説明

無線通信デバイス

【課題】受信アンテナを順次切り替える方式としてマルチパスフェージングを回避する。全体として受信アンテナの切り替えを低減させる。
【解決手段】起動後、アンテナA,Bを交互に切り替え、その切り替えたアンテナを受信アンテナとする。登録されている送信ノードの各々について、その送信ノードからのデータの受信に成功した受信アンテナを最適受信アンテナとして記憶する。登録されている送信ノードの全てからのデータの受信に成功した場合、記憶されている各送信デバイスの最適受信アンテナに基づいて、多数決によりベースアンテナを決定する。そして、このベースアンテナの決定後、受信アンテナの切り替え制御を中断させ、その決定されたベースアンテナを受信アンテナとして固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、メッシュネットワーク構造の無線通信システムに用いて好適な無線通信デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信を利用して、環境計測・監視・制御などを行うシステムが増加している。この環境計測・監視・制御などを行う無線通信システムでは、対象エリアが比較的広い、又は、対象エリア内に無線通信の障害物が多々存在する場合が多い。このような場合、対象エリアをカバーするためには、受信器と送信器の設置位置や電波状況等の環境により直接通信できなくても、他のデバイスを中継して通信を行うことができる無線通信ネットワークを利用することが有利である。
【0003】
この種の無線通信ネットワークとして、ジグビー(Zigbee(登録商標))プロトコルを利用した無線通信ネットワーク(例えば、特許文献1、2参照)など、メッシュネットワークが提案されている。このメッシュネットワークでは、コーディネータとルータとの間の双方向の通信を直接通信圏内にある他のルータを中継して行うもので、1つの通信経路がマルチパスフェージングの影響を受けて通信不能に陥ったとしても、他の通信経路を探索して通信を継続することができる技術である。なお、マルチパスフェージングとは、複数の通信電波反射経路の間に発生する位相差により受信電波が打ち消され、受信ができなくなる現象をいう。また、このメッシュネットワークにおいて、最下層のルータには無線センサなどのエンドデバイスが接続される。
【0004】
このメッシュネットワークにおいて、ネットワーク上の末端に置かれるエンドデバイスはネットワーク内に多数設置され、また、電池により動作するためにその構成を可能な限り簡略して設計され、例えば通信に関すると、送信専用のアンテナ1本とし、ルータに対して送信のみ可能で、受信はできない構成とされることが一般的である。このため、設置環境において人の移動などによりマルチパスフェージングが生じていると、ルータとの間を通信を継続して行うことができなくなる。
【0005】
特許文献3には、通信ノードが複数の送信アンテナを有し、1つの送信アンテナで他の通ノードとの通信が不可能になった場合に他の送信アンテナに切り替えて、他の通信ノードとの通信を継続する技術が示されており、受信アンテナについても同様にして逐次切り替える方式としてもよい旨の記載がある。
【0006】
この特許文献3には、受信アンテナを逐次切り替える方式とする場合の具体的な方法については言及されていないが、受信アンテナを所定間隔で順次切り替えて、他の通信ノードから送信されてくるデータを受信する方式とすることが一般的である。この方式を上述したメッシュネットワークにおけるルータとエンドデバイスとの間の通信に適用した場合、ルータにおける受信アンテナを所定間隔で順次切り替えて、エンドデバイスから所定の周期で送られてくるデータを受信することになる。
【0007】
例えば、図24に示すように、ルータ1が2つのアンテナAとBを有するものとした場合、このアンテナAとBとを所定間隔で交互に切り替え、その切り替えたアンテナをエンドデバイス2から所定周期Tで送られてくるデータの受信アンテナとする。この場合、エンドデバイス2とアンテナAとの間にマルチパスフェージングが生じても、エンドデバイス2からのデータをアンテナBで受信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−5928号公報
【特許文献2】特開2006−42370号公報
【特許文献3】特開2006−352436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ルータにおけるアンテナを順次切り替えてエンドデバイスからのデータを受信する方式とした場合、受信側のアンテナ状態が不定となり、ルータ同士の通信を行った時、通信経路が電波的に極めて不安定な状態に置かれてしまう。なお、この場合、送信ダイバシティアンテナによるリトライ(送信アンテナの切り替え)で回避することも考えられるが、リトライによる通信量が増えるという問題が生じる。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、受信アンテナを順次切り替える方式としてマルチパスフェージングを回避する一方、全体として受信アンテナの切り替えを低減させることが可能な無線通信デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために本発明は、登録されている送信デバイスから所定の送信周期で送られてくるデータを受信する無線通信デバイスにおいて、複数のアンテナと、起動後、複数のアンテナを所定間隔で順次切り替え、その切り替えたアンテナを送信デバイスからのデータの受信アンテナとする受信アンテナ切替制御手段と、前記送信デバイス(登録されている送信デバイス)の各々についてその送信デバイスからのデータの受信に成功した受信アンテナを最適受信アンテナとして記憶する最適受信アンテナ記憶手段と、前記送信デバイス(登録されている送信デバイス)の全てからのデータの受信に成功した場合、最適受信アンテナ記憶手段が記憶している各送信デバイスの最適受信アンテナに基づいて、その最適受信アンテナのうちの何れか1つをベースアンテナとして決定するベースアンテナ決定手段と、ベースアンテナが決定された場合、受信アンテナ切替制御手段による受信アンテナの切り替え制御を中断させ、その決定されたベースアンテナを受信アンテナとして固定する受信アンテナ固定手段とを設けたものである。
