説明

無線測位システム及び無線測位方法

【課題】インフラ側に簡易な送信機能のみを有する基地局を設置し、複雑な送受信機能を有する基準局の数を減らすことで、無線測位システム全体のコストを低減することを課題とする。
【解決手段】複数の基地局A,Bから、互いに非同期で無線信号R1を少なくとも一つの基準局Pと移動端末Mとに送信する。基準局Pが無線信号R1に応答して無線信号R2を移動端末Mに送信する際、無線信号R1を受信した受信時刻と無線信号R2を送信した送信時刻とを無線信号R2に含ませて送信する。移動端末Mが受信した無線信号R1の受信時刻と、移動端末Mが受信した無線信号R2の受信時刻と、移動端末Mが受信した無線信号R2に含まれた受信時刻及び送信時刻とに基づいて、移動端末Mの位置を演算により求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線測位システムに係り、特に電波の伝播時間を利用して移動端末自身が位置を特定する無線測位システム及び無線測位方法、基準局及び移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
移動端末の位置を電波の伝播時間を利用して測定する技術としてTOA(Time of Arrival)方式とTDOA(Time Difference of Arrival)が知られている。
【0003】
図1はTOA方式の測位システムを説明するための図である。TOA方式では、移動端末Mの移動範囲内に送受信機能を有する複数の基地局A,B,Cが設置される。基地局A,B,Cの位置は予め精確に求められている。まず、移動端末Mから特定の基地局Aに向けて送信した無線信号R1を基地局Aが受信すると、基地局Aは無線信号R2を移動端末Mに返送する。移動端末Mは無線信号R2を受信し、往復の伝播時間から移動端末Mと基地局Aの距離を測定する。次に、移動端末Mから特定の基地局Bに向けて発した無線信号R3を基地局Bが受信すると、基地局Bは無線信号R4を移動端末Mに返送する。移動端末Mは無線信号R4を受信し、往復の伝播時間から移動端末Mと基地局Bの距離を測定する。この動作を複数の基地局(基地局A,B,C)に対して順番に行うことで、移動端末Mは三角測量の原理に基づいて移動端末Mの位置を測定する。
【0004】
移動端末Mが広い範囲や障害物が多い範囲を移動する場合には、同時に最低でも2つの基地局と通信する必要があり、多数の基地局を設置する必要がある。特に、測定精度を上げるためにインパルス電波を用いれば、各基地局の送信機として低消費電力且つ低価格の送信機を用いることができる。一方、受信機は送信機に比べて複雑で高価な回路を必要とするため、全ての基地局(インフラ側)に送受信機を設けると、基地局の設置費用が高くなってしまう。
【0005】
図2はTDOA方式の測位システムを説明するための図である。TDOA方式においても複数の基地局A,B,Cが設置されるが、各基地局A,B,Cには送信機のみが設けられ、受信機は設けられない。各基地局A,B,Cの送信機が同時、あるいは、既知の時間差で無線信号R1,R2,R3を送信するならば、移動端末Mは各基地局A,B,Cからの無線信号R1,R2,R3の到達時間差から、移動端末Mの位置を測定することが可能となる。
【0006】
ここで、各基地局A,B,Cが、同時、あるいは、既知の時間差で無線信号R1,R2,R3を送信するためには、基地局A,B,Cの間で時間同期をとる必要がある。この時間同期は、送信機のみでは実現できない機能であり、各基地局A,B,Cは時間同期用の通信機能を有する必要がある。したがって、全ての基地局に時間同期用の通信機能を設けると、基地局の設置費用が高くなってしまう。
【0007】
以上のように、TOA方式及びTDOA方式では、複数の基地局の全てに受信機や通信手段を設ける必要があり、その分、基地局の構成が複雑となりコスト高となる。そこで、非同期の複数の基地局を備えた無線ネットワーク内で移動端末の位置を測定する無線測位システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
図3は特許文献1に開示された無線測位システムを説明するための図である。図3に示す無線測位システムでは、基地局の一つとして基準局Pが設けられる。基準局Pは、基地局Aから発信された無線信号R1を基準局Pが受信した時間と、基地局Bから発信された無線信号R2を基準局Pが受信した時間の時間差を測定する。また、基準局Pは、基地局Aから発信された無線信号R1を基準局Pが受信した時間と、基地局Cから発信された無線信号R2を基準局Pが受信した時間の時間差を測定する。そして、基準局Pは測定した時間差を無線信号R4により基地局Aに送信する。基地局Aは受信した時間差データを無線あるいは有線信号R5によりサーバSに送信する。
【0009】
一方、移動端末Mは、基地局Bから発信された無線信号R6を移動端末Mが受信した時間と、基地局Aから発信された無線信号R7を移動端末Mが受信した時間の時間差を測定する。また、移動端末Mは、基地局Bから発信された無線信号R6を移動端末Mが受信した時間と、基地局Cから発信された無線信号R8を基準局Pが受信した時間の時間差を測定する。そして、移動端末Mは測定した時間差を無線信号R9により基地局Aに送信する。基地局Aは受信した時間差データを無線あるいは有線信号R10によりサーバSに送信する。
