説明

無線通信システム

【目的】データトラフィックが少ない状況において、共通パイロットを全帯域で送信しないようにしてパイロット送信に要する電力消費を低減する。
【構成】ダウンリンクの無線区間においてパイロットを含むサブフレームを無線基地局装置より端末装置に送信する通信システムであり、無線基地局装置は共通パイロットを全伝送帯域で送信する第1のサブフレームと、共通パイロットを全伝送帯域の中の所定の狭帯域で送信する第2のサブフレームとにサブフレームを分け、前記第1、第2のサブフレームをダウンリンクの無線区間において送信することにより共通パイロットを送信し、端末装置は基地局装置よりサブフレームを受信し、該受信したサブフレームよりパイロットを抽出して所定の処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システムに係り、特に、ダウンリンクの無線区間においてパイロットを含むサブフレームを無線基地局装置より端末装置に送信する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システム、例えば携帯電話システムは第3世代から第4世代システムへ向けて発展しようとしている。発展にともない、新たな無線アクセス技術が導入され、更に、より広い無線周波数帯伝送帯域を占有するようになり、最大データ伝送容量が著しく増加することが予想される。
WCDMAシステムの次世代のシステムとして3GPPで仕様化検討作業が行なわれているEUTRAN(Evolved UTRAN)の無線アクセス部のダウンリンクでは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)が採用される(非特許文献1参照)。図13はEUTRANの無線アクセス部のダウンリンクにおけるサブフレーム列の説明図であり横軸は周波数(ダウンリンクの伝送帯域)、縦軸は時間であり、5個のサブフレームが示されている。各サブフレームは例えば図14に示すように7シンボル(7OFDMシンボル)で構成される。
20MHz幅の無線伝送帯域(システム伝送帯域)で送信されるOFDM信号は1201個のサブキャリアで構成される。また、20MHz幅の伝送帯域は、100個ほどのサブバンドに分割され、ある端末に対するデータの送信には、1個又は複数個の周波数軸上で連続した又は分散したサブバンドが使用される。1個のサブバンドは、12本のサブキャリアで構成されることが想定されている。サブフレーム長は0.5 msであり、システム伝送帯域全域で共通パイロットが送信される。ダウンリンクの共通パイロット信号は、主に、制御信号やユーザーデータの同期復調用(チャネル推定、補償用)、無線回線品質測定用として使用される。共通パイロットは、周期的にサブフレーム毎に送信される。
共通パイロット信号は、あるOFDMシンボル上の全サブキャリアを使って送信してもよいが、EUTRANのダウンリンクの無線アクセス部では、一つの送信アンテナからは図14に示すように6サブキャリアあたり1サブキャリアで共通パイロット信号が送信され、7OFDMシンボルのうち2OFDMシンボルにおいて送信される。
【0003】
図15はOFDM通信システムにおける送信装置の構成図であり、データ変調部1は送信データ(ユーザデータや制御データ)を例えばQPSKデータ変調し,同相成分と直交成分を有する複素ベースバンド信号(シンボル)に変換する。時分割多重部2は複数シンボルのパイロットをデータシンボルに時間多重する。シリアルパラレル変換部3は入力データをMシンボルの並列データに変換し、M個のサブキャリアサンプルを出力する。 IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部4は並列入力するサブキャリアサンプルにIFFT(逆フーリエ変換)処理を施して合成し、離散時間信号(OFDM信号)にして出力する。ガードインターバル挿入部5は、IFFT 部から入力するMシンボル分のOFDM信号にガードインターバルを挿入し、送信部(TX)6はガードインターバルが挿入されたOFDM信号(OFDMシンボルという)をDA変換し、ついで、OFDM信号の周波数をベースバンドから無線帯域に変換し、高周波増幅してアンテナ7より送信する。
図16はOFDM受信装置の構成図である。図15の送信アンテナ7から出力された信号は、無線空間上のフェージングチャネル(伝搬路)を経て、受信装置の受信アンテナ8により受信され、受信回路(Rx)9はアンテナにより受信されたRF信号をベースバンド信号に変換し、AD変換器10は該ベースバンド信号をディジタルにAD変換して出力する。AFC回路11はパイロット信号を用いた第1AFC回路11aと同期信号を用いた第2AFC回路11bとAFC信号選択回路11cを備え、端末と基地局間のキャリア周波数偏差を推定し、受信回路内蔵の局部発振器の発振周波数を調整する。
シンボル切り出し部12はOFDMシンボルの先頭を検出してガードインターバルGIを削除すると共にOFDMシンボルを切出してFFT部13に入力する。FFT部13は切り出されたOFDMシンボル毎にFFT処理を行ない、周波数領域のサブキャリアサンプルS0〜SM-1に変換する。パイロット抽出部14はFFT出力よりパイロットシンボルを抽出し、チャネル推定回路15は、一定間隔で受信するパイロットシンボルと既知のパイロットパターンとの相関を計算することで、サブキャリア毎のチャネル推定を行ない、チャネル補償回路(同期検波部)16は、チャネル推定値を用いて、データシンボルのチャネル変動を補償する。以上の処理によって、各サブキャリアに配分された送信データの復調が行われる。以後、図示しないが復調されたサブキャリア信号はシリアルデータに変換された後、復号される。最適サブバンド決定部17は、受信したパイロットを用いて各サブバンドの受信状態(無線回線品質。例えばSIR)を測定し、最適なサブバンドを決定する。なお、図15,16における送信装置、受信装置の信号処理例は簡単なものを示したものであり、実際の装置では、特性向上のために、より複雑な処理が行なわれる。
