説明

無線通信システム、通信装置、及び無線通信方法

【課題】上りリンクSDMA伝送においてフレームのタイミング検出を可能にする。
【解決手段】複数の第1の通信装置及び第2の通信装置を有する無線通信システムにおいて、第2の通信装置が、第1の通信装置それぞれから受信した信号の受信信号電力を算出し、算出した受信信号電力の大きい順に第1の通信装置それぞれに対する順位付けを行い、順位付けの結果を示す制御信号を第1の通信装置それぞれに送信する。そして、第1の通信装置が、第1の通信装置のすべてにおいて共通のトレーニング信号系列を生成し、生成したトレーニング信号系列に対して、制御信号が示す自装置の順位が高いほど小さい遅延量であって第1の通信装置ごとに異なる遅延量を有する循環シフト遅延を付加し、循環シフト遅延が付加されたトレーニング信号系列を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一の周波数帯域を用い、互いに異なる複数の送信アンテナ素子を用いて互いに独立な信号系列を伝送することにより、複数の通信相手との間の情報伝達を実現する高速な無線通信システムである上りリンク空間分割多元接続(Space Division Multiple Access;SDMA)伝送を行う無線通信システム、通信装置、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、2.4GHz帯又は5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格、IEEE802.11n規格などの普及が目覚ましい。これらの無線通信システムでは、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させるための技術である直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;OFDM)方式を用い、最大で300Mbpsの伝送速度を実現している(非特許文献1)。
【0003】
今後、更なる高速な無線通信システムを用いたサービスが増加すると考えられる。それに伴い、無線通信システムにおける端末局数が増大すると考えられる。しかしながら、通信に利用できる周波数帯域は有限であるために、端末局数が増加すると、周波数チャネルが逼迫してしまうために、利用できないユーザが増加してしまう問題が生じてしまう。
【0004】
そこで、最近、伝送速度の高速化、大容量化の技術として、最も注目されているのが空間分割多元接続(Space Division Multiple Access;SDMA)伝送、若しくはマルチユーザMIMO(Multiple Input Multiple Output;多入力多出力)送信技術である(非特許文献2)。図9は、上りリンクSDMA伝送技術が適用される無線通信システム9の構成を示す概略図である。無線通信システム9は、U(Uは、U≧2の自然数)個の端末局(Station;STA))92−1〜92−Uと、基地局91(アクセスポイント(Access Point;AP))とを備えている。
【0005】
端末局92−1〜92−Uは、それぞれが有しているM(u)(u=1、…、U)本の送信アンテナ素子から同一周波数、かつ同一タイミングで異なる独立な信号を基地局91に送信する。基地局91は、自局が有しているN(Nは、N≧2の自然数)本の受信アンテナ素子を介して、端末局92−1〜92−Uが送信した信号を受信する。このとき、基地局91は、同一時刻、かつ同一周波数で空間的に多重された信号に対し、N本のアンテナ素子からなるアンテナアレーを用いた信号分離を行い、端末局92−1〜92−Uが送信したデータを取得する。
【0006】
このように、上りリンクSDMA伝送技術は、同一時刻、かつ同一周波数で空間的に信号を多重して伝送し、アンテナアレーを用いて多重された信号を分離することにより、上り伝送スループットの向上を実現する技術である。
【0007】
ところで、無線伝送の場合、パケット伝送が主流であることから、パケット(フレーム)の先頭位置を検出するために、タイミング検出が必要である。特に、OFDM伝送の場合、タイミング検出が不完全で、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;FFT)ウィンドウの位置がずれてしまうと、ブロック間干渉(Inter-Block Interference;IBI)が生じ、伝送特性が大幅に劣化してしまう。
【0008】
シングルユーザ伝送の場合には、トレーニング信号を用いてタイミング検出を行っていた。代表的なものとしては、非特許文献3に示されるように、送受信機で既知の信号系列(トレーニング信号系列)を送信し、受信側で受信されたトレーニング信号系列と、受信側が予め記憶しているトレーニング信号系列の相互相関を取ってピークを検出することでタイミング検出を行ってきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】IEEE, “Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) specifications: Enhancements for Higher Throughput,” IEEE 802.11n-2009, Oct. 2009.
【非特許文献2】B. Suard, X. Guanghan, L. Hui, and T. Kailath, “Uplink channel capacity of space-division-multiple-access schemes,” IEEE Trans. Inform. Theory, vol. 44, pp. 1468-1476, July 1998.
