説明

無線通信システムのデッドロックを避けるための強化ポーリング法

【課題】無線通信システムのデッドロックを避けるための強化ポーリング法を提供する
【解決手段】
本発明の無線通信システムにおけるポーリング法は、所定期間内にポーリングを禁止する工程と、ポーリングが禁止されている間にポーリング機能を起動する工程とを含む。前記所定期間の後に、このポーリング法は、送信または再送信に予定されるPDUがない、及び、ポーリング機能が“ポーリングSDUの数”というトリガーにより起動されることを判定し、PDUを選択し再送信に予定し、ポーリング機能を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信に関し、具体的に、3GPP無線通信システムの強化ポーリング法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能な通信技規約が開発されつつある。3GPPTM(The 3rd Generation Partnership Project)は、新たな通信規約の一例である。例えば、「非特許文献1」には、ユニバーサル移動体通信システム(Universal Mobile Telecommunication System: UMTS)とデータ送信制御プロトコールが説明されている。
【0003】
それらの規約は三層方法により通信を行う。図1は、3GPPTM通信規約における通信システムの三層方法を示すブロック図である。図1に示すように、代表的な無線通信システムにおいて、第一の局10は、一つ以上の第二の局20と無線通信を行う。第一の局10のアプリケーション13はメッセージ11を生成し、層3のインターフェス12に送り、そして、メッセージ11は第二の局20に送られる。また、層3のインターフェス12は、層3の操作を制御するための信号メッセージ14を生成できる。層3のインターフェス12はメッセージ11または信号メッセージ14を層2のサービスデータユニット(Service Data Unit、SDU:SDU)15として層2のインターフェス16に伝送する。層2のSDU15は任意の長さを有しても良い。層2のインターフェス16はSDU15と一つ以上の層2のプロトコールデータユニット(Protocol Data Unit、PDU:PDU)17とを結合する。層2のPDU17の各々は固定長を有し、層1のインターフェス18に伝送される。
【0004】
層1のインターフェス18は、物理層であり、データを第二の局20に送信する。送信データは、第二の局20の層1のインターフェス28に受信され、一つ以上のPDU27に再構成され、層2のインターフェス26に送信される。層2のインターフェス26は、PDU27を受信し、PDU27から一つ以上の層2のSDU25を構成する。層2のSDU25は、層3のインターフェス22に送信される。層3のインターフェス22は層2のSDU25をメッセージ21または層3の信号メッセージ24に変換した後に、メッセージ21か層3の信号メッセージ24は層3のインターフェス22により処理される。ここで、メッセージ21は、第一の局10のアプリケーション13により生成された元のメッセージ11と一致しており、層3の信号メッセージ24は、層3のインターフェス12により生成された元の信号メッセージ14と一致している。受信されたメッセージ21は、第二の局のアプリケーション23に送信される。(ここで、PDUは、データの単位であり、下位層に送信或いは下位層から受信するために、層の内部に使用され、SDUは、データの単位であり、上位層に送信され、或いは上位層から受信される。)
前述の通信規約には、3種類の可能なデータ送信モード、即ち、透過モード(Transparent Mode:TM)、確認モード(Acknowledge Mode:AM)と非確認モード(Unacknowledge Mode:UM)がある。本発明はAMのみに関連するので、ここで述べる従来技術の範囲はAM送信に関連する背景技術に限る。
【0005】
送信局は、送信されたメッセージ或いはメッセージの一部が受信局により受信されたことを確認するために、受信局からの確認応答を要求するので、このような送信方式は、AM送信と呼ばれる。受信局から戻ってきた応答情報に基づき、送信局は、前述のようにパケット化のデータを続いて送信し、或いは、既に送信したデータの未確定の部分を再送信する。このような送信方式は、受信局からの応答情報を確認してから次の送信内容を決めるので、通信時間やシステムにオーバヘッドが生じる。そのため、送信局のRLC層は、前述のオーバヘッドの影響を最小限にする。この動作は、受信局からの応答メッセージ、即ちステータスレポートを確認するために受信局へ送るリクエストのナンバーを制御することにより、管理される。ステータスレポートは、送信局により送信されるPDUのヘッダーにポールビット(Poll Bit)を設定することにより、リクエスト或いはポーリングされる。図2は、従来のAMデータ(Acknowledge Mode Data:AMD)の構成を示すブロック図である。AMD PDUは、前述のように所定の通信システムにおいて固定長を有するので、図2のAMD PDU30は、所定のオクテットナンバー、即ち8ビットのバイナリワードを有する。