説明

無線通信システム、スプリットモードTFCI復号処理装置及びそれらに用いる復号処理方法

【課題】 ハードウェア規模や消費電力を大きくすることなく、スプリットモードのTFCI値の復号をできる限り小さいハードウェア規模で実現可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】 軟判定スプリットモードTFCI復号部22にて、スプリットモードTFCIコードワード分離部221はA−DPCH及びPDSCH各々のTFCIコードワードを分離し、時分割高速アダマール変換部222は分離されたA−DPCH及びPDSCH各々のTFCIコードワードの相関値を、バタフライ演算器を時分割に使用して算出する。ピーク相関値判定部223は時分割高速アダマール変換部222で算出された相関値のピークインデックスとピークの正負とを判定し、スプリットモードTFCI判定部224はその判定結果からA−DPCHのTFCI値とPDSCHのTFCI値とを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システム、プリットモードTFCI復号処理装置及びそれらに用いる復号処理方法に関し、特にスプリットモードTFCI(Transport−Format−Combination Indicator)で送信されたTFCIコードワードの復号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3.5世代の携帯電話サービスにおいては、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)が適用されている。
【0003】
このHSDPAは下りリンクに対して付随個別物理チャネル(A−DPCH:Associated Dedicated Physical Channel)のTFCI値と、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)のTFCI値とをスプリットモードTFCIコード発生器から個別物理制御チャネル(DPCCH:Dedicated Physical Control Channel)に多重マッピングして送信される(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
このような適用サービスにおいて、携帯電話端末では、さらなる小型化によって、ハードウェア規模の縮小化が求められている。
【0005】
【非特許文献1】“4.3.4 Operation of Transport−Format−Combination Indicator(TFCI) in Split Mode”[3GPP(3rd Generation Partnership Project) TS25.212 V4.6.0(2002−09]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の携帯電話サービスでは、図13に示すように、軟判定スプリットモードTFCI復号部30が、スプリットモードTFCIコードワード分離部301と、bi−orthogonal Code相関器302,303と、ピーク相関値判定部304と、スプリットモードTFCI判定部305とから構成されており、bi−orthogonal Code相関器302,303各々において、図14に示すように、16入力の相関器を16種類用意する必要があり、ハードウェア規模が大きく、消費電力も大きくなることが懸念事項としてあげられている。
【0007】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、ハードウェア規模や消費電力を大きくすることなく、スプリットモードのTFCI値の復号をできる限り小さいハードウェア規模で実現することができる無線通信システム、プリットモードTFCI復号処理装置及びそれらに用いる復号処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による無線通信システムは、生成されたスプリットモードのTFCI(Transport−Format−Combination Indicator)コードワードを多重して送信する送信処理装置と、受信したTFCIコードワードを、16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算することで復号する復号処理装置とを含む無線通信システムであって、
前記復号処理装置は、前記TFCIコードワードを基に前記16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算するバタフライ演算器を時分割に使用して当該相関を計算する時分割高速アダマール変換手段を備えている。
【0009】
本発明によるスプリットモードTFCI復号処理装置は、生成されたスプリットモードのTFCI(Transport−Format−Combination Indicator)コードワードを多重して送信する送信処理装置から受信したTFCIコードワードを、16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算することで復号するスプリットモードTFCI復号処理装置であって、