【0012】
本発明の無線通信デバイスは、起動後、複数のアンテナを所定間隔で順次切り替え、その切り替えたアンテナを送信デバイスからのデータの受信アンテナとする。例えば、アンテナとしてAとBの2つのアンテナを有するものとした場合、起動後、アンテナAとアンテナBとを交互に切り替え、その切り替えたアンテナを受信アンテナとして、登録されている送信デバイスからのデータを受信する。以下では、説明を簡単とするために、アンテナAとアンテナBの2つの例で説明する。
【0013】
〔送信デバイスの登録数を1つとした場合〕
最小構成として、送信デバイスの登録数を1つとした場合、本発明の無線通信デバイスは、アンテナAとアンテナBとを交互に切り替えて、登録されている1つの送信デバイスからのデータを受信する。ここで、送信デバイスとアンテナAとの間にマルチパスフェージングが生じており、アンテナAを受信アンテナとして選択している時には送信デバイスからのデータを受信することができず、アンテナBを受信アンテナとして選択している時にのみ送信デバイスからのデータを受信することができるものとする。この場合、アンテナBがその送信デバイスの最適受信アンテナとして記憶される。
【0014】
そして、登録されている送信デバイスの全て、この例では1つの送信デバイスからのデータの受信に成功すれば、この送信デバイスに対して記憶されている最適受信アンテナに基づいて、その最適受信アンテナのうちの何れか1つがベースアンテナとして決定される。この場合、送信デバイスの最適受信アンテナとしてアンテナBが記憶されており、このアンテナBをベースアンテナとして決定する。そして、このベースアンテナの決定後、受信アンテナの切り替えが中断され、その決定されたベースアンテナ(アンテナB)が受信アンテナとして固定される。
【0015】
〔送信デバイスの登録数を2つとした場合〕
送信デバイスの登録数を2つとした場合、本発明の無線通信デバイスは、起動後、アンテナAとアンテナBとを交互に切り替えて、登録されている2つの送信デバイス(第1の送信デバイス、第2の送信デバイス)からのデータを受信する。ここで、第1および第2の送信デバイスとアンテナAとの間にマルチパスフェージングが生じており、アンテナAを受信アンテナとして選択している時には、第1および第2の送信デバイスからのデータを受信することができず、アンテナBを受信アンテナとして選択している時にのみ、第1および第2の送信デバイスからのデータを受信することができるものとする。この場合、アンテナBが第1および第2の送信デバイスの最適受信アンテナとして記憶される。
【0016】
そして、登録されている送信デバイスの全て、この例では第1および第2の送信デバイスからのデータの受信に共に成功すれば、この第1および第2の送信デバイスに対して記憶されている最適受信アンテナに基づいて、その最適受信アンテナのうちの何れか1つがベースアンテナとして決定される。この場合、第1および第2の送信デバイスの最適受信アンテナとしてアンテナBが記憶されており、このアンテナBをベースアンテナとして決定する。そして、このベースアンテナの決定後、受信アンテナの切り替えが中断され、その決定されたベースアンテナ(アンテナB)が受信アンテナとして固定される。
【0017】
送信デバイスの登録数を2つとした場合、第1の送信デバイスとアンテナAとの間および第2の送信デバイスとアンテナBとの間にマルチパスフェージングが生じており、アンテナAを受信アンテナとして選択している時には、第2の送信デバイスからのデータを受信することはできるが、第1の送信デバイスからのデータは受信することができず、アンテナBを受信アンテナとして選択している時には、第1の送信デバイスからのデータを受信することはできるが、第2の送信デバイスからのデータは受信することができないというような状況も考えられる。
【0018】
この場合、アンテナBが第1の送信デバイスの最適受信アンテナとして記憶され、アンテナAが第2の送信デバイスの最適受信アンテナとして記憶され、第1および第2の送信デバイスからのデータの受信に共に成功すれば、この第1および第2の送信デバイスに対して記憶されている最適受信アンテナに基づいて、その最適受信アンテナのうちの何れか1つがベースアンテナとして決定される。この場合、第1の送信デバイスの最適受信アンテナとしてアンテナBが記憶されており、第2の送信デバイスの最適受信アンテナとしてアンテナAが記憶されており、このアンテナAおよびBの何れか一方、例えばアンテナAをベースアンテナとして決定する。そして、このアンテナAの決定後、受信アンテナの切り替えが中断され、その決定されたベースアンテナ(アンテナA)が受信アンテナとして固定される。
【0019】
ここで、受信アンテナとして固定されたアンテナAでは、第1の送信デバイスからのデータは受信することができできない。そこで、本発明では、送信デバイスからのデータの送信周期を記憶する送信周期記憶手段と、送信デバイスからのデータの受信に成功した際の受信タイミングと送信デバイスからのデータの送信周期とから送信デバイスからのデータの次の送信タイミングを求める送信タイミング演算手段と、この送信タイミング演算手段によって求められた次の送信タイミングを含む前後の所定期間、送信デバイスからのデータの受信に使用するアンテナがその送信デバイスの最適受信アンテナでない場合、そのアンテナを当該送信デバイスの最適受信アンテナに一時的に切り替える受信アンテナ強制切替制御手段とを設けるようにする。このような手段を設けることにより、受信アンテナとして固定されているアンテナA(ベースアンテナ)が、第1の送信デバイスからのデータを受信する場合、第1の送信デバイスの最適受信アンテナ(アンテナB)に一時的に切り替えられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、起動後、複数のアンテナを所定間隔で順次切り替え、その切り替えたアンテナを送信デバイスからのデータの受信アンテナとする一方、登録されている送信デバイスの各々についてその送信デバイスからのデータの受信に成功した受信アンテナを最適受信アンテナとして記憶するものとし、登録されている送信デバイスの全てからのデータの受信に成功した場合、記憶されている各送信デバイスの最適受信アンテナに基づいて、その最適受信アンテナのうちの何れか1つをベースアンテナとして決定し、受信アンテナの切り替え制御を中断させ、その決定されたベースアンテナを受信アンテナとして固定するようにしたので、登録されている送信デバイスの全てからのデータの受信に成功するまでは受信アンテナを順次切り替えるようにし、登録されている送信デバイスの全てからのデータの受信に成功した後は受信アンテナを固定するようにして、マルチパスフェージングを回避しつつ、全体として受信アンテナの切り替えを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る無線通信デバイスを用いた無線通信システムの一実施の形態の概略を示す構成図である。
