説明

無線通信システム

【課題】基地局が移動局から受信する信号により電界強度を測定することができる無線通信システムを提供する。
【解決手段】
基地局200の通信制御器203は、移動局100から受信するACTCフレーム410のLID(リンクアドレスフィールド)414を除算器204に出力すると同時に、ACTCフレーム410のPR(プリアンブル信号)411を電界強度検出器206に出力する。除算器204は、LID414のMPC(車速パルスカウント)414cから車速パルスのカウンタ数を取り出し、車速パルス位置検出器205に出力する。車速パルス位置検出器205は、車速パルスのカウンタ数から移動局100の位置を検出し、位置情報・電界強度情報記憶装置207に出力する。電界強度検出器206は、PR411から電界強度を検出し、位置情報・電界強度情報記憶装置207に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DSRC(Dedicated Short Range Communications)方式を利用する基地局と移動局の無線通信システムに係り、特に基地局が移動局からの情報により電界強度を測定する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
DSRC方式は、車両が走行する道路のポイント地点に設置される基地局と車両に搭載される移動局が、TDMA(Time Division Multiple Access)を用いて狭いエリア(以下、狭域という)で双方向の無線通信を行う通信方式である。DSRC方式は、車両に渋滞情報、合流地点情報、及び前方障害物情報などを提供して車両の安全な走行を支援する走行支援道路システム(AHS:Advanced Cruise - Assist Highway Systems)や、車両と車両が走行する道路のポイント地点をネットワークで接続して道路情報や課金情報などを車両とポイント地点とで送受信するスマートゲートウェイシステムなどに用いられる。この走行支援道路システムやスマートゲートウェイシステムでは、ポイント地点を中心として直径数メートルから数十メートルの限られた通信エリアを走行する車両に、ポイント地点から車両に電波で情報が配信され、車両は受信した情報をモニタもしくは音声で出力する。このように、DSRC方式を用いる無線通信システムでは、ポイント地点に設置される基地局から車両に搭載される移動局に情報を電波で配信するため、基地局はこの電波の電界強度を測定し、測定した電界強度に基づいて基地局の電波の出力やアンテナの向きを調整している。このため従来は、基地局が移動局に無変調高周波の電波を発射し、移動局がこの電波を受信すると基地局に放射し、更に基地局は移動局が放射した電波を受信し、この受信した電波の電界強度を定期的に測定していた。しかし、このような電界強度の測定で使用される無変調高周波信号は、運用でも使用される信号であるため、無線通信システムが運用中であるときには電界強度を測定することができなかった。
【0003】
特許文献1に開示の技術では、基地局から電界強度測定の指示を受信した移動局が、ポイント地点での電界強度測定を行い、測定結果を上り通信用スロットで基地局に送信する。基地局と移動局が、各ポイント地点においてこのような処理を繰返すことによって、基地局は、距離に対する電界強度の測定結果を取得することができる。このように特許文献1では、基地局が移動局と通信しながら移動局により各ポイント地点で測定された電界強度を、基地局が取得することができる無線通信システムにおける電界強度測定方法を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−164876
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の無線通信システムにおける電界強度測定方法では、基地局が電界強度を取得するためには、移動局が電界強度測定開始ポイント地点に到達したときに、基地局は移動局に対して電界強度測定の指示を送信しなければならない。このため、基地局は移動局が電界強度測定開始ポイント地点に到達したかを監視する必要がある。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無線通信システムは、DSRC方式により基地局と車両に搭載される移動局で信号が送受信される無線通信システムであって、前記車両の車速パルスをカウントする前記移動局の車速パルスカウント手段と、前記車速パルスカウント手段でカウントした車速カウンタ数を接続要求信号に設定する前記移動局の車速カウンタ数設定手段と、前記接続要求信号を基地局に送信する前記移動局の接続要求信号送信手段と、前記接続要求信号を受信する前記基地局の接続要求信号受信手段と、前記接続要求信号の車速カウンタ数から前記移動局の位置を検出する前記基地局の位置検出手段と、前記接続要求信号のプリアンブル信号から電界強度を検出する前記基地局の電界強度検出手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基地局が移動局に対して電界強度測定の指