説明

無線接続方法ならびに装置および端末

【課題】新たな機器を無線ネットワークに追加する場合に、パスフレーズを入力することなく、簡単にセキュリティー設定を行う無線システムおよび無線装置を提供する。
【解決手段】テレビのような家電機器をまず親機として起動させ、認証用パスフレーズをバーコードとして表示する。撮影機能を持つ無線LAN子機がこのコードを撮影し、認証用パスフレーズを読み取り家電機器に接続する。家電機器は子機から以前に接続されたことがある他の親機のSSIDや認証用パスフレーズ情報を取得し、親機一覧として表示する。この一覧から指定された親機に対し、取得した情報を用いて、家電機器は子機モードに切換えて接続することにより、指定された親機、子機と家電機器が同一ネットワークとして構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線接続方法ならびに無線接続する装置および端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信技術の発展に伴い多くの無線通信システムが提案され、その一つであるIEEE802.11を用いた無線LANシステムが企業内や一般家庭内において、目覚しく普及している。IEEE802.11を用いた無線ネットワークを形成するためには、無線ネットワークを識別するためのSSID(Service Set ID)を設定する必要がある。また、通信のセキュリティを確保するためには、何らかの認証および暗号方式を設定することが不可欠である。
【0003】
認証および暗号化方式は複数の方式が存在しており、例えば、IEEEで規定されたWEP(Wired Equivalent Privacy)、無線LANの業界団体であるWi−Fi Allianceが規定したWPA(Wi−Fi Protected Access)等が市場で用いられている。WEPやWPAを用いる場合は、無線LANを構成する親機であるアクセスポイントと、子機であるステーションのそれぞれの機器でパスフレーズを入力、設定しなければならない。セキュリティを高く保つためにはパスフレーズを長くすることが有効であるが、キーボードを持たない無線機器で長いパスフレーズを入力するのは非常に面倒な作業であり、ユーザに負担を強いることになる。
【0004】
このため、セキュリティ設定を簡単にする手法が考案されている。例えばWi−Fi Allianceが規定したWPS(Wi−Fi Protected Setup)では、アクセスポイントおよびステーションに専用ボタンを準備して、そのボタンを押すことで設定を完了させる手法や、アクセスポイントが短い数桁の数字を発行し、その数字をステーションに入力させることで設定する手法が規定されている。
【0005】
また、セキュリティ設定を簡単に行う独自のセキュリティ設定手法の一例が特許文献1に開示されている。この例では、表示部を持つ無線機器がセキュリティ設定情報を表示し、撮影部を持つ無線機器がこの表示された情報を撮影して情報を取得することにより、ユーザがパスフレーズを入力しなくてもセキュリティを確保した通信を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4416392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
WPSまたはその他独自のセキュリティ設定手法を用いれば、ユーザが長いパスフレーズを入力する必要がなく、セキュリティ設定の負担を減らすことが可能であるが、当然ながら、無線ネットワークを形成する機器が全てWPSまたはその他独自のセキュリティ設定手法に対応していなければ、その手法を使うことはできない。WPSまたはその他独自のセキュリティ設定手法を採用していない無線機器は市場に数多く存在し、ユーザが保有する無線機器の中に一つでもWPSまたはその他独自のセキュリティ設定手法に対応していない機器があれば、パスフレーズの入力が必須のWEPやWPAといった方式を用いて無線ネットワークを構成せざるを得ない。
【0008】
また、特許文献1に開示されている技術は、表示部を持つ無線機器でなければ用いることができない。一般的なアクセスポイントは表示部を持っていないため、この手法を用いることはできず、やはりステーションでパスフレーズの入力が必須のWEPやWPAといった方式を使わざるを得ない。
【0009】
