説明

無線基地局装置及び無線装置

【課題】ある方式がすでに運用されているところに、他の方式を追加的に運用する場合など、従来の無線基地局システムでは、それぞれの方式による無線制御装置と無線装置とが必要となる。
【解決手段】一実施形態による無線基地局装置は、第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートで、前記第1の通信方式のベースバンド信号をサンプリングするレート変換部を有する。
他の実施形態による無線装置は、第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートでサンプリングした前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とを受け取り、周波数を判別して、前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とに分ける周波数判別部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線基地局装置及び無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代の移動通信ネットワークでは、システムチップレートが異なる2つの通信方式、すなわちW−CDMA方式(chip Rate:3.84Mcps、占有帯域幅:5MHz)とCDMA2000方式(Chip Rate:1.2288Mcps、占有帯域幅:1.25MHz)が用いられている。
【0003】
図1は、従来の無線基地局システムを示す概略図である。図1に示した従来の無線基地局システム(BTS)は、W−CDMA方式の無線基地局システム(BTS)400と、CDMA2000方式の無線基地局システム(BTS)500とを備えられている。各無線基地局システム400、500は、ベースバンド信号処理、呼処理、監視制御などを行う無線制御装置(REC)410、510と、送受信号分離多重、周波数フィルタリング、電力増幅、信号変調、及び周波数変換などの機能を有し、無線搬送処理を行う無線装置(RE)420、520とを備えている。
【0004】
このように、W−CDMA方式の無線基地局システム400とCDMA2000方式の無線基地局システムを備え、独立して無線搬送波を送信する場合、それぞれのアンテナ8、9から、それぞれの方式で定義された送信周波数及び送信帯域の無線搬送波が送信される。
【特許文献1】特表平11−509054号公報
【特許文献2】特許第3802920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一方の方式(例えば、W−CDMA方式)がすでに運用されているところに、他方の方式(例えば、CDMA2000方式)を追加的に運用する場合や、両方の通信方式の運用を同時に開始する場合に、従来の無線基地局システムでは、それぞれの方式による無線制御装置と無線装置とが用いられる。
【0006】
それにより、設備投資や、電力、設置スペース等の設備の運用費用の増大が問題となる。また、置局設計において両方式の無線基地局システムの設置スペースが必要となる。
【0007】
さらに、無線基地局システムの設置や調整に時間がかかる。
そこで、複数の通信方式の無線制御装置が無線装置を共用可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態による無線基地局装置は、第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートで、前記第1の通信方式のベースバンド信号をサンプリングするレート変換部を有する。
【0009】
他の実施形態による無線装置は、第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートでサンプリングした前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とを受け取り、周波数を判別して、前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とに分ける周波数判別部を有する。
【0010】
他の実施形態による無線装置は、第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートで、前記第1の通信方式のベースバンド信号をサンプリングするレート変換部と、
前記レート変換部がサンプリングした前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とを受け取り、周波数を判別して、前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とに分ける周波数判別部を有する。
