無線基地局装置、無線部制御装置及び無線通信方法
【課題】セルエッジ付近の端末の通信品質を良好にすること。
【解決手段】本実施形態に係る無線基地局装置は、無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定する受信電力測定部104と、無線端末との間で複数の無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成するアンテナ情報作成部109と、受信電力の測定結果とアンテナの組み合わせを表す情報とをもとに無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択するアンテナ選択部111と、選択されたアンテナの組み合わせにしたがって複数の無線部の無線制御を行う信号処理部103と、マクロダイバーシティ通信の信号品質とアンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積する履歴情報管理部106とを具備し、アンテナ情報作成部109は、マクロダイバーシティ履歴情報をもとにアンテナの組み合わせを表す情報を更新する。
【解決手段】本実施形態に係る無線基地局装置は、無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定する受信電力測定部104と、無線端末との間で複数の無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成するアンテナ情報作成部109と、受信電力の測定結果とアンテナの組み合わせを表す情報とをもとに無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択するアンテナ選択部111と、選択されたアンテナの組み合わせにしたがって複数の無線部の無線制御を行う信号処理部103と、マクロダイバーシティ通信の信号品質とアンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積する履歴情報管理部106とを具備し、アンテナ情報作成部109は、マクロダイバーシティ履歴情報をもとにアンテナの組み合わせを表す情報を更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線端末との間で無線通信を行う無線基地局装置、無線部制御装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動無線通信システムの高度化・高速化が進み、WiMAXやLTE、XGPシステムなどの通信システムにおいて100Mbpsを超える理論速度を持った無線通信実現についての検討が行われている。無線通信の高速化を実現するための技術として、基地局がアンテナを複数持ち、空間多重を行うことにより端末との間の通信速度を向上するMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が挙げられ、多くの次世代移動無線通信システムにおいて適用が検討されている。
【0003】
しかし、MIMOはセル中心部の速度向上が見込める半面、セルエッジ付近での通信劣化が問題とされてきた。そこで、異なる基地局のアンテナを用いて端末の受信電力を向上させるマクロダイバーシティについての検討が進められ、セルエッジ付近に存在する端末の利得向上技術として重要視されている。マクロダイバーシティは、複数の基地局を用いた通信により端末の利得向上を実現するため、基地局をまたがるアンテナ制御と通信方式が必須となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−256162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、セルエッジ付近の端末の通信品質を良好にすることができる無線基地局装置、無線部制御装置及び無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る無線基地局装置は、複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部と、前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定する測定手段と、前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成する作成手段と、前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択する選択手段と、前記選択手段により選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行う信号処理手段と、前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積する蓄積手段とを具備し、前記作成手段は、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新するものである。
【0007】
本実施形態に係る無線部制御装置は、複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部とを制御する無線部制御装置であって、前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定する測定手段と、前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成する作成手段と、前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択する選択手段と、前記選択手段により選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行う信号処理手段と、前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積する蓄積手段とを具備し、前記作成手段は、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新するものである。
【0008】
本実施形態に係る無線通信方法は、複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部とを制御する無線部制御装置に用いられる無線通信方法であって、前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定することと、前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成することと、前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択することと、前記選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行うことと、前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積することとを有し、前記作成することにおいて、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る無線基地局装置を備える無線通信システムの全体構成図。
【図2】図1の無線基地局装置の構成を示すブロック図。
【図3】マクロダイバーシティ履歴情報の作成処理を示す図。
【図4】ハンドオーバ履歴情報の作成処理を示す図。
【図5】アンテナ組み合わせ情報の作成処理を示す図。
【図6】受信電力測定処理を示す図。
【図7】マクロダイバーシティ可否判定処理を示す図。
【図8】マクロダイバーシティ使用アンテナ選択処理を示す図。
【図9】マクロダイバーシティ通信処理を示す図。
【図10】アンテナ切替評価結果を示す図。
【図11】隣接無線部情報及びアンテナ組み合わせ情報の作成シーケンスを示す図。
【図12】マクロダイバーシティ通信開始シーケンスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る無線基地局装置、無線部制御装置及び無線通信方法を説明する。
【0011】
[システム構成]
図1は、本実施形態に係る無線基地局装置を備える無線システムの全体構成図である。本実施形態では、従来基地局の無線部と制御部を分離し、制御部を集約した基地局形態によってマクロダイバーシティを実現する。
【0012】
