説明

無線基地局及び通信方法

【課題】例えば移動端末における信号の送信タイミングを調整しながらも処理負荷を低減する。
【解決手段】無線基地局(101)は、移動端末(300)より送信される送信信号中に離散的に含まれるパイロット信号を取得する取得手段(1517)と、パイロット信号に基づいて、移動端末における送信信号の送信タイミングを調整する調整手段(1520、160)と、パイロット信号の送信周期に基づいて、調整手段により送信タイミングが調整される期間である調整期間を変更する変更手段(1532)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば移動端末との間で無線通信を行う無線基地局、及び無線基地局における通信方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいては、複数の無線基地局を配置すると共に、移動端末(移動局とも言う)と無線基地局との間で無線通信が行われる。これにより、移動端末は、無線基地局を介して各種信号の送受信を行うことができる。無線基地局は、複数の移動端末と通信を行うことがある。従って、無線基地局は、受信した複数の移動端末からの信号を同一タイミングで一括処理することが好ましい。
【0003】
移動端末から送信される信号の同一タイミングでの一括処理を行うための手法として、例えば、移動端末から送信されるパイロット信号を無線基地局が受信すると共に、当該パイロット信号と相関用の基本信号との間の相関処理によって得られる遅延プロファイル情報を無線基地局が生成する手法が一例としてあげられる。より具体的には、例えばLTE(Long Term Evolution)に準拠した無線通信システムでは、当該遅延プロファイル情報に基づいて、信号の送信タイミングを移動端末毎に個別に調整するtiming advance command(タイミングアドバンスコマンド:TS36.213 4.2.3章参照)が無線基地局から移動端末に対して送信される。その結果、移動端末における信号の送信タイミングが個別に調整される。これにより、無線基地局は、複数の移動端末からの信号を同一タイミングで受信することができるため、当該複数の移動端末からの信号を同一タイミングで一括処理することができる。一方で、例えばCDMA(Code Division Multiple Access)に準拠した無線通信システムでは、遅延プロファイル情報に基づいて、無線基地局が受信した複数の信号に対する処理を行うタイミングを無線基地局側で調整することで、当該複数の移動端末からの信号を同一タイミングで一括処理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−72418号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】大藤義顕、「下りリンク高速パケットアクセスにおける各ユーザのスループットに着目したスケジューリング法の特性比較」、信学技報、社団法人電子情報通信学会、2002年3月、RCS2001−291、p.51−58
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した遅延プロファイル情報は、移動端末毎に生成することが望まれる。このため、1つの無線基地局が通信を行う移動端末の数が多くなればなるほど、それだけ遅延プロファイル情報の生成(更には、送信タイミングの調整)に要する処理が増大してしまう。このため、無線基地局のハードウェア構成の大規模化や消費電力の増大を招きかねないという技術的な問題点が生ずる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、例えば移動端末における信号の送信タイミングを調整しながらも処理負荷を低減することが可能な無線基地局及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、取得手段と調整手段と変更手段とを備える無線基地局によって解決され得る。取得手段は、移動端末より送信される送信信号中に含まれるパイロット信号を取得する。パイロット信号は、送信信号中に離散的に含まれている。例えば、送信信号が複数のフレームを含んでいる場合には、複数のフレームのうちの連続する所定数のフレーム毎に一つの又は所定単位数のパイロット信号が含まれる。パイロット信号は、移動端末における送信信号の送信タイミング(言い換えれば、移動端末が送信信号を送信する送信タイミング)を調整するために無線基地局によって参照される信号である。調整手段は、パイロット信号に基づいて、移動端末における送信信号の送信タイミングを調整する。送信タイミングの調整としては、送信タイミングを進める又は遅らせる処理が一例としてあげられる。変更手段は、調整手段により送信タイミングが調整される期間である調整期間を変更する。より具体的には、変更手段は、パイロット信号の送信周期(言い換えれば、無線基地局において受信されるパイロット信号の受信周期)に基づいて調整期間を変更する。
【0009】
上記課題は、取得工程と調整工程と変更工程とを備える通信方法によって解決され得る。取得工程では、上述の取得手段が行う動作と同様の動作が行われる。調整工程では、上述の調整手段が行う動作と同様の動作が行われる。変更工程では、上述の変更手段が行う動作と同様の動作が行われる。尚、通信方法は、無線基地局により行われる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明した無線基地局は、パイロット信号の送信周期に基づいて、移動端末における送信信号の送信タイミングを調整する調整期間を変更することができる。従って、例えば調整期間を短くするように変更すれば、常に最大の調整期間が確保される無線基地局と比較して、無線基地局における処理負荷(例えば、送信タイミングの調整に関する処理負荷等)を低減することができる。これにより、無線基地局のハードウェア構成の規模や消費電力等を低減することができる。
【0011】
以上説明した通信方法によれば、上述した無線基地局と同様の効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態の無線通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の無線通信システムが備える無線基地局の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の無線基地局が備える送信処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態の無線基地局が備える受信処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】タイミング検出部の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】タイミング検出部によって生成されるタイミングの差分(遅延プロファイル)の一例を示すグラフである。
【図7】第1実施形態の無線通信システムが備える移動端末の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】第1実施形態に係る無線基地局の処理(具体的には、TAC平均部及びサーチ範囲設定部の処理)の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9】第1実施形態に係る無線基地局(具体的には、サーチ範囲設定部)によって参照されるサーチ範囲規定情報の一例を示すグラフである。
【図10】第2実施形態の無線基地局が備える受信処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】第2実施形態に係る無線基地局の処理(具体的には、処理量監視部、並びにTAC平均部及びサーチ範囲設定部の処理)の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。
【0014】
(1)第1実施形態
図1から図9を参照して、第1実施形態の無線通信システム1について説明する。
【0015】
(1−1)無線通信システムの全体構成
