説明

無線通信システムとその通信方法

【課題】第1の無線システムと第2の無線システムとの間で、干渉を与えることも、受けることもなく、無線通信を行う。
【解決手段】アクセスポイントAPと端末TSにおいて、スケジューリング情報取得部115は、Primaryシステムのスケジューリング情報を取得する。受信電力判定部116は、基地局からの受信電力を判定し、与干渉推定部117は、受信電力とSecondaryシステムの送信電力とスケジューリング情報とに従って、Primaryシステムに与える与干渉量を測定する。AP・端末使用チャネル決定部119は、スケジュール候補情報取得部118により取得された、全てのスケジューリング情報を用いて、Primaryシステムへの干渉を回避するように、アクセスポイントAPと端末TSとの送信及び受信の通信順序を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数システムを同一周波数で運用する無線通信システムにおいて、新規システム(Secondaryシステム)が、従来システム(優先システム:Primaryシステム)におけるユーザのチャネル割当の情報を利用して、Secondaryシステムのチャネル割り当てを行うことで、Primaryシステムからの干渉を受けず、かつPrimaryシステムへは干渉を与えない無線通信システムとその通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や、無線LANなどの普及により、限られた周波数帯域において、できるだけ高速な伝送を行うための技術が検討されている。限られた帯域において高速伝送を実現する手段としては、近年、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が注目を集めている。MIMOとは、送信側と受信側とに、それぞれアレーアンテナを用い、送信側においては、アンテナ毎に異なるデータを送信し、受信側においては、何らかの干渉除去技術・復号技術により、異なる信号を復元することで、単一アンテナ同士の送受信に比べ、同一周波数で著しく伝送速度を向上する技術である。既に、無線LANシステムなどにおいて導入されている。
【0003】
しかしながら、MIMO技術においては、送受信のアンテナ数が高速伝送のキーとなる。したがって、非常に高い周波数利用効率を実現するためには、かなりのアンテナ素子数を必要とする。小型の端末を考えた場合、アンテナ素子数の増加は、ハードウェア規模の増大になるため、望ましくない。
【0004】
このMIMO技術とは別の方法で、周波数の有効利用を図る手段として、コグニティブ(Cognitive)無線技術が注目されている(例えば、非特許文献1参照)。該コグニティブ無線技術とは、無線機が周囲の電波環境を認識し、適切な周波数帯域を選択して利用することにより、空いている周波数帯域を有効に活用する技術である。コグニティブ無線により、通常注目されていなかった周波数や、時間を有効に活用できるため、単位面積あたりの周波数を大幅に向上させることができる。
【0005】
図16は、コグニティブ無線技術の概要を説明するための概念図である。図16において、1−1、1−2は、2つの優先システム(Primaryシステム)であり、2−1〜2−6は、複数のコグニティブシステム(Secondaryシステム)である。また、3は、Primaryシステムの通信可能領域である。4−1、4−2は、各々、Primaryシステム1−1、1−2のアンテナの指向性である。
【0006】
コグニティブ無線では、元々、ある通信帯域を使用するPrimaryシステム1−1、1−2と、該Primaryシステム1−1、1−2が使用していない周波数、時間などを監視して、この情報を基に通信を行うSecondaryシステム2−1〜2−6とが存在する。基本的には、Primaryシステム1−1、1−2は、優先的に与えられた通信帯域を使用することが可能であり、Secondaryシステム2−1〜2−6は、自分自身の通信によって、Primaryシステム1−1、1−2に干渉を与えることにより、Primaryシステム1−1、1−2の効率を低下させることがあってはならない。また、通常、Primaryシステム1−1、1−2は、Secondaryシステム2−1〜2−6の存在を認識することはできない。
【非特許文献1】S. Haykin, “Cognitive radio: Brain−empowered wireless communications”, vol.23, no.2, pp.201−220, Feb. 2005.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コグニティブ無線では、通常、以下の手段で通信を行う。
(手順1)Secondaryシステム2−1〜2−6は、Primaryシステム1−1、1−2が使用していない時間または周波数を検出する。
(手順2)Secondaryシステム2−1〜2−6は、自らが行う通信により、Primaryシステム1−1、1−2の受信機に干渉を与えないかどうかを確認する。
(手順3)Secondaryシステム2−1〜2−6は、上記手順2で問題がないと判定した場合、上記手順1で検出した周波数もしくは時間により通信を行う。
【0008】
以上が、コグニティブ無線における通信手順である。しかしながら、まず、上記手順1を行う際に問題が生じる。例えば、TDDを考えてみる。TDDシステムにおいては、局は、あるタイミングで受信し、その間は送信しない。一方、送信している間は、信号を受信しない。ハードウェアとしては、送信装置と受信装置との間に、時間分割スイッチ(TDDスイッチ)が配置される。したがって、例えば、ある時間に、Primaryシステム1−1からの干渉を検出しなかったとしても、その時間で送信を行うと、Primaryシステム1−2へ干渉を与えることになる。
【0009】
また、例え、「ある周波数」、あるいは「ある時間」において、Secondaryシステム2−1〜2−6の受信機が、信号が到来していないと判定したとしても、時間的にその状態が変動する可能性や、隠れ端末の存在といった問題などにより、正しく信号を検出できない場合がある。したがって、コグニティブ無線では、非常に高い精度の信号検出が要求される。
【0010】
これを改善する手段として、信号の周期定常性(Cyclostationary)を利用した検出方法が提案されている。これは、例えば、文献1(Cabric, D, et al., “Implementation issues in spectrum sensing for cognitive radios”, Conference Record of the Thirty−Eighth Asilomar Conference, vol.1, pp.772 − 776, 7−10 Nov. 2004.)に開示されている。この方法では、Primaryシステム1−1、1−2の搬送波周波数、もしくはシンボルレートと変調方式が事前に分かっていれば、非常に低いCNR(Carrier to Noise Ratio)においても、信号検出が可能となる。しかしながら、この方法は、検出に非常に多くの時間と信号のサンプル数とを必要とするため、Primaryシステム1−1、1−2の伝搬環境が変化する場合などの対応が困難となるといった問題が生じる。
【0011】
次に、上記手順2でも問題が発生する。先に述べたように、原則として、Primaryシステム1−1、1−2は、Secondaryシステムのことを認識することができない。例えば、Secondaryシステム2−1〜2−6が、ある周波数において、Primaryシステム1−1の送信機からの信号レベルが低いと判定し、この周波数が使えると判定したとしても、その周波数でそのまま送信を行うと、Primaryシステム1−2に干渉を与える可能性がある。したがって、Secondaryシステム2−1〜2−6が与える干渉は、Primaryシステム1−1、1−2の受信機が判定することが最も確実な方法である。
【0012】
しかしながら、Primaryシステム1−1、1−2は、Secondaryシステム2−1〜2−6の存在を認識することができない。よって、これを実現するために、Primaryシステム1−1、1−2が発生するある信号をSecondaryシステム2−1〜2−6が定常的に観測し、Primaryシステム1−1、1−2の存在を把握する方法が考えられている。
【0013】
これは、コグニティブ無線ではなくても、従来の無線システムにおけるキャリアセンスと同じ原理と考えることができる。キャリアセンスに関しては、例えば、文献2(守倉、久保田、”改訂版802.11高速無線LAN教科書”、第4章、インプレス社、2005年)に開示されている。Secondaryシステム2−1〜2−6がPrimaryシステム1−1、1−2の受信機に近づいた場合、Primaryシステム1−1、1−2から送信される信号を受信することで、Primaryシステム1−1、1−2の存在を把握し、この信号電力の大きさに基づいて、Secondaryシステム2−1〜2−6は、上記手順2を行うことができる。
【0014】
しかしながら、コグニティブ無線を考えた場合、この精度は非常に高いものが求められる。したがって、Primaryシステム1−1、1−2のあらゆる周波数でキャリアセンスを行うことが有効であるが、これを行うと、干渉検出(Primaryシステム1−1、1−2の通信信号検出)に非常に多くの時間を要するという問題が生じる。
【0015】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、Primaryシステムが元々持つスケジューリング情報を有効に活用し、該スケジューリング情報に基づいてSecondaryシステムのチャネル割り当てを行うことで、SecondaryシステムはPrimaryシステムからの干渉を受けず、かつPrimaryシステムはSecondaryシステムへの干渉を与えることなく、無線通信を行うことができる無線通信システムとその通信方法提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、前記第2の無線システムにおける基地局と端末は、前記第1の無線システムの基地局と加入者局と間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するスケジューリング情報取得手段と、前記第1の無線システムから送信される干渉信号を受信する受信手段と、前記スケジューリング情報と前記干渉信号とを用いて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムへの干渉を回避するように、前記第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信順序を決定する通信順序決定手段とを具備することを特徴とする無線通信システムである。
【0017】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、前記第2の無線システムの基地局と端末は、前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間で通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するスケジューリング情報取得手段と、前記第1の無線システムの基地局及び加入者局との間における無線信号の受信電力を判定する受信電力判定手段と、前記受信電力判定手段で得られた受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定し、該干渉量に基づいて、取得すべきスケジュール情報を決定する与干渉推定手段とを具備し、前記第2の無線システムにおける基地局は、自身の前記与干渉推定手段で決定したスケジュール情報と前記第2の無線システムの端末側の前記与干渉推定手段で決定したスケジュール情報とを取得するスケジュール候補情報取得手段と、前記スケジュール候補情報収得手段により取得されたスケジュール情報に基づいて、前記第2の無線システム内のチャネルが衝突しないように、前記第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信チャネルを決定する通信チャネル決定手段とを具備することを特徴とする無線通信システムである。