図1において、ゲートウェイ装置GWにはIP網/公衆通信網NWが接続され、ゲートウェイ装置GWには複数の無線基地局装置BS1,BS2が接続される。無線基地局装置BS1は、無線の送受信を行う複数の無線部R11〜R1nと、無線にかかる信号処理、および信号の分配を行う無線部制御装置G1とを備える。無線端末、あるいは無線通信用データカードを備えるPC(パーソナルコンピュータ)などの無線端末装置MS11〜MS1mは、無線部R11〜R1nとの間で音声、またはデータ通信を行う。無線部R11〜R1nは、それぞれアンテナを複数本備え、複数アンテナの送信電力を調整してダウンリンク信号に指向性を持たせることを可能とする。無線基地局装置BS2は、無線基地局装置BS1と同様に、無線部制御装置G2と、無線端末装置との間で無線通信を行う複数の無線部R21〜R2nとを備える。
【0013】
[装置構成]
図2は、無線基地局装置の構成の一例を示すブロック図である。以下では、無線基地局装置BS1を代表として説明する。
【0014】
図2において、ゲートウェイ装置GWはIP網/公衆通信網NWと無線部制御装置G1とに接続され、無線部制御装置G1と複数の無線部R11,R12は、例えば光ファイバなどの有線で接続される。無線部R11には無線端末装置MS11,MS12との間の無線通信用の複数のアンテナAN11〜AN1nが設けられ、同様に無線部R12にも無線通信用の複数のアンテナAN21〜AN2nが設けられる。
【0015】
無線端末装置MS11,MS12と無線部R11,R12とには無線通信部101が設けられ、無線端末装置MS11,MS12は無線通信部101により、1または複数の無線部と無線通信を行う。無線部制御装置G1には、ゲートウェイ装置GWから受信したデータを、無線端末装置MS1,MS2と無線通信を行う無線部R11,R12へ分配する信号分配部102と、無線通信にかかる制御を行う信号処理部103とが設けられる。
【0016】
無線端末装置MS11,MS12と無線部R11,R12とには無線通信部101が設けられ、無線端末装置MS11,MS12は無線通信部101により、1または複数の無線部と無線通信を行う。無線部制御装置G1には、ゲートウェイ装置GWから受信したデータを、無線端末装置MS1,MS2と無線通信を行う無線部R11,R12へ分配する信号分配部102と、無線通信にかかる制御を行う信号処理部103とが設けられる。
【0017】
信号処理部103は、無線部R11,R12の信号処理を制御する役割を備え、ここでは、無線部R11,R12の数に合わせて複数の信号処理部1031,1032が設けられるものとする。ただし、これに限らず1つの信号処理部103が複数の無線部を制御することも可能とし、無線部の台数と信号処理部の数が異なる値となることを許容する。
【0018】
無線部制御装置G1は、無線部R11,R12を介して受信した無線端末装置MS1,MS2からのアップリンクデータを、ゲートウェイ装置GWを介してIP網/公衆通信網NWへ送信する。また、ゲートウェイ装置GWを介して受信したIP網/公衆通信網NWからのダウンリンクデータを信号分配部102により適切な無線部に分配し、無線部R11,R12を介して無線端末装置MS11,MS12へ送信する。
【0019】
さらに、無線部制御装置G1は、受信電力測定部104、受信電力集約情報記憶部105、履歴情報管理部106、マクロダイバーシティ履歴情報記憶部107、ハンドオーバ履歴情報記憶部108、アンテナ情報作成部109、アンテナ組み合わせ情報記憶部110、及びアンテナ選択部111を備える。
【0020】
受信電力測定部104は、無線端末装置MS1,MS2からのアップリンク信号の受信電力を各無線部のアンテナ毎に測定し、受信電力の測定値を集約した情報(受信電力集約情報)を受信電力集約情報記憶部105に記憶する。
【0021】
履歴情報管理部106は、無線部R11,R12の過去のマクロダイバーシティ通信実施時におけるアンテナ組み合わせと通信品質情報とを対応付けてマクロダイバーシティ履歴情報記憶部107に記憶する。また、履歴情報管理部106は、過去に実施されたハンドオーバで接続した無線部組み合わせの履歴を表す情報をハンドオーバ履歴情報記憶部108に記憶する。
【0022】
アンテナ情報作成部109は、マクロダイバーシティ履歴情報記憶部107と各ハンドオーバ履歴情報記憶部108とに記憶された情報をもとに、アンテナ組み合わせを表す情報(アンテナ組み合わせ情報)を作成し、アンテナ組み合わせ情報記憶部110に記憶する。アンテナ選択部111は、受信電力集約情報記憶部105とアンテナ組み合わせ情報記憶部110に記憶された情報とをもとに、無線部R11のアンテナAN11〜AN1n及び無線部R12のアンテナAN21〜AN2nのうちから、無線端末装置との間の無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択する。
【0023】
このように構成される無線部制御装置G1の動作について以下に説明する。
【0024】
[マクロダイバーシティ履歴情報作成]
図3に、マクロダイバーシティ履歴情報の作成処理の一例を示す。
図3では、複数の無線部R11〜R14が無線部制御装置G1に接続されており、端末MS11に対して無線部R11,R12からアンテナAN13,AN22を用いてマクロダイバーシティ通信を実施している。無線部制御装置G1の履歴情報管理部106は、R11,R12でのマクロダイバーシティ通信実施時、使用しているアンテナ組み合わせAN13,AN22と通信品質情報を関連付けてマクロダイバーシティ履歴情報記憶部107に保存する。通信品質情報としては、例えば、受信電力、スループット、ビットエラーレートを保存する。
【0025】
[ハンドオーバ履歴情報作成]
図4に、ハンドオーバ履歴情報の作成処理の一例を示す。
図4では、端末MS11が無線部R13から無線部R14へハンドオーバを実施している。無線部制御装置G1の履歴情報管理部106は、ハンドオーバ前後の端末MS11が接続していた無線部の組み合わせR13,R14を集約して管理し、ハンドオーバ履歴情報記憶部108に保存する。ハンドオーバ履歴情報記憶部108に保存したハンドオーバ履歴情報は、隣接無線部情報としてアンテナ組み合わせ情報を作成する際に用いる。
【0026】
[アンテナ組み合わせ情報作成]
図5に、アンテナ組み合わせ情報の作成処理の一例を示す。
【0027】
図5では、無線部R11がアンテナAN11〜14、無線部R12がアンテナAN21〜24を備えるものとする。無線部制御装置G1のアンテナ情報作成部109は、ハンドオーバ履歴情報記憶部108から隣接無線部情報を取得し、マクロダイバーシティ履歴情報107から過去の通信品質を取得してマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナ組み合わせを決定する。マクロダイバーシティ履歴情報記憶部107に情報がない無線部組み合わせについては、履歴情報を用いずに受信電力測定部104で測定された受信電力の瞬時値によるアンテナ決定を行う。
【0028】
アンテナの組み合わせを決定する無線部数は、マクロダイバーシティ可能なアンテナの上限数Mに依存し、アンテナ上限数以下の組み合わせについてアンテナ組み合わせ情報を決定する。例えば、アンテナ上限数M=2の場合は、2台の無線部組み合わせについて考慮しアンテナ組み合わせパターンを決定する。アンテナ上限数M=3の場合は、3台の無線部組み合わせまで考慮しアンテナ組み合わせパターンを決定する。図5ではM=2の場合の例を示す。ハンドオーバ履歴情報108に保存された無線部組み合わせR11,R12について、マクロダイバーシティ履歴情報107から最も受信電力の高い組み合わせAN13,AN21をアンテナ組み合わせ情報として決定し、アンテナ組み合わせ情報記憶部110に保存する。図5の例では過去のマクロダイバーシティ履歴情報107のうち最も受信電力の高いアンテナ組み合わせを選択しているが、平均受信電力で比較してもよい。また、通信品質の評価指標は受信電力に限らず、スループットやビットエラーレート情報等を用いることも可能とする。
【0029】
[マクロダイバーシティ制御]
無線端末装置と無線部との間のマクロダイバーシティ通信は、無線端末装置のアップリンク信号の受信電力を測定し、受信電力の測定結果をもとにマクロダイバーシティの可否を判断し、マクロダイバーシティ可能と判断された場合はマクロダイバーシティに使用するアンテナ組み合わせを決定して送信制御を行うことで実現する。
【0030】
[受信電力測定]
図6に、無線端末装置のアップリンク信号の受信電力測定の一例を示す。
【0031】
図6では、複数の無線部R11〜R14が無線部制御装置G1に接続されている。無線部制御装置G1の受信電力測定部104は、各無線部R11〜R14における無線端末装置MS11からオムニ送信されるアップリンク信号A11の受信電力を測定し、受信電力情報IN11〜14を無線部制御装置G1のアンテナ選択部111へ通知する。図6の例では、各無線部R11〜R14は複数本のアンテナAN11〜14,AN21〜24,AN31〜34,AN41〜44を持つため、受信電力測定は各無線部の無線通信用アンテナ毎に行う。図6ではアンテナ数が4本の例を示したが、アンテナ本数は無線通信システムに依存する。
