説明

無線通信端末

【課題】複数の未参加の無線通信端末を既存の無線ネットワークに加える場合に、参加セットアップ処理の待ち時間を短くし、また全ての未参加の無線通信端末が参加済みとなるまでの時間を短縮することができる無線通信端末を提供する。
【解決手段】送信部14は、トリガ受付部11が第1セットアップ処理を開始するトリガを受け付けた後、他の無線通信端末のセットアップ情報の取得要求を送信する。受信部15は、取得要求を受信した他の無線通信端末から送信された応答を受信する。制御部10は、複数の無線通信端末から、第1のセットアップ処理を示すセットアップ情報を含む応答を受信した場合、送信部に、第1セットアップ処理を行う複数の無線通信端末を発見したことを示すエラー情報を複数の無線通信端末に対して送信させる制御を行うと共に、自身の無線通信端末が行う参加セットアップ処理を第2セットアップ処理に設定する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークに参加中の無線通信端末との間で参加セットアップ処理を行って無線ネットワークに参加する無線通信端末、および無線ネットワークに未参加の無線通信端末との間で参加セットアップ処理を行う、無線ネットワークに参加中の無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線LAN機能を有する無線通信端末がアクセスポイント(以下、APと略記する)の提供するネットワーク(インフラストラクチャネットワーク)に参加するには、無線通信端末においてネットワークID(SSID)、認証方式、暗号化方式、および暗号キーといった様々な情報(ネットワーク設定情報)を設定する必要があった。また、この設定を行うには無線通信端末上で様々な設定の入力を要していた。この設定の入力は複雑であったため、特に無線LAN技術に不慣れなユーザにとっては、設定を行うのは困難であった。
【0003】
この問題に対し、ネットワーク設定情報の設定処理(参加セットアップ処理)を簡単に行い、無線通信端末をインフラストラクチャネットワークに参加させるための無線LANの業界標準の技術として、非特許文献1が公開されている。この非特許文献1であるWi−Fi Protected Setup(TM) Specification 1.0(以下、WPSと略する)は、例えば、https://www.wi−fi.org/knowledge_center_overview.php?type=4より入手可能である。
【0004】
WPSではいくつかのセットアップ方式が規定されている。例えば、第1のセットアップ方式として、無線LAN機能を有しネットワークへの参加を希望する未参加の無線通信端末と、ネットワーク内の参加済みの無線通信端末(主にAP)とのそれぞれにおいて、ユーザが実際のボタンを押す、またはGUI機能(グラフィカルユーザインタフェース機能)を利用してユーザが画面上のボタンを押すことで、WPSで定義された固定値を参加セットアップ処理時の識別情報として双方の無線通信端末で用いて参加セットアップ処理を行う方式(以下、PBC方式と略する)がある。また、第2のセットアップ方式として、未参加の無線通信端末で任意の値として生成されて画面に表示されたPINコードを参加セットアップ処理時の識別情報として参加済みの無線通信端末(主にAP)へ入力することで参加セットアップ処理を行う方式(以下、PIN方式と略する)がある。
【0005】
これらのセットアップ方式による参加セットアップ処理を行うことにより、APが保有するネットワーク設定情報を安全に無線通信端末に渡すことができる。WPSによるネットワーク設定情報の受け渡しが終了した後、暗号キー等の入力といった面倒な作業をユーザが行う必要なく、無線通信端末は、渡されたネットワーク設定情報を設定することができ、APとの間で必要に応じて認証処理を実施し、APとの間でデータ通信を行うことができる。なお、APへPINコードを入力する際は、例えばAPが所属するネットワーク内の他の端末からブラウザを用いて入力することにより実施できる。これらのセットアップ方式においては、一般にPIN方式よりもPBC方式の方がユーザにとって簡便であり、また直感的な操作で実施できるため、PBC方式が主に使われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE Std. 802.11(TM)−2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、近年、APを必要とするインフラストラクチャモードとは異なり、無線通信端末同士が直接無線LAN通信を行うアドホックモードが、ゲーム機やカメラといった携帯型端末を中心に普及し始めている。アドホックモードでは、インフラストラクチャモードにおけるAPのような、ネットワーク内で中心となる端末は存在せず、それぞれの端末が対等な立場で通信を行う。
【0008】
アドホックモードにおいても、インフラストラクチャモードと同様にネットワーク設定情報の設定は複雑であり、従来のWPSをアドホックネットワークでも動作できるようにすることが望ましい。その際、アドホックモードでは、インフラストラクチャモードにおけるAPのようなネットワークを管理する立場の端末が存在しないため、例えばPBC方式であれば参加済みのいずれの無線通信端末でボタンが押されても、未参加の無線通信端末との間で参加セットアップ処理が可能となりうる。
【0009】
ここで、既存のアドホックネットワークに参加済みの複数の無線通信端末が存在する状態で、WPSのPBC方式により、未参加の複数の無線通信端末をこのアドホックネットワークに参加させる場合の例を図10および図11に示す。図10(a)に示すように、無線通信端末130,131はアドホックネットワーク180に参加済みであり、無線通信端末132,133はアドホックネットワーク180に未参加である。
【0010】
PBC方式により未参加の複数の無線通信端末をアドホックネットワークに参加させる場合、ユーザが参加済みの任意の1台の無線通信端末130と、最初に参加させたい未参加の1台の無線通信端末132とでボタンを押すと(図10(a))、それらの無線通信端末間で参加セットアップ処理が実施される(図10(b))。参加セットアップ処理が完了すると、未参加であった無線通信端末132は、参加セットアップ処理を行うことによりアドホックネットワーク180に参加済みの無線通信端末となる(図10(c))。
【0011】
ユーザは参加セットアップ処理の完了を目視で確認した後、引き続き、参加済みの任意の1台の無線通信端末130と、次に参加させたい未参加の1台の無線通信端末133とでボタンを押す(図11(a))。図11(a)では、ボタンが押される参加済みの無線通信端末130は、先の参加セットアップ処理でボタンが押された参加済みの無線通信端末であるが、それ以外の参加済みの無線通信端末でもよい。それらボタンが押された無線通信端末間で参加セットアップ処理が実施される(図11(b))。参加セットアップ処理が完了すると、未参加であった無線通信端末133は、参加セットアップ処理を行うことによりアドホックネットワーク180に参加済みの無線通信端末となる(図11(c))。このようにして、複数の未参加の無線通信端末は既存のアドホックネットワークに参加することができる。
【0012】
しかしながら、WPSの参加セットアップ処理は、種々のメッセージ交換を要することと、処理中に複雑な計算を要することから、長いもので参加セットアップ処理に数十秒を有する場合がある。上述した手順では、ユーザは参加セットアップ処理の終了を目視で確認し、その後再びボタンを押すことになるため、ユーザがボタンを押すために拘束される時間が長く、また、すべての未参加の無線通信端末が参加済みとなるまでに時間を要するという問題がある。
