説明

無線接続設定装置、無線接続設定方法および無線接続設定プログラム

【課題】ユーザが簡便な操作を行なうだけで無線接続の設定を行なうことが可能な無線接続設定装置、無線接続設定方法および無線接続設定プログラムを提供する。
【解決手段】無線接続設定装置11は、無線接続設定情報を可搬記憶媒体2から読み込むための読み込み部131と、他の端末装置からのアクセスの許可および拒絶を制御する親機動作を、無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子を用いて行なっている他の装置を、読み込み部131によって読み込まれた無線接続設定情報に基づいて検出する動作を行なうための動作判断設定部132とを備える。動作判断設定部132は、他の装置を検出できた場合には、他の装置を親機として通信する子機動作を行い、他の装置を検出できなかった場合には、無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子を用いて親機動作を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線接続設定装置、無線接続設定方法および無線接続設定プログラムに関し、特に、親機動作および子機動作が可能な無線接続設定装置、無線接続設定方法および無線接続設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭内において、パーソナルコンピュータ(以下、PCとも称する。)、プリンタ、テレビおよびHDD(Hard Disk Drive)レコーダなどの装置をイーサネット(Ethernet)(登録商標)ケーブル等で接続し、装置間でデータを共有したり、各装置が提供するサービスを他の装置から利用できるようにLAN(Local Area Network)を構築したりする技術である、ホームネットワークが知られている。
【0003】
ホームネットワークの構築に際して、無線LANが選択されることがある。無線LANとは、無線通信を使用してLANを構築する技術であり、無線LANを用いることで、ケーブルレスでホームネットワークを構築することが可能となる。無線LANの方式には、たとえばIEEE 802.11、Bluetooth、およびZigBee等がある。
【0004】
無線LANを用いたホームネットワークは、親機および子機から構成される。親機とは、たとえば、無線LANアクセスポイントのように、各装置から接続され、各装置の管理を行なう等の役割を担う装置のことである。子機とは、親機に接続して、親機とデータの送受信を行なう装置のことである。
【0005】
無線LANに対応した家電製品において、親機としても子機としても動作可能な無線装置がある。たとえば、PCは、無線接続環境を提供する親機として動作させることも可能であれば、すでに存在する別の親機に接続して、無線接続環境を利用する子機として動作させることも可能である。このような無線装置を用いてホームネットワークを構築する場合、ユーザは、親機には親機としての無線接続の設定を、子機には子機としての無線接続の設定を行なう必要がある。
【0006】
上記設定のうち、子機から親機に接続する際には、事前に親機が有する設定情報を子機に設定する必要がある。この設定情報は、たとえばネットワーク識別子、MAC(Media Access Control)アドレス、および盗聴等の不正アクセスを防ぐための暗号化鍵である。
【0007】
通常、このような設定は、ユーザにより手動で行われている。たとえば、親機として無線LANアクセスポイント、子機としてPCを用意し、上記PCから上記無線LANアクセスポイントを経由して有線LAN等の他のネットワークに接続する場合には、以下のようにして設定を行なう必要がある。
【0008】
すなわち、非暗号化通信もしくは有線接続によって上記PCから上記無線LANアクセスポイントに接続し、そして、上記無線LANアクセスポイントに付与されているネットワーク識別子、MACアドレス、およびWEP(Wired Equivalent Privacy)キー等の暗号化鍵、などの設定情報を上記PCに設定しなければならない。
【0009】
この設定に際し、ユーザは、上記設定情報を記憶し、上記PCに正確に入力することが求められるため、上記設定情報を間違いなく暗記したり、書き留めたりする必要がある。上記設定情報は多くの場合、専門知識の乏しいユーザにとっては難解であり、項目が多岐に渡るため、上記設定を行なうことはユーザにとって多大な負担となる。
【0010】
このような問題点を解決する手段として、特開2004‐328093号公報(特許文献1)には、2台の装置間で各装置上の接続ボタンを同時に押下し、且つ同時に押下操作を解除することによって上記2台の装置間の接続を確立する方法が開示されている。
【0011】
また、特開2004‐215232号公報(特許文献2)には、無線LANアクセスポイントが、登録ボタンの作動により、上記無線LANアクセスポイントから送信される電波が届く範囲を、通常の範囲である無線通信エリアから、より狭い範囲であるセキュリティ通信エリアに変更することによって、非暗号化通信時のセキュリティ性を高めた上で、上記無線LANアクセスポイントと他の装置との接続を行なう方法が開示されている。
