説明

無線通信システム、サービスオーダ登録方法およびサービスオーダ登録プログラム

【課題】子機として登録しようとする自システムのサービスオーダ登録用基地局(CS)を確実に待受けて、サービスオーダ登録が成功裡に実施可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】無線端末(PS)10を自PHSシステムの基地局(CS1)21の子機として登録しようとする際に、無線端末10は、サービスオーダ登録を許可しているサービスオーダ登録用基地局をサーチし、サーチした結果として検出された1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局それぞれを一意に識別可能な基地局識別子(CSID)を、基地局登録リスト40に格納した後、基地局登録リスト40に格納した1ないし複数の基地局識別子を画面表示して、無線端末10のユーザに提示する。しかる後、無線端末10のユーザが画面表示された1ないし複数の基地局識別子の中から選択した基地局識別子が示すサービスオーダ登録用基地局21を待受けて、サービスオーダ登録を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、サービスオーダ登録方法およびサービスオーダ登録プログラムに関し、特に、PHS(Personal Handy-phone System)システムにおける無線端末(PS:Personal Station)のサービスオーダ(SO:Service Order)登録用の基地局(CS:Cell Station)を正確に選択することを可能とする無線通信システム、サービスオーダ登録方法およびサービスオーダ登録プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムのうち、PHS(Personal Handy-phone System)システムは、特許文献1の特開平11−32371号公報「PHS端末およびこれを子機として接続可能な自営基地局」にも記載されているように、通常の携帯電話システムの場合とは異なり、一般に、無線通信用の公衆網との通信を行う公衆モードの他に、自営用の構内通信を行う自営モードを有している。つまり、PHSシステム用の無線端末(PS:Personal Station)は、公衆モードの場合には、屋外において通常の携帯電話機と同様に、基地局を介して、有線のアナログ公衆網やデジタル公衆網に接続することができる他に、自営モードの場合、自営のPHSシステムとして、例えば一般家庭内や事務所等において、自営の基地局を親機として、その子機としても利用することができ、かつ、該基地局に接続されている主装置(例えば構内交換機等)を介してアナログ公衆網やデジタル公衆網とも接続することができる。
【0003】
ここで、無線通信システムの一つである自営のPHSシステムにおいては、自システムの基地局(CS:Cell Station)に対して子機としての加入者情報を登録するためのサービスオーダ(SO:Service Order)登録を行おうとする無線端末(PS)は、図5に示すように動作する。図5は、現状の自営のPHSシステムにおいて自システムの基地局(CS)に対して無線端末(PS)を子機として登録するためのサービスオーダ(SO)登録を実施する動作を説明するための説明図である。
【0004】
つまり、図5に示すように、自システムの基地局(CS1)21に対して子機としてのサービスオーダ(SO)登録動作の実施を許可している当該サービスオーダ(SO)登録用の当該基地局(CS1)21からは、加入者情報のサービスオーダ(SO)登録を行うことができる旨を示す"加入者情報書込み実施基地局フラグ"というフラグをオンにしたシステム情報報知用制御チャネル(BCCH:Broadcasting Control Channel)が無線端末(PS)に対して送出されている。
【0005】
一方、自システムの主装置31に対するサービスオーダ(SO)登録動作を実施していないサービスオーダ(SO)登録用以外の基地局(CS4)24や基地局(CS5)25からは、"加入者情報書込み実施基地局フラグ"というフラグをオフにした(つまり、逆に言えば、加入者情報書込み非実施基地局を示す情報を付与した)システム情報報知用制御チャネル(BCCH)が無線端末(PS)に対して送出されている。
【0006】
したがって、子機としての加入者情報のサービスオーダ(SO)登録を行おうとしているサービスオーダ(SO)登録用の無線端末(PS)10は、"加入者情報書込み実施基地局フラグ"をオンにしたシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)を送出している基地局(CS1)21を自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)として認識して、当該基地局(CS1)21に対して待受け・サービスオーダ(SO)登録処理を実施することができる。
【0007】
ここで、システム情報報知用制御チャネル(BCCH)は、図6のようなデータフォーマットからなっており、"加入者情報書込み実施基地局フラグ"は、第3オクテットに割り当てた基地局(CS)情報中の第4ビット目に割り付けられており、'0'が加入者情報のサービスオーダ(SO)登録を許可していない加入者情報書込み非実施基地局を示し、'1'が加入者情報のサービスオーダ(SO)登録を許可している加入者情報書込み実施基地局を示している。図6は、現状のPHSシステムにおいて基地局(CS)から無線端末(PS)へ送信しているシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)のデータフォーマットを示すテーブルである。