説明

無線式バーコードスキャナ

【課題】 消費電力の増大、重重量化、コストアップを伴うことなく、無線式バーコードスキャナや充電クレードルが如何なる向きに置かれても充放電状態を確認することができる無線式バーコードスキャナを提供する。
【解決手段】 情報コードを光学的に認識して電気信号に変換する光電変換部の照明LED106が、充電式電池パック111の充放電状態を、視覚的に報知するように、発光可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコード等の情報コードを読み取るためのバーコードスキャナに関し、特に、駆動電源としての充電式電池を内蔵した無線式バーコードスキャナに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバーコードスキャナは、例えばPOS(Point Of Sale)システム等に適用され、情報コードが示す情報を電気信号の形でホスト装置に対して出力するものである。
【0003】
一般に、無線式バーコードスキャナは、片手で把持可能なサイズおよび形状の筐体と、筐体に内蔵された、充電式電池、光電変換部、信号処理回路、および無線送信回路等とを有している。
【0004】
無線式バーコードスキャナは、置き台、充電器、無線受信器、およびホスト装置とのインターフェースとしての、充電クレードルと組み合わせて使用される。充電クレードルは、無線式バーコードスキャナを搭載可能な筐体と、筐体に内蔵された、無線受信回路、信号処理回路、無線式バーコードスキャナへの電源供給(充電)回路、およびホスト装置との接続配線等とを有している。
【0005】
そして、使用時、無線式バーコードスキャナは、充電クレードルから取り外されて、情報コードを光電変換部によって読み取り、信号処理回路によって適宜信号処理され、無線送信回路によって送信される。無線式バーコードスキャナから送信された無線信号は、充電クレードルの無線受信回路によって受信され、信号処理回路によって適宜信号処理され、接続配線を介してホスト装置に対して出力される。一方、不使用時、無線式バーコードスキャナは、充電クレードルに置かれ、電源供給回路から充電式電池に対して充電がなされる。
【0006】
無線式バーコードスキャナの光電変換部は、筐体の裏面に設けられた情報コードを照明する照明LEDと照明された情報コードからの反射光を受光する受光素子とを備えている。
【0007】
無線式バーコードスキャナはまた、筐体のおもて面に設けられ、情報コードの読取成功等の読取状況を点灯、消灯、所定周期の点滅等で報知する表示LEDを備えている。表示LEDは、充電式電池の充電中、満充電、放電中、放電済といった充放電状態をも点灯、消灯、所定周期の点滅等で報知する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
無線式バーコードスキャナを充電クレードルに置いて充電を行う場合に、バーコードスキャナの筐体のおもて面からは、充電中、満充電、放電中、放電済といった充放電状態を表示LEDによって確認できるものの、表示LEDが無いそれ以外の裏面等からは、充放電状態を確認することができなかった。
【0009】
これに対し、充電クレードルの向きを搭載される無線式バーコードスキャナのおもて面がユーザから見えるようにして机上等に設置すれば表示LEDを視認できるが、充電クレードルは軽量であることが多く、容易に向きがずれてしまうため、表示LEDを確認できない場合がある。
【0010】
あるいは、無線式バーコードスキャナのおもて面に加えてそれ以外の面にも表示LEDを設けることにより、無線式バーコードスキャナや充電クレードルの載置向きを考慮せずとも、表示LEDを確認できるようになる。しかし、複数の表示LEDを設けることにより、無線式バーコードスキャナの消費電力の増大、重重量化、コストアップを来たしてしまう。
【0011】
それ故、本発明の課題は、消費電力の増大、重重量化、コストアップを伴うことなく、無線式バーコードスキャナや充電クレードルが如何なる向きに置かれても充放電状態を確認することができる無線式バーコードスキャナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、情報コードを光学的に認識して電気信号に変換する光電変換部と、前記電気信号に基づく無線信号を送信する無線送信回路と、前記光電変換部および前記無線送信回路に電源を供給する充電式電池と、前記光電変換部、前記無線送信回路、および前記充電式電池を収容する筐体とを有し、前記光電変換部は、前記筐体の裏面に設けられた情報コードを照明する発光手段を備えている無線式バーコードスキャナにおいて、前記発光手段は、前記充電式電池の充放電状態を視覚的に報知するように発光可能であることを特徴とする無線式バーコードスキャナが得られる。
【0013】
尚、前記筐体は、前記発光手段を取り囲むフード部を含み、該フード部の少なくとも一部分は、光を通過可能に構成されていてもよい。
【0014】
また、前記発光手段は、前記充電式電池の充電中にのみ、充放電状態を視覚的に報知するように発光するものであってもよい。
【0015】
さらに、充電機能を持つクレードルに載置されたときに前記充電式電池の充電が行われるものであってもよい。
【0016】
さらにまた、前記発光手段は、LEDであってもよい。
【0017】
また、前記筐体のおもて面に設けられ、情報コードの読取状況を視覚的に報知する表示手段を有し、該表示手段は、前記充電式電池の充放電状態をも視覚的に報知可能であってもよい。
【0018】
さらに、前記無線信号は、電波信号または不可視光信号であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明による無線式バーコードスキャナは、消費電力の増大、重重量化、コストアップを伴うことなく、無線式バーコードスキャナや充電クレードルが如何なる向きに置かれても充放電状態を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明による無線式バーコードスキャナの実施例を説明する。
【0021】
