説明

無線通信端末及び、無線基地局選択方法

【課題】DummyPRLを用いずに白ROM状態時の動作を実現する無線通信端末を提供する。
【解決手段】無線通信端末1において、ROM判定手段21は、無線通信部10が無線基地局装置100A〜100Zを捕捉した場合、ROM40に情報が記憶されているか否かを判定する。SID判定手段22は、ROM判定手段21がROM40に情報が記憶されていないと判定した場合、無線通信部10が捕捉した無線基地局装置100A〜100Zから受信する無線信号からSIDを読み出し、読み出したSIDと、PRL31に記憶されているSIDとに基づいて、読み出したSIDに対応する無線基地局装置100A〜100Zが商用の通信サービスを提供する無線基地局装置100A〜100Zであるか否かを判定し、商用の通信サービスを提供する無線基地局装置であると判定した場合、無線通信部10は、当該無線基地局装置を待ち受け処理の対象外とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に無線基地局装置との間で無線通信を行う携帯電話端末等の無線通信端末及び、無線基地局選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話等の無線通信端末では、電源がオンされ起動された際に、無線基地局装置に対する捕捉処理を行う。この捕捉処理に関する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
ところで、無線通信端末は、内部に備えるROM(Read Only Memory)に、利用者の加入者情報、すなわち、電話番号やESN(Electric Serial Number:製造番号)からなるID(Identifier)情報等の自端末情報が書き込まれている状態に応じて、次のような4つの名称で呼ばれている。すなわち、白ROM状態、黒ROM状態、灰ROM状態、異常ROM状態の4つの名称である。白ROM状態とは、自端末情報が全く書込まれていない状態である。黒ROM状態とは、商用の通信サービスを利用する場合の自端末情報(以下、通常の自端末情報と記載)が書込まれている状態である。灰ROM状態とは、OTA(Over The Air)という処理により無線基地局装置から送信される無線信号により通常の自端末情報を書込む際に用いられる仮自端末情報が書込まれている状態である。異常ROM状態とは、通常の自端末情報と仮自端末情報とが書込まれている状態である。
【0004】
上記の4状態の中で、白ROM状態時は、例えば、利用者が商用の通信サービスを契約する前、すなわち、端末が販売される前に販売店などで保管されている状態である。無線通信端末は、上述したように、起動された場合に捕捉処理が実施されて、捕捉処理が成功すると待ち受け状態となるため、白ROM状態の無線通信端末が商用の無線基地局装置を待ち受け対象としてしまうと、無線基地局装置との間で、位置登録などのために無駄に回線が接続されてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、この問題を解決するため、上記の白ROM状態にて無線通信端末に商用の無線基地局装置で待ち受け処理をさせないようにするためDummyPRL(Dummy Preferred Roaming List)を用いる技術が提案されている。
【0006】
ここで、PRL(Preferred Roaming List)とは、無線通信端末が待ち受け処理の対象として選択する無線基地局装置のSID(System ID)と、当該SIDの選択方法とが予め記憶されたデータ構造を有するデータである。また、SIDとは、無線基地局装置に予め付与される無線基地局装置を識別するための識別情報であり、商用の通信サービスを提供する無線基地局装置には商用のものとして特定の範囲のSID(以下、商用のSIDと記載)が通信事業者により予め付与される。
【0007】
通常、商用の通信サービスを利用する場合のPRL(以下、通常のPRLと記載)には、商用のSIDを有する無線基地局装置を待ち受け処理の対象とする情報が記憶されている。一方、DummyPRLには、商用のSIDを有する無線基地局装置を待ち受け処理の対象とはしないことを示す情報が記憶されている。つまり、DummyPRLに基づいて無線基地局装置の待ち受け可否の判定を行った場合、無線通信端末は、商用のSIDを有する無線基地局装置との間では待ち受け処理を実行しないことになる。なお、通常のPRLに記憶されているSIDに対応する無線基地局装置は、優先的に待ち受け処理を行う無線基地局装置を示しており、無線通信端末は、通常のPRLに記憶されているSID以外についても待ち受け処理を行うことは可能である。
【0008】