つまり、該システム情報報知用制御チャネル(BCCH)は、基地局(CS)から無線端末(PS)に対して各種の制御情報を報知するための下り片方向チャネルであり、"加入者情報書込み実施基地局フラグ"は、システム情報報知用制御チャネル(BCCH)の一種であるシステム情報報知中のビットを意味している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−32371号公報(第2−3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、自営システムが普及している現在においては、図7に示すように、自システムのみならず、他システム1、他システム2、…のように、複数のPHSシステムが、周辺環境に存在している状況にある。かかる場合には、サービスオーダ(SO)登録を行おうとする無線端末(PS)が自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)を誤って認識する場合が発生する。図7は、無線通信システムとして周辺領域に複数のPHSシステムが存在している場合にサービスオーダ(SO)登録を行おうとする無線端末(PS)が自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)を誤って認識する場合の動作を説明するための説明図である。
【0010】
周辺領域に複数のPHSシステムが存在している場合、図7に示すように、複数のPHSシステムそれぞれのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)において、"加入者情報書込み実施基地局フラグ"というフラグをオンにしたシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)を無線端末(PS)に対して送信している状態が発生する可能性がある。つまり、自システムの基地局(CS1)21に対して子機としての加入儒者情報に関するサービスオーダ(SO)登録を行おうとする無線端末(PS)10のサービスオーダ(SO)登録動作において、自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS1)21以外に、他システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS2)22、サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS3)23が検知されることがある。
【0011】
このため、自システムの基地局(CS1)21に子機としてサービスオーダ(SO)登録を行おうとする無線端末(PS)10は、誤って、他システムの基地局(CS)例えばサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS2)22に対して待受け・サービスオーダ(SO)登録処理を行ってしまい、サービスオーダ(SO)登録に失敗することがある。
【0012】
この結果、多数の無線端末(PS)からなる大規模システムが構築される場合のように、多数の無線端末(PS)のサービスオーダ(SO)登録が必要な場合には、多大な時間を要する結果を招いていた。
【0013】
従来の技術においては、かかる問題を解決する方法として、サービスオーダ(SO)登録を行おうとする無線端末(PS)を自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)を最優先で待受けさせるために、当該無線端末(PS)を、システム情報報知用制御チャネル(BCCH)の受信電界レベルが高くなる位置まで移動させて、すなわち、自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)に接近した位置まで移動させて、サービスオーダ(SO)登録作業を行うという方法が採用されてきた。
【0014】
しかしながら、かくのごとく、サービスオーダ(SO)登録を行おうとする無線端末(PS)をシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)の受信電界レベルが高くなる位置まで移動させるという方法では、待受けの優先度が受信電界レベル順であるという無線端末(PS)については有効であるものの、待受けの優先度がシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)を受け取った時間順であるという無線端末(PS)については適用することができない。
【0015】
例えば、図8に示すように、基地局(CS)のシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)の送信間隔が自システムの基地局(CS)よりも他システムの基地局(CS)の方が短い場合も存在する。図8は、周辺領域に複数のPHSシステムが存在する場合において、サービスオーダ(SO)登録を行おうとする自システムの基地局(CS)よりも他システムの基地局(CS)のシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)の送信間隔が短い場合のサービスオーダ(SO)登録動作を説明するタイムチャートである。
【0016】
図8に示すように、自システムの基地局(CS)よりも他システムの基地局(CS)のシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)の送信間隔が短い場合において、サービスオーダ(SO)登録を行おうとする無線端末(PS)が、待受けの優先度が時間順であるという無線端末(PS)の場合については、他システムの基地局(CS)のシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)を先に検知してしまう場合が発生し、先に検知した他システムの基地局(CS)に対して待受け・サービスオーダ(SO)登録処理を行おうとして、サービスオーダ(SO)登録に失敗してしまう。
【0017】
以上のように、従来の無線端末(PS)のサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)の選択は、優先度の違い(システム情報報知用制御チャネル(BCCH)の受信電界レベル順あるいはシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)の受信時間順など)があるにせよ、図9のフローチャートに示すように、システム情報報知用制御チャネル(BCCH)中の"加入者情報書込み実施基地局フラグ"をオンにしている基地局(CS)しか考慮されていなかった。