【図2】この無線通信システムにおけるルータ(受信ノード)が有する受信アンテナ制御機能を説明するためのフローチャートである。
【図3】この受信アンテナ制御機能の一部として実行されるベースアンテナ切替制御の処理を示すフローチャートである。
【図4】この受信アンテナ制御機能の一部として実行される送信ノードからの受信処理を示すフローチャートである。
【図5】この受信アンテナ制御機能の一部として実行される個別受信アンテナ制御の処理を示すフローチャートである。
【図6】この受信アンテナ制御機能の一部として実行される送信ノード状態監視の処理を示すフローチャートである。
【図7】この無線通信システムにけるエンドデバイス(送信ノード)の設置例を示す図である。
【図8】アンテナAとアンテナBとが交互に切り替えられる様子を示す図である。
【図9】送信ノードが設置される前の状態監視テーブルへの送信ノードの状態、最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間、次回送信時刻の格納状況を示す図である。
【図10】1つ目の送信ノードが設置された後の状態監視テーブルへの送信ノードの状態、最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間、次回送信時刻の格納状況を示す図である。
【図11】1つ目の送信ノードが設置された場合の受信アンテナの制御状況を示す図である。
【図12】2つ目の送信ノードが設置された後の状態監視テーブルへの送信ノードの状態、最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間、次回送信時刻の格納状況の第1例を示す図である。
【図13】2つ目の送信ノードが設置された場合の受信アンテナの制御状況(第1例)を示す図である。
【図14】2つ目の送信ノードが設置された後の状態監視テーブルへの送信ノードの状態、最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間、次回送信時刻の格納状況の第2例を示す図である。
【図15】2つ目の送信ノードが設置された場合の受信アンテナの制御状況(第2例)を示す図である。
【図16】送信ノードからのデータの受信可能アンテナが変化した場合の受信アンテナの制御状況を示す図である。
【図17】送信ノードからのデータの受信可能アンテナが変化した場合の状態監視テーブルへの送信ノードの状態、最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間、次回送信時刻の格納状況を示す図である。
【図18】送信ノードからのデータの受信可能アンテナが変化した後、受信アンテナの切り替え制御によって、別のアンテナでデータが受信されるようになった場合の状態監視テーブルへの送信ノードの状態、最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間、次回送信時刻の格納状況を示す図である。
【図19】送信ノードが消滅した場合の受信アンテナの制御状況を示す図である。
【図20】送信ノードが消滅した場合の状態監視テーブルへの送信ノードの状態、最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間、次回送信時刻の格納状況を示す図である。
【図21】送信ノードの登録数が1つである場合の受信ノードでのデータの受信状況を例示する図である。
【図22】この受信状況での受信アンテナの制御状況を示す図である。
【図23】受信ノードの要部の機能ブロック図である。
【図24】複数の受信アンテナを有するルータとエンドデバイスとを用いた無線通信システムを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係る無線通信デバイスを用いた無線通信システムの一実施の形態の概略を示す構成図である。同図において、図24と同一符号は図24を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0023】
この実施の形態において、ルータ1のメモリには、エンドデバイス2からのデータの送信周期Tなどが記憶されている。また、ルータ1は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、本実施の形態特有の機能として受信アンテナ制御機能を有している。
【0024】
なお、この実施の形態において、ルータ1に対して登録されているエンドデバイス2は、エンドデバイス2−1と2−2の2つとする。また、ルータ1を受信ノード、エンドデバイス2−1,2−2を送信ノードと呼び変えることとする。この実施の形態において、受信ノード1が本発明でいう無線通信デバイスに対応し、送信ノード2が送信デバイスに対応する。
【0025】
以下、図2〜図6に示すフローチャートに従って、受信ノード1が有する受信アンテナ制御機能について説明する。受信ノード1は、起動後(図2:ステップS101)、登録されている全送信ノードの状態(監視状態)を「通知待ち」としたうえ(ステップS102)、受信アンテナの制御を開始する(ステップS103)。この受信アンテナの制御では、図3〜図6に示すフローチャートに従う処理を相互に関連させながら逐次実行する。
【0026】
〔送信ノード2−1,2−2がいずれも設置されていない状態〕
今、運用開始前の状態として、送信ノード2−1,2−2がいずれも設置されていないものとする(図7(a)参照)。この場合、受信ノード1は、送信ノード2−1,2−2の状態を「通知待ち」としたまま、図3にそのフローチャートを示すベースアンテナ切替制御を開始する。
