説明

無線機

【課題】UWB通信に際して無線機の設置や使用の条件を通信パラメータに基づいて容易にかつ正確にモニタ可能にすること。
【解決手段】超広帯域(UWB)で通信(UWB通信)する無線機において、UWB通信で通信パラメータに関するデータを得る通信処理部30,40と、この通信処理部からのデータに基づき通信パラメータの相関関係のデータを作成処理するデータ処理部31,41と、このデータ処理部が作成したデータから通信パラメータの相関関係をグラフ化して表示するモニタ表示部32,42とを備えた構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超広帯域(例えば3.1ないし10.6GHzの周波数帯域)で無線通信(UWB通信)する無線機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、工場設備には、複数の制御機器を集中管理部で一括して集中管理するに際して省力化、設備コスト低減化、効率化等のために、制御機器と集中管理部とをケーブル敷設により有線接続するのではなく、それらの間に無線機を介在させてそれら制御機器の状況等のデータを、無線機を経由して、集中管理部に入力させ、また、集中管理部からの制御指令等のデータは無線機を経由して制御機器に伝送して該制御機器を制御する制御システムを配備しているものがある。そして、この種の制御システムには、さらに、集中管理部と制御機器との間にPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を介在させ、PLCと集中管理部とをイーサネット(登録商標)等のLANで接続し、さらにPLCと制御機器との間に無線機を介在させ、PLC側の無線機を親機側無線機、制御機器側の無線機を子機側無線機とした制御システムがある。
【0003】
このような環境に設置する制御システムにおいては、工場内の電磁ノイズやフェージングにより通信が途切れやすいなど応答性、即応性に問題が発生しやすいため、高速な無線データ通信を実現するものとして、小電力近距離双方向無線通信方式の一つであるUWB通信技術を上記制御システムに応用することが注目され始めている。UWBは例えば3.1GHzから10.6GHzという超広帯域で送受信を行うことにより高速な無線通信(UWB通信)を実現することを可能とした通信である(例えば特許文献1)。このようなUWB通信を近距離高速通信を可能にすると言われている。
【0004】
上記制御システムにUWB通信方式を採用した場合、このUWB通信方式による親機側無線機(親機側無線機)と子機側無線機(子機側無線機)とは、あくまで近距離双方向無線通信方式によるから工場内では親機側無線機と子機側無線機との通信は作業員の移動や設備の稼動状態等の影響を受け易い。そのため望ましい通信環境下にこれら親機側無線機と子機側無線機とを設置し、使用することができる最適な条件を把握することは上記制御システムにおいては重要である。
【特許文献1】特開2005−129993
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明により解決すべき課題は、UWB通信方式の無線機を用いる場合にその設置や使用の条件を容易にかつ正確に設定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明第1に係る無線機は、超広帯域(UWB)で無線通信(UWB通信)する無線機において、UWB通信における通信パラメータの相関関係を示すデータをモニタ表示するモニタ表示手段を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明第1によれば、その表示手段に表示されている通信パラメータの相関関係に基づいて、その無線機の設置や使用の条件を容易にかつ正確に設定することができる。
【0008】
(2)上記(1)において上記モニタ表示手段が、通信パラメータの相関関係をグラフ化して表示するモニタ表示部により構成されていることが好ましい。
【0009】
(3)本発明第2に係る無線機は、超広帯域(UWB)で無線通信(UWB通信)する無線機において、上記表示手段が超広帯域(UWB)で無線通信(UWB通信)する無線機において、UWB通信で通信パラメータに関するデータを得る通信処理部と、この通信処理部からのデータに基づき通信パラメータの相関関係のデータを作成処理するデータ処理部と、このデータ処理部が作成したデータから通信パラメータの相関関係をモニタ表示する表示部とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
上記通信パラメータには、通信応答時間、通信距離、受信感度、通信速度、ノイズレベル、拡散率、エラー率、使用チャネル、使用チャネル数、チャネルの周波数、パケットサイズ、妨害波レベル、空間中の水滴量、その他、UWB通信において、通信品質、通信条件、通信設定、等に関わるあらゆるパラメータを含む。
【0011】
上記相関関係とは、複数の通信パラメータの相関関係である。
【0012】
上記超広帯域とは、例えば3.1GHzから10.6GHzの周波数領域にまたがる帯域をいう。
【0013】
本発明の無線機においては、例えば制御システム内のPLCと制御機器との間の通信に用いる場合、親機側と子機側の無線機間の通信状態をモニタ表示部に表示されている通信パラメータに従い把握して、より良好に通信が可能となる設置状況に改善することができる。
【0014】
(4)上記(3)において、上記データ処理部は、通信処理部が処理した複数の通信パラメータからそれらの相関関係のデータを得る信号処理部と、相関関係のデータを記憶するメモリと、信号処理部が演算処理した相関関係のデータをメモリに記憶制御する制御部とを備えることが好ましい。
【0015】
(5)上記(3)において、上記モニタ表示部は、相関関係を表示する表示画面と、上記メモリが記憶している相関関係のデータを上記制御部の指令に従い読み取り、読み取った相関関係を上記表示画面にモニタ表示させる表示制御部とを備えることが好ましい。
【0016】
(6)上記(3)ないし(5)において上記表示部に次の(a)ないし(n)のうちの少なくとも1つの相関関係をモニタ表示することが好ましい。
(a)通信応答時間と通信距離との相関関係
(b)通信距離と受信感度との相関関係
(c)通信速度と通信距離との相関関係
(d)通信速度とノイズレベルとの相関関係
(e)通信速度と拡散率との相関関係
(f)通信距離と拡散率との相関関係
(g)ノイズレベルと拡散率との相関関係