【0004】
図17はパイロットシンボルを用いた第1のAFC回路11aの説明図であり、IFFT部11a-1は送信局が送信するパイロット信号のレプリカ(既知パイロット)にIFFT処理を施して時間的に連続するパイロット信号を発生し、相関演算部11a-2は該パイロット信号と受信信号との相関を演算し、ピーク検出部11a-3はピーク相関値を検出し、位相検出部11a-4は該相関値の実数部R、虚数部Iを用いて次式
θ=tan-1(I/R)
により位相差θを計算する。このθは周波数偏差によって生じるから該位相差に基づいて局部発振器の発振周波数を制御する。図17で示すAFC回路は一例である。
図18は同期信号の説明図であり、(A)は同期チャネルSCH(同期信号)を2回繰り返して送信する例、(B)はフレーム先頭で繰り返し同期チャネルSCH(同期信号)を送信する例である。
図19は第2のAFC回路11bの説明図であり、遅延部11b-1は入力信号を1シンボルあるいは1フレーム遅延し、相関演算部11b-2は繰り返し部分の相関を演算し、ピーク検出部11b-3はピーク相関値を検出し、位相検出部11b-4は該相関値を用いて図17の場合と同様に位相差θを計算し、この位相差に基づいて局部発振器の発振周波数を制御する。
同期信号は、上記のように周波数オフセットの調整に使用するほか、シンボルタイミング、フレームタイミング、パイロット信号パターン検出等にも使用する。例えば、同期信号で粗く周波数オフセットの修正を行い、しかる後、パイロット信号で細かな修正を行なう。
1日の間において、音声データを含むデータ伝送の量、すなわちデータトラフィックは、変動する。特に深夜は、データトラフィックはかなり少なくなる。1日の間において、データトラフィックがピークになる時と深夜のようにトラフィックが少なくなる時のトラフィックの比は、第3世代から第4世代へと最大データ伝送容量が増加するほど、大きくなっていくものと考えられる。
深夜などデータトラフィックが少ない状況では、送信するデータの量が少なくなり、つまり、必要とする無線リソース量が少なくなり、伝送帯域全域がフルに使用されない状況が生じる。伝送帯域幅が広くなる程、これは著しくなる。かかるデータトラフィックが少ない状況では、データ伝送に使用されないサブバンドが多くなり、使用されないサブバンドで制御信号やデータは送信されず、該制御信号やデータの復調を目的としたパイロット信号の送信もそのサブバンドでは不要となる。
また、データトラフィックが少ない状況では、無線回線品質測定を目的としたパイロットを全てのサブバンドで送信するのは非効率である。なぜなら、データ伝送に使用するサブバンドを限定すれば、各端末に対するデータの送信には該限定されたサブバンドを用いればよく、各端末は該限定されたサブバンドだけの無線回線品質測定を行なえばよいからである。
以上の点で、データトラフィックが少ない状況では、毎サブフレームで電力が大きいダウンリンク共通パイロット信号を伝送帯域全域(幅広な伝送帯域)で送信するのは非効率である。換言すれば、データトラフィックが少ない状況において全てのサブバンドで共通パイロットを毎サブフレームで送信するのは、パイロット送信に要する電力消費という観点で、非効率である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TR25.814
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上から、本発明の目的は、データトラフィックが少ない状況等において、共通パイロットを全帯域で送信しない(幅広な伝送帯域では送信しない)ようにしてパイロット送信に要する電力消費を低減することである。
本発明の別の目的は、基地局と通信中の端末(アクティブモード端末とDRX/DTXモード端末)の総端末数に基づいて、共通パイロットを全帯域(幅広な伝送帯域)で送信する周期を制御することである。
本発明の別の目的は、基地局との間で常にデータ送受信が可能な状態の端末(アクティブモード端末)の数に基づいて共通パイロットを全帯域で送信しない時の帯域(狭帯域)の帯域幅を制御することである。
本発明の別の目的は、全帯域サブフレームを送信する場合も、狭帯域サブフレームを送信する場合も、端末が高速移動中であれば該端末宛の個別データ送信用のサブバンドとして狭帯域に属するサブバンドを割り当てるようにすることである。
本発明の別の目的は、狭帯域サブフレームの送信時において、狭帯域に属さないサブバンドで個別データを送信する場合、該サブバンドで個別データと共に個別パイロットを送信することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、無線基地局装置と、該無線基地局装置と通信を行う端末装置とを有する無線通信システムであり、前記無線基地局装置は、無線区間を構成する第1時間区間の所定タイミングにおいて共通パイロットを全伝送帯域で送信すると共に、該第1時間区間の別のタイミングにおいて共通パイロット以外のデータを全伝送帯域で送信する第1のサブフレームと、無線区間を構成する第2時間区間の所定タイミングにおいて共通パイロットを全伝送帯域の中の所定の狭帯域で送信すると共に、該第2時間区間の別のタイミングにおいて共通パイロット以外のデータを前記狭帯域で送信する第2のサブフレームと、を発生するサブフレーム発生部、前記第1、第2のサブフレームをダウンリンクの無線区間において送信することにより共通パイロットを送信する無線送信部を有している。