【非特許文献3】鬼沢、溝口、熊谷、高梨、守倉、“高速無線LAN用OFDM変調方式の同期系に関する検討” 信学技報、DSP97−165、SAT97−122、RCS97−210(1998−01)、p137−142
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上りリンクSDMA伝送の場合、複数の端末局装置から送信された信号が空間的に多重されて受信されてしまうため、伝搬路の状態によっては複数の端末局装置から送信されるトレーニング信号系列同士が互いに打ち消しあい、受信側である基地局装置における受信信号強度が低下してしまい、フレームのタイミング検出が困難となってしまう問題がある。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、上りリンクSDMA伝送においてフレームのタイミング検出ができる無線通信システム、通信装置、及び無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題を解決するために、本発明は、複数の第1の通信装置と通信し複数のアンテナ素子を備えている第2の通信装置と、前記複数の第1の通信装置とを具備する無線通信システムであって、前記第1の通信装置は、前記第1の通信装置のすべてにおいて共通のトレーニング信号系列を生成するトレーニング信号系列生成部と、前記トレーニング信号系列に対して前記第1の通信装置ごとに異なる遅延量の循環シフト遅延を付加する循環シフト遅延付加部と、前記循環シフト遅延が付加されたトレーニング信号系列を送信する無線部と、を備え、前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置それぞれから受信する信号の受信信号電力を算出する受信電力算出部と、前記受信電力算出部が算出した受信信号電力の大きい順に前記第1の通信装置それぞれに対する順位付けを行い、順位付けの結果を示す制御信号を前記第1の通信装置それぞれに送信する制御信号生成部と、を備え、前記循環シフト遅延付加部は、前記制御信号が示す前記第1の通信装置の順位が高いほど小さい遅延量を有する前記循環シフト遅延を前記トレーニング信号に対して付加することを特徴とする無線通信システムである。
【0013】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記受信電力算出部は、前記受信信号電力として、受信信号電力対雑音電力比、あるいは受信信号電力対干渉・雑音電力比を算出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、複数の移動局装置と通信し複数のアンテナ素子を備えている通信装置と、前記複数の移動局装置とを具備する無線通信システムにおける通信装置であって、前記移動局装置それぞれから受信する信号の受信信号電力を算出する受信電力算出部と、前記受信電力算出部が算出した受信信号電力の大きい順に前記移動局装置それぞれに対する順位付けを行い、順位付けの結果に基づいて、前記移動局装置から送信されるトレーニング信号に付加される循環シフト遅延の遅延量を制御する制御信号を前記移動局装置に送信する制御信号生成部を備え、前記移動局装置は、前記制御信号が示す前記移動局装置の順位が高いほど小さい遅延量を有する前記循環シフト遅延を前記トレーニング信号に付加することを特徴とする通信装置である。
【0015】
また、本発明は、複数の通信装置と通信し複数のアンテナ素子を備えている基地局装置と、前記複数の通信装置とを具備する無線通信システムにおける通信装置であって、前記通信装置のすべてにおいて共通のトレーニング信号系列を生成するトレーニング信号系列生成部と、前記基地局装置から受信した制御信号に基づいて定められる遅延量であって通信装置ごとに異なる遅延量の循環シフト遅延を、前記トレーニング信号系列に付加する循環シフト遅延付加部と、前記循環シフト遅延が付加されたトレーニング信号系列を前記基地局装置に送信する無線部とを備え、前記制御信号は、前記通信装置それぞれから送信された信号の前記基地局装置における受信信号電力の大きい順に通信装置それぞれの順位を示し、前記循環シフト遅延付加部は、前記制御信号が示す自装置の前記順位が高いほど小さい遅延量を有する前記循環シフト遅延を前記トレーニング信号に付加することを特徴とする通信装置である。
【0016】
また、本発明は、複数の第1の通信装置と通信し複数のアンテナ素子を備えている第2の通信装置と、前記複数の第1の通信装置とを具備する無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記第2の通信装置が、前記第1の通信装置それぞれから受信した信号の受信信号電力を算出する受信電力算出ステップと、前記第2の通信装置が、前記受信電力算出ステップにおいて算出した受信信号電力の大きい順に前記第1の通信装置それぞれに対する順位付けを行い、順位付けの結果を示す制御信号を前記第1の通信装置それぞれに送信する制御信号生成ステップと、前記第1の通信装置が、前記制御信号が示す自装置の順位が高いほど小さい遅延量を、循環シフト遅延の遅延量とする遅延量制御ステップと前記第1の通信装置が、前記第1の通信装置のすべてにおいて共通のトレーニング信号系列を生成するトレーニング信号系列生成ステップと、前記第1の通信装置が、前記遅延量制御ステップにおいて定めた遅延量を有する循環シフト遅延を前記トレーニング信号系列に対して付加する循環シフト遅延付加ステップと、前記第1の通信装置が、前記循環シフト遅延が付加されたトレーニング信号系列を送信する送信ステップと、を有することを特徴とする無線通信方法である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、第1の通信装置から第2の通信装置に送信するトレーニング信号系列に、第1の通信装置ごとに異なる遅延量の循環シフト遅延を付加する。これにより、第2の通信装置において、第1の通信装置それぞれから受信するトレーニング信号系列が空間上で多重化された際に互いに打ち消しあうことを抑制することができ、フレームやパケットの先頭のタイミング検出を行うことができる。