図5は、無線通信端末が、捕捉した無線基地局装置を待ち受け処理の対象とするか否かを判定する待ち受け可否判定処理の動作を示したフローチャートである。無線通信端末が起動すると、ROM状態の検出を行う(ステップSz1)。そして、検出したROM状態が白ROM状態であるか否かを記憶されている状態の有無により判定する(ステップSz2)。ROM状態が白ROM状態の場合、DummyPRLを無線通信端末の内部に備えられる不揮発性記憶領域から読み出し、読み出したDummyPRLに基づいて、捕捉した無線基地局装置を待ち受け処理の対象としてよいか否かを判定する待ち受け可否判定処理を開始する(ステップSz3)、ROM状態が白ROM状態でない場合、通常のPRLを不揮発性記憶領域から読み出し、読み出したPRLに基づいて、捕捉した無線基地局装置を待ち受け処理の対象としてよいか否かを判定する待ち受け可否判定処理を開始する(ステップSz4)。
【0009】
この処理により、白ROM状態の場合、商用のSIDの無線基地局装置を待ち受け処理の対象外とすることを可能としている。
【特許文献1】特開2000−69553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の処理を実現する構成は、商用の通信サービスを利用する際に用いられるPRLのデータの構造を流用したDummyPRLを用いて実現していることから利用対象とするデータを変更するだけの改良により白ROM状態時に、商用のSIDの無線基地局装置を待ち受け処理の対象外とすることを可能としている。
【0011】
しかしながら、DummyPRLを用いるためには、DummyPRLを記憶させておく記憶領域を確保しなければならないという問題がある。
【0012】
従来の無線通信端末の構成では、図6に示すように、記憶部の通常のPRLを記憶させておくデータ領域にDummyPRL用の領域を確保するか、あるいは起動時に起動されるプログラムに含まれるデータとして直接DummyPRLに設定する情報を記憶させておくといった手段が採用されている。
【0013】
また、新たなサービスが提供される場合や、サービスの内容が変更される場合には、通常のPRLを変更する場合、DummyPRLに対しても同様の変更を行わなければならないという問題があり、データ領域にDummyPRLを記憶させている場合、データ領域のDummyPRLを変更する必要があり、プログラムのデータとして記憶させている場合には、プログラムに対する変更を行う必要がある。
【0014】
また、通常のPRLは、無線通信端末に備えられるアップデート機能により無線基地局装置からデータをダウンロードして変更することができるが、このとき、DummyPRLについてもデータをダウンロードして変更しなければならないという問題がある。
【0015】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、その目的は、DummyPRLを用いずに白ROM状態時に商用の無線基地局装置を待ち受け処理の対象外とする無線通信端末、無線基地局選択方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した課題を解決するために本発明は、一意に識別可能な基地局識別情報が付与される無線基地局装置が送信する無線信号を受信し、受信した無線信号に基づいて所定の無線基地局装置を捕捉する無線通信部と、自端末に関連する自端末情報を記憶可能な第1の記憶部とを備えた無線通信端末であって、所定の通信サービスを提供する無線基地局装置の前記基地局識別情報を記憶する第2の記憶部と、前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されているか否かを判定する第1の判定手段と、前記無線通信部が前記所定の無線基地局装置を捕捉した場合に、当該所定の無線基地局装置から送信される無線信号から基地局識別情報を読み出し、読み出した基地局識別情報と前記第2の記憶部に記憶されている基地局識別情報とに基づいて、前記所定の無線基地局装置が前記所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であるか否かを判定する第2の判定手段とを備え、前記無線通信部は、前記第1の判定手段にて前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されていないと判定され、かつ前記第2の判定手段にて前記所定の無線基地局装置が前記所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であると判定された場合、前記所定の無線基地局装置を待ち受け処理の対象外とすることを特徴とする無線通信端末である。
【0017】