前記無線送信部は、更に、前記第1のサブフレームをある周期で送信し、それ以外の時間区間において前記第2のサブフレームを送信する。
前記無線基地局装置は、基地局との間で常にデータ送受信が可能な状態の端末の数と、基地局との間で間欠的にデータ送受信が可能な状態の端末の数の総数を監視する無線リソース管理部、該総数に基づいて前記第1サブフレームの周期を短くし、あるいは前記周期を一定とし第1サブフレームの連続する個数を制御する制御部を有している。前記制御部は、基地局との間で間欠的にデータ送受信が可能な状態の端末の間欠送受信周期を、前記第1サブフレームの送信周期と同じにする。
前記無線基地局装置は、更に、基地局との間で常にデータ送受信が可能な状態の端末の数を監視する無線リソース管理部、該端末数に基づいて前記狭帯域の帯域幅を制御する制御部を有している。
前記無線基地局装置は、更に、全帯域を複数のサブバンドに分割し、1以上のサブバンドを用いて所定の端末にデータを送信する場合、端末が高速移動端末であれば、前記第1サブフレームの送信において該高速移動端末に前記狭帯域に属するサブバンドを割り当てる制御部を有している。
前記無線基地局装置は、更に、前記第2サブフレーム送信時に、前記狭帯域に属さないサブバンドでデータを送信する場合、個別パイロットを該サブバンドで送信する制御部を有している。
また、前記端末装置は、前記無線基地局装置より送信された前記サブフレームを受信する無線受信部を有している。
本発明の第2は、無線基地局装置と、該無線基地局装置と通信を行う端末装置とを有する無線通信システムであり、前記無線基地局装置は、共通パイロットを全伝送帯域で送信する第1のサブフレームと、共通パイロットを全伝送帯域の中の所定の狭帯域で送信する第2のサブフレームと、を発生するサブフレーム発生部、前記第1、第2のサブフレームをダウンリンクの無線区間において送信することにより共通パイロットを送信する無線送信部を有している。
【発明の効果】
【0008】
以上本発明によれば、データトラフィックが少ない状況において、共通パイロットを全帯域で送信しないようにできるため、パイロット送信に要する電力消費を低減することができる。また、基地局は常時共通パイロットを少なくとも特定の狭帯域では送信するため、基地局との間で間欠的にデータ送受信する端末であっても、該パイロットを受信して周波数オフセット制御を行うことができる。
発明によれば、昼間などデータトラフィックが多くなった状況において、共通パイロットを全帯域で送信することができ、また、夜になりデータトラフィックが少ない状況になれば、共通パイロットを狭帯域で送信するようにしてパイロット送信に要する電力消費を低減することができる。
本発明によれば、基地局との間で常にデータ送受信が可能な状態の端末(アクティブモード端末)の数に基づいて狭帯域の帯域幅を制御するようにしたから、通信を希望する全端末が通信を行えるようにできる。
本発明によれば、高速移動時に前後のサブフレームの共通パイロットの受信値を基に求めたチャネル推定値を平均することで、精度の高いパイロットを用いた処理が可能になる。
本発明によれば、狭帯に属しないサブバンドで個別データを送信する場合、個別パイロットを該サブバンドで送信するようにしたから、共通パイロットを利用できなくても個別パイロットを用いてパイロット処理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の概要を示す共通パイロット送信方法の説明図である。
【図2】第1、第2サブフレームを混在させて送信したときの共通パイロット送信電力の説明図である。
【図3】本発明のサブフレーム送信方法の説明図である。
【図4】基地局装置の構成例図である。
【図5】端末種別管理テーブルの構成例である。
【図6】無線リソース管理部の端末種別管理処理フローである。
【図7】第1サブフレームの送信周期の変更制御処理フローである。
【図8】第2サブフレームの送信帯域である狭帯域NFRの帯域幅の制御処理フローである。
【図9】個別パイロット送信制御処理フローである。
【図10】高速移動端末のサブバンド割り当て制御処理フローである。
【図11】移動端末装置の構成例図である。
【図12】パイロット抽出部の一例を示す構成例図である。
【図13】EUTRANの無線アクセス部のダウンリンクにおけるサブフレーム列の説明図である。
【図14】サブフレーム構成例である。
【図15】OFDM通信システムにおける送信装置の構成例図である。
【図16】OFDM受信装置の構成例図である。
【図17】パイロットシンボルを用いたAFC回路の説明図である。
【図18】同期信号の説明図である。
【図19】同期信号用いたAFC回路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(A)本発明の概要
図1は本発明の概要を示す共通パイロット送信方法の説明図である。この実施例では、第1の期間(図1では、第1サブフレームの先頭部分)では、第1の周波数帯域を用いてパイロット信号を送信し、第2の期間(図1では第2サブフレームの先頭部分)では、該第1の周波数帯域より周波数帯域の狭い第2の期間を用いてパイロット信号を送信することとする。