また、第2の通信装置におけるトレーニング信号系列の受信信号電力が大きいほど小さい遅延量の循環シフト遅延を付加する。これにより、フレームやパケットの先頭を示す遅延プロファイルを検出しやすくなり、フレームやパケットの先頭を示すタイミングを検出する精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態における無線通信システム1の構成を示す概略図である。
【図2】同実施形態による無線通信システム1の端末局装置100から送信される信号系列の一例を示す図である。
【図3】同実施形態における端末局装置100−u(1≦u≦U)の構成を示すブロック図の一例である。
【図4】同実施形態の無線通信システム1における遅延プロファイルの変化の一例を示す模式図である。
【図5】同実施形態における基地局装置200の構成を示すブロック図である。
【図6】端末局装置の数が3(=U)の場合における相互相関の算出結果の一例を示す図である。
【図7】同実施形態における無線通信システム1の動作を示すシーケンス図である。
【図8】同実施形態においてタイミング検出部206が算出する相互相関値の一例を示す図である。
【図9】上りリンクSDMA伝送技術が適用される無線通信システム9の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における無線通信システム、通信装置、及び無線通信方法を説明する。
【0020】
以下の実施形態において、無線通信システムは、変調方式としてOFDMを用い、空間多重したデータをSDMA伝送により通信する送信側のU(Uは、U≧2の自然数)個の装置を端末局装置(第1の通信装置)とし、空間多重されたデータを受信する受信側の装置を基地局装置(第2の通信装置)とした場合を例にして説明する。
なお、複数の基地局装置から単数、若しくは複数の端末局装置へ空間多重伝送を行う構成においても本発明は実施可能である。また、変調方式は、OFDM伝送の代わりに、シングルキャリア(Single Carrier;SC)伝送などを用いてもよい。
【0021】
図1は、本実施形態における無線通信システム1の構成を示す概略図である。同図に示すように、無線通信システム1は、U個の端末局装置100−1〜100−Uと、基地局装置200とを具備している。以下、すべての端末局装置100−1〜100−Uを代表して示す場合、あるいは、いずれか1つを示す場合、端末局装置100という。
【0022】
図2は、本実施形態による無線通信システム1の端末局装置100から送信される信号系列の一例を示す図である。同図に示すように、送信信号系列は、トレーニング信号系列と、データ信号系列とを含んで構成されており、これらの信号系列が時間多重されて送信される。トレーニング信号系列は、全端末局装置100、全アンテナにおいて同じ系列を用いる。また、データ信号系列は、全端末局装置100、全アンテナごとに異なる系列であってもよいし、重複する系列を有していてもよい。
【0023】
1つのトレーニング信号系列は、(K+N)ΔTサンプルの系列長である。ここで、K(≧1の自然数)はFFTポイント数であり、N(≧1の自然数)はガードインターバル数であり、ΔTはサンプリング周期である。なお、図示しているトレーニング信号系列は、データ信号系列の先頭に時間多重されているが、データ信号系列の途中や、データ信号系列の末尾に時間多重することもできる。以下、送信信号系列のうち、端末局装置100から基地局装置200へ送信するトレーニング信号系列の部分、及び基地局装置200から端末局装置100へ送信する制御信号について説明する。
【0024】
図3は、本実施形態における端末局装置100−u(1≦u≦U)の構成を示すブロック図の一例である。なお、端末局装置100−1〜100−Uは、同様の構成を有している。
【0025】
第u(1≦u≦U)番目の端末局装置100−uは、トレーニング信号系列生成部101−uと、第1CSD(Cyclic Shift Delay;循環シフト遅延)付加部102−u−2〜102−u−M(u)と、第2CSD付加部103−u−1〜103−u−M(u)と、ガードインターバル(Guard Interval;GI)挿入部104−u−1〜104−u−M(u)と、デジタル/アナログ(Digital/Analogue;D/A)変換部105−u−1〜105−u−M(u)と、無線部106−u−1〜106−u−M(u)と、アンテナ素子107−u−1〜107−u−M(u)と、アナログ/デジタル(Analogue/Digital;A/D)変換部108−uと、制御信号判定部109−uと、CSD量制御部110−uとを備えている。各端末局装置100−uは、上述のように、M(u)個のアンテナ素子107−u−1〜107−u−M(u)を備えている。各端末局装置100のアンテナ素子の数(M(u))は、端末局装置100ごとに異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0026】
