説明

無線通信システム、無線制御装置、無線基地局装置および電力制御方法

【課題】E−DCHが使用されても、送信電力を適切な値に制御することが可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】無線基地局装置201は、受信したユーザデータの再送回数を計数し、その再送回数を無線ネットワーク制御装置101に送信する。無線ネットワーク制御装置101は、その再送回数に基づいて、目標SIRを計算し、その目標SIRを無線基地局装置201に送信する。無線基地局装置201は、その目標SIRに基づいて、携帯端末301の送信電力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウターループ電力制御を行なう無線通信システム、無線制御装置、無線基地局装置および電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
W−CDMA(広帯域符号分割多重接続:Wideband−Code Division Multiple Access)移動通信システムでは、無線基地局装置(NodeB)および携帯端末(UE:User Equipment)が個別チャネル(Dedicated Channel)を用いて通信を行なうときの電力が、最適な大きさになるように制御されている。
【0003】
この電力の制御には、アウターループ電力制御(OLPC:Outer Loop Power Control)と、インナーループ電力制御(ILPC:Inner Loop Power Control)とがある。
【0004】
インナーループ電力制御では、通信品質(希望波信号対干渉波信号電力比(SIR:Signal to Interference Ratio))の目標値に基づいて、送信電力を制御する。また、アウターループ電力制御では、その通信品質の目標値(以下、目標SIRと称する)を更新する。
【0005】
また、無線基地局装置および携帯端末が行なう通信には、無線基地局装置から携帯端末に情報を送信する下り方向の通信(Downlink)と、携帯端末から無線基地局装置に情報を送信する上り方向の通信(Uplink)との2方向の通信がある。アウターループ電力制御およびインナーループ電力制御のそれぞれは、下り方向の通信および上り方向の通信のそれぞれに用いられる。
【0006】
図9は、従来のW−CDMA移動通信システムを示したブロック図である。以下、図9を参照にして、上り方向の通信における電力制御を説明する。
【0007】
図9において、W−CDMA移動通信システムは、無線基地局装置(NodeB)1と、無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Controller)2とを含む。
【0008】
無線基地局装置1は、携帯端末(図示せず)から受信したデータの誤りの有無を、CRC(Cyclic Redundancy Checksum:巡回冗長検査)を行い検査する。無線基地局装置1は、その検査結果を、DCH−FP(Dedicated Channel-Frame Protocol:フレームプロトコルの個別チャネル)で無線ネットワーク制御装置2に通知する。
【0009】
無線ネットワーク制御装置2は、その検査結果に基づいて、上り方向の通信の目標SIRを計算する。例えば、無線ネットワーク制御装置2は、その検査結果が受信データの誤り有りを示すと、現在の通信品質の目標値より高い値を、目標値として計算する。これは、その誤りを少なくするためである。
【0010】
無線ネットワーク制御装置2は、その目標SIRを、DCH−FPで無線基地局装置1に通知する。
【0011】
無線基地局装置1は、その目標SIR値に応じて、携帯端末の送信電力を制御する。
【0012】
具体的には、無線基地局装置1は、携帯端末から受信したデータの通信品質(以下、受信SIRと称する)を測定し、その受信SIRが目標SIRになるように、携帯端末の送信電力を制御する。例えば、無線基地局装置1は、その受信SIRが目標SIR未満であると、送信電力の増加を示すTPC(Transmission Power Control)ビットを携帯端末に出力し、一方、その受信SIRが目標SIR以上であると、送信電力の減少を示すTPCビットを携帯端末に出力する。携帯端末は、送信電力の増加を示すTPCビットを受信すると、送信電力を上げ、送信電力の減少を示すTPCビットを受信すると、送信電力を下げる。
【0013】
もし、アウターループ電力制御で目標SIRが更新されなければ、携帯端末が必要以上に大きな電力でデータを送信し、無線基地局装置1のセル内の複数の携帯端末からの信号の干渉量が増加し、通信可能な携帯端末の数が減少するかもしれない。また、携帯端末が無線基地局装置1側でデータを正常に復号するのに必要な電力より小さい電力でデータを送信し、データの再送が要求され、データの伝送に遅延が起こるかもしれない。
【0014】
近年、W−CDMA移動通信では、通信の高速化を図るために、既存のDCHを拡張したE−DCH(高速化した個別チャネル:Enhanced Dedicated Channel)サービスが用いられている。E−DCHサービスでは、物理レイヤーにてH−ARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)が使用され、受信データが誤りだった場合、データが再送される。
【0015】
H−ARQでは、無線基地局装置は、携帯端末からデータが正常に受信されないと、正常に受信されなかったことを示す応答信号(NACK(Negative Acknowledgement)信号)を携帯端末に通知し、携帯端末にそのデータを再送信させる。
【0016】
また、無線基地局装置は、予め定められた回数、または、そのデータを正常に受信するまで、NACK信号の送信を繰り返す。無線基地局装置は、そのデータを正常に受信すると、データが正常に受信されたことを示す応答信号(ACK(Acknowledgement)信号)を送信し、携帯端末によるデータの再送信を停止させる。
【0017】
携帯端末は、NACK信号を受信するたびにデータを送信するが、その電力が適切な値でないと、無線リソースの利用効率が低下するなどの問題点があった。例えば、その電力が小さすぎると、携帯端末は、データを何度も再送してしまう。