示を送信することなく、また無線通信システムが運用中の場合でも、基地局が移動局から受信する信号により電界強度を測定することができる無線通信システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおける移動局の機能構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおける基地局の機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基地局と移動局における通信シーケンスを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るFCMSのフレーム構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るACTSのフレーム構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るACTSフレームのLIDの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る移動局の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る基地局の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る移動局の位置と電界強度との相関を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態のDSRC方式の無線通信システムは、複数の移動局100及び基地局200から構成されている。移動局100と基地局200は、電波により信号の送受信を行う。
【0012】
まず、DSRC方式の無線通信システムにおける移動局100の機能構成について、図1を用いて説明する。移動局100は、DSRCアンテナ101、変復調器102、通信制御器103、乗算器104、パルスカウンタ105、位置判定器106、信号処理装置107、復調器108、車速パルス発生器109、及びGPSアンテナ110から構成されている。また、位置判定器106には、パルスのカウントを開始する移動局100の位置(以下、登録位置という)と、基地局200が設置されている直下位置(以下、基地局直下位置という)が設定されている登録位置データベース106aを備えている。
【0013】
DSRCアンテナ101は、基地局200からフレーム制御信号310を受信し、また基地局200に接続要求信号410を送信する。フレーム制御信号310と接続要求信号410については、後述する。変復調器102は、DSRCアンテナ101からフレーム制御信号310を入力すると復調し、通信制御器103に出力する。また、変復調器102は、通信制御器103から接続要求信号410を入力すると変調し、DSRCアンテナ101に出力する。通信制御器103は、基地局200との接続状態の管理や通信フレームの管理を行う。通信制御器103は、変復調器102からフレーム制御信号310を入力すると、乗算器104にフレーム制御受信通知を出力する。また、通信制御器103は、乗算器104から乗算したデータを入力すると、接続要求信号410に設定し変復調器102に出力する。GPSアンテナ110は、全地球測位システム(Global Positioning System)から移動局100の現在位置である緯度と経度の信号(以下、現在位置信号という)を受信し、現在位置信号を復調器108に出力する。復調器108は、GPSアンテナ110から現在位置信号を入力すると復調し、信号処理装置107に出力する。信号処理装置107は、復調器108から現在位置信号を入力すると現在位置信号から現在位置を検出し、位置判定器106に出力する。位置判定器106は、信号処理装置107から現在位置を入力すると、現在位置が登録位置データベース106aに設定されている登録位置と一致するかを判定し、登録位置と一致するときにはパルスカウンタ105にパルスカウント開始通知を出力する。車速パルス発生器109は、移動局100が搭載されている車両の車軸の回転数に比例してパルス信号を発生させ、発生させた車速パルス信号をパルスカウンタ105に出力する。パルスカウンタ105は、位置判定器106からパルスカウント開始通知を入力すると、車速パルス発生器109から車速パルス信号を入力し、車速パルスのカウントを開始する。そして、パルスカウンタ105は、カウントした車速パルスのカウント数を乗算器104に出力する。乗算器104は、パルスカウンタ105から車速パルスのカウント数を入力すると、自局である移動局100の固定番号と乗算し、この乗算したデータを通信制御器103に出力する。
【0014】
次に、DSRC方式の無線通信システムにおける基地局200の機能構成について、図2を用いて説明する。基地局200は、DSRCアンテナ201、変復調器202、通信制御器203、除算器204、車速パルス位置検出器205、電界強度検出器206、及び位置情報・電界強度情報記憶装置207から構成されている。
【0015】