トレーニング信号系列生成部101−uは、端末局装置100のすべてにおいて共通のトレーニング信号系列であって予め定められた既知のトレーニング信号系列を生成する。このトレーニング信号系列は、同期確立やチャネル推定などに用いる。例えば、IEEE802.11acの場合、同期確立やチャネル推定用のトレーニング信号系列として、L−STF、L−LTF、HT−STF、HT−LTFなどが用いられている(参考文献1:IEEE Standard 802.11n−2009.)。
【0027】
第1CSD付加部102−u−2〜102−u−M(u)は、各アンテナ素子107−u−2〜107−u−M(u)から送信される送信信号系列に対して、アンテナ素子ごとに異なる循環シフト遅延(CSD)を付加する。すなわち、第1CSD付加部102−u−2〜102−u−M(u)は、トレーニング信号系列生成部101−uが生成したトレーニング信号系列に循環シフト遅延を付加する。
【0028】
第1CSD付加部102−u−2〜102−u−M(u)を備える理由としては、各アンテナ素子107−u−1〜107−u−M(u)から送信された同じトレーニング信号系列が、伝搬路を通った結果として、受信側の基地局装置200において逆位相で合成されてしまうことで、トレーニング信号系列を検出できなくなることを防ぐためである。ただし、第1CSD付加部102−u−2〜102−u−M(u)を必ずしも備えなくてもよいし、M(u)=1の場合は、第1CSD付加部102−u−2〜102−u−M(u)は不要となる。また、循環シフト遅延とは、送信信号系列に対して、1OFDMシンボル(もしくは1ブロック)の末尾Du個のサンプルをコピーして当該シンボル(もしくはブロック)の先頭につなぎ合わせる処理のことである(参考文献1)。
【0029】
第2CSD付加部103−u−1は、トレーニング信号系列生成部101−uが生成したトレーニング信号系列に循環シフト遅延を付加する。第2CSD付加部103−u−2〜103−u−M(u)は、第1CSD付加部102−u−2〜102−u−M(u)において循環シフト遅延が付加されたトレーニング信号系列に対して、更に、循環シフト遅延を付加する。ここで、第2CSD付加部103−u−1〜103−u−M(u)が付加する循環シフト遅延は、CSD量制御部110−uから入力される情報に基づいて決定され、各端末局装置100において同じ値であり、かつ端末局装置100ごとに異なる値である。
【0030】
GI挿入部104−u−1〜104−u−M(u)は、遅延波による符号間干渉(もしくはブロック間干渉)を受けないようにするために、GIを送信信号系列に挿入する。GIの挿入方法としては、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)ブロック(もしくはOFDMシンボル)ごとに、末尾N(≧0の整数)個のサンプルをコピーしてFFTブロック(もしくはOFDMシンボル)の先頭につなぎ合わせて挿入する。
D/A変換部105−u−1〜105−u−M(u)は、GI挿入部104−u−1〜104−u−M(u)においてGI挿入された送信信号系列をアナログ信号に変換し、変換後のアナログ信号をベースバンド送信信号として出力する。
【0031】
無線部106−u−1〜106−u−M(u)は、共通の局部発振器を用いて、ベースバンド送信信号を中心周波数fのRF(Radio Frequency;無線周波数)信号に変換し、アンテナ素子107−u−1〜107−u−M(u)を介してRF信号を送信する。
また、無線部106−u−1は、基地局装置200から送信されたRF信号をアンテナ素子107−u−1を介して受信し、共通の局部発振器を用いて中心周波数fのRF信号をベースバンド信号に変換し、出力する。
【0032】
A/D変換部108−uは、無線部106−u−1から出力されたベースバンド信号をデジタル信号に変換して、制御信号として制御信号判定部109−uに出力する。
制御信号判定部109−uは、A/D変換部108−uから出力された制御信号に基づいて、自装置の順位を判定し、判定結果をCSD量制御部110−uに出力する。なお、制御信号は、基地局装置200が、各端末局装置100から受信した信号の受信信号電力を測定し、受信信号電力の高いものから順次、順序付けを行い生成した順序付け情報を含む。順序付け情報とは、各端末局装置100へ通知する第u番目の端末局装置100−uの順位(つまり第u番目の端末局装置100−uから送信した信号が、基地局装置200において何番目に大きい受信信号電力であるか)、を示す情報である。
【0033】
CSD量制御部110−uは、制御信号判定部109−uから出力された判定結果に基づいて、第2CSD付加部103−u−1〜103−u−M(u)が付加する循環シフト遅延の遅延量を決定する。遅延量の決定方法としては、例えば、順位と遅延量とを対応付けたテーブルをCSD量制御部110−uに予め備えておき、CSD量制御部110−uは、制御信号判定部109−uから判定結果が入力されると、当該判定結果が示す順位に対応する遅延量を読み出す。CSD量制御部110−uは、読み出した遅延量を第2CSD付加部103−u−1〜103−u−M(u)に出力して、循環シフト遅延の遅延量を決定する。