AMD PDU30の第一のオクテット31は、データ/コントロール(Data/Control:D/C)ビット310と、12ビットのPDUシーケンスナンバー(Sequence Number、SN。以下、SNと言う)の最初の七つのビット311とからなる。D/C310は、PDUの種類、即ちデータかコントロールを表示するために使用される。第二のオクテット32は、前述の12ビットのPDU SNの他の五つのビット320と、ポールビット321と、ヘッダーエクステンション(Header Extension:HE)ビット322とからなる。前述の12ビットのSNは、受信されたPDUから元のメッセージを正確に再構成できるように受信局により使用され、HEビット(二つがある)は、次のオクテット、即ち第三のオクテット33がデータか長さインジケータ(Length Indicator:LI)であることを表示するために使用される。AMD PDU 30の例に示すように、第三のオクテット33は、LI330とエクステンションビット(Extension Bit)331とを含み、LI330は、データブロック35に含まれるSDUの最後のバイトのPDU30における位置を確定するために、使用される。AMD PDUには、一つ以上のLIを含むことができるので、エクステンションビット331は、次のオクテットがデータか他のLIであることを表示するために含まれる。よって、第一のLI330と最後のLI340との間に幾つのLIを含むことがある。また、PDUの各々は所定の長さに合わせるので、PDU30は、データ35が足りないため所定の数のオクテットに完全に充填できなくても、短縮されることができない。そのため、パディング36が残るオクテットに挿入される。
【0006】
特に関連するのは、ポールビット321である。ポールビット321は、ポールビットが設定されているいずれのPDUが受信局により受信されるステータスレポートを返事するために、使用される。図3は、前述の3層プロトコールを用いる通信システム40の送信局41と受信局42との間に転送されるAMD PDUを表示するメッセージシーケンス図である。PDUの文字列400〜405は、送信局41から受信局42に順次に送信され、最後のPDU405は、ポールビットを有する。これにより、受信局42は、受信されたPDU405に基づいて送信局41にステータスレポート406を送信することにより、返答する。
【0007】
ポールビットと共に送信されるPDUの設定は、前述の通信規約に従い、RLCの各々の上位層により得られる。ここに係る通信システムは、以下のいずれかのイベントが発生するときに、ポーリングを起動することができる。
【0008】
(1)(一回目の)送信バッファにおける最後のPDUは送信された。
【0009】
(2)再送信バッファにおける最後のPDUは送信された。
【0010】
(3)“ポーリングタイマー(Poll_Timer)”機能は、タイムアウトした(ポーリングが送信されてから所定の期間が過ぎ去った際にポーリング機能を起動する)。
【0011】
(4)“ポーリングPDU(Every Poll_PDU)”のPDUは送信された(所定の数のPDUが送信または再送信に予定される際にポーリング機能を起動する)。
【0012】
(5)“ポーリングSDU(Every Poll_SDU)”のSDUは送信された(所定の数のSDUが送信に予定される際にポーリング機能を起動する)。
【0013】
(6)“ポールウィンドウ(Poll_Window)”機能により要求された条件が実現された(即ち、送信ウィンドウの所定の割合に達した際にポーリング機能を起動する“ウィンドウに基づくトリガー(Window Based Trigger)”である)。
【0014】
(7)所定の時間が切れ、即ち、“タイマーに基づく(Timer Based)”機能が設定された(周期的にポーリングを起動する)。
【0015】
前述の他に、上位層により“ポーリング禁止タイマー(Timer_Poll_Prohibit)”と言うタイマーは、生成されることができ、所定の時間内にポーリングの送信を禁止するために使用される。ポーリングの送信が今の“ポーリング禁止タイマー”により禁止される際に、他のポーリングを起動しようとしても、今の“ポーリング禁止タイマー”が切れたまで待ちしない。また、“ポーリング禁止タイマー”が動作中に複数のポーリングが起動されても、“ポーリング禁止タイマー”が切れた後に、一つのポーリングのみが送信される。
【0016】
「非特許文献1」に説明された従来のポーリングプロセスは、図4に示された流れ図のようにまとめられる。
【0017】
ステップ1000:プロセス開始。

ステップ1001:システムは、新しい送信PDUがあるかを確認する。あれば、プロセスはステップ1010に進み、なければ、ステップ1002に進む。

ステップ1002:システムは、否定応答された送信PDUがあるかを確認する。あれば、プロセスはステップ1011に進み、なければ、ステップ1003に進む。

ステップ1003:システムは、ポーリング機能が起動されているかを確認する。はい(Yes)であれば、プロセスはステップ1004に進み、いいえ(No)であれば、ステップ1017にて終了する。