一方、近年はテレビのようなキーボードを持たない機器も無線ネットワークへの接続機能を備えるようになってきている。しかしながら、上記理由により長いパスフレーズ入力を強いられることが多く、ユーザの使い勝手に問題が生じている。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑み、表示部を持たない通常のアクセスポイントを用いて、パスフレーズを設定するセキュリティ設定手法による無線ネットワークを構成していたとしても、新たな機器を無線ネットワークに追加する場合に、パスフレーズを入力することなく、簡単にセキュリティ設定を行う無線システムおよび無線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示部を持たない通常のアクセスポイントとステーションで構成された無線ネットワークに対して、パスフレーズを入力すること無しに、簡単に無線ネットワークにステーションとして接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施例の無線システムの構成要素の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施例の無線LANの構成の一例を示す図である。
【図3】本実施例の無線LANの構成の一例を示す図である。
【図4】本実施例の無線LANの構成の一例を示す図である。
【図5】本実施例の無線システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本実施例の無線システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施例のアクセスポイント認証情報の一例を示す表である。
【図8】本実施例のアクセスポイント選択表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【実施例1】
【0015】
図1は、本実施例における無線システムの構成例である。1はテレビ、100はテレビ用のリモコン、2は無線LAN通信機を内蔵した無線端末であって、例えば携帯電話である。3は無線LANの親機であるアクセスポイントである。テレビ1は、チューナ11、表示部12、記憶部13、制御部14、無線部15、リモコン受信部16、生成部17、変換部18とで構成されている。また、無線端末2は、カメラ21、表示部22、記憶部23、制御部24、無線部25、入力部26、携帯電話通信部27、解析・認識部28とで構成されている。
【0016】
アクセスポイント3には、SSID、通信方式、認証方式、暗号化方式といった無線LANを形成するために必要な認証情報が設定されており、テレビ1に内蔵された無線部15に同じ認証情報を設定することで、アクセスポイント3とテレビ1が無線LANを形成し、安全な通信を行うことができる。同様に、無線端末2に内蔵された無線部25にアクセスポイント3と同じ認証情報を設定することで、アクセスポイント3と無線端末2が無線LANを形成し、安全な通信を行うことができる。
【0017】
テレビ1は、一般的な放送を受信する場合は、チューナ11で送信局より送信される放送信号を受信し、映像信号に変換することで表示部12に表示する。ユーザがチャンネル切替等の指示を行う場合は、リモコン受信部16がリモコン100から送信される信号を受信し、制御部14が受信信号に含まれる指示を認識し、チューナ11および表示部12の制御を行う。
【0018】
無線部15は、制御部14からの指示に従い、無線LANの親機であるアクセスポイント、もしくは子機であるステーションの何れかとして動作することができる。無線部15がステーションとして動作する場合は、アクセスポイント3に設定されたSSID、通信方式、認証方式、暗号化方式といった認証情報と同じ認証情報を制御部14の指示に従い生成部17が生成し、無線部15に設定することで、アクセスポイント3と通信を行うことができる。無線部15をアクセスポイントとして動作させる場合は、生成部17がSSID、認証方式、暗号化方式といった認証情報を自由に設定可能である。変換部18は、上記認証情報をバーコードなどの映像情報に変換し、表示部12に表示させることができる。記憶部13は、制御部14からの指示により、上記生成した認証情報を記憶しておく。
【0019】
