説明

無線通信システム

【課題】電子メールをさらに確実に送信できるように改良された伝送システムを提供することを目的とする。
【解決手段】第1の通信装置は、複数の第2の通信装置それぞれに対して、電子メールに含まれる1つ以上の宛先のアドレスを送信する宛先アドレス送信手段と、送信した宛先のアドレスに応じた応答を返した複数の第2の通信装置それぞれに対して、電子メールを送信する第1の送信手段とを有し、第2の通信装置は、第1の通信装置から受信した宛先のアドレスが、接続された第2のネットワークに含まれる宛先のアドレスを含むときに、第1の通信装置に応答を返す応答手段と、応答を返したときに、第1の通信装置から受けた電子メールを、接続された第2のネットワークに含まれる宛先に対して送信する第2の送信手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、無線通信を介して電子メールなどのメッセージのデータを通信するに際して、無線回線における通信効率を向上させることができるメッセージ通信システムを開示する。
【特許文献1】特開2006−174205
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述した背景からなされたものであって、電子メールをさらに確実に送信できるように改良された伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的のために、本発明にかかる通信システムは、電子メールの送り元を含む第1のネットワーク(200)から受けた電子メールを含む伝送データを、通信回線(10)に送信する少なくとも1つの第1の通信装置(28)と、それぞれ、宛先を含む第2のネットワーク(300)に接続され、前記第1の通信装置から前記通信回線を介して受けた伝送データを、前記第2のネットワークに送信する複数の第2の通信装置(30)とを有する通信システムであって、前記第1の通信装置は、前記複数の第2の通信装置それぞれに対して、前記電子メールに含まれる1つ以上の宛先のアドレスを送信する宛先アドレス送信手段(246)と、前記送信した宛先のアドレスに応じた応答を返した複数の第2の通信装置それぞれに対して、前記電子メールを送信する第1の送信手段(266)とを有し、前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置から受信した宛先のアドレスが、前記接続された第2のネットワークに含まれる宛先のアドレスを含むときに、前記第1の通信装置に応答を返す応答手段(326)と、前記応答を返したときに、前記第1の通信装置から受けた電子メールを、前記接続された第2のネットワークに含まれる宛先に対して送信する第2の送信手段(332)とを有する。
なお、この部分の記載において付された符号は、本願発明の技術的範囲の限定を意図していない。
【発明の効果】
【0005】
本発明にかかる伝送システムによれば、電子メールをさらに確実に送信できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の理解を助けるために、まず、本発明がなされるに至った背景と、本発明の概要とを説明する。
なお、以下、「電子メール」という用語を、単に「メール」と記載する場合がある。
【0007】
[本発明の背景]
図1(A)は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)プロトコルによるメール送信処理を例示する通信シーケンス図である。
図1(A)に示すように、SMTPプロトコルを用いて、宛先アドレスなどのヘッダ情報およびメール本文のデータなどが含まれたメール本体のデータを送信するためには、メールサーバ間でのやりとりが、複数回行われる。
例えば、図1(A)の例においては、1通のメールを送信する場合に、メールサーバ間で14回のやりとりが行われる。
【0008】
図1(B)は、無線通信を介した場合におけるSMTPプロトコルによるメール送信処理を例示する通信シーケンス図である。
上記図1(A)に示したSMTPプロトコルによるメール送信処理を、図1(B)に示すように、無線通信を介したメール送信処理にそのまま適用することも可能であるが、一般に、無線通信回線は、有線通信回線と比較して、低速であり、通信品質も悪いため、通信時間が長くなってしまう傾向がある。
【0009】
図1(C)は、無線装置間では、SMTPプロトコルを用いたメールの送受信がなされないメール送信処理を例示する通信シーケンス図である。
図1(C)に示すように、送信側の無線装置は、メールサーバからSMTPプロトコルによりメール本体のデータを受信する。
また、送信側の無線装置は、受信したメール本体のデータを、受信側の無線装置間に対して、パケット形式で送信を行う。