【0011】
さらに他の実施形態による外部インターフェース信号装置は、
第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートで、前記第1の通信方式のベースバンド信号をサンプリングする第1のレート変換部と、
前記公倍数のクロックレートで、前記第2の通信方式のベースバンド信号をサンプリングする第2のレート変換部とを有する。
【発明の効果】
【0012】
一実施形態による無線基地局システムは、複数の通信方式の無線制御装置が無線装置を共用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図面を参照して実施形態を詳しく説明する。図面にわたって同一の構成要素には同一の参照番号を付した。
【0014】
図2は、第1の実施形態による無線基地局システムを示す概略図である。図2に示した無線基地局システムは、W−CDMA方式無線基地局装置2と、CDMA2000方式無線基地局装置4と、無線装置5と、アンテナ6とを含む。
【0015】
W−CDMA方式無線基地局装置2は、W−CDMA方式無線制御装置(REC)21を含み、無線制御装置21の出力は無線装置(RE)5の第1の入力に接続されている。
【0016】
CDMA2000方式無線基地局装置4は、CDMA2000方式無線制御装置(REC)41を含み、無線制御装置41の出力は無線装置(RE)5の第2の入力に接続されている。
【0017】
無線装置5の出力はアンテナ6に接続されている。W−CDMA方式無線制御装置21とCDMA2000方式無線制御装置41との間で無線装置5を共用するため、アンテナ6よりそれぞれの方式に対応した周波数帯の無線搬送波を合わせて送信することが可能となる。
【0018】
[第1実施形態]
図3は、図2に示した第1の実施形態による無線基地局システムの構成を示すブロック図である。図3に示した無線基地局システムは、W−CDMA方式に対応した上位装置1と、無線基地局装置2と、CDMA2000方式に対応した上位装置3と、無線基地局装置4と、W−CDMA方式とCDMA2000方式に対応した無線装置(RE)5と、アンテナ6とを備える。
【0019】
無線基地局装置2は、無線制御装置(REC)21を備える。無線制御装置21は、共通制御部211と、ベースバンド信号処理部212と、インターフェース信号変換部213とを備える。
【0020】
また、無線基地局装置4は、無線制御装置(REC)41を備える。無線制御装置41は、共通制御部411と、ベースバンド信号処理部412と、インターフェース信号変換部413とを備える。
【0021】
また、無線装置(RE)5は、インターフェース信号部51と、送受信増幅部52とを備える。
【0022】
上位装置1、3はコアネットワーク装置である。上位装置1は、例えばW−CDMA方式に対応したRNC(Radio Network Controller)やaGW(access−Gate Way)である。上位装置3は、例えばCDMA2000方式に対応したRNC(Radio Network Controller)やaGW(access−Gate Way)である。上位装置1、3は、それぞれの無線通信方式に対応したデータを送受信する。
【0023】
無線制御装置(REC)21、41の共通制御部211、411は、例えば、それぞれの無線基地局装置2、4の他の構成要素に対する同期信号の供給や、個々のユーザ設定などの無線基地局装置2、4の制御を行う。
【0024】
ベースバンド信号処理部212、412は、例えば、それぞれ上位装置1、3からのデータをI(In Phase)信号とQ(Quvadurature Phase)信号よりなるベースバンド信号に変換して、インターフェース信号変換部213、413に出力する。
【0025】
インターフェース信号変換部213、413は、例えば、両方式独自のクロックレートを共通のサンプリングクロックレートに載せ替えて、無線装置5のインターフェース信号部51と信号の送受信を行う。詳細は後述する。
【0026】
一方、無線装置(RE)5のインターフェース信号部51は、無線制御装置(REC)21、41のインターフェース信号変換部213、413からの信号を、それぞれの方式の周波数にマッピングして、送受信増幅部52に出力する。また、これとは逆に、送受信増幅部52からの信号を、W−CDMA方式の信号とCDMA2000方式の信号とに分離して、それぞれのインターフェース信号変換部213、413へ出力する。
【0027】
送受信増幅部52は、インターフェース信号部51からの信号を無線信号に変調し、増幅してからアンテナ6に出力する。また、これとは逆に、アンテナ6からの信号をデジタル信号に復調してインターフェース信号部51に出力する。
【0028】