【0018】
特許文献1(特開2004−12893号公報)には、H−ARQが使用されている場合に、無線リソースの利用効率を向上させることが可能な送信電力制御方法が記載されている。
【0019】
従来、上り方向の通信において、携帯端末は、目標SIRに応じた電力に、若干の余裕(以下、マージンと称する)を付与した電力でデータを送信するのが一般的である。
【0020】
特許文献1に記載の送信電力制御方法では、上り方向の通信において、携帯端末が、データの再送回数に応じてそのマージンを変更する。例えば、携帯端末は、再送回数が増えると、マージンを増やす。これにより、例えば、再送回数を軽減することが可能になり、
無線リソースの利用効率を向上させることが可能になっている。
【特許文献1】特開2004−128993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
特許文献1に記載の送信電力制御方法では、H−ARQが使用されている場合でも、目標SIRの更新には、従来のアウターループ電力制御が用いられている。このため、以下の問題点がある。
【0022】
例えば、E−DCHが使用されると、DCHは、SRB(シグナリング無線ベアラ:Signaling Radio Bearer)を設定するだけの目的で使用されるため、SRBの使用頻度にSIRの更新頻度が依存する。
【0023】
SRBの使用頻度は低いため、無線基地局装置がDCHにて受信したデータにCRCを行なっても、CRCが行なわれる回数が減少し、目標SIRの更新頻度が減少する。このため、携帯端末の送信電力が適切な値にならず、例えば、無線基地局装置のセル内の信号の干渉量が増加して、そのセル内で使用可能な携帯端末の数が減少するかもしれない。
【0024】
このため、無線基地局装置が、DCHにて受信されたデータに対してだけCRCが行なわれると、CRCを行なう回数が減少し、目標SIRを更新する頻度が減少する。
【0025】
また、無線基地局装置が、E−DCHにて受信されたデータに対してCRCを行なう場合でも、そのCRCは、その予め定められた回数、または、そのデータが正常に受信されるまで再送信されたデータに対して行なわれる。このため、そのCRCの検査結果が誤り有りを示すことが少なくなり、目標SIRが必要な値より小さく設定される可能性がある。これにより、携帯端末は、必要な電力より小さい電力でデータを送信し、データの再送が多くなり、データの通信の遅延が起こるかもしれない。
【0026】
本発明の目的は、E−DCHが使用されても、送信電力を適切な値に制御することが可能な無線通信システム、無線制御装置、無線基地局装置および電力制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記の目的を達成するために、本発明の無線通信システムは、携帯端末と接続された無線基地局装置と、前記無線基地局装置に接続された無線制御装置とを含む無線通信システムであって、前記無線基地局装置は、前記携帯端末からデータを受信する第一受付部と、前記第一受付部が受信したデータの再送回数を計数する制御部と、前記制御部が計数した再送回数を前記無線制御装置に送信する出力部と、前記無線制御装置から、データの通信品質の目標値を受信する第二受付部と、前記第二受付部が受信した目標値に基づいて、前記携帯端末の送信電力を制御する電力制御部と、を含み、前記無線制御装置は、前記無線基地局装置から前記再送回数を受信する受信部と、前記受信部が受信した再送回数に基づいて、前記目標値を計算する計算部と、前記計算部が計算した目標値を前記無線基地局装置に送信する送信部と、を含む。
【0028】
また、本発明の電力制御方法は、携帯端末と接続された無線基地局装置と、前記無線基地局装置に接続された無線制御装置とを含む無線通信システムが行なう電力制御方法であって、前記無線基地局装置が、前記携帯端末から前記データを受信する第一受付ステップと、前記無線基地局装置が、前記受信されたデータの再送回数を計数する計数ステップと、前記無線基地局装置が、前記計数された再送回数を前記無線制御装置に送信する出力ステップと、前記無線制御装置が、前記無線基地局装置から前記再送回数を受信する受信ステップと、前記無線制御装置が、前記受信された再送回数に基づいて、データの通信品質の目標値を計算する計算ステップと、前記無線制御装置が、前記計算された目標値を前記無線基地局装置に送信する送信ステップと、前記無線基地局装置が、前記無線制御装置から、前記目標値を受信する第二受付ステップと、前記無線基地局装置が、前記受信された目標値に基づいて、前記携帯端末の送信電力を制御する電力制御ステップと、を含む。
【0029】
また、本発明の無線制御装置は、携帯端末の送信電力をデータの通信品質の目標値に基づいて制御する無線基地局装置と接続された無線制御装置であって、前記無線基地局装置から、データの再送回数を受信する受信部と、前記受信部が受信した再送回数に基づいて、前記目標値を計算する計算部と、前記計算部が計算した目標値を前記無線基地局装置に送信する送信部と、を含む。
【0030】
また、本発明の無線制御装置が行なう電力制御方法は、携帯端末の送信電力をデータの通信品質の目標値に基づいて制御する無線基地局装置、と接続された無線制御装置が行なう電力制御方法であって、前記無線基地局装置から、データの再送回数を受信する受信ステップと、前記受信された再送回数に基づいて、前記目標値を計算する計算ステップと、前記計算された目標値を前記無線基地局装置に送信する送信ステップと、を含む。
【0031】
また、本発明の無線基地局装置は、携帯端末と、データの通信品質の目標値をデータの再送回数に基づいて計算する無線制御装置と、に接続された無線基地局装置であって、前記携帯端末から前記データを受信する第一受付部と、前記第一受付部が受信したデータの再送回数を計数する制御部と、前記制御部が計数した再送回数を前記無線制御装置に送信する出力部と、前記無線制御装置から、前記目標値を受信する第二受付部と、前記第二受付部が受信した目標値に基づいて、前記携帯端末の送信電力を制御する電力制御部と、を含む。
【0032】