【0018】
このため、サービスオーダ(SO)登録を行おうとする無線端末(PS)は、自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)を確実に待受けることができず、他システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)を待受けてしまい、前述したような問題が起きていた。図9は、従来のPHSシステムにおける無線端末(PS)のサービスオーダ(SO)登録動作を示すフローチャートである。
【0019】
すなわち、図9のフローチャートに示す従来のPHSシステムのサービスオーダ(SO:Service Order)登録動作においては、周辺領域に複数のPHSシステムが存在していて、それぞれでサービスオーダ(SO)登録動作が同時に実施されている場合も考慮して、まず、システム情報報知用制御チャネル(BCCH)中の"加入者情報書込み実施基地局フラグ"をオンにしている基地局(CS)をサーチして、サーチした各基地局(CS)を任意の優先度順(例えば、受信電界レベル順あるいは検知時間順)に並べ替えて整列させる(ステップS11)。しかる後に、最優先の基地局(CS)を当該無線端末(PS)のサービスオーダ(SO)登録用の基地局(CS)として選択して、当該基地局(CS)に対して待受け・サービスオーダ(SO)登録処理を実施する(ステップS12)。
【0020】
かかるサービスオーダ(SO)登録動作を行った結果として、或るシステムの基地局(CS)へ子機としてのサービスオーダ(SO)登録を行おうとしている無線端末(PS)が、誤って、他システムの基地局(CS)に対して待受け・サービスオーダ(SO)登録動作を実施し、サービスオーダ(SO)登録に失敗するという動作を繰り返してしまい、サービスオーダ(SO)登録作業に時間がかかるという課題があった。
【0021】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)を確実に待受けて、サービスオーダ(SO)登録を成功裡に確実に実施することができる無線通信システム、サービスオーダ登録方法およびサービスオーダ登録プログラムを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前述の課題を解決するため、本発明による無線通信システム、サービスオーダ登録方法およびサービスオーダ登録プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0023】
(1)本発明による無線通信システムは、PHS(Personal Handy-phone System)通信を行う無線端末(PS:Personal Station)とPHSシステムの主装置および基地局(CS:Cell Station)とからなる無線通信システムにおいて、前記無線端末は、自PHSシステムの基地局の子機として登録するサービスオーダ登録を実施する際に、該サービスオーダ登録を許可しているサービスオーダ登録用基地局をサーチし、サーチした結果として検出された1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報を、基地局登録リストに格納した後、該基地局登録リストに格納されている1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報を画面表示して、当該無線端末のユーザに提示することにより、当該無線端末のユーザにより、画面表示された1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報の中から、自PHSシステムのサービスオーダ登録用基地局を選択させ、選択された自PHSシステムのサービスオーダ登録用基地局を待受けて、サービスオーダ登録を実施することを特徴とする。
【0024】
(2)本発明によるサービスオーダ登録方法は、PHS(Personal Handy-phone System)通信を行う無線端末(PS:Personal Station)を自PHSシステムの基地局(CS:Cell Station)の子機として登録するサービスオーダ登録方法であって、前記無線端末は、サービスオーダ登録を実施する際に、該サービスオーダ登録を許可しているサービスオーダ登録用基地局をサーチし、サーチした結果として検出された1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報を、基地局登録リストに格納した後、該基地局登録リストに格納されている1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報を画面表示して、当該無線端末のユーザに提示することにより、当該無線端末のユーザにより、画面表示された1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報の中から、自PHSシステムのサービスオーダ登録用基地局を選択させ、選択された自PHSシステムのサービスオーダ登録用基地局を待受けて、サービスオーダ登録を実施することを特徴とする。
【0025】
(3)本発明によるサービスオーダ登録プログラムは、上記(2)に記載のサービスオーダ登録方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の無線通信システム、サービスオーダ登録方法およびサービスオーダ登録プログラムによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0027】