【0027】
このベースアンテナ切替制御において、受信ノード1は、登録されている全送信ノードの状態が「通知継続中」であるか否かをチェックする(ステップS201)。この場合、送信ノード2−1,2−2の状態は「通知待ち」であるので、ステップS201のNOに応じて、ステップS202以降の処理へ進む。ステップS202以降の処理では受信アンテナの切り替え制御を行う。
【0028】
〔受信アンテナの切り替え制御〕
受信ノード1は、ステップS202において、現在の受信アンテナが最終アンテナ(アンテナB)であるか否かをチェックし、最終アンテナ(アンテナB)でなければ(ステップS202のNO)、すなわちアンテナAであれば、受信アンテナを次アンテナ(アンテナB)に切り替える(ステップS203)。
【0029】
そして、次回アンテナ切り替えタイミングのカウントを開始し(ステップS205)、次回アンテナ切り替えタイミングとなれば(ステップS206のYES)、全送信ノードの状態が「通知継続中」でないことを確認のうえ(ステップS201のNO)、ステップS202へ戻る。
【0030】
この場合、現在の受信アンテナはアンテナBであるので(ステップS202のYES)、受信アンテナを先頭アンテナ(アンテナA)に切り替える(ステップS204)。そして、次回アンテナ切り替えタイミングのカウントを開始し(ステップS205)、次回アンテナ切り替えタイミングとなれば(ステップS206のYES)、全送信ノードの状態が「通知継続中」でないことを確認のうえ(ステップS201のNO)、再びステップS202へ戻る。
【0031】
以下、同様動作を繰り返すことにより、受信ノード1は、図8に示すように、アンテナAとアンテナBとを交互に切り替えて、切り替えた方(選択した方)のアンテナを受信に使用するアンテナ(受信アンテナ)とする。なお、この実施の形態において、受信ノード1は、送信ノード2からのデータの送信周期Tと同じ周期で受信アンテナの切り替えを行うものとする。
【0032】
〔送信ノード2−1が設置された場合〕
このような状態から、送信ノード2−1が設置され、送信ノード2−1からのデータの送信が開始されたとする。なお、この場合、送信ノード2−1からのデータは、アンテナBでのみ受信可能とする(図7(b)参照)。
【0033】
受信ノード1は、上述したように、受信アンテナを交互に切り替えながら、送信ノード2からのデータの受信を待っている(図4:ステップS301)。ここで、送信ノード2−1からのデータを受信すると(ステップS302のYES)、送信ノード2−1の状態を「通知継続中」とし(ステップS303)、その時の受信アンテナ(現在の受信アンテナ)を送信ノード2−1の最適受信アンテナとして記憶する(ステップS304)。
【0034】
また、受信ノード1は、そのデータの受信タイミングを送信ノード2−1からのデータの最終受信とし、その最終受信からの経過時間TMRの計時を開始する(ステップS305)。また、その最終受信のタイミングと送信周期Tとから送信ノード2−1からの次回のデータの送信時刻trnextを求め、その求めた送信時刻trnextを次回送信時刻として記憶する(ステップS306)。
【0035】
図9に送信ノード2−1が設置される前の登録されている各送信ノードに対応づけてのその送信ノードの状態、最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間TMR、次回送信時刻trnextのメモリ内のテーブルTB1(以下、このテーブルを状態監視テーブルと呼ぶ)への格納状況を示す。
【0036】
送信ノード2−1が設置される前は、送信ノード2−1,2−2の送信ノードNO.を「#1」,「#2」として、送信ノードの状態がそれぞれ「通知待ち」とされている。最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間TMR、次回送信時刻trnextは、何れもまだ求められていないので、「−」とされている。
【0037】
図10に送信ノード2−1が設置された場合の登録されている各送信ノードに対応づけてのその送信ノードの状態、最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間TMR、次回送信時刻trnextの状態監視テーブルTB1への格納状況を示す。
【0038】
送信ノード2−1からのデータが受信されると、状態監視テーブルTB1において、送信ノード2−1の状態が「通知継続中」とされ、送信ノード2−1の最適受信アンテナがアンテナBとして記憶され、送信ノード2−1の最終受信からの経過時間TMRがTMR1として記憶され、送信ノード2−1の次回送信時刻trnextがtr1nextとして記憶される。
【0039】
なお、送信ノード2−1の最終受信からの経過時間TMR1は、送信ノード2−1からのデータが受信される毎にリセットされ、その計時が再スタートされる。また、送信ノード2−1の次回送信時刻tr1nextは、送信ノード2−1からのデータが受信される毎に更新される。
【0040】
図11に送信ノード2−1が設置された場合の受信アンテナの制御状況を示す。この例において、送信ノード2−1からのデータはアンテナBでのみ受信可能であるため、アンテナAが受信アンテナとして選択された時には送信ノード2−1からのデータを受信することができず(t1点)、アンテナBが受信アンテナとして選択された時に送信ノード2−1からのデータが受信される(t2点)。また、状態監視テーブルTB1における送信ノード2−2の状態は「通知待ち」のままであるから、図3に示したベースアンテナ切替制御におけるステップS201での判断結果がNOとなり、前述した受信アンテナの切り替え制御が続行される。
【0041】
この受信アンテナの切り替え制御の続行中、受信ノード1は、状態監視テーブルTB1(図10)に記憶されている送信ノード2−1の次回送信時刻tr1nextをチェックし、次回送信時刻trnext1における受信アンテナが送信ノード2−1の最適受信アンテナ(アンテナB)でない場合、そのアンテナを送信ノード2−1の最適受信アンテナ(アンテナB)に一時的に切り替える(図11に示すt3、t5点参照)。
【0042】