図1を参照して、第1実施形態の無線通信システム1の全体構成の一例について説明する。図1は、第1実施形態の無線通信システム1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る無線通信システム1は、無線基地局101aと、無線基地局101bと、移動端末300aと、移動端末300bと、移動端末300cと、移動端末300dと、移動端末300eと、移動端末300fと、移動端末300gとを備えている。図1に示す無線基地局101の数及び移動端末300の数は一例であって、無線基地局101の数及び移動端末300の数が図1に示す個数に限定されることはない。以下では、説明の便宜上、無線基地局101a及び無線基地局101bを区別することなく説明する場合には、“無線基地局101”と称して説明を進める。同様に、移動端末300aから300gを区別することなく説明する場合には、“移動端末300”と称して説明を進める。
【0017】
無線基地局101は、セル半径が概ね数kmから十数kmないしは数十kmとなるセル200をカバーする無線基地局(例えば、eNB:evolved NodeB)である。例えば、図1に示す例では、無線基地局101aは、セル200aをカバーする無線基地局であり、無線基地局101bは、セル200bをカバーする無線基地局である。無線基地局101は、自身がカバーするセル200中に位置する移動端末300との間で無線通信を行う。つまり、無線基地局101は、自身がカバーするセル200中に位置する移動端末300との間で通信コネクションを確立すると共に、移動端末300に対してデータ信号の送受信を行う。各無線基地局101がカバーするセル200は、その一部が他のセル200の一部又は全部と重なるように構成されていてもよいし、その全部が他のセル200と重ならないように構成されていてもよい。
【0018】
上述の説明では、セル半径が概ね数kmから十数kmないしは数十kmとなるセル(いわゆる、マクロセル)200をカバーする無線基地局101が例示されている。無線基地局101に加えて又は代えて、セル半径が概ね数百mから1kmとなるセル(いわゆる、マイクロセル)をカバーする無線基地局や、セル半径が概ね数mから十数mないしは数十mとなるセル(いわゆる、フェムトセル)をカバーする無線基地局を配置してもよい。セル半径が上述したサイズ以外のセルをカバーする各種無線基地局を配置してもよい。図1に示す例は、1つの無線基地局101に1つのセル200が対応する例を示しているが、1つの無線基地局101に複数のセル200(ないしは、セクタ)が対応するように構成してもよい。
【0019】
移動端末300は、自身がその内部に位置するセル200に対応する無線基地局101との間でコネクションを確立すると共に、データ信号の送受信を行う移動端末(例えば、UE:User Equipment)である。移動端末300の一例として、携帯電話や、無線通信機能を備える各種情報端末(例えば、PDAや、ミニパソコンや、ノートパソコン等)等があげられる。移動端末300は、無線基地局101(更には、無線基地局101の上位に接続される不図示のコアネットワーク等)を介して、各種サービスないしはアプリケーション(例えば、メールサービスや、音声通話サービスや、WEB閲覧サービスや、パケット通信サービス等)を利用することができる。
【0020】
無線通信システム1として、例えばLTE(Long Term Evolution)ないしはE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)に準拠した無線通信システムが一例としてあげられる。無線通信システム1が、LTEないいしはE−UTRAN以外の任意の規格に準拠していてもよい。
【0021】
(1−2)無線基地局
図2を参照して、第1実施形態の無線通信システム1が備える無線基地局101について説明を進める。図2は、第1実施形態の無線通信システム1が備える無線基地局101の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、無線基地局101は、アンテナ110と、送信RF(Radio Frequency)部1211及び受信RF部1221を備えるRF処理部120と、D/A(Digital to Analog)変換部1311及びA/D(Analog to Digital)変換部1321を備える変換処理部130と、送信処理部140と、受信処理部150と、スケジューラ部160とを備えている。
【0023】
送信処理部140は、無線基地局101から移動端末300に対して送信される下りリンク(Downlink)のデータ信号(以降、適宜“DLデータ信号”と称する)に対する送信処理を行う。より具体的には、DLデータ信号の送信時には、スケジューラ部160は、無線基地局101と通信を行う移動端末300を選択する。スケジューラ部160は、使用する復調方式(変調方式)や伝送レート等も合わせて決定する。送信処理部140は、スケジューラ部160から出力される制御信号に基づき、DLデータ信号に対して変調処理等を行う。送信処理部140は、変調処理等が行われたDLデータ信号をD/A変換部1311に対して出力する。D/A変換部1311は、デジタル信号であるDLデータ信号をアナログ信号に変換すると共に、アナログ信号に変換されたDLデータ信号を送信RF部1211に対して出力する。送信RF部1211は、アナログ信号に変換されたDLデータ信号に対して無線送信処理を行う。これにより、送信処理部140から出力されたベースバンド周波数帯域のデジタル信号が無線周波数帯域のアナログ信号に変換される。その後、アンテナ110を介して、無線送信処理が行われたDLデータ信号が移動端末300に対して送信される。
【0024】
受信処理部150は、移動端末300から無線基地局101に対して送信される上りリンク(Uplink)のデータ信号(以降、適宜“ULデータ信号”と称する)に対する受信処理を行う。より具体的には、ULデータ信号の受信時には、スケジューラ部160は、無線基地局101と通信を行う移動端末300を選択する。スケジューラ部160は、使用する復調方式(変調方式)や伝送レート等も合わせて決定する。受信RF部1221は、アンテナ110を介して受信されたULデータ信号に対して無線受信処理を行うと共に、無線受信処理が行われたULデータ信号をA/D変換部1321に対して出力する。A/D変換部1321は、アナログ信号であるULデータ信号をデジタル信号に変換すると共に、デジタル信号に変換されたULデータ信号を受信処理部150に対して出力する。受信処理部150は、スケジューラ部160から出力される制御信号に基づき、ULデータ信号に対して復調処理等を行う。
【0025】
スケジューラ部160は、上りリンク及び下りリンクの夫々に対して、複数の移動端末300の中から実際に通信を行う移動端末300を選択することが好ましい。通信を行う移動端末300の選択方法としては、回線品質や伝送レート等に基づき算出される指標値に基づく選択が一例としてあげられる。尚、スケジューラ部160における移動端末300の選択処理については、既存の方式を用いてもよい。従って、説明の簡略化のため、ここでの詳細な説明については省略する。
【0026】
図3を参照して、DLデータ信号に対する送信処理を行う送信処理部140についてより詳細に説明する。図3は、第1実施形態の無線基地局101が備える送信処理部140の構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
図3に示すように、送信処理部140は、誤り訂正符号器1411と、データ変調部1412と、データ・パイロット信号多重部1413と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)部1414と、CP(Cyclic Prefix:サイクリックプレフィックス)挿入部1415とを備えている。図3に示す送信処理部140は、LTEないしはWiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)に準拠している無線通信システム1が備える無線基地局101(言い換えれば、下りリンクの変調方式として、例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を採用している無線基地局101)が備える送信処理部140として用いられてよいし、その他の方式に準拠している無線通信システムが備える送信処理部として用いられてもよい。
【0028】