DSRCアンテナ201は、移動局100にフレーム制御信号310を送信し、また移動局100から接続要求信号410を受信する。変復調器202は、通信制御器203からフレーム制御信号310を入力すると変調し、DSRCアンテナ101に出力する。また、変復調器202は、DSRCアンテナ201から接続要求信号410を入力すると復調し、通信制御器203に出力する。通信制御器203は、移動局100との接続状態の管理や通信フレームの管理を行う。通信制御器203は、接続要求信号410のLID(リンクアドレスフィールド)414を除算器204に出力すると同時に、接続要求信号410のPR(プリアンブル信号)311を電界強度検出器206に出力する。LID414とPR311については、後述する。除算器204は、通信制御器203からLID414を入力すると、LID414に設定されている車両番号と車速パルスのカウント数を取り出し、車速パルス位置検出器205に出力する。車速パルス位置検出器205は、除算器204から車両番号と車速パルスのカウント数を入力すると、車速パルスのカウント数から移動局100の位置を検出し、位置情報・電界強度情報記憶装置207に移動局100の車両番号と位置を出力する。電界強度検出器206は、通信制御器203からPR311を入力すると、PR311から電界強度を検出し、位置情報・電界強度情報記憶装置207に出力する。位置情報・電界強度情報記憶装置207は、車速パルス位置検出器205から移動局100の車両番号と位置を入力し、また電界強度検出器206から電界強度を入力すると、車両番号毎に位置とその位置における電界強度を記憶装置(図示せず)に記憶する。
【0016】
次に、図3に示す基地局200から移動局100に送信されるフレーム制御信号310と移動局100から基地局200に送信される接続要求信号410の通信シーケンスについて、説明する。まず、基地局200から移動局100に対してフレーム制御信号310であるFCMC(フレームコントロールメッセージチャネル)310を送信する。移動局100が最初のFCMC310を受信すると、移動局100は、接続要求信号410であるACTC(アクチベーションチャネル)(1)410を基地局200に送信する。次に、基地局200がACTC(1)410を受信すると、基地局200は、移動局100に再びFCMC310を送信する。移動局100が2回目のFCMC310を受信すると、移動局100は、ACTC(2)410を基地局200に送信する。以降、このような通信を繰り返すことで、移動局100と基地局200は信号の送受信を行う。
【0017】
次に、図4に示すFCMC310の通信フレームであるFCMS(フレームコントロールメッセージスロット)300のフレーム構成について説明する。FCMS300は、ガードタイムt0、FCMC310、及びガードタイムt1から構成されている。FCMC310は、PR311、UW1(ユニークワード信号)312、SMG(伝送チャネル制御フィールド)313、FID(基地局の識別番号フィールド)314、FSI(フレーム構成情報フィールド)315、RLT(リリースタイマ情報フィールド)316、SC(基地局のサービスアプリケーション情報フィールド)317、8個のSCI(通信スロット割当用のスロット制御情報フィールド)(i、i=1〜8)318、及びCRC(誤り検査信号)319の要素から構成されている。また、SCI(i、i=1〜8)318は、CI(制御情報サブフィールド)(i、i=1〜8)318aとLID(リンクアドレスフィールド)(i、i=1〜8)318bから構成されている。なお、図4の各信号の下に記載されている数字は信号の長さを示し、単位はオクテット(1オクテット=8ビット)である。
【0018】
次に、図5に示すACTC410の通信フレームであるACTS(アクチベーションスロット)400のフレーム構成について説明する。ACTS400は、6個のACTC(i、i=1〜6)410と、その間に設けられた5個のガードタイムt4、及びガードタイムt5から構成されている。ACTC(i、i=1〜6)410は、PR(プリアンブル信号)411、UW2A(ユニークワード信号)412、FID(基地局の識別番号フィールド)413、LID(リンクアドレスフィールド)414、LRI(ACTC用リンク要求情報フィールド)415、及びCRC(誤り検査信号)416で構成されている。なお、図5の各信号の下に記載されている数字は信号の長さを示し、単位はオクテット(1オクテット=8ビット)である。
【0019】
次に、図6に示すLID414の構成について説明する。LID414は、MNO(車両番号)414a、PF(基地局直下フラグ)414b、及びMPC(車速パルスカウント)414cから構成されている。なお、図6の各信号の下に記載されている数字は信号の長さを示し、単位はビットである。
【0020】
次に、車両に搭載される移動局100の処理手順について、図7を用いて説明する。
【0021】
(ステップS101)