受信ノード1は、この受信アンテナの一時的な切り替え(強制切替)を、図5にそのフローチャートを示す個別受信アンテナ制御によって行う。この個別受信アンテナ制御において、受信ノード1は、予め定められている時間幅をαとし、現在時刻が送信ノード2−1の次回送信時刻tr1next−αに達すると(ステップS401のYES)、現在の受信アンテナを保存する(ステップS402)。
【0043】
今、次回送信時刻tr1nextを図11に示すt3点とする。この場合、受信ノード1は、現在時刻が次回送信時刻t3−αに達した時点で(ステップS401のYES)、現在の受信アンテナAを保存する。そして、現在の受信アンテナAが送信ノード2−1の最適受信アンテナ(アンテナB)でないことを確認し(ステップS403のNO)、受信アンテナを送信ノード2−1の最適受信アンテナ(アンテナB)に切り替える(ステップS404)。
【0044】
そして、現在時刻が次回送信時刻t3+αに達した時点で(ステップS405のYES)、現在の受信アンテナ(アンテナB)がステップ402で保存した受信アンテナ(保存受信アンテナ(アンテナA))でないことを確認のうえ(ステップS406のNO)、受信アンテナを保存受信アンテナ(アンテナA)に切り替える(ステップS407)。そして、送信ノード2−1の次回送信時刻tr1nextをt4として更新し(ステップS408)、ステップS401へ戻る。
【0045】
受信ノード1は、現在時刻が次回送信時刻t4−αに達すると(ステップS401のYES)、現在の受信アンテナBを保存する。この場合、現在の受信アンテナBは送信ノード2−1の最適受信アンテナ(アンテナB)であるので(ステップS403のYES)、受信アンテナの強制切替は行わない。また、現在時刻が次回送信時刻t4+αに達すると、現在の受信アンテナが保存受信アンテナであるか否かをチェックする(ステップS406)。この場合、現在の受信アンテナはアンテナBであり、保存受信アンテナ(アンテナB)と同じであるので、ステップS407へは進まず、送信ノード2−1の次回送信時刻tr1nextをt5として更新し(ステップS408)、ステップS401へ戻る。
【0046】
〔送信ノード2−2が設置された場合〕
このような状態から、さらに送信ノード2−2が設置され、送信ノード2−2からのデータの送信が開始されたとする。なお、この場合、送信ノード2−2からのデータも、アンテナBでのみ受信可能とする(図7(c)参照)。
【0047】
受信ノード1は、上述したように、受信アンテナを交互に切り替えながら、送信ノード2からのデータの受信を待っている(図4:ステップS301)。ここで、送信ノード2−2からのデータを受信すると(ステップS302のYES)、送信ノード2−2の状態を「通知継続中」とし(ステップS303)、その時の受信アンテナ(現在の受信アンテナ)を送信ノード2−2の最適受信アンテナとして記憶する(ステップS304)。
【0048】
また、受信ノード1は、そのデータの受信タイミングを送信ノード2−2からのデータの最終受信とし、その最終受信からの経過時間TMRの計時を開始する(ステップS305)。また、その最終受信のタイミングと送信周期Tとから送信ノード2−2からの次回のデータの送信時刻trnextを求め、その求めた送信時刻trnextを次回送信時刻として記憶する(ステップS306)。
【0049】
図12に送信ノード2−2が設置された場合の登録されている各送信ノードに対応づけてのその送信ノードの状態、最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間TMR、次回送信時刻trnextの状態監視テーブルTB1への格納状況を示す。
【0050】
送信ノード2−2からのデータが受信されると、状態監視テーブルTB1において、送信ノード2−2の状態が「通知継続中」とされ、送信ノード2−2の最適受信アンテナがアンテナBとして記憶され、送信ノード2−2の最終受信からの経過時間TMRがTMR2として記憶され、送信ノード2−2の次回送信時刻trnextがtr2nextとして記憶される。
【0051】
なお、送信ノード2−2の最終受信からの経過時間TMR2は、送信ノード2−2からのデータが受信される毎にリセットされ、その計時が再スタートされる。また、送信ノード2−2の次回送信時刻tr2nextは、送信ノード2−1からのデータが受信される毎に更新される。
【0052】
図13に送信ノード2−2が設置された場合の受信アンテナの制御状況を示す。この例において、送信ノード2−2からのデータはアンテナBでのみ受信可能であるため、アンテナAが受信アンテナとして選択された時には送信ノード2−2からのデータを受信することができず(t2点)、アンテナBが受信アンテナとして選択された時に送信ノード2−2からのデータが受信される(t4点)。
【0053】
また、送信ノード2−2からのデータがアンテナBで受信されると、状態監視テーブルTB1における送信ノード2−1,2−2の状態が共に「通知継続中」となり、図3に示したベースアンテナ切替制御におけるステップS202での判断結果がYESとなって、ステップS207以降の処理へ進む。ステップS207以降の処理では受信アンテナの固定が行われる。
【0054】
〔受信アンテナの固定〕
この受信アンテナの固定において、受信ノード1は、状態監視テーブルTB1中の各送信ノードの最適受信アンテナに基づいて、多数決によりベースアンテナを決定する(ステップS207)。なお、同数の場合は何れか一方をベースアンテナとする。この例では、送信ノード2−1,2−2の最適受信アンテナは共にアンテナBであるので、アンテナBをベースアンテナとして決定する。
【0055】
そして、受信ノード1は、現在の受信アンテナが決定されたベースアンテナであるか否かをチェックし(ステップS208)、現在の受信アンテナが決定されたベースアンテナでなければ(ステップS208のNO)、受信アンテナを決定されたベースアンテナに切り替える(ステップS209)。現在の受信アンテナが決定されたベースアンテナであれば(ステップS208のYES)、受信アンテナの切り替えは行わず、現在の受信アンテナのままとする。これにより、それまでの受信アンテナの切り替え制御が中断され、受信ノード1における受信アンテナは、ステップS207で決定されたベースアンテナ(アンテナB)に固定されるものとなる。