送信処理部140では、スケジューラ部160から出力される各種制御信号に基づいて以下の処理が行われる。誤り訂正符号器1411は、DLデータ信号に対して誤り訂正符号化処理を行うと共に、誤り訂正符号化処理が行われたDLデータ信号をデータ変調部1412に対して出力する。データ変調処理部1412は、誤り訂正符号化処理が行われたDLデータ信号に対して変調処理(例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調処理等)を行うと共に、変調処理が行われたDLデータ信号をデータ・パイロット信号多重部1413に対して出力する。データ・パイロット信号多重部1413は、DLデータ信号に対して既知のパイロット信号を時間多重すると共に、パイロット信号が時間多重されたDLデータ信号をIFFT部1414に対して出力する。IFFT部1414は、パイロット信号が時間多重されたDLデータ信号に対して一定数N(Nは1以上の整数)のサンプル単位でIFFT処理を行う。即ち、IFFT部1414は、一定数Nのデータサンプルをサブキャリア信号成分とみなし且つ該サブキャリア成分に対してIFFT処理を施すことで、DLデータ信号を離散的な時間信号に変換する。IFFT部1414は、離散的な時間信号に変換されたDLデータ信号をCP挿入部1415に対して出力する。CP挿入部1415は、IFFT処理が行われたDLデータ信号(つまり、離散的な時間信号に変換されたDLデータ信号)の一定数Nのサンプルのうちの後部のMサンプル(Mは、M<Nを満たす整数)のコピーであるCPを、上記一定数Nのサンプルの先頭部分に挿入する。CPは巡回的にコピーされているため、CPを挿入した後の(M+N)サンプルの区間では信号が連続している。このため、CPは、隣接パスからの遅延シンボルによる干渉を除去するという役割を果たす。CP挿入部1415は、CPが挿入されたDLデータ信号をD/A変換部1311に対して出力する。DLデータ信号に対して、上述したようにD/A変換部1311におけるD/A変換及び送信RF部1211における送信RF処理が行われる。その後、DLデータ信号は、無線信号としてアンテナ110を介してから移動端末300に対して送信される。これにより、DLデータ信号の送信処理が完了する。
【0029】
図4を参照して、ULデータ信号に対する受信処理を行う受信処理部150についてより詳細に説明する。図4は、第1実施形態の無線基地局101が備える受信処理部150の構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
図4に示すように、受信処理部150は、誤り訂正復号器1511と、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform:逆離散フーリエ変換)部1516と、データ復調部1512と、データ・パイロット信号分離部1413と、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)部1514と、CP除去部1515と、「取得手段」の一実施例に相当するパイロット信号復調部1517と、「調整手段」の一実施例に相当するタイミング検出部1520と、「算出手段」の一実施例に相当するTAC(Timing Advance Command)平均部1531と、「変更手段」の一実施例に相当するサーチ範囲設定部1532を備えている。図4に示す受信処理部150は、LTEに準拠している無線通信システム1が備える無線基地局101(言い換えれば、上りリンクの変調方式の一例としてSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)を採用している無線基地局101)が備える受信処理部150として用いられてよいし、その他の方式に準拠している無線通信システムが備える受信処理部として用いられてもよい。
【0031】
受信処理部150では、スケジューラ部160から出力される各種制御信号に基づいて以下の処理が行われる。アンテナ110を介して受信されたULデータ信号に対して上述したように受信RF部1221における受信RF処理及びA/D変換部1321におけるA/D変換処理が行われる。その後、ULデータ信号は、CP除去部1515に対して出力される。CP除去部1515は、ULデータ信号中のCPを除去すると共に、CPが除去されたULデータ信号をFFT部1514に対して出力する。FFT部1514は、CPが除去されたULデータ信号に対してFFT処理を行うと共に、FFT処理が行われたULデータ信号をデータ・パイロット信号分離部1513に対して出力する。データ・パイロット信号分離部1513は、ULデータ信号中に含まれるパイロット信号を分離する。データ・パイロット信号分離部1513は、パイロット信号が分離されたULデータ信号をデータ復調部1512に対して出力すると共に、分離したパイロット信号をパイロット信号復調部1517に対して出力する。パイロット信号復調部1517は、パイロット信号に対して復調処理を行うと共に、復調処理が行われたパイロット信号をデータ復調部1512に対して出力する。このとき、パイロット信号復調部1517は、復調処理が行われたパイロット信号をタイミング検出部1520及びサーチ範囲設定部1532の夫々に対しても出力する。データ復調部1512は、ULデータ信号に対してパイロット信号に基づいて復調処理を行うと共に、復調処理が行われたULデータ信号をIDFT部1516に対して出力する。IDFT部1516は、復調処理が行われたULデータ信号に対してIDFT処理を行うと共に、IDFT処理が行われたULデータ信号を誤り訂正復号器1511に対して出力する。誤り訂正復号器1511は、IDFT処理が行われたULデータ信号に対して誤り訂正復号処理を行う。これにより、ULデータ信号の受信処理が完了する。
【0032】
受信処理部150は、上述したULデータ信号の受信処理(つまり、復調処理等)と並行して、複数の移動端末300から送信されるULデータ信号の無線基地局101における受信タイミングが一致するようにタイミング調整処理を行う。第1実施形態では、タイミング調整処理の一例として、「3GPP、TS36.213、4.2.3章:Transmission timing adjustments」によって規定されている「timing advance command」を使用するタイミング調整処理について説明する。
【0033】
タイミング検出部1520は、各移動端末300より送信されるULデータ信号に含まれるパイロット信号に基づいてtiming advance commandを生成する。より具体的には、タイミング検出部1520は、各移動端末300より送信されるULデータ信号に含まれるパイロット信号に基づいて、各移動端末300におけるULデータ信号の送信タイミングを検出する。その後、タイミング検出部1520は、検出された送信タイミングと実際の処理基準タイミングとの差分を埋めるようにtiming advance commandを生成する。生成されたtiming advance commandは、スケジューラ部160を介して送信処理部140へと転送される。送信処理部140は、timing advance commandを、DLデータ信号の一部として移動端末300に対して送信する。timing advance commandを受信した移動端末300は、timing advance commandによって指定された期間だけ送信タイミングをずらす(例えば、進める又は遅らせる)。これにより、複数の移動端末300から送信されるULデータ信号の無線基地局101における受信タイミングが一致するように、各移動端末300におけるULデータ信号の送信タイミングの調整処理が行われる。送信タイミングの調整処理は、移動端末300毎に行われることが好ましい。
【0034】
パイロット信号としては、例えば、「3GPP、TS36.211、5.5.2章」に規定されている「Demodulation reference signal(復調参照信号)」や、「3GPP、TS36.211、5.5.3章」に規定されている「Sounding reference signal(サウンディング参照信号)」等が一例としてあげられる。パイロット信号は、予め設定される又は適宜設定される任意の周期で、移動端末300から無線基地局101に対して送信されるULデータ信号中に多重化されることが好ましい。例えば、ULデータ信号を構成する複数フレームのうち予め設定される又は適宜設定される所定数のフレーム毎に1つずつパイロット信号が多重化される。つまり、パイロット信号は、予め設定される又は適宜設定される周期で移動端末300から無線基地局101に対して送信されるデータ信号中に離散的に配置されるように多重化されることが好ましい。
【0035】
図5及び図6を参照して、タイミング検出部1520の構成及び処理についてより詳細に説明する。図5は、タイミング検出部1520の構成の一例を示すブロック図である。図6は、タイミング検出部1520によって生成されるタイミングの差分(遅延プロファイル情報)の一例を示すグラフである。
【0036】