本発明は、上記に記載の発明において、前記第1の判定手段は、前記無線通信部によって前記所定の無線基地局装置との捕捉が成功した場合に、前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されているか否かを判定し、前記第2の判定手段は、前記第1の判定手段によって前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されていないと判定された場合に、前記所定の無線基地局装置が前記所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であるか否かを判定することを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記に記載の発明において、前記所定の通信サービスとは、商用の無線通信サービスであることを特徴とする。
【0019】
本発明は、一意に識別可能な基地局識別情報が付与される無線基地局装置が送信する無線信号を受信し、受信した無線信号に基づいて所定の無線基地局装置を捕捉する無線通信部と、自端末に関連する自端末情報を記憶可能な第1の記憶部とを備えた無線通信端末における無線基地局選択方法であって、所定の通信サービスを提供する無線基地局装置の前記基地局識別情報を第2の記憶部に記憶させるステップと、前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されているか否かを判定するステップと、前記無線通信部が前記所定の無線基地局装置を捕捉した場合に、当該所定の無線基地局装置から送信される無線信号から基地局識別情報を読み出すステップと、読み出した基地局識別情報と前記第2の記憶部に記憶されている基地局識別情報とに基づいて、前記所定の無線基地局装置が前記所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であるか否かを判定するステップと、前記無線通信部は、前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されていないと判定され、かつ前記所定の無線基地局装置が前記所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であると判定された場合、前記所定の無線基地局装置を待ち受け処理の対象外とするステップと、を含むことを特徴とする無線通信端末における無線基地局選択方法である。
【0020】
本発明は、上記に記載の発明において、前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されているか否かを判定するステップは、前記無線通信部によって前記所定の無線基地局装置の捕捉が成功した場合に実施され、前記所定の無線基地局装置が所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であるか否かを判定するステップは、前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されていないと判定された場合に実施されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、無線通信端末は、所定の通信サービスを提供する無線基地局装置の基地局識別情報を第2の記憶部に記憶させ、第1の記憶部に自端末情報が記憶されているか否かを判定し、無線通信部が所定の無線基地局装置を捕捉した場合に、当該所定の無線基地局装置から送信される無線信号から基地局識別情報を読み出し、読み出した基地局識別情報と第2の記憶部に記憶されている基地局識別情報とに基づいて、所定の無線基地局装置が所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であるか否かを判定し、前記無線通信部は、第1の記憶部に自端末情報が記憶されていないと判定し、かつ所定の無線基地局装置が所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であると判定した場合、所定の無線基地局装置に対して待ち受け処理の対象外とする構成とした。これにより、第1の記憶部に情報が記憶されていない場合には、所定の通信サービスを提供する所定の無線基地局装置を待ち受け対象外とすることが可能となる。すなわち、従来では、所定の通信サービスを提供する所定の無線基地局装置を待ち受け対象とするためのデータと待ち受け対象外とするためのデータとの2つのデータを用いて実現していた白ROM状態時に商用の無線基地局装置を待ち受け処理の対象外とする動作を1つのデータである第2の記憶部に記憶されている基地局識別情報を用いて実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る無線通信端末1の内部構成及び当該無線通信端末1と無線信号の送受信を行う複数の無線基地局装置100A〜100Zと無線通信端末1の配置関係を示す概略ブロック図である。