【0013】
一方、図12に示すように、双方の無線通信端末でボタンが押され(図12(a))、参加セットアップ処理の完了を待たずに、先にボタンを押した参加済みの無線通信端末130および未参加の無線通信端末132それぞれとは別の参加済みの無線通信端末131および未参加の無線通信端末133のボタンを押すことが可能である(図12(b))。しかし、この場合、未参加の無線通信端末133は、ボタンが押された参加済みの無線通信端末を複数発見するため(図12(c))、ボタンが押された参加済みのどの無線通信端末と参加セットアップ処理を行うべきかを確定することができない状況となり、WPSにおける複数の無線通信端末を発見したことを示すエラーが発生する(図12(d))。そのため、図10および図11の手順での問題である、ユーザがボタンを押すために拘束される時間が長く、また、全ての未参加の無線通信端末が参加済みとなるまでに時間を要するという問題を解決することができない。
【0014】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、複数の未参加の無線通信端末を既存の無線ネットワークに加える場合に、参加セットアップ処理の待ち時間を短くし、また全ての未参加の無線通信端末が参加済みとなるまでの時間を短縮することができる無線通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、無線ネットワークに未参加の無線通信端末が前記無線ネットワークに参加するために前記無線ネットワークに参加中の無線通信端末との間で行う参加セットアップ処理のうち、前記無線ネットワークへの参加に必要な認証識別子が固定値である処理を第1セットアップ処理、前記認証識別子が固定値でない処理を第2セットアップ処理とするとき、前記無線ネットワークに未参加である状態で、前記第1セットアップ処理を開始するトリガを受け付けるトリガ受付部と、前記トリガを受け付けた後、他の無線通信端末が行う参加セットアップ処理を示すセットアップ情報の取得要求を送信する送信部と、前記取得要求を受信した前記他の無線通信端末から送信された、前記セットアップ情報を含む応答を受信する受信部と、複数の無線通信端末から、前記第1のセットアップ処理を示す前記セットアップ情報を含む応答を受信した場合、前記送信部に、前記第1セットアップ処理を行う複数の無線通信端末を発見したことを示すエラー情報を前記複数の無線通信端末に対して送信させる制御を行うと共に、自身の無線通信端末が行う前記参加セットアップ処理を前記第2セットアップ処理に設定する制御を行う制御部と、を有する無線通信端末である。
【0016】
また、本発明の無線通信端末において、前記制御部は、前記送信部が送信した前記エラー情報に対して前記複数の無線通信端末の少なくとも1つから応答が受信された場合、前記送信部に、前記第2セットアップ処理の開始を示す開始情報を、前記エラー情報に対する応答を送信した無線通信端末に対して送信させる制御を行う。
【0017】
また、本発明は、無線ネットワークに未参加の無線通信端末が前記無線ネットワークに参加するために前記無線ネットワークに参加中の無線通信端末との間で行う参加セットアップ処理のうち、前記無線ネットワークへの参加に必要な認証識別子が固定値である処理を第1セットアップ処理、前記認証識別子が固定値でない処理を第2セットアップ処理とするとき、前記無線ネットワークに参加中である状態で、前記第1セットアップ処理を開始するトリガを受け付けるトリガ受付部と、前記トリガを受け付けた後、前記未参加の無線通信端末から、他の無線通信端末が行う参加セットアップ処理を示すセットアップ情報の取得要求を受信する受信部と、前記取得要求を受信した場合、前記第1セットアップ処理を示す前記セットアップ情報を含む応答を前記未参加の無線通信端末へ送信する送信部と、無線ネットワークに未参加のいずれの無線通信端末との間においても前記第1セットアップ処理を実行していないときに、前記受信部が、前記第1セットアップ処理を行う複数の無線通信端末を発見したことを示すエラー情報を受信した場合、自身の無線通信端末が行う前記参加セットアップ処理を前記第2セットアップ処理に設定する制御を行う制御部と、を有する無線通信端末である。
【0018】
また、本発明の無線通信端末において、前記制御部は、前記受信部が前記エラー情報の送信元の無線通信端末から前記第2セットアップ処理の開始を示す開始情報を受信するまで、前記第2セットアップ処理の開始を待機する制御を行う。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1セットアップ処理を行う複数の無線通信端末が存在する場合に、第1セットアップ処理を開始するトリガを受け付けた無線通信端末における参加セットアップ処理が第2セットアップ処理に設定されるので、無線ネットワークに参加中のどの無線通信端末と参加セットアップ処理を行うべきかを確定することができない状況が発生しなくなる。したがって、複数の未参加の無線通信端末を既存の無線ネットワークに加える場合に、参加セットアップ処理の待ち時間を短くし、また全ての未参加の無線通信端末が参加済みとなるまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による無線通信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態による無線通信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態による無線通信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による無線通信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態による無線通信端末の動作の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による無線通信端末同士の通信手順を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の一実施形態による無線通信端末同士の通信手順を示すシーケンス図である。
【図9】本発明の一実施形態による無線通信端末同士の通信手順を示すシーケンス図である。
【図10】未参加の無線通信端末をアドホックネットワークに参加させる手順を示す参考図である。
【図11】未参加の無線通信端末をアドホックネットワークに参加させる手順を示す参考図である。
【図12】未参加の無線通信端末をアドホックネットワークに参加させる手順を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態による無線通信端末(後述する無線通信端末1〜4)の構成を示している。図1に示す無線通信端末は、制御部10と、トリガ受付部11と、表示部12と、記憶部13と、送信部14と、受信部15とを有する。
【0022】
制御部10は、無線通信端末内の各部を制御する。トリガ受付部11は、ユーザが操作するボタン等の操作部材を備えており、参加セットアップ処理を開始するトリガの発生を検知し、トリガを受け付ける。トリガ受付部11は、PBC方式による参加セットアップ処理(第1セットアップ処理)およびPIN方式による参加セットアップ処理(第2セットアップ処理)のいずれのトリガを受け付けることも可能である。
