説明

無線通信システム

【課題】端末局が盗難や紛失した場合でも、端末局の不正使用を確実に防止する。
【解決手段】自局を特定する識別子を記憶する端末局記憶部を有する端末局と、端末局と無線で接続される基地局と、基地局と接続され端末局に対して指示を行う通信卓とを備えたSCPC方式の無線通信システムにおいて、通信卓は、該通信卓の操作部が、特定の端末局の機能を制限する機能制限要求を受け付けると、前記特定の端末局の識別子を含む機能制限要求信号を、基地局から端末局へ繰り返し送信させ、端末局は、基地局から受信した機能制限要求信号に含まれる端末局の識別子と、端末局記憶部に記憶した自局の識別子とが一致した場合に、自局の機能を制限する機能制限状態に入るとともに、機能制限要求信号を受信したことを示す機能制限応答信号を基地局へ送信し、通信卓は、機能制限応答信号を受信すると、機能制限要求信号の繰り返し送信を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局を介して端末局と通信卓との間の無線通話等を行う無線通信システムに関し、例えば、端末局が盗難にあった場合や端末局を紛失した場合に、該端末局の機能を制限することのできるデジタル移動通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に本技術分野に関する無線通信システムの概略構成例を示す。この無線通信システムにおいては、音声データを伝送するチャネル1つに対して1つのキャリアを割り当てるSCPC方式(Single Channel Per Carrier)が用いられている。SCPC方式のデジタル無線システムは、例えば、デジタル通信方式標準規格ARIB STD−T61で規定されている。
図1のシステムでは、通信卓(統制卓、指令台ともいう。)10と、内線電話等への接続を行うための構内交換機(PBX)70と、回線制御装置20と、基地局30(1)と、移動局である携帯機(携帯無線機)40(1)〜40(4)と、移動局である車載機(車載無線機)50(1)〜50(3)と、固定又は半固定局60(1)〜60(2)とを備えている。
【0003】
通信卓10と回線制御装置20は、有線の伝送路5により接続され、回線制御装置20とPBX70は、有線の伝送路6により接続され、回線制御装置20と基地局30(1)は、有線あるいはマイクロ回線等の伝送路4により接続されている。なお、基地局30は、複数設置することも可能である。複数の基地局を代表する場合は基地局30と称し、複数の携帯機を代表する場合は携帯機40と称し、複数の車載機を代表する場合は車載機50と称し、複数の固定又は半固定局を代表する場合は固定/半固定局60と称する。また、携帯機40、車載機50、固定/半固定局60を総称して端末局と呼ぶ。
【0004】
端末局は、基地局30と無線により接続可能となっており、通信卓10と端末局、および端末局同士は、基地局30を介する基地局通信により通話接続される。また、端末局同士は、基地局30を介さない端末局間直接通信により接続可能となっている。図1では、例えば、携帯機40(1)と車載機50(1)が基地局通信により接続され、携帯機40(3)と携帯機40(4)が端末局間直接通信(この場合は移動局間直接通信)により接続されている。
【0005】
基地局30は、それぞれ基地ゾーン(通信ゾーンあるいは通信エリアとも言う。)を有し、例えば、基地局30(1)は基地ゾーン1を有するが、周波数の制約により、基地ゾーン1内の複数の端末局に対し、同一の送信周波数(基地局から端末局への下り信号周波数:f2)を用いて送信を行い、また、同一の受信周波数(端末局から基地局への上り信号周波数:f1)を用いて受信を行うよう構成されている。このように、基地局を介する基地局通信においては、同時に双方向の通信を行う複信通信が可能となっている。
また、端末局間直接通信においては、上りと下りの双方向に周波数f3が使用され、同時に一方向のみの通信が可能である単信通信が行われる。
【0006】
また、この無線通信システムでは、端末局から他の端末局への基地局通信においては、例えば、基地ゾーン1内の携帯機40から同じ基地ゾーン1内の他の携帯機40への基地局通信においては、送信元の携帯機40が送信した音声信号を、基地局30で折り返して基地ゾーン1内の全ての端末局へ送信するように構成されている。これは、端末局から基地局30への上り信号周波数が1波(周波数f1)のみであることから、ある端末局が既に通話中の場合、他の端末局が送信できないことを他の端末局へ知らせるためであり、また、通話内容を他の端末局へ知らせるためでもある。このため、端末局間の基地局通信においては、実質的に複信通信が不可能であり、単信通信が行われる。
【0007】
下記の特許文献1には、ARIB STD−T61に基づくSCPC方式のデジタル無線システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−71703公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した無線通信システムにおいては、例えば、端末局が盗難にあった場合や端末局を紛失した場合に、該端末局を不正入手した者により、他の端末局同士の通信内容を傍受されるおそれがある。
本発明は、このような課題を解決するために為されたもので、端末局が盗難にあった場合や端末局を紛失した場合においても、通信内容を不正に傍受されることを防止するなど、端末局の不正使用を防止することができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための、本願発明の無線通信システムの代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
