説明

無線基地局装置、移動体端末装置、およびアクセス規制通知方法

【課題】特殊な装置を設置することなく、アクセス規制がかかった無線エリアをその無線エリアに入る前に知ることができるようにする。
【解決手段】無線基地局装置は規制管理部と規制通知部を有している。規制管理部は、自装置が形成する無線セルおよび該無線セルの周辺セルにおけるアクセス規制の状況を示す状況情報を保持する。規制通知部は、規制管理部で保持されている状況情報に基づき、アクセス規制が実施されている無線セルである規制セルの周辺セルにおいて、規制セルにアクセス規制がかかっている旨を示す規制情報を移動体端末装置に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局装置が形成する複数の無線セルで移動体端末装置を収容する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線基地局装置が形成する無線セルで通信エリアをカバーして移動体端末装置を収容することにより、様々な場所での移動体端末装置による無線通信を可能にする無線通信システムが広く用いられている。
【0003】
この種の無線通信システムでは、移動体端末装置のユーザは基本的にはどのような場所でも自由に通信を利用することができる。しかしながら、移動体端末装置が狭いエリアに集中すると、そのエリアをカバーする無線セルの回線が輻輳することがある。そのようなとき、あるいはそうなる前に移動体端末装置の通信を規制し、輻輳を緩和したり、防止したりすることがある。通常、このようなアクセス規制には複数のレベルがあり、例えばアクセス規制のレベルによって発信や着信が許容される割合が異なる。輻輳が激しいときには、高いレベルでアクセス規制がかけられ、発信や着信が成功しづらい状態となる。また、無線基地局装置のメンテナンスのために、その無線基地局装置による無線セルでの通信を保守者が手動で規制することもある。
【0004】
アクセス規制がかけられているという情報は、無線基地局装置からの報知情報によって移動体端末装置へ通知される。移動体端末装置は在圏する無線セルがアクセス規制されているという情報を常時取得できる。
【0005】
しかしながら、無線セルのアクセス規制情報はその無線セルに在圏していなければ、得られないので、アクセス規制がかかっているとは知らずに、その無線セルに入ってしまうことがあった。また、ユーザは周囲の他の無線セルにアクセス規制がかかっているか否かが分からないので、通信を行うためにどうしたらいいのか分からなかった。
【0006】
移動体端末装置のユーザは規制されたエリアに入圏した後、初めてアクセス規制がかかったエリアにいることを認識する。ユーザは規制エリアであることを認識できないまま、規制エリアに入圏することになる。普段はアクセス規制がかかっていないような、コンサート会場、競技場、花火大会会場等といった場所に行って初めて、規制がかかっていることを知る。例えば、知り合いと待ち合わせをしている場合や、何らかの事情でどうしても通話を行いたい場合などには、非常に利便性が悪かった。
【0007】
これに対して、特許文献1には、アクセス規制がかかっているエリアに入る前にユーザにアクセス規制がかかっていることを知らせる技術が開示されている。制限エリアの出入り口エリアの外側に利用制限通知装置を設置し、常に利用制限信号を送出するというものである。これにより、ユーザは制限エリアに近づいたことを知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−025059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、利用制限通知装置という特殊な装置を設置することを必要とするものであり、コストアップにつながるものであった。
【0010】
本発明の目的は、特殊な装置を設置することなく、アクセス規制がかかった無線エリアをその無線エリアに入る前に知ることができるようにする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の無線基地局装置は、
自装置が形成する無線セルおよび該無線セルの周辺セルにおけるアクセス規制の状況を示す状況情報を保持する規制管理部と、
前記規制管理部で保持されている状況情報に基づき、アクセス規制が実施されている無線セルである規制セルの周辺セルにおいて、前記規制セルにアクセス規制がかかっている旨を示す規制情報を移動体端末装置に通知する規制通知部と、を有している。