【0032】
[マクロダイバーシティ可否の判断]
図7に、無線部制御装置が備える受信電力集約情報とマクロダイバーシティ可否判断の一例を示す。
【0033】
無線部制御装置G1内の受信電力測定部104により、図6における各無線部R11〜R14の受信電力情報を通知されたアンテナ選択部111は、受信電力情報IN11〜IN14を集約し、受信電力集約情報記憶部105に格納する。また、受信電力情報を受信電力集約情報記憶部105に格納する際、各受信電力情報について対応する無線部情報とアンテナ情報を記憶するとともに、受信電力によるソーティングを行う。
【0034】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111にはあらかじめ受信電力閾値情報Rが設定され、受信電力集約情報と受信電力閾値情報Rを用いてマクロダイバーシティの可否を判断する。図7では、受信電力閾値情報R=50dBの場合のマクロダイバーシティ可否判断の一例を示す。
【0035】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111は、受信電力集約情報記憶部105の受信電力集約情報を参照し、無線端末装置からの受信電力が受信電力閾値情報Rより大きいアンテナをマクロダイバーシティ候補アンテナとして決定する。マクロダイバーシティ候補アンテナとして決定したアンテナが複数存在する場合、無線端末装置はマクロダイバーシティ可能であると判断してマクロダイバーシティ使用アンテナの選択を行う。マクロダイバーシティ候補アンテナが単一のアンテナであった場合、マクロダイバーシティ不可と判断して単一アンテナによる通信を行う。
【0036】
[マクロダイバーシティ使用アンテナ選択]
図8に、受信電力集約情報を用いたマクロダイバーシティ使用アンテナ選択の一例を示す。
【0037】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111にはあらかじめマクロダイバーシティ可能なアンテナ数の上限値Mが設定され、マクロダイバーシティ使用アンテナ選択時に用いる。図8では、マクロダイバーシティ可能なアンテナ数の上限値M=2の場合の例を示すが、上限値Mは、マクロダイバーシティを実施する無線端末装置のソフトウェア/ハードウェア仕様、無線部のソフトウェア/ハードウェア仕様、無線部の隣接状態等の条件によって決定されるものとする。
【0038】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111は、マクロダイバーシティ可能と判断した場合、マクロダイバーシティ候補アンテナのうち上位n本を使用アンテナ候補AN22,AN14として決定する。選択する本数nはマクロダイバーシティ候補アンテナの本数と、マクロダイバーシティ可能なアンテナ数の上限値Mのいずれか小さい方とする。このとき、マクロダイバーシティ可能と判断された無線部R11,R12についてアンテナ組み合わせ情報記憶部110を参照し、使用アンテナ候補AN22,AN14として決定したアンテナ組み合わせが、予め決定しておいたアンテナ組み合わせ情報と異なる場合、アンテナ組み合わせ情報記憶部110に設定したアンテナ組み合わせAN13,AN22に修正して使用アンテナとして決定する。アンテナ組み合わせ情報記憶部110にアンテナ組み合わせ情報が存在しない場合、使用アンテナ候補として決定したアンテナ組み合わせによりマクロダイバーシティ通信を開始する。
【0039】
また、マクロダイバーシティ可能と判断された無線部組み合わせR11,R12がハンドオーバ履歴情報108において隣接していないと判断されていた場合、ハンドオーバ履歴情報108に当該無線部組み合わせR11,R12を新たに追加してマクロダイバーシティを実施し、アンテナ組み合わせとマクロダイバーシティ通信の通信品質をマクロダイバーシティ履歴情報107に蓄積する。
【0040】
[マクロダイバーシティ通信制御]
図9に、マクロダイバーシティによる通信の一例を示す。
【0041】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111は、決定した使用アンテナに対応する信号分配部102に対して信号分配変更指示を送出するとともに、信号処理部1031,1032に使用アンテナ変更指示を送出してマクロダイバーシティ通信を開始する。信号分配変更指示は、使用アンテナが属するそれぞれ異なる無線部情報をパラメータとして送出し、使用アンテナ変更指示はマクロダイバーシティに使用するアンテナ組み合わせ情報をパラメータとして送出する。信号分配部102は、信号分配変更指示に含まれる複数の無線部情報をもとに、該当する端末へのダウンリンクデータをアンテナが属する複数の無線部の信号処理部1031,1032へ分配して送信する。また、信号処理部1031,1032は、アンテナ変更指示に含まれるアンテナ組み合わせ情報をもとにマクロダイバーシティに使用する無線部について各アンテナのダウンリンク送信電力を制御し、アンテナ選択部111で選択された使用アンテナAN13,AN22から無線端末MS11への送信を行う。
【0042】
[使用アンテナ切り替えによるマクロダイバーシティ通信評価]
図10に、使用アンテナ切り替えによるマクロダイバーシティ通信評価の一例を示す。
【0043】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111は、マクロダイバーシティ通信実施時に一定の周期Tで使用アンテナを切り替えたマクロダイバーシティ通信を実施し、アンテナ組み合わせと通信品質の評価結果を関連付けてマクロダイバーシティ履歴情報107に蓄積する。切り替え先のアンテナはマクロダイバーシティ通信に使用しているアンテナと隣接するアンテナを対象とする。図10の例では無線部R11においてアンテナAN13に隣接するAN11,AN14、無線部R12においてAN22に隣接するAN21,AN24を選択範囲としてアンテナ切り替えを行う。
【0044】
アンテナ切り替えの結果、現在のアンテナ組み合わせAN13,AN22より通信品質が高いアンテナ組み合わせAN13,AN21が見つかった場合、新しいアンテナ組み合わせでのマクロダイバーシティを継続し、アンテナ切り替え対象範囲を無線部R11においてアンテナAN13に隣接するAN11,AN14、無線部R12においてAN21に隣接するAN22,AN23として、一定の周期Tで使用アンテナの切り替えを行う。アンテナ切り替えの結果、通信品質が低くなった場合は、当初のアンテナ組み合わせに戻してマクロダイバーシティ通信を再開し、次の周期Tでは異なるアンテナ組み合わせでのアンテナ切り替えを実施する。
【0045】
[マクロダイバーシティ通信シーケンス]
図11は、端末との間のマクロダイバーシティ通信を実現する場合のシーケンスの一例である。
【0046】
図11の例では、無線端末装置MS11と、無線部R11〜1nと、無線部R11〜1nを集約制御する無線部制御装置G1内における受信電力測定部104、信号処理部1031〜103m、信号分配部102、アンテナ選択部111、履歴情報管理部106、及びアンテナ情報作成部109の動作を示す。
【0047】
無線部制御装置G1は受信電力測定部104において、受信電力測定タイミングを契機として無線端末装置MS11からのアップリンク信号の受信電力を各無線部のアンテナ毎に測定する(S101)。受信電力測定部104は、受信電力測定結果を受信電力通知(S102)として無線部制御装置G1のアンテナ選択部111に通知する。アンテナ選択部111は、受信電力通知を集約して受信電力集約情報記憶部105に格納し、マクロダイバーシティ可否の判定を行う(S103)。
【0048】
この判定の結果、マクロダイバーシティが可能であると判断された場合、アンテナ情報作成部109からアンテナ組み合わせ情報記憶部110に記憶されているアンテナ組み合わせ情報を取得し(S104)、マクロダイバーシティに使用するアンテナの選択を実施する(S105)。アンテナ選択部111は、選択したアンテナ組み合わせ情報をもとに、信号分配変更指示(S106)を信号分配部102に送出する。信号分配部102は信号分配変更指示のパラメータ情報をもとに、無線端末装置MS11へのダウンリンクデータを適切な信号処理部103へ分配して送信を開始する。また、アンテナ選択部111は、マクロダイバーシティ使用アンテナとして選択したアンテナが属する無線部を制御している複数の信号処理部103に対して、使用アンテナ変更指示(S107)を送出する。信号処理部103は、使用アンテナ変更指示のパラメータ情報をもとに、対応する無線部のアンテナに関するダウンリンク信号送信電力を制御してマクロダイバーシティ通信を開始する(S108)。