前記復号処理装置は、前記TFCIコードワードを基に前記16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算するバタフライ演算器を時分割に使用して当該相関を計算する時分割高速アダマール変換手段を備えている。
【0010】
本発明によるスプリットモードTFCI復号処理方法は、生成されたスプリットモードのTFCI(Transport−Format−Combination Indicator)コードワードを多重して送信する送信処理装置と、受信したTFCIコードワードを、16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算することで復号する復号処理装置とを含む無線通信システムに用いられるスプリットモードTFCI復号処理方法であって、
前記復号処理装置が、前記TFCIコードワードを基に前記16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算するバタフライ演算器を時分割に使用して当該相関を計算する時分割高速アダマール変換手段を用いてTFCIコードワードを復号している。
【0011】
すなわち、本発明のスプリットモードTFCI復号処理装置は、上記の非特許文献1に記載されているスプリットモードTFCIで送信されたTFCIコードワードの復号処理方法に関する発明である。
【0012】
HSDPA(High Speed Data Packet Access)サービスを実施する無線基地局装置は、上記の非特許文献1に記載しているように、付随個別物理チャネル(A−DPCH:Associated Dedicated Physical Channel)のTFCI値と、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)のTFCI値とをスプリットモードTFCIコード発生器から個別物理制御チャネル(DPCCH:Dedicated Physical Control Channel)に多重マッピングすることで、スプリットモードのTFCIコードワードが送信されている。
【0013】
本発明では、このbi−orthogonal相関器の代わりに時分割高速アダマール変換部を用いることによりハードウェア規模および消費電力の低減を図ろうとしている。また、本発明では携帯端末におけるスプリットモードTFCI復号に関してできる限り小さなハードウェア構成を提案している。
【0014】
本発明のスプリットモードTFCI復号処理装置では、携帯端末のスプリットモードTFCI復号部に時分割高速アダマール変換部を備え、この時分割高速アダマール変換部に、メモリバッファとバタフライ演算器とアドレスポインタ抽出手段とを備え、スプリットモードのTFCIコードワードを復号する装置を、小さなハードウェアで実現可能となる。
【0015】
そのために、本発明のスプリットモードTFCI復号処理装置では、図1の軟判定スプリットモードTFCI復号部において時分割高速アダマール変換部を用いることによって、ハードウェアの縮小化を図っている。このハードウェアの縮小化を図るための時分割高速アダマール変換部は、メモリバッファと、バタフライ演算器と、アドレスポインタ抽出部119とを用いてスプリットモードのTFCI値の復号をできる限り小さいハードウェア規模で実現可能としている。
【0016】
これによって、本発明のスプリットモードTFCI復号処理装置では、メモリバッファとバタフライ演算器とを共有化し、16次アダマール行列の相関を、1つのメモリバッファと1つのバタフライ演算器とアドレスポインタ抽出部とによって演算することで、時分割高速アダマール変換器において最小限のハードウェア規模で構成することが可能となる。
【0017】
また、本発明のスプリットモードTFCI復号処理装置では、バタフライ演算器の計算結果をメモリバッファに格納するのと同時に、メモリバッファからの出力を次のバタフライ演算器の入力に書込む構成としているので、効率的な処理を行うことで、ハードウェア規模が小さくても比較的、高速に処理することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以下に述べるような構成及び動作とすることで、ハードウェア規模や消費電力を大きくすることなく、スプリットモードのTFCI値の復号をできる限り小さいハードウェア規模で実現することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例による無線通信システムの構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例による無線通信システムは、無線通信路100を通して接続されるスプリットモードTFCI(Transport−Format−Combination Indicator)コードワード送信部1及びスプリットモードTFCI復号部2から構成されている。
【0020】
スプリットモードTFCIコードワード送信部1はスプリットモードTFCIコード発生器11と、個別物理制御チャネルマッピング12とから構成されており、スプリットモードTFCI復号部2はスプリットモードTFCIコードワード検出部21と、軟判定スプリットモードTFCI復号部22とから構成されている。