【0012】
本発明の移動体端末装置は、
無線基地局装置から、自装置が在圏する無線セルの周辺セルにおけるアクセス規制の状況を示す状況情報を受信する通知受信部と、
前記通知受信部が受信した前記状況情報をユーザに提示する規制提示部と、を有している。
【0013】
本発明のアクセス規制通知方法は、
無線基地局装置が自装置の形成する無線セルおよび該無線セルの周辺セルにおけるアクセス規制の状況を示す状況情報を保持し、
前記無線基地局装置が保持している状況情報に基づき、アクセス規制が実施されている無線セルである規制セルの周辺セルにおいて、前記規制セルにアクセス規制がかかっている旨を示す規制情報を移動体端末装置に通知するというものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザが規制セルに入る前に、その無線セルでアクセス規制が実施されていることを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の無線基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の移動体端末装置の構成を示すブロック図である。
【図4】無線基地局装置15が保持する隣接セル情報テーブルを示す図である。
【図5】アクセス規制時のシステムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】メッセージ2について説明するための図である。
【図7】簡易規制情報の画面表示の一例を示す図である。
【図8】詳細規制情報の画面表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施形態による無線通信システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、無線通信システムは、無線基地局装置15、16と移動体端末装置14とを有している。図1には説明のために簡略化した構成が示されているが、通常の実システムには多数の無線基地局と無線端末装置が存在する。
【0018】
無線基地局装置15、16は、無線回線で無線セルを形成し、その無線セルで移動体端末装置14を収容する。無線基地局装置15、16は更に上位ネットワーク17に接続されている。
【0019】
移動体端末装置14は、ユーザが携帯可能な携帯電話やスマートフォンなどの無線の通信端末であり、無線基地局装置15、16を介して通信を行う。
【0020】
図2は、本実施形態の無線基地局装置の構成を示すブロック図である。無線基地局装置16は無線基地局装置15と同じ構成である。
【0021】
無線基地局装置15は、規制管理部21および規制通知部22を有している。
【0022】
規制管理部21は、自装置が形成する無線セルおよびその無線セルの周辺セルにおけるアクセス規制の状況を示す状況情報を保持する。ここでいう周辺セルは、対象となる無線セルでアクセス規制が実施されたときにそれを通知すべき周辺の無線セルであり、例えば、対象となる無線セルに隣接する無線セル(隣接セル)である。
【0023】
規制通知部22は、規制管理部21で保持されている状況情報に基づき、アクセス規制が実施されている無線セルである規制セルの周辺セルにおいて、規制セルにアクセス規制がかかっている旨を示す規制情報を移動体端末装置14に通知する。
【0024】
本実施形態によれば、無線基地局装置15、16から移動体端末装置14に規制セルの周辺セルに在圏していることが通知されるので、ユーザは規制エリアに入る前にアクセス規制が実施されていることを知ることができる。
【0025】
また、本実施形態において、一例として、規制通知部22は、規制セルの周辺セルにまずは簡易な規制情報(簡易規制情報)を報知し、移動体端末装置14から要求があった場合に、移動体端末装置14に対して詳細な規制情報(詳細規制情報)を送信する。
【0026】
また、規制通知部22は、簡易規制情報として1ビットのフラグを用いる。例えば、アクセス規制が実施されていない状態でオンのフラグを送ることでアクセス規制が新たに実施されたことを示し、アクセス規制が実施されている状態でオンのフラグを送ることでアクセス規制の内容が変更されたことを示し、オフのフラグを送ることでアクセス規制が解除になったことを通知する。
【0027】
詳細規制情報として、音声通話のみの規制、パケット通信のみの規制、それら両方の規制などアクセス規制の種類、何割の発信を規制するか等の規制レベル等が考えられる。
【0028】