【0018】
ステップ1004:システムは、ポーリングが禁止されるかを確認する。ポーリングが禁止されない場合、プロセスはステップ1005に進み、他の場合、ステップ1017にて終了する。
ステップ1005:ポーリング機能が起動され、次の送信PDUのポールビットは1に設定される。
ステップ1006:システムは、送信または再送信に予定されるPDUがないか、また、既に送信された、まだ応答されていない(肯定または否定)PDUがあるかを確認する。はい(Yes)であれば、プロセスはステップ1007に進み、いいえ(No)であれば、ステップ1017にて終了する。
ステップ1007:システムは、ステップ1003に確認されたポーリング機能を起動したトリガーは、“ポーリングタイマー(Poll_Timer)”であるか、或いは“タイマーに基づく(Timer_Based)”であるかをチェックする。はい(Yes)であれば、プロセスはステップ1008に進み、いいえ(No)であれば、ステップ1017にて終了する。
ステップ1008:システムは、ポールビットを持つ適切な再送信PDUを選択する。
ステップ1009:システムは、選択されたPDUを送信予定にする。プロセスはステップ1016に進む。
ステップ1010:システムは、新しいPDUを送信予定にする。プロセスはステップ1012に進む。
ステップ1011:システムは、否定応答(Negatively Acknowledge:NACKed)されたPDUを送信予定にする。
ステップ1012:システムは、ポーリング機能が起動されているかをチェックする。はい(Yes)であれば、プロセスはステップ1013に進み、いいえ(No)であれば、ステップ1015に進む。
ステップ1013:システムは、ポーリングが禁止されるかをチェックする。ポーリングが禁止される場合、プロセスはステップ1015に進み、他の場合、ステップ1014に進む。
ステップ1014:ポーリング機能が起動され、次の送信PDUのポールビットが1に設定される。
ステップ1015:ポーリング機能が起動されなく、次の送信PDUのポールビットが0に設定される。
ステップ1016:システムは、送信PDUを下位層に送信する。
ステップ1017:プロセス終了
図5は、図3と同様なシーケンスを示す図である。また図5において、図3と同じの構成要素に同じ番号を付ける。送信局の設定は、以下の五つのポーリングトリガーが有効になるように、上位層RLCにより確定される。
【0019】
(1)“(一回目送信)バッファにおける最後のPDU”。
【0020】
(2)“再送信バッファにおける最後のPDU”。
【0021】
(3)“ポーリングタイマー(Timer_Poll=200ms)。
【0022】
(4)“各々のポーリングPDUのPDU(Poll_PDU=4)。
【0023】
(5)“各々のポーリングSDUのSDU(Poll_SDU=4)。
【0024】
また、“ウィンドウに基づく”トリガーと“タイマーに基づく”トリガーが無効になり、ポーリング禁止機能がTimer_Poll_Prohibit=250msと設定され、一つのSDUが送信のために上位層により要求され、またSDUの送信が肯定応答された際にRLCの送信確認が上位層に要求され、更にSDUが六つのPDU(SNが0、1、2、3、4及び5である)に分割される。
【0025】
送信局41は、六つのPDU400〜405(例えば、0、1、2、4および5のSNを持つ)を順次に送信する。送信される四番目のPDU403(SN=3)が送信に予定されるときに、“各々のポーリングPDUのPDU”のポーリングトリガーが有効になり、四番目のPDUのポールビットが設定される。PDU403(SN=3)は下位層により送信されるときに、ポーリングタイマー45(200ms)とポーリング禁止タイマー43(250ms)機能は、同時に開始する。続いて、送信される5番目のPDU404(SN=4)と6番目のPDU405(SN=5)とは、それぞれ送信予定になる。PDU405(SN=5)は送信された後に、送信される他のPDUがないので、“バッファの最後のPDU”トリガーが有効になる。しかし、従来技術によればポーリング禁止機能(ポーリング禁止タイマー)がまた有効であるので、ポーリングトリガー48が遅延される。そのため、6番目のPDU、即ち最後のPDUは、ポールビットと共に送信されてない。例えば、無線通信中に3番目のPDU402(SN=2)が失った場合、受信局は4番目のPDU(ポールビットを持ち)を受信し、それに応じてステータスレポート406を送信する。この場合、PDU400(SN=0)、PDU401(SN=1)及びPDU403(SN=3)は受信されたので、肯定応答は送信される。PDU402(SN=2)は、否定応答が送信された。それから、ステータスレポート406が無線通信中に失った。
【0026】
