説明

無線周波数識別システムおよびデータ読取り方法

タグによって担持される機械可読データを示す複数の回折要素を備えるRFIDデータタグを読み取るためのシステムおよび方法が提供される。回折要素は、1つの軸に沿った回折要素の寸法が垂直軸に沿った回析要素の寸法とは実質的に異なる形状を有する。各回折要素は、その隣接する要素の方向とは別の方向に向き付けられる。システムは、タグに向けて所定の偏光でRF放射信号を放出するように構成された送信アンテナと、RF放射信号に応答して、送信アンテナの偏光に直交する偏光でタグによって生成される再放射RF放射を収集し、タグによって担持されるデータを示す電磁信号を発生するように構成された受信アンテナとを備える。また、システムは、タグによって担持されるデータを求めるために、送信されるRF放射信号を発生し、受信アンテナによって生成された電磁信号を処理するように構成された質問器ユニットも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数識別(RFID)システムならびに符号化および復号方法に関し、詳細には、識別システムで使用されるデータタグまたはラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID)は、RFIDタグまたはトランスポンダと呼ばれるデバイスを使用して、データを記憶して遠隔で検索することに依拠する自動識別技術である。RFIDシステムは、2つの主要な構成要素からなる。すなわち、質問器/読取器と、データタグまたはデータラベルなどのデータキャリアである。これらの構成要素は協働して、人、動物、または物体を一意に識別するための非接触解決策をエンドユーザに提供する。近年、RFIDデータタグは、物体、物品、および製品を追跡するために広く使用されるようになっている。光学バーコードシステムと異なり、RFIDは、視線を必要とせず、各バーコードタグの読取りに関連するコストを大幅に低減する。
【0003】
RFIDタグは、無線波を使用して識別するために、製品、動物、または人に取り付けられうる、またはそれらに組み込まれうる物体である。一般に、RFタグは、能動型(タグと共に組み込まれた内部エネルギー源、例えば電池を利用する)であっても、受動型であってもよく、外部質問信号のエネルギーを使用することによって機能し、タグ読取器または外部デバイスから供給されるエネルギーに依存する。
【0004】
能動RFタグは、典型的には、共振回路に取り付けられたアンテナを含み、この回路は、受信された質問信号によって通電され、通電時、アンテナを励起して、応答無線周波数信号を送信する。受動タグは、エネルギー源を含まず、再送信、反射、または散乱によって既存の放射に応答するのみであり、典型的には能動要素を含まない。
【0005】
シリコンマイクロチップに依存しない受動RFIDタグは、通常、チップレスタグと呼ばれる。シリコンベースのマイクロチップではなく、プラスチックまたは導電ポリマーを使用するチップレスタグがある。また、タグにビーム照射された無線波の一部を反射して戻す材料を使用するチップレスタグもある。また、それらは、エッチングまたは導電インク印刷技術を使用することによって実装されてよく、エッチングまたはスクリーン印刷された金属ベースアンテナとして物品に直接印刷されうる。
【0006】
RFIDタグは、小売で、または大規模製造、倉庫保管、および流通施設に関して使用されうる物品上または物品内に配置されうる。例えば、薬理学産業では、これらのタグは、製造業者または企業エンティティ、薬物クラス、製品名、さらにはシリアル番号を識別するために使用されうる。同様に、タグは、薬物の製造日および期限、バッチ番号、価格、さらには宛先データなどの情報を担持することもできる。
【0007】
本発明の出願人に譲渡された特許文献1が、無線周波数(RF)データタグを説明する。そのRFデータタグは、RF放射の波長のオーダーの寸法を有してRF照射に応答する少なくとも1つの回折要素を備え、データタグ内の回折要素によって生成される応答が、データキャリアによって担持される機械可読データを示す。特許文献1は、データマーキング情報コード言語を記号化するデータ中のシンボルを定義する回折要素から発せられる回折パターンを説明する。回折要素は、基板材料のものとは異なる特定のRF回折吸収、反射、または散乱性質を有する材料からなる。反射材料は、例えば、基板上に印刷される導電インクであってよく、これは、RF放射に対して回折パターンを生み出す。
【0008】
特許文献2が、マイクロ波可読バーコードおよびマイクロ波バーコードシステムを説明する。マイクロ波可読バーコードは、入射するマイクロ波信号と選択的に共振する導電バーを有する。導電バーは、導電インクまたは導電箔から形成されうる。バーコード情報は、様々な長さ、様々な角度、または様々な位置の導電バーを使用して符号化されうる。マイクロ波可読バーコードシステムは、導電バーからなるバーコードと、バーコード上にマイクロ波信号を放射する送信機と、マイクロ波信号に対する導電バーの効果を感知するセンサとを含む。センサは、導電バーによるマイクロ波信号の減衰もしくは非減衰、および/またはそれらのバーによるマイクロ波信号の散乱もしくは非散乱を感知することができる。
【0009】
RFIDタグ識別のために使用される技法の1つは、レーダ(無線探知測距)であり、これは、物体(ターゲット)ナビゲーションおよび測距の検出のために広く使用されている。RFIDシステムと同様に、レーダも、物体を照明するための送信機と、物体の存在または位置(あるいはその両方)を検出するための受信機とを使用する。
【0010】
例えば、Schramm. Jr.他への特許文献3は、基板上に提供された、または基板の表面よりも下で基板内部に埋め込まれた2次元識別マークを感知するための方法および装置を説明する。マイクロパワーインパルスレーダが、2次元識別マークを有する基板の集束レーダターゲット領域に、高い立上り時間で短い持続時間のパルスを送信するために使用される。方法は、レーダパルスの送信後に所定の時間だけ生じる短い聴取期間窓の間、識別マークから戻されるレーダエコーを聴取するステップを含む。レーダエコーが検出される場合、画像処理ステップが実施される。レーダエコーが検出されない場合、方法は、さらに、高い立上り時間で短い持続時間のさらなるパルスを続けて送信するステップと、レーダエコーが検出されるまで、さらなるパルスそれぞれに関して様々な経過時間後に、前記さらなるパルスそれぞれからレーダエコーを聴取するステップを含む。レーダエコーが検出されるとき、検出されたエコーに基づくデータが処理されて、識別マークの画像を生成する。
【0011】
Pettusへの特許文献4が、無線周波数アンテナの使用によって情報を符号化および復号するためのシステムおよび方法を説明する。システムは、1つまたは複数の質問器デバイスおよびRFIDデータタグを含む。RFIDデータタグは、複数のアンテナ要素を含み、これらは基板上に形成され、または物体上に直接形成される。アンテナ要素は、偏光および位相情報を提供するように向き付けられて寸法を有し、この情報が、RFIDタグに関する符号化情報を表す。質問器デバイスは、領域を走査し、レーダ撮像技術を使用して、走査された領域の画像を生成する。デバイスは、データタグにあるアンテナ要素から再放射RF信号を受信し、それによりデータタグが、好ましくは画像上に表される。再放射RF信号は、好ましくは、各アンテナ要素の偏光および位相情報を含み、この情報が利用されて、レーダ信号撮像アルゴリズムを使用してRFデータタグに関する情報を復号する。
【0012】
位相および偏光を使用することによってタグに情報を符号化することは、実用的でなく、かつ高価であることに留意すべきである。所与の要素による反射の位相は、送信アンテナからその要素まで、および受信アンテナに戻るまでの距離に依存する。例えば、60GHz(すなわち5mmの波長)の動作周波数では、例えば0.625mmのわずかなタグの湾曲が90度の位相シフトを生み出すことがあり、これは、位相情報を全く無用なものにする。したがって、位相情報は敏感すぎ、それに依拠することはできないことが明らかである。
【0013】
さらに、特許文献4に記載される偏光測定学技法は、両方の偏光での送信および受信を含む。そのような方法は、照明されるタグの特徴を提供することができ、しかし実施するのは困難であり、高価である。特に、偏光測定学測定は、感度が高く、較正するのが難しい。同様に、同一偏光放射の受信は、隣接する物体による強い反射により、質問器を感度減少を受けやすいものにする。
【0014】
合成開口レーダ(SAR)技法が知られており、これは、レーダデータの洗練された事後処理を行い、狭い効果的なビームを生成するために使用され、それによりシステム検出能力および分解能を大幅に高める。合成開口レーダ(SAR)画像は、ある範囲の角度および周波数にわたって収集されるレーダ散乱データを処理することによって得られうる(例えば、非特許文献1; 非特許文献2参照)。
【0015】
SARでは、データ収集は、ターゲットが静止した状態で、レーダが視線にわたって移動して行われる。他方、逆SAR(ISAR)は、レーダが静止した状態で、ターゲットが移動している(通常は回転される)場合を表す。レーダは、連続波(CW)モードまたはパルスモードで動作することができ、1つまたは複数の送信および受信アンテナを採用する。
【0016】
送信および/または受信アンテナの運動は、機械的に提供されてよく、またはアンテナのアレイ電子スイッチングによって誘発されてもよい。SARによって提供されうる最適な幾何学的分解能は、送信される信号の中心周波数および帯域幅と、アンテナが直線経路に沿ってターゲット領域を照明する開口角とによって決定される。
【0017】
合成開口レーダ画像は、ある範囲の角度および周波数にわたって収集されるレーダ散乱データを処理することによって得られうる。遠距離場条件下では、SARおよびISAR信号処理は、従来、多次元フーリエ変換に変えられ、これは、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムによって行われる(例えば、非特許文献1のChapter 5, pp.139-200; 非特許文献2のChapter 4, pp.176-212参照)。さらに、近接場処理のための高速アルゴリズムも知られている(例えば、非特許文献3参照)。
【特許文献1】米国特許第6997388号
【特許文献2】欧州特許出願第1065623号
【特許文献3】米国特許第6529154号
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0280539号
【特許文献5】米国特許第6836449号
【非特許文献1】D. L. Mensa「High Resolution Radar Cross Section Imaging (2nd ed.)」Boston: Artech House, 1991