【0056】
このようにして、送信ノード2−1,2−2のデータの受信に成功するまでは受信アンテナの切り替え制御が行われ、送信ノード2−1,2−2からのデータの受信に成功した後は受信アンテナが固定されるものとなり、マルチパスフェージングを回避しつつ、全体として受信アンテナの切り替えが低減されるものとなる。
【0057】
なお、上述した例では、送信ノード2−1,2−2からのデータは何れもアンテナBでのみ受信可能としたが、送信ノード2−1からのデータはアンテナBでのみ受信可能であり、送信ノード2−2からのデータはアンテナAでのみ受信可能であるという状況も考えられる(図7(d)参照)。
【0058】
図14にこの場合の登録されている各送信ノードに対応づけてのその送信ノードの状態、最適受信アンテナ、最終受信からの経過時間TMR、次回送信時刻trnextの状態監視テーブルTB1への格納状況を示す。
【0059】
送信ノード2−2からのデータが受信されると、送信ノード2−2の状態が「通知継続中」とされ、送信ノード2−2の最適受信アンテナがアンテナAとして記憶され、送信ノード2−2の最終受信からの経過時間TMRがTMR2として記憶され、送信ノード2−2の次回送信時刻trnextがtr2nextとして記憶される。
【0060】
図15にこの場合の受信アンテナの制御状況を示す。この例において、送信ノード2−2からのデータはアンテナAでのみ受信可能であるため、アンテナBが受信アンテナとして選択された時には送信ノード2−2からのデータを受信することができず(t3点)、アンテナAが受信アンテナとして選択された時に送信ノード2−2からのデータが受信される(t5点)。
【0061】
また、送信ノード2−2からのデータがアンテナAで受信されると、状態監視テーブルTB1における送信ノード2−1,2−2の状態が共に「通知継続中」となり、図3に示したベースアンテナ切替制御におけるステップS202での判断結果がYESとなって、ステップS207以降の処理へ進み、受信アンテナの固定が行われる。
【0062】
この受信アンテナの固定において、受信ノード1は、状態監視テーブルTB1中の各送信ノードの最適受信アンテナに基づいて、多数決によりベースアンテナを決定する(ステップS207)。なお、同数の場合は何れか一方をベースアンテナとする。この例では、送信ノード2−1の最適受信アンテナはアンテナB、送信ノード2−2の最適受信アンテナはアンテナAであるので、アンテナA,Bの何れか一方をベースアンテナとして決定する。この例では、アンテナAをベースアンテナとして決定するものとする。
【0063】
そして、受信ノード1は、現在の受信アンテナが決定されたベースアンテナであるか否かをチェックし(ステップS208)、現在の受信アンテナが決定されたベースアンテナでなければ(ステップS208のNO)、受信アンテナを決定されたベースアンテナに切り替える(ステップS209)。現在の受信アンテナが決定されたベースアンテナであれば(ステップS208のYES)、受信アンテナの切り替えは行わず、現在の受信アンテナのままとする。これにより、受信アンテナの切り替え制御が中断され、受信ノード1における受信アンテナは、ステップS207で決定されたベースアンテナ(アンテナA)に固定されるものとなる。
【0064】
この受信アンテナの固定中、受信ノード1は、前述した個別受信アンテナ制御(図5)により、状態監視テーブルTB1中の送信ノード2−1,2−2の次回送信時刻tr1next,tr2nextに基づき、次回送信時刻trnext1,tr2nextにおける受信アンテナが送信ノード2−1,2−2の最適受信アンテナでない場合、そのアンテナを送信ノード2−1,2−2の最適受信アンテナに一時的に切り替える。
【0065】
この場合、受信アンテナは送信ノード2−2の最適受信アンテナであるアンテナAに固定されるので、個別受信アンテナ制御により、送信ノード2−1の次回送信時刻tr1next(t4、t6,t8,t10点)を中心とする±αの期間で、受信アンテナがアンテナAからアンテナBに強制的に切り替えられる。なお、この場合、送信ノード2−2の最適受信アンテナはアンテナAであり、不要であるので、アンテナの強制切替は行われない。
【0066】
このようにして、送信ノード2−1,2−2のデータの受信に成功するまでは受信アンテナの切り替え制御が行われ、送信ノード2−1,2−2からのデータの受信に成功した後は送信ノード2−1からのデータの送信タイミングを中心とする±αの僅かな期間(数秒)を除いて受信アンテナが固定されるものとなり、マルチパスフェージングを回避しつつ、全体として受信アンテナの切り替えが低減されるものとなる。
【0067】
〔送信ノードからのデータの受信可能アンテナが変化した場合〕
ここで、マルチパスフェージングの状態が変化し、送信ノード2−1からのデータを受信できるアンテナがアンテナBからアンテナAに変化したとする(図7(e)参照)。この場合、送信ノード2−1からのデータの受信は常にアンテナBを受信アンテナとして行われているが、このアンテナBでの受信が行えなくなる(図16に示すt3,t5点参照)。
【0068】
受信ノード1は、状態監視テーブルTB1中の送信ノード2−1,2−2の最終受信からの経過時間TMR1,TMR2に基づいて、送信ノード2−1,2−2の状態を監視している。図6はこの最終受信からの経過時間TMRに基づく送信ノードの状態監視のフローチャートである。
【0069】
受信ノード1は、このフローチャートに従って、送信ノード2−1,2−2の最終受信からの経過時間TMR1,TMR2をチェックし(ステップS501)、この経過時間TMR1,TMR2が予め定められている所定時間TXを経過した場合(ステップS502のYES)、送信ノード2−1,2−2の監視状態を「通知継続中」から「通知待ち」の状態に遷移させる。なお、所定時間TXは、データの送信周期Tよりも長い時間に設定しておく。この例では、2T<TX<3Tとし、2回のリトライ分を見込んだ時間としている。
【0070】
この場合、送信ノード2−1からのデータが受信できなくなり、送信ノード2−1の最終受信からの経過時間TMR1がTXを超えるので(ステップS502のYES、図16に示すt6点)、受信ノード1は、送信ノード2−1の監視状態を「通知継続中」から「通知待ち」の状態に遷移させる。これにより、状態監視テーブルTB1では、図17に示すように、送信ノード2−1の状態が「通知待ち」となる。