【0010】
サーバSは、基準局Pで測定した時間差と移動端末Mで測定した時間差に基づいて、移動端末Mの位置を演算により求める。
なお、図1から図3において、○は送受信機を有する基地局または基準局を表し、△は送信機のみを有する基地局を表し、■は受信機のみを有する移動端末を表し、●は送受信機を有する移動端末を表す。
【特許文献1】特表2000−504838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図3に示す従来の無線測位システムの場合、基準局Pで測定する時間差は(R1−R2),(R1−R3)であり、無線信号R1,R2,R3は非同期であるため大きな時間差となる場合がある。また、移動端末Mで測定する時間差(R6−R7),(R6−R8)も同様に、無線信号R6,R7,R8は非同期であるため大きな時間差となる場合がある。
【0012】
このように時間差が大きい場合、時間差を測定するタイマの精度が問題となる。すわなち、従来の無線測位システムでは、(R1−R2)を基準局Pのタイマで測定し、(R6−R7)を移動端末Mのタイマで測定しており、時間差が大きいと、タイマの周波数誤差により測定時間に誤差が生じて測位誤差となってしまう。このようなタイマ誤差に起因した測位誤差は、例えば携帯電話の位置測定であれば数メートルの誤差であり、大きな問題にはならない。しかし、例えば室内搬送装置の位置測定では数10cmの位置測定精度が必要とされるため、タイマ誤差に起因した測位誤差が数メートルとなるとは大きな問題となる。
【0013】
また、図3の従来の無線測位システムでは、2次元測位を行うために基準局Pとは別に最低3つの基地局を必要とする。基準局Pは送受信機を備えた基地局であり、基準局Pの設置コストは基地局の設置コストより高い。
【0014】
さらに、図3の従来の無線測位システムでは、基地局Aから基準局Pへの無線信号R1と、基地局Aから移動端末Mへの無線信号R7を別々にしている。例えば、測位システムの移動端末が移動携帯電話である場合に、各移動端末毎に個別のIDを使って信号を送っているため、R1とR7を共通にできないからである。したがって、基地局Aにおける通信回数が増えて基地局Aでの消費電力が増大してしまう。
【0015】
さらに、図3の従来の無線測位システムでは、測位計算をサーバSで行うためサーバSに時間差情報を送るために、基準局Pから基地局Aへの無線信号R4、及び、移動端末Mから基地局Aへの無線信号R9が必要となる。このため、通信回数が多く、通信エラー等で測位不能となる確率が高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の問題を解決するために、送信機能を有する複数の基地局と、送受信機能を有する少なくとも一つの基準局と、受信機能を有する移動端末とを有する無線測位システムであって、前記基地局は、互いに非同期で第1の無線信号を前記基準局と前記移動端末に送信し、前記基準局は、該第1の無線信号に応答して第2の無線信号を前記移動端末に送信する際、該第1の無線信号を受信した受信時刻と該第2の無線信号を送信した送信時刻とを前記第2の無線信号に含ませて送信し、前記移動端末は、前記第1の無線信号の受信時刻と、前記第2の無線信号の受信時刻と、前記第2の無線信号に含まれた受信時刻及び送信時刻とに基づいて、前記移動端末の位置を演算により求める無線測位システムが提供される。
【0017】
また、複数の基地局から、互いに非同期で第1の無線信号を少なくとも一つの基準局と移動端末とに送信し、前記基準局が該第1の無線信号に応答して第2の無線信号を前記移動端末に送信する際、前記第1の無線信号を受信した受信時刻と該第2の無線信号を送信した送信時刻とを前記第2の無線信号に含ませて送信し、前記移動端末が受信した前記第1の無線信号の受信時刻と、前記移動端末が受信した前記第2の無線信号の受信時刻と、前記移動端末が受信した前記第2の無線信号に含まれた受信時刻及び送信時刻とに基づいて、前記移動端末の位置を演算により求める無線測位方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
上述の無線測位システム及び無線測位方法によれば、インフラ側に簡易な送信機能のみを有する基地局を設置し、複雑な送受信機能を有する基準局の数を減らすことで、無線測位システム全体のコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図4は本発明の一実施形態による無線測位システムの構成を示す図である。図4に示す無線測位システムは、基地局A,Bと、基準局Pと移動端末Mとを含んでいる。△で示す基地局A,Bは、送信機のみを有し受信機が設けられていない基地局である。○で示す基準局Pは送受信機を有する基地局である。■で示す移動端末Mは、受信機のみを有し送信機が設けられていない移動端末である。また、図5は基地局A,B、基準局P、及び移動端末Mでの無線信号の送受信タイミングを示すタイムチャートである。
【0021】