時間46において、ポーリングタイマーはカウントダウンを終了しても、ポーリング禁止タイマー43はまた動作するので、ポーリングタイマー45によるポーリングトリガー49は遅延される。ポーリング禁止タイマー43は時間44に切れたときに、遅延されている二つの有効なポーリングトリガー48と49を有しても、一つのポーリングのみが発行され、PDU402aと共に送信される。PDU402aは、選択されたPDU400(SN=0)の再送信であり、且つ、肯定応答されていない(ステータスレポートが既に失ったため)。受信局42は、PDU402aを受信した後に、送信局41にスタータスレポート407を送信することにより、SNが1、1、3、4及び5であるPDUに対して肯定応答し、SNが2であるPDUに対して否定応答する。この場合、従来の方法では、PDU402(SN=2)とそのポールビット(図5に示されていない)を再送信でき、スムーズに先に進まれる。
【0027】
図5には、否定応答PDU或いは送信される他のSDUを有しなく、また、ポーリング禁止タイマーが切れた後にポーリングが禁止されないため、“タイマーに基づく”より起動されるポーリングは、図4のステップ1008、1009と1016に説明したように適切なPDUの再送信と共に送信される。この適切なPDUは、SN=VT(S)−1であるPDUであり、即ち、少なくとも一回送信された最後のPDU(例えば、図5のPDU405)である。VT(S)は、送信局により保存される“送信された状態(Send State)”変数であり、PDUが一回目送信されたときに、VT(S)の値が1増え、PDUが再送信されたときに、VT(S)の値が増えない。
【0028】
また、SN=VT(S)−1であるPDUに対して、“生成されたTXウィンドウサイズ(Configured_TX_Widow_Size)”が2048、即ち、シーケンスナンバースペースの半分より小さい場合、応答されていないPDUのいずれか(例えば、図5のPDU400、401、402、403及び404)は、適切なPDUとして選択されることができ、ポーリングを持つために再送信予定になる。“送信ウィンドウサイズ(Transmission Window Size)”は、PDUの最大ナンバーのパラメータに関連する。送信局が受信局からのステータスメッセージを受信しなくても、送信することができる(受信局が受信することができる)。更に、このパラメータは上位層により設定される。
【0029】
しかし、前述の従来のポーリングプロセスにおいて、次の例に説明されるようにデッドロックが発生することがある。この例の初期条件は、図5に示した例の初期条件と同じである。即ち、送信局の設定は、以下の五つのポーリングトリガーが有効になるように、上位層RLCにより確定される。
【0030】
(1)“(一回目送信)バッファの最後のPDU”。
【0031】
(2)“再送信バッファの最後のPDU”。
【0032】
(3)“ポーリングタイマー(Timer_Poll=200ms)。
【0033】
(4)“ポーリングPDUのPDU(Poll_PDU=4)。
【0034】
(5)“ポーリングSDUのSDU(Poll_SDU=4)。
【0035】
更に、図5の例と同じように、“ウィンドウに基づく”トリガーと“タイマーに基づく”トリガーが無効になり、ポーリング禁止機能がTimer_Poll_Prohibit=250msと設定され、一つのSDUが送信のために上位層により要求され、またSDUの送信が肯定応答された際にRLCの送信確認が上位層に要求され、更にSDUが六つのPDU(SNが0、1、2、3、4及び5である)に分割される。
【0036】
図6は、この例を示す図である。図6に示すように、送信局41と受信局42との間の通信は、図5の例のPDU400〜405の送信において一致である。図5の例と異なるのは、この例のステータスレポート406がPDU400〜403(SN=0〜3)に対して肯定応答し、且つ、送信局41がステータスレポート406を受信する。この場合、従来の方法によれば、時間47において、ポーリングタイマー45を取り消す可能であり、また、“バッファ最後のPDU”と言うポーリングトリガーが時間44まで遅延されでも、送信または再送信に予定されるPDUを有しない。その原因は、送信される他のSDUを有しなく(ゆえに、PDUを有しない)、再送信される否定応答のPDUを有しなく、また、図4のステップ1006と1007によれば、ポーリング禁止タイマーにより遅延されたポーリングが“ポーリングタイマー”または“タイマーに基づく”により先に起動された際に、SN=VT(S)−1であるPDUのみが予定になる。“ポーリングタイマー”機能が取り消され、且つ、“タイマーに基づく”機能が生成されることができないので、前述の従来の方法によれば、送信局41は、ステータスレポート406を受信した後に送信または再送信するPDUを有しないので、アイドル状態となり、即ち、ポーリングを送信する動作を有しない。これにより、5番目と6番目のPDUが受信されたことを応答するステータスレポートが無ければ、RLCの送信確認が上位層に送られることができないので、送信局と受信局との両方のRLC層は、他の操作に進めることができなく、即ち、RCL層がデッドロックとなる。
【0037】
ゆえに、3GPP無線通信において、前述のRCL層のデッドロックを避けることができる方法が望ましい。