したがって、図3に示した無線通信システムでは、無線基地局装置2、4にそれぞれ対応する無線装置(RE)を設置する必要がなく、無線装置5を共用して、W−CDMA方式とCDMA2000方式のサービスを提供できる。
【0029】
[実施例1]
図4は、図3の無線基地局システムの第1の実施例を示すブロック図である。図3の無線基地局システムのインターフェース信号変換部213と、インターフェース信号変換部413と、インターフェース信号部51と、送受信増幅部52の詳細な構成例を示している。なお、図を分かりやすくするため、図3に示した上位装置1、3と、共通制御部211、411と、ベースバンド信号処理部212、412と、アンテナ6とは図示を省略した。
【0030】
無線制御装置21のインターフェース信号変換部213は、レート変換部2131と、変換部2132とを備える。
【0031】
また、無線制御装置41のインターフェース信号変換部413は、レート変換部4131と、変換部4132とを備える。
【0032】
インターフェース信号部51は、インターフェース信号変換部213、413にそれぞれ対応した変換部511、512と、周波数マッピング部513と、IQ抽出部514とを備える。
【0033】
周波数マッピング部513は、周波数判別部5131と、W−CDMA方式に対応する処理経路入口部f1(5132)と、CDMA2000方式に対応する処理経路入口部f2(5133)とを備える。
【0034】
また、IQ抽出部514は、WCDMA方式に対応するIQ抽出部5141と、CDMA2000方式に対応するIQ抽出部5142とを含む。
【0035】
送受信増幅部52は、WCDMA方式及びCDMA2000方式にそれぞれ対応するD/A変換部521、527と、変調部522、528と、増幅部523、529と、受信部524、532と、ダウンコンバータ525、531と、A/D変換部526、530とを備える。
【0036】
図4に示した無線基地局2、4及び無線装置5の動作について、図3も参照しつつ説明する。
【0037】
最初に下り方向(上位装置1、3からアンテナ6への方向)の動作について説明する。
【0038】
図3に示すように、上位装置1は、W−CDMA方式に対応するデータを無線基地局装置2に出力する。出力されたデータは、共通制御部211を介してベースバンド信号処理部212に送られ、I、Q信号のベースバンド信号に変換される。変換されたベースバンド信号は、図4に示すレート変換部2131に入力される。
【0039】
レート変換部2131は、ベースバンド信号に対して、W−CDMA方式のクロックレート3.84MHzの8倍のオーバサンプリング(高次サンプリング)により30.72MHzのサンプリングクロックレート信号にクロックレートを変換し(図8参照)、変換部2132へ出力する。レート変換部は例えば分周回路を含む。
【0040】
変換部2132は、レート変換部2131の出力を、無線装置5に搭載されている変換部511とのインターフェース信号、例えば適切な電気信号プロトコル、光信号プロトコル、または独自プロトコル信号などに変換し、無線装置5の変換部511に出力する。インターフェース信号としては、例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)等がある。他の実施形態では、無線制御装置と無線装置との間のインターフェース信号はCPRI以外のインターフェース信号であってもよい。
【0041】
一方、上位装置3は、CDMA2000方式に対応するデータを無線基地局装置4に出力する。出力されたデータは、共通制御部411を介してベースバンド信号処理部412に送られ、I、Q信号のベースバンド信号に変換され、図4に示すレート変換部4131に入力される。
【0042】
レート変換部4131は、ベースバンド信号に対して、CDMA2000方式のクロックレート1.2288MHzの25倍のオーバサンプリング(高次サンプリング)により30.72MHzのサンプリングクロックレート信号にクロックレートを変換し(図8参照)、変換部4132へ出力する。
【0043】
すなわち、レート変換部2131、4131は、W−CDMA方式のクロックレートと、CDMA2000方式のクロックレートとの公倍数(この場合は最小公倍数)のクロックレートで、それぞれの方式のベースバンド信号を高次サンプリングしている。
【0044】
変換部4132は、レート変換部4131の出力を、無線装置5に搭載されている変換部512とのインターフェース信号、例えば適切な電気信号プロトコル、光信号プロトコル、独自プロトコル信号などに変換し、無線装置5の変換部512に出力する。インターフェース信号としては、例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)等がある。他の実施形態では、無線制御装置と無線装置との間のインターフェース信号はCPRI以外のインターフェース信号であってもよい。