また、本発明の無線基地局装置が行なう電力制御方法は、携帯端末と、データの通信品質の目標値をデータの再送回数に基づいて計算する無線制御装置と、に接続された無線基地局装置が行なう電力制御方法であって、前記携帯端末から前記データを受信する第一受付ステップと、前記受信されたデータの再送回数を計数する計数ステップと、前記計数された再送回数を前記無線制御装置に送信する出力ステップと、前記無線制御装置から、前記目標値を受信する第二受付ステップと、前記受信された目標値に基づいて、前記携帯端末の送信電力を制御する電力制御ステップと、を含む。
【0033】
上記の発明によれば、データの通信品質の目標値が、データの再送回数に基づいて計算される。データの再送回数は、データが正常に受信されなかった回数を表すため、再送回数が多いほど通信品質が悪いことを表す。つまり、再送回数は、現在の通信品質に依存する。
【0034】
このため、E−DCHが使用されても、送信電力を適切な値に制御することが可能になる。
【0035】
また、前記無線制御装置は、現在の目標値および基準回数を記憶する記憶部を含み、前記計算部は、前記受信部が受信した再送回数が前記基準回数より大きいと、前記現在の目標値より大きい値を前記目標値として計算し、また、前記受信部が受信した再送回数が前記基準回数より小さいと、前記現在の目標値より小さい値を前記目標値として計算することが望ましい。
【0036】
上記の発明によれば、通信品質の目標値が、再送回数が基準回数より大きいと、現在の目標値より大きくなり、再送回数が基準回数より小さいと、現在の目標値より小さくなる。
【0037】
このため、容易に通信品質の目標値を適切な値にすることが可能になる。
【0038】
また、前記無線制御装置は、他の無線基地局装置と接続され、前記送信部は、前記目標値をフレームプロトコルの個別チャネルで、前記無線基地局装置および前記他の無線基地局装置に送信することが可能になる。
【0039】
上記の発明によれば、通信品質の目標値が、再送回数が計数されて無線基地局装置だけでなく、他の無線基地局装置にも送信する。
【0040】
このため、例えば、H−ARQが使用されていない無線基地局装置などの、再送回数を計数していない無線基地局装置に対しても、通信品質の目標値を同時に送信することが可能になる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、E−DCHが使用されても、送信電力を適切な値に制御することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0043】
図1は、本発明の一実施例の無線通信システムを示したブロック図である。
【0044】
図1において、無線通信システムは、無線ネットワーク制御装置101と、無線基地局装置201と、携帯端末301とを含む。
【0045】
無線ネットワーク制御装置(RNC)101は、無線基地局装置(NodeB)201およびコアネットワーク(CN:Core Network)401に、例えば、光ファイバーなどの有線回線を介して相互に接続される。
【0046】
無線基地局装置201は、携帯端末(UE)301と無線にて相互に接続される。
【0047】
無線基地局装置201および携帯端末301の下り方向の通信には、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)サービスが提供され、その上り方向の通信には、E−DCHサービス(高速化した個別チャネル)が提供される。
【0048】
先ず、本実施例の概要について説明する。
【0049】
図2は、無線通信システムの無線ネットワーク制御装置101および無線基地局装置201を示したブロック図である。
【0050】
また、無線基地局装置201は、携帯端末301からE−DCHで受信したデータの再送回数(NHR:Number of H-ARQ Retransmissions)を計数し、その再送回数をE−DCH−FP(フレームプロトコルの高速化した個別チャネル)で無線ネットワーク制御装置101に送信する。なお、無線基地局装置201は、データが正常に受信されないと、携帯端末301にそのデータを再送させるので、データの再送回数は、そのデータが正常に受信されなかった回数を表す。このため、再送回数が多いほど通信品質が悪いことを表す。つまり、再送回数は、現在の通信品質に依存する。
【0051】
無線ネットワーク制御装置101は、その再送回数を受信すると、その再送回数に基づいて、データの通信品質(SIR)の目標値を計算する。以下、通信品質の目標値を目標SIRと称する。
【0052】
無線ネットワーク制御装置101は、その目標SIRを無線基地局装置201に、DCH−FP(フレームプロトコルの個別チャネル)で送信する。
【0053】
無線基地局装置201は、その目標SIRを受信すると、その目標SIRに基づいて、携帯端末301の送信電力を制御する。
【0054】
図3aは、無線通信システムで用いられる通信チャネルの一例を説明するための説明図である。図3aでは、無線通信システムの、無線ネットワーク制御装置101と、無線基地局装置201と、携帯端末301とが示されている。
【0055】
無線ネットワーク制御装置101、無線基地局装置201および携帯端末301が行なう通信では、トランスポートチャネルとして、DCH(個別チャネル)と、E−DCHと、HSDPAサービスで使用されるHS−DSCH(高速化した共有チャネル)とが用いられる。
【0056】
先ず、無線ネットワーク制御装置101および無線基地局装置201間(lub)の通信について説明する。
【0057】
無線ネットワーク制御装置101は、SRBのデータおよび目標SIRの送信のためDCH−FP(フレームプロトコルの個別チャネル)155を用いる。また、無線ネットワーク制御装置101は、ユーザデータを送信するために、HS−DSCH―FP(フレームプロトコルの高速化した共有チャネル)156を用いる。
【0058】
また、無線基地局装置201は、SRBのデータの送信のためにDCH−FP275を用いる。また、無線基地局装置201は、ユーザデータおよび再送回数を送信するために、E−DCH−FP(フレームプロトコルの高速化した個別チャネル)276を用いる。
【0059】