【0012】
また、特開2007‐134819号公報(特許文献3)には、可搬記憶媒体を用いて、安全かつ容易に設定情報を親機から子機に通知する方法が開示されている。
【0013】
また、特開2002‐152216号公報(特許文献4)には、親機または子機に変更可能な複数の無線端末の間で通信を行い、上記複数の無線端末のうち1つの無線端末だけが親機に設定され、残りの無線端末が子機に設定される無線LANシステムにおいて、親機が全無線端末の送受信情報を監視し、上記送受信情報をデータベースに蓄え、上記データベースから端末ごとの総送受信データ量を求め、最も総送受信データ量が多い端末を親機として選定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004‐328093号公報
【特許文献2】特開2004‐215232号公報
【特許文献3】特開2007‐134819号公報
【特許文献4】特開2002‐152216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4に記載の技術を、それぞれ単独もしくは組み合わせて用いたとしても、以下に述べる2つの問題点を解決できない。
【0016】
第1の問題点は、親機としての無線接続の設定が簡便にできないこと、である。たとえば、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載の技術ではいずれも、親機に対してあらかじめ無線接続の設定がなされている環境において、親機に子機を接続する方法が開示されているのみであり、親機に対して簡便に無線接続設定を行なう方法は記載されていない。具体的には、2台のPCを用意し、1台を親機として、もう1台を親機に接続する子機として利用する場合において、親機に対する無線接続の設定をユーザが手動で行なう必要がある。
【0017】
第2の問題点は、ホームネットワークに新たに子機を追加する際に、ユーザは1回以上親機を操作する必要があり、親機と子機が離れた位置に設置されている場合にユーザの手間が増えること、である。
【0018】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、ユーザが簡便な操作を行なうだけで無線接続の設定を行なうことが可能な無線接続設定装置、無線接続設定方法および無線接続設定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる情報処理装置は、無線接続設定情報を可搬記憶媒体から読み込むための読み込み部と、他の端末装置からのアクセスの許可および拒絶を制御する親機動作を、上記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子を用いて行なっている他の装置を、上記読み込み部によって読み込まれた上記無線接続設定情報に基づいて検出する動作を行なうための動作判断設定部とを備え、上記動作判断設定部は、上記他の装置を検出できた場合には、上記他の装置を親機として通信する子機動作を行い、上記他の装置を検出できなかった場合には、上記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子を用いて上記親機動作を行なう。
【0020】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる無線接続設定方法は、無線接続設定情報を可搬記憶媒体から読み込むステップと、他の端末装置からのアクセスの許可および拒絶を制御する親機動作を、上記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子を用いて行なっている他の装置を、読み込んだ上記無線接続設定情報に基づいて検出する動作を行なうステップと、上記他の装置を検出できた場合には、上記他の装置を親機として通信する子機動作を行い、上記他の装置を検出できなかった場合には、上記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子を用いて上記親機動作を行なうステップとを含む。
【0021】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる運用管理プログラムは、コンピュータに、無線接続設定情報を可搬記憶媒体から読み込むステップと、他の端末装置からのアクセスの許可および拒絶を制御する親機動作を、上記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子を用いて行なっている他の装置を、読み込んだ上記無線接続設定情報に基づいて検出する動作を行なうステップと、上記他の装置を検出できた場合には、上記他の装置を親機として通信する子機動作を行い、上記他の装置を検出できなかった場合には、上記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子を用いて上記親機動作を行なうステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ユーザが簡便な操作を行なうだけで無線接続の設定を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線装置の構成を示す図である。