【非特許文献2】M. Soumekh「Synthetic Aperture Radar Signal Processing」New York:John Wiley & Sons, 1999
【非特許文献3】A. Boag「A Fast Multilevel Domain Decomposition Algorithm for Radar Imaging」IEEE Trans. Antennas and Propagation, vol. 49, no.4, pp.666-671, April 2001
【非特許文献4】W. A. van Cappellen、R. V. de Jongh、およびL. P. Lighthart「Potentials of Ultra-Short-Pulse Time-Domain Scattering Measurements」(IEEE Antennas and Propagation Magazine, V. 42, N. 4, August, 2000, PP. 35-45)
【非特許文献5】News Release from Omron Electronics「Laser sensors show their intelligence」Engineeringtalk magazine, 19 February 2003, http://www.engineeringtalk.com/news/omr/omr168.html
【非特許文献6】Serra, J.「Image Analysis and Mathematical Morphology」Academic Press, Inc., Orlando, FL, USA, 1983, PP.43-50
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様によれば、レーダタイプ読取器システムによって質問されるターゲットとなりうる新規のチップレス無線周波数識別(RFID)データタグが提供される。タグの画像は、ある範囲の角度および周波数にわたって収集される再放射RF放射を処理することによって得られる。用語「タグ」と「ラベル」とは、本説明で現れるとき、どちらもマルチビットデータキャリアを表し、したがって本明細書では相互交換可能に使用されうる。
【0019】
したがって、本発明の一実施形態によれば、RFIDデータタグが、タグによって担持される機械可読データを示す複数の回折シンボル要素を含む。回折シンボル要素は、1つの軸に沿った回折シンボル要素の寸法が垂直軸に沿った要素の寸法と実質的に異なる形状を有する。さらに、各回折シンボル要素が、その隣接する要素の方向とは別の方向に向き付けられる。必須ではないが、好ましくは、各2つの隣接する要素の方向が互いに垂直である。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、回折シンボル要素は、RF放射を散乱または反射する材料からなりうる。例えば、回折シンボル要素は、導電要素であってよく、パッケージ上、基板上、または直接、物品上に形成される。シンボル要素のパターンは、例えば、導電塗料またはインクを採用する様々な印刷技法を使用することによって生成されうる。望まれるときには、回折シンボル要素は、タグが関連付けられる物品の構造内に組み込まれてもよい。
【0021】
別法として、物品が導電性であるとき、タグは、複数の穴、またはRF放射を吸収する材料からなる要素を備えることができる。タグ(導電または吸収)要素は、位置および振幅情報を提供するように位置されて寸法を有し、この情報は、RFIDタグに関する符号化された情報を表す。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、タグのデータ情報コードは、要素の存在または不在によって定義される。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、タグのデータ情報コードは、シンボル要素の寸法によって定義される。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態によれば、タグのデータ情報コードは、ある要素からその隣の要素までのレイアウト距離によって定義される。
【0025】
本発明のさらなる実施形態によれば、回折シンボル要素の少なくとも一部が、タグの内容中に冗長情報を導入する。冗長情報は、データ誤り訂正のために有用であることがあり、例えばパリティビットやチェックサムなど様々な誤り訂正方式に基づいていてよい。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態によれば、RFIDデータタグは、さらに、タグの境界および向きを認識するように構成された少なくとも1つの回折参照要素を備える。さらに、RFIDデータタグは、シンボル要素を区別するためにシンボル要素の間に配置された複数の回折参照要素を備えることができる。
【0027】
ターゲットを照射するレーダによって発生される波は、よく定義された偏光、例えば垂直または水平偏光を有することができ、しかし円形偏光も採用されうる。(波長に比べて)比較的大きな自然および人工物体から再放射(後方散乱または反射)される電磁放射(波)は、入射波と同じ(またはほぼ同じ)偏光を有することがある。他方、比較的薄い、斜めに向き付けられた物体および縁部は、再放射された放射の両方の偏光(交差偏光)成分を生成することがある。
【0028】
このことは、本発明では、タグの散乱(すなわち、周囲の物体からの反射)をクラッタから区別するために使用される。特に、(例えば大きな金属物体からの)しばしば閃光と呼ばれる非常に強い反射が飽和して、その結果、レーダ受信機の感度を減少することがあるとき、近接場条件下でクラッタ減少が重要となることがある。この目的で、クラッタ減少に関して、本発明は、入射波と、本発明のタグから再放射される波とが異なる偏光を有することを採用する。
【0029】
したがって、本発明の別の態様によれば、タグによって担持される機械可読データを示す複数の回折要素を備えるRFIDデータタグを読み取るための方法であって、回折シンボル要素が、1つの軸に沿った前記回折シンボルの寸法が垂直軸に沿った要素の寸法とは実質的に異なる形状を有し、各回折シンボル要素が、その隣接する要素の方向とは別の方向に向き付けられる方法が提供される。この方法は、RFIDデータタグに向けて所定の偏光でRF放射信号を発生および送信するステップを含む。次いで、方法は、RF放射信号に応答して、タグによって生成される再放射RF放射を収集するステップを含む。本発明によれば、タグによって生成される再放射RF放射が、タグに向けて送信されるRF放射信号の偏光に直交する偏光で収集される。その後、方法は、レーダ信号撮像または逆散乱アルゴリズムを使用することによって、各回折要素の位置および振幅情報を得るために再放射RF放射を処理するステップを含む。この情報は、RFデータタグに関する情報を復号し、タグによって担持されるデータを求めるために利用される。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、信号処理は、レーダ撮像アルゴリズムに基づいていてよく、これらのアルゴリズムは、ボルン近似としても知られている単一散乱の単純化仮定に基づく。この仮定の下で、タグなどのターゲットは、複数の等方性の点散乱体を備えると仮定され、散乱体は互いに相互作用せず、単にレーダから来る入射波を散乱して戻す。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、様々な逆散乱技法が使用されうる。これらの技法は、より正確であり、しかし計算集約的な非線形処理アルゴリズムを含む。また、そのような技法は、様々な回折要素と様々なタグとの間の相互作用を考慮することもできる。したがって、従来のレーダ撮像アルゴリズムではなく逆散乱が採用される場合、かなり高い情報密度が復号可能である。
【0032】
特に、高分解能撮像は、合成開口レーダ(SAR)または逆合成開口レーダ(ISAR)と同様の原理に基づいて採用されうる。撮像は、2次元または3次元でありうる。
【0033】
空間分解能は、放射および受信アンテナとタグとの相対運動によって、かつ周波数走査によって実現される。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、RF放射信号を発生して送信するステップおよびタグによって生成されるRF放射を収集するステップが、タグに対して所望の軌跡で読取りシステムのアンテナを移動させながら実施される。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、RF放射信号を発生して送信するステップおよびタグによって生成される再放射RF放射を収集するステップが、読取りシステムのアンテナに対して所望の軌跡でタグを移動させながら実施される。
【0036】
特に、SAR構成では、撮像は、周波数走査およびアンテナ移動によって実現される。アンテナ移動は、アンテナを機械的に移動することによって、またはフェーズドアレイアンテナを使用することによる電子走査によって実現されうる。移動は、タグに対するアンテナのアスペクト角が変化される限り、直線状であっても、弧に沿っていても、または任意の軌道に沿っていてもよい。
【0037】
同様に、ISAR構成では、撮像は、タグの周波数走査および移動によって実現される。タグ移動は、タグに対するアンテナのアスペクト角が変化される限り、回転であっても、直線状であっても、または任意のものであってもよい。
【0038】
必要とされるときには、2つのクロスレンジ方向に沿った空間分解能を実現するために、アンテナとタグとの移動の組合せも採用されうる。
【0039】
周波数走査は、ステップ周波数パルス信号や、比較的長いパルスでの線形周波数変調(LFM)など様々な波形によって、かつ/または所望の周波数帯域をカバーする任意の他の広帯域信号によって行われうる。別法として、周波数走査は、レンジ分解能を直接提供する短いパルス波形を使用することによって代用されうる。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、再放射RF放射を処理するステップは、SARまたはISARアルゴリズムを行うことによってタグの画像を計算するステップと、回折タグの要素のパターンを再構成して認識するステップと、タグによって担持されるデータを復号するステップとを含む。
【0041】
例えば、RF放射信号を送信するステップおよびタグによって生成される再放射RF放射を収集するステップが、所定の周波数範囲[fmin,fmax]で、水平面内で質問器ユニットによってタグが観察される所定範囲の方位角[φminmax]で、かつ垂直面内での変位(または仰角)の所定の範囲の垂直位置値[zmin,zmax]でタグを走査することによって行われるとき、ISARアルゴリズムが、離散バージョンの近接場ISAR変換
【0042】
【数1】

【0043】