【0018】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、前記第2の無線システムの基地局及び端末は、複数のアンテナと、前記複数のアンテナに接続される該アンテナと同数の送信機及び受信機と、前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するスケジューリング情報取得手段とを具備し、前記第2の無線システムの基地局は、前記スケジューリング情報に基づいて、前記第1の無線システムの基地局の送信周期を、前記第2の無線システムの基地局の受信周期とし、前記第1の無線システムの基地局の受信周期を、前記第2の無線システムの基地局の送信周期とする送受信周期決定手段と、前記第1の無線システムの基地局の送信信号から通信チャネルを推定する通信チャネル推定手段と、前記通信チャネル推定手段により推定された通信チャネルの、前記第2の無線システムからの信号をゼロとする重み付け値を算出するウエイト算出手段と、前記ウエイト算出手段により算出された重み付け値に基づいて、送受信信号に対して重み付けを行う重み付け手段とを更に具備し、前記第2の無線システムの端末は、前記スケジュール情報に基づいて、前記第1の無線システムの基地局及び加入者局との間における無線信号の受信電力を判定する受信電力判定手段と、前記受信電力判定手段で得られた受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定し、該干渉量に基づいて、取得すべきスケジュール情報を決定する与干渉推定手段と、自身の前記与干渉推定手段で決定したスケジュール情報と前記第2の無線システムの端末側の前記与干渉推定手段で決定したスケジュール情報とを取得するスケジュール候補情報取得手段とを具備し、前記第2の無線システムの基地局は、前記スケジュール情報に基づいて、前記第2の無線システム内のチャネルが衝突しないように、前記第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信チャネルを決定する通信チャネル決定手段を更に具備することを特徴とする無線通信システムである。
【0019】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が周波数分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、前記第2の無線システムの基地局と端末は、複数のアンテナと、前記複数のアンテナに接続されるアンテナと同数の送信機及び受信機と、前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するスケジューリング情報取得手段と、前記スケジューリング情報に基づいて、前記第2の無線システムの通信周波数を、前記第1の無線システムの基地局から加入者局への送信周波数とする周波数決定手段と、前記第1の無線システムの加入者局から基地局への上り信号の受信電力を判定する受信電力判定手段と、前記受信電力判定手段で判定された受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定する与干渉推定手段と、前記与干渉推定手段により推定された与干渉量に基づいて、前記第2の無線システムの端末からスケジュール候補情報を取得するスケジュール候補情報取得手段とを具備し、前記第2の無線システムの基地局は、前記スケジュール候補情報取得手段により取得されたスケジュール候補情報に基づいて、前記第2の無線システム内の通信チャネルが衝突しないように、前記第2の無線システム内の通信チャネルを決定する通信チャネル決定手段を更に具備し、前記第2の無線システムの基地局と端末は、前記通信チャネル決定手段により決定された通信チャネルで、前記第1の無線システムの基地局から受信した信号をゼロとする重み付け値を算出するウエイト算出手段と、前記ウエイト算出手段により算出された重み付け値に基づいて、送受信信号に対して重み付けを行う重み付け手段とを具備することを特徴とする無線通信システムである。
【0020】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が周波数分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、アンテナと、前記アンテナに接続される送信機及び受信機と、前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するスケジューリング情報取得手段と、前記第1の無線システムの加入者局から基地局への上り信号の受信電力を判定する受信電力判定手段と、前記受信電力判定手段で判定された受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定する与干渉推定手段と、前記与干渉推定手段により推定された与干渉量に基づいて、前記第2の無線システムの端末からスケジュール候補情報を取得するスケジュール候補情報取得手段と、前記スケジュール候補情報取得手段により取得されたスケジュール候補情報に基づいて、前記第2の無線システム内の通信チャネルが衝突しないように、前記第2の無線システム内の通信チャネルを決定する通信チャネル決定手段と、前記スケジュール候補情報取得手段により取得されたスケジュール候補情報を、前記第2の無線システムの基地局と、前記第2の無線システムの端末とに通知する通知手段とを備える制御装置を具備することを特徴とする無線通信システムである。
【0021】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する複数の第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、前記複数の第2の無線システム間で情報を共有し、前記複数の第2の無線システム間に無線もしくは有線で接続されたデータベース装置を具備し、前記データベース装置は、前記複数の第2の無線システムのうち、既に通信を行っている第2の無線システム毎の使用周波数、基地局の位置、端末の送信周期を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段により取得した、前記基地局間の距離、前記使用周波数及び前記使用送信周期に基づいて、新規に接続される第2の無線システムが使用可能な周波数、送信周期及び受信周期を管理する情報管理手段と、前記情報管理手段に管理される情報を新規に接続される第2の無線システムに通知する情報伝達手段とを備え、新規に接続される第2の無線システムは、前記データベース装置から通知される情報に基づいて、他の第2の無線システムとの干渉回避を行うことを特徴とする無線通信システムである。
【0022】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、前記第2の無線システムにおける基地局と端末に、前記第1の無線システムの基地局と加入者局と間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するステップと、前記第1の無線システムから送信される干渉信号を受信するステップと、前記スケジューリング情報と前記干渉信号とを用いて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムへの干渉を回避するように、前記第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信順序を決定するステップとを具備することを特徴とする無線通信方法である。
【0023】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割多重で複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、前記第2の無線システムの基地局と端末とにより、前記第1の無線システムのK個のスケジューリング情報を取得するステップと、前記第2の無線システムの基地局と端末とにより、前記スケジューリング情報に対応した受信信号の受信電力を測定するステップと、前記測定した受信電力と前記第2の無線システムの送信電力と前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第1の無線システムに与える与干渉量を測定するステップと、前記与干渉量が前記第1の無線システムに対する干渉条件のしきい値以下になる場合に前記スケジューリング情報を有効であると判定するステップと、前記有効と判定されたスケジューリング情報を前記第2の無線システムの基地局と端末とで保持するステップと、前記第2の無線システムの基地局により、前記第2の無線システムの基地局と端末との間の送信周期が衝突しないように、前記第2の無線システムの基地局及び端末により有効であると判定された全てのスケジューリング情報に基づいて、前記第2の無線システムが使用する通信チャネルを選択するステップと、前記選択された通信チャネルを前記第2の無線システムの端末に通知するステップとを含むことを特徴とする無線通信方法である。
【0024】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在し、する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、前記第2の無線システムの基地局及び端末は、複数のアンテナと、前記複数のアンテナに接続される該アンテナと同数の送信機及び受信機とを備え、前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するステップと、前記スケジューリング情報に基づいて、前記第1の無線システムの基地局の送信周期を、前記第2の無線システムの基地局の受信周期とし、前記第1の無線システムの基地局の受信周期を、前記第2の無線システムの基地局の送信周期とするステップと、前記第1の無線システムの基地局の送信信号から通信チャネルを推定する通信チャネルステップと、前記推定された通信チャネルの、前記第2の無線システムからの信号をゼロとする重み付け値を算出するステップと、前記算出された重み付け値に基づいて、送受信信号に対して重み付けを行うステップと、前記スケジュール情報に基づいて、前記第1の無線システムの基地局及び加入者局との間における無線信号の受信電力を判定するステップと、前記受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定し、該干渉量に基づいて、取得すべきスケジュール情報を決定するステップと、前記第2の無線システムの基地局で決定したスケジュール情報と前記第2の無線システムの端末側の前記与干渉推定手段で決定したスケジュール情報とを取得するステップとを含み、前記第2の無線システムの基地局は、前記取得したスケジュール情報に基づいて、前記第2の無線システム内のチャネルが衝突しないように、前記第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信チャネルを決定するステップを更にを含むことを特徴とする無線通信方法である。
【0025】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が周波数分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、前記第2の無線システムの基地局と端末は、複数のアンテナと、前記複数のアンテナに接続されるアンテナと同数の送信機及び受信機とを備え、前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するステップと、前記スケジューリング情報に基づいて、前記第2の無線システムの通信周波数を、前記第1の無線システムの基地局から加入者局への送信周波数とするステップと、前記第1の無線システムの加入者局から基地局への上り信号の受信電力を判定するステップと、前記受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定するステップと、前記推定された与干渉量に基づいて、前記第2の無線システムの端末からスケジュール候補情報を取得するステップとを含み、前記第2の無線システムの基地局は、前記取得されたスケジュール候補情報に基づいて、前記第2の無線システム内の通信チャネルが衝突しないように、前記第2の無線システム内の通信チャネルを決定するステップを更に含み、前記第2の無線システムの基地局と端末は、前記決定された通信チャネルで、前記第1の無線システムの基地局から受信した信号をゼロとする重み付け値を算出するステップと、前記算出された重み付け値に基づいて、送受信信号に対して重み付けを行うステップとを含むことを特徴とする無線通信方法である。