【0045】
無線装置5の各機能部は、サンプリングクロックレートを基本クロックレートとして動作する。
【0046】
変換部511、512は、それぞれW−CDMA方式の変換部2132からの信号と、CDMA2000方式の変換部4132からの信号を逆変換(変換部2132、4132がした変換の逆変換)をして、サンプリングクロックレートのままそれぞれベースバンド信号に戻し、周波数マッピング部513へ出力する。
【0047】
周波数マッピング部513は、周波数判別部5131を有する。周波数判別部5131は、入力された各ベースバンド信号の周波数を判別し、所定の周波数帯域に周波数をシフトし、周波数シフトした各ベースバンド信号をf1出力部5132またはf2出力部5133へ送る。f1出力部5132、f2出力部5133はそれぞれの周波数のベースバンド信号を出口であり、特別な信号処理は行わない。
【0048】
以降、送受信増幅部52へ出力された信号は、それぞれD/A変換、変調、増幅されて無線搬送波として送信される。D/A変換部521、527は周波数シフトされた信号をそれぞれアナログ信号に変換する。変調部522、528は、アナログ信号に変換されたI、Q信号をそれぞれ直交変調する。増幅部523、529は、各周波数に対応した直交変調後の信号を増幅してアンテナ6に出力する。
【0049】
アンテナ6は、増幅された信号を無線通信により、各方式の携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの情報端末に送信する。これにより、各方式のそれぞれのユーザにサービスを提供できる。
【0050】
次に、上り方向(アンテナ6から上位装置1、3への方向)の動作について説明する。
【0051】
アンテナ6で受信した信号は、2つの経路に分岐され、一方の経路(受信部524、ダウンコンバータ525、A/D変換部526及びIQ抽出部5141)においてW−CDMA方式のための受信処理を受け、他方の経路(受信部532、ダウンコンバータ531、A/D変換部530及びIQ抽出部5142)においてCDMA2000方式のための受信処理を受ける。すなわち、各無線方式を運用するにあたり、アンテナ6から受信する信号(周波数帯)は、各方式共に既知であるため、予め各周波数帯に対応した受信部、ダウンコンバータ、A/D変換機能などを搭載して、それぞれの方式に従ったIQ抽出を実行する。
【0052】
なお、本実施形態では、送受信増幅部52は2つの経路があるように示したが、他の実施形態では、1つの経路で処理した信号をバンドパスフィルタ等で選択的にIQ抽出部5141、5142に分配してもよい。
【0053】
受信部524、532は信号を増幅し、所定のアナログ信号に変換する。ダウンコンバータ525、531は、後段のA/D変換部526、530に入力できる周波数にダウンコンバートする。A/D変換部526、530は、ダウンコンバートされた信号をデジタル信号に変換して、インターフェース信号部51のIQ抽出部514に出力する。
【0054】
インターフェース信号部51において、IQ抽出部514は、それぞれの方式に対応したIQベースバンド信号の抽出部5141、5142を有し、デジタル変換された信号から各周波数に対応するI、Q信号を抽出して、変換部511、512に出力する。
【0055】
変換部511、512では抽出されたI、Q信号を各方式の制御装置に搭載されている変換部2132、4132向けのインターフェース信号、例えば電気信号プロトコル、光信号プロトコル、独自プロトコル信号などに変換し、各方式の変換部2132、4132に出力する。ここで述べる変換部511、512、と変換部2132、4132間のインターフェース信号に関しても、下り方向で説明したとおりである。
【0056】
W−CDMA方式の変換部2132は受信した信号を、サンプリングクロックレートのベースバンド信号に変換し、レート変換部2131へ出力する。レート変換部2131はサンプリングクロックレートに対し1/8倍のサンプリングのレート変換(ダウンサンプリング)を施し、W−CDMA方式の独自のクロックレートにレートダウンしたベースバンド信号(図8参照)を、図3のベースバンド信号処理部212へ出力する。ベースバンド信号処理部212は、ベースバンド信号にベースバンド信号処理を施し、共通制御部211を介して、上位装置1へ出力する。
【0057】
一方、CDMA2000方式の変換部4132は受信した信号を、サンプリングクロックレートのベースバンド信号に変換し、レート変換部4131へ出力する。レート変換部4131はサンプリングクロックレートに対し1/25倍のサンプリングのレート変換(ダウンサンプリング)を施し、CDMA2000方式の独自のクロックレートにレートダウンしたベースバンド信号(図8参照)を、図3のベースバンド信号処理部412へ出力する。ベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部412にてベースバンド信号処理を施し、共通制御部411を介して、上位装置3へ出力する。