を行うステップを含むことができ、ここで、G(f,φ,z)が、周波数f、方位角φ、および垂直位置zに対する背景差分後の較正された測定データであり、k=2πf/cが波数であり、cが光の速度であり、rt(φ,z)およびrr(φ,z)が、タグ中心座標系での方位角φおよび垂直位置zに対する、それぞれ送信および受信アンテナの位相中心であり、Rが、z=(zmax+zmin)/2に関するアンテナの位相中心から、回転の軸に位置される座標系の原点までの距離である。
【0044】
式(1)を評価するために、遠距離場条件の場合、様々な変更を伴う高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムが採用されうる。他方、高分解能の近接場撮像に関しては、階層データ領域分解および補間手法に基づく高速評価方法が利用されうる。
【0045】
ISAR(またはSAR)アルゴリズムによって得られる画像は、さらに、タグの要素のパターンを再構成し、要素を認識するために処理される。本発明の一実施形態によれば、回折タグの要素のパターンを再構成および認識するステップが、
タグの画像内の背景および障害物をなくし、シンボル要素が提供されるタグの領域を画定するステップと、
背景および/または障害物をなくした後に得られる画像データを空間フィルタリングするステップと、
外れ値および偽検出シンボルを画像からなくすステップと、それにより画像内のシンボルを定義するステップと
を含む。
【0046】
例えば、背景をなくすステップは、タグの画像を示す強度データを、画像の全ての画素に適用される所定の下側しきい値と比較することによって行われてよく、障害物をなくすステップは、タグの画像を示す強度データを、画像の全ての画素に適用される所定の上側しきい値と比較することによって行われてよい。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、外れ値および偽検出シンボルをなくすステップが、回帰線の向きを求めるステップと、回帰線での局所強度極大ピークを、それらの残差に従ってソートするステップとを含む。
【0048】
誤り訂正処置は、タグの内容中に冗長情報(例えば、パリティビット、チェックサムなど)を導入することによって採用されうる。
【0049】
したがって、本発明のさらなる実施形態によれば、再放射RF放射を処理するステップが、タグの位置を認識するステップと、それに従って、タグが回転または反転されている場合にタグのパターンを修正するステップとを含む。
【0050】
本発明のさらに別の実施形態によれば、再放射RF放射を処理するステップが、画像を計算するステップの後に受信されるデータの誤りを訂正するステップを含む。
【0051】
本発明のさらなる態様によれば、タグによって担持される機械可読データを示す複数の回折要素を備えるRFIDデータタグを読み取るためのシステムであって、回折シンボル要素が、1つの軸に沿った回折シンボル要素の寸法が垂直軸に沿った要素の寸法と実質的に異なる形状を有し、各回折シンボル要素が、その隣接する要素の方向とは別の方向に向き付けられるシステムが提供される。
【0052】
システムは、
タグに向けて所定の偏光でRF放射信号を放出するように構成された送信(Tx)アンテナと、
前記RF放射信号に応答して、送信アンテナの偏光に直交する偏光でタグによって生成される再放射RF放射を収集し、タグによって担持されるデータを示す電磁信号を発生するように構成された受信(Rx)アンテナと、
タグによって担持されるデータを求めるために、前記RF放射信号を発生し、受信アンテナによって生成された前記電磁信号を処理するように構成された質問器ユニットと
を含む。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、RFIDデータタグを読み取るためのシステムは静止デバイスであり、一方、タグが可動物品に関連付けられる。
【0054】
本発明の別の実施形態によれば、タグが静止物品に関連付けられ、一方、RFIDデータタグを読み取るためのシステムが可動である。
【0055】
本発明の実施形態によれば、質問器ユニットが、
(i)送信部(Tx)であって、
送信アンテナに結合され、送信アンテナを電子走査制御するように構成されたTxアンテナ制御モジュールと、
Txアンテナ制御モジュールに結合された可変利得を有する電力増幅器と
を含む送信部(Tx)と、
(ii)受信部(Rx)であって、
受信アンテナに結合され、送信アンテナと同期して受信アンテナを電子走査制御するように構成されたRxアンテナ制御モジュールと、
Rxアンテナ制御モジュールに結合された可変利得を有する低雑音増幅器と、
可変利得を有する低雑音増幅器(408)に結合された直交検波器と
を含む受信部(Rx)と、
(iii)参照RF信号を発生するように構成された可変周波数発生器と、
(iv)可変周波数発生器に結合され、前記参照RF信号を変調して変調信号を生成するように構成された変調器と、
(v)変調器に結合され、変調器からの信号を、Tx部の可変利得を有する出力増幅器とRx部の直交検波器とに印加される2つの等しい部分に分割するように構成された第1の分割器と、
(vi)可変周波数発生器と、変調器と、出力増幅器と、低雑音増幅器と、Txアンテナ制御モジュールと、Rxアンテナ制御モジュールとに結合され、それらの動作を管理するように、かつ直交検波器によって発生された出力信号を処理するように構成された制御装置および信号処理装置(CSP)と、
(vii)タグの位置を提供するように構成された位置センサユニットと、
(viii)CSPによって発生された信号を受信し、タグの画像を再構成し、タグによって担持されるデータを復号するように構成された画像処理ユニットと、
(ix)画像処理ユニットと、位置センサユニットと、CSPとに結合されたホストコンピュータインターフェースと
を含む。
【0056】
質問器ユニットは、タグの回折パターンを走査し、タグの回折要素からの再放射RF放射を受信し、レーダ撮像または逆散乱技術を採用することによって、走査された領域の画像を生成するように構成される。
【0057】
情報読出しは、レーダ撮像とパターン/ターゲット認識技法との組合せによって行われる。
【0058】
以上、本明細書において以降に続く本発明の詳細な説明をより良く理解できるように、本発明のより重要な特徴をかなり大まかに概説してきた。本発明の追加の詳細および利点は、詳細な説明に記載され、一部は説明から理解され、または本発明の実施によって習得されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
本発明を理解するため、および本発明が実際にどのように実施されうるかが分かるために、次に、好ましい実施形態を、単に非限定的な例として添付図面を参照して説明する。
【0060】
本発明による無線周波数識別システムおよびデータ読取り方法の原理および動作は、図面および添付する説明を参照すればより良く理解されうる。必ずしも縮尺が合っていないこれらの図面、および説明中の実施例は、例示の目的でのみ与えられ、本発明の範囲を限定することは意図されていないことを理解すべきである。本発明のこの説明を通じて、図面に示されるマルチビットデータキャリアにおいて共通な構成要素を識別するために同じ参照番号が利用される。構成、材料、寸法、および製造プロセスの例が、選択された要素に関して提供される。当業者は、提供される実施例の多くが、利用されうる適切な代替形態を有することを理解するはずである。
【0061】
本発明は、新規のチップレスRFIDデータタグを説明し、このタグは、合成開口レーダ(SAR)技法に基づくレーダタイプ識別システムによって質問されて読み取られるターゲットであってよい。広い範囲の角度および周波数にわたって収集されるレーダ散乱データを処理することによって、タグのSAR画像が得られる。
【0062】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の一実施形態によるRFIDデータタグ10を概略的に例示するものである。RFIDタグ10は、基板層11を備え、その表面は、複数の回折シンボル要素12を有するようにパターン形成される。本発明によれば、タグ10の回折シンボル要素12は、軸O'に沿った要素の寸法が垂直軸O''に沿った要素の寸法と実質的に異なる(例えば、より大きい)形状を有する。例えば、要素12は、幅の狭いストリップの形態であってよい。本発明によれば、シンボル要素12は、本明細書で以下に説明される様式で互いに対して向き付けられる。
【0063】
基板層11は、例えば、紙、厚紙、繊維、ポリマー箔、または固体材料で作られていてよい。回折シンボル要素12は、例えば、導電インクを使用することによって、かつ/または任意の他の導電材料を使用することによって、RFIDタグ10に印刷されうる。
【0064】
回折シンボル要素12の相対寸法および位置は、図1およびさらなる図面では、単に非限定的な例としてのみ示され、縮尺を合わせて描かれてはいないことに留意すべきである。要素12は、RF電磁放射の波長のオーダーの寸法を有し(RF周波数範囲が104Hz〜1012Hzであると考えると、0.1mmよりも大きい)、タグによって担持される機械可読データを示す。本発明によれば、無線周波数(RF)電磁放射が、回折シンボル要素12を照射するために利用される。例えば、1つまたは複数の選択された周波数帯域のRF連続波が、本発明のデータタグを照射するために使用されうる。別の実施例によれば、RF放射の比較的短いパルスの列が、データタグ10を照射するために使用されうる。
【0065】
一実施形態によれば、RFIDデータタグ10の要素12は、導電要素である。別の実施形態によれば、基板層11が導電性であり、かつ/またはタグ10が導電物体の上に配置されるとき、タグは、複数の穴または吸収要素を備えることができる。どちらの場合にも、要素12の互いに対する相対位置と、質問信号に対する応答の振幅とが、タグ10に符号化された情報を示すことができる。
【0066】
図2は、RFIDデータタグ(ラベル)10が、パック、箱、容器などの物品20上または物品20内に配置されうる仕様の実施例を例示する。例えば、タグ10は、物品20の表面上に直接印刷された導電インク要素を含むことができる。この場合、物品自体が、基板11の役割をする。別法として、回折要素でパターン形成されたタグの基板が、物品20に取り付けられうるラベルの形態をしていてもよい。望まれるときには、回折シンボル要素12は、タグが関連付けられる物品の構造内に組み込まれうる。
【0067】
図3を参照すると、タグ識別システム30によってRFIDデータタグ10を読み取る概略図が例示される。識別システム30は、ミリメートル波周波数で動作するコヒーレントレーダシステムに基づく。例えば、識別システム30は、10GHz〜1000GHzの周波数範囲内で、好ましくは59〜64GHzまたは116〜126GHzの範囲内で動作することができ、米国連邦通信委員会(FCC)規定に準拠する。
【0068】