【0021】
図2(a)は図1のスプリットモードTFCIコード発生器11の構成を示すブロック図であり、図2(b)は図2(a)のbi−orthogonal code器で用いるコードを示す表である。
【0022】
図2(a)において、スプリットモードTFCIコード発生器11はA−DPCH(Associated Dedicated Physical Channel:付随個別物理チャネル)のTFCI値(0〜31)5ビットを入力して16ビットのTFCIコードワードを生成するbi−orthogonal code器111と、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel:物理個別共有チャネル)のTFCI値(0〜31)5ビットを入力して16ビットのTFCIコードワードを生成するbi−orthogonal code器112とから構成されている。
【0023】
つまり、スプリットモードTFCIコード発生器11はA−DPCHのTFCI値5ビットと、PDSCHのTFCI値5ビットとを入力し、bi−orthogonal code器111,112各々で16ビットのTFCIコードワードを生成する。個別物理制御チャネルマッピング12はスプリットモードTFCIコード発生器11で生成されたTFCIコードワードを多重する。
【0024】
スプリットモードTFCIコード発生器11において、bi−orthogonal code器111はA−DPCHのTFCI値5ビットを入力し、16ビットのTFCIコードワード(b0 ,b2 ,・・・,b30)を生成し、bi−orthogonal code器112はPDSCHのTFCI値5ビットを入力し、16ビットのTFCIコードワード(b1 ,b3 ,・・・,b31)を生成する。
【0025】
図3は図1の軟判定スプリットモードTFCI復号部22の構成を示すブロック図である。図3において、軟判定スプリットモードTFCI復号部22はスプリットモードTFCIコードワード分離部221と、時分割高速アダマール変換部222と、ピーク相関値判定部223と、スプリットモードTFCI判定部224とから構成されている。
【0026】
スプリットモードTFCI復号部2において、スプリットモードTFCIコードワード検出部21は個別物理制御チャネルマッピング12で多重化されたTFCIビットを検出する。
【0027】
軟判定スプリットモードTFCI復号部22において、スプリットモードTFCIコードワード分離部221はA−DPCHのTFCIコードワードとPDSCHのTFCIコードワードとを分離する。時分割高速アダマール変換部222はスプリットモードTFCIコードワード分離部221で分離されたA−DPCHのTFCIコードワード、PDSCHのTFCIコードワードの相関値を、図示せぬバタフライ演算器を時分割に使用して算出する。
【0028】
ピーク相関値判定部223は時分割高速アダマール変換部222で算出された相関値のピークインデックスとピークの正負とを判定し、スプリットモードTFCI判定部224はピーク相関値判定部223からのピークインデックスとピークの正負とからA−DPCHのTFCI値とPDSCHのTFCI値とをそれぞれ判定する。
【0029】
図4は図3の時分割高速アダマール変換部222の構成を示すブロック図である。図4において、時分割高速アダマール変換部222はメモリバッファA2221と、メモリバッファB2222と、バタフライ演算器A2223と、バタフライ演算器B2224と、アドレスポインタ抽出部2225とから構成されている。
【0030】
バタフライ演算器A2223はA−DPCHの受信TFCIコードワードを基に16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算し、バタフライ演算器B2224はPDSCHの受信TFCIコードワードを基に16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算する。
【0031】
時分割高速アダマール変換部222のメモリバッファA2221はスプリットモードTFCIコードワード分離部221で分離されたA−DPCHの受信TFCIコードワードと、バタフライ演算器A2223で算出した出力結果とを随時格納する。メモリバッファB2222はPDSCHの受信TFCIコードワードと、バタフライ演算器B2224で算出した出力結果とを随時格納する。
【0032】
アドレスポインタ抽出部2225はバタフライ演算器A2223及びバタフライ演算器B2224をそれぞれ時分割に使用するために、メモリバッファA2221及びメモリバッファB2222に対してデータを入出力するためのアドレスポインタ(バタフライ演算器A2223及びバタフライ演算器B2224に入出力するデータのアドレスポインタ)を抽出する。
【0033】
図5は図4のアドレスポインタ抽出部2225の計算式を示す図であり、図6は16次アダマール行列Hを示す図であり、図7は16次アダマール行列の分解行列G1を示す図であり、図8は16次アダマール行列の分解行列G2を示す図であり、図9は16次アダマール行列の分解行列G3を示す図であり、図10は16次アダマール行列の分解行列G4を示す図である。