【0058】
[実施例2]
図5は、図3の無線基地局システムの第2の実施例を示すブロック図である。図4に示した第1の実施例では、レート変換部2131、4131をそれぞれ無線基地局装置2、4に備えたが、図5に示す第2の実施例では、レート変換部515、516を無線装置5に備えている。
【0059】
両方式共に上位装置1、3とベースバンド信号処理部212、412との間の入出力信号処理、及び無線装置5の送受信増幅部52とアンテナ6との間の入出力信号処理は、図4に示した第1の実施例と同様である。
【0060】
まず、下り方向(上位装置1、3からアンテナ6への方向)の動作について説明する。
【0061】
両方式の無線基地局装置2、4の変換部2132、4132は、ベースバンド信号を、無線装置5に搭載されている変換部511、512とのインターフェース信号、例えば適切な電気信号プロトコル、光信号プロトコル、独自プロトコル信号などに変換し、無線装置5の変換部511、512へ出力する。インターフェース信号としては、例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)等がある。他の実施形態では、無線制御装置と無線装置との間のインターフェース信号はCPRI以外のインターフェース信号であってもよい。
【0062】
変換部511、512は、両方式の無線制御装置2、4の変換部2131、4131から受け取ったインターフェース信号を、それぞれベースバンド信号に逆変換(変換部2131、4131が行った変換の逆変換)し、それぞれの接続先であるレート変換部515、516に出力する。
【0063】
レート変換部515は、入力されたW−CDMA方式のクロックレート3.84MHzのベースバンド信号に対し、8倍のオーバサンプリング(高次サンプリング)を行い、30.72MHzのサンプリングクロックレート信号にレートを変換し(図8参照)、周波数マッピング部513へ出力する。
【0064】
また、レート変換部516は、入力されたCDMA2000方式のクロックレート1.2288MHzのベースバンド信号に対し、25倍のオーバサンプリング(高次サンプリング)を行い、30.72MHzのサンプリングクロックレート信号にレートを変換し(図8参照)、周波数マッピング部513へ出力する。
【0065】
すなわち、レート変換部515、516は、W−CDMA方式のクロックレートと、CDMA2000方式のクロックレートとの公倍数(この場合は最小公倍数)のクロックレートで、それぞれの方式のベースバンド信号を高次サンプリングしている。
【0066】
以降は第1の実施例と同様の動作となる。
【0067】
周波数マッピング部513は、サンプリングクロックレートの入力信号をそれぞれの周波数帯域に周波数シフトする。周波数シフトされた信号は、送受信増幅部52へ出力される。
【0068】
次に、上り方向(アンテナ6から上位装置1、3への方向)の動作について説明する。
【0069】
IQ抽出部514は、各方式に対応するI、Q信号をレート変換部515、516に出力する。
【0070】
レート変換部515は、入力されたサンプリングクロックレートのベースバンド信号に対し1/8倍のサンプリングレートに変換(ダウンサンプリング)を施し、クロックレート3.84MHzのベースバンド信号に変換し(図8参照)、変換部511へ出力する。
【0071】
また、レート変換部516は、入力されたサンプリングクロックレートのベースバンド信号に対し1/25倍のサンプリングレートに変換(ダウンサンプリング)を施し、クロックレート1.2288MHzのベースバンド信号に変換し(図8参照)、変換部512へ出力する。変換部511、512は両方式の無線制御装置に搭載される変換部2131、4131とのインターフェース信号、例えば電気信号プロトコル、光信号プロトコル、独自プロトコル信号などに変換し出力する。変換部間のインターフェース信号変換方法に関しては第1の実施例で説明したとおりである。両方式の無線制御装置の変換部2132、4132は、入力されたインターフェース信号をそれぞれのベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号処理部に出力する。以降は、第1の実施例と同様の動作となる。
【0072】
[第2実施形態]
次に、図6を参照して、第2の実施形態による無線基地局システムを説明する。図6は、第2の実施形態による無線基地局システムの構成を示すブロック図である。図6の無線基地局システムは、W−CDMA方式とCDMA2000方式のそれぞれに対応する上位装置1、3と、無線基地局装置2、4と、両方式に共通の無線装置5と、アンテナ6とに加え、無線基地局装置2、4と無線装置5との間に外部インターフェース信号装置7を備えている。