識別システム30は、一般に、質問器(トランスポンダ)31と、送信アンテナ32と、受信アンテナ33とを備える。動作時、送信アンテナ32が、タグ10に照射するためのRF放射信号34を放出する。受信アンテナ33が、タグ10によって生成された(吸収、散乱、または反射された)RF信号35を収集する。
【0069】
送信アンテナ32および受信アンテナ33は、タグ10の全領域をカバーする広いビームを提供および傍受するために小さな放射開口を有する。アンテナは、平面または非平面構造として実装されうる。本発明の目的に適した送信アンテナ32および受信アンテナ33の例は、ホームアンテナ、スロットアンテナ、ストリップアンテナ、パッチアンテナ、パラボラアンテナなどを含み、しかしそれらに限定されない。
【0070】
望まれるときには、アンテナ構造は、質問器31を機械的に移動させる必要なく、一部または完全にタグの電子走査を実現する格子またはフェーズドアレイであってよい。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、質問器31は静止デバイスであり、一方、タグ10が、直線経路36に沿って、または曲線経路37に沿って移動される。図4Aは、デスクトップ質問器など静止実装形態での質問器31を含む識別システム30の実施例を示す。容器42(内部に様々な物品(図示せず)を含む。例えば、いずれもラベル10を有するパック、箱、かばんなど)が、移動コンベア43上に配置される。動作時、デスクトップ質問器31が、タグを照射するためのRF信号を生成し、タグ10に符号化されているデータを示すタグ10の画像を読み取り、画像を処理し、そのデータをワイヤまたはワイヤレスリンク45を介してホストコンピュータ44に送信する。ホストコンピュータ44は、データを収集し、そのデータを処理して、物品を識別する。
【0072】
図3と図4Bとを合わせて参照すると、本発明の別の実施形態によれば、タグ10が静止しており、一方、質問器31が、経路38に沿ってタグ10の周りで移動される。図4Bは、可動(ハンドヘルド)実装形態での識別システム30を示し、この実装形態では、物品45が、物品45に取り付けられた、または物品45内に組み込まれたタグ10を有する。動作時、質問器31は、経路46に沿って周りを動くことによってタグを走査する。タグのデータは、物品45の識別のために、ワイヤまたはワイヤレスリンク48を介してホストコンピュータ47によって収集および分析される。
【0073】
上述したように、タグ10の回折シンボル要素(図1での参照番号12)は、一方向での(すなわち、ある軸に沿った)要素の寸法が垂直方向での(すなわち、垂直軸に沿った)要素の寸法とは実質的に異なる形状を有する。そのような提供は、背景クラッタを減少する可能性をもたらす。この目的で、送信アンテナ32と受信アンテナ33とが直交偏光を有する。
【0074】
したがって、一実施形態では、送信アンテナ32が水平偏光場を生成し、一方、受信アンテナ33が垂直偏光場を受信する。送信アンテナと受信アンテナとの偏光の方向は相互交換されてもよく、一般に、任意の2つの直交偏光が送信および受信に関して採用されうることを理解すべきである。本発明によれば、クラッタが主に同一偏光される一方で、タグ要素12は、強い交差偏光応答を生成するように設計される。具体的には、要素12は、送信アンテナから放出される水平偏光場によって照明されるとき、強い垂直偏光場を生成するように、あるいはその逆となるように設計される。
【0075】
送信アンテナ32によって放出され、様々な障害物や壁などによって散乱された電磁波は、発せられたときと同じ偏光で受信アンテナ33によって受信される。受信アンテナと送信アンテナとが同一偏光されるので、障害物および壁の電磁場は大幅に減衰され、これは、「受信不良(blinding)」、すなわち受信機の過負荷を防止する。他方、本発明によれば、シンボルデータ要素12は傾いており、送信アンテナと受信アンテナとの偏光の方向の間で中間の方向を取る。したがって、要素12は、電磁場を散乱して、両方の直交偏光成分を生成することができ、これらが受信アンテナ33によって受信されうる。
【0076】
隣接するタグ要素の間に強い結合が存在するとき、レーダ撮像アルゴリズムは、得られる画像に対する望ましくないアーティファクトを生成することがあることに留意すべきである。そのようなアーティファクトは、情報の復号を困難にし、したがってタグの情報容量を制限することがある。要素間の結合は、隣接する要素が互いに平行であるときに最大である。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、タグ内の隣接する要素の間での結合を減少するために、図1に示されるように、本発明のこの実施形態における全ての要素が一行に配列され、要素は、各2つの隣接する要素の間で直角に向き付けられる。したがって、各2つの隣接する要素の向きは、互いに直交である。隣接する要素が互いに直交であるとき、ある要素12aに沿って流れる電流が、隣接する要素12bおよび12c内での電流を誘起しないので、要素のそのような配列は、隣接するシンボル間の結合を減少する。
【0078】
図5を参照すると、本発明の別の実施形態によるシンボル要素12の配列が示されている。この実施形態によれば、要素12は、平行関係にある2つの行51および52に配列される。行51に位置される要素は、行52の要素と交互配置され、したがって、異なる行51および52にそれぞれ位置される2つの隣接する要素53および54は、互いに逆方向に向き付けられる。この配列は、タグの隣接する要素の間の結合のさらなる減少を可能にする。
【0079】
図6は、タグの要素(図1での参照番号12)の回折によって生成された、散乱された電磁波の例示的な回折パターンの図である。ピーク61は、システム(図3での参照番号30)によって測定された電磁場回折パターンの極大値を示す。回折パターンは、タグによって担持される全ての情報を含む。
【0080】
図7〜12を参照すると、シンボル要素12によってデータタグ10に情報が符号化されうる仕様の様々な実施例が示されている。
【0081】
図7に示される実施例によれば、タグは、要素の存在または不在によって特徴付けられる事前定義された順序で一行に配列されたシンボル要素61を備える。全ての要素61が同じ形状および寸法を有するが、各要素が、その隣接する要素の方向とは別の方向に向き付けられる。
【0082】
行における要素の不在が「0」を表すことができ、一方、要素の存在が「1」を表すことができ、あるいはその逆である。そのような方式は、2進符号化方式と呼ばれる。例えば、図7に示されるタグに符号化されている2進数62は、11010010111である。
【0083】
要素による電磁場の散乱が要素の物理パラメータに依存するという事実により、様々な寸法を有する要素が様々な応答振幅を有するので、符号化の言語がシンボル要素の寸法に基づくこともあることを理解すべきである。同様に、シンボル要素間の距離も、追加の情報を符号化するために使用されうる。
【0084】
図8は、シンボル要素によってデータタグ10を符号化する別の方式を示す。この実施例によれば、異なるサイズ(幅および長さ)を有する2つのタイプのシンボル要素が使用される。シンボル要素は、要素の寸法、存在、または不在によって特徴付けられる事前定義された順序で一行に配列される。コード化のアルファベットは、例えば以下のようなものであってよい。行における任意の要素の不在が「0」を表すことができ、大きな要素81の存在が「1」を表すことができ、小さな要素82の存在が「2」を表すことができる。そのような論理は、タグの容量を増加し、2進コードのものよりも高い基数を有するコードを使用することができる可能性を与える。具体的には、図8に示されるコードの基数は3である。例えば、説明した論理を使用することによって図8に示されるタグに符号化される数83は、12020101021である。
【0085】
図9は、シンボル要素によってデータタグ10を符号化するさらなる方式を示す。この実施例によれば、データ情報コード(「言語」)を定義するために、隣接するシンボル要素の各対の間のレイアウト距離(間隔の長さ)が様々であってよい。具体的には、要素92から要素93までの特定の距離91が「1」を表すことができる。距離91よりも大きい、要素93から要素95までの距離94が「2」を表すことができる。同様にして、距離94よりも大きい、要素95から要素97までの距離96が「3」を表すことができ、以下同様である。したがって、図9に示される実施例は、基数5を有するコードに対応する。例えば、説明した論理を使用することによって図9に示されるタグに符号化される数83は、12345である。
【0086】
データタグは、要素サイズと、要素間のレイアウト間隔の変化との組合せとしてコード化されうる。図10と11とを合わせて参照すると、シンボル要素によってデータタグ10を符号化するさらなる方式が例示されている。図10は、2つの異なるサイズを有するシンボル要素を含むタグを示す。シンボル要素は、要素間の距離と、要素の存在または不在とによって特徴付けられる事前定義された順序で一行に配列される。図11は、この方式を採用するコード化の例示的なアルファベットを示す。具体的には、大きな要素102からその右側の隣接する要素までの特定の距離101が「1」を表すことができる。距離101よりも大きい、大きな要素103から次の要素までの距離104が「2」を表すことができる。同様にして、要素105からその右側の隣接する要素(図10では、これは小さな要素107である)までの距離106が「3」を表すことができる。距離106は、距離101および104の値よりも大きな値を有する。さらに、「4」、「5」、および「6」を表すために、同じ論理が、小さなサイズの要素107、108、109と、要素107、108、109からそれらの右側の対応する要素までの対応する距離(間隔)111、112、113に適用される。同様に、特定の距離114に沿った要素の不在が「0」を表すことができる。したがって、図10に示される実施例は、基数7を有するコードに対応する。例えば、説明した論理を使用することによって図10に示されるタグに符号化される数115は、12345601である。
【0087】
図12は、シンボル要素によってデータタグ10を符号化するさらなる方式を示す。この方式によれば、タグは、隣接する要素の間を等距離にして一行に配列される1組の参照要素121a、121b、121c、および121dを含む。好ましくは、必須ではないが、全ての参照要素が同じ向きを有する。シンボル要素122a、122b、および122cが、参照要素121a、121b、121c、および121dの間に配置され、参照要素に対して逆方向に向き付けられる。例えば、シンボル要素122a、122b、および122cは、参照要素121a、121b、121c、および121dに直交していてよい。
【0088】