図4に示す無線測位システムにおいて、基地局Aは非同期で無線信号(電波)を送信する。移動端末Mと基準局Pは基地局Aから発信した無線信号R1を受信し、その受信時刻TamrとTaprをそれぞれ保存する。基準局Pは、基地局Aから無線信号R1受信すると、それに続いて無線信号R2を送信するとともに無線信号R2の送信時刻Taptを保存する。無線信号R2には、無線信号R1を受信した時刻Taprと無線信号R2を送信した時刻Taptがデータとして含まれる。移動端末Mは無線信号R2を受信すると、その受信時刻Tapmrを保存するとともにデータとして無線信号に含まれた時刻TaprとTaptを読み込む。
【0022】
基地局Bは非同期で無線信号R3を送信する。移動端末Mと基準局Pは基地局Bから送信した無線信号R3を受信し、その受信時刻TbmrとTbprを保存する。基準局Pは、基地局Bから無線信号R3を受信すると、続いて無線信号R4を移動端末Mに送信するとともに送信時刻Tbptを保存する。無線信号R4には、無線信号R3を受信した時刻Tbprと無線信号R4を送信した時刻Tbptとが含まれる。移動端末Mは、無線信号R4を受信すると、その受信時刻Tbpmrを保存するとともにデータとして無線信号R4に含まれた時刻TbprとTbptを読み込む。
【0023】
次に、移動端末Mは、実測した無線信号R1,R2,R3,R4の受信時刻と、基準局Pからデータとして送られた無線信号R1,R2,R3,R4の送受信時刻、及び、基地局A,B及び基準局Pの既知の座標値に基づいて、移動端末M自身の位置を演算により求める。すなわち、移動端末Mは、無線信号R1と無線信号R2の受信時刻差、及び、無線信号R3と無線信号R4の受信時刻差に基づいて、TDOAの原理を用いて位置を割り出す。ところが、無線信号R1と無線信号R2は同時に送信されてはいないので、そのままでは比較できない。そこで、基地局Aから基準局Pに無線信号R1が到達する遅延時間、及び、基準局Pが無線信号R1を受信してから無線信号R2を送信するまでの遅延時間を用いて、無線信号R2の送信時刻を補正する。これにより、無線信号R1と無線信号R2が同時に送信されたように換算することができる。無線信号R3,R4についても、無線信号R1,R2と同様な補正を行ない、無線信号R4の送信時刻を補正する。
【0024】
ここで、上述の無線信号R1,R2,R3,R4の送受信時刻から移動端末Mの位置を割り出す演算方法について説明する。
【0025】
基地局Aが無線信号R1を送信した時刻Tat、移動端末Mが無線信号R1を受信した時刻をTamr、基地局Aと移動端末Mと間の距離をLamとする。また、移動端末Mと基地局Aのタイマは同期していないためオフセット誤差が生じており、そのオフセット誤差をTamoとし、光速をVcとすると、以下の関係が成り立つ。
【0026】
【数1】

同様に基準局Pが無線信号R2を送信した時刻をTapt、移動端末Mが無線信号R2を受信した時刻をTapmr、基準局Pと移動端末Mとの間の距離をLpm、移動端末Mのタイマと基準局Pのタイマとのオフセット誤差をTpmoとすると、以下の関係が成り立つ。
【0027】
【数2】

また、同様に基準局Pが無線信号R1を受信した時刻をTapr、基地局Aと基準局Pとの間の距離をLap、基準局Pのタイマと基地局Aのタイマとのオフセット誤差をTapoとすると、以下の関係が成り立つ。
【0028】
【数3】

また、タイマオフセットは、
【0029】
【数4】

となるため、式(1)〜(4)から、以下の関係が求められる。
【0030】
【数5】

基地局Bについても同様に以下の関係が求められる。
【0031】
【数6】


一方、基地局Aの座標(Xa,Ya)、基地局Bの座標(Xb,Yb)、基準局Pの座標Xp,Yp)は既知であり、移動端末Mの座標(x,y)は未知であるが、これらの座標には以下の関係がある。
【0032】
【数7】

したがって、式(7)を式(5)、(6)に代入することで以下の関係が求められる。
【0033】
【数8】

以上の式(8)を未知数x,yについて解くことにより移動端末Mの位置が求められる。
【0034】
次に、図4に示す基地局A,B、基準局P、及び、移動端末Mの構成について詳細に説明する。
【0035】
基地局Aと基地局Bは同じ構成を有しており、ここでは基地局Aについて説明する。図6は基地局Aの構成を示すブロック図である。本実施形態では無線信号にインパルス電波を用いることで、受信時刻を正確に求めている。
【0036】
基地局Aは所定の周期で他の無線局(例えば基地局B)とは非同期に無線信号を送信する。MPU11は無線信号R1に含ませる送信データ(デジタル信号)を生成し、送信データをPPMデータ変調部12に送る。PPMは(Pulse Position Modulation:パルス位置変調)を意味する。PPMデータ変調部12には、PN系列発生部13から疑似乱数(PN)系列が供給される。PPMデータ変調部12は、供給された疑似乱数を用いて送信データの“1”,“0”に従ってPPMデータ変調を行い、インパルス生成部14にパルス列を出力する。インパルス生成部13は、ステップリカバリダイオード等を用いて、パルスの立ち上がり部で非常に細いインパルスを生成する。生成されたインパルスは非常に広い帯域を有している。そこで、例えば、電波法のマスクに適合するように、3.4GHz〜4.8GHzのパンドパスフィルタ(BPF)15を通すことで、不要な3.4GHz以下の成分と4.8GHz以上の成分を除去する。BPF15を通過したインパルス信号は、パワーアンプA(PA)16により増幅され、アンテナ17から無線信号(電波)R1として放射される。