また、規制通知部22は、自装置が形成する無線セルとその無線セルの周辺セルを含むエリアの簡易マップを示す簡易マップ情報を保持しておき、規制セルを簡易マップに表示した規制マップを規制情報に含めて通知してもよい。
【0029】
また、規制管理部21は、自装置が形成する無線セルの周辺セルを形成する他の無線基地局装置と通信を行って、その周辺セルの状況情報を取得する。その際、規制管理部21は、自装置が形成する無線セルの周辺セルを形成する無線基地局装置と直接回線で接続されていれば、その回線で前記周辺セルの状況情報を取得すればよい。あるいは、規制管理部21は、自装置が他に無線基地局装置と直接回線で接続されていなければ、上位ネットワーク17を構成する装置(上位装置:不図示)経由で、周辺セルの状況情報を取得すればよい。
【0030】
図3は、本実施形態の移動体端末装置の構成を示すブロック図である。図3を参照すると、移動体端末装置14は、通知受信部31および規制提示部32を有している。
【0031】
通知受信部31は、無線基地局装置15から、自装置が在圏する無線セルの周辺セルにおけるアクセス規制の状況を示す状況情報を受信する。規制提示部32は、通知受信部31が受信した状況情報をユーザに提示する。その際、規制提示部32は音と振動のいずれか一方あるいは両方によって状況情報が通知されたことをユーザに提示することしてもよい。
【0032】
以下、より具体的な実施例として無線アクセスネットワークについて説明する。
【0033】
本実施例の無線アクセスネットワークは、図1に示した無線通信システムと同様の構成である。
【0034】
本実施例の無線アクセスネットワークは、一例として、3GPP(3rd Generation Partnership Project)におけるLTE(Long Term Evolution)である。
【0035】
図1において、無線アクセスネットワークは無線基地局装置15、16を有している。無線基地局装置15はセル1とセル2を形成しており、無線基地局装置16はセル3を有している。セル1はセル2、セル3と隣接している。また、無線基地局装置15と無線基地局装置16は直接回線で接続されている。移動体端末装置14はセル2に在圏している。
【0036】
無線基地局装置15、16は移動体端末装置と通信を行っている。通信中の移動体端末装置の数が大幅に増加した場合などには、無線基地局装置15、16に許容値以上の負荷が加わる。そのような場合、無線基地局装置15、16は正常な動作を継続できない可能性がある。
【0037】
このような事象を避けるため、無線基地局装置15、16は、自律的に移動体端末装置に対して発信動作を制限する等して負荷を調整する機能を有している(アクセス規制)。また、無線基地局装置15、16のメンテナンスなどで、保守者が手動で同様のアクセス規制を行うことも可能である。
【0038】
無線基地局装置15、16による移動体端末装置に対するアクセス規制は情報を報知するシステム(報知情報システム)によって実現される。無線基地局装置15、16は、自身の有するセル単位にそのセル独自のアクセス規制情報を在圏する移動体端末装置に通知する。
【0039】
このとき移動体端末装置14は通知されたアクセス規制情報に従って動作する。例えば、パケット通信が不可と通知された場合、移動体端末装置14は、ユーザがパケット通信を指示したとしても、アクセス規制がかけられた無線セルとのパケット通信を行えないような仕組みとなっている。
【0040】
図4は、無線基地局装置15が保持する隣接セル情報テーブルを示す図である。図4を参照すると、隣接セル情報テーブルには、セルIDで示された各隣接セルについて、規制の有無、工事中かどうかの状態が保持され、更にPS呼とCS呼という呼の種別毎にアクセス規制に関する各種情報が保持されている。
【0041】
無線基地局装置15、16は、図4に示すような隣接セル情報テーブルを保持し、これによって自基地局配下の無線セルとその隣接セルの規制状況情報を管理する。本テーブルには、規制の有無と、その規制の種別(位置登録/発信/着信規制等)と、規制の程度、規制を継続する時間、等といった規制状況情報を管理できる。
【0042】
また、規制の状況を示す情報だけでなく、移動体端末装置14による無線セルでの通信の品質を表すような指標を、本テーブルにて管理し、移動体端末装置14へ通知できる状態にしておいてもよい。
【0043】
ここで図4にあるPS呼とはパケット交換によって接続されるパケット通信を行うための呼のことであり、CS呼は回線交換によって接続される呼を表している。