【0023】
複数の無線基地局装置100A〜100Zは、それぞれ一意に識別可能な基地局識別情報(以下、SID:System IDと記載)が付与されている。ここで、無線基地局装置100Aは、商用の通信サービスを提供する無線基地局装置であり、SIDとして12304が付与され、無線基地局装置100Zは、商用以外の無線基地局装置であり、例えば試験用の無線基地局装置などが該当する、SIDとして12320が付与されているとする。
【0024】
無線通信端末1において、無線通信部10は、内部に備えるRF(Radio Frequency)回路により、予め設定される幾つかの周波数を順次切り替えて、無線信号を受信することが可能であり、複数の無線基地局装置100A〜100Zを捕捉する。
【0025】
ここで、「捕捉する」とは、無線通信端末1が無線基地局装置100A〜100Zからの短周期PN符号に自端末の短周期PN符号を同期させることをいう。具体的には、無線通信部10は、複数の無線基地局装置100A〜100Zから送信されるパイロット信号をサーチし、サーチしたパイロット信号の中で受信強度の最も大きいものに自端末の短周期PN符号を同期させ、同期させることができた場合に捕捉が成功する。
【0026】
無線基地局装置100A〜100Zの捕捉後に、無線通信部10は、同期したパイロット信号と同じ周波数帯においてシンク(同期)チャネル(Walsh-32)を通じて、SCHM(Sync CHannel Message:同期チャネルメッセージ)を受信し、SCHMに含まれている基地局情報(短周期PNオフセット量など)、及びチャネル構成などのシステム報知情報を読み出す。このとき、SCHMに含まれているSIDも読み出す。そして、無線通信部10は、捕捉した無線基地局装置100A〜100Zが待ち受け処理の対象である場合には、ページングチャネルにて送信される無線信号を待ち受けることになる。
【0027】
記憶部(第2の記憶部)30は、不揮発性の記憶領域であり、PRL(Preferred Roaming List)31を記憶している。上述したようにPRL31は、無線通信端末1が待ち受け処理の対象として選択可能な無線基地局装置のSIDと、当該SIDの選択方法とが予め記憶されたデータ構造を有するデータであり、例えば、図2に示すように「SID」と「PREF_NEG」の項目を有している。「SID」には無線基地局装置100A〜100ZのSIDが記憶され、「PREF_NEG」には、待ち受け処理の対象とする無線基地局装置100A〜100Zについては「PREF」が設定され、待ち受け処理の対象としない無線基地局装置100A〜100Zについては、「NEG」が設定されることになる。例えば、図2の例では、SIDが12304の商用の無線基地局装置100Aのレコードついては「PREF」が設定され、SIDが12320の商用以外の無線基地局装置100Zのレコードついては「NEG」が設定される。
【0028】
ROM(Read Only Memory:第1の記憶部)40は、無線通信端末1に付与される電話番号やESNなどの自端末情報が、利用者の操作あるいは無線基地局装置を経由してサーバ装置等から受信する情報により書込まれる記憶媒体である。上述したようにROM40は、自端末情報が書込まれている状態により、白ROM状態、黒ROM状態、灰ROM状態、異常ROM状態の4つの名称で呼ばれる。
【0029】
制御部20は、無線通信端末1の各機能部間の動作の制御を行う機能を有している。本実施形態では、後述するROM判定手段21及びSID判定手段22を備えている。制御部20において、ROM判定手段21は、ROM40に記憶されている情報に基づいて、ROM40の状態が白ROM状態、黒ROM状態、灰ROM状態、異常ROM状態のいずれであるかを検出し、白ROM状態であるか否かを示す情報をSID判定手段22に入力する。なお、ROM判定手段21がROM40の状態を白ROM状態として検出する場合とは、ROM40に情報が記憶されていない場合等である。SID判定手段22は、無線通信部10がSCHMから読み出したSIDと、PRL31に記憶されている情報に基づいて無線通信部10に待ち受け処理を開始させるか否かを判定し、判定の結果に応じた指示情報を無線通信部10に入力する。
【0030】
音声入出力部12は、マイクロフォンとスピーカと音声処理回路を備えており、制御部20からの着信通知に従って着信時に着信音を鳴動する。また、音声入出力部12は、制御部20から入力される他の無線通信端末から受信した音声信号を復号化して出力する。また、音声入出力部12は、利用者の音声を集音して音声信号に変換し、符号化を行って制御部20に出力する。