本発明においては、無線端末(PS)の子機登録を行うサービスオーダ(SO)用のシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)を待受ける基地局(CS)が複数のPHSシステム対応に複数存在している場合であっても、各無線端末(PS)それぞれについて、子機登録を行うべき自システムの基地局(CS)のみを確実に待受けて、サービスオーダ(SO)登録を実施する仕組みを備えているので、他システムの基地局(CS)を誤って待受けてしまって、サービスオーダ(SO)登録に失敗してしまうという事態の発生を確実に防止することが可能である。
【0028】
つまり、本発明は、無線端末(PS)の子機登録を行うサービスオーダ(SO)工事時に、サービスオーダ(SO)の登録待受け状態にある基地局の一覧を、無線端末(PS)の表示画面上に一覧表示して、一覧表示された登録待受け状態にある基地局の中から、自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)を選択するという操作を、自システムの基地局を正しく認識している無線端末(PS)のユーザ自身が行う仕組みを採用している。
【0029】
かくのごとく、自システムの基地局を正しく認識している無線端末(PS)のユーザ自身が自システムのサービスオーダ(SP)登録用基地局(CS)を選択して決定することによって、当該無線端末(PS)は、自システムのサービスオーダ(SP)登録用基地局(CS)を確実に待受け、サービスオーダ(SO)登録を成功裡に確実に行うことが可能となり、結果として、サービスオーダ(SO)登録処理を何度も繰り返すことがなく、サービスオーダ(SO)登録処理を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る無線通信システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明に係る無線通信システムにおいて無線端末が自システムの基地局の子機とするためのサービスオーダ登録を行おうとする際にサービスオーダ登録用基地局のサーチ結果である各サービスオーダ登録用基地局の基地局識別子(CSID)の一覧を当該無線端末の液晶表示装置に画面表示する表示例を示す画面表示図である。
【図3】本発明に係る無線通信システムにおいて無線端末が主システムの基地局に対する子機とするための加入者情報のサービスオーダ登録をしようとする場合の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る無線通信システムにおいて、サービスオーダ登録動作を確実に成功させる例を模式的に示す説明図である。
【図5】現状の自営のPHSシステムにおいて自システムの基地局に対して無線端末を子機としての加入者情報を登録するためのサービスオーダ登録を実施する動作を説明するための説明図である。
【図6】現状のPHSシステムにおいて基地局から無線端末へ送信しているシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)のデータフォーマットを示すテーブルである。
【図7】無線通信システムとして周辺領域に複数のPHSシステムが存在している場合にサービスオーダ登録を行おうとする無線端末が自システムのサービスオーダ登録用基地局を誤って認識する場合の動作を説明するための説明図である。
【図8】周辺領域に複数のPHSシステムが存在する場合において、サービスオーダ登録を行おうとする自システムの基地局よりも他システムの基地局のシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)の送信間隔が短い場合のサービスオーダ登録動作を説明するタイムチャートである。
【図9】従来のPHSシステムにおける無線端末のサービスオーダ登録動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明による無線通信システム、サービスオーダ登録方法およびサービスオーダ登録プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による無線通信システムおよびサービスオーダ登録方法について説明するが、かかるサービスオーダ登録方法をコンピュータにより実行可能なサービスオーダ登録プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、サービスオーダ登録プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0032】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、自営PHSシステムにおいて、無線端末(PS)が自システムの基地局(CS)に対して子機として登録するサービスオーダ(SO)登録を行おうとする際に、当該無線端末(PS)が自システムのサービスオーダ(SP)登録用基地局(CS)を確実に待受けることができ、而して、自営PHSシステムにおける無線回線上でのサービスオーダ(SO)登録処理の高速化を可能ならしめることを主要な特徴としている。
【0033】
つまり、無線通信システムとして、周辺領域に複数のPHSシステムが存在している場合において、各PHSシステムに関する無線端末(PS)の子機登録を行う工事が重複してしまった場合であっても、すなわち、無線端末(PS)の子機登録を行うサービスオーダ(SO)用のシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)を待受ける基地局(CS)が複数のPHSシステムそれぞれに対応して複数存在してしまった場合であっても、各無線端末(PS)それぞれについて、子機登録を行うべき自システムの基地局(CS)のみを確実に待受けて、サービスオーダ(SO)登録を成功裡に実施し、他システムの基地局(CS)を誤って待受けてしまってサービスオーダ(SO)登録に失敗してしまうような事態の発生を確実に防止することを可能としていることを、その特徴としている。
【0034】
より具体的には、本発明は、無線端末(PS)の子機登録を行うサービスオーダ(SO)工事時に、サービスオーダ(SO)の登録待受け状態にある基地局(CS)の一覧を、無線端末(PS)の表示画面上に一覧表示して、自システムの基地局(CS)を正しく認識している無線端末(PS)のユーザ自身が、一覧表示された登録待受け状態にある基地局(CS)の中から、自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)の選択を行うようにするものである。