自局を特定する識別子を記憶する端末局記憶部を有する端末局と、前記端末局と無線で接続される基地局と、前記基地局と接続され前記端末局に対して指示を行う通信卓とを備え、音声データを伝送するチャネル1つに対して1つのキャリアを割り当てるSCPC方式の無線通信システムであって、
前記通信卓は、操作者からの入力を受け付ける通信卓操作部を有し、該通信卓操作部が、特定の端末局の機能を制限する機能制限要求を受け付けると、前記特定の端末局の識別子を含む機能制限要求信号を、前記基地局から前記端末局へ繰り返し送信させ、
前記端末局は、前記基地局から受信した機能制限要求信号に含まれる端末局の識別子と、前記端末局記憶部に記憶した自局の識別子とが一致した場合に、自局の機能を制限する機能制限状態に入るとともに、前記機能制限要求信号を受信したことを示す機能制限応答信号を、前記基地局へ送信し、
前記通信卓は、前記基地局を介して前記機能制限応答信号を受信すると、前記機能制限要求信号の繰り返し送信を停止させることを特徴とする無線通信システム。
【発明の効果】
【0011】
上記構成によれば、端末局が盗難にあった場合や端末局を紛失した場合においても、該端末局の機能制限を通信卓から確実に行うことができるので、端末局の不正使用を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの概略構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る通信卓と回線制御装置と基地局の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る携帯機の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る携帯機が、機能制限要求を受信した場合の動作を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る携帯機が、リセット状態になった場合の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図1〜図5を用いて説明する。図1は、背景技術の説明で述べたように、本技術分野に関する無線通信システムの概略構成例であり、本発明の実施形態に係る無線通信システムの概略構成例を示す図である。背景技術で述べた点は説明を省略する。
図1の例では、通信卓10と回線制御装置20と基地局30とPBX70とから統制局が構成されているが、通信卓10で統制局を構成し、回線制御装置20と基地局30とPBX70を、統制局から分離する構成としてもよい。また、PBX70を備えない構成も可能である。また、例えば基地局が1つの場合は、通信卓と回線制御装置の機能を基地局に組み込むように構成することもできる。また、回線制御装置20の機能を通信卓10に組み込むなど、適宜、組み合わせて構成することもできる。
【0014】
また、図1の例では、基地局30は1つであるが、2つ以上であってもよい。また、携帯機40は4つであるが、1つ以上であればよい。また、車載機50や固定/半固定局60は、なくてもよい。
また、図1の例では、通信卓10と各端末局には、それぞれの識別子(ID)として個別番号が付与されており、各個別番号は通信卓10と各端末局の記憶部にそれぞれ格納されている。例えば、通信卓10の個別番号は100であり、携帯機40(1)の個別番号は401であり、携帯機40(2)の個別番号は402であり、車載機50(1)の個別番号は501であり、固定/半固定局60(1)の個別番号は601である。
【0015】
本実施形態の無線通信システムにおいては、通信卓10から端末局への通信要求(通話要求を含む)があった場合、あるいは、端末局から通信卓10や他の端末局への通信要求(通話要求を含む)があった場合に、送信側と受信側との間で受信の同期をとるための同期信号(同期バースト;SB(Synchronous Burst))とともに音声等の通信データを無線通信する非常送方式が用いられている。
図1の無線通信システムは、例えば消防救急用無線通信システムであり、携帯機40や車載機50は消防車又は救急車に搭載された無線機であり、基地ゾーンの大きさは半径数km〜数十km程度である。
【0016】
図2は、本発明の実施形態における通信卓10、回線制御装置20、および基地局30の概略構成を示すブロック図である。
まず、通信卓10の構成について説明する。
通信卓10は、CPU(Central Processing Unit)等で構成された制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、音声を出力するスピーカ15、操作者の音声が入力されるマイク16で構成される。操作部14は、操作者からの各種指示を受け付けるもので、例えば、端末局の機能を制限するための機能制限要求指示を行う機能制限要求ボタンや、端末局の機能制限を解除するための機能制限解除指示を行う機能制限解除ボタンや、PTT(Push To Talk)による通話を行うためのPTTボタンや、通話を終了するための終話ボタンや、端末局の個別番号を入力するためのダイヤルボタン等を有する。
【0017】
制御部11は、通信卓10の各構成部と接続され各構成部を制御する。例えば、操作部14から、端末局の機能を制限するための機能制限要求指示を受けると、機能制限要求信号を、回線制御装置20を介して基地局30から端末局へ送信するよう制御する。また、操作部14から、端末局の機能制限を解除するための機能制限解除指示を受けると、機能制限解除信号を、回線制御装置20を介して基地局30から端末局へ送信するよう制御する。
また、上述した機能制限要求信号の端末局への送信を間欠的に繰り返し、例えば一定周期で繰り返し送信させ、基地局30を介して端末局から、機能制限要求信号への応答である機能制限応答信号を受信すると、基地局30からの機能制限要求信号の送信を停止させるよう制御する。あるいは、機能制限解除信号の端末局への送信を間欠的に繰り返し、例えば一定周期で繰り返し送信させ、基地局30を介して端末局から、機能制限解除信号への応答である機能制限解除応答信号を受信すると、基地局30からの機能制限解除信号の送信を停止させるよう制御する。