つまり、無線装置間では、SMTPプロトコルを用いたメールの送受信がなされないため、通信時間を短縮することができる。
【0010】
図2は、同一メールを複数の無線装置に送信する場合を例示する図であって、
(A)は、同一メールを1通ずつ複数の無線装置に送信する場合を例示し、(B)は、同一メールを1回で、複数の無線装置に送信する場合を例示する。
同一メールを複数の無線装置に送信する場合には、図1(B)に示したように、同一メールを1回で、複数の無線装置に送信する場合の方が、図1(A)に示した同一メールを1通ずつ複数の無線装置に送信する場合に比べ、送信時間を短縮することができる。
【0011】
[本発明の概要]
以下に説明する本発明に係るメール送受信システム1は、図1(C)に示したように、無線装置間では、SMTPプロトコルを用いたメールの送受信がなされないように工夫がなされている。
また、本発明に係るメール送受信システム1は、同一のメールデータ本体を複数の無線装置に送信する場合には、図2(B)に示したように、1回で、複数の無線装置に送信するように工夫がされ、さらに、再送制御を行うように工夫がなされている。
【0012】
[メール送受信システム1]
以下、本発明にかかるメール送受信システム1を説明する。
図3は、本発明に係るメール送受信システム1の構成を示す図である。
図3に示すように、メール送受信システム1は、メール送信側ネットワーク2と、メール受信側ネットワーク3−1〜3−n(n≧1;ただし、全てのnが常に同数を示すとは限らない。ここではn=2を例示)とが、それぞれ無線通信回線10−1〜10−n(n=2を例示)を介して相互に接続されている。
なお、以下、メール受信側ネットワーク3−1〜3−nなど、複数ある構成部分のいずれかを示すときには、単に、メール受信側システム3と記載することがある。
また、以下の各図において、実質的に同じ構成部分・処理には、同じ符号が付される。
【0013】
図3に示したメール送信側ネットワーク2では、メール送信端末20−1〜20−nと、メールサーバ22と、制御装置24とは、LANなどのネットワーク200を介して相互に接続されており、制御装置24と変復調器26および変復調器26と無線送信機28(第1の通信装置)とは、シリアルに接続されている。
また、図3に示したメール受信側ネットワーク3では、制御装置34と、メールサーバ36と、メール受信端末38−1〜38−nとは、LANなどのネットワーク300を介して相互に接続されており、無線受信機30(第2の通信装置)と変復調器32および変復調器32と制御装置34とは、シリアルI/Fにて接続されている。
また、図1に示した送信側の無線装置は、制御装置24、変復調器26および無線送信機28の構成を含む。
また、図1に示した受信側の無線装置は、無線受信機30、変復調器32および制御装置34の構成を含む。
【0014】
なお、実際には、無線送信機28および無線受信機30は、データを受信するための受信機能、および、データを送信するための送信機能の両方を有する無線機であるが、説明の具体化・明確化のために、データの送信を主に行う装置が無線送信機28であり、データの受信を主に行う装置が無線受信機30として、説明をする。
また、実際には、メール送信端末20およびメール受信端末36は、メールを送信するための送信機能、および、メールを受信するための受信機能の両方を有するが、説明の具体化・明確化のために、メールの送信を主に行う端末がメール送信端末20であり、メールの受信を主に行う端末がメール受信端末36である場合を具体例とする。
【0015】
ユーザは、メール送信端末20を操作してメール本文を作成し、宛先アドレスを指定して、メールの送信処理を行う。
メール送信端末20は、メール本文のデータに宛先アドレスなどのヘッダ情報を含めたメール本体のデータを、SMTPプロトコルにより、メールサーバ22に送信する。
メールサーバ22は、SMTPプロトコルにより、メール送信端末20から送信されたメール本体のデータを受信し、制御装置24に対して送信する。
【0016】
制御装置24は、メールサーバ22から送信されたメール本体のデータを、SMTPプロトコルにより受信し、変復調器26に対して出力する。
変復調器26は、制御装置24から入力されたメール本体のデータを変調し、無線送信機28に対して出力する。
また、変復調器26は、回線検査のためのデータおよび再送制御のためのデータなどを生成し、無線送信機28に対して出力する。
また、変復調器26は、無線送信機28から入力されたデータの復調処理を行う。
無線送信機28は、変復調器26から入力されたメール本体のデータ、回線検査のためのデータおよび再送制御のためのデータなどの伝送データを、無線通信回線10を介してメール受信側ネットワーク3の無線受信機30に対して送信する。
【0017】
無線受信機30は、無線送信機28から送信された伝送データを、無線通信回線10を介して受信し、変復調器32に対して出力する。