【0031】
表示部13は、例えば液晶と表示制御回路等を具備しており、制御部20から入力される画像データ等を液晶へ表示する。操作部14は、例えばキーボード等を具備しており、利用者のキー操作を検出し、検出したキーの情報を制御部20に入力する。
【0032】
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態に係る無線通信端末1の白ROM状態において商用のSIDの無線通信基地局100Aとの間で待ち受け処理を開始させない、すなわち、商用のSIDの無線通信基地局100Aを待ち受け処理の対象外とする動作について説明する。
【0033】
図3に示すように、まず無線通信端末1の無線通信部10は、予め設定される幾つかの周波数を順次切り替えて、複数の無線基地局装置100A〜100Zのいずれか1つを捕捉する(ステップSa1)。無線通信部10は、チャネルを切り替えて、捕捉した無線基地局装置100A〜100Zのいずれか1つの無線基地局装置から送信されるSCHMを受信し(ステップSa2)、待ち受け可否判定処理を開始する(ステップSa3)。
【0034】
図4は、図3のステップSa3の待ち受け可否判定処理に対応する処理を示したフローチャートである。無線通信端末1の無線通信部10は、SCHMを受信し、受信したSCHMからSIDを読み出し、読み出したSIDを制御部20に入力する(ステップSb1)。次に、制御部20は、ROM40に記憶されている情報を入力し、ROM判定手段21は、この制御部20に入力されたROM40に記憶されている情報に基づき、ROM40のROM状態を検出する(ステップSb2)。
【0035】
次に、ROM判定手段21は、検出したROM状態が白ROM状態であるか否かを判定する(ステップSb3)。ROM判定手段21は、検出したROM状態が白ROM状態であると判定した場合、ROM状態が白ROM状態であることを示す情報をSID判定手段22に入力する。SID判定手段22は、ROM判定手段21からROM状態が白ROM状態であることを示す情報が入力されると、無線通信部10から入力されるSIDに対応する記憶部30のPRL31のレコードを検出し、無線通信部10から制御部20に入力されるSIDに対応する無線基地局装置が待ち受け処理の対象である商用の無線基地局装置であるか否かを判定する(ステップSb4)。
【0036】
例えば、無線通信部10が、商用の無線基地局装置100Aを捕捉し、SCHMから読み出したSIDが12304の場合、SID判定手段22は、図2に示すPRL31からは「SID」が12304、「PREF_NEG」がPREFのレコードを検出する。SID判定手段22は、検出したレコードに基づいて、SID:12304の無線基地局装置100Aは、待ち受け処理の対象となる無線基地局装置、すなわち商用の無線基地局装置であると判定する。そして、SID判定手段22は、白ROM状態にて商用の無線基地局装置100Aでは待ち受け処理を開始させないようにするため、表示部13に「圏外」の表示を出力させるか、あるいは、無線通信部10に他の無線基地局装置の捕捉の処理を行わせる(ステップSb5)。
【0037】
一方、無線通信部10が、商用以外の無線基地局装置100Zを捕捉し、SCHMから読み出したSIDが12320の場合、SID判定手段22は、図2に示すPRL31からは「SID」が12320、「PREF_NEG」がNEGのレコードを検出する。SID判定手段22は、検出したレコードに基づいて、SID:12320の無線基地局装置100Zは、待ち受け処理の対象でない無線基地局装置、すなわち商用以外の無線基地局装置であると判定する。そして、SID判定手段22は、白ROM状態にて商用以外の無線基地局装置については待ち受け処理を開始させてよいため、待ち受け処理開始の指示情報を無線通信部10に入力し、無線通信部10に待ち受け処理を開始させる(ステップSb6)。
【0038】
一方、ステップSb3において、ROM判定手段21が、検出したROM状態が白ROM状態でないと判定した場合、ROM判定手段21は、ROM状態が白ROM状態でないことを示す情報をSID判定手段22に入力する。SID判定手段22は、ROM判定手段21からROM状態が白ROM状態でないことを示す情報が入力されると、通常の待ち受け可否判定を行うため、無線通信部10から入力されるSIDに対応する記憶部30のPRL31のレコードを検出し、無線通信部10から入力されるSIDに対応する無線基地局装置が待ち受け処理の対象の商用の無線基地局装置であるか否かを判定する(ステップSb7)。
【0039】