【図2】可搬記憶媒体の記憶内容の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るホームネットワークの構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る無線装置が無線接続設定処理を行なう際の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係るホームネットワークの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
[構成および基本動作]
本発明の実施の形態に係る無線接続設定装置は、典型的には、汎用的なアーキテクチャを有するコンピュータを基本構造としており、あらかじめインストールされたプログラムを実行することで、後述するような各種機能を提供する。一般的に、このようなプログラムは、フレキシブルディスク(Flexible Disk)およびCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの記録媒体に格納されて、あるいはネットワークなどを介して流通する。
【0026】
本発明の実施の形態に係るプログラムは、OS(Operation System)等の他のプログラムの一部に組み込まれて提供されるものであってもよい。この場合でも、本発明の実施の形態に係るプログラム自体は、上記のような組み込み先の他のプログラムが有するモジュールを含んでおらず、当該他のプログラムと協働して処理が実行される。すなわち、本発明の実施の形態に係るプログラムとしては、このような他のプログラムに組み込まれた形態であってもよい。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係る無線装置の構成を示す図である。図1に示す無線装置における各ブロックは、ハードディスクに格納されたプログラム(コード)などをメモリに展開して、CPUに実行させることで提供される。なお、図1に示すモジュールの一部もしくは全部がハードウェアに実装されているファームウェアによって提供される場合もある。あるいは、図1に示す制御構造の一部もしくは全部を専用ハードウェアおよび/または配線回路によって実現してもよい。
【0028】
図1を参照して、無線装置1は、無線接続設定装置11と、無線通信部12とを備える。
無線接続設定装置11は、読込部131と、動作判断設定部132とを備える。
【0029】
可搬記憶媒体2は、無線装置1に着脱可能であるか、または無線装置1と無線通信が可能である。可搬記憶媒体2の例としては、接触型のUSB(Universal Serial Bus)メモリ、および非接触型のIC(Integrated Circuit)カード等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
図2は、可搬記憶媒体の記憶内容の一例を示す図である。
図2を参照して、可搬記憶媒体2は、無線接続のために必要な無線接続設定情報T21を記憶する。
【0031】
無線接続設定情報T21は、無線装置1が無線接続すべきネットワークを特定するためのネットワーク識別子T211と、無線通信時に情報を暗号化するための方式を特定するための無線通信暗号化種別T212と、無線通信時に情報を暗号化するために使用する無線通信暗号化鍵情報T213とを含む。
【0032】
ただし、通信時に暗号化を必要としない場合には、無線接続設定情報T21は、無線通信暗号化種別T212と、無線通信暗号化鍵情報T213とを含まなくても構わない。
【0033】
また、上記3つの情報に限らず、無線接続する際に必要となる情報を、無線接続設定情報T21に含めてもよい。さらに、無線接続設定情報T21は、想定しない無線装置での使用を防止するために、暗号化しておいてもよい。
【0034】
再び図1を参照して、読込部131は、可搬記憶媒体2に記憶されている無線接続設定情報T21を読み込み、読み込んだ無線接続設定情報T21を動作判断設定部132へ通知する。
【0035】
ここで、読込部131は、たとえば、可搬記憶媒体2がUSBメモリの場合にはUSBポート、可搬記憶媒体2がICカードの場合にはICカードリーダ、のように、可搬記憶媒体2を読み込むための手段を有する。
【0036】
また、可搬記憶媒体2において、無線接続設定情報T21が暗号化されている場合には、読込部131は、暗号化を解除するための暗号化種別および暗号化鍵情報を有し、無線接続設定情報T21の暗号化を解除する。
【0037】
動作判断設定部132は、読込部131から通知された無線接続設定情報T21に含まれているネットワーク識別子T211で稼働している他の無線装置を親機とし、自己の無線装置1を子機として、無線接続設定情報T21を無線通信部12へ通知することにより親機との接続を試みる。そして、動作判断設定部132は、親機との接続に成功した場合には子機として動作するように設定処理を行い、親機との接続に失敗した場合には親機として動作するように設定処理を行なう。