【0018】
記憶部12は、制御部11のCPUが動作する動作プログラムを記憶しており、制御部11のCPUは、記憶部12から動作プログラムを読み出して動作する。また、記憶部12は、通信卓10の識別子(ID)である個別番号100を記憶するとともに、各端末局の識別子(ID)である個別番号を記憶している。
【0019】
通信卓10は、以上説明したように構成され、基地局30を介して端末局に対し各種の指示を行う。例えば、マイク16とスピーカ15を用いて、基地局30を介して端末局との間で、端末局への指令等に関する通話を行う。また、通信卓10は、操作部14を介した操作者からの指示に基づき、端末局の機能を制限するための機能制限要求信号や、端末局の機能制限を解除するための機能制限解除信号等の制御信号を、基地局30から端末局へ送信させる。
【0020】
次に、回線制御装置20の構成について説明する。
回線制御装置20は、CPU等で構成された制御部21および記憶部22で構成され、制御部21は、基地局30を介する端末局間の通話回線と、端末局と通信卓10との間の通話回線と、PBX70を介する内線電話機と端末局間の通話回線と、PBX70を介する内線電話機と通信卓10との間の通話回線等を切替制御し、また、通信卓10からの、又は端末局からの、あるいは内線電話機からの発呼(call)制御等の制御を行うものである。
回線制御装置20の記憶部22は、制御部21のCPUが動作する動作プログラムを記憶しており、制御部21のCPUは、記憶部22から動作プログラムを読み出して動作する。
【0021】
次に、基地局30の構成について説明する。
基地局30は、基地局送信部33、基地局受信部34、CPU等で構成された制御部31、および記憶部32で構成されており、制御部31は、基地局30の各構成部と接続され各構成部を制御する。記憶部32は、制御部31のCPUが動作する動作プログラムを記憶しており、制御部31のCPUは、記憶部32から動作プログラムを読み出して動作する。
基地局送信部33は、通信卓10からの通話信号や制御信号等を無線周波数f2で端末局に送信する。また、基地局受信部34は、端末局から無線周波数f1で送られてくる通話信号や制御信号等を受信する。
【0022】
次に、端末局の構成を説明する。ここでは、携帯機40の構成について図3を用いて説明するが、携帯機40以外の端末局も、携帯機40と概ね同様の構成である。図3は、携帯機40の概略構成を示すブロック図である。図3で示す携帯機40は、上り方向無線キャリア(周波数f1)および下り方向無線キャリア(周波数f2)のペアの基地局波が用いられ、基地局30を介して同時送受波ができる複信方式の無線通信装置である。つまり、基地局30を介して行う通信卓10や他の端末局との個別通信を、後述する送信部43と第1受信部44を用いて、複信により行う構成となっている。また、この携帯機40は、他の端末局との間で基地局30を介さずに単信方式により直接通信を行う無線通信装置である。つまり、端末局間直接通信を、後述する送信部43と第2受信部45を用いて、無線キャリア(周波数f3)で単信により行う構成となっている。
【0023】
図3において、41は携帯機40の各構成部と接続され各構成部を制御する制御部である。制御部41は、機能制限応答送信完了待ちタイマー41aを内蔵している。制御部41の機能については、後述する。
42は制御部41と接続された記憶部である。記憶部42は、制御部41のCPUが動作する動作プログラムを記憶しており、制御部41のCPUは、記憶部42から動作プログラムを読み出して動作する。
また、記憶部42は、当該携帯機40の識別子(ID)である個別番号42aと、機能制限フラグ42bとを記憶している。機能制限フラグ42bは、通信卓10から、端末局の機能を制限するための機能制限要求信号を受信するとオンになり、機能制限解除信号を受信するとオフとなる。本実施形態では、個別番号42aと機能制限フラグ42bは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリに記憶され、携帯機40の電源が切断されても記憶が保持されるようになっている。
なお、機能制限フラグ42bは、携帯機40の操作部83から、操作者の操作によりオフとするよう構成することも可能である。この場合、機能制限フラグ42bをオフとする操作を可能とする暗証番号を、操作部83から入力することが必要である。
【0024】
43は送信部、44は基地局30からの基地局波(周波数f2)を受信する第1受信部、45は他の端末局からの直接波(周波数f3)を受信する第2受信部、46は同時に送受信を行うため送受信経路を分離するアンテナ共用器、47は基地局30との送受信や他の端末局との直接通信を行うためのアンテナ、49は音声や音を出力するスピーカである。送信部43、第1受信部44、第2受信部45は、それぞれ、制御部41とアンテナ共用器46に接続されている。
【0025】
また、音声や音を出力するレシーバ81、音声を入力するマイク82、操作者からの入力を受け付ける操作部83、各種表示を行うLCD(Liquid Crystal Display)やLED(Light Emitting Diode)等から構成される表示部84を有する構成となっているが、車載機や固定又は半固定局の場合は、これらの構成がハンドセットとして本体とは別体で接続されるような構成の場合もある。表示部84には、例えば、無線送信状態や無線受信状態をそれぞれ示すLEDが含まれる。操作部83と表示部84は、例えばタッチパネルにより一体構成としてもよい。