【0037】
図7は基準局Pの構成を示すブロック図である。基準局Pは、基地局Aとほぼ同様の構成の送信部を有する他、基地局Aには無い受信部を有する。図7において図6に示す構成部品と同等な部品には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0038】
基準局Pは、アンテナ22から無線信号(インパルス電波)を受信すると、バンドパスフィルタ(BPF)23で不要な周波数成分除去する。その後、無線信号は低雑音アンプ(LNA)24で増幅され、パルス検出部25に送られる。パルス検出部25は、例えば、ダイオードによる包絡線検波回路とコンパレータ等を含む回路であり、無線信号中のパルスを検出する。検出されたパルスは、デジタルマッチドフィルタによる相関器26において、PN系列発生部13から供給される疑似乱数(PN)系列と比較される。相関器26によりプリアンブル部が検出されたら同期が確立されたと判断し、PPMデータ復調部27により次に続くデータ部のPPMを復調して、受信データを生成する。また、データ部の最初のパルスを検出したら、その時刻を受信時刻保持部28に保持する。
【0039】
また、基準局Pは、基地局Aからの電波(無線信号R1)を受信すると、MPU21が送信データを生成し、移動端末Mに向けて電波(無線信号R2)を送信する。送信部の構成は基地局Aと同様であるが、送信時に、データ部の最初のパルス位置の送信時刻を送信時刻保持部29で保持する点が異なる。受信時刻保持部28及び送信時刻保持部29に保持された受信時刻と送信時刻は、MPU21を経由して送信データとして移動端末Mに送信される。なお、受信時刻保持部28及び送信時刻保持部29にはタイマ30から時刻データ(クロック信号)が供給されており、受信時刻保持部28及び送信時刻保持部29は供給された時刻データを参照して受信時刻と送信時刻を決定し、その時刻データを保持する。
【0040】
図8は基準局Pの動作のフローチャートである。基準局Pは、基地局Aからの無線信号R1を受信すると、その受信時刻Taprを受信時刻保持部28に保持する(ステップS1)。続いて、基準局Pは移動端末Mに対して無線信号R2の送信を開始し、送信を開始した送信時刻Taptを送信時刻保持部29に保持する(ステップS2)。そして、基準局Pは、無線信号R2のデータ部に、無線信号R1の受信時刻Tarpと無線信号R2の送信時刻Taptを含ませて送信する(ステップS3)。
【0041】
その後、基準局Pは基地局Bからの無線信号R3の送信を待ち、無線信号R3を受信したら、その受信時刻Tbprを受信時刻保持部28に保持する(ステップS4)。続いて、基準局Pは移動端末Mに対して無線信号R4の送信を開始し、送信を開始した送信時刻Tbptを送信時刻保持部29に保持する(ステップS5)。そして、基準局Pは、無線信号R4のデータ部に、無線信号R3の受信時刻Tarpと無線信号R4の送信時刻Taptを含ませて送信する(ステップS6)。
【0042】
以上のように、基準局Pは、基地局A,Bの各々から送信される無線信号の受信時刻と返送する無線信号の送信時刻とを、無線信号のデータ部に含ませて移動端末Mに送信する。基地局A,Bは各々単独で周期的に無線信号を基準局に送信しているだけであり、同期して信号送信しているわけではない。
【0043】
次に、移動端末Mの構成について説明する。図9は移動端末Mの構成を示す図である。図9において図7に示す構成部品と同等な部品には一桁目が同じ符号を付し、その説明は省略する。本実施形態では、移動端末Mは受信部のみを有しており、発信機は設けられていない。図10は移動端末Mの動作のフローチャートである。
【0044】
移動端末Mは、基地局Aからの無線信号R1をアンテナ42で受信すると、BPF43、LNA44、パルス検出部45、相関器46を通じて受信時刻Tamrを抽出し、受信時刻保持部48に保持する(ステップS11)。受信時刻TamrはMPU41に送られる。また、移動端末Mは、基準局Pからの無線信号R2を受信すると、その受信時刻Tapmrを同様に受信時刻保持部48に保持する(ステップS12)。受信時刻TapmrはMPU41に送られる。また、基準局Pからの無線信号R2には、基準局Pでデータとして生成された時刻データが受信データとして含まれているので、受信データをPPMデータ復調部47で復調する。復調した受信データもMPU41に送られる。
【0045】
同様に、移動端末Mは、基地局Bからの無線信号R3をアンテナ42で受信すると、その受信時刻Tbmrを受信時刻保持部48に保持する(ステップS13)。受信時刻TbmrはMPU41に送られる。また、移動端末Mは、基準局Pからの無線信号R4を受信すると、その受信時刻Tbpmrを同様に受信時刻保持部48に保持する(ステップS14)。受信時刻TbpmrはMPU41に送られる。また、基準局Pからの無線信号R4には、基準局Pでデータとして生成された時刻データが受信データとして含まれているので、受信データをPPMデータ復調部47で復調する。復調した受信データもMPU41に送られる。