【0034】
また、図11は16次アダマール行列Hと等価なG1・G2・G3・G4行列相関器を示す図であり、図12は図4のバタフライ演算器A2223及びバタフライ演算器B2224の構成を示すブロック図である。これら図1〜図12を用いてスプリットモードTFCI復号部2の動作について説明する。
【0035】
スプリットモードTFCIコード発生器11の処理については上記の非特許文献1に記載されており、図2(a)に示すように、A−DPCHのTFCI値とPDSCHのTFCI値とを(16,5)bi−orthogonal code器111,112に入力し、図2(b)に示す表で示されるコードでそれぞれ16ビット毎のTFCIコードワードを生成する。
【0036】
この(16,5)bi−orthogonal code器111,112はTFCI値を2進数で示し、図2(b)に示す表の16ビットのMi,0 とMi,1 とMi,2 とMi,3 とMi,4 との排他的論理和で生成される。ここで、生成されたTFCIコードワードは「0」の場合を「1」、「1」の場合を「−1」とすると、16次アダマール行列H(図6参照)と、その16次アダマール行列Hの符号を反転させた行または列成分のコードとからなるので、受信したTFCIコードワードをこの16次アダマール行列Hの各行または列成分との相関を計算することで、TFCIコードワードを復号することができる。
【0037】
従来のスプリットTFCI復号方法では、図13に示すように、16次アダマール行列Hそのままの相関を計算するために、bi−orthogonal code相関器302,303を用いているが、このbi−orthogonal code相関器302,303の場合には、図14に示すように、16入力の加減算器3021−1〜3021−16が16次アダマール行列Hの行数である16種必要であり、ハードウェア規模として大きくなってしまう。
【0038】
そこで、本実施例では、この16次アダマール行列Hと等価の行列として、G1行列(図7参照)、G2行列(図8参照)、G3行列(図9参照)、G4行列(図10参照)を用いている。これらのG1・G2・G3・G4行列の相関器を図11に示す。
【0039】
例えば、A−DPCHの受信TFCIコードワードを基にバタフライ演算器A2223を時分割に使用して16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算する場合、図11において、G1行列(図7参照)の相関は、入力201−1からバタフライ演算器A2223による演算処理202−1で計算されて出力201−2となり、G2行列(図8参照)の相関は、入力201−2からバタフライ演算器A2223による演算処理202−2で計算されて出力201−3となる。
【0040】
また、G3行列(図9参照)の相関は、入力201−3からバタフライ演算器A2223による演算処理202−3で計算されて出力201−4となり、G4行列(図10参照)の相関は、入力201−4からバタフライ演算器A2223による演算処理202−4で計算されて出力201−5となる。
【0041】
本実施例では、バタフライ演算器A2223による演算処理202−1〜202−4と、相関結果を格納するメモリバッファA2221への入出力202−1〜202−5とを共有する時分割高速アダマール変換器222を用いている。尚、PDSCHの受信TFCIコードワードを基にバタフライ演算器B2224を時分割に使用して16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算する場合にも、上記と同様の処理で行われる。
【0042】
バタフライ演算器A2223及びバタフライ演算器B2224は、図12に示すように、2入力2出力の加減算器で構成されている。図11に示すように、G1行列(図7参照)、G2行列(図8参照)、G3行列(図9参照)、G4行列(図10参照)各々の相関結果を格納し、次の行列でバタフライ演算を行うメモリバッファA2221及びメモリバッファB2222の位置をアドレスポインタ抽出部2225で算出することによって、スプリットモードの1つTFCIコードワードに対してメモリバッファA2221を1つと、バタフライ演算器A2223を1つとだけの構成で、またはメモリバッファB2222を1つと、バタフライ演算器B2224を1つとだけの構成で実現することができる。
【0043】
このアドレスポインタ抽出部2225は図11の各行列の相関(k=1〜4)のバタフライ演算器構成の位置を示し、これを時分割(t=0〜7、k=1〜4)で使用する場合に図5に示す表のような関係となり、この表をtとkとの関数で示すと、図5に示すように、
P1=div(t,2k-1 )×2k-1 +t
P2=div(t,2k-1 )×2k-1 +t+2k-1
という式になる。ここで、div(a,b)はaをbで割った商を表す関数である。
【0044】
バタフライ演算器A2223及びバタフライ演算器B2224は入力と出力とにおいて格納する位置が等しい構成のため、メモリバッファA2221及びメモリバッファB2222の入出力201−1〜201−5を共有することができる。
【0045】