図5に示すように、タイミング検出部1520は、相関検出器1521と、相関検出用信号生成器1522と、電力変換器1523とを備えている。マッチドフィルタ(MF:Matched Filter)等の相関検出器1521は、パイロット信号復調部1517から出力されるパイロット信号と相関検出用信号生成器1522から出力される相関検出用信号(例えば、実際に使用しているパイロット信号と同じ信号)との相関を検出する。相関検出器1521は、得られた相関値を電力変換器1523に対して出力する。電力変換器1523は、相関検出器1521から出力される相関値を2乗して電力変換する。その結果、例えば、図6に示すような遅延プロファイル情報(例えば、縦軸を受信レベルとし、横軸を時間とする相関グラフ)が得られる。タイミング検出部1520は、遅延プロファイル情報に基づいて、移動端末300から送信されているULデータ信号の受信タイミングをサーチする。タイミング検出部1520は、本来希望するタイミング(つまり、無線基地局101における処理基準タイミング)と実際の受信タイミングとの差分(タイミング差)を測定する。例えば、タイミング検出部1520は、本来希望するタイミングと実際の受信タイミング(例えば、一番大きい受信レベルが得られるタイミング)との差分を測定する。その後、タイミング検出部1520は、測定された差分に基づいて、timing advance commandを生成する。
【0037】
第1実施形態では、タイミング検出部1520が処理を行うサーチ期間(例えば、パイロット信号に基づいて遅延プロファイル情報を生成する期間や、遅延プロファイル情報に基づいてtiming advance commandを生成する期間や、これらの期間を合算した期間)が、サーチ範囲設定部1532の処理によって可変に設定される。サーチ範囲設定部1532は、パイロット信号及びTAC平均部1531からの制御信号に基づいて、タイミング検出部1520が処理を行うサーチ期間を設定する。尚、TAC平均部1531及びサーチ範囲設定部1532の処理については後に詳述するため、ここでの詳細な説明については省略する(後述の(1−4)処理説明、並びに図8及び図9等参照)。
【0038】
(1−3)移動端末
図7を参照して、第1実施形態の無線通信システム1が備える移動端末300の構成の一例について説明を進める。図7は、第1実施形態の無線通信システム1が備える移動端末300の構成の一例を示すブロック図である。
【0039】
図7に示すように、移動端末300は、アンテナ310と、送信RF部3211及び受信RF部3221を備えるRF処理部320と、D/A変換部3311及びA/D変換部3321を備える変換処理部330と、送信処理部340と、受信処理部350と、端末制御部360とを備えている。
【0040】
無線基地局101より送信されるDLデータ信号を受信する際には、受信RF部3221は、アンテナ310を介して受信されたDLデータ信号に対して無線受信処理を行うと共に、無線受信処理が行われたDLデータ信号をA/D変換部3321に対して出力する。A/D変換部3321は、アナログ信号であるDLデータ信号をデジタル信号に変換すると共に、デジタル信号に変換されたDLデータ信号を受信処理部350に対して出力する。受信処理部350は、端末制御部360から出力される制御信号に基づき、DLデータ信号に対して復調処理等を行う。これにより、無線基地局101より送信されるDLデータ信号の受信処理が行われる。
【0041】
無線基地局101に対して送信するべきULデータ信号を送信する際には、送信処理部340は、端末制御部360から出力される制御信号に基づき、無線基地局101に対して送信されるULデータ信号に対して変調処理等を行う。送信処理部340は、変調処理等が行われたULデータ信号をD/A変換部3311に対して出力する。D/A変換部3311は、デジタル信号であるULデータ信号をアナログ信号に変換すると共に、アナログ信号に変換されたULデータ信号を送信RF部3211に対して出力する。送信RF部3211は、アナログ信号に変換されたULデータ信号に対して無線送信処理を行う。これにより、送信処理部340から出力されたベースバンド周波数帯域のデジタル信号が無線周波数帯域のアナログ信号に変換される。その後、アンテナ310を介して、無線送信処理が行われたULデータ信号が無線基地局101に対して送信される。これにより、無線基地局101に対して送信するべきULデータ信号の送信処理が行われる。
【0042】
受信処理部350は、復調処理が行われたDLデータ信号からtiming advance commandを抽出すると共に、抽出したtiming advance commandを端末制御部360に対して出力する。端末制御部360は、timing advance commandに応じて、送信処理部340に対して送信タイミングの制御を実施する。以降は、端末制御部360から指示された送信タイミングに合致するように、送信処理部340における変調処理、D/A変換部3311におけるD/A変換処理及び送信RF部3211における無線送信処理が行われる。これにより、timing advance commandに応じたタイミングで移動端末300からのULデータ信号の送信が行われる。
【0043】
(1−4)処理説明
図8及び図9を参照して、第1実施形態に係る無線基地局101の処理(具体的には、TAC平均部1531及びサーチ範囲設定部1532の処理)の流れについて説明する。図8は、第1実施形態に係る無線基地局101の処理(具体的には、TAC平均部1531及びサーチ範囲設定部1532の処理)の流れの一例を示すフローチャートである。図9は、第1実施形態に係る無線基地局101(具体的には、サーチ範囲設定部1532)によって参照されるサーチ範囲規定情報の一例を示すグラフである。
【0044】
図8に示すように、タイミング検出部1520は、各移動端末300より送信されるULデータ信号に含まれるパイロット信号に基づいてtiming advance commandを生成する(ステップS101)。タイミング検出部1520は、生成したtiming advance commandを、スケジューラ部160及びTAC平均部1531の夫々に出力する。
【0045】
TAC平均部1531は、timing advance commandの平均値TA_aveを算出する(ステップS102)。TAC平均部1531は、タイミング検出部1520からtiming advance commandが出力される都度平均値TA_aveを算出してもよいし、所定期間毎に平均値TA_aveを算出してもよいし、その他の態様で平均値TA_aveを算出してもよい。例えば、タイミング検出部1520から順次出力されるtiming advance commandが「TAC#1」、「TAC#2」、・・・、「TAC#n(nは1以上の整数)」である場合には、TAC平均部1531は、timing advance commandの平均値TA_aveとして、「(TAC#1+TAC#2+・・・+TAC#n)/n」を算出する。より具体的には、例えば、タイミング検出部1520から順次出力されるtiming advance commandが「1」、「−2」、「3」である場合には、TAC平均部1531は、timing advance commandの平均値TA_aveとして、「(1+(−2)+3)/3≒0.67」を算出する。
【0046】
ステップS102では、TAC平均部1531は、timing advance commandの絶対値の平均値TA_aveを算出してもよい。例えば、タイミング検出部1520から順次出力されるtiming advance commandが「TAC#1」、「TAC#2」、・・・、「TAC#n」である場合には、TAC平均部1531は、timing advance commandの絶対値の平均値TA_aveとして、「(|TAC#1|+|TAC#2|+・・・+|TAC#n|)/n」を算出してもよい。より具体的には、例えば、タイミング検出部1520から順次出力されるtiming advance commandが「1」、「−2」、「3」である場合には、TAC平均部1531は、timing advance commandの絶対値の平均値TA_aveとして、「(1+2+3)/3=2」を算出してもよい。
【0047】
更に、ステップS102では、TAC平均部1531は、timing advance commandの所定期間中の移動平均値TA_aveを算出してもよい。言い換えれば、TAC平均部1531は、過去に出力された所定数AVEのtiming advance commandの移動平均値TA_aveを算出してもよい。タイミング検出部1520から順次出力されるtiming advance commandが「TAC#1」、「TAC#2」、・・・、「TAC#n」であり且つ移動平均値を算出するための所定数(つまり、移動平均化回数)AVEが「m(m<n)」である場合には、TAC平均部1531は、timing advance commandの移動平均値TA_aveとして、「(TAC#n−m−1+TAC#n−m−2+・・・+TAC#n)/m」を算出してもよい。