【0049】
マクロダイバーシティ通信開始後、アンテナ選択部111は使用アンテナ組み合わせ情報をパラメータとするマクロダイバーシティ開始通知(S109)を履歴情報管理部106に送出する。履歴情報管理部106は、マクロダイバーシティ開始通知を契機として受信電力測定部104より受信電力等の信号品質情報を取得し(S110)、アンテナ組み合わせと関連付けてマクロダイバーシティ履歴情報記憶部107に保存するとともに、履歴情報更新通知(S111)をアンテナ情報作成部109へ送出する。アンテナ情報作成部109は、アンテナ情報更新タイマをもとに履歴情報が更新された場合のみアンテナ組み合わせ情報を作成する。アンテナ情報更新タイマのタイムアウト時に履歴情報更新通知を受信していない場合(S112)、アンテナ組み合わせ情報は更新せず再度タイムアウト待ち状態となる。アンテナ情報更新タイマタイムアウト時に履歴情報更新通知を受信していた場合(S113)、履歴情報管理部106からマクロダイバーシティ履歴情報記憶部107に記憶されている履歴情報を取得し(S114)、アンテナ組み合わせ情報記憶部110のアンテナ組み合わせ情報を更新する(S115)。
【0050】
なお、マクロダイバーシティ通信の開始シーケンスは上記シーケンスに限定されるものではない。
【0051】
[アンテナ切替えシーケンス]
図12は、マクロダイバーシティ通信実施中におけるアンテナ切替えシーケンスの一例である。
【0052】
マクロダイバーシティ通信実施中に(S201)、アンテナ切替タイマがタイムアウトした場合(S202)、アンテナ選択部111は、現在使用中のアンテナと隣接するアンテナを対象としてアンテナ切替えを行い(S203)、選択したアンテナ組み合わせ情報をもとに、信号分配部102に対して信号分配変更指示を(S204)、信号処理部103に対して使用アンテナ変更指示(S205)をそれぞれ送出する。信号処理部103は、使用アンテナ変更指示のパラメータ情報をもとに、切り替えたアンテナによるマクロダイバーシティ通信を開始する(S206)。マクロダイバーシティ通信開始後、アンテナ選択部111は使用アンテナ組み合わせ情報をパラメータとするマクロダイバーシティ開始通知(S207)を履歴情報管理部106に送出し、上記図11におけるS109以降と同様にマクロダイバーシティ履歴情報記憶部107の履歴情報・アンテナ組み合わせ情報記憶部109のアンテナ組み合わせ情報の更新を行う(S208)。
【0053】
アンテナ切替によるマクロダイバーシティ通信を一定期間実施後、切替後評価タイマタイムアウト(S209)を契機として、アンテナ切替えによるマクロダイバーシティ通信の評価を行う。アンテナ切替後の通信品質が切替え前より高かった場合(S210)、切替後の使用アンテナを用いたマクロダイバーシティを継続する。一方、アンテナ切替後の通信品質が切替え前より低かった場合(S211)、切替え前のアンテナ組み合わせ情報をもとに信号分配部102に対して信号分配変更指示を(S212)、信号処理部103に対して使用アンテナ変更指示(S213)をそれぞれ送出し、切替え前のアンテナでマクロダイバーシティを再開する(S214)。また、切替え前のアンテナによるマクロダイバーシティを再開した場合も、切替え時と同様に使用アンテナ組み合わせ情報をパラメータとするマクロダイバーシティ開始通知(S215)を履歴情報管理部106に送出し、マクロダイバーシティ履歴情報記憶部107の履歴情報・アンテナ組み合わせ情報記憶部109のアンテナ組み合わせ情報の更新を行う(S216)。
【0054】
以上述べたように、本実施形態では、マクロダイバーシティの過去の実績とその時のアンテナ組み合わせを履歴情報として保持し、最も通信品質の高いアンテナ組み合わせを選択してマクロダイバーシティを実施する。マクロダイバーシティの使用アンテナを決定する際に、過去に実施したマクロダイバーシティの履歴情報をもとにアンテナ組み合わせを予め決定しておくことにより、受信電力の瞬時値の変動や測定誤差が発生しても効率のよいアンテナ組み合わせを選択することができる。また、履歴情報を用いることで、地理的な隣接関係ではなく、電波的な隣接関係をもとにした使用アンテナ組み合わせを決定することで、遮蔽物や高低差等による電波状況への影響を考慮して最適なアンテナ選択によるマクロダイバーシティ通信をすることが可能となる。
【0055】
なお、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
BS1,BS2…無線基地局装置、G1,G2…無線部制御装置、R11〜R1n,R21〜R2n…無線部、MS11〜MS1m,MS21〜MS2m…無線端末装置、GW…ゲートウェイ装置、NW…IP網/公衆通信網、AN11〜1n,AN21〜AN2n…無線通信用アンテナ、101,201…無線通信部、102…信号分配部、103…信号処理部、104…受信電力測定部、105…受信電力集約情報記憶部、106…履歴情報管理部、107…マクロダイバーシティ履歴情報記憶部、108…ハンドオーバ履歴部情報記憶部、109…アンテナ情報作成部、110…アンテナ組み合わせ情報記憶部、111…アンテナ選択部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線端末との間で無線通信を行う無線基地局装置、無線部制御装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動無線通信システムの高度化・高速化が進み、WiMAXやLTE、XGPシステムなどの通信システムにおいて100Mbpsを超える理論速度を持った無線通信実現についての検討が行われている。無線通信の高速化を実現するための技術として、基地局がアンテナを複数持ち、空間多重を行うことにより端末との間の通信速度を向上するMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が挙げられ、多くの次世代移動無線通信システムにおいて適用が検討されている。
【0003】
しかし、MIMOはセル中心部の速度向上が見込める半面、セルエッジ付近での通信劣化が問題とされてきた。そこで、異なる基地局のアンテナを用いて端末の受信電力を向上させるマクロダイバーシティについての検討が進められ、セルエッジ付近に存在する端末の利得向上技術として重要視されている。マクロダイバーシティは、複数の基地局を用いた通信により端末の利得向上を実現するため、基地局をまたがるアンテナ制御と通信方式が必須となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−256162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、セルエッジ付近の端末の通信品質を良好にすることができる無線基地局装置、無線部制御装置及び無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る無線基地局装置は、複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部と、前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定する測定手段と、前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成する作成手段と、前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択する選択手段と、前記選択手段により選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行う信号処理手段と、前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積する蓄積手段とを具備し、前記作成手段は、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新するものである。
【0007】
本実施形態に係る無線部制御装置は、複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部とを制御する無線部制御装置であって、前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定する測定手段と、前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成する作成手段と、前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択する選択手段と、前記選択手段により選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行う信号処理手段と、前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積する蓄積手段とを具備し、前記作成手段は、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新するものである。