【0044】
図4には、図4(A)のようにアクセス規制が実施されていない状態から、図4(B)のように、セル1においてPS呼の発信が“大”のレベルで規制されたた状態に移行した様子が例示されている。
【0045】
図5は、アクセス規制時のシステムの動作を示すシーケンス図である。図5において、メッセージ1、3、4は3GPPにおいて規定されていない新規メッセージである。
【0046】
メッセージ1は、規制状況情報を共有のため無線基地局装置間で送受信されるメッセージである。無線基地局装置15、16は、規制状況情報の送信先である他の無線基地局装置と直接回線で接続されていなければ、上位ネットワーク17を構成するノード(上位装置)を介して規制状況情報を送受信する。
【0047】
無線基地局装置15、16はメッセージ1を受信したとき、自身の保持している隣接セル情報テーブルを、そのメッセージ1によって通知された内容に更新する。
【0048】
また、無線基地局装置15、16は、送信先となる無線基地局装置がアクセス規制の発生した無線セルの隣接セルを有する場合に限り、メッセージ1を送信する。
【0049】
メッセージ2は、報知情報システムを用いて実現される。本実施例においては、メッセージ2は、SystemInformationBlockType3のIntraFreqNeighCellInfoに規制状況情報の有無を表すフラグを設けたものである。
【0050】
図6は、メッセージ2について説明するための図である。図6には、SystemInformationBlockType3の一部の情報要素が抜粋されている。この中のIntraFreqNeighCellInfoに、簡易規制情報であるフラグが追加されている。図6(A)はその追加前を示し、図6(B)は追加後を示している。
【0051】
移動体端末装置14への規制情報の通知は2つのステップで実施される。そのために規制情報は簡易規制情報と詳細規制情報の2つに分類される。
【0052】
メッセージ2を用いて通知される簡易規制情報にはフラグが含まれる。フラグにより、アクセス規制の新たに発生したこと、アクセス規制の内容が変更されたこと、あるいはアクセス規制が解除されたことが表される。
【0053】
メッセージ3は移動体端末装置14が無線基地局装置15に対して詳細規制情報を問い合わせるためのメッセージである。メッセージ3による問い合わせに応じて無線基地局装置15は、メッセージ4を用いて、詳細規制情報を移動体端末装置14に通知する。
【0054】
移動体端末装置14は、受信した規制情報をメモリに記憶すると共に、ユーザへの提示として画面に表示する機能を備えている。
【0055】
移動体端末装置14はメッセージ2を受信したとき、その簡易規制情報をメモリに記憶する。そして、移動体端末装置14は、以前に記憶した簡易規制情報と、新たに受信し記憶した簡易規制情報とを比較することによって、簡易規制情報が示す通知内容を判別する。具体的には、新規発生か変更か解除かを判別する。
【0056】
例えば、以前の簡易規制情報が“0”であり、新たに受信した簡易規制情報が“0”であれば、移動体端末装置14は新たな規制情報はないと判定する。以前の簡易規制情報が“0”であり、新たに受信した簡易規制情報が“1”であれば、移動体端末装置14は、新たなアクセス規制が発生したと判定する。同様に、以前の簡易規制情報が“1”であり、新たに受信した簡易規制情報が“1”であれば、移動体端末装置14は、アクセス規制に変更が発生したと判定する。また、以前の簡易規制情報が“1”であり、新たに受信した簡易規制情報が“0”であれば、移動体端末装置14は、アクセス規制が解除されたと判定する。
【0057】
また、移動体端末装置14はメモリに詳細規制情報を取得する方法を記憶している。例えば、簡易規制情報が受信されたら自動的に詳細規制情報を取得するか、ユーザが指示操作を行ったら詳細規制情報を取得するか等の設定が可能となる。
【0058】
移動体端末装置14は、メモリに記憶している方法で、詳細規制情報を取得する処理を実行する。これによって、移動体端末装置14のユーザは詳細規制情報を自動的に取得するか否かを選択することが可能となる。
【0059】