【非特許文献1】The Third Generation Partnership Project (3GPP) Specification, 25.322 V6.1.0 (2004−06),Radio Link Control(RLC)Protocol Specification.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
本発明の目的は、無線通信システムのデッドロックを避けるための強化ポーリング法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0039】
上記目的を達成するために、本発明の無線通信システムのポーリング法は、所定期間内にポーリングを禁止する工程と、前記ポーリングが禁止されている間にポーリング機能を起動する工程であって、当該ポーリング機能が、“所定の数のSDU”というトリガーにより起動され、当該トリガーが、所定の数のSDUが送信に予定される際に前記ポーリング機能を起動する工程とを含み、前記所定期間の後に、送信または再送信に予定される前記PDUがないことを判定し、PDUを選択し再送信に予定し、前記ポーリング機能を実行する。
【発明の効果】
【0040】
本発明は、無線通信システムのデッドロックを避けるための強化ポーリング法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、添付した図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0042】
本実施例の送信と受信局の設定は、図5と図6の従来技術の実施例に示された構成と同様である。即ち、送信局は、次の四つのポーリングトリガーを可能にするために、上位層により設定される。
【0043】
(1)“(一回目送信)バッファにおける最後のPDU”。
【0044】
(2)“再送信バッファにおける最後のPDU”。
【0045】
(3)“ポーリングタイマー”(Timer_Poll=200ms)”。
【0046】
(4)“ポーリングSDUの数(Poll_SDU=4)”。
【0047】
また、同じように、“ウィンドウに基づく”トリガーと“タイマーに基づく”トリガーが無効になり、ポーリング禁止機能がTimer_Poll_Prohibit=250msと設定され、八つのSDUが送信のために上位層により要求され、またSDUの送信が肯定応答された際にRLCの送信確認が上位層に要求され、更に、各々のSDUが一つのPDUに含まれる。よって、八つのPDU(SNが0、1、2、3、4、5、6及び7である)が、それぞれ、八つのSDUをキャリーする。
【0048】
図7は、本発明によるAMD PDU転送の好適な実施例を示すメッセージシーケンス図である。図7に示す実施例において、受信局72は、四つのPDU700〜703(SN=0〜3)を成功に受信し、そのうち、四番目のPDU703(SN=3)がポーリングと共に受信され、また、SN=0〜3であるPDUを肯定応答するステータスPDU710を送信する。今のポーリングタイマー機能75が切れた前の時間77に送信局71はこのステータスレポート710を成功に受信するので、ポーリングタイマー機能75を取り消す。これにより、ポーリングタイマー機能75のカウントダウンが切れる予定の時間76において送信するポーリングが無い。送信局71は、SN=7であるPDU707を送信する際に、ポーリングが“ポールリングSDUの数”によりトリガーされる。そのうち、ポーリングSDUの数が4に設定される。しかし、PDU707が送信される際にポーリングが禁止されるので、トリガーされた前記ポーリングが遅延される。しかし、ポーリング禁止タイマー機能73が切れた際に、遅延されたポーリング78(PDU707(SN=7)が送信に予定された際に“ポーリングSDUの数”と言うトリガーにより起動されているが、ポーリング禁止タイマー機能73が依然として動作中であるので、送信されていない)が送信を待機する。この際、送信または再送信に予定される他のPDUを有しなく、また、従来の方法によれば、関連するポーリングが“ポーリングタイマー”或いは“タイマーに基づく”機能(図4のステップ1007)により起動されないので、予定になれるPDUはない。また、既存のポーリングタイマー機能75がステータスレポート710により取り消されたので、ポーリングタイマー機能が切れる予定の時間において、ありそうな適切なポーリングトリガーが発生することはない。これにより、本発明の方法では、ポーリング禁止機能73が切れる際に関連ポーリングのタイプを確認する。即ち、関連ポーリングが“ポーリングSDUの数”と言うトリガーにより起動されているかを確認する。この実施例において、この確認が続けられ、また、本発明の方法によれば、送信局71は、適切なPDU707aを再送信する。この適切なPDU707aは、今のSN=VT(S)−1である条件を満たす最後の、ポールビットを有するPDU707(SN=7)である。よって、受信局72が再送信のPDU707(SN=7)、即ちPDU707aの再送信を受信する際にポーリングが含まれるので、受信局72は、SN=7であるPDUまでの全てのPDUに対しての受信を肯定応答するステータスレポート712を送信する。ステータスレポート712に基づき、送信局71は、上位層が次のプロセスへ進むことができるようにSDU受信情報を上位層(図示せず)に送信する。これにより、従来の方法による不可避のデッドロックを避けることができる。故に、本発明の方法を用いることは、従来の方法がこのようなシナリオに応用される際に生じるデットロックを避けることができる。