次に、無線基地局装置201および携帯端末301間(Uu)の通信について説明する。
【0060】
Uuの下り方向の通信では、DCH255と、HS−DSCH256と、E−DCH257が用いられる。
【0061】
無線基地局装置201は、SRBの設定情報およびTPCビットの送信のためにDCH255を用いる。具体的には、無線基地局装置201は、TPCビットの送信には、DCH255がマッピングされた物理チャネル(DPCCH)を用いる。
【0062】
図3bは、トランスポートチャネルおよび物理チャネルの対応を示した説明図である。
【0063】
図3bでは、トランスポートチャネルの物理チャネルへのマッピングが示されている。トランスポートチャネルとして、本実施例で用いるDCH、E−DCHおよびHS−DSCHが示されている。また、トランスポートチャネルがマッピングされる物理チャネルが、トランスポートチャネルごとに示されている。
【0064】
なお、図3において、DLは、下り方向の通信に使用される物理チャネルを示し、ULは、上り方向の通信に使用される物理チャネルを示している。また、DL/ULが、下り方向の通信および上り方向の通信に使用される物理チャネルを示している。
【0065】
無線基地局装置201は、ユーザデータを送信するために、HS−DSCH256を用いる。
【0066】
また、無線基地局装置201は、応答信号(ACK信号およびNACK信号)の送信のためにE−DCH257を用いる。具体的には、無線基地局装置201は、応答信号の送信には、E−DCH257がマッピングされた物理チャネル(E−HICH(E-DCH Hybrid ARQ Indicator Channel))を用いる。
【0067】
また、携帯端末301は、SRBの設定のためにDCH355を用いる。また、携帯端末301は、ユーザデータを送信するためにE−DCH356を用いる。
【0068】
以下、下り方向のユーザデータの通信、および、SRBの設定については、従来のものと同じであり、また、本発明と直接関係しないので説明を省略する。
【0069】
図4は、無線ネットワーク制御装置101の構成の一例を示したブロック図である。
【0070】
図4において、無線ネットワーク制御装置101は、受信部111と、処理部112と、記憶部113と、更新部114と、送信部115と、制御送信部116とを含む。
【0071】
受信部111は、無線基地局装置201から、ユーザデータと再送回数とを受信する。
【0072】
処理部112は、その受信されたユーザデータを、制御送信部116に出力する。
【0073】
記憶部113は、現在の目標SIRと、判定回数と、基準回数(NHRth)とを記憶する。
【0074】
更新部114は、その受信された再送回数に基づいて、目標SIRを計算する。具体的には、更新部114は、以下の処理を行なう。
【0075】
先ず、更新部114は、その再送回数が記憶部113に記憶された判定回数以上か否かを判定する。なお、判定回数は、本実施例では、13とする。これは、3GPP規格Release6(3GPP TS25.427 V6.6.0(3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; UTRAN Iub/Iur interface user plane protocol for DCH data streams (Release 6))において、再送回数は、0ないし15で規定されているが、再送回数「13」または「14」は予備として用いられるため使用されていない。また、再送回数「15」は、再送回数が不明な際に使用されることになっているからである。
【0076】
再送回数が判定回数「13」未満であると、更新部114は、その再送回数が記憶部113に記憶された基準回数より大きいか、等しいか、または、小さいかを判定する。
【0077】
この基準回数に応じて、目標SIRが上がりやすくなるか、または、下がりやすくなるかが決定される。例えば、この基準回数が大きくなると、目標SIRが下がりやすくなり、この基準回数が小さくなると、目標SIRが上がりやすくなる。なお、基準回数は、一定の値でもよいし、無線通信の通信状況などにより変化してもよい。本実施例では、基準回数は、無線通信の通信状況などにより変化するとする。
【0078】
その再送回数がその基準回数より小さいと、更新部114は、記憶部113に記憶された目標SIRより小さい値を目標SIRとして計算する。具体的には、更新部114は、数1を用いて目標SIRを計算する。
【0079】
【数1】

数1において、UL SIR Targetは、目標SIRであり、UL SIR Target_Oは、記憶部113に記憶された現在の目標SIRである。また、ΔおよびC1は、定数である。なお、Δは、正数であり、C1は、0ないし1の範囲の数である。Δが大きいほど、目標SIRの更新による変動率が大きくなる。
【0080】
また、その再送回数が基準回数と等しいと、または、その再送回数が判定回数「13」以上であると、更新部114は、記憶部113に記憶された現在の目標SIRを目標SIRとする。
【0081】
また、その再送回数が基準回数より大きいと、更新部114は、記憶部113に記憶された現在の目標SIRより大きい値を目標SIRとして計算する。具体的には、更新部114は、数2を用いて目標SIRを計算する。
【0082】
【数2】

なお、数2において、数1と同じものには、同じ記号を用いている。
【0083】
更新部114は、その目標SIRを計算すると、記憶部113に記憶された現在の目標SIRをその計算された目標SIRに更新する。
【0084】
送信部115は、更新部114が計算した目標SIRを無線基地局装置201に送信する。
【0085】
制御送信部116は、処理部112から受け付けたユーザデータをコアネットワーク401に送信する。
【0086】
図5は、無線基地局装置201の構成の一例を示したブロック図である。
【0087】
図5において、無線基地局装置201は、無線受信部211と、基地局記憶部212と、制御部213と、基地局送信部214と、基地局受信部215と、設定部216と、無線送信部217とを含む。
【0088】
無線受信部211は、携帯端末301から、ユーザデータを受信する。
【0089】