【0048】
TAC平均部1531は、平均値TA_aveを算出した回数AVE_totalをカウントアップする(ステップS103)。ステップS103においてカウントアップされる回数AVE_totalは、無線基地局101が通信を開始してからの累計の回数である。TAC平均部1531は、無線基地局101が通信を開始してから平均値TA_aveを算出した累計の回数AVE_totalが、ステップS102において移動平均値TA_aveを算出する際の移動平均化回数AVEよりも小さいかを判定する(ステップS104)。TAC平均部1531は、ステップS104における判定結果を、サーチ範囲設定部1532に対して出力する。
【0049】
ステップS102において移動平均値TA_aveを算出しない(言い換えれば、通常の平均値TA_aveを算出する)場合には、ステップS103及びステップS104の処理は行われなくともよい。この場合には、ステップS103及びステップS104の処理が行われることなく、ステップS106の処理が行われてもよい。
【0050】
ステップS104における判定の結果、平均値TA_aveを算出した回数AVE_totalが移動平均化回数AVEよりも小さいと判定された場合には(ステップS104:Yes)、サーチ範囲設定部1532は、サーチ範囲として、デフォールトの設定範囲(例えば、デフォールト設定された全範囲)を設定する(ステップS108)。その結果、タイミング検出部1520は、デフォールトの設定範囲によって規定される期間中に、パイロット信号に基づいて遅延プロファイル情報を生成したり、遅延プロファイル情報に基づいてtiming advance commandを生成したりする。
【0051】
ステップS104における判定の結果、平均値TA_aveを算出した回数AVE_totalが移動平均化回数AVEよりも小さくないと判定された場合には(ステップS104:No)、TAC平均部1531は、ステップS102において算出された平均値TA_aveが、所定の閾値TA_thよりも小さいか否かを判定する(ステップS106)。
【0052】
ステップS106における判定の結果、平均値TA_aveが、所定の閾値TA_thよりも小さくないと判定された場合には(ステップS106:No)、サーチ範囲設定部1532は、サーチ範囲として、デフォールトの設定範囲を設定する(ステップS108)。その結果、タイミング検出部1520は、デフォールトの設定範囲によって規定される期間中に、パイロット信号に基づいて遅延プロファイル情報を生成したり、遅延プロファイル情報に基づいてtiming advance commandを生成したりする。
【0053】
ステップS106における判定の結果、平均値TA_aveが、所定の閾値TA_thよりも小さいと判定された場合には(ステップS106:Yes)、サーチ範囲設定部1532は、パイロット信号(つまり、timing advance commandを算出する際に参照するパイロット信号)の送信周期に応じてサーチ範囲を設定する(ステップS107)。その結果、タイミング検出部1520は、デフォールトの設定範囲とは異なるサーチ範囲によって規定される期間中に、パイロット信号に基づいて遅延プロファイル情報を生成したり、遅延プロファイル情報に基づいてtiming advance commandを生成したりする。
【0054】
サーチ範囲設定部1532は、設定されるサーチ範囲がデフォールトの設定範囲よりも短くなる(小さくなる)ように、サーチ範囲を設定することが好ましい。サーチ範囲設定部1532は、パイロット信号の送信周期が短くなればなるほどサーチ範囲が短くなる(小さくなる)一方でパイロット信号の送信周期が長くなればなるほどサーチ範囲が長くなる(大きくなる)ように、サーチ範囲を設定することが好ましい。或いは、サーチ範囲設定部1532は、パイロット信号の送信周期とタイミング検出部1520における処理との関係性に基づいて、パイロット信号の送信周期に対して任意の又は適切な態様で変化するようにサーチ範囲を設定してもよい。
【0055】
ステップS107におけるサーチ範囲の設定は、無線基地局101内部において予め規定されているサーチ範囲規定情報に基づいて行われてもよい。例えば、サーチ範囲設定部1531は、図9に示すように、パイロット信号の送信周期が短くなればなるほどサーチ範囲が短くなる一方でパイロット信号の送信周期が長くなればなるほどサーチ範囲が長くなる(但し、サーチ範囲の上限がデフォールトの設定範囲となる)相関関係を規定するサーチ範囲規定情報(サーチ範囲規定グラフ)に基づいてサーチ範囲を設定してもよい。サーチ範囲を好適に設定することができる限りは、サーチ範囲規定情報の具体的な態様は限定されない。サーチ範囲規定情報の一例として、例えば、パイロット信号の送信周期を変数とする所定の数式(或いは、関数ないしはグラフ)や、パイロット信号の送信周期を1つの項目として含む所定のテーブル(或いは、リストないしはデータベース)等があげられる。
【0056】
上述した処理は、移動端末300毎に行われることが好ましい。例えば、無線基地局101が、移動端末300a及び300bの双方と通信を行っている場合には、移動端末300aを対象とするステップS101からステップS108までの処理と、移動端末300bを対象とするステップS101からステップS108までの処理とが、別個に又は並行して行われることが好ましい。
【0057】
第1実施形態の無線基地局101は、サーチ範囲を可変に設定することができる。例えば、第1実施形態の無線基地局101は、サーチ範囲がデフォールトの設定範囲よりも短くなるように、サーチ範囲を設定することができる。このため、常にデフォールトの設定範囲(つまり、最大のサーチ範囲)を用いる無線基地局と比較して、無線基地局101における処理負荷(例えば、パイロット信号に基づく遅延プロファイル情報の生成や、遅延プロファイル情報に基づくtiming advance commandの生成に係る処理負荷)を低減することができる。これにより、無線基地局101のハードウェア構成の規模や消費電力等を低減することができる。
【0058】
第1実施形態の無線基地局101は、パイロット信号の送信周期に基づいてサーチ範囲を設定することができる。パイロット信号の送信周期が相対的に長ければ、パイロット信号の送信が行われてから次のパイロット信号が送信されるまでの間に移動端末300が移動する距離が大きくなると考えられる。このため、移動端末300と無線基地局101との間の通信品質が大きく変わりかねない。第1実施形態の無線基地局101は、パイロット信号の送信周期が長ければ長いほど、サーチ期間を長くする(つまり、より長い間又は高頻度に遅延プロファイル情報の生成やtiming advance commandの生成を行う)ことができる。従って、無線基地局101は、移動端末300と無線基地局101との間の通信品質が大きく変わりかねない状況下において、刻一刻と変わりかねない通信品質に応じた適切に送信タイミングの調整を行うことができる。
【0059】
パイロット信号の送信周期が相対的に短ければ、パイロット信号の送信が行われてから次のパイロット信号が送信されるまでの間に移動端末300が移動する距離が小さくなると考えられる。このため、移動端末300と無線基地局101との間の通信品質が大きく変わる可能性は相対的に低い。第1実施形態の無線基地局101は、パイロット信号の送信周期が短ければ短いほど、サーチ期間を短くする(つまり、短時間の間に又は低頻度に遅延プロファイル情報の生成やtiming advance commandの生成を行う)ことができる。従って、無線基地局101は、移動端末300と無線基地局101との間の通信品質が大きく変わる可能性が相対的に低い状況下では、送信タイミングの調整頻度を低減させることによって処理負荷を低減させることができる。このため、第1実施形態の無線基地局101は、パイロット信号の送信周期に基づいてサーチ範囲を適切に設定することができる。
【0060】