【0026】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が周波数分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、前記第2の無線システムの基地局に、無線あるいは有線にて接続した制御装置を設け、前記制御装置は、前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するステップと、前記第1の無線システムの加入者局から基地局への上り信号の受信電力を判定するステップと、前記受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定するステップと、前記推定された与干渉量に基づいて、前記第2の無線システムの端末からスケジュール候補情報を取得するステップと、前記取得されたスケジュール候補情報に基づいて、前記第2の無線システム内の通信チャネルが衝突しないように、前記第2の無線システム内の通信チャネルを決定するステップと、前記取得されたスケジュール候補情報を、前記第2の無線システムの基地局と、前記第2の無線システムの端末とに通知するステップとを含むことを特徴とする無線通信システムである。
【0027】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する複数の第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、前記複数の第2の無線システム間で情報を共有し、前記複数の第2の無線システム間に無線もしくは有線で接続されたデータベース装置を設け、前記データベース装置は、前記複数の第2の無線システムのうち、既に通信を行っている第2の無線システム毎の使用周波数、基地局の位置、端末の送信周期を取得するステップと、前記取得した、前記基地局間の距離、前記使用周波数及び前記使用送信周期に基づいて、新規に接続される第2の無線システムが使用可能な周波数、送信周期及び受信周期を管理するステップと、前記管理される情報を新規に接続される第2の無線システムに通知するステップとを含み、新規に接続される第2の無線システムは、前記データベース装置から通知される情報に基づいて、他の第2の無線システムとの干渉回避を行うステップを含むことを特徴とする無線通信方法である。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、第2の無線システムにおける基地局と端末により、第1の無線システムのスケジューリング情報を取得し、第1の無線システムから送信される干渉信号を受信し、スケジューリング情報と干渉信号とを用いて、第2の無線システムから第1の無線システムへの干渉を回避するように、第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信順序を決定する。したがって、第1の無線システムと第2の無線システムとの間で、干渉を与えることも、受けることもなく、無線通信を行うことができるという利点が得られる。
【0029】
また、本発明によれば、前記第2の無線システムの基地局と端末により、第1の無線システムのスケジューリング情報を取得し、第1の無線システムの基地局及び加入者局との間における無線信号の受信電力を判定し、該受信電力と、第1の無線システムの送信電力と、第2の無線システムの送信電力と、スケジューリング情報とに基づいて、第2の無線システムから第1の無線システムに与える与干渉量を推定し、該干渉量に基づいて、取得すべきスケジュール情報を決定し、第2の無線システムにおける基地局により、自身の前記与干渉推定手段で決定したスケジュール情報と第2の無線システムの端末側で決定したスケジュール情報とを取得し、該取得されたスケジュール情報に基づいて、第2の無線システム内のチャネルが衝突しないように、第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信チャネルを決定する。したがって、第1の無線システムと第2の無線システムとの間で、干渉を与えることも受けることもなく、無線通信を行うことができるという利点が得られる。
【0030】
また、本発明によれば、第2の無線システムの基地局及び端末により、第1の無線システムのスケジューリング情報を取得し、第2の無線システムの基地局により、スケジューリング情報に基づいて、第1の無線システムの基地局の送信周期を、第2の無線システムの基地局の受信周期とし、第1の無線システムの基地局の受信周期を、第2の無線システムの基地局の送信周期とし、第1の無線システムの基地局の送信信号から通信チャネルを推定し、該推定された通信チャネルの、第2の無線システムからの信号をゼロとする重み付け値を算出し、該重み付け値に基づいて、送受信信号に対して重み付けを行い、第2の無線システムの端末により、スケジュール情報に基づいて、第1の無線システムの基地局及び加入者局との間における無線信号の受信電力を判定し、該受信電力と、第1の無線システムの送信電力と、第2の無線システムの送信電力と、スケジューリング情報とに基づいて、第2の無線システムから第1の無線システムに与える与干渉量を推定し、該干渉量に基づいて、取得すべきスケジュール情報を決定し、自身で決定したスケジュール情報と第2の無線システムの端末側で決定したスケジュール情報とを取得し、第2の無線システムの基地局により、該スケジュール情報に基づいて、第2の無線システム内のチャネルが衝突しないように、第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信チャネルを決定する。したがって、第1の無線システムの加入者局だけを考慮して通信チャネルを決定すればよく、より容易に、第1の無線システムと第2の無線システムとの間で、干渉を与えることも受けることもなく、無線通信を行うことができるという利点が得られる。
【0031】
また、この発明によれば、第2の無線システムの基地局と端末により、第1の無線システムのスケジューリング情報を取得し、該スケジューリング情報に基づいて、第2の無線システムの通信周波数を、第1の無線システムの基地局から加入者局への送信周波数とし、第1の無線システムの加入者局から基地局への上り信号の受信電力を判定し、該受信電力と、第1の無線システムの送信電力と、第2の無線システムの送信電力と、スケジューリング情報とに基づいて、第2の無線システムから第1の無線システムに与える与干渉量を推定し、該推定された与干渉量に基づいて、第2の無線システムの端末からスケジュール候補情報を取得し、第2の無線システムの基地局により、該取得されたスケジュール候補情報に基づいて、第2の無線システム内の通信チャネルが衝突しないように、第2の無線システム内の通信チャネルを決定し、第2の無線システムの基地局と端末により、該決定された通信チャネルで、第1の無線システムの基地局から受信した信号をゼロとする重み付け値を算出し、該重み付け値に基づいて、送受信信号に対して重み付けを行う。したがって、第1の無線システムの加入者局だけを考慮して送信タイミングを決定すればよく、より容易に、第1の無線システムと第2の無線システムとの間で、干渉を与えることも受けることもなく、無線通信を行うことができるという利点が得られる。
【0032】
また、本発明によれば、アンテナと、該アンテナに接続される送信機及び受信機とを備える制御装置を設け、第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得し、第1の無線システムの加入者局から基地局への上り信号の受信電力を判定し、該受信電力と、第1の無線システムの送信電力と、第2の無線システムの送信電力と、スケジューリング情報とに基づいて、第2の無線システムから第1の無線システムに与える与干渉量を推定し、該与干渉量に基づいて、第2の無線システムの端末からスケジュール候補情報を取得し、該取得されたスケジュール候補情報に基づいて、第2の無線システム内の通信チャネルが衝突しないように、第2の無線システム内の通信チャネルを決定し、取得されたスケジュール候補情報を、第2の無線システムの基地局と端末に通知する。したがって、第2の無線システムの基地局と端末とを、1つの周波数でのみで運用することができ、ハードウェアの簡略化を図ることができるという利点が得られる。
【0033】
また、この発明によれば、複数の第2の無線システム間で情報を共有し、複数の第2の無線システム間に無線もしくは有線で接続されたデータベース装置を設け、複数の第2の無線システムのうち、既に通信を行っている第2の無線システム毎の使用周波数、基地局の位置、端末の送信周期を取得し、該基地局間の距離、使用周波数及び使用送信周期に基づいて、新規に接続される第2の無線システムが使用可能な周波数、送信周期及び受信周期を管理し、該管理される情報を新規に接続される第2の無線システムに通知し、新規に接続される第2の無線システムにより、通知される情報に基づいて、他の第2の無線システムとの干渉回避を行う。したがって、第2の無線システムが増加した場合であっても、より容易に、かつ柔軟に、第1の無線システムと第2の無線システムとの間で、干渉を与えることも受けることもなく、無線通信を行うことができるという利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0035】
A.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態における通信システムを説明するための概念図である。図1では、PrimaryシステムのTDMA(Time Division Multiple Access)−TDD(Time Division Duplex)におけるプライマリシステムの送受信周期の一例を示す。従来の無線システムにおいて、マルチプルアクセスと呼ばれる、一基地局(Primaryシステムの基地局BS(Base Station))に対して、ある1つの周波数を複数の加入者局SS#1〜SS#3で異なる時間や、周波数、符号などで分割する場合、基地局BSと加入者局SS#1〜SS#3との間での送信と受信との順番を決めなければならない。これを、スケジューリングと呼ぶ。
【0036】
図示の例では、基地局BSと端未SS#1とは、ダウンリンク及びアップリンクのタイムスロットt1D、t1Uを用い、基地局BSと端未SS#2とは、ダウンリンク及びアップリンクのタイムスロットt2D、t2Uを用い、基地局BSと端未SS#3とは、ダウンリンク及びアップリンクのタイムスロットt3D、t3Uを用いている。
【0037】
この場合、基地局BSと端未SS#1〜SS#3との間でスケジューリング情報を共有する必要があるので、必ず、図1に示すように、ヘッダの部分が基地局BSと加入者局SS#1〜SS#3との間に設けられる。図1に示す例では、ダウンリンク(基地局:送信、端末:受信)の最初に、スケジューリング情報を設けることを示しているが、実際には、これに限定されず、異なる周波数に乗せる場合もある。
【0038】
また、加入者局SS#1〜SS#3もスケジューリング情報を基地局BSに伝えるために、加入者局SS#1〜SS#3からの送信信号にスケジューリング情報が含まれる。いずれにしても、重要なポイントとしては、スケジューリング情報をSecondaryシステム101が受信できれば、端末TSが送信する順番を把握することができる。本発明では、この特徴を利用する。
【0039】