スピーカ49、レシーバ81、マイク82、操作部83、表示部84は、それぞれ制御部41に電気的に接続されている。制御部41からスピーカ49、レシーバ81に音声信号が伝送されて、スピーカ49、レシーバ81から音声が出力され、また、マイク82からの音声信号が制御部41へ伝送される。
【0026】
操作部83は、操作者からの各種指示を受け付けるもので、例えば、PTT(Push To Talk)による通話を行うためのPTTボタンや、通話を終了するための終話ボタンや、通信卓10や他の端末局の個別番号を入力するためのダイヤルボタン等を有する。
例えば、操作部83で相手先番号を入力又は選択してPTTボタンを一旦押下し、相手先から応答を受信することにより通話状態に入る。通話状態においてPTTボタンを押している状態で、マイク82から音声入力されると、その音声信号が送信部43から通話信号として送信される。通話状態で終話ボタンを押下することにより通話状態が終了する。
【0027】
制御部41は、マイク82から入力された音声信号を符号化し、送信部43へ出力する。また、第1受信部や第2受信部で受信された音声信号を受取り、復号化して、スピーカ49やレシーバ81へ出力する。また、制御部41は、機能制限応答信号等の制御信号を作成し、送信部43へ出力する。また、第1受信部で受信された機能制限要求信号等の制御信号を受取り、これを解析し処理する。また、制御部41は、操作部83で受け付けた操作入力に基づき、各種制御を行う。また、表示部84に各種の表示をおこなわせる。
【0028】
また、制御部41は、通信卓10から機能制限要求信号を受信すると、機能制限フラグ42bをオンにするとともに、当該携帯機40の機能が制限される機能制限状態にする。詳しくは、通信卓10から基地局30を介して機能制限要求信号を受信すると、該機能制限要求信号に含まれる機能制限対象の端末局の個別番号が、記憶部42に記憶している自局の個別番号42aと一致するか判断し、一致する場合に、送信部43に機能制限応答信号の送信を指示するとともに、機能制限応答送信完了待ちタイマー41aを起動する。送信部43が機能制限応答信号の送信を完了するか、又は機能制限応答送信完了待ちタイマー41aがタイムアウトすると、機能制限状態に入る。
また、制御部41は、通信卓10から基地局30を介して機能制限解除信号を受信すると、機能制限フラグ42bをオフにするとともに、当該携帯機40の機能制限が解除される機能制限解除状態にする。
【0029】
ここで、機能制限状態とは、携帯機40の機能の少なくとも一部が停止された状態であり、例えば、次の(1)〜(9)のうち、少なくとも1つの状態である。(1)〜(9)の状態を、適宜、組み合わせた機能制限状態とすることも可能である。
(1)当該携帯機40からの通話送信動作を停止する。例えば、通話送信動作に必要な操作部のボタンの操作を無効にする。これにより、他の端末局や通信卓に対し、虚偽の情報等の不正情報の送信を防止できる。また、他の端末局が通話不可状態(送信ロック状態)となることを防止できる。
(2)当該携帯機40のスピーカやレシーバからの音声や音の出力動作を停止する。例えば、通話受信動作に必要な操作部のボタンの操作を無効にする。これにより、他の端末局や通信卓からの通信の不正傍受を防止できる。
(3)表示部84のLCDの表示を、それまでの表示内容から予め設定された特定の内容に変える。
(4)LCDの表示内容が消された状態にする。
(5)LCDの表示をフリーズ状態(変化しない固定状態)にする。
(6)無線送信状態を示すLEDや無線受信状態を示すLEDを消灯された状態にする。
(7)無線送信状態を示すLEDや無線受信状態を示すLEDをフリーズ状態にする。
(8)操作部83からの入力の一部又は全てを無効にする。例えば、当該携帯機40の記憶部42に記憶された他の端末局の個別番号等の情報を見るための操作に必要なボタンの入力を無効にする。ただし、機能制限フラグ42bをオフとする操作を可能とする暗証番号を、操作部83から入力できる構成としている場合は、この操作に用いるボタンの入力は有効にする。
(9)機能制限状態に入ったことを知らせるための機能制限状態通知信号として、例えば、機能制限応答信号を、間欠的に、例えば一定周期で、基地局30を介して通信卓10へ繰り返し送信する。この信号には、当該携帯機40の個別番号と当該携帯機40が機能制限状態にある旨の情報とが含まれる。
【0030】
本実施形態においては、携帯機40が機能制限状態に入ると、制御信号の送受信機能は維持されるが、通話送信動作が停止され、通話受信動作が停止されてスピーカやレシーバからの音声や音の出力動作が停止され、機能制限フラグ42bがオン状態にされ、無線送信状態を示すLEDと無線受信状態を示すLEDは消灯状態でフリーズされ、LCDの表示は消された状態でフリーズされ、操作部83からの入力の全てが無効にされ、機能制限状態通知信号としての機能制限応答信号が、基地局30を介して通信卓10へ、一定周期で繰り返し送信される。通信卓10から機能制限解除信号を受信すると、機能制限応答信号の送信は停止され、機能制限フラグ42bがオフ状態にされる。
【0031】
携帯機40において、マイク82から入力される音声信号は、制御部41で符号化され送信のための所定の信号処理を施された後、送信部43に入力される。送信部43に入力された信号は、送信のための所定の変調がなされ、所定の送信周波数f1に変換され、アンテナ共用器46を介してアンテナ47から出力され、基地局30や他の端末局へ送信される。
【0032】
一方、基地局30の基地局送信部33からの無線キャリア(周波数f2)は、アンテナ47で受信され、アンテナ共用器46を介して第1受信部44に入力される。第1受信部44に入力された信号は、高周波増幅され、所定の中間周波数に変換され、更に、復調され、制御部41に供給される。制御部41で所定の信号処理がなされ復号化された後、スピーカ49やレシーバ81から音声出力される。