具体的には、シンボル要素122cが、参照要素121cと121dとの間に配置される。参照要素121cからシンボル要素122cまでの距離は、データタグによって担持されるある数の一の位の値を表すことができる。それに従って、参照要素121bからシンボル要素122bまでの距離は、符号化されている数の十の位の値を表すことができる。同様に、参照要素121aからシンボル要素122aまでの距離は、この数の百の位の値を表すことができる。例えば、図12に示されるタグに符号化されている数は、538である。望まれるときには、参照要素とシンボル要素との数が、数千などを表すために増加されうることを理解すべきである。
【0089】
製品に関する情報を表すデータに加えて、タグは、シンボル要素のより良い区別のため、タグの境界および向きの認識のため、ならびにタグのより信頼性のある識別のために意図された様々なタイプの回折参照要素(マーク)を含むことができる。さらに、タグは、データ誤り訂正のために使用されうる冗長情報(例えば、パリティビットやチェックサムなど)をタグの内容中に導入する追加のシンボル要素を含むことができる。誤り訂正は、例えば、タグが損壊されたときに検出失敗を回避するために使用されうる。誤り訂正アルゴリズムは当技術分野で知られており、したがって本明細書では以下に説明しない。
【0090】
図13は、基板133上に配列された誤り訂正要素131と参照要素132とを含む例示的なRFIDデータタグ130の概略図を示す。誤り訂正要素131および参照要素132は、タグ130によって担持されるデータを表すシンボル要素12と同様であってよい。例えば、誤り訂正要素131および参照要素132は、タグ130の周辺領域134内に配置されてよく、一方、シンボル要素12は、タグの中央領域135内に配置されてよい。冗長情報を導入するために他のタイプの誤り訂正および参照要素が使用されてもよく、本発明は、図13に示される実施例に限定されないことを理解すべきである。
【0091】
図14を参照すると、本発明のデータタグに記憶された情報を読み取るための識別システム(図3、4A、および4Bでの参照番号30)の概略ブロック図が、本発明の一実施形態に従って例示される。図14におけるブロックは、何らかの物理的接続および/または物理的関係ではなく、実体の間の機能関係が示されるように、単に機能実体として意図されていることに留意すべきである。
【0092】
図14に示される識別システム30は、送信アンテナ401と、受信アンテナ402と、送信および受信アンテナ、ならびにホストコンピュータ(図示せず)に結合された質問器ユニット400とを含む。質問器ユニット400は、可変周波数発生器404と、可変周波数発生器404に結合された変調器405と、変調器405に結合され、変調器405からの信号を、質問器ユニット400の送信部Txおよび受信部Rxに印加される2つの等しい部分に分割するように構成された第1の分割器406とを含む。送信部Txは、第1の分割器406と、送信アンテナ401に結合された送信(Tx)アンテナ制御モジュール414とに結合された、可変利得を有する電力増幅器407を含む。質問器ユニット400の受信部Rxは、第1の分割器406に結合された直交検波器420と、可変利得を有する低雑音増幅器408とを含む。可変利得を有する低雑音増幅器408は、受信(Rx)アンテナ制御モジュール415および直交検波器420に結合される。Rxアンテナ制御モジュール415は、受信アンテナ402に結合される。
【0093】
質問器ユニット400は、さらに、可変周波数発生器404と、変調器405と、電力増幅器407と、低雑音増幅器408と、Txアンテナ制御モジュール414と、Rxアンテナ制御モジュール415とに結合され、それらの動作を管理するように構成された制御装置および信号処理装置(CSP)416を含む。また、CSP416は、直交検波器420によって生成される出力信号を処理するように構成される。また、CSP416は、位置センサユニット417と、画像処理ユニット418と、ホストコンピュータインターフェース419とに結合される。ホストコンピュータインターフェース419は、ワイヤまたはワイヤレスリンクを介してホストコンピュータ421に結合される。画像処理ユニット418は個別ユニットとして図示されているが、望まれるときには、画像処理ユニット418が、制御装置および信号処理装置(CSP)416またはホストコンピュータ421と一体化されうることを理解すべきである。
【0094】
Txアンテナ制御モジュール414は、送信アンテナ401を電子走査制御するように構成される。Rxアンテナ制御モジュール415は、送信アンテナ401と同期して受信アンテナ402を電子走査制御するように構成される。さらに、Rx制御モジュール415は、タグによって散乱される電磁場の偏光が変えられた場合に、受信アンテナ402の偏光を切り換えるために構成される。
【0095】
動作時、可変周波数発生器404が、参照無線周波数信号を発生し、この信号が、変調器405によって変調される。変調された信号は、様々な波形によって表されうる。波形の例は、周期的に発生される1組の何らかの周波数f1,f2,...,fnを備えるステップ周波数パルス信号や、比較的長いパルスでの線形周波数変調(LFM)信号などを含み、しかしそれらに限定されない。一般に、所望の周波数帯域をカバーする任意の広帯域信号が、本発明の目的に適している。
【0096】
別法として、質問器による周波数走査は、レンジ分解能を直接提供する短いパルス波形を使用することによって代用されうる(例えば、非特許文献4参照。その開示を本明細書によって本説明に参照として組み込む)。
【0097】
変調器405の出力端子からの変調信号は、第1の分割器406に供給され、それにより電力増幅器407および直交検波器420に参照信号を提供する。参照信号は、電力増幅器407によって増幅され、次いで制御モジュール414を介して送信アンテナ401に供給される。送信アンテナ401は、この信号を開空間電磁場に変換し、RFIDデータタグ403を照射する。
【0098】
タグ403は、入射電磁波を散乱し、シンボル要素12のレイアウトに応じて回折パターン(図示せず)を生成する。
【0099】
受信アンテナ402が、タグ403によって散乱された電磁場の一部を傍受し、傍受された電磁波に基づいて電磁信号を生成する。この電磁信号は、制御モジュール415を介して低雑音増幅器408に中継される。低雑音増幅器408は、受信信号を得て、その信号を分割器409を介して直交検波器420に中継する。
【0100】
増幅器407および408の利得は、RFの人に対する安全性の問題と、システムによって必要とされるパワーバジェットと、信号対雑音比と、質問器ユニット400の電力消費を減少するための要件とによって決まることがあることを理解すべきである。
【0101】
直交検波器420は、第1のアームで移相器413に、第2のアームでRF信号混合器411に結合された第2の分割器412を含む。移相器413は、RF信号混合器410に結合される。直交検波器420は、さらに、低雑音増幅器408から受信される信号を分割するための、低雑音増幅器408に結合された第3の分割器409を含む。分割後の受信信号の各部分が、RF信号混合器410および411に中継される。
【0102】
移相器413は、第1の分割器406から中継された参照信号に90°の位相シフトを提供する。提案されるRF信号混合器410および411と移相器413との構成は、複素復調信号を2つの成分、すなわち同相(I)信号および直交(Q)信号として現れる実数部および虚数部に分離するのに適しており、これらは互いに対して90°位相がずれている。信号IおよびQは、タグ403の画像に関する情報を含む。これらの信号は、CSP416に中継され、CSP416は、信号をデジタル形式に変換し、撮像近接場SARまたはISAR変換アルゴリズムを実現する。撮像アルゴリズムを実現するために、CSP416はまた、可変周波数発生器404によって提供される測定の周波数範囲[fmin,fmax]、ならびに位置センサユニット417によって提供される、垂直位置(仰角)値の範囲[Zmin,Zmax]および質問器ユニット400によってタグ403が観察される方位角[φminmax]など、追加のデータを提供される。値[Zmin,Zmax]は、(極座標での)角度値または(円筒座標での)変位値であってよいことに留意すべきである。
【0103】
本発明の一実施形態によれば、位置センサユニット417は、既知の直線加速度計および角速度センサ、例えばジャイロスコープに基づく。本発明の目的に適したジャイロスコープの例は、Silicon Sensing Systems Japan Ltd.から入手可能なレートジャイロスコープCRS-03、Hahn-Schickard-Gesellschaft institute for Micro Assembling Technology (HSG-IMIT)から入手可能なMEMS角速度センサ(ジャイロスコープ)、Analog Devices, Inc.から入手可能な角速度センサ(ジャイロスコープ)を含み、しかしそれらに限定されない。
【0104】
本発明の別の実施形態によれば、位置センサユニット417は、質問器ユニットとタグとの間の距離、およびそれらの角度関係など、相互位置に関する所要の情報を提供することができる光学または音響技法に基づく様々な既知のビルトイン技法を含む。
【0105】
例えば、周波数変調連続波(FMCW)レーダが、精密な位置測定のための最も一般的なタイプのレーダの1つである。そのようなレーダの利点は、非金属材料を通って貫通することができること、および受動導波路構成要素の使用によって遠隔で監視することができることである。
【0106】
難しい感知の用途が、スマートレーザセンサのZX範囲で簡単に対処される(例えば、非特許文献5)。具体的には、最大の汎用性を保証するために、ZXセンサ範囲は、最小のターゲットでさえも精密に検出するための50mm直径スポットを利用するモデルと、大きなターゲットに関して実現されるシームレスカバレージトーブを可能にする2mmラインビームを用いる他のモデルとを含めた、反射感知ヘッドの広い選択肢を提供する。また、精密な限界検出のためのナロービームタイプから、面積または直径感知のための10mm幅カーテンタイプまで、様々なスルービーム感知ヘッドも存在する。
【0107】
音響エネルギーの放出器とターゲット物体との間の距離を測定するための音響方法が、例えば特許文献5に記載されており、その開示を本明細書によって本説明に参照として組み込む。
【0108】
また、位置センサユニット417は、物体の変位を測定するように構成された幾つかの他の技法に基づいていてもよく、例えばホール効果や、キャパシタンスおよび/またはインダクタンスの変化などに基づいていてもよいことに留意すべきである。
【0109】
質問器ユニットが静止デバイスであり、RFIDデータタグを有する物品が移動コンベア上に配置される場合(図4Aに示されるように)、時間の関数としてタグの位置を評価するために、タグの運動に関する情報(例えば、コンベアの直線速度)が、制御装置および信号処理装置416に送達されうることを理解すべきである。
【0110】
望まれるときには、質問器とタグとの相対位置は、レーダ技法に適合される三角測量方法を使用することによって計算されうる。そのような方法は、質問器と、タグ403と異なる質問器ユニットからの高さまたは距離に位置される2つ以上の追加の散乱体との相互位置に関する初期情報に基づく。