【0073】
第1の実施形態では、無線基地局装置2、4、または無線装置5にレート変換部を備えていたが、第2の実施形態では、無線基地局装置2、4と無線装置5との間に外部インターフェース信号装置7を備え、この外部インターフェース信号装置7にレート変換部を備えるものである。
【0074】
[実施例3]
図7を参照して、図6に示す無線通信システムの構成における第1の実施例(実施例3)を説明する。図7は、図6の無線基地局システムの第1の実施例を示すブロック図である。
【0075】
外部インターフェース信号装置7は、変換部71、72と、レート変換部73、74と、周波数マッピング部75と、IQ抽出部76と、変換部77とを有する。
【0076】
両通信方式共に上位装置1、3と変換部2132、4132との間の入出力信号処理、及び無線装置5の送受信増幅部52とアンテナ6との間の入出力信号処理は、第1の実施形態の実施例と同様である。
【0077】
まず、下り方向(上位装置1、3からアンテナ6への方向)の動作について説明する。両通信方式の変換部2132、4132は、ベースバンド信号を外部インターフェース信号装置7に搭載されている変換部71、72とのインターフェース信号、例えば適切な電気信号プロトコル、光信号プロトコル、独自プロトコル信号などに変換し、外部インターフェース信号装置7の変換部71、72へ出力する。インターフェース信号としては、例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)等がある。他の実施形態では、無線制御装置と無線装置との間のインターフェース信号はCPRI以外のインターフェース信号であってもよい。
【0078】
変換部71、72は、両方式の無線制御装置21、41の変換部2132、4132からのインターフェース信号をベースバンド信号に逆変換し、それぞれの接続先であるレート変換部73、74に出力する。
【0079】
レート変換部73は、入力されたW−CDMA方式のクロックレート3.84MHzのベースバンド信号に対し、8倍のオーバサンプリング(高次サンプリング)を行い、30.72MHzのサンプリングクロックレート信号にレートを変換し(図8参照)、周波数マッピング部75へ出力する。
【0080】
また、レート変換部74は、入力されたCDMA2000方式のクロックレート1.2288MHzのベースバンド信号に対し、25倍のオーバサンプリング(高次サンプリング)を行い、30.72MHzのサンプリングクロックレート信号にレートを変換し(図8参照)、周波数マッピング部75へ出力する。
【0081】
すなわち、レート変換部73、74は、W−CDMA方式のクロックレートと、CDMA2000方式のクロックレートとの公倍数(この場合は最小公倍数)のクロックレートで、それぞれの方式のベースバンド信号を高次サンプリングしている。
【0082】
周波数マッピング部75は、サンプリングクロックレートで入力されたそれぞれのI、Q信号を所定の周波数帯域に周波数シフトする。周波数シフトされた信号は、変換部77へ出力される。
【0083】
変換部77は周波数マッピングされた入力信号を、無線装置5に搭載される変換部511とのインターフェース信号、例えば適切な電気信号プロトコル、光信号プロトコル、独自プロトコル信号などに変換し、無線装置5の変換部511へ出力する。インターフェース信号としては、例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)等がある。他の実施形態では、無線制御装置と無線装置との間のインターフェース信号はCPRI以外のインターフェース信号であってもよい。
【0084】
無線装置5の変換部511は、外部インターフェース信号装置7の変換部77からのインターフェース信号を、D/A変換部521とのインターフェース信号に変換し出力する。以降は、上記の実施例と同様である。
【0085】
次に、上り方向(アンテナ6から上位装置1、3への方向)の動作について説明する。
【0086】
無線装置5のA/D変換部526、530から出力されたデジタル信号は、変換部511に入力される。変換部511は入力されたデジタル信号を、外部インターフェース信号装置7の変換部77とのインターフェース信号、例えば適切な電気信号プロトコル、光信号プロトコル、独自プロトコル信号などに変換し、外部インターフェース信号装置7の変換部77へ出力する。インターフェース信号としては、例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)等がある。他の実施形態では、無線制御装置と無線装置との間のインターフェース信号はCPRI以外のインターフェース信号であってもよい。