【0008】
本実施形態に係る無線通信方法は、複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部とを制御する無線部制御装置に用いられる無線通信方法であって、前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定することと、前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成することと、前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択することと、前記選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行うことと、前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積することとを有し、前記作成することにおいて、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る無線基地局装置を備える無線通信システムの全体構成図。
【図2】図1の無線基地局装置の構成を示すブロック図。
【図3】マクロダイバーシティ履歴情報の作成処理を示す図。
【図4】ハンドオーバ履歴情報の作成処理を示す図。
【図5】アンテナ組み合わせ情報の作成処理を示す図。
【図6】受信電力測定処理を示す図。
【図7】マクロダイバーシティ可否判定処理を示す図。
【図8】マクロダイバーシティ使用アンテナ選択処理を示す図。
【図9】マクロダイバーシティ通信処理を示す図。
【図10】アンテナ切替評価結果を示す図。
【図11】隣接無線部情報及びアンテナ組み合わせ情報の作成シーケンスを示す図。
【図12】マクロダイバーシティ通信開始シーケンスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る無線基地局装置、無線部制御装置及び無線通信方法を説明する。
【0011】
[システム構成]
図1は、本実施形態に係る無線基地局装置を備える無線システムの全体構成図である。本実施形態では、従来基地局の無線部と制御部を分離し、制御部を集約した基地局形態によってマクロダイバーシティを実現する。
【0012】
図1において、ゲートウェイ装置GWにはIP網/公衆通信網NWが接続され、ゲートウェイ装置GWには複数の無線基地局装置BS1,BS2が接続される。無線基地局装置BS1は、無線の送受信を行う複数の無線部R11〜R1nと、無線にかかる信号処理、および信号の分配を行う無線部制御装置G1とを備える。無線端末、あるいは無線通信用データカードを備えるPC(パーソナルコンピュータ)などの無線端末装置MS11〜MS1mは、無線部R11〜R1nとの間で音声、またはデータ通信を行う。無線部R11〜R1nは、それぞれアンテナを複数本備え、複数アンテナの送信電力を調整してダウンリンク信号に指向性を持たせることを可能とする。無線基地局装置BS2は、無線基地局装置BS1と同様に、無線部制御装置G2と、無線端末装置との間で無線通信を行う複数の無線部R21〜R2nとを備える。
【0013】
[装置構成]
図2は、無線基地局装置の構成の一例を示すブロック図である。以下では、無線基地局装置BS1を代表として説明する。
【0014】
図2において、ゲートウェイ装置GWはIP網/公衆通信網NWと無線部制御装置G1とに接続され、無線部制御装置G1と複数の無線部R11,R12は、例えば光ファイバなどの有線で接続される。無線部R11には無線端末装置MS11,MS12との間の無線通信用の複数のアンテナAN11〜AN1nが設けられ、同様に無線部R12にも無線通信用の複数のアンテナAN21〜AN2nが設けられる。
【0015】
無線端末装置MS11,MS12と無線部R11,R12とには無線通信部101が設けられ、無線端末装置MS11,MS12は無線通信部101により、1または複数の無線部と無線通信を行う。無線部制御装置G1には、ゲートウェイ装置GWから受信したデータを、無線端末装置MS1,MS2と無線通信を行う無線部R11,R12へ分配する信号分配部102と、無線通信にかかる制御を行う信号処理部103とが設けられる。
【0016】
無線端末装置MS11,MS12と無線部R11,R12とには無線通信部101が設けられ、無線端末装置MS11,MS12は無線通信部101により、1または複数の無線部と無線通信を行う。無線部制御装置G1には、ゲートウェイ装置GWから受信したデータを、無線端末装置MS1,MS2と無線通信を行う無線部R11,R12へ分配する信号分配部102と、無線通信にかかる制御を行う信号処理部103とが設けられる。
【0017】
信号処理部103は、無線部R11,R12の信号処理を制御する役割を備え、ここでは、無線部R11,R12の数に合わせて複数の信号処理部1031,1032が設けられるものとする。ただし、これに限らず1つの信号処理部103が複数の無線部を制御することも可能とし、無線部の台数と信号処理部の数が異なる値となることを許容する。
【0018】
無線部制御装置G1は、無線部R11,R12を介して受信した無線端末装置MS1,MS2からのアップリンクデータを、ゲートウェイ装置GWを介してIP網/公衆通信網NWへ送信する。また、ゲートウェイ装置GWを介して受信したIP網/公衆通信網NWからのダウンリンクデータを信号分配部102により適切な無線部に分配し、無線部R11,R12を介して無線端末装置MS11,MS12へ送信する。
【0019】
さらに、無線部制御装置G1は、受信電力測定部104、受信電力集約情報記憶部105、履歴情報管理部106、マクロダイバーシティ履歴情報記憶部107、ハンドオーバ履歴情報記憶部108、アンテナ情報作成部109、アンテナ組み合わせ情報記憶部110、及びアンテナ選択部111を備える。
【0020】
受信電力測定部104は、無線端末装置MS1,MS2からのアップリンク信号の受信電力を各無線部のアンテナ毎に測定し、受信電力の測定値を集約した情報(受信電力集約情報)を受信電力集約情報記憶部105に記憶する。
【0021】
履歴情報管理部106は、無線部R11,R12の過去のマクロダイバーシティ通信実施時におけるアンテナ組み合わせと通信品質情報とを対応付けてマクロダイバーシティ履歴情報記憶部107に記憶する。また、履歴情報管理部106は、過去に実施されたハンドオーバで接続した無線部組み合わせの履歴を表す情報をハンドオーバ履歴情報記憶部108に記憶する。
【0022】
アンテナ情報作成部109は、マクロダイバーシティ履歴情報記憶部107と各ハンドオーバ履歴情報記憶部108とに記憶された情報をもとに、アンテナ組み合わせを表す情報(アンテナ組み合わせ情報)を作成し、アンテナ組み合わせ情報記憶部110に記憶する。アンテナ選択部111は、受信電力集約情報記憶部105とアンテナ組み合わせ情報記憶部110に記憶された情報とをもとに、無線部R11のアンテナAN11〜AN1n及び無線部R12のアンテナAN21〜AN2nのうちから、無線端末装置との間の無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択する。
【0023】
このように構成される無線部制御装置G1の動作について以下に説明する。
【0024】
[マクロダイバーシティ履歴情報作成]
図3に、マクロダイバーシティ履歴情報の作成処理の一例を示す。
図3では、複数の無線部R11〜R14が無線部制御装置G1に接続されており、端末MS11に対して無線部R11,R12からアンテナAN13,AN22を用いてマクロダイバーシティ通信を実施している。無線部制御装置G1の履歴情報管理部106は、R11,R12でのマクロダイバーシティ通信実施時、使用しているアンテナ組み合わせAN13,AN22と通信品質情報を関連付けてマクロダイバーシティ履歴情報記憶部107に保存する。通信品質情報としては、例えば、受信電力、スループット、ビットエラーレートを保存する。
【0025】
[ハンドオーバ履歴情報作成]
図4に、ハンドオーバ履歴情報の作成処理の一例を示す。