(h)ノイズレベルとエラー率との相関関係
(i)通信距離とエラー率との相関関係
(j)通信速度とエラー率との相関関係
(k)使用チャネルとノイズレベルとの相関関係
(l)使用チャネルと通信距離との相関関係
(m)使用チャネル数とノイズレベルとの相関関係
(n)使用チャネル数と通信距離との相関関係
(7)上記(3)ないし(6)において上記モニタ表示部は、上記相関関係を一次元、二次元または三次元のグラフ表示することが好ましい。
【0017】
(8)上記(3)ないし(6)において本発明第2の無線機では上記モニタ表示部は、上記相関関係を一方の通信パラメータの値を示す横軸と、他方の通信パラメータの値を示す縦軸とからなる二次元グラフ表示することができる表示画面を備え、この表示画面が表示するグラフ領域内に横軸側または縦軸側の一方または両方の通信パラメータの最適設定のために当該通信パラメータが指標範囲内か指標範囲外かを識別するための識別領域を配置ことが好ましい。この場合、例えば無線機で通信する工場内において作業員は無線機の表示部に表示されている通信パラメータが指標範囲内に入るようにその設置を調整することができ、より最適に無線機を使用することができるようになる。
【0018】
(9)上記(8)において本発明第2の無線機では、上記表示画面はその二次元グラフ表示における縦軸が横軸左側と横軸右側とに備え、それぞれの縦軸に通信パラメータの値を表示することが好ましい。例えば表示部に1つの通信パラメータに対して2つの通信パラメータを同時に表示することにより、相互の関連性から無線機の配置等をより容易に例えば工場内に最適な通信状態を確保できるように無線機を扱うことができる。
【0019】
(10)(2)ないし(9)のいずれかにおいて、上記モニタ表示部は、主表示画面を複数に分割し、それぞれに分割した主表示画面に他の無線機が備える複数のUWBアンテナそれぞれによる送信信号の受信状態を表示可能とすることが好ましい。
【0020】
(11)上記(10)において、上記モニタ表示部は、上記受信状態を当該他の無線機が備える複数のUWBアンテナのうちのいずれのUWBアンテナの受信であるかを表示可能とすることが好ましい。この表示によれば例えば工場内で無線機の通信エリアを把握しその通信エリアでアンテナの最適な向きに調整してより良好な通信状態に設定することができる。
【0021】
(12)上記(10)または(11)において、上記モニタ表示部は、上記分割に係る主表示画面に受信レベルとノイズレベルとをグラフ表示可能とすることが好ましい。この場合、UWB通信中のアンテナの受信レベルをリアルタイムで表示することがより好ましい。リアルタイムで受信レベルを表示することにより、より適確に工場内の制御機器の状態に関する通信データを送受信することができるように無線機の設置を行うことができる。
【0022】
(13)上記(10)ないし(12)のいずれかにおいて、上記モニタ表示部は、上記受信レベルを数値表示する副表示画面を備えることが好ましい。より無線機の設置等を適切に行うことができる。
【0023】
なお、上記UWB通信の方式がMB−OFDM(マルチバンド−直交周波数多重分割)またはDS−CDMA(直接拡散−符号分割多重接続)のいずれでも適用することができる。
【0024】
なお、本発明の無線機は、集中管理部側にPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を共通ネットワークで接続し、PLCに無線機を介在して制御機器を接続し、PLC側の無線機を親機側無線機としてPLCに専用ネットワークで接続し、制御機器側の無線機を子機側無線機として制御機器に有線接続し、これら両無線機間でUWB通信する制御システムにおいて、上記両無線機に用いることができる。この制御システムでは、この制御システムを採用する工場において、多数の制御機器の状況をより適確に集中管理部に通信することが可能となり、稼動能率に優れたシステムを構築することができる。
【0025】
なお、UWB通信は、搬送波を用いないで信号をパルス状態で送受信するものであり、米国のFCC(米連邦通信委員会)が2002年に民間に認可を与えたものである。FCCの規定ではUWBの定義は帯域500MHz以上または中心周波数が20%以上の占有帯域幅をもつ無線信号である。また、UWB通信信号は非常に広い帯域を使用して低電力で送信しているために他の通信システムとスペクトルを共有することができるという利点がある。さらに、信号をパルスで送信するから、マルチパスやフェージングの影響を解決することができる。そのため、短いパルスのUWBの波形はマルチパスの影響を避けることができるので、工場等の上記制御システムに好ましく適用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、UWB通信方式に基づく通信パラメータの相関関係をモニタ表示、好ましくはグラフ表示するので、UWB通信方式の無線機の最適な通信条件を容易かつ正確に設定することができる。そのため、本発明の無線機を、工場等の各種制御機器を備えた制御システムにおいて制御機器の状態のデータを無線通信する無線機として用いる場合、UWB通信で課題とされる無線機の通信条件の設定を最適に行うことが可能であるから、工場内の電磁ノイズやフェージングにより通信が途切れやすい環境であっても高速な無線データ通信を実現する小電力近距離双方向無線通信方式であるUWB通信の特徴を有効に生かしつつ、そうした制御システムの稼動率を大きく向上させることに寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態に係る無線機およびこれを用いた制御システムを詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態にかかる制御システムの構成を示す図、図2は図1の親機側無線機と子機側無線機それぞれのブロック回路を示す図である。これらの図を参照して、1はマイクロコンピュータを搭載してこの制御システムを集中管理する集中管理部、2はマイクロコンピュータ搭載の複数のPLC、3は3.1GHzから10.6GHzの超広帯域(UWB)で無線通信(UWB通信)する複数の親機側無線機、4は親機側無線機3と同様のUWB通信を行う複数の子機側無線機、5はセンサやリレーやモータ等の各種制御機器である。
【0028】