ダウンリンク無線伝送帯域は20MHz幅の帯域を有し、この無線伝送帯域で送信されるOFDM信号は1201個のサブキャリアで構成される。20MHz幅の無線伝送帯域は、100個ほどのサブバンドに分割され、ある端末に対するデータの送信には、1個又は複数個の周波数軸上で連続した又は分散したサブバンドが使用される。1個のサブバンドは、12本のサブキャリアで構成される。サブフレームは長さが0.5 msであり、たとえば、7OFDMシンボルで構成され、共通パイロット、制御信号、ユーザーデータを送信する。
本発明では、サブフレームは、(1)共通パイロットを全伝送帯域WFRで送信する第1のサブフレーム(全帯域サブフレーム)SF1と、(2)共通パイロットを全伝送帯域における所定の狭帯域NFRで送信する第2のサブフレーム(狭帯域サブフレーム)SF2とに分け、ダウンリンクの無線区間において、これら第1、第2のサブフレームSF1,SF2を送信する。図1では、5サブフレームのうち1個を第1のサブフレームSF1として周期的に送り、残りの4個を第2のサブフレームSF2としている。すなわち、第1のサブフレームSF1をある周期(図では2.5ms)で送信し、それ以外の時間区間において第2のサブフレームSF2を送信する。
第1のサブフレームSF1の送信周期Tは5ms、10ms、…の場合も可能である。昼間はセル内で通信している端末数が多くなるため、T=0.5msにし、夜は、セル内で通信している端末数が少なくなるため、T=2.5msにする。また、第1のサブフレームSF1の送信周期Tをセル内で通信している端末数に応じて変更制御することができ、該端末数に応じてTを0.5ms、1.0ms、1.5ms、2.0ms、2.5ms 、3.0ms、….と制御することができる。
図2は第1、第2サブフレームを混在させて送信したときの共通パイロット送信電力の説明図であり、第1サブフレーム送信時(T1)、共通パイロットの送信電力は大きくなるが、第2サブフレーム送信時(T2)、に送信電力が減少し、トータル的に送信電力が減少する。この結果、データトラフィックが少ない状況(例えば夜間)において、共通パイロットを全帯域(幅広な帯域)で送信しないようにしてパイロット送信に要する電力消費を低減することができる。また、基地局は常時共通パイロットを送信するため、基地局との間で間欠的にデータ送受信する端末であっても、該パイロットを受信して周波数オフセット制御を行うことができる。
【0011】
(B)サブフレーム送信方法
図3はサブフレーム送信方法の説明図であり、図1と同一部分には同一符号を付している。
共通パイロットが全伝送帯域WFRで送信される第1サブフレーム(全帯域サブフレーム)SF1は、共通パイロットCPL、ユーザーデータ位置情報DTL、共通制御信号CCS、同期信号SYC、ユーザー毎の個別データUDT及び個別制御データUCTを含んでいる。共通パイロットCPLは受信側でSIR測定や同期復調に用いるもので全伝送帯域WFRにおいて送信される。ユーザーデータ位置情報DTLは、ユーザーデータをどのサブバンドで送信するか端末に通知するための情報であり、端末はこの位置情報DTLを参照して自分宛のデータが存在するかチェックし、存在すれば指定されたサブバンドより自分宛ての個別データUDT及び個別制御データUCTを取り込む。共通制御信号CCSは全端末共通の制御信号であり、第1サブフレームSF1の送信周期や第2サブフレームSF2の狭帯域NFRを特定する情報などを通知するものであり、同期信号SYCは、端末と基地局間の周波数オフセットの調整や、シンボルタイミング、フレームタイミング、パイロット信号パタ−ンの検出等に使用する信号である。
狭帯域NFRで共通パイロットが送信される第2のサブフレーム(狭帯域サブフレーム)SF2は、共通パイロットCPL、ユーザーデータ位置情報DTL、ユーザー毎の個別データUDT及び個別制御データUCTを含み、また、適宜、音声信号、ACK/NACK信号、共通制御信号を含んでいる。
端末は、共通制御信号CCSに含まれる送信周期や狭帯域情報に基づいて受信帯域を切り替えて第1、第2のサブフレームの受信制御を行う。
【0012】
第1サブフレーム(全帯域サブフレーム)SF1は、5サブフレームに1回の割合で送信され、それ以外の時間区間T2において第2のサブフレーム(狭帯域サブフレーム)SF2が送信される。狭帯域NFRの位置は全伝送帯域WFRの中心部でなく(図では中心部に示している)、全帯域WFRの端の方に配置することもできる。また、合計帯域が全伝送帯域より狭くなる複数の分割された狭帯域とすることもできる。
全サブフレームに対する第1サブフレームの割合、あるいは第1サブフレームの周期Tは可変であるが、割合あるいは周期を変化させる場合には、基地局は事前に共通制御信号CCSを用いて、全端末に通知することが望ましい。たとえば、基地局はセル内で通信している総端末数に応じて第1サブフレームSF1の送信周期Tを変更する場合、事前に全端末に共通制御信号CCSを用いて報知する。この場合、基地局との間で間欠的にデータ送受信する状態の端末(DRX/DTXモード端末)の間欠送受信周期を第1サブフレームの送信周期Tと一致させるように制御する。
また、狭帯域NFRの帯域幅は可変であるが、区間T2内では変化させない。このため、図3において、第1サブフレームSF1の後に続く4つの連続した第2サブフレームSF2の狭帯域幅は同じになっている。しかし、次の第1サブフレームSF1の後に続く第2サブフレームSF2の狭帯域をそれまでと異なる帯域幅とすることができる。但し、どのような帯域幅を設定するかを基地局は事前に共通制御信号CCSを用いて全端末に通知ることが望ましい。たとえば、基地局はセル内で通信している端末数に応じて前記狭帯域の帯域幅を変更する場合、事前に全端末に共通制御信号CCSを用いて報知する。
【0013】