【0035】
かくのごとく、自システムの基地局(CS)を正しく認識している無線端末(PS)のユーザ自身が、自システムのサービスオーダ(SP)登録用基地局(CS)を選択して決定することによって、当該無線端末(PS)は、自システムのサービスオーダ(SP)登録用基地局(CS)を確実に待受け、サービスオーダ(SO)登録を失敗することなく確実に行うことが可能となり、結果として、サービスオーダ(SO)登録処理を何度も繰り返すことがなく、サービスオーダ(SO)登録処理を高速化することができる。
【0036】
(本発明の実施形態の構成例)
次に、本発明に係る無線通信システムのシステム構成の一例を、図1を用いて詳細に説明する。図1は、本発明に係る無線通信システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。図1に示すように、サービスオーダ(SO)登録を行おうとするサービスオーダ(SO)登録用の無線端末(PS)10の周辺領域には、図5に示した従来の無線通信システムの場合と同様、登録しようとする自PHSシステム以外に、複数の他PHSシステムが存在しており(図1の場合は、他システム1、他システム2の2つの他システムが存在している例を示している)、自PHSシステムは、それぞれ、自システムの主装置31、該主装置31に接続されている基地局(CS1)21から構成されており、他PHSシステム1,2も、同様に、それぞれ、他システムの主装置32,33、該主装置32,33それぞれに接続されている基地局(CS2)22、基地局(CS3)23から構成されている。
【0037】
ここで、自システムの基地局(CS1)21、他PHSシステム1,2の基地局(CS2)22、基地局(CS3)23は、いずれも、子機登録の対象になるサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)であり、加入者情報の登録を行うことができる旨を示す"加入者情報書込み実施基地局フラグ"をオンにしたシステム情報報知用制御チャネル(BCCH:Broadcasting Control Channel)を送出している。
【0038】
また、サービスオーダ(SO)登録を行おうとする無線端末(PS)10は、自身の記憶装置内に、基地局(CS)登録リスト40を保持している。該基地局(CS)登録リスト40には、サービスオーダ(SO)登録時のサーチによって、"加入者情報書込み実施基地局フラグ"がオンになっているシステム情報報知用制御チャネル(BCCH:Broadcasting Control Channel)を送出した基地局(CS)を検出し、検出された各基地局(CS)を、子機としてのサービスオーダ(O)登録が許可されているサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)として認識することにより、それぞれのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)を一意に識別することが可能な基地局識別子(CSID:CS Identifier)が登録されている。
【0039】
該基地局(CS)登録リスト40は、図2に示すように、無線端末(PS)がサービスオーダ(SO)登録を行おうとする際に、当該無線端末(PS)10の液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)に画面表示されて、当該無線端末(PS)10のユーザに提示される。図2は、本発明に係る無線通信システムにおいて、無線端末(PS)10が自システムの基地局(CS1)21の子機とするためのサービスオーダ(SO)登録を行おうとする際に、サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)のサーチ結果であるサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)の基地局識別子(CSID)の一覧つまり基地局(CS)登録リスト40を当該無線端末(PS)10の液晶表示装置(LCD)に画面表示する表示例を示す画面表示図である。
【0040】
無線端末(PS)10のユーザは、当該ユーザが登録したいと認識している自システムの基地局(CS1)21を、液晶表示装置(LCD)に一覧表示されたサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)の基地局識別子(CSID)の一覧の中から検索して、検索した基地局識別子(CSID)によって一意に識別される基地局(CS)が、当該無線端末(PS)10を子機として登録すべき自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS1)21であることを指示する。而して、子機としてのサービスオーダ(SO)登録を行うべき自システムの基地局(CS)を正しく認識している当該ユーザによって指示されたサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS1)21を待受けることにより、サービスオーダ(SO)登録を成功裡に確実に行うことができる。
【0041】
(実施形態の動作例の説明)
次に、図1、図2に示す本発明に係る無線通信システムの動作の一例について、無線端末(PS)が主システムの子機としてサービスオーダ(SO)登録をしようとする場合の動作例を、図3を用いて説明する。図3は、本発明に係る無線通信システムにおいて無線端末(PS)が主システムの基地局(CS)に対する子機とするための加入者情報のサービスオーダ(SO)登録をしようとする場合の動作の一例を示すフローチャートである。
【0042】