信号処理装置107は、GPSアンテナ110が受信する移動局100の現在位置を復調器108を経由して入力し、位置判定器106に出力する。位置判定器106は、信号処理装置107から現在位置を入力すると、現在位置と登録位置データベース106aに設定されている登録位置と一致するかを判定する。登録位置と一致するとき(ステップS101のYes)は、パルスカウンタ105にパルスカウント開始通知を出力する。また、登録位置と一致しないとき(ステップS101のNo)は、再び現在位置を入力し、登録位置データベース106aに設定されている登録位置と一致するかを判定するステップS101に戻る。
【0022】
(ステップS102)
次いで、パルスカウンタ105は、位置判定器106からパルスカウント開始通知を入力すると、車速パルス発生器109から車速パルス信号を入力し、車速パルスのカウントを開始する。そして、パルスカウンタ105は、カウントした車速パルスのカウント数を乗算器104に出力する。
【0023】
(ステップS103)
通信制御器103は、DSRCアンテナ101が受信するFCMC310を、変復調器102を経由して入力することで、移動局100がFCMC310を受信しているかを判定する。移動局100がFCMC310を受信しているとき(ステップS103のYes)は、乗算器104にフレーム制御受信通知を出力する。また、移動局100がFCMC310を受信していないときは、車速パルスのカウントを開始するステップS102に戻る。
【0024】
(ステップS104)
次いで、乗算器104は、通信制御器103からフレーム制御受信通知を入力すると、自局である移動局100の固定番号とパルスカウンタ105から入力する車速パルスのカウント数とを乗算し、通信制御器103に出力する。
【0025】
(ステップS105)
次いで、通信制御器103は、ACTC410の図5に示すLID414のMNO414aに車両番号を設定し、またMPC414cに車速パルスのカウント数を設定し、変復調器102を経由してDSRCアンテナ101からACTC410を基地局200に送信する。
【0026】
(ステップS106)
次いで、位置判定器106は、現在位置が登録位置データベース106aに登録されている基地局直下位置と一致するかを判定する。基地局直下位置と一致するとき(ステップS106のYes)は、LID414に基地局直下であること設定するステップS107に進む。また、基地局直下位置と一致しないとき(ステップS106のNo)は、車速パルスのカウントを開始するステップS102に戻る。
【0027】
(ステップS107)
次いで、通信制御器103は、ACTC410の図5に示すLID414のPF414bに基地局の直下であることを設定し、変復調器102を経由してDSRCアンテナ101からACTC410を基地局200に送信し、移動局100の処理が終了する。
【0028】
次に、基地局200の処理手順について、図8を用いて説明する。
【0029】
(ステップS201)
通信制御器203は、変復調器202を経由してDSRCアンテナ201からFCMC310のフレーム制御信号を移動局100に送信する。
【0030】
(ステップS202)
通信制御器203は、DSRCアンテナ201が受信するACTC410を、変復調器202を経由して入力することで、基地局200がACTC410を受信しているかを判定する。基地局200がACTC410を受信しているとき(ステップS202のYes)は、除算器204と電界強度検出器206にACTC410を出力する。また、基地局200がACTC410を受信していないとき(ステップS202のNo)は、FCMC310のフレーム制御信号を移動局100に送信するステップS201に戻る。
【0031】
(ステップS203)
次いで、除算器204は、通信制御器203からACTC410を入力するとACTC410の図5に示すLID414のMNO414aに設定されている車両番号と、MPC414cに設定されている車速パルスのカウント数を除算し、車両番号と車速パルスのカウント数を車速パルス位置検出器205に出力する。車速パルス位置検出器205は、除算器204から車両番号と車速パルスのカウント数を入力すると、車速パルスのカウンタ数から移動局100の位置を検出し、移動局100の車両番号と位置を位置情報・電界強度情報記憶装置207に出力する。
【0032】
(ステップS204)
次いで、電界強度検出器206は、通信制御器203からACTC410を入力するとACTC410の図5に示すPR411から電界強度を検出し、位置情報・電界強度情報記憶装置207に出力する。
【0033】
(ステップS205)
次いで位置情報・電界強度情報記憶装置207は、車速パルス位置検出器205から移動局100の車両番号と位置を入力し、また電界強度検出器206から電界強度を入力すると、基地局200の記憶装置(図示せず)に車両番号毎に位置とその位置における電界強度を記憶する。
【0034】
(ステップS206)
次いで、通信制御器203は、LID414のPF414bから、移動局100の位置が基地局直下位置であるかを判定する。移動局100の位置が基地局直下位置であるとき(ステップS206のYes)は、基地局200の処理が終了する。また、移動局100の位置が基地局直下位置でないとき(ステップS206のNo)は、移動局100に対してFCMC310を送信するステップS201に戻る。
【0035】