【0046】
MPU41は、ステップS11〜S14において得られた送受信時刻と基地局A,B、及び、基準局Pの位置座標から、上述の式(8)を解いて移動端末M自身の位置座標を計算する(ステップS15)。このように、移動端末Mは二つの基地局A,Bと一つの基準局Pからの無線信号を受信することで、移動端末M自身の位置を演算により割り出すことができる。
【0047】
基地局A,Bには送信機能のみが必要であるため、基地局A,Bとして低コストの発信機を用いることができる。このため、基地局全体の設置コストを低減することができる。また、移動端末Mには位置測定に関して受信機能のみが必要であり、発信機を設けない分だけ移動端末Mのコストも低減することができる。
【0048】
また、移動端末Mから基地局A、B及び基準局Pに対して無線信号を送信する必要がなく、また、基地局A,B同士での通信が不要であるため、通信回数が少なく、その分通信エラーが発生する確率が低くなる。これにより、通信条件や環境に左右されずに確実な位置測定を達成することができる。
【0049】
さらに、移動端末Mが多数ある場合も移動端末Mごとに異なる信号を送信する必要は無いため、移動端末Mの数が増えても通信量は一定であり、移動端末増加に伴う輻輳発生や応答劣化が起こらない。
【0050】
なお、基地局の数、基準局の数、及び移動端末の数は、図4に示す例に限られず、任意の数を設けることができる。
【0051】
以上の如く、本実施形態による無線測位システムは、送信機能を有する複数の基地局A,Bと、送受信機能を有する少なくとも一つの基準局Pと、受信機能を有する移動端末Mと を有する。そして、基地局A,Bは、互いに非同期で第1の無線信号R1を基準局Pと移動端末Mに送信する。基準局Pは、第1の無線信号R1に応答して第2の無線信号R2を移動端末Mに送信する際、第1の無線信号R1を受信した受信時刻Taprと第2の無線信号R2を送信した送信時刻Taptとを第2の無線信号R2に含ませて送信する。移動端末Mは、第1の無線信号R1の受信時刻Tamrと、第2の無線信号R2の受信時刻Tapmrと、第2の無線信号R2に含まれた受信時刻Tapr及び送信時刻Taptとに基づいて、移動端末Mの位置を演算により求める。
【0052】
図11は多数の基地局を設置した無線測位システムを示す図である。図11に示す例では、基地局A,Bの他に基地局C,Dが設置されている。基地局の数は二つ以上であれば任意の数とすることができる。例えば、移動端末Mが広い範囲や障害物が多い範囲を移動する場合には、移動端末Mの位置によって基地局との通信が不能となるような場合がある。しかし、移動端末Mが、多数の基地局の中から二つの基地局及び基準局Pと通信可能であれば、移動体端末Mの測位を行なうことができる。移動端末Mは、測位のために通信する基地局を、通信可能な基地局の中から二つだけ適宜選定すればよい。
【0053】
ここで、基準局Pを一つしか設置しない場合には、基準局Pからの電波が何らかの理由で受信できないと、いくら多数の基地局からの電波が受信できたとしても、移動端末Mで測位できなくなってしまう。そこで、図12に示すように、移動体端末Mの移動範囲に複数の基準局を設置することで、この問題を解決することができる。
【0054】
図13は図12に示す無線測位システムにおける無線信号の送受信のタイムチャートである。基準局P1とP2は、基地局Aから無線信号R1を受信すると、移動端末に対して無線信号R2−1とR2−2をそれぞれ送信する。ここで、基準局P1とP2の両方が、電波を受信して直ちに無線信号R2−1とR2−2を送信すると両方の基準局P1,P2からの無線信号が混信してしまう。そこで、図13に示すように、基準局ごとに、基地局から電波を受信してから移動端末Mに無線信号を送信するまでの時間を予め異なる時間に設定しておく。図13に示す例では、基準局P1は基地局Aからの無線信号R1を受信してから可能な限りすみやかに無線信号R2−1を送信する。一方、基準局P2は、基準局P1の送信開始から無線信号R2−2の最大パケット長Lmaxだけ待ってから無線信号R2−2を送信する。同様に、基準局P1は基地局Bからの無線信号R3を受信してから可能な限りすみやかに無線信号R4−1を送信し、基準局P2は基準局P1の送信開始から無線信号R4−1の最大パケット長Lmaxだけ待ってから無線信号R4−2を送信する。これにより、複数の基準局があっても混信を避けることができる。
【0055】
図14は図12における基準局P2の動作のフローチャートである。基準局P2は基準局P1より遅れて無線信号を移動端末に送信するように設定されている。
【0056】
基準局P2は、基地局Aからの無線信号R1を受信すると、その受信時刻Taprを受信時刻保持部28に保持する(ステップS21)。続いて、基準局P2は予め設定された時間Lmaxだけ待つ(ステップS22)。この待ち時間Lmaxは基準局P1が無線信号R2−1を移動端末Mに送信するのにかかる最大時間である。すなわち、この待ち時間Lmaxの間に、基準局P1は無線信号R2−1を移動端末Mに送信し終わる。そこで、時間Lmaxが過ぎたら、基準局P2は移動端末Mに対して無線信号R2−2の送信を開始し、送信を開始した送信時刻Taptを送信時刻保持部29に保持する(ステップS23)。そして、基準局P2は、無線信号R2−2のデータ部に、無線信号R1の受信時刻Tarpと無線信号R2−2の送信時刻Taptを含ませて送信する(ステップS24)。