次に、図2は、本第1実施形態による通信装置の構成を示すブロック図である。図2(a)がSecondaryシステム101のアクセスポイントAPの構成を示し、図2(b)が同システムの端末TSの構成を示す。まず、アクセスポイントAPの構成について説明する。図2(a)において、受信機112及び送信機113は、TDDスイッチ111を介してアンテナ110に接続されている。TDDスイッチ111は、後述するAP・端末使用チャネル決定部119により決定された使用チャネルに基づいて、受信機112及び送信機113とアンテナ110との接続を切り換える。
【0040】
受信信号分岐部114は、受信機112により受信された受信信号を分岐し、一方をPrimaryシステム用のスケジューリング情報取得部115に供給し、他方をSecondaryシステム用のスケジューリング情報取得部118に供給する。Primaryシステム用のスケジューリング情報取得部115は、Primaryシステム100のK個のスケジューリング情報を取得し、Primaryシステム用の受信電力判定部116に供給する。
【0041】
ここで、スケジューリング情報とは、Primaryシステム100の1ユーザ(端末)当たりに用いる時間や周波数、ならびに同時接続ユーザ数である。例えば、図1に示す場合、Secondaryシステム101は、Primaryシステム100の基地局BSが送信する時間周期が4つあり、加入者局SS#1〜SS#3が送信する時間周期が4つあると判定する。また、図1に示す例では、TDD方式であるので、基地局BSは、4回受信した後、4回送信する。加入者局SS#1〜SS#3は、1回送信したら、3回休んで、その後、受信するといった情報が得られることになる。
【0042】
受信電力判定部116は、K個のスケジューリング情報を元に、N番目のスケジューリング情報に基づくユーザ毎の受信電力を測定する。図1に示す例では、Primaryシステム100の基地局BSから送信される4つの時間周期における信号、加入者局SS#1〜SS#3から送信される4つの時間周期における信号からの受信電力を測定する。
【0043】
次に、与干渉推定部117は、K個の受信電力と、Secondaryシステム101の送信電力と、先に得たスケジューリング情報とを用いてPrimaryシステム100に与える与干渉量を推定する。例えば、図1においてPrimaryシステム100の加入者局1(SS#1)がSecondaryシステム101に最も近いため、該加入者局SS#1からの信号(タイミングt1Uからの信号)から干渉電力が大きかったとする。そうすると、上述したように、Secondaryシステム101は、取得したスケジューリング情報に基づいて、この3つ前のタイミングt1DがSS#1にとっての受信タイミングとなることが認識できるので、このタイミングt1Dを回避した方がよいという情報が得られる。
【0044】
また、タイミングt2Uで送信する加入者局SS#2からは、十分遠いため、干渉が検出されないので、このタイミングt2Uはよいが、図1のように、基地局BSが端末TSに近く、基地局BSからの下り信号の干渉(タイミングt2D)が問題になるとすると、結局、タイミングt2Uで端末TSが送信すると、基地局BSに干渉するといったことが推定できる。すなわち、スケジューリング情報を取得していることにより、受信した干渉情報から、Primaryシステム100に与える可能性のある干渉を推定できる。このようにして、Primaryシステム100におけるスケジュール毎の与干渉量を推定できるので、この与干渉量にしきい値を乗じて、この値が所定値以下であれば、そのスケジュール情報を使用可能と判定できる。
【0045】
スケジュール候補情報取得部118は、端末TSの与干渉推定部137で取得した使用可能なスケジューリング情報を受信し、自身(AP内)の与干渉推定部117で取得した情報と照合する。AP・端末使用チャネル決定部119は、使用可能なスケジューリング番号が重複している場合に、Secondaryシステム101におけるスケジュールを調整し、全ての送信タイミングと受信タイミングとを決定する。送信信号生成部120は、この情報を基に通信を行うとともに、この情報を端末TSに通知する。
【0046】
次に、端末TSの構成について説明する。図2(b)において、受信機131及び送信機133は、TDDスイッチ131を介してアンテナ130に接続されている。TDDスイッチ131は、後述する端末使用チャネル判定部138により判定された使用チャネルに基づいて、受信機132及び送信機133とアンテナ130との接続を切り換える。
【0047】
受信信号分岐部134は、受信機132により受信された受信信号を分岐し、一方をPrimaryシステム用のスケジューリング情報取得部135に供給し、他方を端末使用チャネル判定部138に供給する。Primaryシステム用のスケジューリング情報取得部135は、Primaryシステム100のK個のスケジューリング情報を取得し、Primaryシステム用の受信電力判定部136に供給する。
【0048】
受信電力判定部136は、K個のスケジューリング情報を元に、N番目のスケジューリング情報に基づくユーザ毎の受信電力を測定する。与干渉推定部137は、K個の受信電力と、Secondaryシステム101の送信電力と、先に得たスケジューリング情報とを用いてPrimaryシステム100に与える与干渉量を推定する。送信信号生成部137は、この情報を基に通信を行うとともに、この情報をアクセスポイントAPに通知する。
【0049】
端末使用チャネル判定部138は、アクセスポイントAPによって決定された、全ての送信タイミングと受信タイミングに基づいて、端末使用チャネルを決定し、TDDスイッチ131の切り換え動作を制御する。図1に示す例では、基地局BSがアクセスポイントAPと端末TSとに近いため、結局、基地局BSのアップリンクのタイミングでSecondaryシステム101が送信すると、こられが干渉になるため、4番目の空いているタイミングが選択される。
【0050】
次に、本第1実施形態の動作について説明する。
図3は、本第1実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。まず、Secondaryシステム101が通信を行うため、Secondaryシステム101が使用したい周波数を決定する(ステップSa1)。次に、Secondaryシステム(アクセスポイントAP、端末TS)101において、Primaryシステム用のスケジューリング情報取得部115、135は、Primaryシステム100のK個のスケジューリング情報を取得する(ステップSa2)。スケジューリング情報は、前述したように、Primaryシステム100の1ユーザ(端末)当たりに用いる時間や、周波数、ならびに同時接続ユーザ数である。
【0051】
次に、Secondaryシステム(アクセスポイントAPと端末TS)において、Primaryシステムの受信電力判定部116、136は、K個のスケジューリング情報をカウントするための変数Nを1とし(ステップSa3)、K個のスケジューリング情報を元に、N番目のスケジューリング情報に基づくユーザ毎の受信電力を測定する(ステップSa4)。つまり、図1に示す例では、Primaryシステム100の基地局BSから送信される4つの時間周期における信号(干渉信号)、加入者局SS#1〜SS#3から送信される4つの時間周期における信号からの受信電力を測定する。
【0052】
次に、受信電力を測定した後、Secondary101システムにおいて、与干渉推定部117、137は、K個の受信電力と、Secondaryシステム101の送信電力と、スケジューリング情報とから、Primaryシステム100に与える可能性のある与干渉量αを推定する(ステップSa5)。
【0053】
これは、Secondaryシステム101が、Primaryシステム100のアンテナゲイン、アンプの利得を予め事前に知っていれば実現できる。アクセスポイントAPがPrimaryシステム100の基地局BSから受ける受信電力RPRI−SECとSecondaryシステム101でのINRSEC(干渉信号雑音電力比)は、次式(1)、(2)で与えられる。
【0054】
【数1】

【0055】
【数2】

【0056】
ここで、Gはアンプとアンテナのゲインを表す。添え字HPAは送信アンプ、LNAは受信アンプ、ANTはアンテナに対応する。また、添え字PRIとSECは、Primaryシステム100とSecondaryシステム101でそれぞれ発生するものとなる。Lは伝搬路のパスロスを表す。
【0057】
同様に、アクセスポイントAPから基地局BSへ与える干渉電力と、基地局BSにおけるINRPRIは以下の式で与えられる。
【0058】
【数3】

【0059】
【数4】

【0060】
ここで、数式(1)−数式(3)という演算を行うと以下の関係式が得られる。
【0061】
【数5】

【0062】
ここで、伝搬路の可逆性は成り立つため、LPRI−SEC=LSEC−PRIの関係を利用している。数式(5)を数式(4)に代入すると、次式(6)となる。
【0063】
【数6】

【0064】
すなわち,Primaryシステム100に対するSecondaryシステム101からの与干渉は、数式(6)で与えることができる。これは、Primaryシステム100からSecondaryシステム101の装置に送信されて得られるINR、Primaryシステム100とSecondaryシステム101との装置における受信アンプとゲインの差、Primaryシステム100とSecondaryシステム101との送信アンプとゲインの差で表される。数式(6)の第1項は、Secondaryシステム101が受信信号を受ける際に得られ、第2項と第3項は、Primaryシステム100のアンプのゲインを知っていることで実現できる。
【0065】
次に、推定した与干渉量がしきい値αより小さいか否かを判定する(ステップSa6)。そして、与干渉量がしきい値αより大きい場合には、変数NがK個より小さいか、すなわち、全てのスケジューリング情報について処理を行ったか否かを判定する(ステップSa7)。変数Nの値がK個に達していない場合には、変数Nを1つインクリメントし(ステップSa8)、ステップSa4に戻り、上述したステップSa4〜Sa6の処理を繰り返す。
【0066】
一方、変数Nの値がK個に達した場合、すなわち、全てのスケジューリング情報について処理を行ったものの、与干渉量がしきい値αより小さいものがなかった場合には、当該処理を終了する。このように、有効なチャネルが見つからない場合には、別の周波数から再度検索を行うことになる。
【0067】
上述した処理において、与干渉量がしきい値αより小さい場合には、アクセスポイントAPにおいて、スケジュール候補情報取得部118は、全ての使用可能なスケジューリング情報、すなわち、端末TS側で取得した使用可能なスケジューリング情報を確保し(ステップSa9)、保持する(ステップSa10)。次に、アクセスポイントAPにおいて、スケジュール候補情報取得部118は、端末TSとアクセスポイントAPの送信タイミングが衝突しないように、選択された全てのスケジューリング情報から、Secondaryシステム101が使用するチャネルを選択し、AP・端末使用チャネル決定部119は、端末TSに通知する(ステップSa11)。
【0068】
例えば、Secondaryシステム101の位置が、加入者局SS#3と基地局BSとから十分な距離があり、タイミングt3Uとt3Dの信号による干渉が検出されない場合には、Secondaryシステム101は、タイミングt3Uとt3Dを用いて通信することもできるし、タイミングt4Uとt4Dを用いて通信することもできる。
【0069】
次に、端末TSにおいて、図2に示す端末使用チャネル判定部138は、上記使用チャネルの情報を受信し、使用チャネルを決定する。そして、Secondaryシステム101において、上記決定されたチャネルを用いて通信を開始する(ステップSa12)。
【0070】
このように、上述した第1実施形態によれば、Primaryシステム100のスケジューリング情報を取得することにより、Secondaryシステム101は、Primaryシステム100ヘの干渉を完全に回避しながら通信を行うことができる。