基地局記憶部212は、再送回数の上限値(NHRmax)を記憶する。
【0090】
制御部213は、その受信されたユーザデータの再送回数を計数する。具体的には、制御部213は、以下の処理を行なう。
【0091】
制御部213は、無線受信部211が受信したユーザデータが正常に受信されたか否かを判定する。例えば、制御部213は、そのユーザデータにCRCを行い、そのユーザデータに誤りがあるか否かを判定する。制御部213は、そのユーザデータに誤りがない(CRC=OKである)と、そのデータが正常に受信されたと判定し、一方、そのユーザデータに誤りがある(CRC=NGである)と、そのユーザデータが正常に受信されていないと判定する。
【0092】
そのユーザデータが正常に受信されていると、制御部213は、ACK信号を生成し、そのACK信号を、無線送信部217を介して携帯端末301に送信する。
【0093】
一方、そのユーザデータが正常に受信されていないと、制御部213は、保持している再送回数が基地局記憶部212に記憶された上限値未満か否かを判定する。
【0094】
その再送回数がその上限値未満であると、制御部213は、保持している再送回数を1だけ増やし、かつ、NACK信号を生成する。制御部213は、そのNACK信号を、無線送信部217を介して携帯端末301に送信する。
【0095】
基地局送信部214は、ユーザデータと、制御部213が計数した再送回数とを無線ネットワーク制御装置101に送信する。具体的には、基地局送信部214は、制御部213にてそのユーザデータが正常に受信されていない、または、その再送回数がその上限値以上であると判定されると、その再送回数を無線ネットワーク制御装置101に送信する。
【0096】
基地局受信部215は、無線ネットワーク制御装置101から、目標SIRを受信する。
【0097】
設定部216は、基地局受信部215が受信した目標SIRに基づいて、携帯端末301の送信電力を制御する。
【0098】
具体的には、設定部216は、現在の目標SIRが設定され、基地局受信部215が目標SIRを受信すると、その受信された目標SIRに、設定されている現在の目標SIRを更新する。
【0099】
また、設定部216は、無線受信部211が受信したユーザデータの受信SIRを測定し、その受信SIRが保持している目標SIRより大きいか否かを判定する。
【0100】
設定部216は、その受信SIRがその目標SIRより大きいと、送信電力の増加を示すTPCビットを生成し、一方、その受信SIRがその目標SIR以下であると、送信電力の減少を示すTPCビットを生成する。
【0101】
設定部216は、TPCビットを生成すると、そのTPCビットを、無線送信部217を介して携帯端末301に送信する。
【0102】
携帯端末301は、無線基地局装置201にユーザデータを送信する。
【0103】
また、携帯端末301は、無線基地局装置201からNACK信号を受信すると、そのデータを再送する。さらに、携帯端末301は、無線基地局装置201からACK信号を受信すると、次のデータを無線基地局装置201に送信する。
【0104】
また、携帯端末301は、無線基地局装置201からTPCビットを受信すると、そのTPCビットに従って、送信電力を変更する。具体的には、携帯端末301は、送信電力の増加を示すTPCビットを受信すると、送信電力を上げ、一方、送信電力の減少を示すTPCビットを受信すると、送信電力を下げる。
【0105】
次に動作を説明する。
【0106】
図6は、無線通信システムの動作を説明するためのフローチャートである。なお、ステップFB100は、主に無線基地局装置201が行なう処理であり、ステップFB01ないしFB09を含む。ステップFR100は、無線ネットワーク制御装置101が行なう処理であり、ステップFR00ないしFR03を含む。
【0107】
ステップFB00では、携帯端末301は、ユーザデータを、E−DCH356で無線基地局装置201の無線受信部211に送信する。その後、無線受信部211がステップFB01を実行する。なお、制御部213は、保持している再送回数(NHR)を0に初期化しているものとする。
【0108】
ステップFB01では、無線受信部211は、そのユーザデータを受信し、そのユーザデータを制御部213および設定部216に出力する。制御部213は、そのユーザデータを受け付けると、ステップFB02を実行する。
【0109】
ステップFB02では、制御部213は、そのユーザデータが正常に受信されたか否かを判定する。具体的には、制御部213は、そのユーザデータにCRCを行い、そのユーザデータに誤りがあるか否かを判定する。制御部213は、そのユーザデータに誤りがないと、そのユーザデータが正常に受信されたと判定し、一方、そのユーザデータに誤りがあると、そのデータが正常に受信されていないと判定する。
【0110】
制御部213は、そのユーザデータが正常に受信されたと判定すると、ステップFB03を実行し、そのユーザデータが正常に受信されていないと判定すると、ステップFB05を実行する。
【0111】
ステップFB03では、制御部213は、ACK信号を生成し、そのACK信号を無線送信部217に出力する。無線送信部217は、そのACK信号を受け付けると、そのACK信号をE−DCH257(具体的には、E−HICH)で携帯端末301に送信する。
【0112】
携帯端末301は、そのACK信号を受信すると、次のユーザデータを無線基地局装置201の無線受信部211に送信する。
【0113】
一方、制御部213は、ACK信号を出力すると、ステップFB04を実行する。
【0114】
ステップFB04では、制御部213は、そのユーザデータを基地局送信部214に出力する。基地局送信部214は、そのユーザデータを受け付けると、そのユーザデータをE−DCH−FP276で、無線ネットワーク制御装置101の受信部111に送信する。
【0115】
一方、制御部213は、ユーザデータを出力すると、ステップFB08を実行する。
【0116】
ステップFB05では、制御部213は、NACK信号を生成し、そのNACK信号を無線送信部217に出力する。無線送信部217は、そのNACK信号を受け付けると、そのNACK信号をE−DCH257(E−HICH)で携帯端末301に送信する。