図4では、端末MS11が無線部R13から無線部R14へハンドオーバを実施している。無線部制御装置G1の履歴情報管理部106は、ハンドオーバ前後の端末MS11が接続していた無線部の組み合わせR13,R14を集約して管理し、ハンドオーバ履歴情報記憶部108に保存する。ハンドオーバ履歴情報記憶部108に保存したハンドオーバ履歴情報は、隣接無線部情報としてアンテナ組み合わせ情報を作成する際に用いる。
【0026】
[アンテナ組み合わせ情報作成]
図5に、アンテナ組み合わせ情報の作成処理の一例を示す。
【0027】
図5では、無線部R11がアンテナAN11〜14、無線部R12がアンテナAN21〜24を備えるものとする。無線部制御装置G1のアンテナ情報作成部109は、ハンドオーバ履歴情報記憶部108から隣接無線部情報を取得し、マクロダイバーシティ履歴情報107から過去の通信品質を取得してマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナ組み合わせを決定する。マクロダイバーシティ履歴情報記憶部107に情報がない無線部組み合わせについては、履歴情報を用いずに受信電力測定部104で測定された受信電力の瞬時値によるアンテナ決定を行う。
【0028】
アンテナの組み合わせを決定する無線部数は、マクロダイバーシティ可能なアンテナの上限数Mに依存し、アンテナ上限数以下の組み合わせについてアンテナ組み合わせ情報を決定する。例えば、アンテナ上限数M=2の場合は、2台の無線部組み合わせについて考慮しアンテナ組み合わせパターンを決定する。アンテナ上限数M=3の場合は、3台の無線部組み合わせまで考慮しアンテナ組み合わせパターンを決定する。図5ではM=2の場合の例を示す。ハンドオーバ履歴情報108に保存された無線部組み合わせR11,R12について、マクロダイバーシティ履歴情報107から最も受信電力の高い組み合わせAN13,AN21をアンテナ組み合わせ情報として決定し、アンテナ組み合わせ情報記憶部110に保存する。図5の例では過去のマクロダイバーシティ履歴情報107のうち最も受信電力の高いアンテナ組み合わせを選択しているが、平均受信電力で比較してもよい。また、通信品質の評価指標は受信電力に限らず、スループットやビットエラーレート情報等を用いることも可能とする。
【0029】
[マクロダイバーシティ制御]
無線端末装置と無線部との間のマクロダイバーシティ通信は、無線端末装置のアップリンク信号の受信電力を測定し、受信電力の測定結果をもとにマクロダイバーシティの可否を判断し、マクロダイバーシティ可能と判断された場合はマクロダイバーシティに使用するアンテナ組み合わせを決定して送信制御を行うことで実現する。
【0030】
[受信電力測定]
図6に、無線端末装置のアップリンク信号の受信電力測定の一例を示す。
【0031】
図6では、複数の無線部R11〜R14が無線部制御装置G1に接続されている。無線部制御装置G1の受信電力測定部104は、各無線部R11〜R14における無線端末装置MS11からオムニ送信されるアップリンク信号A11の受信電力を測定し、受信電力情報IN11〜14を無線部制御装置G1のアンテナ選択部111へ通知する。図6の例では、各無線部R11〜R14は複数本のアンテナAN11〜14,AN21〜24,AN31〜34,AN41〜44を持つため、受信電力測定は各無線部の無線通信用アンテナ毎に行う。図6ではアンテナ数が4本の例を示したが、アンテナ本数は無線通信システムに依存する。
【0032】
[マクロダイバーシティ可否の判断]
図7に、無線部制御装置が備える受信電力集約情報とマクロダイバーシティ可否判断の一例を示す。
【0033】
無線部制御装置G1内の受信電力測定部104により、図6における各無線部R11〜R14の受信電力情報を通知されたアンテナ選択部111は、受信電力情報IN11〜IN14を集約し、受信電力集約情報記憶部105に格納する。また、受信電力情報を受信電力集約情報記憶部105に格納する際、各受信電力情報について対応する無線部情報とアンテナ情報を記憶するとともに、受信電力によるソーティングを行う。
【0034】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111にはあらかじめ受信電力閾値情報Rが設定され、受信電力集約情報と受信電力閾値情報Rを用いてマクロダイバーシティの可否を判断する。図7では、受信電力閾値情報R=50dBの場合のマクロダイバーシティ可否判断の一例を示す。
【0035】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111は、受信電力集約情報記憶部105の受信電力集約情報を参照し、無線端末装置からの受信電力が受信電力閾値情報Rより大きいアンテナをマクロダイバーシティ候補アンテナとして決定する。マクロダイバーシティ候補アンテナとして決定したアンテナが複数存在する場合、無線端末装置はマクロダイバーシティ可能であると判断してマクロダイバーシティ使用アンテナの選択を行う。マクロダイバーシティ候補アンテナが単一のアンテナであった場合、マクロダイバーシティ不可と判断して単一アンテナによる通信を行う。
【0036】
[マクロダイバーシティ使用アンテナ選択]
図8に、受信電力集約情報を用いたマクロダイバーシティ使用アンテナ選択の一例を示す。
【0037】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111にはあらかじめマクロダイバーシティ可能なアンテナ数の上限値Mが設定され、マクロダイバーシティ使用アンテナ選択時に用いる。図8では、マクロダイバーシティ可能なアンテナ数の上限値M=2の場合の例を示すが、上限値Mは、マクロダイバーシティを実施する無線端末装置のソフトウェア/ハードウェア仕様、無線部のソフトウェア/ハードウェア仕様、無線部の隣接状態等の条件によって決定されるものとする。
【0038】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111は、マクロダイバーシティ可能と判断した場合、マクロダイバーシティ候補アンテナのうち上位n本を使用アンテナ候補AN22,AN14として決定する。選択する本数nはマクロダイバーシティ候補アンテナの本数と、マクロダイバーシティ可能なアンテナ数の上限値Mのいずれか小さい方とする。このとき、マクロダイバーシティ可能と判断された無線部R11,R12についてアンテナ組み合わせ情報記憶部110を参照し、使用アンテナ候補AN22,AN14として決定したアンテナ組み合わせが、予め決定しておいたアンテナ組み合わせ情報と異なる場合、アンテナ組み合わせ情報記憶部110に設定したアンテナ組み合わせAN13,AN22に修正して使用アンテナとして決定する。アンテナ組み合わせ情報記憶部110にアンテナ組み合わせ情報が存在しない場合、使用アンテナ候補として決定したアンテナ組み合わせによりマクロダイバーシティ通信を開始する。
【0039】
また、マクロダイバーシティ可能と判断された無線部組み合わせR11,R12がハンドオーバ履歴情報108において隣接していないと判断されていた場合、ハンドオーバ履歴情報108に当該無線部組み合わせR11,R12を新たに追加してマクロダイバーシティを実施し、アンテナ組み合わせとマクロダイバーシティ通信の通信品質をマクロダイバーシティ履歴情報107に蓄積する。
【0040】
[マクロダイバーシティ通信制御]
図9に、マクロダイバーシティによる通信の一例を示す。
【0041】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111は、決定した使用アンテナに対応する信号分配部102に対して信号分配変更指示を送出するとともに、信号処理部1031,1032に使用アンテナ変更指示を送出してマクロダイバーシティ通信を開始する。信号分配変更指示は、使用アンテナが属するそれぞれ異なる無線部情報をパラメータとして送出し、使用アンテナ変更指示はマクロダイバーシティに使用するアンテナ組み合わせ情報をパラメータとして送出する。信号分配部102は、信号分配変更指示に含まれる複数の無線部情報をもとに、該当する端末へのダウンリンクデータをアンテナが属する複数の無線部の信号処理部1031,1032へ分配して送信する。また、信号処理部1031,1032は、アンテナ変更指示に含まれるアンテナ組み合わせ情報をもとにマクロダイバーシティに使用する無線部について各アンテナのダウンリンク送信電力を制御し、アンテナ選択部111で選択された使用アンテナAN13,AN22から無線端末MS11への送信を行う。
【0042】
[使用アンテナ切り替えによるマクロダイバーシティ通信評価]
図10に、使用アンテナ切り替えによるマクロダイバーシティ通信評価の一例を示す。
【0043】