すなわち、制御信号判定部109−u及びCSD量制御部110−uは、基地局装置200から送信された制御信号に含まれる順序付け情報に基づいて、第2CSD付加部103−u−1〜103−u−M(u)が送信信号系列に付加する循環シフト遅延の遅延量を決定する。
【0034】
なお、制御信号はアンテナ素子107−u−1でのみ受信する構成について説明したが、これに限ることはなく、他のアンテナ素子107−u−2〜107−u−M(u)のいずれかで受信するようにしてもよいし、アンテナ素子107−u−1〜107−u−M(u)のうち複数のアンテナ素子で受信するようにしてもよい。複数のアンテナ素子で制御信号を受信する場合、A/D変換部108−uは制御信号の受信に使用するアンテナ素子数分だけ必要となる。
【0035】
図4は、本実施形態の無線通信システム1における遅延プロファイルの変化の一例を示す模式図である。同図には、端末局装置100−uにおける第2の循環シフト遅延付加により、基地局装置200のある1つのアンテナ素子において観測される遅延プロファイルの変化が示されている。ここで、遅延プロファイルとは、循環シフト遅延を含み、伝搬路における遅延状態を示す情報である。ここでは、端末局装置100−uのアンテナ数を1(=(M(u))とし、端末局装置100−uのアンテナ素子と、基地局装置200のある1つのアンテナ素子との間の伝搬路をhとし、その伝搬路のパス数を2とし、循環シフト遅延の付加する量をDΔT(ΔTはサンプリング周期)とした場合について説明する。
【0036】
端末局装置100−uにおいて、第2CSD付加部103−u−1が、1OFDMシンボルの末尾からD個のサンプルを切り取って、OFDMシンボルの先頭につなぎ合わせる処理、つまり循環シフト遅延を付加する。これにより、基地局装置200において、観測される伝搬路の遅延プロファイルを、循環シフト遅延を付加しないときの遅延プロファイルよりもDΔTだけ遅らすことができる。
【0037】
ここで、本実施形態では、受信信号電力が高い順に小さい遅延量(サンプル数)の循環シフト遅延を付加する。受信信号電力が大きい端末局装置100順に1番目からU番目まで順序付けを行ったとき、q(1≦q≦U)番目に受信信号電力が大きい端末局装置100の循環シフト遅延の遅延量Dを算出する式の一例を次式(1)に示す。
それぞれの端末局装置100が自装置の順序付けを把握するための順序付け情報は、基地局装置200から制御信号として送信される。後述するように、基地局装置200は、各端末局装置100から受信した信号の受信信号電力を測定し、受信信号電力の高いものから順次、順序付けを行い、順序付けの結果を示す順序付け情報を含む制御信号を各端末局装置100に送信する。端末局装置100は、基地局装置200から受信する順序付け情報に基づいて、自装置の順序(q番目)に対応する遅延量を有する循環シフト遅延を付加する。
【0038】
【数1】

【0039】
ただし、Nは、N≧1を満たす自然数である。また、Nは、端末局装置100と基地局装置200との間の遅延プロファイルのうち、最大の遅延量よりも大きな値に設定して、受信側の基地局装置200において各端末局装置100間の遅延プロファイルが重ならないようにしてもよい。また、Nは、遅延プロファイルよりも小さな値に設定して、受信側の基地局装置200において各端末局装置100間の遅延プロファイルが重なるようにしてもよい。
【0040】
図5は、本実施形態における基地局装置200の構成を示すブロック図である。同図に示すように、基地局装置200は、アンテナ素子201−1〜201−N(Nは2以上の自然数)と、無線部202−1〜202−Nと、アナログ/デジタル(A/D)変換部203−1〜203−Nと、GI除去部204−1〜204−Nと、データ信号判定部205と、タイミング検出部206と、受信電力算出部207と、制御信号生成部208と、D/A変換部209とを備えている。
【0041】
無線部202−1〜202−Nは、それぞれに接続されているアンテナ素子201−1〜201−Nを介して、端末局装置100−1〜100−Uから送信される信号を受信する。また無線部202−1〜202−Nは、それぞれが共通の局部発振器を用いて、受信したRF信号をベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号をA/D変換部203−1〜203−Nに出力する。また、無線部202−1は、アンテナ素子201−1を用いて、D/A変換部209から出力された制御信号をRF信号に変換して各端末局装置100に送信する。
【0042】
A/D変換部203−1〜203−Nは、無線部202−1〜202−Nから入力されたアナログのベースバンド信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を受信信号系列として出力する。
GI除去部204−1〜204−Nは、タイミング検出部206から入力されるタイミング情報を用いて、A/D変換部203−1〜203−Nが出力する受信信号系列から、端末局装置100において挿入されたNサンプルのGIを除去する。
【0043】
データ信号判定部205は、GI除去された受信信号系列から、データ信号系列を判定し、2値データ系列を得る。
タイミング検出部206は、A/D変換部203−1〜203−Nが出力する受信信号系列に含まれているトレーニング信号系列と、基地局装置200において記憶されている予め定められたトレーニング信号系列(送信トレーニング信号系列)との相互相関値を算出する。また、タイミング検出部206は、算出した相互相関値のピークに基づいて、フレーム同期及びシンボル同期のタイミングを検出する。タイミング検出部206は、検出したタイミングを示すタイミング情報をGI除去部204−1〜204−Nに出力する。