また、他の端末局からの直接通信による無線キャリア(周波数f3)は、アンテナ47で受信され、アンテナ共用器46を介して第2受信部45に入力される。第2受信部45に入力された信号は、高周波増幅され、所定の中間周波数に変換され、更に、復調され、制御部41に供給される。制御部41で所定の信号処理がなされ復号化された後、スピーカ49やレシーバ81から音声出力される。
【0033】
次に、本実施形態に係る基地局を介した端末局間の通話動作について説明する。ここでは例として、図1に示す携帯機40(1)から車載機50(1)への基地局を介した通話動作について説明する。
先ず、送信元の携帯機40(1)の操作部83を操作し、例えば、ダイヤルキー等で相手の車載機50(1)の個別番号である501を入力又は選択して、PTTボタンを一旦押下すると、同期信号と個別呼出信号を送信部43から送信する呼出動作を繰り返す。個別呼出信号には、相手先個別番号501と、送信元の携帯機40(1)の個別番号である401が含まれる。個別呼出信号は、携帯機40(1)の属する基地ゾーンの基地局30(1)で受信される。
【0034】
基地局30(1)において、受信された個別呼出信号は、基地局30(1)から無線で折り返し送信されるとともに、基地局30(1)から回線制御装置20を介し、通信卓10や他の基地局30へ送信され、該他の基地局30から無線で折り返し送信される。
【0035】
基地局30(1)から個別呼出信号を受信した相手先の車載機50(1)は、個別呼出信号に含まれる相手先個別番号501が自局の個別番号と一致するので、着信音鳴動等の着信動作を行う。相手先以外の端末局や通信卓10は、個別呼出信号に含まれる相手先個別番号が自局の個別番号と異なるので、個別呼出信号の着信動作を行わない。このとき、自局の個別番号と異なる個別呼出信号を受信した端末局は、送信動作が不能である送信ロック状態になる。ただし、通信卓10は送信ロック状態にならない。送信ロック状態であることは、端末局の表示部84のLED点灯等により、該端末局の操作者が認識することができる。
【0036】
相手先の車載機50(1)で応答動作、例えばPTTボタンの一旦押下が行われると、車載機50(1)は着信動作を停止し、車載機50(1)から同期信号と個別応答信号が送信される。個別応答信号には、この場合の相手先個別番号と送信元個別番号、つまり、携帯機40(1)の個別番号401と車載機50(1)の個別番号501が含まれる。個別応答信号は、車載機50(1)の属する基地ゾーンの基地局30(1)で受信される。
【0037】
基地局30(1)において、受信された個別応答信号は、基地局30(1)から無線で折り返し送信されるとともに、基地局30(1)から回線制御装置20を介し、他の基地局30へ送信され、該他の基地局30から無線で折り返し送信される。
【0038】
送信元携帯機40(1)では、基地局30(1)を介して車載機50(1)から個別応答信号を受信すると、着信音鳴動等の呼出動作を停止し、車載機50(1)との間で通話の同期が確立した通話状態となる。通話状態は、携帯機40(1)及び車載機50(1)の表示部84にLED等により表示されるので、携帯機40(1)及び車載機50(1)の操作者は、通話状態になったことを知ることができる。
【0039】
通話状態になると、送信元携帯機40(1)では、PTTボタンが押下され、該PTT押下された状態でマイク82から音声入力されると、同期信号と個別番号信号と音声信号を含む通話信号が生成され、該生成された通話信号を送信部43から無線送信する。個別番号信号には、送信元である携帯機40(1)の個別番号401が含まれる。このようにして、PTTボタン押下状態においてマイク82から入力された音声が送信される。なお、同期信号中に個別番号信号を含めるよう構成することもできる。
携帯機40(1)から送信された通話信号は、車載機50(1)の属する基地ゾーンの基地局30(1)で受信される。
【0040】
基地局30(1)において、受信された通話信号は、基地局30(1)から無線で折り返し送信されるとともに、基地局30(1)から回線制御装置20を介し、他の基地局30へ送信され、該他の基地局30から無線で折り返し送信される。
【0041】
車載機50(1)においては、基地局30(1)から折り返し送信された通話信号は、第1受信部44で受信され、制御部41を経て、スピーカ49やレシーバ81から音声出力される。
【0042】
通話状態にある携帯機40(1)と車載機50(1)以外の他の端末局では、基地局30(1)及び他の基地局30から折返し信号を受信し、受信中の通話信号に含まれる送信元個別番号が自局の送信元個別番号と同一でないことから、受信中の通話信号が、自局から他の移動局宛に送信した通話信号でないことを認識できる。
これらの他の端末局は、送信ロック状態にあるが、該送信ロック状態において、例えば、PTTボタンを押下する等のモニタ操作を行うことにより、携帯機40(1)からの音声信号をモニタする、つまり、スピーカ49やレシーバ81から音声出力することができる。
【0043】
その後、車載機50(1)では、対話を行うため、例えば送信元携帯機40(1)からの音声が途切れたときに、PTTボタンが押下され、該PTT押下した状態でマイク82から音声入力され、同期信号と個別番号信号と音声信号とを含む通話信号を送信部43から無線送信する。個別番号信号には、送信元である車載機50(1)の個別番号501が含まれる。
【0044】
車載機50(1)から送信された通話信号は、車載機50(1)の属する基地ゾーンの基地局30(1)で受信される。
基地局30(1)において、受信された通話信号は、基地局30(1)から無線で折り返し送信されるとともに、基地局30(1)から回線制御装置20を介し、他の基地局30へ送信され、該他の基地局30から無線で折り返し送信される。
以上説明したようにして、携帯機40(1)と車載機50(1)との通話が行われる。
【0045】