【0023】
PBC方式の場合、トリガ受付部11は、ユーザが操作部材としてのボタンを押したこと、あるいはユーザがGUI機能を利用して表示部12の画面上のボタンを押したことまたはボタンを押すことに相当するメニューの選択を検出することで、参加セットアップ処理を開始するトリガを受け付ける。また、PIN方式の場合、トリガ受付部11は、セットアップ用のアプリケーションが起動(ユーザの操作によりアプリケーションが起動、あるいは無線通信端末の電源投入後に自動でアプリケーションが起動)することを検出することで、参加セットアップ処理を開始するトリガを受け付ける。トリガ受付部11は、参加セットアップ処理を開始するトリガを受け付けた場合、セットアップ方式に応じたトリガの発生を示す信号を制御部10へ出力する。制御部10は、トリガ受付部11からの信号に基づいて、セットアップ方式に応じたトリガの発生を検出する。
【0024】
表示部12は、ユーザに提供する各種情報を表示する。記憶部13は、無線通信端末内で処理に使用される各種情報を記憶する。送信部14は、制御部10からの制御に従って、他の無線通信端末に情報やデータを送信する。受信部15は、他の無線通信端末から情報やデータを受信する。受信部15は、他の無線通信端末から情報やデータを受信した場合、受信した情報やデータを制御部10へ出力する。制御部10へ出力された情報やデータは、適宜、記憶部13に格納される。
【0025】
本実施形態では、ユーザがWPSのPBC方式に基づいて複数の未参加の無線通信端末を既存のアドホックネットワークに参加させる際に、アドホックネットワーク内の複数の無線通信端末がPBC方式に基づいて動作していることを未参加の無線通信端末が検知すると、この未参加の無線通信端末およびアドホックネットワーク内の無線通信端末のうち参加セットアップ処理を実施中でない1台の無線通信端末においてセットアップ方式がPIN方式に変更される。これにより、未参加の無線通信端末が、参加中のどの無線通信端末と参加セットアップ処理を行うべきかを確定することができない状況が発生しなくなる。
【0026】
次に、図2〜図9を参照し、無線通信端末の詳細な動作を説明する。図2〜図6は、無線通信端末の詳細な処理手順を示している。図7〜図9は、図2〜図6に従った動作の具体例を示している。図7〜図9を参照した後、図2〜図6を参照することで、図7〜図9の動作の理解がより深まるであろう。
【0027】
図2〜図3は、主にアドホックネットワークに参加していない未参加の無線通信端末の動作を示している。まず、制御部10は、自身の無線通信端末がアドホックネットワークに参加済みであるか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101の判定は、無線通信端末自身の内部の状態に基づいて行われる。記憶部13にネットワーク設定情報が格納されており、そのネットワーク設定情報に対応するアドホックネットワークのTSF Timerに自身のTSF Timerが同期していればアドホックネットワークに参加済みであり、同期していなければアドホックネットワークに参加済みでない。
【0028】
自身の無線通信端末がアドホックネットワークに参加済みである場合、処理は図4のステップS130に進む。また、自身の無線通信端末がアドホックネットワークに参加済みでない場合、制御部10は、トリガ受付部11の状態を監視し、PBC方式による参加セットアップ処理を開始するトリガの発生の有無を判定する(ステップS102)。
【0029】
PBC方式による参加セットアップ処理を開始するトリガが発生している場合、制御部10は、自身の無線通信端末のセットアップ方式をPBC方式に設定するとともに、発生したトリガを解除する。なお、以降のトリガの発生を確認した各ステップにおいても同様に、発生したトリガを解除するものとする。さらに、制御部10は、自身の無線通信端末のセットアップ方式がPBC方式であることを示すPBC方式情報(セットアップ情報)を含むProbe Request(取得要求)を送信するよう、送信部14を制御する。制御部10からの制御により、送信部14はProbe Requestを送信する(ステップS103)。なお、Probe Requestの送信先はブロードキャストである。
【0030】
続いて、制御部10は、PBC方式情報を含むProbe Responseを他の無線通信端末から受信したか否かを判定する(ステップS104)。PBC方式情報を含むProbe Responseを他の無線通信端末から受信していない場合、処理はステップS103に進む。また、PBC方式情報を含むProbe Responseを他の無線通信端末から受信した場合、制御部10は、PBC方式情報を含むProbe Responseを複数の無線通信端末から受信しているか否かを判定する(ステップS105)。
【0031】
PBC方式情報を含むProbe Responseを複数の無線通信端末から受信している場合、処理は図3のステップS112に進む。また、PBC方式情報を含むProbe Responseを1台の無線通信端末のみから受信している場合、制御部10は、PBC方式情報を含むProbe Responseの送信元である無線通信端末とPBC方式による参加セットアップ処理を実施するよう、無線通信端末内の各部を制御する(ステップS106)。なお、PBC方式による参加セットアップ処理では、最初に参加セットアップ処理開始通知(開始情報)が送信され、続いてネットワーク設定情報を受信するために必要となる種々のメッセージが参加セットアップ処理開始通知の送信元と送信先との間で交換され、その後ネットワーク設定情報が受信される。参加セットアップ処理の終了後、制御部10は参加セットアップ処理が成功したか否かを判定する(ステップS107)。
【0032】
参加セットアップ処理が失敗した場合、処理はステップS102に進む。また、参加セットアップ処理が成功した場合、制御部10は、参加セットアップ処理で取得したネットワーク設定情報に基づいて、必要に応じて認証処理を実施し、参加セットアップ処理の相手の無線通信端末が参加しているアドホックネットワークに参加する(ステップS108)。アドホックネットワークへの参加は、自身のTSF Timerを、受信したProbe Responseに含まれるTSF Timerの値に同期させることで、完了する。続いて、処理は図4のステップS130に進む。
【0033】
ステップS102において、PBC方式による参加セットアップ処理を開始するトリガが発生していない場合、制御部10は、トリガ受付部11の状態を監視し、PIN方式による参加セットアップ処理を開始するトリガの発生の有無を判定する(ステップS109)。PIN方式による参加セットアップ処理を開始するトリガが発生していない場合、処理はステップS102に進む。また、PIN方式による参加セットアップ処理を開始するトリガが発生している場合、制御部10は、自身の無線通信端末のセットアップ方式をPIN方式に設定する。さらに、制御部10は、PIN方式情報を含むProbe Responseの送信元である無線通信端末とPIN方式による参加セットアップ処理を実施するよう、無線通信端末内の各部を制御する(ステップS110)。なお、PIN方式による参加セットアップ処理では、PBC方式による参加セットアップ処理と同様に、参加セットアップ処理開始通知(開始情報)の送信、種々のメッセージ交換、ネットワーク設定情報の受信が行われる。さらに、PIN方式による参加セットアップ処理の場合は、参加セットアップ処理開始通知の送信前、または種々のメッセージ交換の最中にPINコードの表示が行われる。