【0057】
その後同様に、基準局P2は、基地局Bからの無線信号R3を受信すると、その受信時刻Tbprを受信時刻保持部28に保持する(ステップS25)。続いて、基準局P2は予め設定されたパケット送信時間Lmaxだけ待つ(ステップS26)。この待ち時間Lmaxは基準局P1が無線信号R4−1を移動端末Mに送信するのにかかる最大時間である。すなわち、この待ち時間Lmaxの間に、基準局P1は無線信号R4−1を移動端末Mに送信し終わる。そこで、時間Lmaxが過ぎたら、基準局P2は移動端末Mに対して無線信号R4−2の送信を開始し、送信を開始した送信時刻Tbptを送信時刻保持部29に保持する(ステップS27)。そして、基準局P2は、無線信号R4−2のデータ部に、無線信号R4−2の受信時刻Tbrpと無線信号R4−2の送信時刻Tbptを含ませて送信する(ステップS28)。
【0058】
以上の如く、本実施形態による無線測位システムにおいて、複数の基準局P1,P2,‥‥を設置することとしてもよい。そして、複数の基準局P1,P2,・・・の各々が送信する第2の無線信号R2−1,R2−2,・・・の送信時刻Tapt,Tapt2,・・・を、他の基準局による第2の無線信号R2−1,R2−2,・・・の送信が終了した後となるように順次遅らせている。
【0059】
上述の実施形態において、基地局A,Bからの無線信号は基地局ID等を表すだけの短いパケットでよい。一方、基準局Pからの無線信号は、送受信時刻をデータとして載せるためパケットは長くなる。移動端末Mと基準局Pのタイマの進み方(クロック周波数)が異なっていると、例えば図13に示す例のように基準局P2が応答する時間が長い場合、その間でのタイマのずれが問題となる。例えば、10ppmのクロック精度では100μsecのパケット時間で1nsecの誤差が発生する。この時間誤差は距離に直すと30cmの位置誤差に相当し、高精度測位を行う場合には問題となる。
【0060】
そこで、基準局P1,P2から送信する第2の無線信号R2を、データを載せない測距用の短いパケットよりなる無線信号(前部信号)と、送受信時刻データを含んだ長いデータパケット(後部信号)とに分離する。そして、データを載せない測距用の短いパケットよりなる無線信号(前部信号)を先ず送信し、それらのパケットを用いて時間計測が済んだ後に、送受信時刻データを含んだ長いデータパケット(後部信号)を送信する。このようにすれば、データパケットが長くなることによる時計のずれは問題とならない。
【0061】
図15は、測距用の短いパケットを送信した後に長いパケットで送受信時刻データを送信する際のデータ送受信タイミングを示すタイムチャートである。
【0062】
基準局P1は基地局Aから無線信号R1を受信すると、直ちに無線信号R2−1を移動端末Mに送信する。この際、無線信号R2−1は測距用の短いパケットだけであり、無線信号R1の受信時刻Taprと無線信号R2−1の送信時刻Taptは保持したままでデータ送信は行わない。基準局P1による無線信号R2−1の送信時間が終了すると、基準局P2は直ちに無線信号R2−2を移動端末Mに送信する。この際、無線信号R2−2は測距用の短いパケットだけであり、無線信号R1の受信時刻Taprと無線信号R2−2の送信時刻Taptは保持したままでデータ送信は行わない。
【0063】
基準局P2による無線信号R2−2の送信が終了した後、基準局P1は無線信号D1を移動端末Mに送信する。この無線信号D1に無線信号R1の受信時刻Taprと無線信号R2−1の送信時刻Taptが含まれている。基準局P1による無線信号D1の送信が終了したら、基準局P2は無線信号D2を移動端末Mに送信する。この無線信号D2に無線信号R1の受信時刻Taprと無線信号R2−2の送信時刻Taptが含まれている。
【0064】
その後、基準局P1は基地局Bから無線信号R3を受信すると、直ちに無線信号R4−1を移動端末Mに送信する。この際、無線信号R4−1は測距用の短いパケットだけであり、無線信号R3の受信時刻Tbprと無線信号R4−1の送信時刻Tbptは保持したままでデータ送信は行わない。基準局P1による無線信号R4−1の送信時間が終了すると、基準局P2は直ちに無線信号R4−2を移動端末Mに送信する。この際、無線信号R4−2は測距用の短いパケットだけであり、無線信号R3の受信時刻Tbprと無線信号R4−2の送信時刻Tbptは保持したままでデータ送信は行わない。
【0065】
基準局P2による無線信号R4−2の送信が終了した後、基準局P1は無線信号D3を移動端末Mに送信する。この無線信号D3に無線信号R3の受信時刻Tbprと無線信号R4−1の送信時刻Tbptが含まれている。基準局P1による無線信号D3の送信が終了したら、基準局P2は無線信号D4を移動端末Mに送信する。この無線信号D4に無線信号R3の受信時刻Tbprと無線信号R4−2の送信時刻Tbptが含まれている。
【0066】
以上のように、基準局P1,P2は、測距用の短いパケットを送信してから、その後で送受信時刻を含むデータを移動端末Mに送信するため、測距用の通信時間が短くなり、上述のタイマ誤差に起因した位置誤差を最小限に抑えることができる。