通話を終了するときは、通話状態にある送信元携帯機40(1)又は相手先車載機50(1)において、操作部83で終話ボタン押下等の終話操作を行うことにより、終話信号が同期信号とともに送信される。終話操作が行われた端末局又は終話信号を受信した端末局では、通話状態が解除され、通話状態に入る前の状態に戻る。
【0046】
次に、本実施形態に係る通信卓と端末局間における制御信号の送受信動作について説明する。ここでは例として、図1に示す通信卓10と携帯機40(1)との間の制御信号送受信動作について説明する。
先ず、例えば携帯機40(1)が紛失した旨の連絡を、他の端末局や一般電話により受けると、通信卓10の操作者は、通信卓10の操作部14を操作し、例えば、ダイヤルキー等で携帯機40(1)の個別番号である401を入力又は選択して、機能制限要求ボタンを押下する。これにより、通信卓10から回線制御装置20を介して基地局30へ機能制限要求指示が繰り返し送信される。基地局30は、機能制限要求指示を受信する度に、機能制限要求信号を同期信号とともに無線送信する。通信卓10や基地局30から送信される機能制限要求指示や機能制限要求信号には、相手先個別番号401と、送信元の通信卓10の個別番号である100が含まれる。
なお、通信卓10から基地局30へ機能制限要求指示を繰り返し送信するのではなく、基地局30が、機能制限要求指示を1度受信すると、機能制限要求信号を繰り返し無線送信するよう構成してもよい。
【0047】
基地局30から機能制限要求信号を受信した相手先の携帯機40(1)は、機能制限要求信号に含まれる相手先個別番号401が自局の個別番号401と一致するので、自局宛の機能制限要求であることを認識する。
【0048】
自局宛の機能制限要求を認識した携帯機40(1)が、自局を機能制限状態にした後、該携帯機40(1)から、機能制限応答信号が、同期信号とともに繰り返し無線送信される。機能制限応答信号は、機能制限状態通知信号としても機能する。機能制限応答信号には、通信卓10の個別番号100と、送信元の携帯機40(1)の個別番号である401が含まれる。機能制限応答信号を受信した基地局30は、回線制御装置20を介して通信卓10へ、機能制限応答信号を送信する。
機能制限応答信号を受信した通信卓10は、機能制限応答信号に含まれる携帯機40(1)の個別番号401により、携帯機40(1)が機能制限状態になったことを認識する。
【0049】
通信卓10は、携帯機40(1)が機能制限状態になったことを認識すると、基地局30への機能制限要求指示の繰り返し送信を停止し、基地局30は、機能制限要求信号の送信を停止する。なお、1度の機能制限要求指示により基地局30で機能制限要求信号の繰り返し送信を行う構成の場合は、通信卓10は、回線制御装置20を介して基地局30へ、機能制限要求信号の繰り返し送信停止を指示し、基地局30は、機能制限要求信号の繰り返し送信を停止する。機能制限要求信号が送信停止されても、携帯機40(1)からの機能制限応答信号の繰り返し送信は継続される。
その後、例えば携帯機40(1)が見つかった旨の連絡を、他の端末局や一般電話により受けると、通信卓10の操作者は、通信卓10の操作部14を操作し、例えば、ダイヤルキー等で携帯機40(1)の個別番号である401を入力又は選択して、機能制限解除ボタンを押下する。これにより、通信卓10から回線制御装置20を介して基地局30へ機能制限解除指示が送信される。機能制限解除指示を受信した基地局30は、機能制限解除信号を、同期信号とともに無線送信する。通信卓10や基地局30から送信される機能制限解除指示や機能制限要求信号には、相手先個別番号401と、送信元の通信卓10の個別番号である100が含まれる。
【0050】
基地局30から機能制限解除信号を受信した相手先の携帯機40(1)は、機能制限解除信号に含まれる相手先個別番号401が自局の個別番号401と一致するので、自局宛の機能制限解除であることを認識し、自局を機能制限解除状態にするとともに、機能制限応答信号(機能制限状態通知信号)の繰り返し送信を停止する。
なお、通信卓10が、基地局30から機能制限解除信号を繰り返し送信させ、携帯機40(1)が、機能制限解除信号を受信すると、機能制限解除応答信号を基地局30へ無線送信し、通信卓10が、基地局30を介して機能制限解除応答信号を受信すると、機能制限解除信号の送信を停止させるよう構成することもできる。このようにすると、確実に機能制限解除することができる。
【0051】
次に、本実施形態において、携帯機40が機能制限要求を受信した場合の動作について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る携帯機の制御部が、機能制限要求を受信した場合の動作を示す図である。
まず、携帯機40の制御部41は、第1受信部44から、通信卓10からの機能制限要求信号を受信した旨の情報を受信すると(ステップS41)、自局が機能制限要求の対象局であるか否かを判断する(ステップS42)。具体的には、通信卓10からの機能制限要求信号に含まれる対象局の個別番号と、自局の記憶部42に記憶している携帯機個別番号42aとが一致するか否かを判断する。一致しない場合、つまり自局が機能制限要求の対象局でない場合は(ステップS42でNo)、機能制限要求のメッセージを破棄し(ステップS48)、処理を終了する。
【0052】
自局が機能制限要求の対象局であった場合は(ステップS42でYes)、制御部41は、機能制限フラグ42bをオン状態にし(ステップS43)、機能制限応答信号の送信要求を送信部43に対して行い(ステップS44)、機能制限応答送信完了待ちタイマー41aをセットする(ステップS45)。送信部43は、機能制限応答信号を無線送信し、機能制限応答信号の送信が完了すると、機能制限応答信号の送信が完了した旨の情報を、制御部41へ送信する。なお、本実施形態においては、制御部41は、機能制限応答信号の送信要求を送信部43に対して繰り返し行い、送信部43は、その都度、機能制限応答信号を送信する。