無線端末2は、カメラ21で撮影した映像を表示部22に表示することができる。また撮影した映像がバーコードのような、数値または文字情報から変換された映像情報であれば、解析・認識部28が撮影映像をカメラ21から取得し、映像を解析することで映像に含まれている数値または文字情報を認識することができる。入力部26がユーザから認証情報の入力を受付け、制御部24は入力された認証情報を無線部25に設定することで、アクセスポイント3と通信を行うことができる。本実施例による無線部25はステーションとしてのみ動作するが、アクセスポイントとして動作することが可能であっても、本実施例の動作には何の影響も無い。
【0020】
さらに、無線端末2は、無線部25とは異なる無線通信規格、例えば携帯電話規格に基づき動作する携帯電話通信部27を有し、無線部25とは独立して無線通信を行うことができる。
【0021】
また、制御部24は、アクセスポイント3との接続に成功した場合は、記憶部23に上記認証情報を記憶しておく。もしくは、入力部26がユーザから認証情報の入力を受付け、入力された認証情報を記憶部23に記憶してもよい。接続に成功したアクセスポイントが複数存在する場合、もしくはユーザが入力した認証情報が複数ある場合は、全ての認証情報を記憶部23に記憶しておく。
【0022】
図7に記憶部23に記憶しておく認証情報の一例を示す。この例では、四つのアクセスポイントが記憶されており、SSID,無線方式、認証方式、暗号方式、パスフレーズがテーブルとして記憶されている。例えば、No.1のアクセスポイントはSSIDがAP1であり、無線方式はIEEE802.11bおよびIEEE802.11gに対応している。また認証方式はWPA、暗号方式はTKIP(Temporal Key Integrity Protocol)、パスフレーズが123456789である。No.2のアクセスポイントTestは、認証方式、暗号方式およびパスフレーズが設定されておらず、どのようなステーションでも自由に接続可能なアクセスポイントであることを示している。No.3およびNo.4のアクセスポイントも同様にSSID,無線方式、認証方式、暗号方式、パスフレーズが記憶されている。
【0023】
本実施例では、No.3に記憶されている、SSIDがMyHomeであるアクセスポイントが図1のアクセスポイント3である場合の動作の説明を行う。なお、記憶部23に記憶する情報はこれに限られるものではなく、MACアドレス、IPアドレス等の他の情報も一緒に記憶しておいてもよい。
【0024】
ここで、前提となる無線LANの構成状態を図2に示す。図2において、201および202は無線LANの子機であるステーションとして動作している無線機器、無線端末2およびアクセスポイント3は図1に示したものと同一である。アクセスポイント3、無線機器201、202および無線端末2は、既に同一の認証情報が設定されており、無線LANを構成して安全な通信を行うことができる。一方テレビ1には認証情報が設定されておらず、アクセスポイント3と通信を行うことはできない。さらにアクセスポイントは外部ネットワーク4に接続されており、無線機器201、202および無線端末2はアクセスポイント3を経由して外部ネットワーク4に接続することができる。
【0025】
本発明においては、無線LANにテレビ1を追加し、最終的には図4に示した無線LANを簡単な操作で構成することが目的である。図4の状態では、テレビ1にも同一の認証情報が設定されており、無線端末2、無線機器201,202およびアクセスポイント3は無線LANを構成しており、各装置はアクセスポイント3を通じて安全な通信を行うことができる。また、テレビ1、無線端末2、無線機器201,202が外部ネットワーク4に接続可能なことは言うまでもない。
【0026】
続いて、テレビ1および無線端末2の動作について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。上記図2に提示した前提条件の通り、テレビ1はアクセスポイント3に接続する認証情報を設定されておらず、一方、無線端末2は既に認証情報が設定されていて、アクセスポイント3との通信が確立されているものとする。
【0027】
まず、ステップ101において、無線LAN接続を行うことをユーザが指示する。具体的には、リモコン受信部16がリモコン100から送信される信号を受信し、制御部14が受信信号に含まれる指示を認識し、無線部15をアクセスポイントとして動作するように起動させる。続いてステップ102において、制御部14は生成部17に指示を出し、生成部17は無線部15で使用するSSID、通信方式、認証方式および暗号方式を決定する。さらに、認証に用いるパスフレーズを生成して、無線部15に決定・生成した認証情報を設定する。なお、必ずしも上記認証情報を生成部17が自動的に生成する必要はなく、ユーザがリモコン100を使って任意の認証情報を入力し、リモコン受信部16がこれを受信しても良い。