移動体端末装置14は、メッセージ2あるいはメッセージ4を無線基地局装置15から受信したとき、その受信した規制情報を画面に表示する。受信した規制情報に含まれている規制レベル等の情報の画面への表示は、移動体端末装置14のユーザにとってわかりやすい表現を用いることが好ましい。特に限定するものではないが、例えば、規制レベルをパーセンテージで表現したり、または大、中、小といった程度を表す語で表現したりするとよい。また、その表現方法をユーザが選択可能にしてもよい。また、規制情報のメッセージ2、4を受信したとき、移動体端末装置14は、音を発したり、振動したりすることでユーザに知らせてもよい。
【0060】
以下、セル1にアクセス規制(発信規制、規制レベル:大)が新規に発生したときの動作例について説明する。
【0061】
無線基地局装置15は、図4に示したように、自身が保持する隣接セル情報テーブルのセル1に関するアクセス規制情報を更新する。さらに、無線基地局装置15はセル1のアクセス規制を通知すべき隣接セルを検索する。その結果、隣接セルとしてセル2とセル3が見つかり、そのうち、セル3が無線基地局装置16の配下の無線セルであることがわかる。なお、無線基地局装置15、16は自基地局配下の無線セルの隣接セルに関して、その無線セルを有する無線基地局装置を特定することが可能である。
【0062】
次に、無線基地局装置15は、図5に示したように、無線基地局装置16に対してメッセージ1を送信する)。これによってセル1に関するアクセス規制情報が更新されたことが無線基地局装置16に通知される。メッセージ1を受信した無線基地局装置16は、自身が保持するセル1に関する隣接セル情報テーブルの更新を行う。
【0063】
無線基地局装置15と無線基地局装置16はそれぞれセル1の隣接セルであるセル2とセル3においてメッセージ2の編集を行い、図5に示したように、送信を開始する。
【0064】
セル2に在圏する移動体端末装置14はメッセージ2を受信する。移動体端末装置14は、その簡易規制情報を解読し、メモリに記憶する。更に、移動体端末装置14は、簡易規制情報を画面に表示する。図7は、簡易規制情報の画面表示の一例を示す図である。図7を見て分かるように、ユーザは近隣地域の無線セルにてアクセス規制が発生したことを知る。
【0065】
さらに移動体端末装置14はメモリに記憶している詳細規制情報取得方法を調べ、詳細規制情報を取得するかどうか確認する。詳細規制情報を取得しないという設定がされていれば、ここで動作が完了する。
【0066】
本例では、ユーザの選択により詳細規制情報を取得するという取得方法がメモリに記憶されているものとする。そこで移動体端末装置14は、図7に示したように、ユーザに選択を促す。そして、ユーザが詳細規制情報を取得することを選択したら、移動体端末装置14は、図5に示したように、無線基地局装置15にメッセージ3を送信する。
【0067】
無線基地局装置15はメッセージ3を受信すると、図5に示したように、メッセージ4を移動体端末装置14に送信する。
【0068】
移動体端末装置14はメッセージ4を受信すると、自身の画面に、メッセージ4で受信した詳細規制情報を表示する。図8は、詳細規制情報の画面表示の一例を示す図である。また、移動体端末装置14は、このとき音や振動を用いて、規制情報を受信した旨をユーザに認識させる。図8のように、詳細規制情報であるアクセス規制エリアを表示する簡易マップや、規制レベルや規制時間等のアクセス規制に関する情報がユーザに提示される。
【0069】
簡易マップによる表示について以下に説明をする。
【0070】
無線基地局装置15はあらかじめ自装置の無線セルでカバーするエリアを含む周辺の簡易マップの情報を保持している。簡易マップは、ユーザがアクセス規制が実施されている地域を容易に認識することができるように、アクセス規制が実施されている無線セルを表示するための簡易的な地図である。簡易マップに表示される情報は、アクセス規制が発生しているエリアにおける、駅、学校、病院、市役所、テーマパーク等のランドマークである。図8では、白い星印がランドマークを示している。
【0071】
無線基地局装置15は、保持している簡易マップにアクセス規制が発生している無線セルを表示する情報(簡易マップ情報)を詳細規制情報として、メッセージ4にて移動体端末装置14に通知する。移動体端末装置14はメッセージ4を受信したとき、そのメッセージ4に含まれる簡易マップ情報を画面に表示する。
【0072】
また、移動体端末装置14はGPS機能を備えていれば、GPS機能で取得した自身の現在地を簡易マップに表示する。図8では、移動体端末装置14の現在地が黒い星印で示されている。
【0073】