【0034】
参加セットアップ処理の終了後、制御部10は参加セットアップ処理が成功したか否かを判定する(ステップS111)。参加セットアップ処理が失敗した場合、処理はステップS102に進む。また、参加セットアップ処理が成功した場合、処理はステップS108に進む。
【0035】
ステップS105において、PBC方式情報を含むProbe Responseを複数の無線通信端末から受信している場合、アドホックネットワークに参加済みであって、PBC方式による参加セットアップ処理を開始するトリガが発生している複数の無線通信端末からProbe Responseが受信されたことになる。この場合、制御部10は、自身の無線通信端末のセットアップ方式をPIN方式に設定する。さらに、制御部10は、自身の無線通信端末のセットアップ方式がPIN方式であることを示すPIN方式情報と、PBC方式による参加セットアップ処理を行う複数の無線通信端末を発見したことを示すセッションオーバーラップエラー情報とを含むProbe Requestを送信するよう、送信部14を制御する。制御部10からの制御により、送信部14はProbe Requestを送信する(ステップS112)。
【0036】
続いて、制御部10は、PIN方式情報を含むProbe Responseを他の無線通信端末から受信したか否かを判定する(ステップS113)。PIN方式情報を含むProbe Responseを他の無線通信端末から受信していない場合、制御部10は、PBC方式情報を含むProbe Responseを他の無線通信端末から受信したか否かを判定する(ステップS119)。
【0037】
PBC方式情報を含むProbe Responseを他の無線通信端末から受信していない場合、処理はステップS112に進む。また、PBC方式情報を含むProbe Responseを他の無線通信端末から受信した場合、制御部10は、自身の無線通信端末のセットアップ方式がPIN方式であることを示すPIN方式情報と、ノーエラーの情報とを含むProbe Requestを送信するよう、送信部14を制御する。ここでは、Probe Requestにノーエラーの情報が含まれるとしているが、Probe Requestにエラーの情報を含まなくてもよい。制御部10からの制御により、送信部14はProbe Requestを送信する(ステップS120)。続いて、処理はステップS113に進む。
【0038】
ステップS113において、PIN方式情報を含むProbe Responseを他の無線通信端末から受信した場合、制御部10は、PIN方式情報を含むProbe Responseの送信元である無線通信端末とPIN方式による参加セットアップ処理を実施するよう、無線通信端末内の各部を制御する(ステップS114)。参加セットアップ処理の終了後、制御部10は参加セットアップ処理が成功したか否かを判定する(ステップS115)。
【0039】
参加セットアップ処理が成功した場合、制御部10は、参加セットアップ処理で取得したネットワーク設定情報に基づいて、必要に応じて認証処理を実施し、参加セットアップ処理の相手の無線通信端末が参加しているアドホックネットワークに参加する(ステップS118)。続いて、処理は図4のステップS130に進む。
【0040】
ステップS115において、参加セットアップ処理が失敗した場合、制御部10は、これまでに受信されているProbe Responseをチェックし、参加セットアップ処理を実施した相手の無線通信端末以外の無線通信端末からもPIN方式情報を含むProbe Responseを受信したか否かを判定する(ステップS116)。
【0041】
参加セットアップ処理を実施した相手の無線通信端末以外の無線通信端末からPIN方式情報を含むProbe Responseを受信していない場合、処理はステップS102に進む。また、参加セットアップ処理を実施した相手の無線通信端末以外の無線通信端末からPIN方式情報を含むProbe Responseを受信している場合、制御部10は、PIN方式情報を含むProbe Responseの送信元である無線通信端末のうち、まだ参加セットアップ処理を実施していない任意の1台の無線通信端末とPIN方式による参加セットアップ処理を実施するよう、無線通信端末内の各部を制御する(ステップS117)参加セットアップ処理の終了後、処理はステップS115に進む。
【0042】
図4、図5、図6は、主にアドホックネットワークに参加済みの無線通信端末の動作を示している。アドホックネットワークに参加済みの無線通信端末において、まず、制御部10は、Probe Requestの受信に対するProbe Responseの送信を開始する(ステップS130)。これ以降、図4〜図6に示す処理と並行して、Probe Requestが受信された場合に、制御部10は、その時点でProbe Responseに含める設定がなされている情報(セットされている情報)を含むProbe Responseを送信するよう、送信部14を制御する。制御部10からの制御により、送信部14はProbe Responseを送信する。
【0043】
ステップS130に続いて、制御部10は、トリガ受付部11の状態を監視し、PBC方式による参加セットアップ処理を開始するトリガの発生の有無を判定する(ステップS131)。PBC方式による参加セットアップ処理を開始するトリガが発生していない場合、制御部10は、トリガ受付部11の状態を監視し、PIN方式による参加セットアップ処理を開始するトリガの発生の有無を判定する(ステップS134)。PIN方式による参加セットアップ処理を開始するトリガが発生していない場合、処理は図6のステップS151に進む。また、PIN方式による参加セットアップ処理を開始するトリガが発生している場合、制御部10は、自身の無線通信端末のセットアップ方式をPIN方式に設定する。さらに、制御部10は、PIN方式による参加セットアップ処理を開始するトリガが発生した他の無線通信端末とPIN方式による参加セットアップ処理を開始するよう、無線通信端末内の各部を制御する(ステップS135)。これ以降、図4〜図6に示す処理と並行して、PIN方式による参加セットアップ処理が行われる。
【0044】
ステップS131において、PBC方式による参加セットアップ処理を開始するトリガが発生している場合、制御部10は、自身の無線通信端末のセットアップ方式をPBC方式に設定する。さらに、制御部10は、これ以降に送信するProbe ResponseにPBC方式情報を含める(PBC方式情報をセットする)よう、無線通信端末の設定を変更する(ステップS132)。これ以降、Probe Requestが受信されると、制御部10は、PBC方式情報を含むProbe Responseを送信するよう、送信部14を制御し、制御部10からの制御により、送信部14はProbe Responseを送信する。
【0045】
ステップS132に続いて、制御部10は、PBC方式情報を含むProbe Requestを他の無線通信端末から受信したか否かを判定する(ステップS133)。PBC方式情報を含むProbe Requestを他の無線通信端末から受信していない場合、処理は図5のステップS139に進む。また、PBC方式情報を含むProbe Requestを他の無線通信端末から受信した場合、制御部10は、PBC方式情報を含むProbe Requestの送信元の無線通信端末から参加セットアップ処理開始通知を受信した否かを判定する(ステップS136)。
【0046】