【0038】
無線通信部12は、無線装置1が他の無線装置と無線通信を行なうための手段であり、他の無線装置との間で無線信号の送受信を行なう。
【0039】
次に、複数の無線装置を用いてホームネットワークを構築した場合の、各装置間の関係を説明する。
【0040】
図3は、本発明の実施の形態に係るホームネットワークの構成の一例を示す図である。
図3を参照して、これから無線接続を設定しようとする無線装置のネットワーク識別子と同一のネットワーク識別子で稼働している他の無線装置が存在しないシステム環境を考える。このシステム環境において、無線装置1A、無線装置1B、無線装置1Cとして無線装置を3台用意し、可搬記憶媒体2を用いて、無線装置1A、無線装置1B、無線装置1Cの順に無線接続設定を行い、ホームネットワーク3を構築する。
【0041】
この場合、無線装置1Aは親機として動作し、無線装置1Bおよび無線装置1Cは子機として動作するようになる。各無線装置は、無線通信部12によって相互に通信を行なう。
【0042】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係る無線装置の動作について図面を用いて説明する。本発明の実施の形態では、無線装置1を動作させることによって、本発明の実施の形態に係る無線接続設定方法が実施される。よって、本発明の実施の形態に係る無線接続設定方法の説明は、以下の無線装置1の動作説明に代える。なお、以下の説明においては、適宜図1を参照する。
【0043】
図4は、本発明の実施の形態に係る無線装置が無線接続設定処理を行なう際の動作手順を示すフローチャートである。
【0044】
図4を参照して、たとえば、ユーザが、無線装置1に可搬記憶媒体2を装着する等、読込部131に可搬記憶媒体2を読み込ませる操作を行なうと、図4に示す動作手順が開始される。
【0045】
まず、読込部131は、可搬記憶媒体2から無線接続設定情報T21を読み込み、動作判断設定部132へ通知する。このとき、読込部131は、可搬記憶媒体2において無線接続設定情報T21が暗号化されている場合には、読込部131が有する暗号化種別および暗号化鍵情報を使用して、暗号化を解除すなわち復号し、復号した無線接続設定情報T21を動作判断設定部132へ通知する(ステップS1)。
【0046】
次に、動作判断設定部132は、無線接続可能な親機を探索する。すなわち、動作判断設定部132は、他の端末装置からのアクセスの許可および拒絶を制御する親機動作を、無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子を用いて行なっている他の装置を、読込部131によって読み込まれた無線接続設定情報に基づいて検出する動作を行なう。
【0047】
より詳細には、動作判断設定部132は、無線接続設定情報T21を無線通信部12へ通知し、そして、自己の無線装置1を子機とし、読込部131から通知された無線接続設定情報T21に含まれているネットワーク識別子T211で稼働している他の無線装置を親機として、当該親機に対して無線接続を試行する(ステップS2)。
【0048】
次に、動作判断設定部132は、親機動作を行なっている他の装置を検出できた場合には、当該他の装置を親機として通信する子機動作を行なう。ここで、子機動作とは、無線装置1が親機と通信したり、親機を介して他の端末装置と通信したりする動作である。また、動作判断設定部132は、親機動作を行なっている他の装置を検出できなかった場合には親機動作を行なう。
【0049】
すなわち、動作判断設定部132は、読込部131によって読み込まれた無線接続設定情報に基づいて、他の装置を親機として他の装置への接続を試み、接続に成功した場合には他の装置を親機として通信する子機動作を行い、接続に失敗した場合には親機動作を行なう。
【0050】
より詳細には、動作判断設定部132は、無線通信部12から、親機との無線接続に成功したか失敗したかの結果を受け取る。動作判断設定部132は、親機との無線接続に成功した場合には(ステップS3でYES)、無線接続設定情報T21を無線通信部12へ通知することにより、自己の無線装置1を、ネットワーク識別子T211で稼働している親機に接続する子機として設定する(ステップS4)。
【0051】
一方、動作判断設定部132は、親機との無線接続に失敗した場合には(ステップS3でNO)、無線接続設定情報T21を無線通信部12へ通知することにより、自己の無線装置1を、ネットワーク識別子T211で稼働する親機として設定する(ステップS5)。
【0052】
なお、ステップS4およびS5において、動作判断設定部132は、無線接続設定情報T21を無線通信部12へ通知する構成であるとしたが、ステップS2において動作判断設定部132が通知した無線接続設定情報T21を無線通信部12において記憶することが可能である場合には、ステップS4およびS5における無線接続設定情報T21の通知は不要である。
【0053】
