説明

無線通信装置、基地局、無線通信方法、プログラムおよび無線通信システム

【課題】ページングチャネルの通信のための周期を柔軟に切り替えることが可能な、新規かつ改良された無線通信装置、基地局、無線通信方法、プログラムおよび無線通信システムを提供する。
【解決手段】無線通信装置であって、第1の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答が無い場合に前記ページングチャネルを送信するための周期を第2の周期に変更する基地局と無線通信する無線通信部と、前記無線通信装置の状態変化を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に応じ、前記ページングチャネルを受信するための受信周期を、前記第1の周期から前記第2の周期に切り替える受信制御部と、を備える無線通信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、基地局、無線通信方法、プログラムおよび無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(Third Generation Partnership Project)において4Gの無線通信システムの規格化が進められている。4Gによれば、リレーやキャリアアグリゲーションなどの技術を用いることにより、最大通信速度の向上やセルエッジでの品質向上を実現することができる。また、HeNB(Home eNodeB、フェムトセル基地局、携帯電話用小型基地局)やRRH(リモートラジオヘッド)など、eNodeB(マクロセル基地局)以外の基地局の導入によりカバレッジを向上させることも検討されている。
【0003】
(ページング)
また、LTEでは、RRC_Connectedモードと、RRC_Idleモードが定義されている。RRC_Connectedモードは、UEとeNodeBの間でコネクションが確立されており、UEがアップリンク信号の送信およびダウンリンク信号の受信を行える状態である。一方、RRC_Idleモードは、UEの電力がセーブされた状態であり、RRC_IdleモードのUEは、eNodeBからのページングチャネルを監視し、ページングチャネルに呼び出しがあれば、RRC_Connectedモードに遷移する。
【0004】
ここで、eNodeBは、例えばUEの呼び出しがある場合、ページング周期と呼ばれる周期で到来するタイミングでページングチャネルを送信するので、RRC_IdleモードのUEは、ページング周期でページングチャネルを監視する。ページング周期が長いとUEの消費電力を削減できるが、呼び出しからUEが応答するまでの遅延が大きくなるという傾向がある。なお、これに類する間欠受信周期については例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
(MTCについて)
一方、3GPPでは、MTC(Machine Type Communications)に関する議論も進められている。MTCは、一般的にM2M(Machine to Machine)と同義であり、機械と機械の間の人間が直接利用しない通信を意味する。このMTCは、主として、サーバと、人間が直接利用しないMTC端末との間で行われる。
【0006】
例えば、医療系のMTCアプリケーションとして、MTC端末が、人間の心電図情報を収集し、あるトリガ条件が満たされた場合に心電図情報をサーバにアップリンクを利用して送信することが考えられる。他のMTCアプリケーションとして、自動販売機をMTC端末として機能させ、サーバが、一定周期(例えば30日)ごとに管理下の自動販売機に対して売上を報告させることも考えられる。
【0007】
このようなMTC端末は、一例として一般的には以下の特徴を有するが、各MTC端末が以下の全ての特徴を有する必要はなく、いずれの特徴を有するかはアプリケーションに依存する。
・移動がほとんどない(Low Mobility)
・小容量のデータ転送(Online Small Data Transmission)
・超低消費電力(Extra Low Power Consumption)
・各MTCをグルーピングしてハンドリング(Group based MTC Features)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−83427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、RRC_IdleモードのUEのように、基地局と非接続の無線通信装置のページング周期は等間隔であった。このため、無線通信装置に適用するページング周期の自由度が低いという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ページングチャネルの通信のための周期を柔軟に切り替えることが可能な、新規かつ改良された無線通信装置、基地局、無線通信方法、プログラムおよび無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、無線通信装置と無線通信する無線通信部と、前記無線通信部から前記無線通信装置に対するページングチャネルを第1の周期に従って送信させるページング制御部と、を備え、前記ページングチャネルは第2の周期を示す情報を含み、前記ページング制御部は、ページングチャネルを送信するための周期を前記第1の周期から前記第2の周期に変更する、基地局が提供される。
【0012】