【0071】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図4は、本第2実施形態における通信システムを説明するための概念図である。図4には、PrimaryシステムのTDMA−TDDにおけるPrimaryシステムの送受信周期の一例を示す概念図を示している。図において、Primaryシステム100においては、基地局BSと加入者局SS#1〜#3とは、ダウンリンクとアップリンクとを用いて通信を行っており、Secondaryシステム101においては、アクセスポイントAPと端末TS1〜TS3とが通信を行っている。
【0072】
本第2実施形態では、以下の点で第1実施形態とは異なる。
特徴1:図1もしくは図4に示すように、端末側の方が基地局BSよりも空いているチャネルが断然多い。よって、Primaryシステム100の基地局BSへの与干渉を回避しながら、この基地局BSからの干渉を受けなければ、Primaryシステム100の加入者局SSだけに注目してスケジューリングを調整できる。
【0073】
特徴2:干渉回避には、例えば、複数本のアンテナ(アレーアンテナ)を用いた干渉除去が可能であるが、このために、高い精度で干渉波の伝搬チャネル応答を推定すると、干渉除去の精度が向上する。基地局は、移動しないので、端末よりも安定した伝搬チャネル応答を取得できる。
【0074】
特徴3:Secondaryシステムに関しては、アクセスポイントAPの方が端末TSよりもハードウェアに対する要求条件が厳しくない。特に、小型の端末などを考えると、できるだけ少ないアンテナ数で実現したい。これに対し、アクセスポイントAPでは、ある程度のアンテナ数が許容可能である。
【0075】
図5は、本発明の第2実施形態によるアクセスポイントAPの構成を示すブロック図である。なお、図2(a)に対応する部分については同一の符号を付けて説明を省略する。また、本第2実施形態では、端末TS側のハードウェア構成は、図2(b)に示す構成で実現できるので、説明を省略する。
【0076】
図5において、複数の受信機212−1〜212−N及び複数の送信機213−1〜213−Nは、それぞれセットで、TDDスイッチ211−1〜211−Nを介して、それぞれのアレーアンテナ210−1〜210−Nに接続されている。それぞれのTDDスイッチ211−1〜211−Nは、分岐部225を介して供給される、後述する送受信周期決定部224により決定された送受信信号周期に従って、受信機212−1〜212−N及び送信機213−1〜213−Nとアレーアンテナ210−1〜210−Nとの接続を切り換える。
【0077】
受信信号分岐部214は、受信機212−1〜212−Nにより受信された受信信号(N本)を分岐し、Primaryシステム用の下り信号伝搬チャネル推定部215、受信信号ウエイト乗算部217、Secondaryシステム用のスケジューリング候補情報取得部218及びPrimaryシステム用のスケジューリング情報取得部223に供給する。Primaryシステム用のスケジューリング情報取得部223は、Primaryシステム100のK個のスケジューリング情報を取得し、送受信周期決定部224に供給する。送受信周期決定部224は、Primaryシステム100の基地局BSの送信周期がアクセスポイントAPの受信周期、受信周期がアクセスポイントAPの送信周期となるように決定する。これは、上記特徴1〜特徴3を実現するためである。
【0078】
下り信号伝搬チャネル推定部215は、Primaryシステム100の下り信号の伝搬チャネルを推定し、チャネル情報としてウエイト計算部216に供給する。ウエイト計算部216は、チャネル情報から受信信号をゼロにするようなウエイトを求め、受信信号ウエイト乗算部217及び送信信号ウエイト乗算部222に供給する。なお、上述したウエイトの計算は、アダプティブアレーアンテナの干渉除去として知られているゼロフォーシングなどのアルゴリズムを用いることで実現可能である。受信信号ウエイト乗算部217は、受信信号分岐部214から供給される受信信号に上記ウエイトを乗算し、受信出力として出力する。
【0079】
Secondaryシステム用のスケジュール候補情報取得部218は、受信したスケジューリング情報から、Secondaryシステム101用のスケジュール候補情報を取得し、端末使用チャネル決定部219に供給する。端末使用チャネル決定部219は、上記スケジュール情報に基づいて、端末TSで使用可能なチャネルを決定し、送信信号生成部220に供給する。送信信号生成部220は、上記チャネルに従って送信信号を生成し、分岐部221を介して送信信号ウエイト乗算部222に供給する。送信信号ウエイト乗算部222は、生成された送信信号にウエイト計算部216で計算されたウエイトを乗算し、送信機213−1〜213−Nに供給する。
【0080】
次に、本第2実施形態の動作について説明する。
図6及び図7は、本第2実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。まず、Secondaryシステム101が通信を行うため、Secondaryシステム101が使用したい周波数(f1)を決定する(ステップSb1)。次に、Secondaryシステム(アクセスポイントAP、端末TS)101において、Primaryシステムのスケジューリング情報取得部223は、Primaryシステム100のK個のスケジューリング情報を取得する(ステップSb2)。ここは、第1実施形態と同じである。
【0081】
次の処理は、アクセスポイントAP側と端末TS側に分かれる。まず、アクセスポイントAP側の手順から説明する。
【0082】
アクセスポイントAPにおいて、送受信周期決定部224は、Primaryシステム100の基地局BSの送信周期をアクセスポイントAPの受信周期、受信周期をアクセスポイントAPの送信周期となるように決定する(ステップSb3)。先の手順より、Primaryシステム100のスケジューリング情報を得ているので、アクセスポイントAPがアレーアンテナ210−1〜210−Nを用いて、Primaryシステム100の干渉除去と干渉回避とを実現する。
【0083】
また、この手順により、Secondaryシステム101の送信タイミングは、必ずPrimaryシステム100の基地局BSの送信タイミングと一致する。すなわち、端末TSは、自動的にPrimaryシステム100ヘの与干渉回避を実現することができる。よって、この時点では、端末TSは、Primaryシステム100の加入者局(SS#1〜#3)に与える干渉だけを注意すればよいことになる。これは、端末間だけのスケジューリングを決めればよいことになるので、最後のSecondaryシステム101のスケジューリングを非常に容易にすることになる。
【0084】
アクセスポイントAPは、アダプティブアレーアンテナの干渉除去として知られているゼロフォーシングなどのアルゴリズムを用いて、決められたチャネル(基地局の下り回線信号の周期)において、基地局BSから送信されるチャネル情報から、この信号をゼロになるようなウエイトを求める(ステップSb4)。その後、アクセスポイントAPにおいて、下り信号伝搬チャネル推定部215とウエイト計算部216、ならびに受信信号ウエイト乗算部217と送信信号ウエイト乗算部222は、送信と受信とにこのウエイトを用いて通信を行う(ステップSb5)。
【0085】
次に、端末TS側の手順について説明する。端末TS側では、基本的には、前述した第1実施形態と同じ処理を実行する。すなわち、図7に示すステップSb6〜Sb14は、図3に示すステップSa3〜Sa11と同じである。但し、Primaryシステム100のダウンリンクに関しては、既にアクセスポイントAPが受信に用いることを決定しており、この干渉は除去できるので、Primaryシステム100のアップリンクの信号(タイミングt1U、t2U、t3U)のスケジューリング情報だけを対象にするだけでよい。
【0086】
端末TS側は、Primaryシステムの加入者局SS#1〜SS#3からのアップリンク信号を受信することで、Primaryシステム100の加入者局SS#1〜SS#3への与干渉を推定する(ステップSb7〜Sb9)。
【0087】
そして、アクセスポイントAP側において、スケジュール候補情報取得部218は、端末TS側が取得したスケジュール候補を取得し(ステップSb12、Sb13)、これに基づき、端末使用チャネル決定部219は、端末TSのチャネルを決定する(ステップSb14)。ここでは、アクセスポイントAPは、端末同士が衝突しないように、チャネルを決定すればいいので、第1実施形態よりも制御が容易になる。
【0088】
ここで、図8は、本第2実施形態により得られるSecondaryシステムのスケジューリングの一例を示す概念図である。まず、前述したように、図4に示す例では、アクセスポイントAPは、基地局BSのダウンリンクのタイミングで受信し、アップリンクのタイミングで送信する。また、端末TSに関しては、図4に示す例において、加入者局SS#1、SS#2、SS#3と端末TS1、TS2、TS3との距離がそれぞれ近いことから、加入者局SS#1、SS#2、SS#3からのUplink信号から端末TS1、TS2、TS3のそれぞれに干渉が影響すると判定した場合には、図8に示すようなスケジューリングを行うことができる。例えば、端末TS1は、加入者局SS#1の送信タイミングと受信タイミングとを避けて送受信すればよい。
【0089】
このように、本第2実施形態でも、Secondaryシステム101は、Primaryシステム100ヘの干渉を完全に回避しながら通信を行うことができる。
【0090】
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本第3実施形態は、FDD(Frequency Division Duplex)における発明であり、FDDは、携帯電話のセルラシステムなどで採用されているため、このような環境でCognitive無線を実現できることは非常に大きな魅力になる。本第3実施形態では、端末の通信チャネルの方が空いている時間が多いことを利用する。
【0091】
図9は、本第3実施形態による通信システムを説明するための概念図である。図9には、PrimaryシステムのTDMA−FDDにおけるPrimaryシステムの送受信周期の一例を示している。図において、Primaryシステム100の基地局BSと加入者局SS#1〜#3、あるいは、Secondaryシステム101のアクセスポイントAPと端末TSとは、ダウンリンクで周波数f1、アップリンクで周波数f2を用いている。
【0092】
図10は、本第3実施形態によるアクセスポイントAPの構成を示すブロック図である。なお、図5に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、アクセスポイントAPの受信側の基本的なハードウェア構成は、前述した第2実施形態と同じになるのに対して(図5参照)、点線で囲んだ部分の構成が異なる。また、端末TSの構成は、図10に示すアクセスポイントAPと同じである。
【0093】
Primaryシステム用のスケジュール情報取得部250は、受信したスケジューリング情報から、Primaryシステム100用のスケジュール情報を取得し、Primaryシステム用の上り信号受信電力判定部251に供給する。上り信号受信電力判定部251は、K個のスケジューリング情報を元に、Primaryシステムのアップリンク(周波数f2)のN番目のスケジューリング情報に基づくユーザ毎の受信電力を測定する。
【0094】
与干渉推定部252は、受信電力とSecondaryシステム101の送信電力とから、Primaryシステム100に与える与干渉量を測定し、該与干渉量がしきい値αより小さいかを判定し、判定結果をスケジュール候補情報取得部253に供給する。スケジュール候補情報取得部253は、与干渉推定部252による判定結果が与干渉量がしきい値αより小さい場合、Secondaryシステム用のスケジューリング情報を取得し、AP・端末使用チャネル決定部254に供給する。AP・端末使用チャネル決定部254は、アクセスポイントAPと端末TS同士の送信タイミングが衝突しないように、選択された全てのスケジューリング情報からSecondaryシステム101が使用するチャネルを選択する。