以上のような処理により、親機としても子機としても動作可能な無線装置に対して、親機として動作させる場合および子機として動作させる場合の双方において、ユーザが簡便な操作を行なうだけで無線装置の無線接続を設定し、ホームネットワークを構築することが可能となる。また、ホームネットワークに新たに子機を追加する際に、ユーザが親機を操作することなく、子機に対して無線接続を設定することが可能となる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、動作判断設定部132が、無線接続可能な親機を探索する際に、無線通信部12を用いる構成であるとしたが、必ずしもこの方式を採用しなくてもよい。たとえば、動作判断設定部132が、無線通信部12とは別に無線通信手段を有し、この無線通信手段を用いて親機を探索する構成であってもよい。
【0055】
次に、本発明の実施の形態に係る無線装置が無線接続設定処理を行なう際の動作についてさらに具体的に説明する。本具体例では、自己の無線装置を親機として設定する場合について説明する。なお、すでに説明した動作内容については詳細な説明を繰り返さない。
【0056】
たとえば、無線装置1は、無線接続設定装置11と、無線通信部12とを備えるノート型PCである。また、無線接続設定装置11における読込部131は、USBポートを有する。
【0057】
可搬記憶媒体2は、たとえばUSBメモリである。可搬記憶媒体2には、図2に示すような無線接続設定情報T21があらかじめ記憶されている。図2を参照して、無線接続設定情報T21には、ネットワーク識別子T211『NTW000001』と、無線通信暗号化種別T212『WEP』と、無線通信暗号化鍵情報T213『HomeNetwork01』とが設定されている。
【0058】
本具体例では、無線接続設定情報T21に含まれている、ネットワーク識別子T211『NTW000001』で稼働している他の無線装置が存在しない環境であることを前提条件とする。
【0059】
次に、本具体例における無線装置の動作について図面を用いて説明する。
【0060】
再び図4を参照して、たとえば、ユーザが、無線装置1におけるUSBポートに可搬記憶媒体2であるUSBメモリを接続すると、図4に示す動作手順が開始される。
【0061】
まず、読込部131は、可搬記憶媒体2から無線接続設定情報T21を読み込み、動作判断設定部132へ通知する(ステップS1)。
【0062】
次に、動作判断設定部132は、無線接続可能な親機を探索する。すなわち、動作判断設定部132は、無線接続設定情報T21を無線通信部12へ通知し、自己の無線装置1を子機とし、読込部131から通知された無線接続設定情報T21に含まれているネットワーク識別子T211『NTW000001』で稼働している他の無線装置を親機として、当該親機に対して無線接続を試行する(ステップS2)。
【0063】
次に、動作判断設定部132は、無線通信部12から、親機との無線接続に成功したか失敗したかの結果を受け取る。本具体例では、ネットワーク識別子T211『NTW000001』で稼働している他の無線装置が存在しないことから、動作判断設定部132は、無線通信部12から、親機との無線接続に失敗した結果を受け取る(ステップS3でNO)。
【0064】
次に、動作判断設定部132は、無線接続設定情報T21を無線通信部12へ通知することにより、自己の無線装置1を、ネットワーク識別子T211『NTW000001』で稼働する親機として設定する(ステップS5)。
【0065】
以上のような処理により、無線装置1は、ネットワーク識別子T211『NTW000001』で稼働する親機として動作を開始する。
【0066】
次に、本発明の実施の形態に係る無線装置が無線接続設定処理を行なう際の動作についての他の具体例を説明する。
【0067】
図5は、本発明の実施の形態に係るホームネットワークの構成の一例を示す図である。
図5を参照して、すでに動作している他の無線装置を親機とし、自己の無線装置を子機として設定する場合について説明する。本具体例では、上記他の無線装置が、無線LANアクセスポイントであるとする。すなわち、ホームネットワーク4は、無線装置1と、可搬記憶媒体2と、無線LANアクセスポイント100とを備える。
【0068】
たとえば、無線装置1は、無線接続設定装置11と、無線通信部12とを備えるノート型PCである。また、無線接続設定装置11における読込部131は、USBポートを有する。
【0069】
可搬記憶媒体2は、USBメモリである。可搬記憶媒体2には、図2に示すような無線接続設定情報T21があらかじめ記憶されている。図2を参照して、無線接続設定情報T21には、ネットワーク識別子T211『NTW000001』と、無線通信暗号化種別T212『WEP』と、無線通信暗号化鍵情報T213『HomeNetwork01』とが設定されている。
【0070】
無線LANアクセスポイント100は、無線接続設定情報T21に含まれている、ネットワーク識別子T211『NTW000001』で稼働している。
【0071】
次に、本具体例における無線装置の動作について図面を用いて説明する。
【0072】
再び図4を参照して、たとえば、ユーザが、無線装置1におけるUSBポートに可搬記憶媒体2であるUSBメモリを接続すると、図4に示す動作手順が開始される。
【0073】
まず、読込部131は、可搬記憶媒体2から無線接続設定情報T21を読み込み、動作判断設定部132へ通知する(ステップS1)。