【0117】
携帯端末301は、そのNACK信号を受信すると、そのユーザデータを無線基地局装置201の無線受信部211に再送信する。
【0118】
一方、制御部213は、NACK信号を出力すると、ステップFB06を実行する。
【0119】
ステップFB06では、制御部213は、基地局記憶部212に記憶された上限値を確認し、保持している再送回数がその上限値未満か否かを判定する。制御部213は、その再送回数がその上限値未満であると、ステップFB09を実行し、その再送回数がその上限値以上であると、ステップFB07を実行する。
【0120】
ステップFB07では、制御部213は、そのユーザデータを破棄する。制御部213は、そのユーザデータを破棄すると、ステップFB08を実行する。
【0121】
なお、このとき、制御部213は、NACK信号の生成を行なわず、ユーザデータの再送処理を停止する。
【0122】
ステップFB08では、制御部213は、保持している再送回数を基地局送信部214に出力する。基地局送信部214は、その再送回数を受け付けると、その再送回数を、E−DCH−FP276で無線ネットワーク制御装置101の受信部111に送信する。その後、受信部111がステップFR00を実行する。
【0123】
ステップFB09では、制御部213は、保持している再送回数を1だけ増やす。制御部213は、再送回数を増やすと、待機状態になる。その後、無線受信部211がステップFB01を実行する。
【0124】
ステップFR00では、受信部111は、無線基地局装置201から再送回数を受信し、その再送回数を更新部114に出力する。更新部114は、その再送回数を受け付けると、ステップFR01を実行する。
【0125】
なお、ステップFB04で、無線基地局装置201の基地局送信部214がユーザデータを送信した場合、受信部111は、そのユーザデータを受信し、そのユーザデータを処理部112に出力する。処理部112は、そのユーザデータを受け付けると、そのユーザデータを制御送信部116に出力する。制御送信部116は、そのユーザデータを受け付けると、そのユーザデータをコアネットワーク401に出力する。
【0126】
ステップFR01では、更新部114は、その再送回数に基づいて、目標SIRを計算する。更新部114は、目標SIRを計算すると、ステップFR02を実行する。
【0127】
ステップFR02では、更新部114は、その目標SIRを送信部115に出力する。送信部115は、その目標SIRをDCH−FP155で無線基地局装置201の基地局受信部215に送信する。
【0128】
基地局受信部215は、その目標SIRを受信すると、その目標SIRを設定部216に出力する。設定部216は、その目標SIRに、設定されている現在の目標SIRを更新する。
【0129】
その後、設定部216は、無線受信部211からユーザデータを受け付けると、そのユーザデータの受信SIRを測定する。設定部216は、その受信SIRがその設定されている目標SIR以上か否かを判定する。
【0130】
続いて、設定部216は、その受信SIRがその目標SIR以上であると、送信電力の減少を示すTPCビットを生成し、一方、その受信SIRがその目標SIR未満であると、送信電力の増加を示すTPCビットを生成する。設定部216は、そのTPCビットを無線送信部217に出力する。
【0131】
さらに、無線送信部217は、そのTPCビットを受け付けると、そのTPCビットをDCH255(具体的には、DPCCH)で携帯端末301に送信する。
【0132】
その後、携帯端末301は、無線基地局装置201からTPCビットを受信すると、そのTPCビットに従って、送信電力を変更する。具体的には、携帯端末301は、送信電力の増加を示すTPCビットを受信すると、送信電力を上げ、一方、送信電力の減少を示すTPCビットを受信すると、送信電力を下げる。
【0133】
次に、更新部114の動作を具体的に説明する。
【0134】
図7は、更新部114の動作を説明するためのフローチャートである。
【0135】
図6のステップFR01で、更新部114は、再送回数を受け付けると、ステップFC00を実行する。
【0136】
ステップFC00では、更新部114は、記憶部113に記憶された判定回数「13」を確認し、その再送回数が判定回数「13」以上か否かを判定する。
【0137】
更新部114は、その再送回数がその判定回数「13」以上であると、ステップFC01を実行し、その再送回数がその判定回数「13」未満であると、ステップFC02を実行する。
【0138】
ステップFC01では、更新部114は、記憶部113から現在の目標SIRを取得し、その現在の目標SIRを目標SIRとする。更新部114は、ステップFC02を終了すると、ステップFR02を実行する。
【0139】
一方、ステップFC02では、更新部114は、記憶部113に記憶された基準回数を確認し、その再送回数がその基準回数以上か否を判定する。更新部114は、その再送回数がその基準回数以上であると、ステップFC04を実行し、その再送回数がその基準回数未満であると、FC03を実行する。
【0140】
ステップFC03では、更新部114は、数1を用いて目標SIRを計算する。更新部114は、目標SIRを計算すると、ステップFR02を実行する。
【0141】
ステップFC04では、更新部114は、その再送回数が基準回数と等しいか否かを判定する。更新部114は、その再送回数が基準回数と等しいと、ステップFC01を実行し、その再送回数が基準回数と等しくないと、ステップFC05を実行する。
【0142】
ステップFC05では、更新部114は、その再送回数がその基準回数より小さいと判断して、数2を用いて目標SIRを計算する。更新部114は、目標SIRを計算すると、ステップFR02を実行する。
【0143】
本実施例によれば、無線基地局装置201の制御部213は、無線受信部211が受信したユーザデータの再送回数を計数する。基地局送信部214は、その再送回数を無線ネットワーク制御装置101に送信する。無線ネットワーク制御装置101の更新部114は、受信部111が受信した再送回数に基づいて、目標SIRを計算する。送信部115は、その目標SIRを無線基地局装置201に送信する。無線基地局装置201の基地局受信部215は、その目標SIRを受信する。設定部216は、その目標SIRに基づいて、携帯端末301の送信電力を制御する。