基地局は第1サブフレームSF1の共通制御信号CCS、同期信号SYCを、第2サブフレームSF2の狭帯域NFRと同じ帯域で送信する。なお、図3において、第1サブフレームSF1でのみ同期信号を送信しているが、第2サブフレームSF2でも同期信号を送信することができる。このようにすれば、サブフレーム周期で同期信号を用いた周波数オフセット制御や、シンボルタイミング、フレームタイミング、パイロット信号パタ−ンの検出等を行なうことが可能になる。
基地局は、高速移動端末向けのデータを、全サブフレームにおいて狭帯域NFRのサブバンドで送信する。高速移動端末の場合、無線チヤネルの変動が激しくなるので、このようにすることにより、データ復調の際、図中Aで示すように、前後のサブフレームの共通パイロットを平均することによりチャネル推定精度を向上して、データ復調特性を向上することができる。
基地局は、第2サブフレーム送信時において、送信するデータ量が多くなれば、図中Bで示すように狭帯域NFR以外の帯域のサブバンドでデータ(個別データ、個別制御データ)を送信すると共に、個別パイロットを該サブバンドで送信する。このようにすれば、端末は個別データの受信に際して共通パイロットを利用できなくても個別パイロットを用いて同期復調、SIR測定が可能になる。図3では狭帯域NFR以外の帯域Bとして、該狭帯域NFRに隣接する帯域を用いているが、点線B′で示すように狭帯域NFRから離すこともできる。
第1のサブフレームは必ずしも図3に示すフォーマットに限る必要はなく、共通制御信
号や同期信号を全帯域で送信するようにもできる。
【0014】
(B)端末の種別
本発明では通信中端末がアクティブモード端末であるか、DRX/DTXモード端末(間欠受信/間欠送信端)であるかを識別する必要がある。そこで、始めにアクティブモード端末、DRX/DTXモード端末、アイドルモード端末の定義をする。
・アクティブモード端末
アクティブモード端末は、常にデータを受信できる状態にある通信中の端末である。サブフレーム期間である1 TTI(Transmission Time Interval)毎に、自分宛てにデータが送信されるかどうかを確認するために共通制御信号を受信する。また、基地局から送信指示があれば、直ちにアップリンクULでデータを送信できる状態にある。ネットワークはアクティブモード端末がどのセルに存在するかを知っている。アクティブモード端末はダウンリンク、アップリンク共に無線区間での同期が維持されており、常に基地局とデータ送受信が可能な状態にある。
・DRX/DTXモード端末
DRX/DTXモード端末は基地局との間で間欠的にデータ送受信が可能な状態にある通信中の端末である。基地局は、DRX/DTXモード端末に対し送信するデータがある場合、事前に決められた周期のタイミングで制御信号によりその旨を通知する。DRX/DTXモード端末は、この事前に決められた周期で制御信号の受信/復号を行い、自分宛のデータが送信されるかどうかを確認する。DRX/DTXモード端末は基地局に制御情報を送る場合、前記事前に決められた周期のタイミングで送信する。
DRX/DTXモード端末は、必要に応じて、例えば基地局からの指示があった場合や、アップリンクでデータを送信する場合等において、アクティブモードに移行するために、基地局に対して必要な制御信号(例えばランダムアクティブ信号)を送信する。ネットワークは、このDRX/DTXモード端末がどのセルに存在するかを知っている。DRX/DTXモード端末は、基本的に、ダウンリンク、アップリンク共に無線区間での同期がとれているが、アップリンクでの同期を修正するための周波数オフセット補正信号を基地局に要求することがある。
・アイドルモード端末
アイドルモード端末は基地局と通信を行っていない端末である。基地局はこのアイドルモード端末に対し送信するデータがあれば、事前に決められた周期のタイミングでページング信号を送信し、該ページング信号で送信データがある事をアイドルモード端末に通知する(呼び出し)。アイドルモード端末は自分宛のデータがあることがわかった場合、アクティブモードに移行するために、基地局に対してランダムアクセス信号を送信する。ネットワークは、ページング信号を送信する必要があるため、アイドルモード端末がどのセルトラッキングエリアに存在するかを知っている。
【0015】
(C)基地局装置の構成
図4は基地局装置の構成図である。無線受信部51はアンテナATRにより受信された無線信号の周波数をベースバンド周波数にダウンコンバートし、ついでAD変換してOFDM復調部52に入力する。OFDM復調部は各ユーザーから送られてきたユーザーデータ及び制御信号、並びにアイドル端末やDRX/DTXモード端末より送られてくるランダムアクセス信号を分離して出力する。ランダムアクセス信号処理部53はアイドル端末あるいはDRX/DTXモード端末よりランダムアクセス信号を受信すれば周知のランダムアクセス処理をすると共に、該端末の識別番号を無線リソース管理部54に入力する。
無線リソース管理部54は、端末種別管理テーブル54aを備え、通信中の端末が、基地局との間で常にデータ送受信が可能な状態のアクティブモード端末であるか、基地局との間で間欠的にデータ送受信が可能な状態のDRX/DTX端末であるかの種別を管理する。無線リソース管理部54は、アイドル端末およびDRX/DTX端末よりランダムアクセス信号を受信すれば、これら端末をアクティブモード端末として端末種別管理テーブル54aに登録し、また、アクティブモード端末の所定時間当たりのデータ通信量を監視し、該データ通信量が設定値以下になれば該アクティブ端末をDRX/DTX端末に変更し、通信が終了した端末を端末種別管理テーブル54aから削除する。図5は端末種別管理テーブル54aの構成例であり、通信中端末の識別番号に対応させて該端末の種別を記録するようになっている。