また、無線受信機30は、変復調器32から入力された無線送信機28に対する応答データを、無線通信回線10を介して、メール送信側ネットワーク2の無線送信機28に対して送信する。
変復調器32は、制御装置34から入力されたデータなどに基づいて、無線送信機28に対する応答データを生成し、変調して、無線受信機30に対して出力する。
また、変復調器32は、無線受信機30から入力された伝送データを復調し、制御装置34に対して出力する。
制御装置34は、変復調器32から入力された伝送データに対して処理を行い、処理の結果を示すデータを、変復調器32に対して出力する。
また、制御装置34は、変復調器32から入力された伝送データのうち、メール本体のデータを、SMTPプロトコルにより、メール受信端末36に対して送信する。
メールサーバ36は、SMTPプロトコルにより、制御装置34から入力されたメール本体のデータを受信する。
メール受信端末38は、POPプロトコルにより、メールサーバ36から、メール本体のデータを取得して、メール本文の内容などをユーザに閲覧させる。
【0018】
[ハードウェア構成]
図4(A)は、図3に示したメール送信端末20、メールサーバ22、制御装置24、制御装置34、メールサーバ36およびメール受信端末38のハードウェア構成を例示する図である。
図4(B)は、図3に示した変復調器26、無線送信機28、無線受信機30および変復調器32のハードウェア構成を例示する図である。
【0019】
図4(A)に示すように、メール送信端末20、メールサーバ22、制御装置24、制御装置34、メールサーバ36およびメール受信端末38はそれぞれ、メモリ102およびMPU104などを含む情報処理装置100、キーボードおよび表示装置などを含む外部入出力装置106、データ通信を行うための通信装置108、および、ハードディスクなどの記録媒体112に対してデータの記録を行う記録装置110などから構成される。
つまり、メール送信端末20、メールサーバ22、制御装置24、制御装置34、メールサーバ36およびメール受信端末38は、情報処理およびデータ通信が可能なコンピュータとしての構成部分を有している。
【0020】
図4(B)に示すように、無線送信機28および無線受信機30は、それぞれ、送信機120および受信機122から構成される。
送信機120は、変復調器26または変復調器32から入力されるディジタル形式のベースバンド送信信号を、アナログ形式の送信信号(伝送信号)に変換して、無線通信回線10を介した伝送のために適した周波数の送信信号に変換し、さらに電力増幅して、アンテナ124を介して無線通信回線10に対して送信する。
受信機122は、アンテナ124を介して入力される無線通信回線10を介した伝送のために適した周波数の受信信号(伝送信号)を増幅し、ベースバンドの受信信号に変換して、さらに、アナログ形式のベースバンド受信信号を、ディジタル形式の受信信号に変換して、変復調器26または変復調器32に対して出力する。
変復調器26および変復調器32は、それぞれ、メモリ102およびMPU104(DSP)などから構成され、信号処理用のプログラムを実行し、主に、受信信号の復調、および、送信信号の変調のための処理を行う。
【0021】
[ソフトウェア構成]
以下、図3に示したメール送信端末20、メールサーバ22、制御装置24および変復調器26において実行される送信側装置プログラム40を、図5(A)を参照して説明する。
また、図3に示した変復調器32、制御装置34、メールサーバ36およびメール受信端末38において実行される受信側装置プログラム42を、図5(B)を参照して説明する。
まず、送信側装置プログラム40を、図5(A)を参照して説明する。
【0022】
図5(A)は、図3に示したメール送信端末20、メールサーバ22、制御装置24および変復調器26において実行される送信側装置プログラム40の構成を示す図である。
図5(A)に示すように、送信側装置プログラム40は、図3に示したメール送信端末20において実行されるMUA(Mail User Agent)202、メールサーバ22において実行されるMTA(Mail Transfer Agent)220、制御装置24において実行される操作制御プログラム240および変復調器26において実行される変復調プログラム260から構成される。
【0023】
[MUA202]
図5(A)に示したMUA202は、記録媒体112(図4(A))などを介してメール送信端末20のメモリ102(図4(A))にロードされ、メール送信端末20にインストールされたOS(図示せず)上でメール送信端末20のハードウェア資源を具体的に利用して実行される(以下の各ソフトウェアについても同様)。
図5(A)に示したメール送信端末20で実行されるMUA202は、メール作成、閲覧および送受信機能などを有する。