【0144】
この場合、目標SIRが、ユーザデータの再送回数に基づいて計算される。データの再送回数は、データが正常に受信されなかった回数を表すため、再送回数が多いほど通信品質が悪いことを表す。つまり、再送回数は、現在の通信品質に依存する。このため、E−DCHが使用されても、送信電力を適切な値に制御することが可能になる。
【0145】
また、本実施例では、更新部114は、その再送回数が記憶部113に記憶された基準回数より大きいと、現在の目標SIRより大きい値を目標SIRとして計算し、一方、その再送回数が記憶部113に記憶された基準回数より小さいと、現在の目標SIRより小さい値を目標SIRとして計算する。
【0146】
この場合、目標SIRが、再送回数が基準回数より大きいと、現在の目標SIRより大きくなり、再送回数が基準回数より小さいと、現在の目標SIRより小さくなる。このため、容易に通信品質の目標値を適切な値にすることが可能になる。
【0147】
次に、無線基地局装置が複数ある無線通信システムについて説明する。以下、主に図1ないし図7で説明した構成または動作と異なる構成または動作を説明する。
【0148】
図8は、無線基地局装置が複数ある無線通信システムを示したブロック図である。
【0149】
図8において、無線通信システムは、無線ネットワーク制御装置101と、無線基地局装置201aないし201dとを含む。
【0150】
無線ネットワーク制御装置101は、無線基地局装置201aないし201dと接続される。
【0151】
無線基地局装置201aないし201dの少なくとも一つは、H−ARQを使用している。以下、少なくとも、無線基地局装置201aはH−ARQを使用しているものとする。
【0152】
無線ネットワーク制御装置101の更新部114は、受信部111が無線基地局装置201aから受信した再送回数に基づいて目標SIRを計算し、その目標SIRを送信部115に出力する。
【0153】
送信部115は、更新部114から目標SIRを受付けると、その目標SIRをDCH−FPで無線基地局装置201aないし201dのそれぞれに送信する。
【0154】
DCH−FPは、H−ARQを使用していない無線基地局装置とも通信が可能なチャネルである。このため、無線ネットワーク制御装置101は、再送回数を計数した無線基地局装置201aだけでなく、無線基地局装置201bないし201dが、H−ARQを使用していても、H−ARQを使用していなくても、無線基地局装置201aないし201dに目標SIRを通知することができる。
【0155】
本実施例によれば、送信部115は、目標SIRをDCH−FPで無線基地局装置201aないし201dに送信する。
【0156】
この場合、例えば、H−ARQが使用されていない無線基地局装置などの、再送回数を計数していない無線基地局装置に対しても、目標SIRを同時に送信することが可能になる。
【0157】
以上説明した実施例において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の一実施例の無線通信システムを示したブロック図である。
【図2】無線ネットワーク制御装置および無線基地局装置を示したブロック図である。
【図3a】無線通信システムで用いられる通信チャネルの一例を説明するための説明図である。
【図3b】トランスポートチャネルおよび物理チャネルの対応を示した説明図である。
【図4】無線ネットワーク制御装置の構成の一例を示したブロック図である。
【図5】無線基地局装置201の構成の一例を示したブロック図である。
【図6】無線通信システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】更新部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施例の無線通信システムを示したブロック図である。
【図9】従来のW−CDMA移動通信システムを示したブロック図である。
【符号の説明】
【0159】
101 無線ネットワーク制御装置(RNC)
111 受信部
112 処理部
113 記憶部
114 更新部
115 送信部
116 制御送信部
201 無線基地局装置(NodeB)
211 基地局受信部
212 基地局記憶部
213 制御部
214 基地局送信部
215 基地局受信部
216 設定部
217 無線送信部
301 携帯端末(UE)
401 コアネットワーク(CN)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と接続された無線基地局装置と、前記無線基地局装置に接続された無線制御装置とを含む無線通信システムであって、
前記無線基地局装置は、
前記携帯端末からデータを受信する第一受付部と、
前記第一受付部が受信したデータの再送回数を計数する制御部と、
前記制御部が計数した再送回数を前記無線制御装置に送信する出力部と、
前記無線制御装置から、データの通信品質の目標値を受信する第二受付部と、
前記第二受付部が受信した目標値に基づいて、前記携帯端末の送信電力を制御する電力制御部と、を含み、
前記無線制御装置は、
前記無線基地局装置から前記再送回数を受信する受信部と、
前記受信部が受信した再送回数に基づいて、前記目標値を計算する計算部と、
前記計算部が計算した目標値を前記無線基地局装置に送信する送信部と、を含む無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記無線制御装置は、現在の目標値および基準回数を記憶する記憶部を含み、
前記計算部は、前記受信部が受信した再送回数が前記基準回数より大きいと、前記現在の目標値より大きい値を前記目標値として計算し、また、前記受信部が受信した再送回数が前記基準回数より小さいと、前記現在の目標値より小さい値を前記目標値として計算する、無線通信システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の無線通信システムにおいて、
前記無線制御装置は、他の無線基地局装置と接続され、