無線端末(PS)10は、サービスオーダ(SO)登録時に、サービスオーダ(SO)登録動作を実際に実施する動作に先立って、まず、サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)のサーチ、つまり、当該無線端末(PS)10に対して"加入者情報書込み実施基地局フラグ"がオンになっているシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)を送信している基地局(CS)のサーチを行う。
【0043】
サーチ結果として、サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)を検知すると、あらかじめ任意に設定した優先度順(例えば、受信電界レベル順あるいは検知した時間順)にしたがって並べ替えて、サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)それぞれを一意に識別する各基地局識別子(CSID)のリスト形式にして記憶装置内の基地局(CS)登録リスト40に格納する(ステップS1)。なお、ここでは、基地局(CS)登録リスト40に格納する情報がサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)の基地局識別子(CSID)である場合について説明するが、サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)に関する情報として、サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)それぞれを容易に識別することができる情報であれば、如何なる情報であっても構わない。
【0044】
しかる後、基地局(CS)登録リスト40に優先度順に並べ替えられて格納されているサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)それぞれの基地局識別子(CSID)のリストを読み出して、当該無線端末(PS)の液晶表示装置(LCD)に画面表示する(ステップS2)。
【0045】
次いで、当該無線端末(PS)の液晶表示装置(LCD)に一覧表示されたサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)の基地局識別子(CSID)の中から、当該無線端末(PS)のユーザが、当該無線端末(PS)を子機として登録すべき自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)の基地局識別子(CSID)を指定したか否かを確認する(ステップS3)、まだ、指定していない場合は(ステップS3のNo)、ステップS3にて、ユーザが指定操作を行うまで待ち合わせする。
【0046】
一方、当該無線端末(PS)のユーザが、自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)の基地局識別子(CSID)を指定した場合は(ステップS3のYes)、当該無線端末(PS)のユーザが自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)として基地局識別子(CSID)を指定した基地局(CS)に対して、待受け・サービスオーダ(SO)登録動作を行う(ステップS4)。
【0047】
以上のような動作を行うことによって、子機としてサービスオーダ(SO)登録動作を実施すべき自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)を正しく認識している無線端末(PS)のユーザ自身が、基地局(CS)登録リスト40から読み出して液晶表示装置(LCD)に一覧表示されているサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)の基地局識別子(CSID)の中から、該当する自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)の基地局識別子(CSID)を選択するので、図4に示すように、サービスオーダ(SO)登録動作を確実に成功させることができる。
【0048】
ここに、図4は、本発明に係る無線通信システムにおいて、サービスオーダ(SO)登録動作を確実に成功させる例を模式的に示す説明図である。図4に示すように、"加入者情報書込み実施基地局フラグ"がオンになっているシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)を送信しているサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)として、自システムの基地局(CS)例えばサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS1)21だけでなく、他システムの基地局(CS)例えばサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS2)22、サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS3)23を検知していても、サービスオーダ(SO)登録を行おうとしているサービスオーダ(SO)登録用の無線端末(PS)10のユーザが、当該無線端末(PS)10の液晶表示装置(LCD)に基地局(CS)登録リスト40として画面表示された各サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)の基地局識別子(CSID)の中から、自システムの主装置例えば主装置31に登録すべき自システムのサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS)例えばサービスオーダ(SO)登録用基地局(CS1)21の基地局識別子(CSID)を指定するので、サービスオーダ(SO)登録動作を確実に成功させることができる。
【0049】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態における無線通信システムにおいて、サービスオーダ登録方法は、次のような効果が得られる。