ここで、相互相関の算出例を次式(2)に示す。
【0044】
【数2】

【0045】
タイミング検出部206は、例えば、式(2)を用いて、相互相関値を算出する。ただし、r(t,n)は、第n受信アンテナにおける時刻tの受信トレーニング信号系列を示す。p(t)は、送信トレーニング信号系列を示す。また、p(t)の上付きの「*」は複素共役を示す。
図6は、端末局装置100の数が3(=U)の場合における相互相関の算出結果の一例を示す図である。同図において、横軸は時間を示し、縦軸は電力を示す。タイミング検出部206は、式(2)を用いることにより、同図に示すような、複数パスから構成される遅延プロファイルを算出する。
【0046】
ただし、上りリンクの場合、各端末局装置100の位置が異なることにより、各端末局装置100から送信された信号が異なるタイミングで、基地局装置200に受信されてしまうタイミングオフセット問題がある。しかし、タイミング制御機能を用いれば端末局装置100間のタイミングオフセットを制御することができる。このタイミング制御機能とは、各端末局装置100の送信時刻を制御することである。OFDM伝送の場合は、GI長以内にタイミング誤差が収まるようタイミング制御を行えばよい。
【0047】
図5に戻って、基地局装置200の構成の説明を続ける。
受信電力算出部207は、各アンテナ素子201−1〜201−Nを介して受信した各信号を用いて、各端末局装置100から受信した信号の受信信号電力を測定する。測定する際に用いる信号は、トレーニング信号系列やデータ信号を用いてもよいし、各端末局装置100から送信された参照信号を用いて、予め測定しておいてもよい。
ここで、受信信号電力には、一般的な受信信号から受信強度を測定することで得る値を用いるようにしてもよいし、受信信号電力対雑音電力比(Signal-to-noise power ratio;SNR)や、受信信号電力対干渉・雑音電力比(Signal-to-interference plus noise power ratio;SINR)を推定し、推定した値を用いてもよい。
【0048】
制御信号生成部208は、受信電力算出部207が算出した端末局装置100それぞれの受信信号電力を基に、受信信号電力の大きい順に端末局装置100の順序付けを行う。また、制御信号生成部208は、順序付けの結果を示す順序付け情報を含んだ制御信号を生成する。
D/A変換部209は、制御信号生成部208が生成した制御信号をアナログ信号に変換して無線部202−1に出力する。
【0049】
なお、制御信号はアンテナ素子201−1でのみ送信する構成について説明したが、これに限ることはなく、他のアンテナ素子201−2〜201−Nのいずれかで送信するようにしてもよいし、アンテナ素子201−1〜201−Nのうち複数のアンテナ素子で送信するようにしてもよい。複数のアンテナ素子で制御信号を送信する場合、D/A変換部209は制御信号の送信に使用するアンテナ素子数分だけ必要となる。
【0050】
続いて、本実施形態における無線通信システム1の動作について説明する。
図7は、本実施形態における無線通信システム1の動作を示すシーケンス図である。
まず、無線通信システム1において、上りリンクSDMA伝送を行う各端末局装置100−1〜100−uは、参照信号を基地局装置200に送信する(ステップS101)。参照信号は、各端末局装置100の間で時間多重して送信してもよいし、各端末局装置100間で直交するパターンを送信してもよい。
【0051】
基地局装置200において、無線部202−1〜202−Nが各端末局装置100から送信された参照信号を受信し、受信した参照信号を用いて受信電力算出部207が受信信号電力を算出する(ステップS102)。
そして、制御信号生成部208は、受信電力算出部207が算出した受信信号電力を用いて、端末局装置100の順序付けを行う(ステップS103)。制御信号生成部208は、順序付けの結果を示す順序付け情報を含んだ信号を制御信号生成し、無線部202−1を介して各端末局装置100に送信する(ステップS104)。ここで、第u番目の端末局装置100−u宛に送信する制御信号としては、第u番目の端末局装置100−uが何番目になるかという情報を少なくとも含んでいればよい。
【0052】
各端末局装置100において、無線部106−u−1は、基地局装置200から送信された制御信号を受信する。そして、制御信号判定部109−uは、自端末局装置100が何番目に大きい受信信号電力であったかを判定し、その結果に対応する遅延量を有する循環シフト遅延を設定する(ステップS105)。
その後、第2CSD付加部103−u−1〜103−u−M(u)は、設定された循環シフト遅延をトレーニング信号系列に付加し、無線部106−u−1〜106−u−M(u)は、循環シフト遅延が付加されたトレーニング信号系列を含む送信信号系列を基地局装置200に送信する上りリンクSDMA伝送を行う(ステップS106)。
【0053】
図8は、本実施形態においてタイミング検出部206が算出する相互相関値の一例を示す図である。同図において、横軸は時間を示し、縦軸は電力を示す。タイミング検出部206は、各端末局装置100における循環シフト遅延の遅延量が基地局装置200における受信信号電力に応じて設定されたのち、同図に示すような相互相関値を算出する。