例えば、無線通信部10が、商用の無線基地局装置100Aを捕捉し、SCHMから読み出したSIDが12304の場合、SID判定手段22は、図2に示すPRL31からは「SID」が12304、「PREF_NEG」がPREFのレコードを検出する。SID判定手段22は、検出したレコードに基づいて、SID:12304の無線基地局装置100Aは、待ち受け処理の対象となる無線基地局装置、すなわち商用の無線基地局装置であると判定し、待ち受け処理開始の指示情報を無線通信部10に入力し、無線通信部10に待ち受け処理を開始させる(ステップSb6)。
【0040】
一方、無線通信部10が、商用以外の無線基地局装置100Zを捕捉し、SCHMから読み出したSIDが12320の場合、SID判定手段22は、図2に示すPRL31からは「SID」が12320、「PREF_NEG」がNEGのレコードを検出する。SID判定手段22は、検出したレコードに基づいて、SID:12320の無線基地局装置100Zは、待ち受け処理の対象でない無線基地局装置、すなわち商用以外の無線基地局装置であると判定する。そして、SID判定手段22は、表示部13に「圏外」の表示を出力させるか、あるいは、無線通信部10に他の無線基地局装置の捕捉の処理を行わせる(ステップSb8)。
【0041】
上記の実施形態の構成により、図6に示した従来の無線通信端末のようにDummyPRLを用いて白ROM状態を実現する必要がなくなり、記憶部30の記憶領域の容量を節約することが可能となる。
【0042】
また、上記の実施形態の構成により、新たなサービスが提供される場合や、サービスの内容が変更される場合であっても、PRL31のみを変更すればよく、DummyPRLの作成に要する時間が必要でなくなり、変更作業に要する時間を短縮することが可能となる。
【0043】
また、上記の実施形態の構成により、無線通信端末1に備えられるアップデート機能により無線基地局装置からPRLをダウンロードして変更する場合に、DummyPRLをダウンロードする必要がなくなるため、ダウンロードに必要となる時間を短縮し、トラヒック量を少なくすることができる。
【0044】
なお、上記の実施形態では、PRL31に設定する情報を商用のSIDについては「PREF_NEG」の項目にPREFを設定し、商用以外のSIDについてはNEGを設定するようにしていたが、本発明は、この実施形態に限られず、例えば、「SID」の項目のみを用いて、SID判定手段22が、PRL31にSIDの値が設定されているものについては待ち受け処理の対象の商用の無線基地局装置であると判定し、PRL31にSIDの値が設定されていないものは、商用以外の無線基地局装置であり、白ROM状態での待ち受け処理の対象となる無線基地局装置であると判定してもよい。また、PRL31の「SID」には「12301−12319」のように範囲指定することや、全てのSIDを示すワイルドカード等を用いることもでき、これらの設定に合わせて、SCHMから読み出したSIDと、PRL31に設定されている情報に基づいて、SCHMから読み出したSIDに対応する無線基地局装置が商用で待ち受け処理の対象となる無線基地局装置か否かを判定するようにしてもよい。
【0045】
なお、本発明に記載の第1の記憶部は、ROM40に対応し、第2の記憶部は、記憶部30のPRL31が記憶されている記憶領域に対応し、第1の判定手段は、ROM判定手段21に対応し、第2の判定手段は、SID判定手段22に対応する。
【0046】
上述の無線通信端末1は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述したROM判定手段21、SID判定手段22に係る処理は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態の無線通信端末の内部構成及び無線基地局装置と無線端末装置の配置関係を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係るPRLのデータ構成を示した図である。
【図3】同実施形態に係る無線通信端末の無線基地局の捕捉処理を示したシーケンス図である。
【図4】同実施形態に係る無線通信端末の待ち受け可否判定処理を示したフローチャートである。
【図5】従来の無線通信端末による待ち受け可否判定処理を示したフローチャートである。
【図6】従来の無線通信端末の内部構成を示した図である。
【符号の説明】
【0048】
1 無線通信端末
10 無線通信部
11 アンテナ
12 音声入出力部
13 表示部
14 操作部
20 制御部
21 ROM判定手段
22 SID判定手段
30 記憶部
31 PRL
40 ROM