【0111】
動作時、制御装置および信号処理装置416は、タグ403が質問器ユニット400によってそれらの相互運動中に観察される垂直位置および方位角の変化を計算する。制御装置および信号処理装置416によって計算された結果は、画像処理モジュール418に中継され、画像処理モジュール418が、このデータを収集し、さらにそれらのフィルタリング、誤り訂正、正規化、デスクランブル、および所要の数字または英数字形式への変換を行い、ホストコンピュータのディスプレイにタグの情報を表示する。
【0112】
望まれるときには、ホストコンピュータ421は、質問器ユニット400と一体化されうる。別法として、質問器ユニット400は、ローカルプロセッサによって、またはネットワーク管理を介して遠隔で操作されるスタンドアローンデバイスまたはRFIDシステムの一部であってよい。そのような場合、システムは、ホストコンピュータインターフェース419を介して質問器ユニットに結合されたコンピュータ(図4Aでの参照番号44、図4Bでの参照番号47)など外部ホストPCを使用することができる。測定されたIおよびQ信号を受信した後、制御装置および信号処理装置416は、ベクトル背景差分および較正を採用して、それぞれ送信および受信チェーンの構成要素でのクラッタおよび位相シフトの影響をなくす。
【0113】
図15を参照すると、本発明の一実施形態による、本発明の識別システムによって本発明のRFIDデータタグを読み取る方法のブロック概略図が例示される。動作時、タグが、電磁放射によって照射され、反射(散乱)信号が、タグを読み取るために収集される。識別システムは、タグ画像獲得、再構成、および復号を実現するアルゴリズムを採用する。
【0114】
始めに、システムは、タグに対する方向を求めるために、タグから反射または散乱された再放射RF放射の最大の大きさの方向を調べる(ブロック151)。その後、タグは、タグが質問器ユニット(図14での参照番号400)によって観察される所定範囲の方位角[φminmax]内で水平面内で走査される(ブロック152)。同様に、タグは、所定範囲の垂直位置値(仰角または垂直変位)[Zmin,Zmax]内で垂直面内で走査される(ブロック153)。水平および垂直面内での走査は、タグまたは質問器が移動するときに行われうることは理解されるべきである。一般に、タグと質問器とはどちらも、互いに対する相対運動に関与することができる。
【0115】
RFID用途に関連する高分解能近接場撮像では、大きな周波数帯域幅および広いアスペクト角の走査が採用されることを理解すべきである。そのような条件下では、レンジ分解能とクロスレンジ分解能とが相関される。例えば、周波数帯域幅は0〜20GHzの範囲内にあってよく、方位角は±0°〜±90°の範囲内で変わることができ、垂直位置角度は±0°〜±90°の範囲内にあってよい。
【0116】
周波数走査は、ステップ周波数パルス信号や、比較的長いパルスでの線形周波数変調(LFM)など様々な波形によって、かつ/または所望の周波数帯域をカバーする任意の他の広帯域信号によって行われうる。
【0117】
別法として、周波数走査は、レンジ分解能を直接提供する短いパルス波形を使用することによって代用されうる。
【0118】
望まれるときには、タグからの再放射RF放射(反射または散乱された電磁場の回折パターン)を示すデータが得られ、例えばホストコンピュータ(図14での参照番号421)のデータベースに記憶される(ブロック154)。その後、タグが移動しているときに、測定されたデータが、近接場ISARアルゴリズムによって処理されてよく、タグの要素のパターンのさらなる再構成に必要とされるタグの画像を生成する(ブロック155)。別法として、移動する質問器の場合、近接場SARアルゴリズムが、タグの画像を生成するために使用される。
【0119】
本発明の一実施形態によれば、点rでの移動するタグの画像g(r)は、離散バージョンの近接場ISAR変換
【0120】
【数2】

【0121】
を行うことによって計算され、ここで、G(f,φ,z)は、周波数f、方位角φ、および垂直位置値/仰角zに対する(背景差分後の)較正された測定データのマトリックスを表す。測定データG(f,φ,z)は、振幅および位相ベクトルによって表されてよく、そのベクトルから、同相(I)および直交(Q)位相ベクトル成分が得られうる。好ましくは、データマトリックスG(f,φ,z)は、信号処理装置416のメモリに記憶される。また、式(1)で、k=2πf/cは、波数を表し、cは光の速度であり、rt(φ,z)およびrr(φ,z)は、タグ中心座標系における方位角φおよび垂直位置zに対する送信および受信アンテナの位相中心を表す。さらに、Rは、z=(zmax+zmin)/2に関するアンテナの位相中心から、回転の軸に位置された座標系の原点までの距離を表す。
【0122】
本発明の一実施形態によれば、式(1)における変換は、数値積分によって、すなわち1組の周波数、角度、および仰角でのG(f,φ,z)のサンプルの加算によって直接評価されうる。式(1)の意味は、画像内の各点に関する位相補償を伴う全ての測定値の加算である。
【0123】
本発明の別の実施形態によれば、加算は、直交座標フーリエ格子へのデータの補間、FFTの適用、および非特許文献1のAppendix A, pp.245-254に記載される幾何形状歪矯正の実施によって行われ、この開示を本明細書によって本説明に参照として組み込む。このアルゴリズムは、通常の数値積分方式に基づく計算の速度を上げることができることを理解すべきである。
【0124】
本発明のさらに別の実施形態によれば、式(1)における変換は、その開示を本明細書によって本説明に参照として組み込む非特許文献3に記載されているように、階層データ領域分解および補間手法に基づく高速評価方法を使用することによって行われうる。
【0125】
図16を参照すると、本発明の一実施形態による、本発明のタグの画像を計算するように適合されたマルチレベル領域分解アルゴリズム(MDDA)の実施の概略が図示されている。一般に、MDDAは、データ領域をいくつかのより小さなサブ領域161に分解(細分化)するステップと、それらの対応する低分解能画像162を計算するステップと、その後、補間し、位相を補正し、結果を集約して、所望の高分解能画像163を得るステップとを含む。2レベル領域分解が図16に示されているが、一般に、説明した手法は、必要な変更を加えて、マルチレベル領域分解に関して拡張されうることを理解すべきである。
【0126】
図17は、本発明の一実施形態による、マルチレベル領域分解アルゴリズムのブロック方式の図を示す。階層データ領域分解に続いて、非常に粗い、例えば1ボクセルの画像が、最も細かいレベルの分解で全てのデータサブ領域から生成される(171)。その後、低分解能画像は、補間172と、位相補正173と、集約174とを行われる。特に、図16に示される2レベル分解の場合、隣接するデータ領域に対応する8画像毎に、補間、位相補正、および集約が行われる。補間、位相補正、および画像集約のステップは、所望の高分解能を有する最終画像175が生成される限り繰り返される(176)。
【0127】
通常の数値積分による直接の計算と比較すると、実質的により低いコストで、低分解能画像が、粗いサンプリング格子のみにわたって計算され、その後、細かい格子に補間されるので、MDDAアルゴリズムでの計算節約が実現される。また、特に近接場画像に関して、MDDAアルゴリズムでの計算節約はFFTベース技法よりも良い。
【0128】
ここでは全3次元(3D)画像に関してアルゴリズムが例示されているが、いくつかの場合には、2次元(2D)さらには1次元(1D)画像でも十分でありうることに留意すべきである。例えば、タグへの距離が、ある処理ステップの一部として測定されている場合、クロスレンジ平面(すなわち、タグを読取器につなぐ直線に垂直な平面)内で2D画像のみを計算することができる。タグが、シンボルのラインを1つだけしか備えない場合、タグに含まれる全ての情報を読み取るのに、1D画像でさえ十分でありうる。
【0129】
図15に戻ると、本発明の識別システムによってタグを読み取る方法は、さらに、タグの要素(すなわち、シンボル要素および参照要素)のパターンを再構成するステップ(ブロック156)を含む。再構成は、ISAR(またはSAR)アルゴリズムによって得られる画像を処理するための画像処理ユニット(図14での参照番号418)を動作させることによって行われる。画像処理方法は、タグのSAR/ISAR画像を分析するように構成される。
【0130】
本発明の一実施形態によれば、画像処理方法は、タグの画像内の背景(および/またはタグと共に導入された放射ビームに対する様々な障害物、例えば箱、容器など)をなくし、シンボル要素が提供されるタグの領域を画定することから始まる。背景および/または障害物は、それぞれかなり弱いおよび/または高い強度を有する何らかの特徴的な信号として画像内に現れる。
【0131】
例えば、背景の除去は、タグの画像を示す強度データを、画像の全ての画素に適用される所定の下側しきい値と比較することによって行われうる。それに従って、障害物の除去は、タグの画像を示す強度データを、画像の全ての画素に適用される所定の上側しきい値と比較することによって行われうる。下側および上側しきい値は、予備実験に基づいて、または経験的に設定されうる。したがって、下側しきい値よりも低い、または上側しきい値よりも高い値を有する画像内の強度データは、さらなる考察から外されてよい。さらに、シンボル要素は、下側しきい値と上側しきい値との間の強度範囲内でのパターン中で検出される局所強度極大値として、画像内で定義されうる。
【0132】
本発明の一実施形態によれば、画像処理方法は、さらに、画像内で示される「雑音」強度データを減少するために、背景および/または障害物をなくした後に得られた画像データを空間フィルタリングするステップを含む。フィルタリングは、侵食および膨張など既知の処置を含むことができる(例えば、非特許文献6参照)。次いで、フィルタリング後に得られた画像内の検出された強度極大値が、画像内でのそれらの強度および位置に従って、シンボル要素と解釈される。
【0133】
高レベルの信頼性でシンボル要素が検出されるように、画像処理方法は、さらに、獲得されたデータを処理するため、すなわちSARプロセスのために採用される数値的方法により画像内に現れることがある外れ値および偽検出シンボルをパターンからなくすステップを含む。このステップは、統計パターン認識アルゴリズムを採用することによって行われ、このアルゴリズムは、ピークの強度(高さ)と画像パターンの幾何学的制約に依拠する。
【0134】