【0067】
以上の如く、本実施形態において、第2の無線信号R2を、第1の無線信号R1を受信した受信時刻Taprと第2の無線信号R2を送信した送信時刻Taptとを含まない前部信号R2−1と、第1の無線信号R1を受信した受信時刻Taprと第2の無線信号R2−1を送信した送信時刻Taptとを含む後部信号D1とに分離してもよい。そして、基準局P1,P2,・・・は、全ての基準局P1,P2,・・・が第2の無線信号R2の前部信号R2−1,R2−2,・・・を順次送信してから、第2の無線信号R2の後部信号D1,D2,・・・を順次送信する。
【0068】
なお、図16に示すように、基準局P1は基地局A及びBに係る無線信号D1及びD3をまとめて後から送信してもよく、同様に、基準局P2は基地局A及びBに係る無線信号D2及びD4をまとめて後から送信してもよい。
【0069】
すなわち、例えば基準局P1は、第2の無線信号R2を、第1の無線信号R1を受信した受信時刻Taprと第2の無線信号R2を送信した送信時刻Taptとを含まない前部信号R2−1と、第1の無線信号R1を受信した受信時刻Taprと第2の無線信号R2−1を送信した送信時刻Taptとを含む後部信号D1とに分離する。また、基準局P1は、第2の無線信号R4を、第1の無線信号R3を受信した受信時刻Tbprと第2の無線信号R4を送信した送信時刻Tbptとを含まない前部信号R4−1と、第1の無線信号R3を受信した受信時刻Tbprと第2の無線信号R4を送信した送信時刻Tbptとを含む後部信号D3とに分離する。そして、基準局P1は、全ての基準局P1,P2,・・・が第2の無線信号R2,R4,・・・の前部信号R2−1,R2−2,・・・,R4−1,R4−2,・・・を順次送信してから、複数の基地局A,B,・・・からの第1の無線信号R1,R3,・・・に対応する複数の第2の無線信号R2,R4,・・・の後半部分(D1+D3+・・・)を合わせて一括して送信する。このようにすれば、送受信時刻データを送信するためのデータ全体のパケットを短くすることができ、全体の通信時間を短縮することができる。
【0070】
以上の如く、上述の実施形態によれば、インフラ側に簡易な送信機能のみを有する基地局を設置し、複雑な送受信機能を有する基準局の数を減らすことで、無線測位システム全体のコストを低減できる。インパルス電波を用いる場合にはインフラ側基地局を低消費電力回路として、例えば、ボタン電池のみで駆動できるため、例えば建物内の壁に簡単に設置できる。このため、基地局の設置費用を低減することができる。例えば、コスト比率を送信機が1、受信機が9、送受信機が10の割合と仮定し、インフラ側として10個の基地局を設置する場合を考える。この場合、図1に示す従来の無線測位システムでは110のコストになるのに対して、本実施形態ではインフラ側に8個の送信機と2個の基準局を設置すればよく、37のコストとなり、全体のコストを1/3に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】TOA方式の測位システムを説明するための図である。
【図2】TDOA方式の測位システムを説明するための図である。
【図3】従来の無線測位システムの一例を説明するための図である。
【図4】第1実施形態による無線測位システムの構成を示す図である。
【図5】基地局、基準局、及び移動端末での無線信号の送受信タイミングを示すタイムチャートである。
【図6】基地局の構成を示すブロック図である。
【図7】基準局の構成を示すブロック図である。
【図8】基準局の動作のフローチャートである。
【図9】移動端末の構成を示す図である。
【図10】移動端末の動作のフローチャートである。
【図11】多数の基地局を設置した無線測位システムの構成を示す図である。
【図12】多数の基地局と複数の基準局を設置した無線測位システムの構成を示す図である。
【図13】図12に示す無線測位システムにおける無線信号の送受信のタイムチャートである。
【図14】図12における基準局の動作のフローチャートである。
【図15】測距用の短いパケットを送信した後に長いパケットで送受信時刻データを送信する際のデータ送受信タイミングを示すタイムチャートである。
【図16】送受信時刻データをまとめて送信する際のデータ送受信タイミングを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0072】
11,21,41 MPU
12 PPMデータ変調部
13 PN系列発生部
14 インパルス生成部
15,23,43 バンドパスフィルタ(BPF)
16 パワーアンプ(PA)
17,22,42 アンテナ
24,44 低雑音アンプ(LNA)
25,45 パルス検出部
26,46 相関器
27,47 PPMデータ復調部
28,48 受信時刻保持部
29 送信時刻保持部
30,50 タイマ
A,B,C,D 基地局
P,P1,P2 基準局
M 移動端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機能を有する複数の基地局と、
送受信機能を有する少なくとも一つの基準局と、
受信機能を有する移動端末と