【0016】
制御部55は、(1)第1サブフレームの周期Tや狭帯域NFRの帯域幅を決定する制御、(2)各端末の個別データ/個別制御信号をどのサブバンドで送信するか決定する制御、(3)第2サブフレーム送信時における個別パイロットの送信制御、(3)高速移動中端末の個別データのサブバンド割り当て制御などを行う。
全帯域共通パイロット生成部56は、制御部55から指示されたタイミングで全帯域の共通パイロット信号を作成して出力し、狭帯域共通パイロット生成部57は、制御部55から指示された狭帯域の共通パイロット信号を指示されたタイミングで作成して出力し、選択部58は制御部から指示されたタイミングで全帯域の共通パイロット信号および狭帯域の共通パイロット信号を選択的にサブフレーム作成部(物理チャネル生成部)59に入力する。また、同期信号生成部60、共通制御信号生成部61、ユーザーデータ位置情報作成部62、個別パイロット作成部63はそれぞれ制御部55からの指示に従って所定の信号を作成してサブフレーム作成部59に入力する。すなわち、同期信号生成部60は制御部から指示された帯域幅の同期信号SYCを作成し、共通制御信号生成部61は制御部から指示された制御信号CCSを作成し、ユーザーデータ位置情報作成部62は各ユーザーデータを送信するサブバンドを特定するユーザーデータ位置情報DTLを作成し、個別パイロット作成部63は個別パイロットを作成し、それぞれ、サブフレーム作成部59に入力する。個別データ/個別制御信号作成部64はユーザー端末に個別に送信するデータや制御信号を作成してサブフレーム作成部59に入力する。
【0017】
サブフレーム作成部59は、制御部55から通知される第1サブフレームの送信周期T、狭帯域NFRの帯域情報、個別データ/個別制御信号を送信するサブバンド情報などに基づいて、第1サブフレーム送信時、図3で示した情報を含む第1サブフレームSF1を作成して出力する。また、サブフレーム作成部59は、同様に、第2サブフレーム送信時に図3で示した情報を含む第2サブフレームSF2を作成して出力する。
OFDM変調部65はサブフレーム作成部59から入力する第1、第2のサブフレームをOFDM変調し、無線送信部66はOFDM信号を無線で送信アンテナATTより送信する。
なお、図4ではアップリンクでOFDM信号が使用されているものとして説明するが、必ずしもアップリンクでOFDM信号を使用するは必要はない。
【0018】
(D)基地局装置の制御
(a) 端末種別管理
図6は無線リソース管理部54の端末種別管理処理フローである。
無線リソース管理部54はランダム信号処理部53からの信号に基づいてランダムアクセス信号を送信した端末が存在するか調べ(ステップ101)、存在すれば、該ランダムアクセス信号を発生した端末(アイドルモード端末)をアクティブモード端末として端末種別テーブル54aに登録する(ステップ102)。なお、ランダムアクセス信号を発生した端末がDRX/DTRモード端末であれば、該端末をDRX/DTRモード端末からアクティブモード端末に変更する。
ついで、アクティブモード端末のうちデータ伝送量の少ない端末が存在するか調べ(ステップ103)、存在すれば、該アクティブモード端末をDRX/DTRモード端末に変更し(ステップ104)、以後上記処理を繰り返す。
なお、制御部55は、端末種別がRX/DTRモードからアクティブモードに変更になった端末、およびアクティブモードからDRX/DTRモードになった端末に個別制御信号で端末種別の変更を通知する。
【0019】
(b) 第1サブフレームの送信周期の変更制御
図7は第1サブフレームの送信周期の変更制御処理フローである。
制御部55は無線リソース管理部54の端末種別管理テーブル54aを参照してアクティブモード端末とDRX/DTRモード端末の総数、すなわち、通信中端末の総数を取得し(ステップ201)、該総数が設定数以下であるか調べ(ステップ202)、設定数以下であれば第1サブフレームSF1の送信周期Tを初期値例えば5msとする(ステップ203)。一方、総数が設定数以上であれば、該総数が大きい程第1サブフレームSF1の送信周期Tを短くする(ステップ204)。なお、予め、総数と周期Tの対応表を記憶しておき、該対応表に基づいて周期Tを決定することができる。
この場合、DRX/DTRモード端末が、基地局との間で間欠的にデータを送受信する間欠送受信周期を第1サブフレームの送信周期Tと同じになるように制御する。
以上では、通信中端末の総数に基づいて第1サブフレームの周期を制御したが、周期を一定とし第1サブフレームの連続する個数を制御することもできる。
【0020】
(c) 狭帯域の帯域幅制御
図8は第2サブフレームの送信帯域である狭帯域NFRの帯域幅の制御処理フローである。
制御部55は無線リソース管理部54の端末種別管理テーブル54aを参照してアクティブモード端末の数を取得し(ステップ301)、該端末数が設定数以下であるか調べ(ステップ302)、設定数以下であれば狭帯域NFRの帯域幅及び帯域位置を初期値とする(ステップ303)。一方、アクティブモード端末数が設定数以上であれば、該アクティブモード端末数が多い程、狭帯域NFRの帯域幅を広くする(ステップ304)。なお、予め、アクティブモード端末数と帯域幅及び帯域位置との対応表を記憶しておき、該対応表に基づいて帯域幅及び帯域位置を決定することができる。
以後、制御部55は、第2サブフレームSF2の送信に際し、上記決定した狭帯域NFRのサブバンドをアクティブモード端末に割り当てる(ステップ305)。