つまり、MUA202は、ユーザに対して、メール作成および閲覧機能などのインターフェースを、メール送信端末20の外部入出力装置106を介して提供し、ユーザは、外部入出力装置106を操作することによりメールの本文の作成、宛先の指定、送信命令などを行なうことができる。
また、MUA202は、ユーザからの送信命令を受け入れると、メール本文のデータに宛先アドレスなどのヘッダ情報を含めたメール本体のデータを、メールサーバ22(図3)において実行されるMTA220に対して送信する。
【0024】
[MTA220]
MTA220は、SMTPプロトコルを用いて、MUA202により送信されたメール本体のデータを受信し、制御装置24(図3)において実行される操作制御プログラム240に対して送信する。
つまり、MTA220は、SMTPサーバとしての機能を有する。
【0025】
[操作制御プログラム240]
操作制御プログラム240は、メール受信部242、宛先記憶部244および宛先送信部246(宛先アドレス送信手段)から構成される。
メール受信部242は、SMTPプロトコルを用いて、MTA220により送信されたメール本体のデータを受信する。
つまり、メール受信部242は、SMTPサーバとしての機能を有し、メールデータを受信する。
また、メール受信部242は、受信したメール本体のデータに含まれる複数の宛先情報を、宛先送信部246に対して出力する。
また、メール受信部242は、受信したメール本体のデータを、変復調プログラム260に対して出力する。
【0026】
宛先記憶部244は、ドメイン名とメールサーバとを対応付けて記憶する。
宛先送信部246は、メール受信部242から入力された複数の宛先情報と、宛先記憶部244に記憶されているドメイン名およびメールサーバとから、複数の宛先メールサーバのIPアドレスを取得し、変復調プログラム260に対して送信する。
【0027】
[変復調プログラム260]
図5(A)に示したように、変復調プログラム260は、変調部262、復調部264、メール本体送信部266(第1の送信手段)、回線データ送信部268および再送要求送信部270から構成される。
メール本体送信部266は、復調部264から、後述の「能力応答」が入力されたときには、一番低速の回線速度の情報を含む「能力応答」を選択する。
また、メール本体送信部266は、選択した「能力応答」に含まれる回線速度の情報およびデータ形式の情報を用いて、メール受信部242から入力されたメール本体のデータをパケット分割し、変調部262に対して送信する。
また、メール本体送信部266は、復調部264から誤り情報を含むデータの再送を要求する「再送要求応答」が入力されたときには、誤り情報に従って、メール本体のデータを、再送のため、1段階回線速度を低下させて、変調部262に対して送信する。
【0028】
回線データ送信部268は、回線の状態を検査するためのデータである「回線検査データ」を、変調部262に対して送信をする。
具体的には、「回線検査データ」は、メール本体のデータをパケット形式で送信する際の送信速度およびデータ形式を決定するために用いられる。
再送要求送信部270は、誤り情報を返信するように要求を行う命令である「再送要求」を、メール本体のデータを送信後に、変調部262に対して送信をする。
変調部262は、宛先送信部246、メール本体送信部266、回線データ送信部268および再送要求送信部270から入力されたデータを変調し、無線送信機28を介して、放送形式(ブロードキャスト)で、全ての無線受信機30に対して送信する。
【0029】
具体的には、変調部262は、宛先送信部246から入力された複数の宛先メールサーバのIPアドレスと、回線データ送信部250から入力された「回線検査データ」とを、無線送信機28を介して、放送形式(ブロードキャスト)で、全ての無線受信機30に対して送信する。
また、変調部262は、メール本体送信部266から入力されたメール本体のデータを、無線送信機28を介して、放送形式(ブロードキャスト)で、リンクが確立された全ての無線受信機30に対して送信する。
また、変調部262は、再送要求送信部270から入力された「再送要求」を、無線送信機28を介して、放送形式(ブロードキャスト)で、リンクが確立された全ての無線受信機30に対して送信する。
復調部264は、無線送信機28から入力された無線受信機30からの応答を復調し、メール本体送信部266に対して出力する。
【0030】
次に、図3に示した変復調器32、制御装置34、メールサーバ36およびメール受信端末38において実行される受信側装置プログラム42を、図5(B)を参照して説明する。
図5(B)は、図3に示した変復調器32、制御装置34、メールサーバ36およびメール受信端末38において実行される受信側装置プログラム42の構成を示す図である。