【0095】
次に、本第3実施形態の動作について説明する。
図11及び図12は、本第3実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。まず、Secondaryシステム101が使用する周波数(ダウンリンクの周波数f1)を決定する(ステップSc1)。本第3実施形態では、Secondaryシステム101で、ダウンリンクの周波数f1のみを用いる。FDDの場合には、基地局BSは、アップリンクの信号(周波数f2)のみを受信するため、基地局BSからの干渉信号を除去できれば、基地局BSへの与干渉は発生しない。反対に、周波数f1では、Secondaryシステム101は、加入者局SS#1〜SS#3からの干渉を受けない。したがって、後は、加入者局SS#1〜SS#3への与干渉回避を考えればよいということになる。
【0096】
次に、Secondaryシステム(アクセスポイントAP、端末TS)101において、Primaryシステム用のスケジューリング情報取得部250は、Primaryシステム100のK個のスケジューリング情報を取得する(ステップSc2)。スケジューリング情報は、前述したように、Primaryシステム100の1ユーザ(端末)当たりに用いる時間や、周波数、ならびに同時接続ユーザ数である。
【0097】
次に、Secondaryシステム(アクセスポイントAPと端末TS)において、Primaryシステムの上り信号受信電力判定部251は、K個のスケジューリング情報をカウントするための変数Nを1とし(ステップSc3)、K個のスケジューリング情報を元に、アップリンクの周波数f2のN番目のスケジューリング情報に基づくユーザ毎の受信電力を測定する(ステップSc4)。
【0098】
次に、与干渉推定部252は、K個の受信電力と、Secondaryシステム101の送信電力とから、Primaryシステム100に与える与干渉量を推定し(ステップSc5)、与干渉量がしきい値αより小さいか否かを判定する(ステップSc6)。そして、与干渉量がしきい値αより大きい場合には、変数NがK個より小さいか、すなわち、全てのスケジューリング情報について処理を行ったか否かを判定する(ステップSc7)。変数Nの値がK個に達していない場合には、変数Nを1つインクリメントし(ステップSc8)、ステップSc4に戻り、上述したステップSc4〜Sc6の処理を繰り返す。
【0099】
一方、変数Nの値がK個に達した場合、すなわち、全てのスケジューリング情報について処理を行ったものの、与干渉量がしきい値αより小さいものがなかった場合には、当該処理を終了する。
【0100】
上述した処理において、与干渉量がしきい値αより小さい場合には、アクセスポイントAPにおいて、スケジュール候補情報取得部253は、全ての使用可能なスケジューリング情報、すなわち、端末TS側で取得した使用可能なスケジューリング情報を確保し(ステップSc9)、保持する(ステップSc10)。次に、アクセスポイントAPにおいて、AP・端末使用チャネル決定部254は、アクセスポイントAPと端末TS同士の送信タイミングが衝突しないように、選択された全てのスケジューリング情報から、Secondaryシステム101が使用するチャネルを選択する(ステップSc11)。
【0101】
次に、アクセスポイントAPと端末TSにおいて、割り当てられたチャネルで受信時に干渉を受ける場合には、ウエイト計算部216は、そのチャネル情報から、この信号をゼロとするようなウエイトを求め(ステップSc12)、受信信号ウエイト乗算部217は、求めたウエイトを受信信号に乗算し(ステップSc13)、上記決定されたチャネルを用いて通信を開始する(ステップSc14)。
【0102】
このように、本第3実施形態では、基本的に、前述した第1実施形態と同じ動作であるが、アクセスポイントAPと端末TSとがアップリンクの周波数f2のみを対象として与干渉の判定を行っている点で異なる。図9に示す例では、例えば、アクセスポイントAPと端末TSに対しては、加入者局SS#1のみからの信号が大きな干渉波であると判定されると、他の加入者局SS#2、SS#3への与干渉は小さいと判定し、他の加入者局SS#2、SS#3のタイミングを送信タイミングの候補とする。
【0103】
この手順の後、アクセスポイントAPと端末TSとは、それぞれ、加入者局SS#1〜SS#3に与干渉を与えないタイミングを選択して送信タイミングを決める。受信に関しては、基地局BSからの干渉を受けることになるので、受信タイミングでは、基地局BSからの干渉信号の伝搬チャネル情報を用いて干渉除去を行う。これは、前述した第2実施形態で説明した方法で実現できる。
【0104】
D.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
上述した第3実施形態では、周波数f2を通信に使わないにもかかわらず、加入者局SS#1〜SS#3への与干渉回避のために、周波数f2を使用している。この問題を解消するのが第4実施形態である。
【0105】
ここで、図13は、本第4実施形態による通信システムを説明するための概念図である。図13には、PrimaryシステムのTDMA−FDD(Frequency Division Duplex)におけるPrimaryシステムの送受信周期の一例を示す概念図である。もし、図9や、図13のように、Secondaryシステム101のゾーン長がPrimaryシステム100のゾーン長よりも小さい場合には、Secondaryシステム101のゾーン内(例えば、アクセスポイントAPの近傍に周波数f1、f2の信号を受信できる制御局102を設けておき、この制御局102にスケジューリング情報の取得と与干渉回避を行わせる。
【0106】
これにより、アクセスポイントAPと端末TSは、基本的には周波数f1のみで運用でき、ハードウェアの簡略化を考えると、非常に有益であると言える。また、本第4実施形態は、上述した第3実施形態と同様に、FDDにおける発明であり、FDDは携帯電話のセルラシステムなどで採用されているため、このような環境でコグニティブ無線を実現できることは非常に大きな魅力になる。
【0107】
図14は、本第4実施形態による制御局102の構成を示すブロック図である。制御局102の機能は、Primaryシステム100のスケジューリング情報検出機能と与干渉検出については、図10に示すアクセスポイントAP(端末TS)が有する機能と同じである。図において、受信機102−3及び送信機102−4は、送受信選択部102−2を介して、それぞれのアンテナ102−1に接続されている。送受信選択部102−2は、所定の送受信信号周期に従って、受信機102−3及び送信機102−4とアンテナ102−1との接続を切り換える。
【0108】
Primaryシステム用のスケジュール情報取得部102−5は、図10に示すスケジュール情報取得部250に相当し、受信したスケジューリング情報から、Primaryシステム100用のスケジュール情報を取得する。上り信号受信電力判定部102−6は、図10に示す上り信号受信電力判定部251に相当し、K個のスケジューリング情報を元に、Primaryシステムのアップリンク(周波数f2)のN番目のスケジューリング情報に基づくユーザ毎の受信電力を測定する。
【0109】
与干渉推定部102−7は、図10に示す与干渉推定部252に相当し、受信電力とSecondaryシステム101の送信電力とから、Primaryシステム100に与える与干渉量を測定し、該与干渉量がしきい値αより小さいかを判定する。スケジュール候補情報取得部102−8は、図10に示すスケジュール候補情報取得部253に相当し、与干渉推定部102−7による判定結果が与干渉量がしきい値αより小さい場合、Secondaryシステム用のスケジューリング情報を取得し、AP・端末使用チャネル決定部102−9に供給するとともに、有線などでアクセスポイントAPに通知する。
【0110】
AP・端末使用チャネル決定部102−9は、図10に示すAP・端末使用チャネル決定部254に相当し、アクセスポイントAPと端末TS同士の送信タイミングが衝突しないように、選択された全てのスケジューリング情報からSecondaryシステム101が使用するチャネルを選択する。送信信号生成部102−10は、選択されたチャネルに従って送信信号を生成し、送信機102−4に供給する。
【0111】
上述したように、Primaryシステム100のスケジューリング検出機能と与干渉検出機能を有する制御局102を設けることで、アクセスポイントAPと端末TSとで省略することができる。但し、制御局102では、干渉除去機能を備える必要はない。この制御局102が、例えば、アクセスポイントAPの近傍に配置されれば、スケジュール候補情報取得部102−8で取得したスケジューリング候補情報をアクセスポイントAPに供給することが可能である。また、無線を用いて端末TSに情報を送信することも可能である。
【0112】
E.第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図15は、本第5実施形態による、通信システムを説明するための概念図である。前述した第1乃至第4実施形態では、Secondaryシステム101がPrimaryシステム100の中に1局だけ存在する場合について説明した。しかし、図15に示すように、複数のSecondaryシステム101−1〜101−3、…、101−M、…、101−NがPrimaryシステム100にゾーンの中に配置される場合が考えられる。
【0113】
この場合、Secondaryシステム101−1〜101−3、…、101−M、…、101−N間の干渉も問題になるとともに、各Secondaryシステム101−1〜101−3、…、101−M、…、101−Nが自律的に先に示した制御を行うと、トータルのPrimaryシステム100の干渉も多くなる。また、Primaryシステム100のスケジューリング検出機能と与干渉検出機能の精度も劣化する。そこで、本第5実施形態では、この問題を解決するために、Secondaryシステム用の集中管理サーバを設ける。本第5実施形態では、該集中管理サーバをSecondaryシステム用データベース103と呼ぶ。
【0114】
Secondaryシステム用データベース103は、Secondaryシステム情報取得部103−1、Secondaryシステム情報管理部103−2、及びSecondaryシステム情報伝達部103−3を備えている。Secondaryシステム情報取得部103−1は、リンクが確立したSecondaryシステムの情報を取得する。Secondaryシステム情報管理部103−2は、取得したSecondaryシステムの情報を管理する。Secondaryシステム情報伝達部103−3は、Secondaryシステムに他のSecondaryシステムの情報を伝達する。
【0115】
Secondaryシステム用データベース103において、取得、管理、伝達する情報としては、アクセスポイントAPの位置、使用周波数、使用チャネル(時間、周波数、符号)があり、Secondaryシステム情報取得部103−1は、接続したSecondaryシステム毎に該情報を取得し、Secondaryシステム情報伝達部103−3は、該情報を他の新規接続Secondaryシステムに提供可能となっている。このSecondaryシステム用データベース103は、アクセスポイントAPとネットワーク経由で結ばれている。
【0116】
本第5実施形態において、新規Secondaryシステムの通信間始までの動作について、図15を参照して説明する。まず、Secondaryシステム101−1がPrimaryシステム100における周波数f1を用いた通信が開始されているとする。その際、Secondaryシステム101−2〜101−3、…、101−M、…、101−Nが通信を開始しようとする。まず、各Secondaryシステム101−2〜101−3、…、101−M、…、101−Nは、Secondaryシステム用データベース103にアクセスし、既に通信を開始しているSecondaryシステム101−1が使用している周波数(f1)と場所情報とを検索する。