【0021】
(d) 個別パイロット送信制御
第2サブフレーム送信区間T2(図3参照)において、アクティブモード端末のデータ伝送量が多くなって狭帯域NFRの帯域幅では足りなくなる場合がある。かかる場合、狭帯域NFRのサブバンド以外のサブバンドで個別データと個別パイロットを送信する必要がある。
図9は上記個別データと個別パイロットの送信制御処理フローである。制御部55は、狭帯域NFRの帯域幅でアクティブモード端末のデータ伝送が可能であるか監視し(ステップ401)、不可能であれば、全データ伝送が可能となるように狭帯域NFRに隣接して所定の帯域を確保する(図3のB参照、ステップ402)。そして、狭帯域NFRおよび拡張帯域のサブバンドに各アクティブモード端末を割り当て、割り当て情報をサブフレーム作成部59に入力する(ステップ403)。サブフレーム作成部59は、該割り当て情報で指示されたサブバンドで各端末宛の個別パイロットと個別データを送信できるように第2サブフレームSF2(図3参照)を作成して送信する(ステップ404)。
個別パイロットを送信することにより、端末は個別データ/個別制御信号の受信に際して、共通パイロットを利用できなくても該個別パイロットを用いて同期復調、SIR測定が可能になる。
【0022】
(e) 高速移動端末のサブバンド割り当て制御
図10は高速移動端末のサブバンド割り当て制御処理フローである。
制御部55は、個別データ送信先である端末より送られてくる制御信号を参照し、該端末が高速移動端末であるか判断する(ステップ501)。高速移動中であれば、第1サブフレームSF1の送信時においても、狭帯域NFRに属するサブバンドを該高速移動端末に割り当てる(ステップ502)。一方、高速移動中でなければ、第1サブフレームSF1の送信時において、狭帯域NFRに属さないサブバンドを該端末に割り当てる(ステップ503)。以上では、端末が高速移動中であるか否かを判定して制御信号で基地局に通知するものとしたが、端末が送信するパイロット信号に対する測定を基に、基地局で判定することもできる。
以上のようにすることにより、高速移動に際して、端末は前後のサブフレームの共通パイロットを平均して精度の高いパイロットを得ることができ受信品質を向上することができる。
(f) 隣接基地局の共通パイロットに対する配慮
制御部55は隣接基地局やネットワークから隣接基地局における共通パイロット送信方法(全帯域及び狭帯域の共通パイロットの送信タイミング、帯域幅情報)を受信し、該受信情報に基づいて、SIR測定結果の評価を行うようにすることができる。これは、例えば、SIR測定タイミングと隣接基地局における共通パイロット送信タイミングとが一致しているか否かによりSIRの測定結果の信頼度が変化するためである。
【0023】
(E)端末装置の構成
図11は移動端末装置の構成図である。
無線受信部81はアンテナATRにより受信された無線信号の周波数をベースバンド周波数にダウンコンバートし、AD変換器82はベースバンド信号をAD変換してOFDM復調部84に入力する。AFC回路83は図16のAFC回路11と同様のAFC制御を行って周波数オフセットを零にするよう制御する。
OFDM復調部84は図16に示すようにシンボル切り出し部、FFT、パイロット抽出部、チャンネル推定部、チャネル補償部(同期復調部)などを備え、基地局から送られてきた共通制御信号CCS、個別データ/個別制御信号、ユーザデータ位置情報DTL、共通パイロットCPLを復調して出力する。
制御部85は共通制御信号CCSに含まれる共通パイロット送信方法情報を抽出し、該情報より全帯域の共通パイロットや狭帯域の共通パイロットの受信タイミングやその帯域幅を識別して AFC回路83とOFDM復調部84に通知する。OFDM復調部84のパイロット抽出部84aは制御部85から通知されたタイミング及び帯域に基づいて共通パイロットを抽出して出力する。また、OFDM復調部84のチャネル推定部84bは該共通パイロットに基づいてチャネル推定し、同期復調部84cはチャネル補償する。
また、制御部85はユーザデータ位置情報DTLに基づいて自分宛の個別データ/ 個別制御信号が送信されるサブバンドを識別し、ユーザーデータ選択部86に入力する。ユーザーデータ選択部86は制御部55から指定されたサブバンドより自分宛の個別データや個別制御信号を選択して出力する。
更に、制御部85は前記認識したサブバンドが狭帯域NFRに属さなければ、該サブバンドをOFDM復調部84に通知する。OFDM復調部84のパイロット抽出部84aは通知されたサブバンドから個別パイロットを抽出し、チャネル推定部84bは該個別パイロットに基づいてチャネル推定し、チャネル補償部84cはチャネル補償する。
最適サブバンド決定部87は共通パイロットを用いて最も受信品質が良好なサブバンドを決定し、端末速度測定部88は共通パイロットを用いて周知の方法で端末移動速度を測定する。制御信号生成部89はサブバンド情報や端末移動速度等を含む制御信号を作成し、OFDM変調部90は時分割多重で入力する制御信号、ユーザーデータをOFDM変調し、無線送信部91はOFDM信号を無線で送信アンテナATTより送信する。
以上、図11ではOFDM変調して送信する場合を示しているが必ずしもOFDM変調して送信する必要はない。
【0024】
図12はパイロット抽出部84aの一例を示す構成図であり、前後のサブフレームのパイロット信号を平均して出力する構成を有している。共通パイロット抽出部84a-1は制御部85から通知されたタイミング及び帯域情報に基づいて共通パイロットを抽出して出力し、パイロット遅延部84a-2は該パイロット信号を1サブフレーム期間遅延して出力する。平均部84a-3は前後のサブフレームから抽出した共通パイロットの平均値を演算し、パ