【0074】
次に、動作判断設定部132は、無線接続可能な親機を探索する。すなわち、動作判断設定部132は、無線接続設定情報T21を無線通信部12へ通知し、自己の無線装置1を子機とし、読込部131から通知された無線接続設定情報T21に含まれているネットワーク識別子T211『NTW000001』で稼働している他の無線装置を親機として、当該親機に対して無線接続を試行する(ステップS2)。
【0075】
次に、動作判断設定部132は、無線通信部12から、親機との無線接続に成功したか失敗したかの結果を受け取る。本具体例では、ネットワーク識別子T211『NTW000001』で稼働している無線LANアクセスポイント100が存在することから、動作判断設定部132は、無線通信部12から、親機との無線接続に成功した結果を受け取る(ステップS3でYES)。
【0076】
次に、動作判断設定部132は、無線接続設定情報T21を無線通信部12へ通知することにより、自己の無線装置1を、ネットワーク識別子T211で稼働している親機である無線LANアクセスポイント100に接続する子機として設定する(ステップS4)。
【0077】
以上のような処理により、無線装置1は、ネットワーク識別子T211『NTW000001』で稼働する無線LANアクセスポイント100に接続する子機として動作を開始する。これにより、無線装置1および無線LANアクセスポイント100によるホームネットワーク4が構築される。
【0078】
以上のように、本発明の実施の形態に係る無線接続設定装置では、読込部131は、無線接続設定情報を可搬記憶媒体から読み込む。動作判断設定部132は、他の端末装置からのアクセスの許可および拒絶を制御する親機動作を、無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子を用いて行なっている他の装置を、読込部131によって読み込まれた無線接続設定情報に基づいて検出する動作を行なう。そして、動作判断設定部132は、他の装置を検出できた場合には、他の装置を親機として通信する子機動作を行い、他の装置を検出できなかった場合には、無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子を用いて親機動作を行なう。
【0079】
このような構成により、ユーザは、無線装置1に対して、可搬記憶媒体2から無線接続設定情報T21を読み込ませるだけで、無線接続設定情報T21に含まれているネットワーク識別子T211で稼働している他の無線装置を親機とした無線接続を試行させ、接続に成功した場合には子機として動作させ、接続に失敗した場合には親機として動作させることができる。
【0080】
したがって、親機としても子機としても動作可能な無線装置に対して、親機として動作させる場合および子機として動作させる場合の双方において、ユーザが簡便な操作を行なうだけで無線装置の無線接続を設定し、ホームネットワークを構築することが可能となる。特に、有線通信の場合には通信相手の装置との通信経路が確立されているが、無線通信の場合には当該通信経路が確立されていないため、通信設定が困難であり、ユーザが得られる利便性は大きい。
【0081】
また、本発明の実施の形態に係る無線装置では、無線接続設定装置11が読込部131を備える。このような構成により、ユーザが、親機に対応する無線接続設定情報T21があらかじめ記憶されている可搬記憶媒体2を無線装置1に読み込ませるだけで、無線装置1を、無線接続設定情報T21に基づいて子機として無線接続を試行するように設定することができる。
【0082】
したがって、ホームネットワークに新たに子機を追加する際に、ユーザが親機を操作することなく、子機に対して無線接続を設定することが可能となる。
【0083】
すなわち、本発明の実施の形態に係る無線接続設定装置における各構成要素のうち、読込部131および動作判断設定部132からなる最小構成により、ユーザが簡便な操作を行なうだけで無線接続の設定を行なうことができる、という本発明の目的を達成することが可能となる。
【0084】
また、本発明の実施の形態に係る無線接続設定装置では、動作判断設定部132は、読込部131によって読み込まれた無線接続設定情報に基づいて、他の装置を親機として当該他の装置への接続を試み、接続に成功した場合には他の装置を親機として通信する子機動作を行い、接続に失敗した場合には親機動作を行なう。
【0085】
このような構成により、無線接続可能な親機を探索する動作と並行して当該親機と無線接続する動作を行なうことが可能となる。
【0086】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、ホームネットワークの構築において、専門知識を持たないユーザでも、簡便に無線接続を設定することが可能となる。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0088】
1,1A,1B,1C 無線装置
2 可搬記憶媒体
3,4 ホームネットワーク
11 無線接続設定装置
12 無線通信部
100 無線LANアクセスポイント
131 読込部