また、入力と出力とにおいて格納する位置が等しい構成を利用してバタフライ演算結果出力をメモリバッファに書込むのと同時に、次のバタフライ演算処理のためのデータを入力することで、効率よく処理を行うことができる。このアドレスポインタ抽出部2225を使用することで、16次アダマール行列H(図6参照)を相関するのに必要なバタフライ演算器A2223及びバタフライ演算器B2224による演算処理202−1〜202−4とメモリバッファA2221及びメモリバッファB2222の入出力201−1〜201−5とを共有することができる。
【0046】
よって、本実施例では、1つのTFCIコードワードに対して、1つのメモリバッファA2221及びメモリバッファB2222と、1つのバタフライ演算器A2223及びバタフライ演算器B2224とを持つだけで、相関値を算出することができる。そのため、本実施例では、ハードウェア規模を大きく削減することができる。尚、本実施例では、A−DPCHのTFCI値とPDSCHのTFCI値とを基にそれぞれ演算を行うバタフライ演算器A2223及びバタフライ演算器B2224を設けているが、これらの処理をさらに1つのバタフライ演算器を時分割に使用して演算を行うようにすることも可能である。この場合、メモリバッファも1つでよい。
【0047】
ピーク相関値判定部223とスプリットモードTFCI判定部224とではA−DPCHのTFCIコードワードの相関結果と、PDSCHのTFCIコードワードに対して時分割高速アダマール変換器222から得られた相関結果とによって、ピーク(絶対値)の最大値を検出し、その最大値を検出したメモリバッファの位置とピークの正負とによって、送信されたTFCI値を算出する。
【0048】
このように、本実施例では、メモリバッファA2221及びメモリバッファB2222と、バタフライ演算器A2223及びバタフライ演算器B2224とをを共有化し、16次アダマール行列H(図6参照)の相関を、1つのメモリバッファA2221及びメモリバッファB2222と、1つのバタフライ演算器A2223及びバタフライ演算器B2224と、アドレスポインタ抽出部2225とで構成することができるので、時分割高速アダマール変換器11において最小限のハードウェア規模で構成することができる。
【0049】
したがって、本実施例では、バタフライ演算器の計算結果をメモリバッファに格納するのと同時に、メモリバッファからの出力を次のバタフライ演算器の入力に書込む構成をとることで、ハードウェア規模が小さくても、比較的、高速に処理することができる。但し、この場合には、メモリバッファに入力ポートと出力ポートとを備えておく必要がある。
【0050】
本実施例では、スプリットモードTFCIコードワード復号部2において、具体的なハードウェアの削減方法について説明しているが、バタフライ演算器を複数持つ構成とすることで、より高速な処理が可能である。これは、各行列に必要な複数のバタフライ演算器を時分割で共有しているので、複数使用できるハードウェア構成であれば、柔軟に高速化することができる。
【0051】
さらに、本実施例では、アドレスポインタ抽出部2225の計算式である式はn次アダマール行列の場合であっても適用が可能なため、n(nは2のべき乗)次アダマール行列の相関計算をする場合にも、同じハードウェア構成で実現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例による無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は図1のスプリットモードTFCIコード発生器の構成を示すブロック図、(b)は(a)のbi−orthogonal code器で用いるコードを示す表である。
【図3】図1の軟判定スプリットモードTFCI復号部の構成を示すブロック図である。
【図4】図3の時分割高速アダマール変換部の構成を示すブロック図である。
【図5】図4のアドレスポインタ抽出部の計算式を示す図である。
【図6】16次アダマール行列Hを示す図である。
【図7】16次アダマール行列の分解行列G1を示す図である。
【図8】16次アダマール行列の分解行列G2を示す図である。
【図9】16次アダマール行列の分解行列G3を示す図である。
【図10】16次アダマール行列の分解行列G4を示す図である。
【図11】16次アダマール行列Hと等価なG1・G2・G3・G4行列相関器を示す図である。
【図12】図4のバタフライ演算器A及びバタフライ演算器Bの構成を示すブロック図である。
【図13】従来の軟判定スプリットモードTFCI復号部の構成を示すブロック図である。
【図14】従来のbi−orthogonal Code相関器を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 スプリットモードTFCIコードワード送信部
2 スプリットモードTFCI復号部
11 スプリットモードTFCIコード発生器
12 個別物理制御チャネルマッピング
21 スプリットモードTFCIコードワード検出部
22 軟判定スプリットモードTFCI復号部
100 無線通信路
221 スプリットモードTFCIコードワード分離部
222 時分割高速アダマール変換部
223 ピーク相関値判定部
224 スプリットモードTFCI判定部
2221 メモリバッファA