図1(a)および(b)を参照すると、本発明の実施例による無線式バーコードスキャナ100は、情報コードであるバーコードを光学的に認識して電気信号に変換する光電変換部と、光電変換部の出力信号に所定の処理を施す信号処理回路と、信号処理回路の出力信号に基づく無線電波信号を充電クレードル200の無線受信回路に対して送信する無線送信回路と、光電変換部および前線送信回路に電源を供給する充電式電池パック111と、光電変換部、信号処理回路、無線送信回路、および充電式電池パック111を収容する筐体101とを有している。尚、本発明における収容または内蔵とは、収容物または内蔵物の少なくとも一部が筐体外に露出している場合をも含む。したがって、本例では充電式電池パック111が筐体101から露出しているけれども、充電式電池パック111は筐体101に収容または内蔵されているものとする。
【0022】
無線式バーコードスキャナ100は、従来同様に、充電クレードル200に載置されたときに充電式電池パック111への充電が行われる。
【0023】
尚、無線式バーコードスキャナと充電クレードル間で送受される無線信号としては、本例のような電波信号以外に、赤外線などの不可視光信号であってもよい。ただし、実際上は、ユーザや品物などが不可視光の送受を遮ることがあるため、電波信号である方が好都合である。
【0024】
光電変換部は、筐体101の裏面101aに設けられ、情報コードを照明する発光手段としてのLEDである2個の照明LED106と、同じく筐体101の裏面101aに設けられ、照明された情報コードからの反射光を受光する受光素子とを備えている。
【0025】
無線式バーコードスキャナ100はまた、筐体101のおもて面101bに設けられ、バーコードの読取成功等の読取状況を、点灯、消灯、所定周期の点滅等で報知する表示LED107を備えている。表示LED107は、充電式電池パック111の充電中、満充電、放電中、放電済といった充放電状態をも、点灯、消灯、所定周期の点滅等で報知する。
【0026】
本無線式バーコードスキャナ100は特に、照明LED106が、充電式電池パック111の充放電状態を、視覚的に、即ち、点灯、消灯、所定周期の点滅等で報知するように、発光可能である。よって、充電式電池パック111の充放電状態を、表示LED107が設けられた筐体101のおもて面101b方向以外からも、確認LEDを別途設けることなく、確認することができる。
【0027】
筐体101は、照明LED106を取り囲むフード部102を含んでいる。フード部102の少なくとも一部分は、光を通過可能に構成されている。具体的には、フード部102の四側面それぞれに、半透過窓103が設けられている。これにより、筐体101の裏面101a方向だけではなく、筐体101のあらゆる方向からも、充電式電池パック111の充放電状態を視覚的に確認することができる。この半透過窓103は、省電力の目的から照明LED106の輝度を低く設定してもバーコードの読取精度が劣化しないように、バーコードの照明を自然光や室内照明光で補助する作用も奏する。尚、フード部102の光通過構成としては、本例のごとく窓部材を設ける他にも、筐体101自体を可視光を透過可能な材料で形成し、光が透過しては支障が出る部分には塗装を施すなどして光を遮断するようにしてもよい。あるいは、筐体101の光を通過させたい部分を切欠状に形成してもよい。また、光の透過率やどの波長の光を透過させるかは、バーコード読取精度に悪影響がないように設定することが好ましい。
【0028】
また、照明LED106は、充電式電池パック111の充電中にのみ、充放電状態を視覚的に報知するように発光するように設定されている。これにより、充放電状態の報知のために、バーコード読取が悪影響を受けることがない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上説明した実施例に限定されることなく、本発明は、当該特許請求の範囲に記載された技術範囲内であれば、種々の変形が可能であることは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)および(b)は、本発明の実施例による無線式バーコードスキャナの斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
100 無線式バーコードスキャナ
101 筐体
101a 裏面
101b おもて面
102 フード部
103 半透過窓
106 照明LED
107 表示LED
111 充電式電池パック
200 充電クレードル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードを光学的に認識して電気信号に変換する光電変換部と、前記電気信号に基づく無線信号を送信する無線送信回路と、前記光電変換部および前記無線送信回路に電源を供給する充電式電池と、前記光電変換部、前記無線送信回路、および前記充電式電池を収容する筐体とを有し、前記光電変換部は、前記筐体の裏面に設けられた情報コードを照明する発光手段を備えている無線式バーコードスキャナにおいて、
前記発光手段は、前記充電式電池の充放電状態を視覚的に報知するように発光可能であることを特徴とする無線式バーコードスキャナ。
【請求項2】
前記筐体は、前記発光手段を取り囲むフード部を含み、該フード部の少なくとも一部分は、光を通過可能に構成されている請求項1に記載の無線式バーコードスキャナ。
【請求項3】
前記発光手段は、前記充電式電池の充電中にのみ、充放電状態を視覚的に報知するように発光する請求項1または2に記載の無線式バーコードスキャナ。
【請求項4】
充電機能を持つクレードルに載置されたときに前記充電式電池の充電が行われる請求項1乃至3のいずれか1つに記載の無線式バーコードスキャナ。
【請求項5】
前記発光手段は、LEDである請求項1乃至4のいずれか1つに記載の無線式バーコードスキャナ。
【請求項6】
前記筐体のおもて面に設けられ、情報コードの読取状況を視覚的に報知する表示手段を有し、該表示手段は、前記充電式電池の充放電状態をも視覚的に報知可能である請求項1乃至5のいずれか1つに記載の無線式バーコードスキャナ。
【請求項7】
前記無線信号は、電波信号である請求項1乃至6のいずれか1つに記載の無線式バーコードスキャナ。

【図1】
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