前記ページング制御部は、前記第2の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答がない場合、前記ページングチャネルを送信するための周期を前記第2の周期から前記第1の周期に戻してもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、基地局から第1の周期に従ってページングチャネルを受信する無線通信部と、前記ページングチャネルを受信するための受信周期を、前記第1の周期から、前記無線通信部により受信されるページングチャネルの示す第2の周期に変更する受信制御部と、を備える無線通信装置が提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線通信装置であって、第1の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答が無い場合に前記ページングチャネルを送信するための周期を第2の周期に変更する基地局と無線通信する無線通信部と、前記無線通信装置の状態変化を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に応じ、前記ページングチャネルを受信するための受信周期を、前記第1の周期から前記第2の周期に切り替える受信制御部と、を備える無線通信装置が提供される。
【0015】
前記無線通信部は、前記第1の周期および前記第2の周期を示す通知を前記基地局から受信し、前記無線通信装置は、前記無線通信部により受信された前記第1の周期および前記第2の周期を記憶する記憶部をさらに備えてもよい。
【0016】
前記受信制御部は、前記基地局との非接続時に前記受信周期を前記第1の周期および前記第2の周期のうちで切り替えてもよい。
【0017】
前記検出部は、前記無線通信装置の移動を前記状態変化として検出してもよい。
【0018】
前記検出部は、前記無線通信装置が特定位置に移動したことを前記状態変化として検出してもよい。
【0019】
前記検出部は、前記無線通信装置の電源残量の減少を前記状態変化として検出してもよい。
【0020】
前記無線通信装置は、商品の自動販売機能を有し、前記検出部は、前記自動販売機能による売り上げの変化または商品在庫の減少を前記状態変化として検出してもよい。
【0021】
前記ページングチャネルの宛先は、前記無線通信装置に割り当てられた識別情報を用いて指定されており、前記宛先の指定に用いられる識別情報は、前記第1の周期に従って送信されるページングチャネルと、前記第2の周期に従って送信されるページングチャネルとで異なってもよい。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前記無線通信装置の状態変化を検出し、前記状態変化の検出結果に応じ、第1の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答が無い場合に前記ページングチャネルを送信するための周期を第2の時間に変更する基地局から前記ページングチャネルを受信するための受信周期を、前記第1の周期から前記第2の周期に切り替える、無線通信方法が提供される。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、無線通信装置であって、第1の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答が無い場合に前記ページングチャネルを送信するための周期を第2の周期に変更する基地局と無線通信する無線通信部と、前記無線通信装置の状態変化を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に応じ、前記ページングチャネルを受信するための受信周期を、前記第1の周期から前記第2の周期に切り替える受信制御部と、を備える、無線通信装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線通信装置と無線通信する無線通信部と、第1の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答が無い場合に前記ページングチャネルを送信するための周期を第2の周期に変更するページング制御部と、を備える基地局が提供される。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線通信装置と、第1の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答が無い場合に前記ページングチャネルを送信するための周期を第2の周期に変更する基地局と、を備え、前記無線通信装置は、前記無線通信装置の状態変化を検出する検出部、および、前記検出部による検出結果に応じ、前記ページングチャネルを受信するための受信周期を、前記第1の周期から前記第2の周期に切り替える受信制御部、を有する、無線通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、ページングチャネルの通信のための周期を柔軟に切り替えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】無線通信システムの構成例を示した説明図である。
【図2】4Gのフレームフォーマットを示した説明図である。
【図3】CCEの生成を示した説明図である。
【図4】ブラインドデコーディングを示した説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による基地局の構成を示した機能ブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による基地局によるページングの具体例を示した説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態によるMTC端末の構成を示した機能ブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による動作を示したシーケンス図である。