【0053】
制御部41は、機能制限応答信号の送信が完了した旨の情報を送信部43から受信するか、又は機能制限応答送信完了待ちタイマー41aがタイムアウトした場合(ステップS46でYes)、携帯機40のリセット処理を行い(ステップS47)、処理を終了する。ここで、リセット処理とは、携帯機40の動作状態を電源投入された初期状態にするものである。
【0054】
次に、本実施形態において、携帯機40がリセット状態になった場合の動作について、図5を用いて説明する。図5は、携帯機40がリセット状態なった場合の制御部41の動作を示す図である。
制御部41は、リセット状態になると、携帯機40をイニシャライズ処理するための各種のタスクを起動する(ステップS51)。
【0055】
次に、制御部41は、機能制限フラグ42bがオン状態であるか否かを判断する(ステップS52)。機能制限フラグ42bがオフ状態である場合は、機能制限状態でない通常モードに入り(ステップS53)、この処理を終了する。通常モードにおいては、例えば端末局間の通話等の通常の機能が実行される。
【0056】
機能制限フラグ42bがオン状態である場合は、機能制限状態である機能制限モードに入り(ステップS54)、この処理を終了する。機能制限モードにおいては、制御信号の送受信機能は維持されるが、通話送信動作が停止され、通話受信動作が停止されてスピーカやレシーバからの音声や音の出力動作が停止され、無線送信状態を示すLEDと無線受信状態を示すLEDは消灯状態でフリーズされ、LCDの表示は消された状態でフリーズされ、操作部83からの入力の全てが無効にされ、機能制限状態通知信号としての機能制限応答信号が、一定周期で、基地局30を介して通信卓10へ送信される。通信卓10から機能制限解除信号を受信すると、機能制限応答信号の送信は停止され、機能制限フラグ42bがオフ状態にされる。
【0057】
本実施形態によれば、少なくとも次の(1)〜(6)の効果を得ることができる。
(1)通信卓から機能制限対象の端末局に対して、機能制限要求信号を繰り返し送信させ、機能制限要求信号を受信した端末局は、機能制限応答信号を通信卓へ送信し、通信卓は、機能制限応答信号を受信すると、機能制限要求信号の繰り返し送信を停止させるので、確実に端末局を機能制限状態にすることができる。
したがって、端末局が盗難にあった場合や端末局を紛失した場合においても、端末局の不正使用を防止することができ、不正情報の送信や無線通信システムの運用状況等の秘密情報の漏洩を防止することができる。例えば、消防救急用無線通信システムにおいては、災害現場の住所や被害状況、被害者氏名や被災状況の個人情報等の秘匿すべき情報が傍受されることを防止することができる。
【0058】
(2)機能制限状態に入った端末局が、該端末局の識別子と機能制限状態に入ったことを示す情報とを含む機能制限状態通知信号を、通信卓に対して、繰り返し送信するので、該端末局の所在等を探索することが容易となる。
(3)端末局が、不揮発性メモリに機能制限フラグを有し、機能制限フラグがオン状態の場合は、端末局を機能制限状態とし、機能制限フラグがオフ状態の場合は、端末局を機能制限されてない通常状態とするので、端末局の電源が一旦切断されても、例えば、端末局に電源を供給する電池が脱着されても、機能制限状態を維持することができる。
(4)端末局が機能制限状態にある場合に、通信卓から機能制限解除信号を受信すると、端末局の機能制限状態を解除するので、例えば、紛失していた端末局が見つかった場合などに、端末局を運用状態に戻すことができる。
【0059】
(5)端末局が機能制限状態にある場合に、表示部のLCD表示を消し、当該端末局の無線送信状態を示すLEDや無線受信状態を示すLEDを消灯して、いずれもフリーズ状態にするので、該端末局が動作していないように装うことができる。したがって、例えば、機能制限状態通知信号を送信していることを、端末局の不正取得者に気づかれずに済むので、機能制限状態通知信号を繰り返し継続して通信卓へ送信することが可能となる。なお、無線送信状態や無線受信状態とは、例えば、端末局が通信卓や他の端末局との間で、制御信号や音声信号を送信又は受信している状態である。
(6)端末局が機能制限状態にある場合に、端末局操作部からの入力を無効にするので、端末局の不正使用を防止することが容易となる。
【0060】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
前記実施形態では、通信卓や端末局の識別子(ID)として、個別番号を用いたが、通信卓や各端末局を識別できるものであれば、個別番号に限られない。
また、本発明は、本発明に係る処理を実行するシステムとしてだけでなく、装置、方法として、或いは、このような方法やシステムを実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして把握することができる。
また、本発明は、CPUがメモリに格納された制御プログラムを実行することにより制御する構成としてもよく、また、ハードウエア回路として構成してもよい。
【0061】
本明細書には、少なくとも次の構成が含まれる。
第1の構成は、
自局を特定する識別子を記憶する端末局記憶部を有する端末局と、前記端末局と無線で接続される基地局と、前記基地局と接続され前記端末局に対して指示を行う通信卓とを備え、音声データを伝送するチャネル1つに対して1つのキャリアを割り当てるSCPC方式の無線通信システムであって、
前記通信卓は、操作者からの入力を受け付ける通信卓操作部を有し、該通信卓操作部が、特定の端末局の機能を制限する機能制限要求を受け付けると、前記特定の端末局の識別子を含む機能制限要求信号を、前記基地局から前記端末局へ繰り返し送信させ、