図5(B)に示すように、受信側装置プログラム38は、変復調器32において実行される変復調プログラム320、制御装置34において実行される操作制御プログラム340、メールサーバ36おいて実行されるMTA360およびメール受信端末38で実行されるMUA380から構成される。
【0031】
[変復調プログラム320]
変復調プログラム320は、復調部322、変調部324、回線検査データ受信部326(応答手段)、タイマ328、再送要求受信部330およびメール本体受信部332(第2の送信手段)から構成される。
復調部322は、無線受信機30を介して受信した無線送信機28から送信された伝送データを復調し、回線検査データ受信部326、再送要求受信部330、メール本体受信部332または操作制御プログラム340に対して出力する。
具体的には、復調部322は、「回線検査データ」を回線検査データ受信部326に対して出力し、「再送要求」を再送要求受信部330に対して出力し、メール本体のデータメール本体受信部332に対して出力し、宛先IPアドレスを操作制御プログラム340に対して出力する。
回線検査データ受信部326は、復調部322から入力された「回線検査データ」を受信する。
また、回線検査データ受信部326は、操作制御プログラム340から応答番号を受信し、応答番号≠0の場合には、タイマ328を起動する。
また、回線検査データ受信部326は、応答番号≠0の場合には、受信可能な通信速度およびデータ形式などを決定し、決定した受信可能な通信速度およびデータ形式などの情報を含む「能力応答」を、タイマ328の制御に従って、変調部324に対して出力する。
また、回線検査データ受信部326は、応答番号≠0の場合には、能力応答を送信しない。
【0032】
再送要求受信部330は、復調部322から「再送要求」を受信し、タイマ328を起動させる。
また、再送要求受信部330は、メール本体受信部332からの入力された受信データの誤り検出結果に基づいて、受信データの誤り情報を含む「再送要求応答」または受信データに誤りがなかったことを示す「誤りなし情報」を、タイマ328の制御に従い、変調部324に対して出力する。
メール本体受信部332は、復調部322から入力されたメール本体のデータを受信し、受信データの誤り検出を行い、誤り検出結果を、再送要求受信部330に対して出力する。
また、メール本体受信部332は、メール本体のデータの受信完了後、操作制御プログラム340に対して出力する。
【0033】
タイマ328は、操作制御プログラム340から入力された「応答番号」を受信し、「応答番号」を乗算した値に応じた時間だけ、タイマを設定する。
また、タイマ328は、回線検査データ受信部326および再送要求受信部330により起動され、タイムアップしたときに、回線検査データ受信部326および再送要求受信部330それぞれがデータの送信を行うように制御する。
変調部324は、回線検査データ受信部326から入力された「能力応答」を変調し、「回線検査データ」に対する応答として、無線受信機30を介して、無線送信機28に対して送信し、無線送信機28とのリンクを確立する。
また、変調部324は、再送要求受信部330から入力された「再送要求応答」および「誤りなし情報」を変調して、無線送信機28から送信された「再送要求」の応答として、無線受信機30を介して、無線送信機28に対して送信する。
【0034】
[操作制御プログラム340]
操作制御プログラム340は、宛先受信部342およびメール本体送信部344から構成される。
宛先受信部342は、変復調プログラム320から入力された複数の宛先IPアドレスを受信し、受信した複数の宛先IPアドレスにメールサーバ36のIPアドレスが含まれているか否かを判断する。
宛先受信部342は、受信した複数の宛先IPアドレスにメールサーバ36のIPアドレスが含まれている場合には、その含まれている位置(順序)を示す応答番号を、タイマ328および回線検査データ受信部326に対して送信する。
また、受信した複数の宛先IPアドレスにメールサーバ36のIPアドレスが含まれていなかった場合には、宛先受信部342は、応答番号=0を、回線検査データ受信部326に対して送信する。
上述したように、回線検査データ受信部326は、応答番号=0を受信した場合には、「能力応答」を送信しない。
【0035】
メール本体送信部344は、メール本体受信部332から入力されたメール本体のデータを受信し、SMTPプロトコルを用いて、MTA360に対して出力する。
つまり、メール本体送信部344は、SMTPサーバとしての機能を有する。
【0036】
[MTA360、MUA380]
MTA360は、操作制御プログラム340により送信されたメール本体のデータを、SMTPプロトコルを用いて受信する。
つまり、MTA360は、SMTPサーバとしての機能を有する。