移動端末300における送信タイミングの調整量が相対的に小さければ(つまり、平均値TA_aveが所定の閾値TA_thより小さければ)、移動端末300と無線基地局101との間の通信品質が相対的に安定しているとも想定される。従って、送信タイミングの調整をそれほど高頻度に又は長時間行わなくともよいとも考えられる。第1実施形態の無線基地局101は、移動端末300における送信タイミングの調整量が相対的に小さい場合には、サーチ範囲がデフォールトの設定範囲よりも短くなるように、サーチ範囲を設定することができる。移動端末300における送信タイミングの調整量が相対的に大きければ(つまり、平均値TA_aveが所定の閾値TA_th以上であれば)、移動端末300と無線基地局101との間の通信品質が安定していないとも想定される。従って、送信タイミングの調整を高頻度に又は長時間行うことが好ましいとも考えられる。第1実施形態の無線基地局101は、サーチ範囲をデフォールトの設定範囲のまま維持することができる。第1実施形態の無線基地局101は、通信品質の安定性を考慮した上でサーチ範囲を可変に設定することができる。このため、第1実施形態の無線基地局101は、通信品質の安定性を妨げることなく、上述した各種効果を享受することができる。
【0061】
上述の閾値TA_thとしては、通信品質の安定性と送信タイミングとの調整量を考慮しながら、適切な通信品質を維持できるような値が設定されることが好ましい。また、閾値TA_thは、移動端末300毎に設定されることが好ましい。
【0062】
第1実施形態の無線基地局101は、平均値TA_thとして、timing advance commandの絶対値の平均値を用いることができる。このため、第1実施形態の無線基地局101は、timing advance commandが正の値及び負の値の間で大きく変動する場合においても、通信品質が安定しているか否かを平均値TA_thから適切に認識することができる。従って、第1実施形態の無線基地局101は、上述したように、通信品質の安定性をより一層妨げることなく上述した各種効果を享受することができる。
【0063】
第1実施形態の無線基地局101は、平均値TA_thとして、timing advance commandの移動平均値を用いることができる。これにより、過去の一部の期間中のtiming advance commandの大きな悪化(例えば、瞬間的な品質の悪化)に悪影響を受けることなく、直近のないしは現在の通信品質を適切に考慮した平均値TA_thを算出することができる。従って、第1実施形態の無線基地局101は、上述したように、通信品質の安定性をより一層妨げることなく上述した各種効果を享受することができる。
【0064】
第1実施形態の無線基地局101は、平均値TA_aveを算出した回数AVE_totalが移動平均化回数AVEよりも小さい場合には、サーチ範囲をデフォールトの設定範囲のまま維持することができる。これにより、平均値を算出した回数が少ないがゆえに精度が低い可能性がある平均値TA_aveに基づくサーチ範囲の設定が行われることはなくなる。従って、通信品質の安定性をより一層妨げることなく上述した各種効果を享受することができる。
【0065】
上述の説明は、LTE(又は、Wimax)方式に準拠した無線通信システムについて説明している。しかしながら、上述した方式はあくまで一例であり、その他の方式(ないしは、規格)に準拠する無線通信システムに対して、上述した無線基地局101を適用してもよい。
【0066】
LTE方式等に準拠した無線通信システムでは、上述したパイロット信号は、ULデータ信号を構成する複数のフレームの全てに挿入されなくともよいことが規格により定められている。より具体的には、上述したパイロット信号は、ULデータ信号を構成する複数のフレームのうちの任意のフレームに挿入してもよいことが規格により定められている。一方で、CDMA方式に準拠した無線通信システムでは、上述したパイロット信号は、ULデータ信号を構成する複数のフレームの全てに挿入されることが規格により定められている。このため、上述した第1実施形態の処理は、CDMA方式に準拠した無線通信システムにおいて行われている既存のサーチ範囲の設定(例えば、パスサーチ期間の設定)とは大きく異なるものであることを付記する。
【0067】
(1−5)変形処理例
第1実施形態の無線基地局101の変形処理例について説明する。上述の説明では、無線基地局101は、パイロット信号の送信周期に基づいてサーチ範囲を設定している。変形処理例では、パイロット信号の送信周期及び送信タイミングの実際の調整量(つまり、timing advance command)に基づいてサーチ範囲の設定が行われる。
【0068】
具体的には、変形処理例では、無線基地局101は、サーチ範囲を可変に設定する場合(つまり、図8のステップS107の処理を行う場合)には、サーチ範囲が、(timing advance commandの平均値TA_ave×timing advance commandの1ステップの調整量TA_step×所定の係数k)+(移動端末300の移動速度v×パイロット信号の送信周期T/光速度c)となるようにサーチ範囲を設定する。つまり、変形処理例では、無線基地局101は、パイロット信号の送信周期が短くなればなるほどサーチ範囲が短くなるようにサーチ範囲を設定することに加えて、送信タイミングの実際の調整量が少なくなればなるほどサーチ範囲が短くなるようにサーチ範囲を設定している。
【0069】
変形処理例では、無線基地局101は、移動端末300の移動速度vに関する情報を取得することが好ましい。一例として、無線基地局101は、フェージング周波数に基づいて移動端末300の移動速度vを推定してもよい。より具体的には、無線基地局101は、移動端末300の移動速度v=搬送波の波長×フェージング周波数という数式に基づいて、移動端末300の移動速度vを推定してもよい。
【0070】
変形処理例によっても、パイロット信号の送信周期に基づいてサーチ範囲を設定することができる。このため、上述した各種効果と同一の効果を適切に享受することができる
変形処理例では、送信タイミングの実際の調整量に基づいてサーチ範囲を設定することができる。送信タイミングの実際の調整量が相対的に多ければ、移動端末300と無線基地局101との間の通信品質が安定していないとも想定される。従って、送信タイミングの調整を高頻度に又は長時間行うことが好ましいとも考えられる。変形処理例では、送信タイミングの実際の調整量が多ければ多いほど、サーチ期間を長くする(つまり、より長い間又は高頻度に遅延プロファイル情報の生成やtiming advance commandの生成を行う)ことができる。送信タイミングの実際の調整量が相対的に少なければ、移動端末300と無線基地局101との間の通信品質が安定しているとも想定される。従って、送信タイミングの調整をそれほど高頻度に又は長時間行わなくともよいとも考えられる。変形処理例では、送信タイミングの実際の調整量少なければ少ないほど、サーチ期間を短くする(つまり、短時間の間に又は低頻度に遅延プロファイル情報の生成やtiming advance commandの生成を行う)ことができる。このため変形処理例では、送信タイミングの実際の調整量に基づいてサーチ範囲を適切に設定することができる。
【0071】
上述した式はあくまで一例であり、変形例におけるサーチ範囲の設定の処理が上述した式に限定されることはない。但し、パイロット信号の送信周期が短くなればなるほどサーチ範囲が短くなるようにサーチ範囲を設定することが好ましい。つまり、パイロット信号の送信周期とサーチ範囲とが比例するようにサーチ範囲を設定することが好ましい。同様に、送信タイミングの実際の調整量少なくなればなるほどサーチ範囲が短くなるようにサーチ範囲を設定することが好ましい。つまり、送信タイミングの実際の調整量とサーチ範囲とが比例するようにサーチ範囲を設定することが好ましい。
【0072】
(2)第2実施形態
図10及び図11を参照して、第2実施形態の無線通信システム2について説明する。第2実施形態の無線通信システム2では、第1実施形態の無線通信システム1と比較して、無線基地局102の構成及び処理の一部(より具体的には、無線基地局102が備える受信処理部151の構成及び処理)が異なっている。以下、第2実施形態の無線通信システム2について、第1実施形態の無線通信システム1との相違点(つまり、無線基地局102)を中心に説明を進める。第1実施形態の無線通信システム1と同一の構成及び処理については、同一の参照符号及びステップ番号を付してその詳細な説明については省略する。
【0073】
第2実施形態の無線通信システム2における全体構成及び移動端末300の構成は、第1実施形態の無線通信システム1における全体構成及び移動端末300の構成と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0074】
(2−1)無線基地局