次に、図9に示す移動局100及び基地局200の処理によって得られる移動局100の位置と電界強度の相関グラフ500について説明する。位置と電界強度の相関グラフ500の横軸は、基地局200がFCMC310を移動局100に送信することでACTC410を受信し、基地局200がこのACTC410のLID414に設定されるMPC(車速パルスカウント)414cから検出する移動局100の位置[m]を示している。位置と電界強度の相関グラフ500の縦軸は、基地局200がFCMC310を移動局100に送信することでACTC410を受信し、基地局200がACTC410のPR(プリアンブル信号)411から検出する電界強度[dBm]を示している。移動局100を搭載している車両は、d3、d2、d1、0、−d1の方向に走行している。ポイント地点P1は、移動局100の現在位置と登録位置データベース106aに設定されている登録位置が一致した地点を示している。この地点に移動局100が到達すると、移動局100のパルスカウンタ105に対して車速パルスのカウント開始が通知される。ポイント地点P2は、移動局100のパルスカウンタ105が車速パルスのカウントを開始した地点を示している。ポイント地点P3は、移動局100の位置判定器106が基地局直下位置と判定した地点を示している。この地点に移動局100が到達すると、移動局100のパルスカウンタ105に対して車速パルスのカウント終了が通知される。電界強度曲線510は、ポイント地点P2の地点で移動局100のパルスカウンタ105が車速パルスのカウントを開始してから車速パルスのカウントを終了するまでの間に、移動局100を搭載している車両が移動した位置と、その位置に対する基地局200により検出される電界強度を示している。このような位置と電界強度の相関グラフ500により、位置d2の地点の電界強度はe1[dBm]であることがわかる。
【0036】
以上のような本発明によれば、ACTC410のLID414を図6に示すMNO(車両番号)414a、PF(基地局直下フラグ)414b、及びMPC(車速パルスカウント)414cの構成とすることで、基地局200が移動局100から受信するACTC410により電界強度を測定する無線通信システムを提供できる。
【0037】
具体的な実施の形態により本発明を説明したが、上記実施の形態は本発明の例示であり、この実施の形態に限定されないことは言うまでもない。
【0038】
以上をまとめると、本発明は次のような特徴を有する。
(1)本発明の無線通信システムは、DSRC方式を利用した無線通信システムにおいて、基地局が移動局から位置情報、電界強度情報を取得するため、予め所定の緯度経度に移動局が位置したときに移動局から車速パルス情報と電界強度情報を基地局に対して送信する送信手段を有することを特徴としている。
(2) 発明の無線通信システムは、DSRC方式により基地局と車両に搭載される移動局で信号が送受信される無線通信システムであって、前記車両の車速パルスをカウントする前記移動局の車速パルスカウント手段と、前記車速パルスカウント手段でカウントした車速カウンタ数を接続要求信号に設定する前記移動局の車速カウンタ数設定手段と、前記接続要求信号を基地局に送信する前記移動局の接続要求信号送信手段と、前記接続要求信号を受信する前記基地局の接続要求信号受信手段と、前記接続要求信号の車速カウンタ数から前記移動局の位置を検出する前記基地局の位置検出手段と、前記接続要求信号のプリアンブル信号から電界強度を検出する前記基地局の電界強度検出手段と、を備えることを特徴としている。
(3) (2)の本発明の無線通信システムは、前記移動局が搭載される車両の車両番号を接続要求信号に設定する前記移動局の車両番号設定手段を備えることを特徴としている。
(4) (2)または(3)の本発明の無線通信システムは、現在位置を受信する前記移動局の現在位置受信手段と、前記車速パルスカウント手段が車両パルスのカウントを開始する位置を登録する前記移動局の位置登録手段とを備え、前記現在位置と前記登録位置とが一致したときに、前記車速パルスカウント手段に車両パルスのカウント開始が通知されることを特徴としている。
(5) (2)から(4)のいずれかの本発明の無線通信システムは、基地局直下位置を登録する前記移動局の基地局直下位置登録手段を備え、前記現在位置と前記基地局直下位置とが一致したときに、前記車速パルスカウント手段に車両パルスのカウント終了が通知されることを特徴としている。
(6) (2)から(5)のいずれかの本発明の無線通信システムの前記移動局は、前記基地局からフレーム制御信号を受信してから前記基地局に前記接続要求信号を送信することを特徴としている。
(7) (5)または(6)の本発明の無線通信システムは、前記位置と前記電界強度を前記車両番号に対応させて記憶する位置電界強度記憶手段を備え、前記位置電界強度記憶手段は、前記現在位置と前記登録位置が一致したときから前記現在位置と前記基地局直下位置が一致するまで前記位置と前記電界強度を記憶することを特徴としている。