集中管理部1に対して複数のPLC2がイーサネット(登録商標)等の共通ネットワークN1で有線接続されている。1つのPLC2に対して1つないしは複数の親機側無線機3や上位側有線中継器10が専用ネットワークN2で有線接続されている。この上位側有線中継器10はさらに1つないし複数の下位側中継器11に専用ネットワークで接続されている。この下位側中継器11は1つないしは複数の制御機器5に有線接続されている。
【0029】
一方、各親機側無線機3はそれぞれ1つないし複数の子機側無線機4に無線接続されている。1つの子機側無線機4に対して1つないしは複数の制御機器5が有線接続されている。もちろん、これらの接続形態は単なる一例であり、実施の形態では理解の都合で示している。
【0030】
集中管理部1とPLC2と親機側無線機3との間では、ヘッダ、データおよびフッタから構成されるパケットで有線パケット通信が行われる。親機側無線機3と子機側無線機4との間ではヘッダ、データ、およびフッタから構成されたパケットで無線パケット通信が行われる。親機側無線機3と子機側無線機4との間での無線パケット通信としてウルトラワイドバンド(UWB)通信を採用している。このUWB通信はきわめて微弱なインパルス列に情報を載せて無線通信を行なう方式であり近距離超高速伝送を実現する無線通信システムである。現在、IEEE802.15.3などにおいてUWB通信のアクセス制御方式として、プリアンブルを含んだパケット構造のデータ伝送方式を採用している。
【0031】
親機側無線機3は、子機側無線機4との間でUWB通信信号を送受信するための1つないしは複数の超広帯域用のUWBアンテナ3aと、UWBアンテナ条件のよいものに切り替えるアンテナ切替部3bと、UWBアンテナ3aを通じてUWB通信信号を子機側無線機4に送信する時に該UWB通信信号を逆高速フーリエ変換等により変調したり、UWBアンテナ3aで子機側無線機4から受信したUWB通信信号を高速フーリエ変換等により復調したりするUWB無線通信部3cと、UWB通信信号のデジタル信号処理による符号化(送信時)と復号化(受信時)とを行う信号処理部3dと、UWBアンテナ3aのダイバーシティの切り替え、無線モジュールのオンオフ機能等の制御、ならびにPLC2との通信を制御する制御部3eと、親機側無線機3や子機側無線機4のID番号の設定保存、無線データのバッファとして用いるメモリ3fと、PLC2に対するインターフェース(I/F)3gとを備える。
【0032】
さらに親機側無線機3は、アンテナ3a、アンテナ切替部3bおよびUWB無線通信部3cにより、相手無線機である子機側無線機4とのUWB通信により通信パラメータに関するデータの処理を行う通信処理部30を構成し、信号処理部3d、制御部3eおよびメモリ3fにより、通信処理部30からのデータに基づいて通信パラメータの相関関係のデータを作成処理するデータ処理部31を構成する。この通信パラメータには、通信応答時間、通信距離、受信感度、通信速度、ノイズレベル、拡散率、エラー率、使用チャネル、使用チャネル数、チャネルの周波数、パケットサイズ、妨害波レベル、空間中の水滴量、その他、UWB通信において、通信品質、通信条件、通信設定、等に関わるあらゆるパラメータを含む。
【0033】
データ処理部31は、信号処理部3dにより通信処理部30で処理した上記通信パラメータから少なくとも2つの通信パラメータの相関関係を演算処理し、制御部3eは、信号処理部3dが演算処理した相関関係のデータをメモリ3fに記憶させる。
【0034】
さらに親機側無線機3は、このデータ処理部31で作成した通信パラメータの相関関係をグラフ表示するモニタ表示部32を備える。このモニタ表示部32は、モニタ表示手段として、表示制御部32aおよびモニタ表示画面32bを備える。詳しくは、モニタ表示部32においては、データ処理部31の制御部3eの表示制御に従い、メモリ3fが記憶している通信パラメータの相関関係を読み取り、その読み取った相関関係のデータをモニタ表示画面32bに出力する。モニタ表示画面32bは、その相関関係をグラフ表示する。
【0035】
子機側無線機4は、親機側無線機3との間でUWB通信信号を送受信するための1つないしは複数の超広帯域用のUWBアンテナ4aと、UWBアンテナ条件のよいものに切り替えるアンテナ切替部4bと、UWBアンテナ4aを通じてUWB通信信号を親機側無線機3に送信する時に該UWB通信信号を逆高速フーリエ変換等により変調したり、UWBアンテナ4aで受信した親機側無線機3からのUWB通信信号を高速フーリエ変換等により復調したりするUWB無線通信部4cと、UWB通信信号のデジタル信号処理による符号化(送信時)と復号化(受信時)とを行う信号処理部4dと、UWBアンテナ4aのダイバーシティの切り替え、無線モジュールのオンオフ機能等の制御、ならびにPLC2との通信を制御する制御部4eと、親機側無線機3や子機側無線機4のID番号の設定保存、無線データのバッファとして用いるメモリ4fとから構成されている。
【0036】
さらに子機側無線機4は、アンテナ4a、アンテナ切替部4bおよびUWB無線通信部4cにより、相手無線機である子機側無線機4とのUWB通信により通信パラメータに関するデータの処理を行う通信処理部40を構成し、信号処理部4d、制御部4eおよびメモリ4fにより、通信処理部40からのデータに基づいて通信パラメータの相関関係のデータを作成処理するデータ処理部41を構成する。この通信パラメータには、通信応答時間、通信距離、受信感度、通信速度、ノイズレベル、拡散率、エラー率、使用チャネル、使用チャネル数、チャネルの周波数、パケットサイズ、妨害波レベル、空間中の水滴量、その他、UWB通信において、通信品質、通信条件、通信設定、等に関わるあらゆるパラメータを含む。
【0037】
データ処理部41は、信号処理部4dにより通信処理部40で処理した上記通信パラメータから少なくとも2つの通信パラメータの相関関係を演算処理し、制御部4eは、信号処理部4dが演算処理した相関関係のデータをメモリ4fに記憶させる。
【0038】
さらに子機側無線機4は、このデータ処理部41で作成した通信パラメータの相関関係をグラフ表示するモニタ表示部42を備える。このモニタ表示部42は、モニタ表示手段として、表示制御部42aおよびモニタ表示画面42bを備える。詳しくは、モニタ表示部42においては、データ処理部41の制御部4eの表示制御に従い、メモリ4fが記憶している通信パラメータの相関関係を読み取り、その読み取った相関関係のデータをモニタ表示画面42bに出力する。モニタ表示画面42bは、その相関関係をグラフ表示する。
【0039】
以上の構成を備えた親機側無線機3と子機側無線機4においては、それぞれ、通信処理部30、40、データ処理部31、41、モニタ表示部32、42を備えるとともに、モニタ表示部32、42のモニタ表示画面32b、42bにおいて通信パラメータの相関関係をグラフ表示することに特徴を備える。