MUA380は、図5(A)に示したMUA202と同様の機能を有する。
また、MUA380は、POPプロトコルを用いて、MTA360から、メールを受信する。
【0037】
[メール送受信システム1の全体動作]
以下、メール送受信システム1の全体動作を、図6および図7を用いて説明する。
図6は、図3に示したメール送受信システム1の全体的な動作(S10)を示す通信シーケンス図である。
図7は、図6に示したメール本体のデータの送信処理(S20)を示す通信シーケンス図である。
【0038】
図6に示すように、ステップ100(S100)において、メール送信端末20において作成されたメール本体のデータは、SMTPプロトコルにより、メールサーバ22に送信される。
ステップ102(S102)において、メールサーバ22は、SMTPプロトコルにより、メール本体のデータを、制御装置24に対して送信する。
なお、実際には、メールサーバ22と制御装置24との間では、図1(A)に示した通信シーケンスが行われている。
ステップ104(S104)において、制御装置24は、受信したメール本体のデータに基づいて、宛先メールサーバのIPアドレス(宛先IPアドレス)を取得する。
ステップ106(S106)において、制御装置24は、受信したメール本体のデータおよび取得した宛先IPアドレスを、変復調器26に対して出力する。
【0039】
以下、図6に示したメール本体のデータの送信処理(S20)を、図7を参照して説明する。
ステップ200(S200)において、変復調器26は、複数の宛先IPアドレスを含んだ「回線検査データ」を、放送形式で、無線受信機30−1,無線受信機30−2に対して送信する。
なお、「回線検査データ」は、例えば、5種類の通信速度を検査するための情報を含む。
また、ここでは、複数の宛先IPアドレスは、メールサーバ36−1(図3)およびメールサーバ36−2のアドレスを含む。
【0040】
ステップ202(S202)において、変復調器32−1は、受信した複数の宛先IPアドレスに、メールサーバ36−1のアドレスが含まれているので、設定したタイマがタイムアップしたタイミングで、通信速度=9600bps,データ型=shortでの通信が可能であることを示す「能力応答」を送信し、変復調器26とのリンクを確立する。
ステップ204(S204)において、変復調器32−2は、受信した複数の宛先IPアドレスに、メールサーバ36−2のアドレスが含まれているので、設定したタイマがタイムアップしたタイミングで、通信速度=4800bps,データ型=Longでの通信が可能であることを示す「能力応答」を送信し、変復調器26とのリンクを確立する。
【0041】
ステップ206(S206)において、変復調器26は、受信した「能力応答」に含まれている通信速度のうち一番低い通信速度で、パケット分割されたメール本体のデータを、放送形式で送信する。
つまり変復調器26は、通信速度=4800bps,データ型=Longで、メール本体のデータを送信する。
【0042】
ステップ208(S208)において、変復調器26は、「再送要求」を、放送形式で送信する。
ステップ210(S210)において、変復調器32−1は、設定したタイマがタイムアップしたタイミングで、パケット2に誤りがあることを示す「再送要求応答」を送信する。
ステップ212(S212)において、変復調器32−2は、設定したタイマがタイムアップしたタイミングで、パケット3に誤りがあることを示す「再送要求応答」を送信する。
【0043】
ステップ214(S214)において、変復調器26は、再送要求のあったパケットデータ(パケット2,3)を、一段階低い通信速度で、放送形式で再送する。
つまり、変復調器26は、通信速度=2400bps,データ型=Longで、メール本体のデータを送信する。
ステップ216(S216)において、変復調器26は、「再送要求」を、放送形式で、送信する。
ステップ218(S218)において、変復調器32−1は、設定したタイマがタイムアップしたタイミングで、受信したパケットに誤りがなかったことを示す「誤りなし情報」を返信する。
ステップ220(S220)において、変復調器32−2は、設定したタイマがタイムアップしたタイミングで、受信したパケットに誤りがなかったことを示す「誤りなし情報」を返信する。
ステップ222(S222)において、変復調器26は、変復調器32−1,変復調器32−2との回線解除を行なう。
【0044】
ステップ108(S108);図6において、変復調器32は、メール本体のデータを制御装置34に対して送信する。
ステップ110(S110)において、制御装置34は、SMTPプロトコルにより、メール本体のデータを、メールサーバ36に対して送信する。
ステップ112(S112)において、メール受信端末38は、POPプロトコルにより、メール本体のデータを、メールサーバ36から取得する。