2222 メモリバッファB
2223 バタフライ演算器A
2224 バタフライ演算器B
2225 アドレスポインタ抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成されたスプリットモードのTFCI(Transport−Format−Combination Indicator)コードワードを多重して送信する送信処理装置と、受信したTFCIコードワードを、16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算することで復号する復号処理装置とを含む無線通信システムであって、
前記復号処理装置は、前記TFCIコードワードを基に前記16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算するバタフライ演算器を時分割に使用して当該相関を計算する時分割高速アダマール変換手段を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記時分割高速アダマール変換手段は、前記TFCIコードワードと前記バタフライ演算器の計算結果とを随時格納するメモリバッファと、前記メモリバッファから前記バタフライ演算器に入出力するデータのアドレスポインタを抽出するアドレスポインタ抽出手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記アドレスポインタ抽出手段は、前記バタフライ演算器の計算結果を前記メモリバッファに格納するのと同時に、前記メモリバッファの出力を次のバタフライ演算器の入力に書込むようにすることを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記時分割高速アダマール変換手段は、前記TFCIコードワードを基に前記16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算する第1及び第2のバタフライ演算器と、前記TFCIコードワードと前記第1及び第2のバタフライ演算器の計算結果とを随時格納する第1及び第2のメモリバッファと、前記第1及び第2のバタフライ演算器をそれぞれ時分割に使用するために前記第1及び第2のメモリバッファから前記第1及び第2のバタフライ演算器に入出力するデータのアドレスポインタを抽出するアドレスポインタ抽出手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記アドレスポインタ抽出手段は、前記第1のバタフライ演算器の計算結果を前記第1のメモリバッファに格納するのと同時に、前記第1のメモリバッファの出力を前記第1のバタフライ演算器の入力に書込むようにするとともに、前記第2のバタフライ演算器の計算結果を前記第2のメモリバッファに格納するのと同時に、前記第2のメモリバッファの出力を前記第2のバタフライ演算器の入力に書込むようにすることを特徴とする請求項4記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第1のバタフライ演算器及び前記第1のメモリバッファは、A−DPCH(Associated Dedicated Physical Channel)のTFCI値の相関計算に用いられ、
前記第2のバタフライ演算器及び前記第2のメモリバッファは、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)のTFCI値の相関計算に用いられることを特徴とする請求項4または請求項5記載の無線通信システム。
【請求項7】
生成されたスプリットモードのTFCI(Transport−Format−Combination Indicator)コードワードを多重して送信する送信処理装置から受信したTFCIコードワードを、16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算することで復号するスプリットモードTFCI復号処理装置であって、
前記復号処理装置は、前記TFCIコードワードを基に前記16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算するバタフライ演算器を時分割に使用して当該相関を計算する時分割高速アダマール変換手段を有することを特徴とするスプリットモードTFCI復号処理装置。
【請求項8】
前記時分割高速アダマール変換手段は、前記TFCIコードワードと前記バタフライ演算器の計算結果とを随時格納するメモリバッファと、前記メモリバッファから前記バタフライ演算器に入出力するデータのアドレスポインタを抽出するアドレスポインタ抽出手段とを含むことを特徴とする請求項7記載のスプリットモードTFCI復号処理装置。
【請求項9】
前記アドレスポインタ抽出手段は、前記バタフライ演算器の計算結果を前記メモリバッファに格納するのと同時に、前記メモリバッファの出力を次のバタフライ演算器の入力に書込むようにすることを特徴とする請求項8記載のスプリットモードTFCI復号処理装置。
【請求項10】