【0050】
つまり、無線端末(PS)の子機登録を行うサービスオーダ(SO)用のシステム情報報知用制御チャネル(BCCH)を待受ける基地局(CS)が複数のPHSシステム対応に複数存在している場合であっても、各無線端末(PS)それぞれについて、子機登録を行うべき自システムの基地局(CS)のみを確実に待受けて、サービスオーダ(SO)登録を実施する仕組みを備えているので、他システムの基地局(CS)を誤って待受けてしまって、サービスオーダ(SO)登録に失敗してしまうという事態の発生を確実に防止することが可能である。而して、サービスオーダ(SO)登録処理を何度も繰り返すことがなく、サービスオーダ(SO)登録処理を高速化することができる。
【0051】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0052】
10 サービスオーダ(SO)登録用の無線端末(PS)
21 サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS1)
22 サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS2)
23 サービスオーダ(SO)登録用基地局(CS3)
24 サービスオーダ(SO)登録用以外の基地局(CS4)
25 サービスオーダ(SO)登録用以外の基地局(CS5)
31 自システムの主装置
32 他システム1の主装置
33 他システム2の主装置
40 基地局(CS)登録リスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PHS(Personal Handy-phone System)通信を行う無線端末(PS:Personal Station)とPHSシステムの主装置および基地局(CS:Cell Station)とからなる無線通信システムにおいて、前記無線端末は、自PHSシステムの基地局の子機として登録するサービスオーダ登録を実施する際に、該サービスオーダ登録を許可しているサービスオーダ登録用基地局をサーチし、サーチした結果として検出された1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報を、基地局登録リストに格納した後、該基地局登録リストに格納されている1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報を画面表示して、当該無線端末のユーザに提示することにより、当該無線端末のユーザにより、画面表示された1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報の中から、自PHSシステムのサービスオーダ登録用基地局を選択させ、選択された自PHSシステムのサービスオーダ登録用基地局を待受けて、サービスオーダ登録を実施することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記無線端末は、サービスオーダ登録を許可しているサービスオーダ登録用基地局をサーチする際に、サービスオーダ登録による加入者情報の書込みを許可している旨を示す加入者情報書込み実施基地局フラグをオンにしたシステム情報報知用制御チャネル(BCCH: Broadcasting Control Channel)を送出している基地局を、前記サービスオーダ登録用基地局として検出することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線端末は、1ないし複数の前記サービスオーダ登録用基地局に関する情報を前記基地局登録リストに格納する際に、あらかじめ任意に設定した優先度順にしたがって前記サービスオーダ登録用基地局に関する情報を並べ替えて格納することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記基地局登録リストに格納する前記サービスオーダ登録用基地局に関する情報それぞれは、各前記サービスオーダ登録用基地局を一意に識別するために付されている基地局識別子(CSID::CS Identifier)であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項5】
PHS(Personal Handy-phone System)通信を行う無線端末(PS:Personal Station)を自PHSシステムの基地局(CS:Cell Station)の子機として登録するサービスオーダ登録方法であって、前記無線端末は、サービスオーダ登録を実施する際に、該サービスオーダ登録を許可しているサービスオーダ登録用基地局をサーチし、サーチした結果として検出された1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報を、基地局登録リストに格納した後、該基地局登録リストに格納されている1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報を画面表示して、当該無線端末のユーザに提示することにより、当該無線端末のユーザにより、画面表示された1ないし複数のサービスオーダ登録用基地局に関する情報の中から、自PHSシステムのサービスオーダ登録用基地局を選択させ、選択された自PHSシステムのサービスオーダ登録用基地局を待受けて、サービスオーダ登録を実施することを特徴とするサービスオーダ登録方法。
【請求項6】
請求項5に記載のサービスオーダ登録方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とするサービスオーダ登録プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−217076(P2011−217076A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82485(P2010−82485)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】