【0028】
次にステップ103において、変換部18は、上記生成した認証情報をバーコードなどの映像情報に変換する。映像情報の形態はバーコードに限られるものではなく、端末2が撮影した映像情報から認証情報を認識できるのであれば、どのような形態であってもよい。続いてステップ104において、変換した映像情報を表示部12で表示し、テレビ1は無線端末2からの接続要求待ち状態となる。
【0029】
ここで無線端末2の動作の説明に移る。ステップ201において、テレビ1と無線端末2を無線LANで接続することをユーザが指示する。具体的には、入力部26がユーザからの入力を受付け、制御部24はカメラ21を撮影可能状態に起動させる。
【0030】
テレビ1でステップ104までが実行されると、表示部12にバーコード等の映像情報が表示されるので、無線端末2は、ステップ202において、表示された映像情報をカメラ21で撮影する。次にステップ203において、解析・認識部28はカメラ21から映像情報を取得し、取得した映像を解析し、その中に含まれる認証情報、例えばSSID、通信方式、認証方式、暗号方式および認証に用いるパスフレーズ等を認識し制御部24に通知する。続いてステップ204において、制御部24は認識した認証情報を無線部25に設定し、無線部25は設定された認証情報を用いてテレビ1の無線部15に対し接続要求を行う。
【0031】
ここで、テレビ1の動作に戻ると、ステップ105において、無線部15は無線端末2からの接続要求を受信し、制御部14は、無線部25から送信された認証情報が無線部15に設定された認証情報と合致しているかを判定する。無線部25が送信した認証情報は、無線部15に設定された認証情報をバーコード等の映像情報を用いることで無線端末2に送信された情報であることから、当然ながらこの二つの認証情報は合致する。したがって、制御部14は無線部15から接続許可を無線部25に送信させる。以上の動作により、テレビ1と無線端末2は安全な通信を行う無線LANを構成する。接続が確立すれば、表示部12での映像情報の表示は停止すればよい。
【0032】
この時点での無線LANの状態を図3に示す。テレビ1の無線部15はアクセスポイントとして起動し、無線端末2はステーションとしてテレビ1から取得した認証情報を用いてテレビ1に接続しているため、アクセスポイント3の無線LANからは切り離された独立したネットワークを構成している。
【0033】
次にステップ205において、無線端末2の制御部24は、記憶部23から記憶されている全てのアクセスポイントの認証情報を読み出す。続いてステップ206において、読み出した情報をもとにアクセスポイントの一覧を表示部22に表示する。図8に、記憶部23から図7に示した情報を読み出して、表示部22に表示した例を示す。過去に接続したことがある、もしくはユーザが過去に入力した4つのアクセスポイントのSSIDのみを表示し、ユーザに接続したいアクセスポイントを選択するように促す。次にステップ207において、入力部26がユーザからのアクセスポイント選択入力を受付ける。本実施例では、ユーザは図1のアクセスポイント3に接続したいのであるから、No.3に記憶されている、SSIDがMyHomeであるアクセスポイントを選択することになる。なお、ユーザが図2に示した無線LANを構築する際にアクセスポイント3のSSIDを設定しているため、接続したいSSIDを選択することができる。
【0034】
なお、記憶部23には過去に接続したことのあるアクセスポイントの認証情報が記憶されているが、本実施例の動作でテレビ1に接続した場合の認証情報は、必ずしも記憶する必要は無い。すなわち、ステップ204において無線端末2が接続要求をテレビ1に送信し、接続許可を受信して接続を確立したとしても、このとき無線部25に設定されている認証情報は記憶部23に記憶する必要はない。
【0035】
次に、ステップ208において、選択されたアクセスポイントの認証情報を無線部25から無線部15に送信する。本実施例ではユーザはNo.3のアクセスポイントを選択しているので、図7に示している、SSIDがMyHome、無線方式はIEEE802.11a、11b、11gまたは11n、認証方式がWPA、暗号方式がAES,パスフレーズがsec2#34といった認証情報が無線部15に送信される。