具体的には、始めに、シンボル行(本明細書では以後、回帰線とも呼ぶ)の向きが、パターン内で検出された全ての局所強度極大値を使用することによって求められる。回帰線は、タグの表面でのシンボルの推定向きを示す。次いで、方法は、回帰線での局所強度極大ピークを、それらの残差、すなわち計算された回帰線に対する画像内でのそれらのピークの位置の変位に従ってソートするステップを含む。この場合、比較的低い残差を有するピークのみが、シンボルを表すさらなる考察のために選択される。受け入れることができる残差のしきい値は、経験的に設定されてよく、または残差の累積分布プロットを使用することによって計算されてもよい。累積分布プロットは、ある残差値よりも低い値を有する残差の出現の頻度の分布を定義する。例えば、しきい値は、残差累積分布プロットの2次導関数がゼロとなる点と定義されうる。このとき、シンボルは、画像内で検出されたピークの空間分布の分析によって抽出される。
【0135】
図20は、累積分布プロットの一例を例示する。例えば、受け入れることができる残差に関するしきい値として0.8を設定すると、28個のみの1次ピークがシンボルとして受け入れられうる。
【0136】
複数のタグが同じ画像内に示されるとき、画像処理方法は、各タグに関する要素を識別して、各タグに関するパターンを別々に処理するステップも含むことに留意すべきである。
【0137】
図18は、本発明の読取り方法の実施を実演するために使用された本発明の例示的なタグ180を例示する。タグ180は、シンボル要素(コード化されたデータ)182および参照要素(マーク)183など、2つのタイプの回折要素の3つの行181を含む。参照要素183は、タグ180の左右の境界に2つの列として示される。シンボル要素182は、参照要素の間に配置される。タグ180の画像は、図16および17を参照して上述した近接場ISARアルゴリズムによって得られた。近接場ISARアルゴリズムによって得られた画像を処理した後に得られたこのタグの回折要素の再構成パターンが、図19に示される。
【0138】
画像処理方法によって得られるシンボル要素のパターンは、時として、タグ内のシンボルの実際のパターンとは異なることがあることを理解すべきである。これは、画像再構成のステップで提供されるタグの画像が、より高次の回折パターン成分など様々なアーティファクトも含むことがあるという事実により起こりうる。さらに、要素の画像は、シンボル間干渉またはシンボル結合によって歪曲されうる。さらに、いくつかの場合には、タグが上下逆に回転(または表裏逆に反転)されうることも考慮すべきである。
【0139】
図15に戻ると、画像処理方法の後に受信されたパターンの信頼性をチェックするために、本発明の識別システムによってタグを読み取る方法は、さらに、タグの位置を認識し、それに従って、タグが回転または反転されている場合にはタグのパターンを修正するステップ(ブロック157)を含む。
【0140】
同様に、タグを読み取る方法は、画像処理の後に受信されるデータの誤りを訂正するステップ(ブロック158)を含むこともできる。上述したように、パターンを修正するためのステップ157および158を実施するために、タグは、データシンボル要素だけでなく、パリティビットやチェックサムなどの冗長情報を導入するために、例えばタグの周辺領域内に(または、データシンボル要素の一部として含まれうる中間情報シンボルとして)配置された参照要素(マーク)も含むべきである。
【0141】
シンボル要素のパターンは、タグによって担持されるデータを復号する(ブロック159)ために使用される。本発明の一実施形態によれば、データの復号は、数字または英数字形式で符号化されうるタグに記憶されたデータをデスクランブルおよび回復するステップを含む。タグの復号は、シンボル要素によってデータを符号化するために使用される所定のシンボルのコード(言語)に基づく。
【0142】
望まれるときには、タグを読み取る方法は、タグの要素の画像および/または対応する情報データをホストコンピュータ(図14での参照番号421)のモニタ上に表示するステップ(ブロック160)を含むことができる。
【0143】
以上、本発明を好ましい実施形態に関して説明してきたが、本開示の根底にある概念は、本発明のいくつかの目的を実施するための他の構造、システム、およびプロセスの設計のための基礎として容易に利用されうることを、本発明が関係する技術分野の当業者は理解することができる。
【0144】
例えば、図14に示される質問器の無線周波数部分は、別の実装形態によって、例えばスーパーヘテロダイン方式として実現されうる。
【0145】
さらに、位相補償に基づく線形撮像アルゴリズムが採用されうる。これらのアルゴリズムは、誤差逆伝搬、逆投影、時間反転などとしても知られている。
【0146】
同様に、非線形処理によって特徴付けられる逆散乱アルゴリズムも使用されうる。これらのアルゴリズムは、線形撮像技法に比べて高い計算複雑性を有するが、線形撮像アルゴリズムよりも、タグによって担持されるデータの正確な再構成を提供する。
【0147】
また、本明細書で用いられる語句および用語は、説明することを目的とするものであり、限定するものとみなされるべきではないことを理解されたい。
【0148】
したがって、本発明の範囲が、本明細書に記載される例示実施形態によって限定されるものとはみなされないことが重要である。頭記の特許請求の範囲およびそれらの等価範囲で定義される本発明の範囲内で他の変形も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の一実施形態によるシンボル要素の配列を有するRFIDタグの概略平面図である。
【図2】本発明のRFIDタグが物品上または物品内に配置されうる仕様の例を示す図である。
【図3】タグ識別システムによってタグを読み取る一般的な概略図である。
【図4A】静止識別システムによってタグを読み取る例を示す図である。
【図4B】可動識別システムによってタグを読み取る例を示す図である。
【図5】本発明の別の実施形態によるシンボル要素の配列を有するRFIDタグの概略平面図である。
【図6】本発明のタグの要素の回折によって生成される散乱電磁場の例示的な回折パターンを示す図である。
【図7】シンボル要素によってデータタグに情報が符号化されうる仕様の一例を示す図である。
【図8】シンボル要素によってデータタグに情報が符号化されうる仕様の一例を示す図である。
【図9】シンボル要素によってデータタグに情報が符号化されうる仕様の一例を示す図である。
【図10】シンボル要素によってデータタグに情報が符号化されうる仕様の一例を示す図である。
【図11】シンボル要素によってデータタグに情報が符号化されうる仕様の一例を示す図である。
【図12】シンボル要素によってデータタグに情報が符号化されうる仕様の一例を示す図である。
【図13】誤り訂正要素および参照要素を含む例示的なRFIDデータタグの概略図である。
【図14】本発明の一実施形態による識別システムの概略ブロック図である。
【図15】本発明の一実施形態による、本発明の識別システムによってタグを読み取る方法のブロック概略図である。
【図16】本発明の一実施形態による、本発明のタグの画像を計算するように適合されたマルチレベル領域分解アルゴリズム(MDDA)の実装形態の概略図である。
【図17】本発明の一実施形態による、マルチレベル領域分解アルゴリズムのブロック概略図である。
【図18】本発明の技法によって測定される本発明の例示的なタグを示す図である。
【図19】図16および17に示される近接場ISARアルゴリズムによって再構成された図18に示されるタグの画像を示す図である。
【図20】残差の累積分布プロットの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0150】
10 RFIDデータタグ
11 基板層
12 回折シンボル要素
20 物品
30 タグ識別システム
31 質問器、トランスポンダ
32 送信アンテナ
33 受信アンテナ
34 RF放射信号
35 RF信号
36 直線経路
37 曲線経路
42 容器
43 移動コンベア
44、47 ホストコンピュータ
45、48 ワイヤまたはワイヤレスリンク
130 タグ
131 誤り訂正要素
132 参照要素
133 基板
400 質問器ユニット
401 送信アンテナ
402 受信アンテナ
403 タグ
404 可変周波数発生器
405 変調器
406 分割器
407 電力増幅器
408 低雑音増幅器
409 分割器
410、411 RF信号混合器
412 分割器
413 移相器
414 送信(Tx)アンテナ制御モジュール
415 受信(Rx)アンテナ制御モジュール
416 制御装置および信号処理装置(CSP)
417 位置センサユニット
418 画像処理ユニット
419 ホストコンピュータインターフェース
420 直交検波器
421 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグによって担持される機械可読データを示す複数の回折シンボル要素を備える無線周波数識別(RFID)データタグであって、前記回折シンボル要素が、1つの軸に沿った前記回折シンボル要素の寸法が垂直軸に沿った前記回折シンボル要素の寸法と実質的に異なる形状を有し、各回折シンボル要素が、その隣接する要素の方向とは別の方向に向き付けられる無線周波数識別(RFID)データタグ。
【請求項2】
各2つの隣接する要素の方向が互いに垂直である請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項3】
前記タグのデータ情報コードが、前記シンボル要素の寸法と、ある要素からその隣接する要素までのレイアウト距離と、前記要素の存在または不在とから選択される少なくとも1つの特徴によって定義される請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項4】
前記複数の回折シンボル要素の少なくとも一部が、データ誤り訂正のために、前記タグの内容中に冗長情報を導入する請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項5】
前記冗長情報が、パリティビットおよびチェックサムから選択される少なくとも1つの誤り訂正方式に基づく請求項4に記載のRFIDデータタグ。
【請求項6】
前記回折シンボル要素が、基板層の上に堆積される請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項7】
前記回折シンボル要素が、前記タグが関連付けられる物品の構造に組み込まれる請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項8】
前記回折シンボル要素が、RF放射を吸収、散乱、または反射することが可能な材料からなる請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項9】
さらに、前記タグの境界および向きの認識のために配置された少なくとも1つの回折参照要素を備える請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項10】
さらに、前記シンボル要素を区別するために前記シンボル要素の間に配置された複数の回折参照要素を備える請求項1に記載のRFIDデータタグ。