【0040】
このような無線機3,4においては、図2に示した回路ブロックにより、MB−OFDM(Multiband−Orthogonal Frequency Division Multiplexing:マルチバンド−直交周波数分割多重)方式によりUWB通信を行う例を示して説明しているが、DS−CDMA(Direct Sequence−Code Division Multiple Access:直接拡散−符号分割多重接続)方式によってもUWB通信を行うことができるようにしてもよい。なお、MB−OFDM方式は、3.1〜10.6GHzの超広帯域の周波数帯を528MHz幅からなる複数のサブバンド(周波数チャネル)に分割し、各周波数チャネルCH1,CH2,CH3,…,CH14毎にパケットを生成して送受信するものである。また、DS−CDMA方式は、3.1〜10.6GHzの超広帯域の周波数帯を用いるものであり、UWB通信信号の送信に際しては送信データをチャネル符号化し狭帯域変調して(一次変調)、拡散符号系列で拡散して二次変調して送信し、受信に際しては上記拡散符号系列により逆拡散してのち狭帯域復調しチャネル復号して受信データを得るものである。
【0041】
図3を参照して親機側無線機3と子機側無線機4のパネル構成を説明する。図3には親機側無線機3が1台、また、この親機側無線機3とUWB通信する子機側無線機4(符号では区別のため4−1、4−2)が2台示されている。
【0042】
親機側無線機3は直方体のパネル構成になっている。正面の操作/アンテナ配備/表示パネル3h1にUWBアンテナ3a、モニタ表示部32の表示画面32b、各種操作部32cを備える。操作部32cの説明は略する。表示画面32bは主表示画面32b1と副表示画面32b2とから構成されている。側面のアンテナ配備パネル3h2、3h3、背面のアンテナ配備パネル3h4、および天面のアンテナ配備パネル3h5にそれぞれUWBアンテナ3aを備える。アンテナ配備パネル3h3、3h4のUWBアンテナ3aは図に表れない。以上、親機側無線機3の5面にUWBアンテナ3aが配備されている。主表示画面32b1は通信パラメータを例えば二次元グラフ表示し、副表示画面32b2は表示項目を例えば7セグメントによりデジタル表示する。なお、UWBアンテナ3aの配備個数、配備位置は必要に応じて定めることができる。
【0043】
子機側無線機4−1は直方体のパネル構成になっている。正面の操作/アンテナ配備/表示パネル4g1にUWBアンテナ4a、モニタ表示部42の表示画面42bおよび各種操作部が併設されている。表示画面42bは主表示画面42b1と副表示画面42b2とから構成されている。左右側面のアンテナ配備パネル4g2、4g3、背面のアンテナ配備パネル4g4に、および天面のアンテナ配備パネル4g5にそれぞれUWBアンテナ4aを備える。アンテナ配備パネル4g2、4g4のUWBアンテナ4aは図に表れない。以上、子機側無線機4の5面にUWBアンテナ4aが配備されている。主表示画面42b1は通信パラメータを例えば二次元グラフ表示し、副表示画面42b2は表示項目を例えば7セグメントによりデジタル表示する。なお、無線操作/表示パネル4g1にもUWBアンテナ4aを設けることができる。
【0044】
子機側無線機4−2は直方体のパネル構成になっている。正面の無線操作/表示パネル4g1にモニタ表示部42の表示画面42bを備える。正面パネル4g1の図示略の各種操作部も併設されている。表示画面42bは主表示画面42b1と副表示画面42b2とから構成されている。左右側面のアンテナ配備パネル4g2、4g3、および背面のアンテナ配備パネル4g4に、それぞれUWBアンテナ4aを備える。アンテナ配備パネル4g2、4g4のUWBアンテナ4aは図に表れない。主表示画面42b1は通信パラメータを例えば二次元グラフ表示し、副表示画面42b2は表示項目を例えば7セグメントによりデジタル表示する。なお、無線操作/表示パネル4g1にもUWBアンテナ4aを設けることができる。なお、UWBアンテナ4aの配備個数、配備位置は必要に応じて定めることができる。
【0045】
次に、図4以降を参照して通信パラメータ間の相関関係のグラフ表示について説明する。このグラフ表示は、横軸と縦軸それぞれに通信パラメータをとり、これらの相関関係をグラフ表示するものである。これらの表示はモニタ表示部32の主表示画面32b1、42b1での表示である。なお、相手無線機とは自機無線機が親機側無線機3であるときは子機側無線機4が相手無線機であり、自機無線機が子機側無線機4であるときは親機側無線機3が相手無線機である。
【0046】
図4に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸に自機無線機と相手無線機との通信距離、縦軸に自機無線機と相手無線機との間での通信に要する応答時間をとり、通信距離と応答時間との相関関係を二次元グラフによりプロット表示している。主表示画面32b1、42b1には、通信パラメータの最適設定のため当該通信パラメータが指標範囲内か指標範囲外かを色別や点滅や輝度やその他適宜の手法で識別する識別領域32b3,42b3を配置表示している。
【0047】
通信処理部30、40においては、自機無線機から相手側無線機に連続パルス信号を送信処理し、相手側無線機がその連続パルス信号に応答して自機無線機に送信してきた応答信号を受信処理する。
【0048】
データ処理部31、41においては、内部の制御部3e,4eにより、通信処理部30、40における連続パルス信号の送信タイミングから応答信号の受信タイミングまでに要する応答時間から自機無線機と相手側無線機との通信距離を演算し、この演算に基づいて応答時間と通信距離との相関関係を求めて通信パラメータをテーブル化して作成処理し、その作成処理した相関関係のデータを内部のメモリ3f,4fに記憶させる。
【0049】
モニタ表示部32、42において、表示制御部32a、42aは、主表示画面32b1、42b1に二次元グラフ表示させる表示データを記憶している。この二次元グラフは上記したように横軸に通信距離、縦軸に応答時間をとるグラフであり、制御部3e,4eの表示制御指令により、表示制御部32a、42aは、メモリ3f,4fにアクセスして該メモリ3f,4fから通信距離と応答時間との相関関係を示すデータを読み取り、モニタ表示画面32b,42bに通信距離と応答時間との相関関係を示すグラフを図4で示すように表示させる。