【0036】
テレビ1は、ステップ106において、無線部15が受信した認証情報を制御部14が取得し、受信した認証情報を記憶部13に記憶するとともに、無線部15から認証情報の受領通知を無線部25に送信する。
【0037】
さらに、テレビ1では、ステップ107において、制御部14は無線部15を無線LANのステーションとして再起動する。次にステップ108において、制御部14は無線部15に対し取得したアクセスポイントの認証情報を設定し、アクセスポイントへの接続を行う。本実施例では、No.3のSSIDがMyHomeであるアクセスポイント、すなわち図1のアクセスポイント3に対して、記憶されている認証情報を用いて接続を行う。
【0038】
一方、無線端末2は、ステップ209において、無線部25が受領通知を受信したことを制御部24が認識すると、制御部24は無線部25に対し選択したアクセスポイントの認証情報を設定し、アクセスポイントに接続を行う。本実施例ではNo.3のSSIDがMyHomeであるアクセスポイント、すなわち図1のアクセスポイント3に対して、記憶されている認証情報を用いて接続を行う。
【0039】
上記説明した動作を実施することにより、テレビ1の無線部15および無線端末2の無線部25は、それぞれアクセスポイント3に接続する認証情報が設定されており、アクセスポイント3と安全な通信を行う無線ネットワークを構成することができる。これは、図4に示した無線ネットワークであり、テレビ1で煩雑な認証情報をリモコン100を用いて入力することなく、無線端末2において接続したいアクセスポイントを一覧から選択するだけの簡単な操作をすることで、全ての無線LAN機器が繋がったネットワークを構成することができ、さらにはテレビ1および無線端末2が外部ネットワーク4に接続することが可能になる。
【0040】
また、テレビ1と無線端末2はアクセスポイント3を介して無線通信をしているため、テレビ1を無線端末2が制御したり、逆に無線端末2をテレビ1が制御することが可能となる。例えば、無線端末2の入力部26がユーザからチューナ11で選局しているチャンネルの変更指示を受付けたとする。制御部24は受け付けた変更指示を無線部25から無線部15に送信する。テレビ1の制御部14は無線部15が受信した変更指示に従い、チューナ11に選局チャンネルを変更するように指示を行う。このような動作により、ユーザは無線端末2を用いてテレビ1を制御することができる。
【0041】
また逆の例としては、例えばテレビ1のリモコン受信部16が、リモコン100よりユーザからカメラ21の撮影指示を受付けたとする。制御部14は受け付けた撮影指示を無線部15から無線部25に送信する。無線端末2の制御部24は無線部25が受信した撮影指示に従い、カメラ21に撮影を開始するように指示を行う。このような動作により、ユーザはテレビ1を用いて無線端末2を制御することができる。
【0042】
また、接続したいアクセスポイント3がどのような認証方法を用いていたとしても、一旦テレビ1がアクセスポイントとして動作して無線端末2と無線接続を確立し、アクセスポイント3と無線端末2が接続していた時の認証情報を、無線端末2からテレビ1に対して送信し、テレビ1がその認証情報を設定するため、テレビ1がステーションとして再起動した際には、テレビ1とアクセスポイント3で安全な通信を行う無線ネットワークを構成できる。
【0043】
また、アクセスポイント3が表示部を有していなくとも、本実施例の動作に何の問題もないことは言うまでもない。
【実施例2】
【0044】
続いて、実施例1とは異なる動作について、図6を参照しながら説明する。テレビ1の動作はステップ105までは図5と同様である。また、無線端末2の制御もステップ204までは同様である。ステップ101−105およびステップ201−204の制御により、テレビ1と無線端末2は安全な通信を行う無線接続を図3の状態のように確立している。接続が確立すれば、表示部12での映像情報の表示は停止すればよい。
【0045】
次にステップ121において、テレビ1の制御部14は、無線端末2が記憶しているアクセスポイントの認証情報の取得要求を、無線部15から無線端末2の無線部25に送信する。無線端末2は取得要求を受信すると、ステップ205において、制御部24は記憶部23からアクセスポイントの認証情報を読み出す。この場合、読み出すのは図7に示した全てのアクセスポイントの認証情報である。次にステップ221において、読み出したアクセスポイントの認証情報を無線部25からテレビ1の無線部15に送信する。