PBC方式情報を含むProbe Requestの送信元の無線通信端末から参加セットアップ処理開始通知を受信していない場合、処理は図5のステップS139に進む。また、PBC方式情報を含むProbe Requestの送信元の無線通信端末から参加セットアップ処理開始通知を受信した場合、制御部10は、自身の無線通信端末が参加セットアップ処理の実施中であるか否かを判定する(ステップS137)。
【0047】
自身の無線通信端末が参加セットアップ処理の実施中である場合、処理は図5のステップS139に進む。また、自身の無線通信端末が参加セットアップ処理の実施中でない場合、制御部10は、PBC方式情報を含むProbe Requestの送信元である無線通信端末とPBC方式による参加セットアップ処理を開始するよう、無線通信端末内の各部を制御する(ステップS138)。これ以降、図4〜図6に示す処理と並行して、PBC方式による参加セットアップ処理が行われる。続いて、処理はステップS131に進む。
【0048】
処理がステップS139に進んだ場合、制御部10は、PIN方式情報とセッションオーバーラップエラー情報とを含むProbe Requestを他の無線通信端末から受信したか否かを判定する(ステップS139)。PIN方式情報とセッションオーバーラップエラー情報とを含むProbe Requestを他の無線通信端末から受信していない場合、処理はステップS140に進む。また、PIN方式情報とセッションオーバーラップエラー情報とを含むProbe Requestを他の無線通信端末から受信した場合、制御部10は、自身の無線通信端末が参加セットアップ処理の実施中であるか否かを判定する(ステップS144)。
【0049】
自身の無線通信端末が参加セットアップ処理の実施中である場合、処理はステップS140に進む。また、自身の無線通信端末が参加セットアップ処理の実施中でない場合、制御部10は、自身の無線通信端末のセットアップ方式をPIN方式に設定する。さらに、制御部10は、これ以降に送信するProbe ResponseからPBC方式情報を削除しPIN方式情報を含める(PIN方式情報をセットする)よう、無線通信端末の設定を変更する(ステップS145)。これ以降、Probe Requestが受信されると、制御部10は、PIN方式情報を含むProbe Responseを送信するよう、送信部14を制御し、制御部10からの制御により、送信部14はProbe Responseを送信する。続いて、処理はステップS140に進む。
【0050】
PBC方式による参加セットアップ処理を行う複数の無線通信端末を発見した、アドホックネットワークに未参加の無線通信端末は、ステップS112で自身のセットアップ方式をPIN方式に設定し、PIN方式情報とセッションオーバーラップエラー情報とを含むProbe Requestを送信する。このProbe Requestを受信した、アドホックネットワークに参加中であって参加セットアップ処理を実施中でない無線通信端末は、ステップS145で自身のセットアップ方式をPIN方式に変更する。これによって、アドホックネットワークに未参加の無線通信端末は、Probe Requestを受信した、アドホックネットワークに参加中の無線通信端末と、PIN方式による参加セットアップ処理を行うことが可能となる。
【0051】
処理がステップS140に進んだ場合、制御部10は、PIN方式情報とノーエラーの情報とを含むProbe Requestを他の無線通信端末から受信したか否かを判定する(ステップS140)。PIN方式情報とノーエラーの情報とを含むProbe Requestを他の無線通信端末から受信していない場合、処理はステップS142に進む。また、PIN方式情報とノーエラーの情報とを含むProbe Requestを他の無線通信端末から受信した場合、制御部10は、Probe ResponseにPIN方式情報を含めるよう、無線通信端末に設定を行ったか否かを判定する(ステップS141)。
【0052】
Probe ResponseにPIN方式情報を含めるよう、無線通信端末に設定を行っていない場合、処理はステップS142に進む。また、Probe ResponseにPIN方式情報を含めるよう、無線通信端末に設定を行った場合、制御部10は、PIN方式情報とセッションオーバーラップエラー情報とを含むProbe Requestの送信元の無線通信端末から参加セットアップ処理開始通知を受信した否かを判定する(ステップS146)。
【0053】
PIN方式情報を含むProbe Requestの送信元の無線通信端末から参加セットアップ処理開始通知を受信していない場合、処理はステップS142に進む。また、PIN方式情報を含むProbe Requestの送信元の無線通信端末から参加セットアップ処理開始通知を受信した場合、制御部10は、自身の無線通信端末が参加セットアップ処理の実施中であるか否かを判定する(ステップS147)。
【0054】
自身の無線通信端末が参加セットアップ処理の実施中である場合、処理はステップS142に進む。また、自身の無線通信端末が参加セットアップ処理の実施中でない場合、制御部10は、PIN方式情報を含むProbe Requestの送信元である無線通信端末とPBC方式による参加セットアップ処理を開始するよう、無線通信端末内の各部を制御する(ステップS148)。これ以降、図4〜図6に示す処理と並行して、PIN方式による参加セットアップ処理が行われる。続いて、処理はステップS131に進む。
【0055】
処理がステップS142に進んだ場合、制御部10は、PBC方式による参加セットアップ処理が終了したか否かを判定する(ステップS142)。PBC方式による参加セットアップ処理が終了した場合、制御部10は、これ以降に送信するProbe ResponseからPBC方式情報を削除するよう、無線通信端末の設定を変更する(ステップS143)。続いて、処理はステップS131に進む。
【0056】
ステップS142において、PBC方式による参加セットアップ処理を実施中の場合、あるいはPBC方式による参加セットアップ処理を未実施である場合、制御部10は、PIN方式による参加セットアップ処理が終了したか否かを判定する(ステップS149)。PIN方式による参加セットアップ処理が終了した場合、制御部10は、これ以降に送信するProbe ResponseからPIN方式情報を削除するよう、無線通信端末の設定を変更する(ステップS150)。続いて、処理はステップS131に進む。また、PIN方式による参加セットアップ処理を実施中の場合、あるいはPIN方式による参加セットアップ処理を未実施である場合、処理はステップS133に進む。
【0057】
ステップS134において、PIN方式による参加セットアップ処理を開始するトリガが発生していない場合、制御部10は、PBC方式による参加セットアップ処理が終了したか否かを判定する(ステップS151)。PBC方式による参加セットアップ処理が終了した場合、制御部10は、これ以降に送信するProbe ResponseからPBC方式情報を削除するよう、無線通信端末の設定を変更する(ステップS152)。続いて、処理はステップS131に進む。
【0058】
ステップS151において、PBC方式による参加セットアップ処理を実施中の場合、あるいはPBC方式による参加セットアップ処理を未実施である場合、制御部10は、PIN方式による参加セットアップ処理が終了したか否かを判定する(ステップS153)。PIN方式による参加セットアップ処理が終了した場合、制御部10は、これ以降に送信するProbe ResponseからPIN方式情報を削除するよう、無線通信端末の設定を変更する(ステップS154)。続いて、処理はステップS131に進む。また、PIN方式による参加セットアップ処理を実施中の場合、あるいはPIN方式による参加セットアップ処理を未実施である場合、処理はステップS131に進む。