(8) 本発明の無線通信システムの電界強度検出方法は、DSRC方式を利用した無線通信システムにおいて、基地局が移動局から位置情報、電界強度情報を取得するため、予め所定の緯度経度に移動局が位置したときに移動局から車速パルス情報と電界強度情報を基地局に対して送信する送信工程を有することを特徴としている。
(9) 本発明の無線通信システムの電界強度検出方法は、DSRC方式により基地局と車両に搭載される移動局で信号が送受信される無線通信システムの電界強度検出方法であって、前記車両の車速パルスをカウントする前記移動局の車速パルスカウント工程と、前記車速パルスカウント工程でカウントした車速カウンタ数を接続要求信号に設定する前記移動局の車速カウンタ数設定工程と、前記接続要求信号を基地局に送信する前記移動局の接続要求信号送信工程と、前記接続要求信号を受信する前記基地局の接続要求信号受信工程と、前記接続要求信号の車速カウンタ数から前記移動局の位置を検出する前記基地局の位置検出工程と、前記接続要求信号のプリアンブル信号から電界強度を検出する前記基地局の電界強度検出工程と、を備えることを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、無線通信システムに好適であるが、無線通信システムに限られるものではなく、電界強度を測定するシステム一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
100・・・・・・・・移動局
101・・・・・・・・DSRCアンテナ
102・・・・・・・・変復調器
103・・・・・・・・通信制御器
104・・・・・・・・乗算器
105・・・・・・・・パルスカウンタ
106・・・・・・・・位置判定器
106a・・・・・・・登録位置データベース
107・・・・・・・・信号処理装置
108・・・・・・・・復調器
109・・・・・・・・車速パルス発生器
110・・・・・・・・GPSアンテナ
200・・・・・・・・基地局
201・・・・・・・・DSRCアンテナ
202・・・・・・・・変復調器
203・・・・・・・・通信制御器
204・・・・・・・・除算器
205・・・・・・・・車速パルス位置検出器
206・・・・・・・・電界強度検出器
207・・・・・・・・位置情報・電界強度情報記憶装置
300・・・・・・・・FCMSフレーム(フレームコントロールメッセージスロット)
310・・・・・・・・フレーム制御信号、FCMC(フレームコントロールメッセージチャネル)
311・・・・・・・・PR(プリアンブル信号)
312・・・・・・・・UW1(ユニークワード信号)
313・・・・・・・・SMG(伝送チャネル制御フィールド)
314・・・・・・・・FID(基地局の識別番号フィールド)
315・・・・・・・・FSI(フレーム構成情報フィールド)
316・・・・・・・・RLT(リリースタイマ情報フィールド)
317・・・・・・・・SC(基地局のサービスアプリケーション情報フィールド)
318・・・・・・・・SCI(通信スロット割当用のスロット制御情報フィールド)
318a・・・・・・・CI(制御情報サブフィールド)
318b・・・・・・・LID(リンクアドレスフィールド)
319・・・・・・・・CRC(誤り検査信号)
400・・・・・・・・ACTS(アクチベーションスロット)
410・・・・・・・・接続要求信号、ACTC(アクチベーションチャネル)
411・・・・・・・・PR(プリアンブル信号)
412・・・・・・・・UW2A(ユニークワード信号)
413・・・・・・・・FID(基地局の識別番号フィールド)
414・・・・・・・・LID(リンクアドレスフィールド)
414a・・・・・・・MNO(車両番号)
414b・・・・・・・PF(基地局直下フラグ)
414c・・・・・・・MPC(車速パルスカウント)
415・・・・・・・・LRI(ACTC用リンク要求情報フィールド)
416・・・・・・・・CRC(誤り検査信号)
500・・・・・・・・位置と電界強度の相関グラフ
510・・・・・・・・電界強度曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DSRC方式により基地局と車両に搭載される移動局で信号が送受信される無線通信システムであって、
前記車両の車速パルスをカウントする前記移動局の車速パルスカウント手段と、
前記車速パルスカウント手段でカウントした車速カウンタ数を接続要求信号に設定する前記移動局の車速カウンタ数設定手段と、
前記接続要求信号を基地局に送信する前記移動局の接続要求信号送信手段と、
前記接続要求信号を受信する前記基地局の接続要求信号受信手段と、
前記接続要求信号の車速カウンタ数から前記移動局の位置を検出する前記基地局の位置検出手段と、
前記接続要求信号のプリアンブル信号から電界強度を検出する前記基地局の電界強度検出手段と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−182650(P2012−182650A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44167(P2011−44167)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】