132 動作判断設定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線接続設定情報を可搬記憶媒体から読み込むための読み込み部と、
他の端末装置からのアクセスの許可および拒絶を制御する親機動作を、前記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子を用いて行なっている他の装置を、前記読み込み部によって読み込まれた前記無線接続設定情報に基づいて検出する動作を行なうための動作判断設定部とを備え、
前記動作判断設定部は、前記他の装置を検出できた場合には、前記他の装置を親機として通信する子機動作を行い、前記他の装置を検出できなかった場合には、前記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子を用いて前記親機動作を行なう、無線接続設定装置。
【請求項2】
前記動作判断設定部は、前記読み込み部によって読み込まれた前記無線接続設定情報に基づいて、他の装置を親機として前記他の装置への接続を試み、接続に成功した場合には前記他の装置を親機として通信する子機動作を行い、接続に失敗した場合には、前記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子を用いて前記親機動作を行なう、請求項1に記載の無線接続設定装置。
【請求項3】
前記無線接続設定装置は、さらに、
他の装置と無線信号を送受信するための無線通信部を備える、請求項1または2に記載の無線接続設定装置。
【請求項4】
無線接続設定情報を可搬記憶媒体から読み込むステップと、
他の端末装置からのアクセスの許可および拒絶を制御する親機動作を、前記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子を用いて行なっている他の装置を、読み込んだ前記無線接続設定情報に基づいて検出する動作を行なうステップと、
前記他の装置を検出できた場合には、前記他の装置を親機として通信する子機動作を行い、前記他の装置を検出できなかった場合には、前記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子を用いて前記親機動作を行なうステップとを含む、無線接続設定方法。
【請求項5】
前記親機動作または前記子機動作を行なうステップにおいては、読み込んだ前記無線接続設定情報に基づいて、他の装置を親機として前記他の装置への接続を試み、接続に成功した場合には前記他の装置を親機として通信する子機動作を行い、接続に失敗した場合には、前記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子を用いて前記親機動作を行なう、請求項4に記載の無線接続設定方法。
【請求項6】
前記親機動作を行なっている他の装置を検出する動作を行なうステップにおいては、無線信号を送受信することにより前記他の装置を検出する動作を行い、
前記親機動作または前記子機動作を行なうステップにおいては、無線信号を送受信することにより前記親機動作または前記子機動作を行なう、請求項4または5に記載の無線接続設定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
無線接続設定情報を可搬記憶媒体から読み込むステップと、
他の端末装置からのアクセスの許可および拒絶を制御する親機動作を、前記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子を用いて行なっている他の装置を、読み込んだ前記無線接続設定情報に基づいて検出する動作を行なうステップと、
前記他の装置を検出できた場合には、前記他の装置を親機として通信する子機動作を行い、前記他の装置を検出できなかった場合には、前記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子を用いて前記親機動作を行なうステップとを実行させる、無線接続設定プログラム。
【請求項8】
前記親機動作または前記子機動作を行なうステップにおいては、読み込んだ前記無線接続設定情報に基づいて、他の装置を親機として前記他の装置への接続を試み、接続に成功した場合には前記他の装置を親機として通信する子機動作を行い、接続に失敗した場合には、前記無線接続設定情報に含まれるネットワーク識別子を用いて前記親機動作を行なう、請求項7に記載の無線接続設定プログラム。
【請求項9】
前記親機動作を行なっている他の装置を検出する動作を行なうステップにおいては、無線信号を送受信することにより前記他の装置を検出する動作を行い、
前記親機動作または前記子機動作を行なうステップにおいては、無線信号を送受信することにより前記親機動作または前記子機動作を行なう、請求項7または8に記載の無線接続設定プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−70072(P2012−70072A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211050(P2010−211050)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】