【0071】
このため、ベースアンテナ切替制御(図3)において、全送信ノードの状態が「通知継続中」とならなくなり(ステップS201のNO)、受信ノード1は、受信アンテナの切り替え制御を再開する。この受信アンテナの切り替え制御の再開によって、受信アンテナがアンテナBに切り替わると、個別受信アンテナ制御によって、送信ノード2−2の次回送信時刻tr2next(図16に示すt9点)の±αの期間では、一時的に受信アンテナがアンテナAに切り替えられるものとなり、送信ノード2−2からのデータが受信される。
【0072】
そして、受信アンテナの切り替え制御によって、受信アンテナがアンテナAに切り替わると、送信ノード2−1からのデータの受信に成功する(図16に示すt10点)。この時、受信ノード1は、図18に示すように、状態監視テーブルTB1において、送信ノード2−1の状態を「通知継続中」とし、送信ノード2−1の最適受信アンテナをアンテナAとして記憶する。また、送信ノード2−1の最終受信からの経過時間TMRをTMR1として記憶し、送信ノード2−1の次回送信時刻trnextをtr1nextとして記憶する。
【0073】
また、この時点で、全送信ノードの状態が「通知継続中」となるので(ステップS201のYES)、受信ノード1は、受信アンテナの固定を行う。この場合、送信ノード2−1,2−2の最適受信アンテナは共にアンテナAであるので、多数決によってアンテナAをベースアンテナとして決定し、この決定したベースアンテナ(アンテナA)を受信アンテナとして固定する。以降、この固定された受信アンテナAで、送信ノード2−1,2−2からのデータが受信される。なお、この場合、送信ノード2−1,2−2の最適受信アンテナはアンテナAであり、不要であるので、アンテナの強制切替は行われない。
【0074】
〔送信ノードが消滅した場合〕
ここで、送信ノード2−2が、故障などの原因により消滅したとする(図7(f)参照)。この場合、送信ノード2−2からのデータの受信は常にアンテナAを受信アンテナとして行われているが、このアンテナAでの受信が行われなくなる(図19に示すt6,t8点参照)。
【0075】
この場合、送信ノード2−2からのデータが受信されなくなり、送信ノード2−2の最終受信からの経過時間TMR2がTXを超えるので(ステップS502のYES、図19に示すt9点)、受信ノード1は、送信ノード2−2の監視状態を「通知継続中」から「通知待ち」の状態に遷移させる。これにより、状態監視テーブルTB1では、図20に示すように、送信ノード2−2の状態が「通知待ち」となる。
【0076】
このため、ベースアンテナ切替制御(図3)において、全送信ノードの状態が「通知継続中」とならなくなり(ステップS201のNO)、受信ノード1は、受信アンテナの切り替え制御を再開する。この受信アンテナの切り替え制御の再開によって、受信アンテナがアンテナBに切り替わっている時には、個別受信アンテナ制御によって、受信アンテナがアンテナAに一時的に切り替えられる(図19に示すt10点参照)。なお、この場合、受信アンテナがアンテナAに切り替わっている時には、送信ノード2−1の最適受信アンテナはアンテナAであり、不要であるので、アンテナの強制切替は行われない。
【0077】
以降、送信ノード2−2からのデータを受信するまで、この状態が継続する。送信ノード2−2が再設置された場合でも、受信アンテナの切り替え制御によって、受信アンテナがアンテナAとアンテナBとに交互に切り替わっているので、どちらかの受信アンテナによって送信ノード2−2からのデータを受信することができる。
【0078】
なお、上述した実施の形態では、説明を簡単とするために、受信ノード1に登録されている送信ノード2は送信ノード2−1と2−2の2としたが、2つに限られるものではなく、さらに多くの送信ノード2が登録されているものとしてもよい。また、最小構成として、受信ノード1に登録されていている送信ノード2は1つの場合もあり得る。
【0079】
〔送信ノードの登録数が1つである場合〕
受信ノード1に登録されている送信ノード2を1つとした場合、受信ノード1は、受信アンテナの切り替え制御によって、アンテナAとアンテナBとを受信アンテナとして交互に切り替える。
【0080】
ここで、図21に示すように、送信ノード2とアンテナAとの間にマルチパスフェージングが生じており、アンテナAを受信アンテナとして選択している時には送信ノード2からのデータを受信することができず(図22に示すt1点)、アンテナBを受信アンテナとして選択している時に送信ノード2からのデータを受信することができたとする(図22に示すt2)。
【0081】
この場合、受信ノード1は、送信ノード2の状態を「通知継続中」とし、アンテナBを送信ノード2の最適受信アンテナとして記憶する。そして、登録されている全送信ノードの状態が「通知継続中」になったと判断し、受信アンテナの固定を行う。この場合、送信ノード2の最適受信アンテナはアンテナBとして記憶されているので、アンテナBをベースアンテナとして決定する。そして、このベースアンテナの決定後、受信アンテナの切り替え制御を中断し、その決定されたベースアンテナ(アンテナB)を受信アンテナとして固定する。
【0082】
また、上述した実施の形態では、受信アンテナAと受信アンテナBとの切替周期を送信ノード2からのデータの送信周期Tと同じとしたが、必ずしも同じ周期としなくてもよく、送信ノード2からのデータの送信周期Tよりも長い周期としてもよく、短い周期としてもよい。
【0083】
また、上述した実施の形態では、受信ノード1に設ける受信アンテナを受信アンテナAと受信アンテナBの2つとしたが、さらに多くの受信アンテナを設けた場合にも同様に構成することが可能である。
【0084】