100A〜100Z 無線基地局装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一意に識別可能な基地局識別情報が付与される無線基地局装置が送信する無線信号を受信し、受信した無線信号に基づいて所定の無線基地局装置を捕捉する無線通信部と、自端末に関連する自端末情報を記憶可能な第1の記憶部とを備えた無線通信端末であって、
所定の通信サービスを提供する無線基地局装置の基地局識別情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されているか否かを判定する第1の判定手段と、
前記無線通信部が前記所定の無線基地局装置を捕捉した場合に、当該所定の無線基地局装置から送信される無線信号から基地局識別情報を読み出し、読み出した基地局識別情報と前記第2の記憶部に記憶されている基地局識別情報とに基づいて、前記所定の無線基地局装置が前記所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であるか否かを判定する第2の判定手段とを備え、
前記無線通信部は、
前記第1の判定手段にて前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されていないと判定され、かつ前記第2の判定手段にて前記所定の無線基地局装置が前記所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であると判定された場合、前記所定の無線基地局装置を待ち受け処理の対象外とする
ことを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記第1の判定手段は、
前記無線通信部によって前記所定の無線基地局装置との捕捉が成功した場合に、前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されているか否かを判定し、
前記第2の判定手段は、
前記第1の判定手段によって前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されていないと判定された場合に、前記所定の無線基地局装置が前記所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記所定の通信サービスとは、
商用の無線通信サービスである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信端末。
【請求項4】
一意に識別可能な基地局識別情報が付与される無線基地局装置が送信する無線信号を受信し、受信した無線信号に基づいて所定の無線基地局装置を捕捉する無線通信部と、自端末に関連する自端末情報を記憶可能な第1の記憶部とを備えた無線通信端末における無線基地局選択方法であって、
所定の通信サービスを提供する無線基地局装置の前記基地局識別情報を第2の記憶部に記憶させるステップと、
前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されているか否かを判定するステップと、
前記無線通信部が前記所定の無線基地局装置を捕捉した場合に、当該所定の無線基地局装置から送信される無線信号から基地局識別情報を読み出すステップと、
読み出した基地局識別情報と前記第2の記憶部に記憶されている基地局識別情報とに基づいて、前記所定の無線基地局装置が前記所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であるか否かを判定するステップと、
前記無線通信部は、前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されていないと判定され、かつ前記所定の無線基地局装置が前記所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であると判定された場合、前記所定の無線基地局装置を待ち受け処理の対象外とするステップと、
を含むことを特徴とする無線通信端末における無線基地局選択方法。
【請求項5】
前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されているか否かを判定するステップは、
前記無線通信部によって前記所定の無線基地局装置の捕捉が成功した場合に実施され、
前記所定の無線基地局装置が所定の通信サービスを提供する無線基地局装置であるか否かを判定するステップは、前記第1の記憶部に前記自端末情報が記憶されていないと判定された場合に実施される
ことを特徴とする請求項4に記載の無線通信端末における無線基地局選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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