本実施形態では、基地局装置200における受信信号電力が大きい信号を送信する端末局装置100に対して小さい遅延量の循環シフト遅延を設定するようにした。これにより、タイミング検出部206が算出する相互相関値は、図8に示すように、受信信号電力のピークが先頭になり、なだらかな傾斜がかかったような出力結果になる。
【0054】
本実施形態の無線通信システム1では、基地局装置200から各端末局装置100に送信される制御信号に基づいて、各端末局装置100においてトレーニング信号系列に付加される循環シフト遅延の遅延量を端末局装置100ごとに異なるようにしている。
これにより、各端末局装置100と基地局装置200との間の遅延プロファイルに対して遅延時間を付加した場合と等価な効果を得ることができる。その結果、基地局装置200において、端末局装置100それぞれから送信されたトレーニング信号系列が互いに打ち消しあうことによる受信信号強度の低下を防ぐことができ、タイミング検出を行うことができる。
【0055】
ところで、複数の端末局装置100が基地局装置200に対して送信を行う上りリンク伝送の場合、各端末局装置100のロケーションが異なることにより、基地局装置200における受信信号電力が異なることがある。例えば、図6に示した相互相関値が算出された場合において、時刻t1及びt2に現れている相互相関値のピークが著しく小さいとき、時刻t3に現れている相互相関値のピークをフレームの先頭として認識してしまい、フレームのタイミング検出が適切に行われないことがある。
このような場合、受信信号系列からGIを正しく除去することできず、また、フレームの先頭を正しく認識できていないため、受信信号系列の復調においてFFTを行う際にFFTウィンドウを適切に設定することができないことがあった。その結果、シンボル間干渉が発生してしまい、伝送特性が劣化してしまうという問題があった。
【0056】
これに対して、本実施形態の無線通信システム1では、各端末局装置100から受信した信号のうち、受信信号電力が最大の信号に対する循環シフト遅延の遅延量を最小するようにしている。また、各端末局装置100においてトレーニング信号系列に付加する循環シフト遅延の遅延量を受信信号電力に応じて設定している。これにより、基地局装置200では、図8に示したように、受信信号電力の大きい順に遅延プロファイル(相互相関値)が形成される。
このように、フレームの先頭を示す信号の受信信号電力を大きくしたことにより、タイミング検出部206においてフレームの先頭を検出する精度を向上させることができる。その結果、GIの除去、FFTウィンドウの設定などを適切に行うことができ、シンボル間干渉を生じさせることなくデータ検出が可能となり、伝送特性を改善することができる。また、フレームの先頭の検出を受信信号電力に基づいて行うようにしているので、基地局装置200の実装においてタイミング検出部206の回路構成等を簡易にすることができる。
【0057】
なお、上述の実施形態では、トレーニング信号系列にガードインターバルを挿入していたが、必ずしも挿入する必要はない。また、例えば、IEEE802.11a規格で用いられているような同じトレーニング信号系列を繰り返して用いる場合にも適用可能である。
また、上述の実施形態では、上りリンクSDMA伝送に適用した場合について説明したが、これに限ることなく、マルチユーザMIMOにも適用可能である。
【0058】
また、上述の実施形態では、端末局装置100から基地局装置200への上りリンク伝送における構成について説明したが、複数の基地局装置からある端末局装置への下りリンク伝送にも適用可能である。また、トレーニング信号系列に対して、送信側で送信ウェイトを乗算してから送信してもよい。
【0059】
また、上述の実施形態では、基地局装置200から各端末局装置100に送信する制御信号が、各端末局装置100の順位を示す順序付け情報を含む構成について説明した。しかし、これに限ることなく、制御信号が、各端末局装置100において付加する循環シフト遅延の遅延量を示す情報を含むようにしてもよい。
【0060】
なお、上述した端末局装置100、及び基地局装置200は、内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。この場合、上述したトレーニング信号系列、制御信号、参照信号の生成、及びタイミング検出の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われることになる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明における無線通信システム、通信装置、及び無線通信方法、例えば、無線LANや、携帯電話などの無線通信システムに用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
1…無線通信システム
100,100−1,100−2,100−u,100−U…端末局装置
101−u…トレーニング信号系列生成部
102−u−2,102−u−M(u)…第1CSD付加部
103−u−1,103−u−2,103−u−M(u)…第2CSD付加部
104−u−1,104−u−2,104−u−M(u)…GI挿入部
105−u−1,105−u−2,105−u−M(u)…D/A変換部
106−u−1,106−u−2,106−u−M(u)…無線部
107−u−1,107−u−2,107−u−M(u)…アンテナ素子
108−u…A/D変換部
109−u…制御信号判定部
110−u…CSD量制御部