【図9】本発明の第2の実施形態による基地局の構成を示した機能ブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態による基地局によるページングの具体例を示した説明図である。
【図11】本発明の第2の実施形態によるMTC端末の構成を示した機能ブロック図である。
【図12】本発明の第2の実施形態による動作を示したシーケンス図である。
【図13】本発明の第3の実施形態による基地局の構成を示した機能ブロック図である。
【図14】ページング周期の第1の通知方法を示した説明図である。
【図15】ページング周期の第2の通知方法を示した説明図である。
【図16】本発明の第3の実施形態によるMTC端末の構成を示した機能ブロック図である。
【図17】本発明の第3の実施形態による動作を示したシーケンス図である。
【図18】本発明の第3の実施形態による動作を示したシーケンス図である。
【図19】本発明の第4の実施形態による基地局の構成を示した機能ブロック図である。
【図20】本発明の第4の実施形態による基地局によるページングの具体例を示した説明図である。
【図21】本発明の第4の実施形態によるMTC端末の構成を示した機能ブロック図である。
【図22】本発明の第4の実施形態によるMTC端末による受信周期の切替えを示した説明図である。
【図23】本発明の第4の実施形態による動作を示したシーケンス図である。
【図24】本発明の第5の実施形態による基地局の構成を示した機能ブロック図である。
【図25】本発明の第5の実施形態による基地局によるページング周期の切替えを示した説明図である。
【図26】本発明の第5の実施形態による基地局によるページング周期の切替えを示した説明図である。
【図27】本発明の第5の実施形態による動作を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じてMTC端末20A、20Bおよび20Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、MTC端末20A、20Bおよび20Cを特に区別する必要が無い場合には、単にMTC端末20と称する。
【0030】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.無線通信システムの概略
1−1.無線通信システムの構成
1−2.フレーム構成
1−3.ページング
1−4.ページングチャネルの詳細な説明
1−5.ブラインドデコーディング
1−6.MTCに想定されるページング
2.各実施形態の説明
2−1.第1の実施形態
(第1の実施形態による基地局の構成)
(第1の実施形態によるMTC端末の構成)
(第1の実施形態の動作)
2−2.第2の実施形態
(第2の実施形態による基地局の構成)
(第2の実施形態によるMTC端末の構成)
(第2の実施形態の動作)
2−3.第3の実施形態
(第3の実施形態による基地局の構成)
(第3の実施形態によるMTC端末の構成)
(第3の実施形態の動作)
2−4.第4の実施形態
(第4の実施形態による基地局の構成)
(第4の実施形態によるMTC端末の構成)
(第4の実施形態の動作)
2−5.第5の実施形態
(第5の実施形態による基地局の構成)
(第5の実施形態の動作)
3.むすび
【0031】
<<1.無線通信システムの概略>>
現在、3GPPにおいて4Gの無線通信システムの規格化が進められている。本発明の実施形態は、一例としてこの4Gの無線通信システムに適用することができるので、まず、4Gの無線通信システムの概略を説明する。
【0032】
<1−1.無線通信システムの構成>
図1は、無線通信システム1の構成例を示した説明図である。図1に示したように、無線通信システム1は、基地局10と、MME(Mobility Management Entity)12、S−GW(Serving Gateway)14、およびPDN(Packet Data Network)−GW16を含むコアネットワークと、MTC端末20と、MTCサーバ30と、を備える。
【0033】
本発明の実施形態は、図1に示した基地局10およびMTC端末20などの無線通信装置に適用することができる。なお、基地局10は、例えば、eNodeB、リレーノード、または家庭用小型基地局であるHome eNodeBであってもよい。また、MTC端末20はユーザ端末(UE:User Equipment)の一例であり、本発明の実施形態は、携帯電話やPC(Personal Computer)などの非MTC端末にも適用可能である。
【0034】
基地局10は、MTC端末20と通信する無線基地局である。図1においては1台の基地局10のみを示しているが、実際には多数の基地局10がコアネットワークに接続される。また、図1においては記載を省略しているが、基地局10は非MTC端末などの他のユーザ端末とも通信する。
【0035】
MME12は、データ通信用のセッションの設定、開放やハンドオーバーの制御を行う装置である。このMME12は、基地局10とX2と呼ばれるインタフェースを介して接続される。
【0036】
S−GW14は、ユーザデータのルーティング、転送などを行う装置である。PDN−GW16は、IPサービスネットワークとの接続点として機能し、IPサービスネットワークとの間でユーザデータを転送する。
【0037】
MTC端末20は、3GPPで議論されている、機械と機械の間の人間が直接利用しない通信であるMTCに特化した無線端末である。このMTC端末20は、基地局10とアプリケーションに応じた無線通信を行う。また、MTC端末20は、コアネットワークを介してMTCサーバ30と双方向通信を行う。
【0038】