図10を参照して、第2実施形態の無線通信システム2が備える無線基地局102について説明する。以下の説明では、第2実施形態の無線基地局102における受信処理部151以外の構成(つまり、RF処理部120、変換処理部130、送信処理部140及びスケジューラ部160)が、第1実施形態の無線基地局101と同一となる例について説明する。従って、以下では説明の簡略化のため、第2実施形態の無線基地局102における受信処理部151について説明を進める。図10は、第2実施形態の無線基地局102における受信処理部151の構成の一例を示すブロック図である。
【0075】
図10に示すように、第2実施形態の無線基地局102における受信処理部151は、第1実施形態の無線基地局101における受信処理部150と同様に、誤り訂正復号器1511と、IDFT部1516と、データ復調部1512と、データ・パイロット信号分離部1413と、FFT部1514と、CP除去部1515と、パイロット信号復調部1517と、タイミング検出部1520と、TAC平均部1531と、サーチ範囲設定部1532を備えている。
【0076】
第2実施形態の無線基地局102における受信処理部151は更に、「検出手段」の一実施例に相当する処理量監視部1533を備えている。処理量監視部1533は、無線基地局102の各構成要素の稼動状況を収集すると共に、当該稼動状況から無線基地局102の処理量Pを算出する。或いは、処理量監視部1533は、無線基地局102の各構成要素のうちの受信処理部151内の各種構成要素の稼動状況を収集すると共に、当該稼動状況から受信処理部151の処理量Pを算出する。処理量Pとしては、任意のパラメータを採用してもよいが、無線基地局102(或いは、受信処理部151)の負荷率や稼働率等が一例として例示される。
【0077】
(2−2)処理説明
図11を参照して、第2実施形態に係る無線基地局102の処理(具体的には、処理量監視部1533、並びにTAC平均部1531及びサーチ範囲設定部1532の処理)の流れについて説明する。図11は、第2実施形態に係る無線基地局102の処理(具体的には、処理量監視部1533、並びにTAC平均部1531及びサーチ範囲設定部1532の処理)の流れの一例を示すフローチャートである。
【0078】
図11に示すように、タイミング検出部1520は、各移動端末300より送信されるULデータ信号に含まれるパイロット信号に基づいてtiming advance commandを生成する(ステップS101)。TAC平均部1531は、timing advance commandの平均値TA_aveを算出する(ステップS102)。TAC平均部1531は、平均値TA_aveを算出した回数AVE_totalをカウントアップする(ステップS103)。
【0079】
処理量監視部1533は、算出した処理量Pが所定の閾値P_thよりも小さいか否かを判定する(ステップS111)。
【0080】
ステップS111における判定の結果、受信処理部151の処理量Pが所定の閾値P_thよりも小さいと判定された場合には(ステップS111:Yes)、サーチ範囲設定部1532は、サーチ範囲として、デフォールトの設定範囲を設定する(ステップS108)。
【0081】
ステップS111における判定の結果、受信処理部151の処理量Pが所定の閾値P_thよりも小さくないと判定された場合には(ステップS111:No)、TAC平均部1531は、無線基地局101が通信を開始してから平均値TA_aveを算出した累計の回数AVE_totalが、ステップS102において移動平均値TA_aveを算出する際の移動平均化回数AVEよりも小さいかを判定する(ステップS104)。
【0082】
ステップS104における判定の結果、平均値TA_aveを算出した回数AVE_totalが移動平均化回数AVEよりも小さいと判定された場合には(ステップS104:Yes)、サーチ範囲設定部1532は、サーチ範囲として、デフォールトの設定範囲を設定する(ステップS108)。
【0083】
ステップS104における判定の結果、平均値TA_aveを算出した回数AVE_totalが移動平均化回数AVEよりも小さくないと判定された場合には(ステップS104:No)、TAC平均部1531は、ステップS102において算出された平均値TA_aveが、所定の閾値TA_thよりも小さいか否かを判定する(ステップS106)。
【0084】
ステップS106における判定の結果、平均値TA_aveが、所定の閾値TA_thよりも小さくないと判定された場合には(ステップS106:No)、サーチ範囲設定部1532は、サーチ範囲として、デフォールトの設定範囲(例えば、デフォールト設定された全範囲)を設定する(ステップS108)。
【0085】
ステップS106における判定の結果、平均値TA_aveが、所定の閾値TA_thよりも小さいと判定された場合には(ステップS106:Yes)、サーチ範囲設定部1532は、パイロット信号(つまり、timing advance commandを算出する際に参照するパイロット信号)の送信周期に応じてサーチ範囲を設定する(ステップS107)。
【0086】
第2実施形態の無線基地局102は、上述した第1実施形態の無線基地局101が享受する各種効果と同様の効果を享受することができる。
【0087】
第2実施形態の無線基地局102は、無線基地局102(或いは、受信処理部151)の処理量Pに応じて、サーチ範囲を可変に設定するか又はサーチ範囲をデフォールトの設定範囲に設定するかを決定することができる。より具体的には、第2実施形態の無線基地局102は、無線基地局102(或いは、受信処理部151)の処理量Pが相対的に低い場合には、サーチ範囲をデフォールトの設定範囲に設定することができる。つまり、無線基地局102(或いは、受信処理部151)の処理量Pが相対的に低いがゆえに処理能力に余裕がある場合には、サーチ範囲をデフォールトの設定範囲に設定する(言い換えれば、相対的に長くなるように設定する)ことができる。サーチ範囲をデフォールトの設定範囲に設定したとしても、処理能力に余裕があるがゆえに、無線基地局102(或いは、受信処理部151)は、遅延プロファイル情報の生成やtiming advance commandの生成を適切に行うことができる。従って、通信品質のより一層の安定化を適切に図ることができる。一方で、第2実施形態の無線基地局102は、無線基地局102(或いは、受信処理部151)の処理量Pが相対的に高い場合には、サーチ範囲を可変に設定することができる。つまり、無線基地局102(或いは、受信処理部151)の処理量Pが相対的に高いがゆえに処理能力に余裕がない場合には、サーチ範囲を可変に設定する(言い換えれば、相対的に短くなるように設定する)ことができる。従って、遅延プロファイル情報の生成やtiming advance commandの生成に要する処理負荷を低減することができる。このため、無線基地局102(或いは、受信処理部151)の処理能力に余裕がないことに起因する処理の不安定化を抑制することができる。
【0088】
上述の閾値P_thとしては、無線基地局102における処理の安定性を考慮しながら、適切な通信品質(或いは、処理品質)を維持できるような値が設定されることが好ましい。また、閾値P_thは、無線基地局102に対して共通に設定されることが好ましい。つまり、無線基地局102が複数の移動端末300と通信をする場合であっても、閾値P_thは、複数の移動端末300に共通に設定されることが好ましい。
【0089】
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0090】
(付記1)
移動端末より送信される送信信号中に離散的に含まれ且つ前記移動端末における前記送信信号の送信タイミングを調整するために参照されるパイロット信号を取得する取得手段と、前記パイロット信号に基づいて、前記移動端末における前記送信信号の送信タイミングを調整する調整手段と、前記パイロット信号の送信周期に基づいて、前記調整手段により前記送信タイミングが調整される期間である調整期間を変更する変更手段とを備えることを特徴とする無線基地局。
【0091】
(付記2)
前記変更手段は、前記調整期間の初期設定値と比較して前記調整期間が短くなるように前記調整期間を変更することを特徴とする付記1に記載の無線基地局。
【0092】
(付記3)
前記変更手段は、前記パイロット信号の送信周期が短くなるほど前記調整期間が短くなるように前記調整期間を変更することを特徴とする付記2に記載の無線基地局。
【0093】
(付記4)
前記変更手段は、前記パイロット信号の送信周期及び前記送信タイミングの調整量の夫々に基づいて前記調整期間を変更することを特徴とする付記1から3のいずれか一項に記載の無線基地局。
【0094】
(付記5)