【0087】
外部インターフェース信号装置7の変換部77は、無線装置5の変換部511からのインターフェース信号をIQ抽出部とのインターフェース信号に変換して出力する。
【0088】
IQ抽出部76の各方式に対応したIQ抽出部5141、5142は、各方式に対応するI、Q信号をレート変換部73、74に出力する。
【0089】
レート変換部73は、入力されたサンプリングクロックレートのベースバンド信号に対し1/8倍のサンプリングレートに変換(ダウンサンプリング)を施し、クロックレート3.84MHzのベースバンド信号に変換し(図8参照)、変換部71へ出力する。
【0090】
また、レート変換部74は、入力されたサンプリングクロックレートのベースバンド信号に対し1/25倍のサンプリングレートに変換(ダウンサンプリング)を施し、クロックレート1.2288MHzのベースバンド信号変換し(図8参照)、変換部72へ出力する。
【0091】
変換部71、72は、両方式の無線制御装置21、41の変換部2132、4132とのインターフェース信号、例えば適切な電気信号プロトコル、光信号プロトコル、独自プロトコル信号などに変換し出力する。インターフェース信号としては、例えば、CPRI(Common Public Radio Interface)等がある。他の実施形態では、無線制御装置と無線装置との間のインターフェース信号はCPRI以外のインターフェース信号であってもよい。
【0092】
両方式の無線制御装置の変換部2132、4132は、入力されたインターフェース信号をそれぞれのベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号処理部に出力する。以降は、第1の実施形態の実施例と同様である。
【0093】
図8は、クロックレートとサンプリングクロックレートの関係を示す図である。図8(A)は、W−CDMA方式の3.84MHzのベースバンド信号を8倍のオーバーサンプリングすることにより30.72MHzのサンプリングクロックデータが得られることを示している。また、図8(B)は、CDMA2000方式の1.2288MHzベースバンド信号を25倍のオーバーサンプリングすることにより30.72MHzのサンプリングクロックデータが得られることを示している。30.72MHzが上記実施例で説明した最小公倍数のサンプリングクロックレートである。ここでは最小公倍数としたが、公倍数であればよく、必ずしも最小公倍数であることは要しない。
【0094】
なお、上記の実施形態では、W−CDMA方式とCDMA2000方式との間で通信装置を共通化した。他の実施形態では、例えばLTE(Long Term Evolution)でもよいし、さらに他の実施形態では、WiMAX等でもよい。
【0095】
また、上記の実施形態では、2つの方式の間で通信装置を共通化した。他の実施形態では、3つ以上の通信方式の間で通信装置を共通化してもよい。
【0096】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0097】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートで、前記第1の通信方式のベースバンド信号をサンプリングするレート変換部を有する無線基地局装置。
(付記2)
前記レート変換部は、前記公倍数のクロックレートの受信信号を前記第1の通信方式のクロックレートにダウンサンプリングする、付記1に記載の無線基地局装置。
(付記3)
第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートでサンプリングした前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とを受け取り、周波数を判別して、前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とに分ける周波数判別部を有する無線装置。
(付記4)
第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートで、前記第1の通信方式のベースバンド信号をサンプリングするレート変換部と、
前記レート変換部がサンプリングした前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とを受け取り、周波数を判別して、前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とに分ける周波数判別部を有する無線装置。
(付記5)
前記レート変換部は、前記公倍数のクロックレートの受信信号を前記第1の通信方式のクロックレートにダウンサンプリングする、付記4に記載の無線基地局装置。
(付記6)