【0046】
テレビ1では、ステップ122において、無線部15が受信したアクセスポイントの認証情報を制御部14が取得する。次にステップ123において、制御部14は取得した情報を用いて、アクセスポイントの一覧を表示部12に表示する。表示部12の表示は、無線端末2の例で説明したのと同様に、図8のように表示すればよい。すなわち、表示部12には、無線端末2が過去に接続したことがある、もしくはユーザが過去に入力した4つのアクセスポイントのSSIDのみを表示し、ユーザに接続したいアクセスポイントを選択するように促す。
【0047】
この時、制御部が取得したアクセスポイントの認証情報には、無線方式に関する情報も含まれているので、これを利用して表示部12に表示するアクセスポイントに制限を行ってもよい。例えば、無線部15が対応している無線方式がIEEE802.11aのみであったと改定すると、図7のNo.1およびNo.2のアクセスポイントはIEEE802.11aに対応していないため、接続することはできない。したがって、表示部12に表示するアクセスポイントをNO.3およびNo.4のみとすればよい。また認証方式および暗号方式に関しても、アクセスポイントの認証情報を調べ、無線部15が未対応の方式を用いているアクセスポイントについては表示部12に表示しないようにすることができる。このように無線部15が接続不可能なアクセスポイントの表示を行わないことで、ユーザの不必要な選択を防ぐという効果がある。
【0048】
次にステップ124において、リモコン受信部16は、ユーザがリモコン100を用いて送信したアクセスポイント選択入力を受付ける。本実施例では、ユーザは図1のアクセスポイント3に接続したいのであるから、No.3に記憶されている、SSIDがMyHomeであるアクセスポイントを選択することになる。
【0049】
続いてステップ125において、制御部14は、どのアクセスポイントが選択されたかという通知を、無線部15から無線部25に送信する。本実施例ではユーザはNo.3のアクセスポイントを選択しているので、No.3のアクセスポイントを選択したという通知を送信する。無線端末2では、ステップ222において、制御部24が、通知を受領したという受領通知を無線部25から無線部15に送信する。
【0050】
さらに、テレビ1では、受領通知を受信した後は、図5の場合と同様の動作を行う。すなわち、ステップ107において、制御部14は無線部15をステーションとして再起動する。続いて、ステップ108において、制御部14は無線部15に対し選択したアクセスポイントの認証情報を設定し、アクセスポイントに接続を行う。本実施例では、SSIDがMyHomeであるNo.3のアクセスポイント、すなわち図1のアクセスポイント3に対して、記憶されている認証情報を用いて接続を行う。
【0051】
一方、無線端末2は、ステップ209の動作は図5の場合と同じであり、制御部24は、無線部25に対し選択されたアクセスポイントの認証情報を設定し、アクセスポイントに接続を行う。本実施例では、SSIDがMyHomeであるNo.3のアクセスポイント、すなわち図1のアクセスポイント3に対して、記憶部23に記憶されている認証情報を用いて接続を行う。
【0052】
上記説明した動作を実施することにより、テレビ1の無線部15および無線端末2の無線部25はそれぞれアクセスポイント3に接続する認証情報が設定されており、アクセスポイント3と安全な通信を行う無線ネットワークを構成することができる。これは、図4に示した無線ネットワークであり、テレビ1で認証情報をリモコン100を用いて入力することなく、テレビ1において接続したいアクセスポイントを一覧から選択するだけの簡単な操作をすることで、全ての無線LAN機器が繋がったネットワークを構成することができる。
【0053】
また、接続したいアクセスポイント3がどのような認証方法を用いていたとしても、一旦テレビ1がアクセスポイントとして動作して無線端末2と無線接続を確立し、アクセスポイント3と無線端末2が接続していた時の認証情報を、無線端末2からテレビ1に対して送信し、テレビ1がその認証情報を設定するため、テレビ1がステーションとして再起動した際には、テレビ1とアクセスポイント3が安全な通信を行う無線ネットワークを構成できる。
【0054】
また、アクセスポイント3が表示部を有していなくとも、本実施例の動作に何の問題もないことは言うまでもない。