【請求項11】
前記タグによって担持される機械可読データを示す複数の回折要素を備えるRFIDデータタグを読み取るためのシステムであって、前記回折要素が、1つの軸に沿った前記回折要素の寸法が垂直軸に沿った前記回析要素の寸法とは実質的に異なる形状を有し、各回折要素が、その隣接する要素の方向とは別の方向に向き付けられ、
前記タグに向けて所定の偏光でRF放射信号を放出するように構成された送信(Tx)アンテナと、
前記RF放射信号に応答して、前記送信アンテナの偏光に直交する偏光で前記タグによって生成される再放射RF放射を収集し、前記タグによって担持されるデータを示す電磁信号を発生するように構成された受信(Rx)アンテナと、
前記タグによって担持される前記データを求めるために、前記タグに向けて送信されるRF放射信号を発生し、前記受信アンテナによって生成された前記電磁信号を処理するように構成された質問器ユニットと
を備えるシステム。
【請求項12】
前記RFIDデータタグを読み取るためのシステムが静止デバイスであり、一方、前記タグが可動物品と関連付けられる請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記タグが静止物品と関連付けられ、一方、RFIDデータタグを読み取るためのシステムが可動である請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記質問器ユニットが、
(i)送信部(Tx)であって、
前記送信アンテナ(401)に結合され、前記送信アンテナ(401)を電子走査制御するように構成されたTxアンテナ制御モジュール(414)と、
前記Txアンテナ制御モジュール(414)に結合された可変利得を有する電力増幅器(407)と
を含む送信部(Tx)と、
(ii)受信部(Rx)であって、
前記受信アンテナ(402)に結合され、前記送信アンテナ(401)と同期して前記受信アンテナ(402)を電子走査制御するように構成されたRxアンテナ制御モジュール(415)と、
前記Rxアンテナ制御モジュール(415)に結合された可変利得を有する低雑音増幅器(408)と、
可変利得を有する前記低雑音増幅器(408)に結合された直交検波器(420)と
を含む受信部(Rx)と、
(iii)参照RF信号を発生するように構成された可変周波数発生器(404)と、
(iv)前記可変周波数発生器(404)に結合され、前記参照RF信号を変調して変調信号を生成するように構成された変調器(405)と、
(v)前記変調器(405)に結合され、前記変調器(405)からの前記信号を、前記Tx部の可変利得を有する前記出力増幅器(407)と前記Rx部の前記直交検波器(402)とに印加される2つの等しい部分に分割するように構成された第1の分割器(406)と、
(vi)前記可変周波数発生器(404)と、前記変調器(405)と、前記出力増幅器(407)と、前記低雑音増幅器(408)と、前記Txアンテナ制御モジュール(414)と、前記Rxアンテナ制御モジュール(415)とに結合され、それらの動作を管理するように、かつ前記直交検波器(420)によって発生された出力信号を処理するように構成された制御装置および信号処理装置(CSP)(416)と、
(vii)前記タグの位置を提供するように構成された位置センサユニット(417)と、
(viii)CSP(416)によって発生された信号を受信し、前記タグの画像を再構成し、前記タグによって担持されるデータを復号するように構成された画像処理ユニット(418)と、
(ix)前記画像処理ユニット(418)と、位置センサユニット(417)と、前記CSP(416)とに結合されたホストコンピュータインターフェース(419)と
を含む請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記変調信号が、ステップ周波数パルス信号と、線形周波数変調(LFM)信号とから選択される波形によって表される請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
タグによって担持される機械可読データを示す複数の回折要素を備えるRFIDデータタグに記憶されたデータを読み取るための方法であって、前記回折要素が、1つの軸に沿った前記回折要素の寸法が垂直軸に沿った前記回析要素の寸法と実質的に異なる形状を有し、各回折要素が、その隣接する要素の方向とは別の方向に向き付けられ、
前記RFIDデータタグに向けて所定の偏光でRF放射信号を発生して送信するステップと、
前記送信されたRF放射信号に応答して、前記送信されたRF放射信号の前記偏光に直交する偏光で前記タグによって生成される再放射RF放射を収集するステップと、
前記タグによって担持される前記データを求めるために、前記再放射RF放射を処理するステップと
を含む方法。
【請求項17】
RF放射信号を発生して送信する前記ステップおよび前記タグによって生成されるRF放射を収集する前記ステップが、前記タグに対して所望の軌道で読取りシステムを移動させながら実施される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
RF放射信号を発生して送信する前記ステップおよび前記タグによって生成される再放射RF放射を収集する前記ステップが、読取りシステムに対して所望の軌道で前記タグを移動させながら実施される請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記タグによって生成される再放射RF放射を収集する前記ステップが、前記タグに対する方向を求めるために、前記RF放射の最大の大きさの方向を調べるステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記再放射RF放射を処理する前記ステップが、
SARアルゴリズムを行うことによって前記タグの画像を計算するステップと、
前記回折タグの要素のパターンを再構成して認識するステップと、
前記タグによって担持される前記データを復号するステップと
を含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記再放射RF放射を処理する前記ステップが、
ISARアルゴリズムを行うことによって前記タグの画像を計算するステップと、
前記回折タグの要素のパターンを再構成して認識するステップと、
前記タグによって担持される前記データを復号するステップと
を含む請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記RF放射信号を送信する前記ステップおよび前記タグによって生成される前記再放射RF放射を収集する前記ステップが、所定の周波数範囲[fmin,fmax]で、水平面内で前記質問器ユニットによって前記タグが観察される所定範囲の方位角[φminmax]で、かつ垂直面内での所定範囲の垂直位置値[zmin,zmax]で前記タグを走査するステップを含み、
前記ISARアルゴリズムが、離散バージョンの近接場ISAR変換
【数1】

を行うステップを含み、ここで、G(f,φ,z)が、周波数f、方位角φ、および垂直位置zに対する背景差分後の較正された測定データであり、k=2πf/cが波数であり、cが光の速度であり、rt(φ,z)およびrr(φ,z)が、前記タグ中心座標系での方位角φおよび垂直位置zに対する、それぞれ前記送信および受信アンテナの位相中心であり、Rが、z=(zmax+zmin)/2に関するアンテナの位相中心から、回転の軸に位置される前記座標系の原点までの距離である
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記近接場ISAR変換の前記計算が、
前記データ領域をいくつかのより小さなサブ領域に分解するステップと、
前記サブ領域の対応する低分解能画像を計算するステップと、
補間し、位相を補正し、前記低分解能画像を集約するステップと、
前記タグの高分解能画像を得るために、これらのステップを必要に応じて繰り返すステップと
を含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記再放射RF放射を処理する前記ステップが、前記タグの位置を認識するステップと、それに従って、前記タグが回転または反転されている場合に前記タグのパターンを修正するステップとを含む請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記再放射RF放射を処理する前記ステップが、前記画像を計算する前記ステップの後に受信されるデータの誤りを訂正するステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の回折要素が、回折シンボル要素と回折参照要素とを含む群から選択される請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記回折タグの要素の前記パターンを再構成して認識する前記ステップが、
前記タグの前記画像内の背景および障害物をなくし、前記シンボル要素が提供される前記タグの領域を画定するステップと、
背景および/または障害物をなくした後に得られる画像データを空間フィルタリングするステップと、
外れ値および偽検出シンボルを前記画像からなくすステップと、それにより前記画像内のシンボルを定義するステップと
を含む請求項20または21に記載の方法。
【請求項28】
前記背景をなくす前記ステップが、前記タグの前記画像を示す強度データを、前記画像の全ての画素に適用される所定の下側しきい値と比較することによって行われ、前記障害物をなくす前記ステップが、前記タグの前記画像を示す強度データを、前記画像の全ての画素に適用される所定の上側しきい値と比較することによって行われる請求項21に記載の方法。
【請求項29】
外れ値および偽検出シンボルをなくす前記ステップが、
回帰線の向きを求めるステップと、
前記回帰線での局所強度極大ピークを、それらの残差に従ってソートするステップと
を含む請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図19】
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【公表番号】特表2009−529724(P2009−529724A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557893(P2008−557893)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000022
【国際公開番号】WO2007/102142
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508270772)インクシュア・アールエフ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】