無線部制御装置G1のアンテナ選択部111は、マクロダイバーシティ通信実施時に一定の周期Tで使用アンテナを切り替えたマクロダイバーシティ通信を実施し、アンテナ組み合わせと通信品質の評価結果を関連付けてマクロダイバーシティ履歴情報107に蓄積する。切り替え先のアンテナはマクロダイバーシティ通信に使用しているアンテナと隣接するアンテナを対象とする。図10の例では無線部R11においてアンテナAN13に隣接するAN11,AN14、無線部R12においてAN22に隣接するAN21,AN24を選択範囲としてアンテナ切り替えを行う。
【0044】
アンテナ切り替えの結果、現在のアンテナ組み合わせAN13,AN22より通信品質が高いアンテナ組み合わせAN13,AN21が見つかった場合、新しいアンテナ組み合わせでのマクロダイバーシティを継続し、アンテナ切り替え対象範囲を無線部R11においてアンテナAN13に隣接するAN11,AN14、無線部R12においてAN21に隣接するAN22,AN23として、一定の周期Tで使用アンテナの切り替えを行う。アンテナ切り替えの結果、通信品質が低くなった場合は、当初のアンテナ組み合わせに戻してマクロダイバーシティ通信を再開し、次の周期Tでは異なるアンテナ組み合わせでのアンテナ切り替えを実施する。
【0045】
[マクロダイバーシティ通信シーケンス]
図11は、端末との間のマクロダイバーシティ通信を実現する場合のシーケンスの一例である。
【0046】
図11の例では、無線端末装置MS11と、無線部R11〜1nと、無線部R11〜1nを集約制御する無線部制御装置G1内における受信電力測定部104、信号処理部1031〜103m、信号分配部102、アンテナ選択部111、履歴情報管理部106、及びアンテナ情報作成部109の動作を示す。
【0047】
無線部制御装置G1は受信電力測定部104において、受信電力測定タイミングを契機として無線端末装置MS11からのアップリンク信号の受信電力を各無線部のアンテナ毎に測定する(S101)。受信電力測定部104は、受信電力測定結果を受信電力通知(S102)として無線部制御装置G1のアンテナ選択部111に通知する。アンテナ選択部111は、受信電力通知を集約して受信電力集約情報記憶部105に格納し、マクロダイバーシティ可否の判定を行う(S103)。
【0048】
この判定の結果、マクロダイバーシティが可能であると判断された場合、アンテナ情報作成部109からアンテナ組み合わせ情報記憶部110に記憶されているアンテナ組み合わせ情報を取得し(S104)、マクロダイバーシティに使用するアンテナの選択を実施する(S105)。アンテナ選択部111は、選択したアンテナ組み合わせ情報をもとに、信号分配変更指示(S106)を信号分配部102に送出する。信号分配部102は信号分配変更指示のパラメータ情報をもとに、無線端末装置MS11へのダウンリンクデータを適切な信号処理部103へ分配して送信を開始する。また、アンテナ選択部111は、マクロダイバーシティ使用アンテナとして選択したアンテナが属する無線部を制御している複数の信号処理部103に対して、使用アンテナ変更指示(S107)を送出する。信号処理部103は、使用アンテナ変更指示のパラメータ情報をもとに、対応する無線部のアンテナに関するダウンリンク信号送信電力を制御してマクロダイバーシティ通信を開始する(S108)。
【0049】
マクロダイバーシティ通信開始後、アンテナ選択部111は使用アンテナ組み合わせ情報をパラメータとするマクロダイバーシティ開始通知(S109)を履歴情報管理部106に送出する。履歴情報管理部106は、マクロダイバーシティ開始通知を契機として受信電力測定部104より受信電力等の信号品質情報を取得し(S110)、アンテナ組み合わせと関連付けてマクロダイバーシティ履歴情報記憶部107に保存するとともに、履歴情報更新通知(S111)をアンテナ情報作成部109へ送出する。アンテナ情報作成部109は、アンテナ情報更新タイマをもとに履歴情報が更新された場合のみアンテナ組み合わせ情報を作成する。アンテナ情報更新タイマのタイムアウト時に履歴情報更新通知を受信していない場合(S112)、アンテナ組み合わせ情報は更新せず再度タイムアウト待ち状態となる。アンテナ情報更新タイマタイムアウト時に履歴情報更新通知を受信していた場合(S113)、履歴情報管理部106からマクロダイバーシティ履歴情報記憶部107に記憶されている履歴情報を取得し(S114)、アンテナ組み合わせ情報記憶部110のアンテナ組み合わせ情報を更新する(S115)。
【0050】
なお、マクロダイバーシティ通信の開始シーケンスは上記シーケンスに限定されるものではない。
【0051】
[アンテナ切替えシーケンス]
図12は、マクロダイバーシティ通信実施中におけるアンテナ切替えシーケンスの一例である。
【0052】
マクロダイバーシティ通信実施中に(S201)、アンテナ切替タイマがタイムアウトした場合(S202)、アンテナ選択部111は、現在使用中のアンテナと隣接するアンテナを対象としてアンテナ切替えを行い(S203)、選択したアンテナ組み合わせ情報をもとに、信号分配部102に対して信号分配変更指示を(S204)、信号処理部103に対して使用アンテナ変更指示(S205)をそれぞれ送出する。信号処理部103は、使用アンテナ変更指示のパラメータ情報をもとに、切り替えたアンテナによるマクロダイバーシティ通信を開始する(S206)。マクロダイバーシティ通信開始後、アンテナ選択部111は使用アンテナ組み合わせ情報をパラメータとするマクロダイバーシティ開始通知(S207)を履歴情報管理部106に送出し、上記図11におけるS109以降と同様にマクロダイバーシティ履歴情報記憶部107の履歴情報・アンテナ組み合わせ情報記憶部109のアンテナ組み合わせ情報の更新を行う(S208)。
【0053】
アンテナ切替によるマクロダイバーシティ通信を一定期間実施後、切替後評価タイマタイムアウト(S209)を契機として、アンテナ切替えによるマクロダイバーシティ通信の評価を行う。アンテナ切替後の通信品質が切替え前より高かった場合(S210)、切替後の使用アンテナを用いたマクロダイバーシティを継続する。一方、アンテナ切替後の通信品質が切替え前より低かった場合(S211)、切替え前のアンテナ組み合わせ情報をもとに信号分配部102に対して信号分配変更指示を(S212)、信号処理部103に対して使用アンテナ変更指示(S213)をそれぞれ送出し、切替え前のアンテナでマクロダイバーシティを再開する(S214)。また、切替え前のアンテナによるマクロダイバーシティを再開した場合も、切替え時と同様に使用アンテナ組み合わせ情報をパラメータとするマクロダイバーシティ開始通知(S215)を履歴情報管理部106に送出し、マクロダイバーシティ履歴情報記憶部107の履歴情報・アンテナ組み合わせ情報記憶部109のアンテナ組み合わせ情報の更新を行う(S216)。
【0054】
以上述べたように、本実施形態では、マクロダイバーシティの過去の実績とその時のアンテナ組み合わせを履歴情報として保持し、最も通信品質の高いアンテナ組み合わせを選択してマクロダイバーシティを実施する。マクロダイバーシティの使用アンテナを決定する際に、過去に実施したマクロダイバーシティの履歴情報をもとにアンテナ組み合わせを予め決定しておくことにより、受信電力の瞬時値の変動や測定誤差が発生しても効率のよいアンテナ組み合わせを選択することができる。また、履歴情報を用いることで、地理的な隣接関係ではなく、電波的な隣接関係をもとにした使用アンテナ組み合わせを決定することで、遮蔽物や高低差等による電波状況への影響を考慮して最適なアンテナ選択によるマクロダイバーシティ通信をすることが可能となる。
【0055】
なお、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
BS1,BS2…無線基地局装置、G1,G2…無線部制御装置、R11〜R1n,R21〜R2n…無線部、MS11〜MS1m,MS21〜MS2m…無線端末装置、GW…ゲートウェイ装置、NW…IP網/公衆通信網、AN11〜1n,AN21〜AN2n…無線通信用アンテナ、101,201…無線通信部、102…信号分配部、103…信号処理部、104…受信電力測定部、105…受信電力集約情報記憶部、106…履歴情報管理部、107…マクロダイバーシティ履歴情報記憶部、108…ハンドオーバ履歴部情報記憶部、109…アンテナ情報作成部、110…アンテナ組み合わせ情報記憶部、111…アンテナ選択部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部と、
前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定する測定手段と、
前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成する作成手段と、
前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行う信号処理手段と、