第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートで、前記第1の通信方式のベースバンド信号をサンプリングする第1のレート変換部と、
前記公倍数のクロックレートで、前記第2の通信方式のベースバンド信号をサンプリングする第2のレート変換部とを有する外部インターフェース信号装置。
(付記7)
前記第1のレート変換部がサンプリングした前記第1の通信方式のベースバンド信号と、前記第2のレート変換部がサンプリングした前記第2の通信方式のベースバンド信号とを受け取り、周波数を判別して、前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とに分ける周波数判別部を有する、付記6に記載の外部インターフェース信号装置。
(付記8)
前記第1のレート変換部は、前記公倍数のクロックレートの受信信号を前記第1の通信方式のクロックレートにダウンサンプリングし、
前記第2のレート変換部は、前記公倍数のクロックレートの受信信号を前記第2の通信方式のクロックレートにダウンサンプリングする、付記6に記載の外部インターフェース信号。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】従来の無線基地局システムを示す概略図である。
【図2】第1の実施形態による無線基地局システムを示す概略図である。
【図3】第1の実施形態による無線基地局システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図3の無線基地局システムの第1の実施例を示すブロック図である。
【図5】図3の無線基地局システムの第2の実施例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態による無線基地局システムの構成を示すブロック図である。
【図7】図6の無線基地局システムの第1の実施例を示すブロック図である。
【図8】クロックレートとサンプリングクロックレートの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
1、3 上位装置
2、4 無線基地局
21、41 無線制御装置
211、411 共通制御部
212、412 ベースバンド信号処理部
213、413 インターフェース信号変換部
2131、4131 レート変換部
2132、4132 変換部
5 共通無線装置
51 インターフェース信号部
52 送受信増幅部
511、512 変換部
513 周波数マッピング部
514 IQ抽出部
515、516 レート変換部
521 D/A変換部
522 変調部
523 増幅部
524 受信部
525 ダウンコンバータ
526 A/D変換部
6 アンテナ
7 外部インターフェース信号装置
71、72、77 変換部
73、74 レート変換部
75 周波数マッピング部
76 IQ抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートで、前記第1の通信方式のベースバンド信号をサンプリングするレート変換部
を有する無線基地局装置。
【請求項2】
第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートでサンプリングした前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とを受け取り、周波数を判別して、前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とに分ける周波数判別部
を有する無線装置。
【請求項3】
第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートで、前記第1の通信方式のベースバンド信号をサンプリングするレート変換部と、
前記レート変換部がサンプリングした前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とを受け取り、周波数を判別して、前記第1の通信方式のベースバンド信号と前記第2の通信方式のベースバンド信号とに分ける周波数判別部と、
を有する無線装置。
【請求項4】
第1の通信方式のクロックレートと、前記第1の通信方式のクロックレートと異なる第2の通信方式のクロックレートとの公倍数のクロックレートで、前記第1の通信方式のベースバンド信号をサンプリングする第1のレート変換部と、
前記公倍数のクロックレートで、前記第2の通信方式のベースバンド信号をサンプリングする第2のレート変換部と、
を有する外部インターフェース信号装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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