【0050】
表示制御部32a、42aはモニタ表示画面32b、42bの識別領域32b3,42b3に対して識別表示の制御を行う。この識別領域32b3,42b3は図5以降も同様であるので、図5以降ではその説明は略する。こうしてモニタ表示画面32b、42bには応答時間と通信距離との相関関係を示すグラフが表示される。
【0051】
図5に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸に自機無線機と相手無線機との通信距離、縦軸に自機無線機の受信感度をとって、通信距離と受信感度との相関関係を二次元グラフによりプロット表示している。図5のグラフ表示では受信感度から最大通信距離を表示することができる。
【0052】
通信処理部30、40においては、図4と同様に自機無線機から相手側無線機に連続パルス信号を送信処理し、相手側無線機がその連続パルス信号に応答して自機無線機に送信してきた応答信号を受信処理する。
【0053】
データ処理部31、41においては、内部の制御部3e,4eにより、通信処理部30、40における連続パルス信号の送信タイミングから応答信号の受信タイミングまでに要する応答時間から自機無線機と相手側無線機との通信距離を演算し、かつ、通信処理部30、40が通信距離に対応した応答信号の受信レベルから受信感度を演算するとともに、この通信距離データと受信感度データとの相関関係から通信パラメータをテーブル化して作成する。制御部3e,4eは、通信距離と受信感度との相関関係を示すデータをメモリ3f,4fに記憶させる。
【0054】
モニタ表示部32、42において、表示制御部32a、42aは、制御部3e,4eの表示指令に従い、メモリ3f,4fに記憶されている通信距離と受信感度との相関関係データをメモリ3f,4fから読み取り、その読み取った相関関係データに基づいてその相関関係をモニタ表示画面32b、42bに図6で示すように表示させる。
【0055】
図6に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸に通信速度、縦軸に通信距離をとって、通信速度と通信距離との相関関係を二次元グラフによりプロット表示している。通信速度が高速化すると通信距離が短くなるので図6のグラフ表示から通信速度の設定に対する最大通信距離が分かる。
【0056】
通信処理部30、40においては、図4と同様に相手側無線機に連続パルス信号を送信処理し、相手側無線機がその連続パルス信号に応答して自機無線機に送信してきた応答信号を受信処理する。
【0057】
データ処理部31、41においては、制御部3e,4eにより通信処理部30、40からの処理データに基づいて通信距離を演算するとともに、通信距離に対応した通信速度との相関関係を求めて通信パラメータをテーブル化して作成し、次いで、メモリ3f,4fに通信距離と通信速度との相関関係を示すデータを記憶させる。
【0058】
モニタ表示部32、42の表示制御部32a、42aは、制御部3e,4eの指令に従い、メモリ3f,4fから上記相関関係のデータを読み取り、モニタ表示画面32b、42bに図6で示すようにその相関関係を二次元グラフ上に表示させる。
【0059】
図7に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸に通信速度、縦軸にノイズレベルをとって、通信速度とノイズレベルとの相関関係を二次元グラフによりプロット表示している。図7のグラフ表示からパケットサイズと通信距離とを固定して、実際のノイズレベルに対して通信できる通信速度が分かる。
【0060】
通信処理部30、40においては、通信速度のデータ(通信速度データ)と、それに対応するノイズレベルのデータ(ノイズレベルデータ)とを得る処理を行う。
【0061】
データ処理部31、41においては、通信処理部30、40からの通信速度とノイズレベルのデータから通信速度とノイズレベルとの相関関係をテーブル化して作成する。
【0062】
モニタ表示部32、42の表示制御部32a、42aは、制御部3e,4eの指令に従い、メモリ3f,4fから相関関係データを読み取り、その相関関係をモニタ表示画面32b、42bに図7で示すように二次元グラフ表示させる。
【0063】
以上の図4ないし図7はMB−OFDM方式、DS−CDMA方式のいずれでも行う表示である。
【0064】
図8に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸に通信速度、縦軸に拡散率をとって通信速度と拡散率との相関関係を二次元グラフによりプロット表示している。図8のグラフ表示から、DS−CDMA方式において、所望する通信速度に対する最適な拡散率の範囲を求めることができる。
【0065】
通信処理部30、40においては、通信速度のデータ(通信速度データ)と、それに対応する拡散率のデータ(拡散率データ)とを得る処理を行う。
【0066】
データ処理部31、41においては、制御部3e,4eは、通信処理部30、40からの通信速度データと拡散率データとの相関関係を求め、その求めた相関関係を示すデータをメモリ3f,4fに記憶させる。
【0067】
モニタ表示部32、42の表示制御部32a、42aは、制御部3e,4eの指令に従い、メモリ3f,4fから上記相関関係データを読み取り、その読み取りに従い、モニタ表示画面32b、42bに図8で示すように通信速度と拡散率との相関関係をグラフ表示させる。
【0068】
図9に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸に通信距離、縦軸に拡散率をとって通信距離と拡散率との相関関係を二次元グラフにより表示している。図9のグラフ表示から、DS−CDMA方式において、所望する通信距離に対する最適な拡散率の範囲を求めることができる。通信処理部30、40においては、通信距離のデータ(通信距離データ)と、それに対応する拡散率のデータ(拡散率データ)とを得る処理を行う。
【0069】
データ処理部31、41においては、制御部3e,4eにより、通信処理部30、40からの通信距離データと拡散率データとの相関関係を求め、その求めた相関関係データをメモリ3f,4fに記憶させる。モニタ表示部32、42の表示制御部32a、42aは、制御部3e,4eの指令により、メモリ3f,4fから上記相関関係データを読み取り、その読み取った相関関係データに基づいて通信距離と拡散率との相関関係をモニタ表示画面32b、42bに図9で示すようにグラフ表示させる。
【0070】