前記変更手段は、前記調整期間が、前記送信タイミングの調整量に比例する第1パラメータ及び前記パイロット信号の送信周期に比例する第2パラメータの和と一致するように前記調整期間を変更することを特徴とする付記4に記載の無線基地局。
【0095】
(付記6)
前記変更手段は、前記送信タイミングの調整量の平均値がTAであり、所定の係数がkであり、前記パイロット信号の送信周期がTであり、前記移動端末の移動速度がvであり、光速度がcである場合に、前記調整期間がTA×k+(T×v)/cとなるように前記調整期間を変更することを特徴とする付記4に記載の無線基地局。
【0096】
(付記7)
前記送信タイミングの調整量の平均値を算出する算出手段を更に備え、前記変更手段は、前記算出手段により算出される前記送信タイミングの調整量の平均値が所定の第1閾値未満となる場合に、前記調整期間を変更することを特徴とする付記1から6のいずれか一項に記載の無線基地局。
【0097】
(付記8)
前記算出手段は、前記送信タイミングの調整量の絶対値の平均値を算出し、前記変更手段は、前記算出手段により算出される前記送信タイミングの調整量の絶対値の平均値が前記第1閾値未満となる場合に、前記調整期間を変更することを特徴とする付記7に記載の無線基地局。
【0098】
(付記9)
前記算出手段は、前記送信タイミングの調整量の所定期間中の移動平均値を算出し、前記変更手段は、前記算出手段により算出される前記送信タイミングの調整量の所定期間中の移動平均値が前記第1閾値未満となる場合に、前記調整期間を変更することを特徴とする付記7又は8に記載の無線基地局。
【0099】
(付記10)
前記算出手段は、前記送信タイミングの調整量の所定期間中の移動平均値に加えて、当該無線基地局が通信を開始してから前記移動平均値を算出した累計回数及び前記移動平均値を算出する際の移動平均化回数の夫々を算出し、前記変更手段は、前記累計回数が前記移動平均化回数未満となる場合に、前記調整期間を変更しないことを特徴とする付記9に記載の無線基地局。
【0100】
(付記11)
当該無線基地局における処理負荷を検出する検出手段を更に備え、前記変更手段は、(i)前記検出手段により検出される前記処理負荷が所定の第2閾値以上となる場合に前記調整期間を変更し、(ii)前記検出手段により検出される前記処理負荷が所定の第2閾値未満となる場合に前記調整期間を変更しないことを特徴とする付記1から10のいずれか一項に記載の無線基地局。
【0101】
(付記12)
当該無線基地局は、LTE(Long Term Evolution)方式又はWiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)方式に準拠した無線基地局であることを特徴とする付記1から11のいずれか一項に記載の無線基地局。
【0102】
(付記13)
移動端末と通信を行う無線基地局における通信方法であって、前記移動端末より送信される送信信号中に離散的に含まれ且つ前記移動端末における前記送信信号の送信タイミングを調整するために参照されるパイロット信号を取得する取得工程と、前記パイロット信号に基づいて、前記移動端末における前記送信信号の送信タイミングを調整する調整工程と、前記パイロット信号の送信周期に基づいて、前記調整工程において前記送信タイミングが調整される期間である調整期間を変更する変更工程とを備えることを特徴とする通信方法。
【符号の説明】
【0103】
1 無線通信システム
101、102 無線基地局
110 アンテナ
120 RF処理部
1211 送信RF部
1221 受信RF部
130 変換処理部
1311 D/A変換部
1321 A/D変換部
140 送信処理部
1411 誤り訂正符号器
1412 データ変調部
1413 データ・パイロット信号多重部
1414 IFFT部
1415 CP挿入部
150 受信処理部
1511 誤り訂正復号器
1512 データ復調部
1513 データ・パイロット信号分離部
1514 FFT部
1515 CP除去部
1516 IDFT部
1517 パイロット信号復調部
1520 タイミング検出部
1531 TAC平均部
1532 サーチ範囲設定部
1533 処理量監視部
160 スケジュール部
200 セル
300 移動端末
310 アンテナ
320 RF処理部
3211 送信RF部
3221 受信RF部
330 変換処理部
3311 D/A変換部
3321 A/D変換部
340 送信処理部
350 受信処理部
360 端末制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末より送信される送信信号中に離散的に含まれ且つ前記移動端末における前記送信信号の送信タイミングを調整するために参照されるパイロット信号を取得する取得手段と、
前記パイロット信号に基づいて、前記移動端末における前記送信信号の送信タイミングを調整する調整手段と、
前記パイロット信号の送信周期に基づいて、前記調整手段により前記送信タイミングが調整される期間である調整期間を変更する変更手段と
を備えることを特徴とする無線基地局。
【請求項2】
前記変更手段は、前記調整期間の初期設定値と比較して前記調整期間が短くなるように前記調整期間を変更することを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記変更手段は、前記パイロット信号の送信周期が短くなるほど前記調整期間が短くなるように前記調整期間を変更することを特徴とする請求項2に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記変更手段は、前記パイロット信号の送信周期及び前記送信タイミングの調整量の夫々に基づいて前記調整期間を変更することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の無線基地局。
【請求項5】
前記変更手段は、前記調整期間が、前記送信タイミングの調整量に比例する第1パラメータ及び前記パイロット信号の送信周期に比例する第2パラメータの和と一致するように前記調整期間を変更することを特徴とする請求項4に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記送信タイミングの調整量の平均値を算出する算出手段を更に備え、
前記変更手段は、前記算出手段により算出される前記送信タイミングの調整量の平均値が所定の第1閾値未満となる場合に、前記調整期間を変更することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の無線基地局。
【請求項7】
前記算出手段は、前記送信タイミングの調整量の絶対値の平均値を算出し、
前記変更手段は、前記算出手段により算出される前記送信タイミングの調整量の絶対値の平均値が前記第1閾値未満となる場合に、前記調整期間を変更することを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記算出手段は、前記送信タイミングの調整量の所定期間中の移動平均値を算出し、
前記変更手段は、前記算出手段により算出される前記送信タイミングの調整量の所定期間中の移動平均値が前記第1閾値未満となる場合に、前記調整期間を変更することを特徴とする請求項6又は7に記載の無線基地局。
【請求項9】
当該無線基地局における処理負荷を検出する検出手段を更に備え、
前記変更手段は、(i)前記検出手段により検出される前記処理負荷が所定の第2閾値以上となる場合に前記調整期間を変更し、(ii)前記検出手段により検出される前記処理負荷が所定の第2閾値未満となる場合に前記調整期間を変更しないことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の無線基地局。
【請求項10】
移動端末と通信を行う無線基地局における通信方法であって、
前記移動端末より送信される送信信号中に離散的に含まれ且つ前記移動端末における前記送信信号の送信タイミングを調整するために参照されるパイロット信号を取得する取得工程と、
前記パイロット信号に基づいて、前記移動端末における前記送信信号の送信タイミングを調整する調整工程と、
前記パイロット信号の送信周期に基づいて、前記調整工程において前記送信タイミングが調整される期間である調整期間を変更する変更工程と
を備えることを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−199356(P2011−199356A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60769(P2010−60769)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】