【0049】
本発明の方法は、ソフトウェアまたはファームウェアとして無線通信システムに実行されることができ、モノリシック・コミュニケーション・マイクロチップの構造に組み込まれ実行されることができ、或いは、分散またはプログラム化のロジック装置をサポートする構造に実現されることができる。本発明の方法は、図8のように纏められることできる。
【0050】
図8は、本発明の方法に関する流れ図である。図8において、図4に示されたステップ1007がステップ1007aに置換された。言い換えると、ステップ1003に確認されたポーリング機能が“ポーリングSDUの数”というトリガーにより起動された場合、システムは、ポールビットを持つ適切なPDUを再び送信する。また、図8に示されたステップ1007a以外のステップは、図4の示されたステップと全く同じであるので、次にステップ1007aのみを説明する。
【0051】
ステップ1007a:システムは、ポーリング機能が“ポーリングSDUの数”と言うトリガーにより起動されるかを確認する。確認結果は、はい(Yes)であれば、プロセスはステップ1008に進み、いいえ(No)であれば、ステップ1017にて終了する。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】3GPP通信規約における通信システムの三層構成のブロック図である。
【図2】従来のAMD PDUの例を示すブロック図である。
【図3】送信局と受信局との間において従来のAMD PDU転送を示すメッセージシーケンス図である。
【図4】従来のポーリング法の流れ図である。
【図5】送信局と受信局との間において従来のAMD PDU転送を示すメッセージシーケンス図である。
【図6】従来のポーリング法によるデッドロックが発生した例を示すメッセージシーケンス図である。
【図7】本発明によるAMD PDU転送の実施例を示すメッセージシーケンス図である。
【図8】本発明のポーリング法の流れ図である。
【符号の説明】
【0054】
10 送信局
20 受信局
30 AMD PDU
40 通信システム
41 送信局
42 受信局
400〜405 PDU
406、407 ステータスレポート
SN シーケンスナンバー
70 通信システム
71 送信局
72 受信局
700〜707 PDU
707a PDU
710、712 ステータスレポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトコールデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)とサービスデータユニット(SDU:Service Data Unit)とを用いる無線通信システム用ポーリング法であって、
所定期間内にポーリングを禁止する工程と、
前記ポーリングが禁止されている間にポーリング機能を起動する工程であって、当該ポーリング機能が、“所定の数のSDU”というトリガーにより起動され、当該トリガーが、所定の数のSDUが送信に予定される際に前記ポーリング機能を起動する工程と、
前記所定期間の後に、送信または再送信に予定される前記PDUがないことを判定する工程と、
PDUを選択し再送信に予定し、前記ポーリング機能を実行する工程と、
を有する、
ポーリング法。
【請求項2】
前記選択されたPDUは、少なくとも一回送信された、最後のPDUである、
請求項1に記載のポーリング法。
【請求項3】
前記選択されたPDUは、送信された後に、送信ウィンドウのサイズが前記通信システムのプロトコールデータユニットにおけるシーケンスナンバースペース値の半分以下になった際に応答されていないPDUである、
請求項1に記載のポーリング法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−118507(P2009−118507A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331253(P2008−331253)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【分割の表示】特願2005−267174(P2005−267174)の分割
【原出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(507334299)イノヴァティヴ ソニック リミテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Innovative Sonic Limited
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 957, Offshore Incorporations Centre, Road Town, Tortola, British Virgin Islands
【Fターム(参考)】