【0045】
なお、例えば、上記再送回数は、最大で20回の設定ができるように設定されてもよい。
また、再送を繰り返しても誤りが発生する場合は、通信を自動的に切断し、所定の時間の経過後に、再度通信を自動的に行ってもよい。
また、上記再送時には、受信に成功した無線受信機30(変復調器32)については、宛先からはずすように設定されてもよい。
【0046】
以上説明したメール送受信システム1によれば、無線通信回線10においては、SMTPプロトコルを用いず、メール本体のデータがパケット形式で送信されるので、低速な無線回線で、効率よくメールの送信ができる。
また、無線送信機28から、複数の無線受信機30に対して、メール本体のデータがマルチキャストで送信されるので、通信時間を短縮することができる。
また、マルチキャスト送信において、再送制御も行われるので、データの確達を補償することができる。
また、メール再送時には、通信速度を1段階落とすことにより、より確実にメールを再送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(A)は、SMTPプロトコルによるメール送信処理を例示する通信シーケンス図であり、(B)は、無線通信を介した場合におけるSMTPプロトコルによるメール送信処理を例示する通信シーケンス図であり、(C)は、無線装置間では、SMTPプロトコルを用いたメールの送受信がなされないメール送信処理を例示する通信シーケンス図である。
【図2】同一メールを複数の無線装置に送信する場合を例示する図であって、(A)は、同一メールを1通ずつ複数の無線装置に送信する場合を例示し、(B)は、同一メールを1回で、複数の無線装置に送信する場合を例示する。
【図3】本発明に係るメール送受信システムの構成を示す図である。
【図4】(A)は、図3に示したメール送信端末、メールサーバ、制御装置およびメール受信端末のハードウェア構成を例示する図である。(B)は、図3に示した変復調器、無線送信機のハードウェア構成を例示する図である。
【図5】(A)は、図3に示したメール送信端末、メールサーバ、制御装置および変復調器において実行される送信側装置プログラムの構成を示す図である。(B)は、図3に示した変復調器、制御装置、メールサーバおよびメール受信端末において実行される受信側装置プログラムの構成を示す図である。
【図6】図3に示したメール送受信システムの全体的な動作(S10)を示す通信シーケンス図である。
【図7】図6に示したメール本体のデータの送信処理(S20)を示す通信シーケンス図である。
【符号の説明】
【0048】
1・・・メール送受信システム、10・・・無線通信回線、200・・・ネットワーク、20・・・メール送信端末、22・・・メールサーバ、24・・・制御装置、26・・・変復調器、28・・・無線送信機、300・・・ネットワーク、30・・・無線受信機、32・・・変復調器、34・・・制御装置、36・・・メールサーバ、38・・・メール受信端末、246・・・宛先送信部、266・・・メール本体送信部、326・・・回線検査データ受信部、332・・・メール本体受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールの送り元を含む第1のネットワークから受けた電子メールを含む伝送データを、通信回線に送信する少なくとも1つの第1の通信装置と、
それぞれ、宛先を含む第2のネットワークに接続され、前記第1の通信装置から前記通信回線を介して受けた伝送データを、前記第2のネットワークに送信する複数の第2の通信装置と
を有する通信システムであって、
前記第1の通信装置は、
前記複数の第2の通信装置それぞれに対して、前記電子メールに含まれる1つ以上の宛先のアドレスを送信する宛先アドレス送信手段と、
前記送信した宛先のアドレスに応じた応答を返した複数の第2の通信装置それぞれに対して、前記電子メールを送信する第1の送信手段と
を有し、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置から受信した宛先のアドレスが、前記接続された第2のネットワークに含まれる宛先のアドレスを含むときに、前記第1の通信装置に応答を返す応答手段と、
前記応答を返したときに、前記第1の通信装置から受けた電子メールを、前記接続された第2のネットワークに含まれる宛先に対して送信する第2の送信手段と
を有する
通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−79335(P2010−79335A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243539(P2008−243539)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】