一のコネクター(K1A)に取り外し可能なやり方で接続された第二のコネクター(K’1C)と、
―アンテナモジュールの第二のコネクター(K3A)に、取り外し可能なやり方で接続された第三のコネクター(K’3C)と、
―前記アンテナのインピーダンスに応じて、及び前記計算モジュールの第三のコネクターと前記アンテナモジュールの第二のコネクター(K3A)とを通じて、対応する制御データを前記記憶手段(MEM)に供給するための、整合インピーダンス値を計算する手段(C,CM,DSP)と
を備えることを特徴とする、請求項2に記載の無線周波数送信又は受信システム。
【請求項5】
前記増幅モジュールが、前記計算モジュールへの給電を提供するために、前記計算モジュールのコネクター(K2C)への取り外し可能な接続用のコネクター(K2P)を備えることを特徴とする、請求項4に記載の送信システム。
【請求項6】
前記計算モジュールが、前記アンテナモジュールへの給電を提供するために、前記アンテナモジュールのコネクター(K2A)への取り外し可能な接続用のコネクター(K’2C)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の送信システム。
【請求項7】
給電用の前記アンテナモジュールの前記コネクター(K2A)が、前記増幅モジュールによる前記アンテナモジュールの直接給電用の、前記増幅モジュールの給電コネクター(K2P)に直接接続可能であることを特徴とする、請求項6に記載の送信システム。
【請求項8】
前記記憶手段が、電気的消去・プログラム可能型読取専用メモリを含むことを特徴とする、請求項2〜7のいずれか一項に記載の送信システム。
【請求項9】
前記記憶手段が、それらの動作用の給電を必要としない、磁気作動及び磁気保持スイッチを備えることを特徴とする、請求項2〜7のいずれか一項に記載の送信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−222818(P2012−222818A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−85088(P2012−85088)
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(510163846)コミシリア ア レネルジ アトミック エ オ エナジーズ オルタネティヴズ (47)
【Fターム(参考)】