【0117】
ここで、新規Secondaryシステム101−2〜101−3、…、101−M、…、101−Nとsecondaryシステム100−1との距離が十分に干渉を与えない距離Dである場合には、周波数f1を用いて通信を開始することを試みる(図15では、Secondaryシステム101−N、101−M)。また、距離が近い場合には、Primaryシステム100の別チャネルf1’を用いるか、元々Secondaryシステム101が所有する周波数Fcを用いる。ここで、新規同士のアクセスポイントAP間の距離も判定の対象となる。
【0118】
周波数割り当てを決定した後は、Primaryシステム100の周波数を使用しようとする場合には、前述した第1乃至第4実施形態で説明した方法を適用することが可能である。但し、Secondaryシステム用データベース103では、通信中のSecondaryシステムに割り当てたスケジューリング情報もあるので、新規にスケジューリングを行うことによるトータルのPrimaryシステム100ヘの干渉を回避するための参照することもできる。例えば、既に使用しているタイミングは、できるだけ使わないようにするなどである。すなわち、Secondaryシステム101が増加しても、前述した問題を回避することができる。
【0119】
上述した第1乃至第5実施形態では、Primaryシステムが元々持つユーザへのスケジューリング情報をSecondaryシステムが有効に活用し、このスケジューリング情報に基づいてSecondaryシステムのチャネル割り当てを実現することで、SecondaryシステムがPrimaryシステムからの干渉を受けず、かつPrimaryシステムへのSecondaryシステムからの干渉を与えないコグニティブ無線を実現することができる。また、複数のSecondaryシステムが存在しても、Secondaryシステム用データベースを活用することにより、コグニティブ無線を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1実施形態における通信システムを説明するための概念図である。
【図2】本第1実施形態による通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本第1実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態における通信システムを説明するための概念図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるアクセスポイントAPの構成を示すブロック図である。
【図6】本第2実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本第2実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本第2実施形態により得られるSecondaryシステムのスケジューリングの一例を示す概念図である。
【図9】本発明の第3実施形態による通信システムを説明するための概念図である。
【図10】本第3実施形態によるアクセスポイントAPの構成を示すブロック図である。
【図11】本第3実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】本第3実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】本第4実施形態による通信システムを説明するための概念図である。
【図14】本第4実施形態による制御局の構成を示すブロック図である。
【図15】本第5実施形態による、通信システムを説明するための概念図である。
【図16】コグニティブ無線技術の概要を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0121】
100 Primaryシステム(第1の無線システム)
101 Secondaryシステム(第2の無線システム)
BS 基地局
SS#1〜SS#3 加入者局
AP アクセスポイント(第2の無線システムの基地局)
TS、TS1〜TS3 端末
110 アンテナ
111 TDDスイッチ
112、131 受信機(受信手段)
113、133 送信機
114、134 受信信号分岐部(受信手段)
115、135 スケジューリング情報取得部(スケジューリング情報取得手段)
116、136 受信電力判定部(受信電力判定手段)
117、137 与干渉推定部(与干渉推定手段)
118 スケジュール候補情報取得部(スケジュール候補情報取得手段)
119 AP・端末使用チャネル決定部(通信順序決定手段、通信チャネル決定手段)
120、137 送信信号生成部
130 アンテナ
138 端末使用チャネル判定部
210−1〜210−N アンテナ(複数のアンテナ)
211−1〜211−N TDDスイッチ
212−1〜212−N 受信機
213−1〜213−N 送信機
214 受信信号分岐部
215 下り信号伝搬チャネル推定部(通信チャネル推定手段)
216 ウエイト計算部(ウエイト算出手段)
217 受信信号ウエイト乗算部(重み付け手段)
218 スケジュール候補情報取得部(スケジュール候補情報取得手段)
219 端末使用チャネル決定部(通信チャネル決定手段)
220 送信信号生成部
221 分岐部
223 スケジューリング情報取得部(スケジューリング情報取得手段)
224 送受信周期決定部(送受信周期決定手段)
225 分岐部
250 スケジューリング情報取得部(スケジューリング情報取得手段)
251 上り信号受信電力判定部(受信電力判定手段)
252 与干渉推定部(与干渉推定手段)
253 スケジュール候補情報取得部(スケジュール候補情報取得手段)
254 AP・端末使用チャネル決定部(通信チャネル決定手段)
102 Secondaryシステム用制御局(制御装置)
102−1 アンテナ
102−2 送受信選択部
102−3 受信機
102−4 送信機
102−5 スケジューリング情報取得部(スケジューリング情報取得手段)
102−6 上り信号受信電力判定部(受信電力判定手段)
102−7 与干渉推定部(与干渉推定手段)
102−8 スケジュール候補情報取得部(スケジュール候補情報取得手段、通知手段)
102−9 AP・端末使用チャネル決定部(通信チャネル決定手段)
102−10 送信信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、
前記第2の無線システムにおける基地局と端末は、
前記第1の無線システムの基地局と加入者局と間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するスケジューリング情報取得手段と、
前記第1の無線システムから送信される干渉信号を受信する受信手段と、
前記スケジューリング情報と前記干渉信号とを用いて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムへの干渉を回避するように、前記第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信順序を決定する通信順序決定手段と
を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、
前記第2の無線システムの基地局と端末は、
前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間で通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するスケジューリング情報取得手段と、
前記第1の無線システムの基地局及び加入者局との間における無線信号の受信電力を判定する受信電力判定手段と、
前記受信電力判定手段で得られた受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定し、該干渉量に基づいて、取得すべきスケジュール情報を決定する与干渉推定手段とを具備し、
前記第2の無線システムにおける基地局は、
自身の前記与干渉推定手段で決定したスケジュール情報と前記第2の無線システムの端末側の前記与干渉推定手段で決定したスケジュール情報とを取得するスケジュール候補情報取得手段と、
前記スケジュール候補情報収得手段により取得されたスケジュール情報に基づいて、前記第2の無線システム内のチャネルが衝突しないように、前記第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信チャネルを決定する通信チャネル決定手段とを具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、
前記第2の無線システムの基地局及び端末は、
複数のアンテナと、
前記複数のアンテナに接続される該アンテナと同数の送信機及び受信機と、
前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するスケジューリング情報取得手段とを具備し、
前記第2の無線システムの基地局は、
前記スケジューリング情報に基づいて、前記第1の無線システムの基地局の送信周期を、前記第2の無線システムの基地局の受信周期とし、前記第1の無線システムの基地局の受信周期を、前記第2の無線システムの基地局の送信周期とする送受信周期決定手段と、
前記第1の無線システムの基地局の送信信号から通信チャネルを推定する通信チャネル推定手段と、
前記通信チャネル推定手段により推定された通信チャネルの、前記第2の無線システムからの信号をゼロとする重み付け値を算出するウエイト算出手段と、
前記ウエイト算出手段により算出された重み付け値に基づいて、送受信信号に対して重み付けを行う重み付け手段とを更に具備し、
前記第2の無線システムの端末は、
前記スケジュール情報に基づいて、前記第1の無線システムの基地局及び加入者局との間における無線信号の受信電力を判定する受信電力判定手段と、
前記受信電力判定手段で得られた受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定し、該干渉量に基づいて、取得すべきスケジュール情報を決定する与干渉推定手段と、
自身の前記与干渉推定手段で決定したスケジュール情報と前記第2の無線システムの端末側の前記与干渉推定手段で決定したスケジュール情報とを取得するスケジュール候補情報取得手段とを具備し、
前記第2の無線システムの基地局は、
前記スケジュール情報に基づいて、前記第2の無線システム内のチャネルが衝突しないように、前記第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信チャネルを決定する通信チャネル決定手段を更に具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が周波数分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、
前記第2の無線システムの基地局と端末は、
複数のアンテナと、
前記複数のアンテナに接続されるアンテナと同数の送信機及び受信機と、
前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するスケジューリング情報取得手段と、
前記スケジューリング情報に基づいて、前記第2の無線システムの通信周波数を、前記第1の無線システムの基地局から加入者局への送信周波数とする周波数決定手段と、
前記第1の無線システムの加入者局から基地局への上り信号の受信電力を判定する受信電力判定手段と、
前記受信電力判定手段で判定された受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定する与干渉推定手段と、
前記与干渉推定手段により推定された与干渉量に基づいて、前記第2の無線システムの端末からスケジュール候補情報を取得するスケジュール候補情報取得手段とを具備し、
前記第2の無線システムの基地局は、
前記スケジュール候補情報取得手段により取得されたスケジュール候補情報に基づいて、前記第2の無線システム内の通信チャネルが衝突しないように、前記第2の無線システム内の通信チャネルを決定する通信チャネル決定手段を更に具備し、