前記端末局は、前記基地局から受信した機能制限要求信号に含まれる端末局の識別子と、前記端末局記憶部に記憶した自局の識別子とが一致した場合に、自局の機能を制限する機能制限状態に入るとともに、前記機能制限要求信号を受信したことを示す機能制限応答信号を、前記基地局へ送信し、
前記通信卓は、前記基地局を介して前記機能制限応答信号を受信すると、前記機能制限要求信号の繰り返し送信を停止させることを特徴とする無線通信システム。
【0062】
第2の構成は、
前記第1の構成における無線通信システムであって、
前記機能制限状態に入った端末局は、該端末局の識別子と機能制限状態に入ったことを示す情報とを含む機能制限状態通知信号を、前記基地局へ繰り返し無線送信することを特徴とする無線通信システム。
なお、機能制限状態通知信号は、機能制限応答信号と同一の信号であってもよい。
【0063】
第3の構成は、
前記第1の構成又は第2の構成における無線通信システムであって、
前記端末局記憶部が、不揮発性メモリで構成される機能制限フラグを有し、当該端末局が前記機能制限状態になると、前記機能制限フラグをオン状態とし、当該端末局の電源が投入されると、前記機能制限フラグがオン状態の場合は、当該端末局を機能制限状態にすることを特徴とする無線通信システム。
【0064】
第4の構成は、
前記第1の構成ないし第3の構成における無線通信システムであって、
前記通信卓は、前記通信卓操作部が、特定の端末局の機能制限を解除する機能制限解除指示を受け付けると、前記特定の端末局の識別子を含む機能制限解除信号を、前記基地局から前記端末局へ送信させ、
前記端末局は、前記基地局から受信した機能制限解除信号に含まれる端末局の識別子と、前記端末局記憶部に記憶した自局の識別子とが一致した場合に、自局の機能制限状態を解除することを特徴とする無線通信システム。
【0065】
第5の構成は、
前記第4の構成における無線通信システムであって、
前記端末局は、自局の機能制限状態を解除したときに、前記機能制限状態通知信号の繰り返し送信を停止することを特徴とする無線通信システム。
【0066】
第6の構成は、
前記第1の構成ないし第5の構成における無線通信システムであって、
前記端末局は、当該端末局の無線送信状態と無線受信状態とを示す無線送受信状態情報を表示する端末局表示部を有し、前記機能制限状態になると、前記無線送受信状態情報を端末局表示部に表示しないことを特徴とする無線通信システム。
【0067】
第7の構成は、
前記第6の構成における無線通信システムであって、
前記端末局は、前記機能制限状態になると、端末局表示部に一切の情報を表示しないことを特徴とする無線通信システム。
【符号の説明】
【0068】
1・・基地ゾーン、4,5,6・・伝送路、10・・通信卓、11・・通信卓制御部、12・・通信卓記憶部、13・・通信卓表示部、14・・通信卓操作部、15・・スピーカ、16・・マイク、20・・回線制御装置、21・・回線制御装置制御部、22・・回線制御装置記憶部、30・・基地局、31・・基地局制御部、32・・基地局記憶部、33・・基地局送信部、34・・基地局受信部、40・・携帯機、41・・携帯機制御部、41a・・機能制限応答送信完了待ちタイマー、42・・携帯機記憶部、42a・・携帯機個別番号、42b・・機能制限フラグ、43・・送信部、44・・第1受信部、45・・第2受信部、46・・アンテナ共用器、47・・アンテナ、49・・スピーカ、50・・車載機、60・・固定/半固定局、70・・PBX、81・・レシーバ、82・・マイク、83・・携帯機操作部、84・・携帯機表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自局を特定する識別子を記憶する端末局記憶部を有する端末局と、前記端末局と無線で接続される基地局と、前記基地局と接続され前記端末局に対して指示を行う通信卓とを備え、音声データを伝送するチャネル1つに対して1つのキャリアを割り当てるSCPC方式の無線通信システムであって、
前記通信卓は、操作者からの入力を受け付ける通信卓操作部を有し、該通信卓操作部が、特定の端末局の機能を制限する機能制限要求を受け付けると、前記特定の端末局の識別子を含む機能制限要求信号を、前記基地局から前記端末局へ繰り返し送信させ、
前記端末局は、前記基地局から受信した機能制限要求信号に含まれる端末局の識別子と、前記端末局記憶部に記憶した自局の識別子とが一致した場合に、自局の機能を制限する機能制限状態に入るとともに、前記機能制限要求信号を受信したことを示す機能制限応答信号を、前記基地局へ送信し、
前記通信卓は、前記基地局を介して前記機能制限応答信号を受信すると、前記機能制限要求信号の繰り返し送信を停止させることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載された無線通信システムであって、
前記機能制限状態に入った端末局は、該端末局の識別子と機能制限状態に入ったことを示す情報とを含む機能制限状態通知信号を、前記基地局へ繰り返し無線送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の無線通信システムであって、
前記端末局記憶部が、不揮発性メモリで構成される機能制限フラグを有し、当該端末局が前記機能制限状態になると、前記機能制限フラグをオン状態とし、当該端末局の電源が投入されると、前記機能制限フラグがオン状態の場合は、当該端末局を機能制限状態にすることを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−93678(P2013−93678A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233464(P2011−233464)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】