図10に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸にノイズレベル、縦軸に拡散率をとってノイズレベルと拡散率との相関関係を二次元グラフにより表示している。図10のグラフ表示から、DS−CDMA方式において、所望する耐ノイズレベルに対する最適な拡散率の範囲を求めることができる。
【0071】
通信処理部30、40においては、ノイズレベルのデータ(ノイズレベルデータ)と、それに対応する拡散率のデータ(拡散率データ)とを得る処理を行う。
【0072】
データ処理部31、41においては、制御部3e,4eにより、通信処理部30、40からのノイズレベルと拡散率との相関関係を求め、その求めた相関関係のデータをメモリ3f,4fに記憶させる。
【0073】
モニタ表示部32、42の表示制御部32a、42aは、制御部3e,4eの指令に従い、メモリ3f,4fから上記相関関係を読み取り、その読み取ったノイズレベルと拡散率との相関関係をモニタ表示画面32b、42bに図10で示すようにグラフ表示させる。
【0074】
以上の図8ないし図10はDS−CDMA方式による表示である。
【0075】
図11に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸にノイズレベル、縦軸にエラー率をとってノイズレベルとエラー率との相関関係を二次元グラフにより表示している。図11のグラフ表示により、パケット長等の条件を設定して必要な信頼性(送信したパケットがエラーする率)を実現するのに要するノイズレベルが分かる。
【0076】
通信処理部30、40においては、ノイズレベルのデータ(ノイズレベルデータ)と、それに対応するエラー率のデータ(エラー率データ)とを得る処理を行う。
【0077】
データ処理部31、41においては、制御部3e,4eにより、通信処理部30、40からのノイズレベルとエラー率との相関関係を求め、その求めた相関関係のデータをメモリ3f,4fに記憶させる。
【0078】
モニタ表示部32、42の表示制御部32a、42aは、制御部3e,4eの指令に従い、メモリ3f,4fから上記相関関係データを読み取り、その読み取った相関関係データをモニタ表示画面32b、42bに図11で示すようにグラフ表示させる。
【0079】
図12に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸に通信距離、縦軸にエラー率をとって通信距離とエラー率との相関関係を二次元グラフによりを表示している。図12のグラフ表示により、パケット長等の条件を設定して必要な信頼性(エラー率)を実現するのに要する通信距離が分かる。
【0080】
通信処理部30、40においては、通信距離のデータ(通信距離データ)と、それに対応するエラー率のデータ(エラー率データ)とを得る処理を行う。
【0081】
データ処理部31、41においては、制御部3e,4eにより通信処理部30、40からの通信距離とエラー率との相関関係データを求め、その求めた相関関係データをメモリ3f,4fに記憶させる。モニタ表示部32、42の表示制御部32a、42aは、制御部3e,4eの指令に従い、メモリ3f,4fから上記相関関係データを読み取り、その読み取った通信距離とエラー率との相関関係をモニタ表示画面32b、42bに図12で示すようにグラフ表示させる。
【0082】
図13に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸に通信速度、縦軸にエラー率をとって通信速度とエラー率との相関関係を二次元グラフにより表示している。図13のグラフ表示により、パケット長等の条件を設定して必要な信頼性(エラー率)を実現するのに要する通信速度が分かる。
【0083】
通信処理部30、40においては、通信速度のデータ(通信距離データ)と、それに対応するエラー率のデータ(エラー率データ)とを得る処理を行う。
【0084】
データ処理部31、41においては、通信処理部30、40からの通信速度とエラー率との相関関係のデータを求め、求めた相関関係データをメモリ3f,4fに記憶させる。
【0085】
モニタ表示部32、42の表示制御部32a、42aは、制御部3e,4eの指令に従い、メモリ3f,4fから上記相関関係データを読み取り、その読み取った通信速度とエラー率との相関関係をモニタ表示画面32b、42bに図13で示すグラフ表示させる。
【0086】
以上の図11ないし図13はMB−OFDM方式、DS−CDMA方式のいずれでも行う表示である。
【0087】
図14に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸に使用チャネル、左縦軸にノイズ受信レベル、右縦軸に通信距離をとって使用チャネル、ノイズ受信レベル、通信距離との相関関係を二次元グラフにより表示している。
【0088】
マルチチャネル方式においては選択チャネルの周波数が高くなると、通信距離が短くなる傾向にあるので、使用チャネル毎に最大通信距離を表示し、各チャネル毎のノイズレベルを計測し、各チャネルでの最大通信距離を補正する。図14では、この補正に利用することができる。
【0089】
主表示画面32b1、42b1には、通信パラメータが指標範囲32b3内か指標範囲32b3外かを色別や点滅や輝度やその他適宜の手法で識別表示している。
【0090】
通信処理部30、40においては、ノイズ受信レベルのデータ(ノイズ受信レベルデータ)と、通信距離のデータ(通信距離データ)と、それらに対応する使用チャネルのデータ(使用チャネルデータ)とを得る処理を行う。
【0091】
データ処理部31、41においては、通信処理部30、40からのノイズ受信レベルデータ、通信距離データ、使用チャネルデータとの相関関係を求め、求めた相関関係データを記憶する。
【0092】
モニタ表示部32、42の表示制御部32a、42aは、そのテーブル化に従い、モニタ表示画面32b、42bにノイズ受信と通信距離と使用チャネルとの相関関係を図14で示すようにグラフ表示する。
【0093】
こうしてモニタ表示画面32b、42bにノイズ受信レベル、通信距離および使用チャネルの相関関係がグラフ表示される。
【0094】
図15に示す主表示画面32b1、42b1は、横軸に使用チャネル数、左縦軸にノイズ受信レベル、右縦軸に通信距離をとって使用チャネル数、ノイズ受信レベル、通信距離との相関関係を二次元グラフにより表示している。
【0095】