前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積する蓄積手段と
を具備し、
前記作成手段は、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新することを特徴とする無線基地局装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記マクロダイバーシティ通信の実施中に、定期的に使用アンテナを変更したマクロダイバーシティ通信を試行し、実施中のアンテナの組み合わせより通信品質が高いと判定した場合は前記アンテナの組み合わせを変更してマクロダイバーシティ通信を継続することを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項3】
前記アップリンク信号は、前記無線端末からオムニ送信されることを特徴とする請求項1項記載の無線基地局装置。
【請求項4】
前記蓄積手段は、前記無線端末におけるハンドオーバ実施時に、ハンドオーバ前に接続していた無線部とハンドオーバ後に接続した無線部とを関連付けたハンドオーバ履歴情報をさらに蓄積し、
前記作成手段は、前記ハンドオーバ履歴情報に基づき、ハンドオーバの前後で接続した無線部の組み合わせを隣接すると判断して前記アンテナの組み合わせを表す情報を作成することを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項5】
前記信号品質は、前記マクロダイバーシティ通信における受信電力、スループット及びビットエラーレートのうちの少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1項記載の無線基地局装置。
【請求項6】
複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部とを制御する無線部制御装置であって、
前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定する測定手段と、
前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成する作成手段と、
前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行う信号処理手段と、
前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積する蓄積手段と
を具備し、
前記作成手段は、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新することを特徴とする無線部制御装置。
【請求項7】
複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部とを制御する無線部制御装置に用いられる無線通信方法であって、
前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定することと、
前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成することと、
前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択することと、
前記選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行うことと、
前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積することと
を有し、
前記作成することにおいて、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新することを特徴とする無線通信方法。
【請求項1】
複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部と、
前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定する測定手段と、
前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成する作成手段と、
前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行う信号処理手段と、
前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積する蓄積手段と
を具備し、
前記作成手段は、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新することを特徴とする無線基地局装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記マクロダイバーシティ通信の実施中に、定期的に使用アンテナを変更したマクロダイバーシティ通信を試行し、実施中のアンテナの組み合わせより通信品質が高いと判定した場合は前記アンテナの組み合わせを変更してマクロダイバーシティ通信を継続することを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項3】
前記アップリンク信号は、前記無線端末からオムニ送信されることを特徴とする請求項1項記載の無線基地局装置。
【請求項4】
前記蓄積手段は、前記無線端末におけるハンドオーバ実施時に、ハンドオーバ前に接続していた無線部とハンドオーバ後に接続した無線部とを関連付けたハンドオーバ履歴情報をさらに蓄積し、
前記作成手段は、前記ハンドオーバ履歴情報に基づき、ハンドオーバの前後で接続した無線部の組み合わせを隣接すると判断して前記アンテナの組み合わせを表す情報を作成することを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項5】
前記信号品質は、前記マクロダイバーシティ通信における受信電力、スループット及びビットエラーレートのうちの少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1項記載の無線基地局装置。
【請求項6】
複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部とを制御する無線部制御装置であって、
前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定する測定手段と、
前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成する作成手段と、
前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行う信号処理手段と、
前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積する蓄積手段と
を具備し、
前記作成手段は、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新することを特徴とする無線部制御装置。
【請求項7】
複数のアンテナを備え、前記アンテナにより無線端末との間で無線通信する複数の無線部とを制御する無線部制御装置に用いられる無線通信方法であって、
前記無線端末からのアップリンク信号の受信電力を前記アンテナ毎に測定することと、
前記無線端末との間で複数の前記無線部によるマクロダイバーシティ通信に使用するアンテナの組み合わせを表す情報を作成することと、
前記受信電力の測定結果と前記アンテナの組み合わせを表す情報とをもとに前記無線通信に使用するアンテナの組み合わせを選択することと、
前記選択されたアンテナの組み合わせにしたがって前記複数の無線部の無線制御を行うことと、
前記マクロダイバーシティ通信の信号品質と前記アンテナの組み合わせとを対応付けたマクロダイバーシティ履歴情報を蓄積することと
を有し、
前記作成することにおいて、前記マクロダイバーシティ履歴情報をもとに前記アンテナの組み合わせを表す情報を更新することを特徴とする無線通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−191262(P2012−191262A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50620(P2011−50620)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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