図23に受信ノード1の要部の機能ブロック図を示す。受信ノード1は、起動後、アンテナA,Bを交互に切り替え、その切り替えたアンテナを送信ノードからのデータの受信アンテナとする受信アンテナ切替制御部1Aと、登録されている送信ノードの各々についてその送信ノードからのデータの受信に成功した受信アンテナを最適受信アンテナとして記憶する最適受信アンテナ記憶部1Bと、登録されている送信ノードの全てからのデータの受信に成功した場合、最適受信アンテナ記憶部1Bが記憶している各送信ノードの最適受信アンテナに基づいて、その最適受信アンテナのうちの何れか1つを多数決(同数の場合はアンテナA,Bの何れか一方)によりベースアンテナとして決定するベースアンテナ決定部1Cと、ベースアンテナが決定された場合、受信アンテナ切替制御部1Aによる受信アンテナの切り替え制御を中断させ、その決定されたベースアンテナを受信アンテナとして固定する受信アンテナ固定部1Dとを備えている。
【0085】
また、受信ノード1は、受信アンテナ固定部1Dによる受信アンテナのベースアンテナへの固定中、登録されている送信ノードの各々について、その送信ノードからのデータを受信してから所定時間TX内に次のデータの送信があるか否かをチェックし、所定時間TX内に次のデータの送信を確認することができなかった場合、受信アンテナ切替制御部1Aによる受信アンテナの切り替え制御を再開させる受信アンテナ切替制御再開部1Eと、送信ノードからのデータの送信周期Tを記憶する送信周期記憶部1Fと、送信ノードからのデータの受信に成功した際の受信タイミングと送信ノードからのデータの送信周期Tとから送信ノードからのデータの次の送信タイミングtrnextを求める送信タイミング演算部1Gと、送信タイミング演算部1Gによって求められた次の送信タイミングtrnextを含む前後の所定期間(trnext±α)、送信ノードからのデータの受信に使用するアンテナがその送信ノードの最適受信アンテナでない場合、そのアンテナを当該送信ノードの最適受信アンテナに一時的に切り替える受信アンテナ強制切替制御部1Hとを備えている。
【0086】
なお、この受信ノード1において、最適受信アンテナ記憶部1Bには、受信アンテナ切替制御再開部1Eによる受信アンテナの切り替え制御の再開後、データの送信を確認することができなくなった送信ノードからのデータの受信に成功した場合、そのデータの受信に成功した受信アンテナが当該送信ノードの最適受信アンテナとして更新記憶される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の無線通信デバイスは、通信幹線無線化したメッシュネットワーク構造の中規模、大規模の監視制御システムなど様々な分野で利用することが可能である。具体的には、VAV(可変風量調節)による居室内空調システムへの利用などが考えられる。
【符号の説明】
【0088】
1…ルータ(受信ノード)、A,B…受信アンテナ、2(2−1,2−2)…エンドデバイス(送信ノード)、TB1…テーブル(状態監視テーブル)、1A…受信アンテナ切替制御部、1B…最適受信アンテナ記憶部、1C…ベースアンテナ決定部、1D…受信アンテナ固定部、1E…受信アンテナ切替制御再開部、1F…送信周期記憶部、1G…送信タイミング演算部、1H…受信アンテナ強制切替制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録されている送信デバイスから所定の送信周期で送られてくるデータを受信する無線通信デバイスにおいて、
複数のアンテナと、
起動後、前記複数のアンテナを所定間隔で順次切り替え、その切り替えたアンテナを前記送信デバイスからのデータの受信アンテナとする受信アンテナ切替制御手段と、
前記送信デバイスの各々についてその送信デバイスからのデータの受信に成功した受信アンテナを最適受信アンテナとして記憶する最適受信アンテナ記憶手段と、
前記送信デバイスの全てからのデータの受信に成功した場合、前記最適受信アンテナ記憶手段が記憶している各送信デバイスの最適受信アンテナに基づいて、その最適受信アンテナのうちの何れか1つをベースアンテナとして決定するベースアンテナ決定手段と、
前記ベースアンテナが決定された場合、前記受信アンテナ切替制御手段による受信アンテナの切り替え制御を中断させ、その決定されたベースアンテナを受信アンテナとして固定する受信アンテナ固定手段と
を備えることを特徴とする無線通信デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載された無線通信デバイスにおいて、
前記受信アンテナ固定手段による受信アンテナのベースアンテナへの固定中、前記送信デバイスの各々について、その送信デバイスからのデータを受信してから所定時間内に次のデータの送信があるか否かをチェックし、所定時間内に次のデータの送信を確認することができなかった場合、前記受信アンテナ切替制御手段による受信アンテナの切り替え制御を再開させる受信アンテナ切替制御再開手段と
を備えることを特徴とする無線通信デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載された無線通信デバイスにおいて、
前記最適受信アンテナ記憶手段は、
前記受信アンテナ切替制御再開手段による前記受信アンテナの切り替え制御の再開後、前記データの送信を確認することができなくなった送信デバイスからのデータの受信に成功した場合、そのデータの受信に成功した受信アンテナを当該送信デバイスの最適受信アンテナとして更新記憶する
ことを特徴とする無線通信デバイス。
【請求項4】
請求項1−3の何れか1項に記載された無線通信デバイスにおいて、
前記送信デバイスからのデータの送信周期を記憶する送信周期記憶手段と、
前記送信デバイスからのデータの受信に成功した際の受信タイミングと前記送信デバイスからのデータの送信周期とから前記送信デバイスからのデータの次の送信タイミングを求める送信タイミング演算手段と、
この送信タイミング演算手段によって求められた次の送信タイミングを含む前後の所定期間、前記送信デバイスからのデータの受信に使用するアンテナがその送信デバイスの最適受信アンテナでない場合、そのアンテナを当該送信デバイスの最適受信アンテナに一時的に切り替える受信アンテナ強制切替制御手段と
を備えることを特徴とする無線通信デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−147065(P2011−147065A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8109(P2010−8109)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】