マルチチャネル方式においては選択チャネルの使用チャネル数で最大通信距離を表示し、積算したチャネルのノイズレベルを計測し、積算時の最大通信距離を補正する。図15では、この補正に利用することができる。
【0096】
通信処理部30、40においては、ノイズ受信レベルのデータ(ノイズ受信レベルデータ)と、通信距離のデータ(通信距離データ)と、それらに対応する使用チャネル数のデータ(使用チャネル数データ)とを得る処理を行う。
【0097】
データ処理部31、41においては、通信処理部30、40からのノイズ受信レベルと通信距離と使用チャネルとの相関関係を示すデータを求め、求めた相関関係データを記憶する。
【0098】
モニタ表示部32、42の表示制御部32a、42aは、その記憶してある相関関係のデータを読み取り、その相関関係をモニタ表示画面32b、42bに図6で示すようにグラフ表示する。
【0099】
以上において図15のモニタ表示画面32b、42bにノイズ受信レベル、通信距離、使用チャネル数の相関関係がグラフ表示される。
【0100】
以上の図14および図15はMB−OFDM方式による表示である。
【0101】
図16を参照して親機側無線機3と子機側無線機4の使用例について説明する。図16 (a)は作業用のロボットアーム50を示す。このロボットアーム50は、アーム軸51の一端側が駆動部52、他端側が作業部53となっていて、作業部53は駆動部52の駆動により、自転、上下、左右に揺動可能になっている。親機側無線機3はこのロボットアーム50から適宜離れた位置に固定されている。子機側無線機4はその下面がアーム軸51に設置されている。子機側無線機4はUWBアンテナ4aを5面に備えた図3で示す無線機である。子機側無線機4はアーム軸51の作業部53の移動に応じて図中のxyz面内を移動するように取り付けられている。
【0102】
無線子機の5面それぞれのUWBアンテナ4aを説明の都合で図16(b)で示すように4a1−4a5で示す。また、図16(b)ではこれらUWBアンテナ4a1−4a5の位置関係も示している。アーム軸51の角度がZ軸方向0度にあるときはUWBアンテナ4a1−4a5が通信し、画面表示する。アーム軸51が前方45度に倒れた場合はUWBアンテナ4a4が通信し、画面表示する。
【0103】
図16(c)に親機側無線機3のモニタ表示部32の表示画面32bを示す。表示画面32bの主表示画面32b1は、2分割画面32b11,32b12とされている。
【0104】
左分割画面32b11は、Z−Y平面(アーム軸51が左右水平移動平面)内での表示画面であり、矩形表示ボックスB1はUWBアンテナ4a5、矩形表示ボックスB2はUWBアンテナ4a1,4a2、矩形表示ボックスB3は、UWBアンテナ4a3,4a4に対応する。矩形表示ボックスB1はアーム軸51の座標角度「0」、矩形表示ボックスB2は座標角度「90」、矩形表示ボックスB3は座標角度「−90」である。
【0105】
右分割画面32b12は、Z−Y平面(アーム軸51が上下垂直移動平面)内での表示画面であり、矩形表示ボックスB4はUWBアンテナ4a1、矩形表示ボックスB5はUWBアンテナ4a2、矩形表示ボックスB6は、UWBアンテナ4a3に対応する。矩形表示ボックスB7はUWBアンテナ4a4に対応する。矩形表示ボックスB4はアーム軸の座標角度「0」、矩形表示ボックスB5は座標角度「90」、矩形表示ボックスB6は座標角度「180」、矩形表示ボックスB7は座標角度「270」である。
【0106】
矩形表示ボックスB1−B7においてボックス内黒抜き表示はそれに対応するUWBアンテナ4a1−4a5の送信信号を受信中、ボックス内白抜き表示は受信していない状態を示す。線分R1は親機側無線機3における子機側無線機4からの送信信号の受信レベルを,R2は親機側無線機3の受信におけるノイズレベルを表している。
【0107】
矩形表示ボックスB1では「0」はアーム軸51の水平移動位置がゼロ、矩形表示ボックスB2の「90」はアーム軸51の水平移動位置が右回り90度(アーム軸51の作業部53が駆動部52に対して右90度に旋回した位置)、矩形表示ボックスB3の「270」はアーム軸51の水平移動位置が左回り90度(アーム軸51の作業部53が駆動部52に対して左90度に旋回した位置)にあることを示す。
【0108】
矩形表示ボックスB1,B2,B3においてボックス内黒抜き表示(赤色表示)はそれに対応するUWBアンテナ4aの送信信号を受信中、ボックス内白抜き表示は受信していない状態を示す。線分R1は親機側無線機3における子機側無線機4からの送信信号の受信レベルを,R2は親機側無線機3の受信におけるノイズレベルを表している。
【0109】
左分割画面32b11においては矩形表示ボックスB3が赤色表示しているのでUWBアンテナ4a3,4a4からの送信信号、右分割画面32b12においては矩形表示ボックスB7が赤色表示しているのでUWBアンテナ4a4からの送信信号をそれぞれ受信している。そのときの受信レベルは副表示画面32b2に表示している。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかる制御システムの構成を示す図である。
【図2】図2は図1の親機側無線機と子機側無線機それぞれのブロック回路を示す図である。
【図3】図3は親機側無線機と子機側無線機それぞれのパネル構成を示す図である。
【図4】図4は通信応答時間と通信距離との相関関係を表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図5】図5は通信距離と受信感度との相関関係を表す通信パラメータを表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図6】図6は通信速度と通信距離との相関関係を表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図7】図7は通信速度とノイズレベルとの相関関係を表す通信パラメータを表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図8】図8は通信速度と拡散率との相関関係を表す通信パラメータを表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図9】図9は通信距離と拡散率との相関関係を表す通信パラメータを表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図10】図10はノイズレベルと拡散率との相関関係を表す通信パラメータを表