イロット選択部84a-4は高速移動端末の場合には、平均部から出力するパイロットを選択し、高速移動端末でなければ共通パイロット抽出部84a-1から出力する共通パイロットを選択して出力する。かかる構成により、高速移動時にも端末は精度の高いパイロットを用いてチャネル補償制御やSIR測定を行うことができ、受信品質を向上することができる。
なお、高速移動端末向けの個別データ/個別制御信号に加えて個別パイロット信号を送信する場合には、平均部84a-3で該個別パイロットを含めて平均することでより精度の高いパイロットを抽出することが可能になる。
【符号の説明】
【0025】
WFR 全伝送帯域
NFR 狭帯域
SF1 第1のサブフレーム(全帯域サブフレーム)
SF2 第2のサブフレーム(狭帯域サブフレーム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局装置と、該無線基地局装置と通信を行う端末装置とを有する無線通信システムであって、
前記無線基地局装置は、
無線区間を構成する第1時間区間の所定タイミングにおいて共通パイロットを全伝送帯域で送信すると共に、該第1時間区間の別のタイミングにおいて共通パイロット以外のデータを全伝送帯域で送信する第1のサブフレームと、無線区間を構成する第2時間区間の所定タイミングにおいて共通パイロットを全伝送帯域の中の所定の狭帯域で送信すると共に、該第2時間区間の別のタイミングにおいて共通パイロット以外のデータを前記狭帯域で送信する第2のサブフレームと、を発生するサブフレーム発生部、
前記第1、第2のサブフレームをダウンリンクの無線区間において送信することにより共通パイロットを送信する無線送信部、
を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記無線送信部は、前記第1のサブフレームをある周期で送信し、それ以外の時間区間において前記第2のサブフレームを送信する、
ことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線基地局装置は、
基地局との間で常にデータ送受信が可能な状態の端末の数と、基地局との間で間欠的にデータ送受信が可能な状態の端末の数の総数を監視する無線リソース管理部、
該総数に基づいて前記第1サブフレームの周期を短くし、あるいは前記周期を一定とし第1サブフレームの連続する個数を制御する制御部、
を有することを特徴とする請求項1または2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記制御部は、基地局との間で間欠的にデータ送受信が可能な状態の端末の間欠送受信周期を、前記第1サブフレームの送信周期と同じにする、
ことを特徴とする請求項3記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記無線基地局装置は、
基地局との間で常にデータ送受信が可能な状態の端末の数を監視する無線リソース管理部、
該端末数に基づいて前記狭帯域の帯域幅を制御する制御部、
を有することを特徴とする請求項1または2 記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記無線基地局装置は、
全帯域を複数のサブバンドに分割し、1以上のサブバンドを用いて所定の端末にデータを送信する場合、端末が高速移動端末であれば、前記第1サブフレームの送信において該高速移動端末に前記狭帯域に属するサブバンドを割り当てる制御部、
を有することを特徴とする請求項1または2記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記無線基地局装置は、
前記第2サブフレーム送信時に、前記狭帯域に属さないサブバンドでデータを送信する場合、個別パイロットを該サブバンドで送信する制御部、
を有することを特徴とする請求項1または2記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記端末装置は、
前記無線基地局装置より送信された前記サブフレームを受信する無線受信部、
を有することを特徴とする請求項1〜7のうちいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項9】
無線基地局装置と、該無線基地局装置と通信を行う端末装置とを有する無線通信システムであって、
前記無線基地局装置は、
共通パイロットを全伝送帯域で送信する第1のサブフレームと、共通パイロットを全伝送帯域の中の所定の狭帯域で送信する第2のサブフレームと、を発生するサブフレーム発生部、
前記第1、第2のサブフレームをダウンリンクの無線区間において送信することにより共通パイロットを送信する無線送信部、
を有することを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−34376(P2012−34376A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185487(P2011−185487)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【分割の表示】特願2008−540850(P2008−540850)の分割
【原出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】