前記時分割高速アダマール変換手段は、前記TFCIコードワードを基に前記16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算する第1及び第2のバタフライ演算器と、前記TFCIコードワードと前記第1及び第2のバタフライ演算器の計算結果とを随時格納する第1及び第2のメモリバッファと、前記第1及び第2のバタフライ演算器をそれぞれ時分割に使用するために前記第1及び第2のメモリバッファから前記第1及び第2のバタフライ演算器に入出力するデータのアドレスポインタを抽出するアドレスポインタ抽出手段とを含むことを特徴とする請求項7記載のスプリットモードTFCI復号処理装置。
【請求項11】
前記アドレスポインタ抽出手段は、前記第1のバタフライ演算器の計算結果を前記第1のメモリバッファに格納するのと同時に、前記第1のメモリバッファの出力を前記第1のバタフライ演算器の入力に書込むようにするとともに、前記第2のバタフライ演算器の計算結果を前記第2のメモリバッファに格納するのと同時に、前記第2のメモリバッファの出力を前記第2のバタフライ演算器の入力に書込むようにすることを特徴とする請求項10記載のスプリットモードTFCI復号処理装置。
【請求項12】
前記第1のバタフライ演算器及び前記第1のメモリバッファは、A−DPCH(Associated Dedicated Physical Channel)のTFCI値の相関計算に用いられ、
前記第2のバタフライ演算器及び前記第2のメモリバッファは、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)のTFCI値の相関計算に用いられることを特徴とする請求項10または請求項11記載のスプリットモードTFCI復号処理装置。
【請求項13】
生成されたスプリットモードのTFCI(Transport−Format−Combination Indicator)コードワードを多重して送信する送信処理装置と、受信したTFCIコードワードを、16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算することで復号する復号処理装置とを含む無線通信システムに用いられるスプリットモードTFCI復号処理方法であって、
前記復号処理装置が、前記TFCIコードワードを基に前記16次アダマール行列の各行または列成分との相関を計算するバタフライ演算器を時分割に使用して当該相関を計算する時分割高速アダマール変換手段を用いてTFCIコードワードを復号することを特徴とするスプリットモードTFCI復号処理方法。
【請求項14】
前記時分割高速アダマール変換手段が、前記TFCIコードワードと前記バタフライ演算器の計算結果とを随時格納するメモリバッファから前記バタフライ演算器に入出力するデータのアドレスポインタをアドレスポインタ抽出手段にて抽出することを特徴とする請求項13記載のスプリットモードTFCI復号処理方法。
【請求項15】
前記アドレスポインタ抽出手段が、前記バタフライ演算器の計算結果を前記メモリバッファに格納するのと同時に、前記メモリバッファの出力を次のバタフライ演算器の入力に書込むようにすることを特徴とする請求項14記載のスプリットモードTFCI復号処理方法。
【請求項16】
前記時分割高速アダマール変換手段が、前記TFCIコードワードを基に前記16次アダマール行列の各行または列成分との相関を第1及び第2のバタフライ演算器にて計算し、前記TFCIコードワードと前記第1及び第2のバタフライ演算器の計算結果とを第1及び第2のメモリバッファに随時格納し、前記第1及び第2のバタフライ演算器をそれぞれ時分割に使用するために前記第1及び第2のメモリバッファから前記第1及び第2のバタフライ演算器に入出力するデータのアドレスポインタをアドレスポインタ抽出手段にて抽出することを特徴とする請求項13記載のスプリットモードTFCI復号処理方法。
【請求項17】
前記アドレスポインタ抽出手段が、前記第1のバタフライ演算器の計算結果を前記第1のメモリバッファに格納するのと同時に、前記第1のメモリバッファの出力を前記第1のバタフライ演算器の入力に書込むようにするとともに、前記第2のバタフライ演算器の計算結果を前記第2のメモリバッファに格納するのと同時に、前記第2のメモリバッファの出力を前記第2のバタフライ演算器の入力に書込むようにすることを特徴とする請求項16記載のスプリットモードTFCI復号処理方法。
【請求項18】
前記第1のバタフライ演算器及び前記第1のメモリバッファが、A−DPCH(Associated Dedicated Physical Channel)のTFCI値の相関計算に用いられ、
前記第2のバタフライ演算器及び前記第2のメモリバッファが、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)のTFCI値の相関計算に用いられることを特徴とする請求項16または請求項17記載のスプリットモードTFCI復号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−157751(P2006−157751A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347947(P2004−347947)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】