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図11】図11はノイズレベルとエラー率との相関関係を表す通信パラメータを表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図12】図12は通信距離とエラー率との相関関係を表す通信パラメータを表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図13】図13は通信速度とエラー率との相関関係を表す通信パラメータを表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図14】図14は使用チャネルとノイズレベルと通信距離の相関関係を表す通信パラメータを表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図15】図15は使用チャネル数とノイズレベルと通信距離の相関関係を表す通信パラメータを表示した主表示画面の画面例を示す図である。
【図16】図16(a)は作業用のロボットアームと親機側無線機と子機側無線機の配置例を示す図、図16(b)は子機側無線機の5面のUWBアンテナの位置関係を示す図、図16(c)は親機側無線機のモニタ表示部の表示画面を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
1 集中管理部
2 PLC
3 親機側無線機
4 子機側無線機
5 制御機器
30,40 通信処理部
31,41 データ処理部
32,42 モニタ表示部
32b1、42b1 主表示画面
32b2,42b2 副表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超広帯域(UWB)で無線通信(UWB通信)する無線機において、
UWB通信における通信パラメータの相関関係を示すデータをモニタ表示する手段を備えた、ことを特徴とする無線機。
【請求項2】
上記モニタ表示する手段が、通信パラメータの相関関係をグラフ表示するモニタ表示部により構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の無線機。
【請求項3】
超広帯域(UWB)で無線通信(UWB通信)する無線機において、
UWB通信で通信パラメータに関するデータを得る通信処理部と、
この通信処理部からのデータに基づき通信パラメータの相関関係のデータを作成処理するデータ処理部と、
このデータ処理部が作成したデータから通信パラメータの相関関係をモニタ表示するモニタ表示部と、を備えることを特徴とする無線機。
【請求項4】
上記データ処理部は、通信処理部が処理した複数の通信パラメータからそれらの相関関係のデータを得る信号処理部と、相関関係のデータを記憶するメモリと、信号処理部が演算処理した相関関係のデータをメモリに記憶制御する制御部とを備える、ことを特徴とする請求項3に記載の無線機。
【請求項5】
上記モニタ表示部は、相関関係を表示する表示画面と、上記メモリが記憶している相関関係のデータを上記制御部の指令に従い読み取り、読み取った相関関係を上記表示画面にモニタ表示させる表示制御部とを備える、ことを特徴とする請求項3に記載の無線機。
【請求項6】
上記モニタ表示部は次の(a)ないし(n)のうちの少なくとも1つの相関関係をモニタ表示する、ことを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の無線機。
(a)通信応答時間と通信距離との相関関係
(b)通信距離と受信感度との相関関係
(c)通信速度と通信距離との相関関係
(d)通信速度とノイズレベルとの相関関係
(e)通信速度と拡散率との相関関係
(f)通信距離と拡散率との相関関係
(g)ノイズレベルと拡散率との相関関係
(h)ノイズレベルとエラー率との相関関係
(i)通信距離とエラー率との相関関係
(j)通信速度とエラー率との相関関係
(k)使用チャネルとノイズレベルとの相関関係
(l)使用チャネルと通信距離との相関関係
(m)使用チャネル数とノイズレベルとの相関関係
(n)使用チャネル数と通信距離との相関関係
【請求項7】
上記モニタ表示部は、上記相関関係を一次元、二次元または三次元のグラフ表示することを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の無線機。
【請求項8】
上記モニタ表示部は、上記相関関係を一方の通信パラメータの値を示す横軸と、他方の通信パラメータの値を示す縦軸とからなる二次元グラフ表示することができる表示画面を備え、この表示画面が表示するグラフ領域内に横軸側または縦軸側の一方または両方の通信パラメータの最適設定のために当該通信パラメータが指標範囲内か指標範囲外かを識別するための識別領域を配置した、ことを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の無線機。
【請求項9】
上記表示画面はその二次元グラフ表示における縦軸を横軸左側と横軸右側とに備え、それぞれの縦軸に通信パラメータの値を表示する、ことを特徴とする請求項8に記載の無線機。
【請求項10】
上記モニタ表示部は、主表示画面を複数に分割し、それぞれに分割した主表示画面に他の無線機が備える複数のUWBアンテナそれぞれによる送信信号の受信状態を表示可能とした、ことを特徴とする請求項2ないし9のいずれかに記載の無線機。
【請求項11】
上記モニタ表示部は、上記受信状態を当該他の無線機が備える複数のUWBアンテナのうちのいずれのUWBアンテナの受信であるかを表示可能とした、ことを特徴とする請求項10に記載の無線機。
【請求項12】
上記モニタ表示部は、上記分割に係る主表示画面に受信レベルとノイズレベルとをグラフ表示可能とした、ことを特徴とする請求項10または11に記載の無線機。
【請求項13】
上記モニタ表示部は、上記受信レベルを数値表示する副表示画面を備える、ことを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記載の無線機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2007−184826(P2007−184826A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2298(P2006−2298)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】