【0059】
次に、図2〜図6に従った無線通信端末の動作の例を説明する。図7は第1の動作例を示している。この図は、既にアドホックネットワークが存在し、その中に無線通信端末1と無線通信端末2が存在している状態で、未参加の無線通信端末3と無線通信端末4とが参加しようとして、ユーザが無線通信端末1と無線通信端末3のボタンを押し、さらにその後、ユーザが無線通信端末2と無線通信端末4のボタンを押す例を示している。
【0060】
無線通信端末1でボタンが押されると(ステップS131に対応)、無線通信端末1はProbe ResponseにPBC方式情報をセットする(ステップS132に対応)。また、未参加の無線通信端末3でボタンが押されると(ステップS102に対応)、無線通信端末3は、PBC方式情報を含むProbe Requestを送信する(ステップS103に対応)。
【0061】
無線通信端末1は、無線通信端末3からのProbe Requestに対して、PBC方式情報を含むProbe Responseを返信する(ステップS130で対応済み)。無線通信端末2は、ボタンが押されていないので、PBC方式情報もPIN方式情報もセットされていないProbe Responseを返信する(ステップS130で対応済み)。
【0062】
無線通信端末3は、無線通信端末1からPBC方式情報を含むProbe Responseを受信すると(ステップS104に対応)、無線通信端末2からはPBC方式情報を含むProbe Responseを受信しないので(ステップS105に対応)、無線通信端末1との間でPBC方式による参加セットアップ処理を実施する(ステップS106に対応)。
【0063】
無線通信端末1は、PBC方式情報を含むProbe Requestを無線通信端末3から受信した(ステップS133に対応)後、無線通信端末3から参加セットアップ処理開始通知を受信する(ステップS136に対応)。無線通信端末1は参加セットアップ処理を実施中でないので(ステップS137に対応)、無線通信端末3との間でPBC方式による参加セットアップ処理を実施する(ステップS138に対応)。
【0064】
一方、無線通信端末2でボタンが押されると(ステップS131に対応)、無線通信端末2はProbe ResponseにPBC方式情報をセットする(ステップS132に対応)。また、未参加の無線通信端末4でボタンが押されると(ステップS102に対応)、無線通信端末4は、PBC方式情報を含むProbe Requestを送信する(ステップS103に対応)。
【0065】
無線通信端末1および無線通信端末2は、無線通信端末4からのProbe Requestに対して、PBC方式情報がセットされたProbe Responseを返信する(ステップS130で対応済み)。無線通信端末4は、無線通信端末1および無線通信端末2からPBC方式情報を含むProbe Responseを受信すると(ステップS104,S105に対応)、PIN方式情報とセッションオーバーラップエラー情報とを含むProbe Requestを送信する(ステップS112に対応)。
【0066】
無線通信端末1はPBC方式による参加セットアップ処理を実施中(ステップS138で開始された参加セットアップ処理の実施中)であるため、無線通信端末4からのProbe Requestに対して、PBC方式情報を含むProbe Responseを返信する。無線通信端末2は、無線通信端末4からPIN方式情報とセッションオーバーラップ情報とを含むProbe Requestを受信した(ステップS139に対応)後、Probe Responseを返信する。無線通信端末2自身は参加セットアップ処理を実施中でないため(ステップS144に対応)、Probe ResponseからPBC方式情報をクリアし、PIN方式情報をセットする(ステップS145に対応)。
【0067】
なお、この図の例では、無線通信端末2は、PIN方式情報とセッションオーバーラップ情報とを含むProbe Requestに対して、Probe Responseを返信した後にPIN方式情報のセットを行っているが、先にPIN方式情報のセットを行ってからProbe Responseの返信を行うようにしてもよい。
【0068】
無線通信端末4は、PIN方式情報ではなく、PBC方式情報を含むProbe Responseを受信したので(ステップS113,S119に対応)、PIN方式情報とノーエラー情報とを含むProbe Requestを送信する(ステップS120に対応)。無線通信端末1は参加セットアップ処理を実施中(ステップS138に対応)であるため、無線通信端末4からのProbe Requestに対して、PBC方式情報のままProbe Responseを返信する。
【0069】
無線通信端末2は、無線通信端末4からPIN方式情報とノーエラー情報とを含むProbe Requestを受信すると(ステップS140に対応)、PIN方式情報を含むProbe Responseを返信する(ステップS130,S145にて対応済み)。無線通信端末4は、無線通信端末2からPIN方式情報を含むProbe Responseを受信するので(ステップS113に対応)、無線通信端末2との間でPIN方式による参加セットアップ処理を実施する(ステップS114に対応)。
【0070】
無線通信端末2は無線通信端末4から参加セットアップ処理開始通知を受信すると(ステップS146に対応)、自身は参加セットアップ処理を実施中ではないので(ステップS147に対応)、無線通信端末4との間でPIN方式による参加セットアップ処理を実施する(ステップS148に対応)。
【0071】
無線通信端末3は、無線通信端末1との間の参加セットアップ処理が成功すると(ステップS107に対応)、参加セットアップ処理中に取得したネットワーク設定情報に従いアドホックネットワークに参加し(ステップS108に対応)、以降はアドホックネットワーク内の無線通信端末として動作する。無線通信端末1は、無線通信端末3との間の参加セットアップ処理が成功すると(ステップS151に対応)、Probe ResponseからPBC方式情報を削除する(ステップS152に対応)。
【0072】
無線通信端末4は、無線通信端末2との間の参加セットアップ処理が成功すると(ステップS115に対応)、参加セットアップ処理中に取得したネットワーク設定情報に従いアドホックネットワークに参加し(ステップS118に対応)、以降はアドホックネットワーク内の無線通信端末として動作する。無線通信端末2は無線通信端末4との間の参加セットアップ処理が成功すると、Probe ResponseからPIN方式情報を削除する(ステップS154に対応)。
【0073】
なお、この図の例では、無線通信端末1と無線通信端末3との間、および無線通信端末2と無線通信端末4との間のそれぞれで、アドホックネットワーク内の無線通信端末から先にボタンが押されているが、未参加の無線通信端末から先にボタンを押されても問題ない。その場合、未参加の無線通信端末は、PBC方式情報を含むProbe Requestの送信とPBC方式情報を含むProbe Responseの受信待ちとを繰り返す。
【0074】