前記送信部は、前記目標値をフレームプロトコルの個別チャネルで、前記無線基地局装置および前記他の無線基地局装置に送信する、無線通信システム。
【請求項4】
携帯端末の送信電力をデータの通信品質の目標値に基づいて制御する無線基地局装置と接続された無線制御装置であって、
前記無線基地局装置から、データの再送回数を受信する受信部と、
前記受信部が受信した再送回数に基づいて、前記目標値を計算する計算部と、
前記計算部が計算した目標値を前記無線基地局装置に送信する送信部と、を含む無線制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の無線制御装置において、
現在の目標値および基準回数を記憶する記憶部を含み、
前記計算部は、前記受信部が受信した再送回数が前記基準回数より大きいと、前記現在の目標値より大きい値を前記目標値として計算し、また、前記受信部が受信した再送回数が前記基準回数より小さいと、前記現在の目標値より小さい値を前記目標値として計算する、無線制御装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の無線制御装置において、
他の無線基地局装置と接続され、
前記送信部は、前記目標値をフレームプロトコルの個別チャネルで、前記無線基地局装置および前記他の無線基地局装置に送信する、無線制御装置。
【請求項7】
携帯端末と、データの通信品質の目標値をデータの再送回数に基づいて計算する無線制御装置と、に接続された無線基地局装置であって、
前記携帯端末から前記データを受信する第一受付部と、
前記第一受付部が受信したデータの再送回数を計数する制御部と、
前記制御部が計数した再送回数を前記無線制御装置に送信する出力部と、
前記無線制御装置から、前記目標値を受信する第二受付部と、
前記第二受付部が受信した目標値に基づいて、前記携帯端末の送信電力を制御する電力制御部と、を含む無線基地局装置。
【請求項8】
携帯端末と接続された無線基地局装置と、前記無線基地局装置に接続された無線制御装置とを含む無線通信システムが行なう電力制御方法であって、
前記無線基地局装置が、前記携帯端末からデータを受信する第一受付ステップと、
前記無線基地局装置が、前記受信されたデータの再送回数を計数する計数ステップと、
前記無線基地局装置が、前記計数された再送回数を前記無線制御装置に送信する出力ステップと、
前記無線制御装置が、前記無線基地局装置から前記再送回数を受信する受信ステップと、
前記無線制御装置が、前記受信された再送回数に基づいて、データの通信品質の目標値を計算する計算ステップと、
前記無線制御装置が、前記計算された目標値を前記無線基地局装置に送信する送信ステップと、
前記無線基地局装置が、前記無線制御装置から、前記目標値を受信する第二受付ステップと、
前記無線基地局装置が、前記受信された目標値に基づいて、前記携帯端末の送信電力を制御する電力制御ステップと、を含む電力制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の電力制御方法において、
前記無線制御装置は、現在の目標値および基準回数を記憶する記憶部を含み、
前記計算ステップは、
前記無線制御装置が、前記受信された再送回数が前記基準回数より大きいと、前記現在の目標値より大きい値を前記目標値として計算する増加ステップと、
前記無線制御装置が、前記受信された再送回数が前記基準回数より小さいと、前記現在の目標値より小さい値を前記目標値として計算する減少ステップと、を含む、電力制御方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の電力制御方法において、
前記無線制御装置は、他の無線基地局装置と接続され、
前記送信ステップでは、前記目標値をフレームプロトコルの個別チャネルで、前記無線基地局装置および前記他の無線基地局装置に送信する、電力制御方法。
【請求項11】
携帯端末の送信電力をデータの通信品質の目標値に基づいて制御する無線基地局装置、と接続された無線制御装置が行なう電力制御方法であって、
前記無線基地局装置から、データの再送回数を受信する受信ステップと、
前記受信された再送回数に基づいて、前記目標値を計算する計算ステップと、
前記計算された目標値を前記無線基地局装置に送信する送信ステップと、を含む電力制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電力制御方法において、
前記無線制御装置は、現在の目標値および基準回数を記憶する記憶部を含み、
前記計算ステップは、
前記受信された再送回数が前記基準回数より大きいと、前記現在の目標値より大きい値を前記目標値として計算する増加ステップと、
前記受信された再送回数が前記基準回数より小さいと、前記現在の目標値より小さい値を前記目標値として計算する減少ステップと、を含む、電力制御方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の電力制御方法において、
前記無線制御装置は、他の無線基地局装置と接続され、
前記送信ステップでは、前記目標値をフレームプロトコルの個別チャネルで、前記無線基地局装置および前記他の無線基地局装置に送信する、電力制御方法。
【請求項14】
携帯端末と、データの通信品質の目標値をデータの再送回数に基づいて計算する無線制御装置と、に接続された無線基地局装置が行なう電力制御方法であって、
前記携帯端末から前記データを受信する第一受付ステップと、
前記受信されたデータの再送回数を計数する計数ステップと、
前記計数された再送回数を前記無線制御装置に送信する出力ステップと、
前記無線制御装置から、前記目標値を受信する第二受付ステップと、
前記受信された目標値に基づいて、前記携帯端末の送信電力を制御する電力制御ステップと、を含む電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−118514(P2008−118514A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301424(P2006−301424)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】