200…基地局装置
201−1,201−2,201−N…アンテナ素子
202−1,202−2,202−N…無線部
203−1,203−2,203−N…A/D変換部
204−1,204−2,204−N…GI除去部
205…データ信号判定部
206…タイミング検出部
207…受信電力算出部
208…制御信号生成部
209…D/A変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の通信装置と通信し複数のアンテナ素子を備えている第2の通信装置と、前記複数の第1の通信装置とを具備する無線通信システムであって、
前記第1の通信装置は、
前記第1の通信装置のすべてにおいて共通のトレーニング信号系列を生成するトレーニング信号系列生成部と、
前記トレーニング信号系列に対して前記第1の通信装置ごとに異なる遅延量の循環シフト遅延を付加する循環シフト遅延付加部と、
前記循環シフト遅延が付加されたトレーニング信号系列を送信する無線部と、
を備え、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置それぞれから受信する信号の受信信号電力を算出する受信電力算出部と、
前記受信電力算出部が算出した受信信号電力の大きい順に前記第1の通信装置それぞれに対する順位付けを行い、順位付けの結果を示す制御信号を前記第1の通信装置それぞれに送信する制御信号生成部と、
を備え、
前記循環シフト遅延付加部は、前記制御信号が示す前記第1の通信装置の順位が高いほど小さい遅延量を有する前記循環シフト遅延を前記トレーニング信号に対して付加する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記受信電力算出部は、前記受信信号電力として、受信信号電力対雑音電力比、あるいは受信信号電力対干渉・雑音電力比を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
複数の移動局装置と通信し複数のアンテナ素子を備えている通信装置と、前記複数の移動局装置とを具備する無線通信システムにおける通信装置であって、
前記移動局装置それぞれから受信する信号の受信信号電力を算出する受信電力算出部と、
前記受信電力算出部が算出した受信信号電力の大きい順に前記移動局装置それぞれに対する順位付けを行い、順位付けの結果に基づいて、前記移動局装置から送信されるトレーニング信号に付加される循環シフト遅延の遅延量を制御する制御信号を前記移動局装置に送信する制御信号生成部を備え、
前記移動局装置は、前記制御信号が示す前記移動局装置の順位が高いほど小さい遅延量を有する前記循環シフト遅延を前記トレーニング信号に付加する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
複数の通信装置と通信し複数のアンテナ素子を備えている基地局装置と、前記複数の通信装置とを具備する無線通信システムにおける通信装置であって、
前記通信装置のすべてにおいて共通のトレーニング信号系列を生成するトレーニング信号系列生成部と、
前記基地局装置から受信した制御信号に基づいて定められる遅延量であって通信装置ごとに異なる遅延量の循環シフト遅延を、前記トレーニング信号系列に付加する循環シフト遅延付加部と、
前記循環シフト遅延が付加されたトレーニング信号系列を前記基地局装置に送信する無線部と
を備え、
前記制御信号は、前記通信装置それぞれから送信された信号の前記基地局装置における受信信号電力の大きい順に通信装置それぞれの順位を示し、
前記循環シフト遅延付加部は、前記制御信号が示す自装置の前記順位が高いほど小さい遅延量を有する前記循環シフト遅延を前記トレーニング信号に付加する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
複数の第1の通信装置と通信し複数のアンテナ素子を備えている第2の通信装置と、前記複数の第1の通信装置とを具備する無線通信システムにおける無線通信方法であって、
前記第2の通信装置が、前記第1の通信装置それぞれから受信した信号の受信信号電力を算出する受信電力算出ステップと、
前記第2の通信装置が、前記受信電力算出ステップにおいて算出した受信信号電力の大きい順に前記第1の通信装置それぞれに対する順位付けを行い、順位付けの結果を示す制御信号を前記第1の通信装置それぞれに送信する制御信号生成ステップと、
前記第1の通信装置が、前記制御信号が示す自装置の順位が高いほど小さい遅延量を、循環シフト遅延の遅延量とする遅延量制御ステップと
前記第1の通信装置が、前記第1の通信装置のすべてにおいて共通のトレーニング信号系列を生成するトレーニング信号系列生成ステップと、
前記第1の通信装置が、前記遅延量制御ステップにおいて定めた遅延量を有する循環シフト遅延を前記トレーニング信号系列に対して付加する循環シフト遅延付加ステップと、
前記第1の通信装置が、前記循環シフト遅延が付加されたトレーニング信号系列を送信する送信ステップと、
を有することを特徴とする無線通信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−21401(P2013−21401A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150960(P2011−150960)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】