以上のように、ユーザは無線通信端末1と無線通信端末3の間の参加セットアップ処理の完了を待たずに無線通信端末2と無線通信端末4のボタンを押して参加セットアップ処理を実施することができるようになるため、ユーザの拘束される時間が短くなる。また、無線通信端末1と無線通信端末3の間の参加セットアップ処理と、無線通信端末2と無線通信端末4の間の参加セットアップ処理とを並列に実施できるため、全ての未参加の無線通信端末が参加済みとなるまでの時間を短縮することができる。
【0075】
図8は第2の動作例を示している。この図は、既にアドホックネットワークが存在し、その中に無線通信端末1と無線通信端末2が存在している状態で、未参加の無線通信端末3が参加しようとして、ユーザが無線通信端末1と無線通信端末3のボタンを押したところに、悪意を持つ別のユーザがアドホックネットワークに不正に参加するために続けて無線通信端末4のボタンを押した例を示している。以下では、図7と共通する部分に関しての説明を省略する。
【0076】
無線通信端末1と無線通信端末3のボタンが押されて、無線通信端末1と無線通信端末3の間でPBC方式による参加セットアップ処理が実施されるまでの動作は図7と同様である。未参加の無線通信端末4でボタンが押されると(ステップS102に対応)、無線通信端末4は、PBC方式情報を含むProbe Requestを送信する(ステップS103に対応)。無線通信端末4から送信されたProbe Requestに対して、無線通信端末1はPBC方式情報がセットされたProbe Responseを返信し、無線通信端末2はPBC方式情報もPIN方式情報もセットされていないProbe Responseを返信する(ステップS130で対応済み)。
【0077】
無線通信端末4は、無線通信端末1からPBC方式情報を含むProbe Responseを受信するが(ステップS104に対応)、ボタンが押されていない無線通信端末2からはPBC方式情報を含まないProbe Responseを受信するので(ステップS105に対応)、無線通信端末1との間でPBC方式による参加セットアップ処理を実施する(ステップS106に対応)。無線通信端末1は、無線通信端末4から参加セットアップ処理開始通知を受信しても、無線通信端末4との間で参加セットアップ処理を行わない(ステップS131,S134,S151,S153に対応)。無線通信端末4は、参加セットアップ処理が成功しないため(ステップS107に対応)、アドホックネットワークには参加できない。
【0078】
以上のように、無線通信端末間でPBC方式による参加セットアップ処理が実施されている状態で、悪意を持つユーザがアドホックネットワークに不正に参加するために、アドホックネットワークに未参加の無線通信端末のボタンを押した場合でも、アドホックネットワークへの不正な参加を防止することができる。
【0079】
図9は第3の動作例を示している。この図は、既にアドホックネットワーク1とアドホックネットワーク2が存在し、アドホックネットワーク1の中に無線通信端末1が存在すると共にアドホックネットワーク2の中に無線通信端末2が存在している状態を初期状態としている。さらに、この図は、正規のユーザが未参加の無線通信端末3をアドホックネットワーク2に参加させようとして、無線通信端末2のボタンを押したところに、悪意を持つ別のユーザが自身の不正なアドホックネットワーク1に無線通信端末3を誘導するために、無線通信端末3のボタンが押される前にアドホックネットワーク1内の無線通信端末1のボタンを押した例を示している。以下では、図7と共通する部分に関しての説明を省略する。
【0080】
無線通信端末1および無線通信端末2でそれぞれボタンが押されると(ステップS131に対応)、無線通信端末1および無線通信端末2はProbe ResponseにPBC方式情報をセットする(ステップS132に対応)。未参加の無線通信端末3でボタンが押されると(ステップS102に対応)、無線通信端末3はPBC方式情報を含むProbe Requestを送信する(ステップS103に対応)。
【0081】
無線通信端末1および無線通信端末2は、無線通信端末3からのProbe Requestに対して、PBC方式情報がセットされたProbe Responseを返信する(ステップS130で対応済み)。無線通信端末3は、無線通信端末1および無線通信端末2からPBC方式情報を含むProbe Responseを受信すると(ステップS104,S105に対応)、PIN方式情報とセッションオーバーラップエラー情報とを含むProbe Requestを送信する(ステップS112に対応)。
【0082】
無線通信端末1および無線通信端末2は、無線通信端末3からPIN方式情報とセッションオーバーラップ情報とを含むProbe Requestを受信した(ステップS139に対応)後、自身は参加セットアップ処理を実施中でないため(ステップS144に対応)、Probe ResponseからPBC方式情報をクリアし、PIN方式情報をセットする(ステップS145に対応)。無線通信端末3は、無線通信端末1および無線通信端末2からPIN方式情報でなくPBC方式情報を含むProbe Responseを受信したので(ステップS113,S119に対応)、PIN方式情報とノーエラー情報とを含むProbe Requestを送信する(ステップS120に対応)。
【0083】
無線通信端末1および無線通信端末2は、無線通信端末3からPIN方式情報とノーエラー情報とを含むProbe Requestを受信すると(ステップS140に対応)、PIN方式情報を含むProbe Responseを返信する(ステップS130,S145にて対応済み)。無線通信端末3は、無線通信端末1および無線通信端末2からPIN方式情報を含むProbe Responseを受信すると(ステップS113に対応)、Probe Responseの送信元の無線通信端末のうちの任意の一台、この例ではまず無線通信端末1との間で参加セットアップ処理を実施する(ステップS114に対応)。
【0084】
無線通信端末1は、無線通信端末3からPIN方式情報とノーエラー情報とを含むProbe Requestを受信した際、Probe ResponseにPIN方式情報をセット済みである(ステップS141に対応)。無線通信端末1は、無線通信端末3から参加セットアップ処理開始通知を受信し(ステップS146に対応)、自身は参加セットアップ処理を実施中でないため(ステップS147に対応)、PIN方式による参加セットアップ処理を実施する(ステップS148に対応)。
【0085】
ここで、無線通信端末1と無線通信端末3の間のPIN方式による参加セットアップ処理は、一方の無線通信端末に表示されたPINコードを、もう一方の無線通信端末に入力することにより行われる。正規のユーザは、無線通信端末3を無線通信端末2が所属するアドホックネットワーク2に所属させようとして無線通信端末3と無線通信端末2とでボタンを押しているため、PINコードの読み取りと入力は、正規のユーザが無線通信端末3と無線通信端末2との間で行うこととなる。そのため、無線通信端末1と無線通信端末3との間ではPINコードの読み取りと入力が正しく行われず、参加セットアップ処理は失敗となり、無線通信端末3は不正なアドホックネットワーク1には参加しない。
【0086】
無線通信端末3は、無線通信端末1との間の参加セットアップ処理が失敗すると(ステップS115に対応)、PIN方式情報を含むProbe Responseを無線通信端末2からも受信していたので(ステップS116に対応)、無線通信端末2との間でPIN方式による参加セットアップ処理を実施する(ステップS117に対応)。
【0087】