前記第2の無線システムの基地局と端末は、
前記通信チャネル決定手段により決定された通信チャネルで、前記第1の無線システムの基地局から受信した信号をゼロとする重み付け値を算出するウエイト算出手段と、
前記ウエイト算出手段により算出された重み付け値に基づいて、送受信信号に対して重み付けを行う重み付け手段と
を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が周波数分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、
アンテナと、
前記アンテナに接続される送信機及び受信機と、
前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するスケジューリング情報取得手段と、
前記第1の無線システムの加入者局から基地局への上り信号の受信電力を判定する受信電力判定手段と、
前記受信電力判定手段で判定された受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定する与干渉推定手段と、
前記与干渉推定手段により推定された与干渉量に基づいて、前記第2の無線システムの端末からスケジュール候補情報を取得するスケジュール候補情報取得手段と、
前記スケジュール候補情報取得手段により取得されたスケジュール候補情報に基づいて、前記第2の無線システム内の通信チャネルが衝突しないように、前記第2の無線システム内の通信チャネルを決定する通信チャネル決定手段と、
前記スケジュール候補情報取得手段により取得されたスケジュール候補情報を、前記第2の無線システムの基地局と、前記第2の無線システムの端末とに通知する通知手段とを備える制御装置を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する複数の第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が複数の加入者局と通信を行う無線通信システムにおいて、
前記複数の第2の無線システム間で情報を共有し、前記複数の第2の無線システム間に無線もしくは有線で接続されたデータベース装置を具備し、
前記データベース装置は、
前記複数の第2の無線システムのうち、既に通信を行っている第2の無線システム毎の使用周波数、基地局の位置、端末の送信周期を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得した、前記基地局間の距離、前記使用周波数及び前記使用送信周期に基づいて、新規に接続される第2の無線システムが使用可能な周波数、送信周期及び受信周期を管理する情報管理手段と、
前記情報管理手段に管理される情報を新規に接続される第2の無線システムに通知する情報伝達手段とを備え、
新規に接続される第2の無線システムは、
前記データベース装置から通知される情報に基づいて、他の第2の無線システムとの干渉回避を行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、
前記第2の無線システムにおける基地局と端末に、前記第1の無線システムの基地局と加入者局と間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するステップと、
前記第1の無線システムから送信される干渉信号を受信するステップと、
前記スケジューリング情報と前記干渉信号とを用いて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムへの干渉を回避するように、前記第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信順序を決定するステップと
を具備することを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割多重で複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、
前記第2の無線システムの基地局と端末とにより、前記第1の無線システムのスケジューリング情報を取得するステップと、
前記第2の無線システムの基地局と端末とにより、前記スケジューリング情報に対応した受信信号の受信電力を測定するステップと、
前記測定した受信電力と前記第2の無線システムの送信電力と前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第1の無線システムに与える与干渉量を測定するステップと、
前記与干渉量が前記第1の無線システムに対する干渉条件のしきい値以下になる場合に前記スケジューリング情報を有効であると判定するステップと、
前記有効と判定されたスケジューリング情報を前記第2の無線システムの基地局と端末とで保持するステップと、
前記第2の無線システムの基地局により、前記第2の無線システムの基地局と端末との間の送信周期が衝突しないように、前記第2の無線システムの基地局及び端末により有効であると判定された全てのスケジューリング情報に基づいて、前記第2の無線システムが使用する通信チャネルを選択するステップと、
前記選択された通信チャネルを前記第2の無線システムの端末に通知するステップと
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項9】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在し、する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が時分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、
前記第2の無線システムの基地局及び端末は、
複数のアンテナと、前記複数のアンテナに接続される該アンテナと同数の送信機及び受信機とを備え、
前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するステップと、
前記スケジューリング情報に基づいて、前記第1の無線システムの基地局の送信周期を、前記第2の無線システムの基地局の受信周期とし、前記第1の無線システムの基地局の受信周期を、前記第2の無線システムの基地局の送信周期とするステップと、
前記第1の無線システムの基地局の送信信号から通信チャネルを推定する通信チャネルステップと、
前記推定された通信チャネルの、前記第2の無線システムからの信号をゼロとする重み付け値を算出するステップと、
前記算出された重み付け値に基づいて、送受信信号に対して重み付けを行うステップと、
前記スケジュール情報に基づいて、前記第1の無線システムの基地局及び加入者局との間における無線信号の受信電力を判定するステップと、
前記受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定し、該干渉量に基づいて、取得すべきスケジュール情報を決定するステップと、
前記第2の無線システムの基地局で決定したスケジュール情報と前記第2の無線システムの端末側の前記与干渉推定手段で決定したスケジュール情報とを取得するステップとを含み、
前記第2の無線システムの基地局は、
前記取得したスケジュール情報に基づいて、前記第2の無線システム内のチャネルが衝突しないように、前記第2の無線システムの基地局と、該基地局に接続される端末との送信及び受信の通信チャネルを決定するステップを更にを含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項10】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が周波数分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、
前記第2の無線システムの基地局と端末は、
複数のアンテナと、前記複数のアンテナに接続されるアンテナと同数の送信機及び受信機とを備え、
前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するステップと、
前記スケジューリング情報に基づいて、前記第2の無線システムの通信周波数を、前記第1の無線システムの基地局から加入者局への送信周波数とするステップと、
前記第1の無線システムの加入者局から基地局への上り信号の受信電力を判定するステップと、
前記受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定するステップと、
前記推定された与干渉量に基づいて、前記第2の無線システムの端末からスケジュール候補情報を取得するステップとを含み、
前記第2の無線システムの基地局は、
前記取得されたスケジュール候補情報に基づいて、前記第2の無線システム内の通信チャネルが衝突しないように、前記第2の無線システム内の通信チャネルを決定するステップを更に含み、
前記第2の無線システムの基地局と端末は、
前記決定された通信チャネルで、前記第1の無線システムの基地局から受信した信号をゼロとする重み付け値を算出するステップと、
前記算出された重み付け値に基づいて、送受信信号に対して重み付けを行うステップと
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項11】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が周波数分割複信で複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、
前記第2の無線システムの基地局に、無線あるいは有線にて接続した制御装置を設け、
前記制御装置は、
前記第1の無線システムの基地局と加入者局との間での通信手順を決めるために送受信されるスケジューリング情報を取得するステップと、
前記第1の無線システムの加入者局から基地局への上り信号の受信電力を判定するステップと、
前記受信電力と、前記第1の無線システムの送信電力と、前記第2の無線システムの送信電力と、前記スケジューリング情報とに基づいて、前記第2の無線システムから前記第1の無線システムに与える与干渉量を推定するステップと、
前記推定された与干渉量に基づいて、前記第2の無線システムの端末からスケジュール候補情報を取得するステップと、
前記取得されたスケジュール候補情報に基づいて、前記第2の無線システム内の通信チャネルが衝突しないように、前記第2の無線システム内の通信チャネルを決定するステップと、
前記取得されたスケジュール候補情報を、前記第2の無線システムの基地局と、前記第2の無線システムの端末とに通知するステップと
を含むことを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
優先権を持つ複数の無線局を内在する第1の無線システムと、優先権を持たない複数の無線局を内在する複数の第2の無線システムとから構成され、前記第1の無線システムの基地局が複数の加入者局と通信を行う無線通信方法において、
前記複数の第2の無線システム間で情報を共有し、前記複数の第2の無線システム間に無線もしくは有線で接続されたデータベース装置を設け、
前記データベース装置は、
前記複数の第2の無線システムのうち、既に通信を行っている第2の無線システム毎の使用周波数、基地局の位置、端末の送信周期を取得するステップと、
前記取得した、前記基地局間の距離、前記使用周波数及び前記使用送信周期に基づいて、新規に接続される第2の無線システムが使用可能な周波数、送信周期及び受信周期を管理するステップと、
前記管理される情報を新規に接続される第2の無線システムに通知するステップとを含み、
新規に接続される第2の無線システムは、前記データベース装置から通知される情報に基づいて、他の第2の無線システムとの干渉回避を行うステップを含むことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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