を有する無線測位システムであって、
前記基地局は、互いに非同期で第1の無線信号を前記基準局と前記移動端末に送信し、
前記基準局は、該第1の無線信号に応答して第2の無線信号を前記移動端末に送信する際、該第1の無線信号を受信した受信時刻と該第2の無線信号を送信した送信時刻とを前記第2の無線信号に含ませて送信し、
前記移動端末は、前記第1の無線信号の受信時刻と、前記第2の無線信号の受信時刻と、前記第2の無線信号に含まれた受信時刻及び送信時刻とに基づいて、前記移動端末の位置を演算により求める
無線測位システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線測位システムであって、
複数の前記基準局が設置され、該複数の基準局の各々が送信する前記第2の無線信号の送信時刻を、他の基準局による前記第2の無線信号の送信が終了した後となるように順次遅らせる無線測位システム。
【請求項3】
請求項2記載の無線測位システムであって、
前記第2の無線信号を、前記第1の無線信号を受信した受信時刻と前記第2の無線信号を送信した送信時刻とを含まない前部信号と、前記第1の無線信号を受信した受信時刻と前記第2の無線信号を送信した送信時刻とを含む後部信号とに分離し、全ての前記基準局が前記第2の無線信号の該前部信号を順次送信してから、前記第2の無線信号の該後部信号を順次送信する無線測位システム。
【請求項4】
請求項2記載の無線測位システムであって、
前記第2の無線信号を、前記第1の無線信号を受信した受信時刻と前記第2の無線信号を送信した送信時刻とを含まない前部信号と、前記第1の無線信号を受信した受信時刻と前記第2の無線信号を送信した送信時刻とを含む後部信号とに分離し、
前記基準局の各々は、全ての前記基準局が前記第2の無線信号の該前部信号を順次送信してから、複数の前記基地局からの前記第1の無線信号に対応する複数の前記第2の無線信号の前記後半部分を合わせて一括して送信する無線測位システム。
【請求項5】
複数の基地局から、互いに非同期で第1の無線信号を少なくとも一つの基準局と移動端末とに送信し、
前記基準局が該第1の無線信号に応答して第2の無線信号を前記移動端末に送信する際、前記第1の無線信号を受信した受信時刻と該第2の無線信号を送信した送信時刻とを前記第2の無線信号に含ませて送信し、
前記移動端末が受信した前記第1の無線信号の受信時刻と、前記移動端末が受信した前記第2の無線信号の受信時刻と、前記移動端末が受信した前記第2の無線信号に含まれた受信時刻及び送信時刻とに基づいて、前記移動端末の位置を演算により求める無線測位方法。
【請求項6】
請求項5記載の無線測位方法であって、
複数の前記基準局を設置し、該複数の基準局の各々が送信する前記第2の無線信号の送信時刻を、他の基準局による前記第2の無線信号の送信が終了した後となるように順次遅らせる無線測位方法。
【請求項7】
請求項6記載の無線測位方法であって、
前記第2の無線信号を、前記第1の無線信号を受信した受信時刻と前記第2の無線信号を送信した送信時刻とを含まない前部信号と、前記第1の無線信号を受信した受信時刻と前記第2の無線信号を送信した送信時刻とを含む後部信号とに分離し、
前記基準局の全てが前記第2の無線信号の該前部信号を順次送信してから、前記第2の無線信号の該後部信号を順次送信する無線測位方法。
【請求項8】
請求項6記載の無線測位方法であって、
前記第2の無線信号を、前記第1の無線信号を受信した受信時刻と前記第2の無線信号を送信した送信時刻とを含まない前部信号と、前記第1の無線信号を受信した受信時刻と前記第2の無線信号を送信した送信時刻とを含む後部信号とに分離し、
前記基準局の各々は、全ての前記基準局が前記第2の無線信号の該前部信号を順次送信してから、複数の前記基地局からの前記第1の無線信号に対応する複数の前記第2の無線信号の前記後半部分を合わせて一括して送信する無線測位方法。
【請求項9】
送受信機能を有する基準局であって、
基地局から送信された第1の無線信号に応答して第2の無線信号を移動端末に送信する際、該第1の無線信号を受信した受信時刻と該第2の無線信号を送信した送信時刻とを前記第2の無線信号に含ませて送信する基準局。
【請求項10】
受信機能を有する移動端末であって、
基地局から送信された第1の無線信号の受信時刻と、基準局から送信された第2の無線信号の受信時刻と、前記第2の無線信号に含まれた前記基地局による前記第1の無線信号の受信時刻及び前記第2の無線信号に含まれた前記基地局による前記第2の無線信号の送信時刻とに基づいて、前記移動端末の位置を演算により求める移動端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−229393(P2009−229393A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77948(P2008−77948)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト、ロボット搬送システム(サービスロボット分野)、環境情報の構造化を利用した搬送ロボットシステムの開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】