無線通信端末3は、無線通信端末2との間の参加セットアップ処理が成功すると(ステップS115に対応)、参加セットアップ処理中に取得したネットワーク設定情報に従いアドホックネットワークに参加し(ステップS118に対応)、以降はアドホックネットワーク内の無線通信端末として動作する。無線通信端末2は、無線通信端末3との間の参加セットアップ処理が成功すると(ステップS153に対応)、Probe ResponseからPIN方式情報を削除する(ステップS154に対応)。
【0088】
以上のように、正規のユーザが所望の無線通信端末間でPBC方式による参加セットアップ処理を実施しようとしている状態で、悪意を持つユーザが自身の不正なアドホックネットワークに無線通信端末に誘導するために、アドホックネットワークに参加済みの無線通信端末のボタンを押した場合でも、正規のユーザの無線通信端末が、所望のアドホックネットワークとは異なる不正なアドホックネットワークへ参加することを防止することができる。
【0089】
上述したように、本実施形態によれば、ユーザがWPSのPBC方式に基づいて複数の未参加の無線通信端末を既存のアドホックネットワークに加える際に、アドホックネットワーク内の複数の無線通信端末がPBC方式に基づいて動作していることをアドホックネットワークに未参加の無線通信端末が検知した場合に、この未参加の無線通信端末において、およびアドホックネットワーク内の無線通信端末のうち参加セットアップ処理を実施中でない無線通信端末において、セットアップ方式がPIN方式に変更される。これにより、ユーザがボタン押しのために拘束される時間すなわち参加セットアップ処理の待ち時間を短くし、また全ての未参加の無線通信端末が参加済みとなるまでの時間を短縮することができる。
【0090】
また、本実施形態では、アドホックネットワークに未参加の無線通信端末は、セッションオーバーラップエラー情報を含むProbe Requestを送信した(ステップS112に対応)後、アドホックネットワークに参加済みの無線通信端末からProbe Responseを受信した場合に(ステップS113に対応)、参加セットアップ処理を実施し、参加セットアップ処理開始通知を送信する(ステップS114に対応)。一方、アドホックネットワークに参加済みの無線通信端末は、セッションオーバーラップエラー情報を含むProbe Requestの送信元の無線通信端末から参加セットアップ処理開始通知を受信するまで参加セットアップ処理の待機を行う(ステップS146に対応)。
【0091】
これによって、アドホックネットワークに参加済みの無線通信端末とアドホックネットワークに未参加の無線通信端末との2つの無線通信端末でセットアップ方式がPBC方式からPIN方式に変更された場合でも、それら2つの無線通信端末間でPIN方式による参加セットアップ処理が優先的に行われる。例えば、参加セットアップ処理の実施を優先すべき2つの無線通信端末でセットアップ方式がPBC方式からPIN方式に変更された直後に他のユーザが、未参加の無線通信端末をアドホックネットワークに加えるためにPIN方式による新たな参加セットアップ処理を開始しようとしても、参加セットアップ処理の実施を優先すべき2つの無線通信端末間で参加セットアップ処理が終了するまで、この未参加の無線通信端末からの参加セットアップ処理開始通知は参加セットアップ処理を実施中の無線通信端末では受け付けられない。したがって、先にPBC方式による参加セットアップ処理の実施を待っていたユーザの待ち時間を短くすることができる。
【0092】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10・・・制御部、11・・・トリガ受付部、12・・・表示部、13・・・記憶部、14・・・送信部、15・・・受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークに未参加の無線通信端末が前記無線ネットワークに参加するために前記無線ネットワークに参加中の無線通信端末との間で行う参加セットアップ処理のうち、前記無線ネットワークへの参加に必要な認証識別子が固定値である処理を第1セットアップ処理、前記認証識別子が固定値でない処理を第2セットアップ処理とするとき、
前記無線ネットワークに未参加である状態で、前記第1セットアップ処理を開始するトリガを受け付けるトリガ受付部と、
前記トリガを受け付けた後、他の無線通信端末が行う参加セットアップ処理を示すセットアップ情報の取得要求を送信する送信部と、
前記取得要求を受信した前記他の無線通信端末から送信された、前記セットアップ情報を含む応答を受信する受信部と、
複数の無線通信端末から、前記第1のセットアップ処理を示す前記セットアップ情報を含む応答を受信した場合、前記送信部に、前記第1セットアップ処理を行う複数の無線通信端末を発見したことを示すエラー情報を前記複数の無線通信端末に対して送信させる制御を行うと共に、自身の無線通信端末が行う前記参加セットアップ処理を前記第2セットアップ処理に設定する制御を行う制御部と、
を有する無線通信端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記送信部が送信した前記エラー情報に対して前記複数の無線通信端末の少なくとも1つから応答が受信された場合、前記送信部に、前記第2セットアップ処理の開始を示す開始情報を、前記エラー情報に対する応答を送信した無線通信端末に対して送信させる制御を行う請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
無線ネットワークに未参加の無線通信端末が前記無線ネットワークに参加するために前記無線ネットワークに参加中の無線通信端末との間で行う参加セットアップ処理のうち、前記無線ネットワークへの参加に必要な認証識別子が固定値である処理を第1セットアップ処理、前記認証識別子が固定値でない処理を第2セットアップ処理とするとき、
前記無線ネットワークに参加中である状態で、前記第1セットアップ処理を開始するトリガを受け付けるトリガ受付部と、
前記トリガを受け付けた後、前記未参加の無線通信端末から、他の無線通信端末が行う参加セットアップ処理を示すセットアップ情報の取得要求を受信する受信部と、
前記取得要求を受信した場合、前記第1セットアップ処理を示す前記セットアップ情報を含む応答を前記未参加の無線通信端末へ送信する送信部と、
無線ネットワークに未参加のいずれの無線通信端末との間においても前記第1セットアップ処理を実行していないときに、前記受信部が、前記第1セットアップ処理を行う複数の無線通信端末を発見したことを示すエラー情報を受信した場合、自身の無線通信端末が行う前記参加セットアップ処理を前記第2セットアップ処理に設定する制御を行う制御部と、
を有する無線通信端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記受信部が前記エラー情報の送信元の無線通信端末から前記第2セットアップ処理の開始を示す開始情報を受信するまで、前記第2セットアップ処理の開始を待機する制御を行う請求項3に記載の無線通信端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−182729(P2012−182729A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45212(P2011−45212)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】