以上、本実施例によれば、移動体端末装置14において自装置が在圏する無線セルの隣接セルにおいてアクセス規制が実施されていることをユーザに提示することができるため、ユーザはアクセス規制が実施されているエリアへ入圏を事前に避けることが可能となる。また、その結果、輻輳によってアクセス規制が実施された無線セルへの移動体端末装置14の入圏が抑制され、輻輳の増大を緩和することができる。
【0074】
なお、本実施例ではLTEを例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。3G、4G、その他の無線アクセスネットワークにおいても、本発明は広く利用することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態および実施例について述べてきたが、本発明は、この実施形態や実施例だけに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、これらを組み合わせて使用したり、一部の構成を変更したりしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
14 移動体端末装置
15 無線基地局装置
16 無線基地局装置
17 上位ネットワーク
21 規制管理部
22 規制通知部
31 通知受信部
32 規制提示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置が形成する無線セルおよび該無線セルの周辺セルにおけるアクセス規制の状況を示す状況情報を保持する規制管理部と、
前記規制管理部で保持されている状況情報に基づき、アクセス規制が実施されている無線セルである規制セルの周辺セルにおいて、前記規制セルにアクセス規制がかかっている旨を示す規制情報を移動体端末装置に通知する規制通知部と、を有する無線基地局装置。
【請求項2】
前記規制通知部は、前記規制セルの周辺セルに簡易規制情報を報知し、前記移動体端末装置から要求があった場合に、該移動体端末装置に詳細規制情報を送信する、請求項1に記載の無線基地局装置。
【請求項3】
前記規制通知部は、前記簡易規制情報として1ビットのフラグを用い、アクセス規制が実施されていない状態でオンのフラグを送ることでアクセス規制が新たに実施されたことを示し、アクセス規制が実施されている状態でオンのフラグを送ることでアクセス規制の内容が変更されたことを示し、オフのフラグを送ることでアクセス規制が解除になったことを通知する、請求項1または2に記載の無線基地局装置。
【請求項4】
前記規制管理部は、自装置が形成する無線セルの周辺セルを形成する無線基地局装置と通信を行って該周辺セルの状況情報を取得する、請求項1から3のいずれか一項に記載の無線基地局装置。
【請求項5】
前記規制管理部は、自装置が形成する無線セルの周辺セルを形成する無線基地局装置と直接回線で接続されていれば、該回線で前記周辺セルの状況情報を取得し、該無線基地局装置と直接回線で接続されていなければ、上位装置経由で前記周辺セルの状況情報を取得する、請求項4に記載の無線基地局装置。
【請求項6】
前記規制通知部は、自装置が形成する無線セルと該無線セルの周辺セルを含むエリアの簡易マップを示す簡易マップ情報を保持しており、規制セルを前記簡易マップに表示した規制マップを前記規制情報に含めて通知する、請求項1から5のいずれか一項に記載の無線基地局装置。
【請求項7】
無線基地局装置から、自装置が在圏する無線セルの周辺セルにおけるアクセス規制の状況を示す状況情報を受信する通知受信部と、
前記通知受信部が受信した前記状況情報をユーザに提示する規制提示部と、を有する移動体端末装置。
【請求項8】
前記規制提示部は音と振動のいずれか一方あるいは両方によって前記状況情報が通知されたことをユーザに提示する、請求項7に記載の移動体端末装置。
【請求項9】
無線基地局装置が自装置の形成する無線セルおよび該無線セルの周辺セルにおけるアクセス規制の状況を示す状況情報を保持し、
前記無線基地局装置が保持している状況情報に基づき、アクセス規制が実施されている無線セルである規制セルの周辺セルにおいて、前記規制セルにアクセス規制がかかっている旨を示す規制情報を移動体端末装置に通知する、アクセス規制通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−156771(P2012−156771A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13874(P2011−13874)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】