【0055】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0056】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0057】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0058】
また、上記実施例においては、テレビ1を、レコーダー、携帯端末、タブレット端末などに置き換えても良い。
【符号の説明】
【0059】
1…テレビ、2…無線端末、3…アクセスポイント、100…リモコン、11…チューナ、12…表示部、13…記憶部、14…制御部、15…無線部、16…リモコン受信部、17…生成部、18…変換部、21…カメラ、22…表示部、23…記憶部、24…制御部、25…無線部、26…入力部、27…携帯電話通信部、28…解析・認識部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線接続端末と無線接続されているアクセスポイントにさらに無線接続装置を無線接続させる無線接続方法であって、
前記無線接続装置が、基地局となるための認証情報を生成し、
前記無線接続端末が、前記無線接続装置の認証情報を取得し、
前記無線接続端末が、前記無線接続装置の認証情報の設定により、前記無線接続装置と無線接続し、
前記無線接続端末が、記憶している前記アクセスポイントの認証情報を送信し、
前記無線接続装置が、前記アクセスポイントの認証情報を受信し、
前記無線接続装置が、受信した前記アクセスポイントの認証情報の設定により、アクセスポイントに無線接続し、
前記無線接続端末が、送信した前記アクセスポイントの認証情報の設定により、アクセスポイントと無線接続する、ことを特徴とする無線接続方法。
【請求項2】
前記無線接続装置が、生成した認証情報を映像コードに変換し表示し、前記無線接続端末が、表示された映像コードを撮影することにより、前記無線接続端末が、生成された前記無線接続装置の認証情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の無線接続方法
【請求項3】
前記無線接続端末は、記憶している複数のアクセスポイントのうちユーザに選択された1つのアクセスポイントの認証情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の無線接続方法。
【請求項4】
自身が基地局となるための認証情報を生成する生成部と、
前記認証情報を設定した無線接続端末と、無線接続し、前記無線接続端末から送信された、前記無線接続端末と無線接続されていたアクセスポイントの認証情報を受信する無線部と、
受信した前記前記アクセスポイントの認証情報を設定させ、前記無線部にアクセスポイントと無線接続させる制御部とを備えることを特徴とする無線接続装置。
【請求項5】
生成した認証情報を映像コードに変換する変換部と、
前記映像コードを表示する表示部を、さらに備えることを特徴とする請求項4に記載の無線接続装置。
【請求項6】
無線接続し、通信を行う無線部と、
自身と無線接続されるアクセスポイントの認証情報を記憶する記憶部と、
前記アクセスポイントに無線接続させる無線接続装置で生成された無線接続装置の認証情報を取得する取得部と、
前記無線接続装置の認証情報を設定させ、前記無線部に前記無線接続装置と無線接続させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、記憶されているアクセスポイントの認証情報を無線部に送信させるともに、送信したアクセスポイントの認証情報を設定させ、前記無線部にアクセスポイントと無線接続させることを特徴とする無線接続端末。
【請求項7】
生成した認証情報を映像コードに変換し表示した無線接続装置に対して、当該表示された映像コードを撮影する撮影部をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の無線接続端末。
【請求項8】
前記記憶部は、複数のアクセスポイントの認証情報を記憶し、
前記制御部は、前記無線部に、記憶している複数のアクセスポイントのうちユーザに選択された1つのアクセスポイントの認証情報を送信させることを特徴とする請求項6に記載の無線接続端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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