例えば、医療系のMTCアプリケーションとして、MTC端末20が、人間の心電図情報を収集し、あるトリガ条件が満たされた場合に心電図情報をサーバにアップリンクを利用して送信することが考えられる。他のMTCアプリケーションとして、自動販売機をMTC端末20として機能させ、MTCサーバ30が、一定周期(例えば30日)ごとに管理下の自動販売機に対して売上を報告させることも考えられる。
【0039】
このようなMTC端末20は、一例として一般的には以下の特徴を有するが、各MTC端末20が以下の全ての特徴を有する必要はなく、いずれの特徴を有するかはアプリケーションに依存する。
・移動がほとんどない(Low Mobility)
・小容量のデータ転送(Online Small Data Transmission)
・超低消費電力(Extra Low Power Consumption)
・各MTCをグルーピングしてハンドリング(Group based MTC Features)
【0040】
<1−2.フレーム構成>
上述の基地局10およびMTC端末20は、詳細については決定されていないが、eNodeBおよびUE間の通信に準ずる形で無線通信を行うことが予想される。そこで、以下では、eNodeBおよびUE間で共有される無線フレームについて説明する。以下で説明する内容は、基地局10およびMTC端末20間の通信に援用可能である。
【0041】
図2は、4Gのフレームフォーマットを示した説明図である。図2に示したように、10msの無線フレームは、10個の1msのサブフレーム#0〜#9から構成されている。また、1msの各サブフレームは、2つの0.5msスロットで構成されている。さらに、各0.5msスロットは、7Ofdmシンボルで構成されている。
【0042】
なお、Ofdmシンボルは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式の通信方式で用いられる単位であり、1回のFFT(Fast Fourier Transform)で処理されたデータを出力する単位である。
【0043】
図2に示した1msの各サブフレームの先頭には、PDCCH(Phy DownLink Control Channel)と呼ばれる制御信号が付加される。このPDCCHの送信ために、サブフレームの先頭の1Ofdmシンボル〜3Ofdmシンボルが利用される。すなわち、PDCCHの送信ために1Ofdmシンボルが利用される場合もあれば、3Ofdmシンボルが利用される場合もある。
【0044】
なお、PDCCHの送信に利用される無線フレーム中の領域は制御領域と称され、PDSCH(Phy DownLink Shared Channel)やPUSCH(Phy UpLink Shared Channel)などの送信に利用される無線フレーム中の領域はデータ領域と称される。
【0045】
<1−3.ページング>
LTEでは、RRC_Connectedモードと、RRC_Idleモードが定義されている。RRC_Connectedモードは、UEとeNodeBの間でコネクションが確立されており、UEがアップリンク信号の送信およびダウンリンク信号の受信を行える状態である。一方、RRC_Idleモードは、UEの電力がセーブされた状態であり、RRC_IdleモードのUEは、eNodeBからのページングチャネルを監視し、ページングチャネルに呼び出しがあれば、RRC_Connectedモードに遷移する。このRRC_Idleモードでは、eNodeBにUEの情報は存在せず、S1−MMEインタフェースと呼ばれる有線でeNodeBと接続されたMMEにUEがどのトラッキングエリア(ページングエリア)に存在しているかが登録されている。
【0046】
トラッキングエリアは、近接する数10〜100程度のeNodeBからなるエリアであり、MMEは、UEに対する着信があった場合、UEのトラッキングエリアに存在する全てのeNodeBからページングチャネルによるUEの呼び出し(incoming call)を行う。
【0047】
このため、RRC_IdleモードのUEは、ページングチャネルが送信され得る周期で受信処理を行うことによりページングチャネルを監視し、ページングチャネルによる呼び出しがあれば、RRC_Connectedモードに遷移する。
【0048】
なお、RRC_IdleモードのUEは、ページングチャネルを受信するための受信処理時以外は、電力をセーブするために、一部のハードウェアへのクロックや電源を停止する。そして、RRC_IdleモードのUEは、eNodeBからページングチャネルが送信され得る時刻前にハードウェアへの電源供給を再開し、ページングチャネルの受信処理を行い、受信処理後に再び電力をセーブする状態に入る。
【0049】
<1−4.ページングチャネルの詳細な説明>
上述したPDCCHにおいて、各UEに対する制御情報の最小単位はCCE(Control Channel Element)と呼ばれている。eNodeBは、PDSCHにおいてUEにページングチャネルを送信する場合、所定周期に従ったPDCCHで、UEがPDSCHのどのリソースを受信してページングチャネルを受信すべきかを示すPI(Paging Indicator)を含むCCEを送信する。すなわち、このCCEにはスケジューリング情報である受信許可(grants)が含まれる。
【0050】
UEは、自分宛のCCEにPIが含まれる場合、PIの示すPDSCH上で送信されるページングチャネルを受信することにより、自分宛のダウンリンク信号の存在を通知する情報を取得できる。なお、自分宛のCCEか否かの判断は、後述するブラインドデコーディングにより行われる。
【0051】
ここで、PIは、UEに対するページングチャネルが存在する場合に所定の周期に従ってPDCCHに挿入される(LTE The UMTS Long Term Evolution Edited by:Stefania Sesia,Issam Toufik,Matthew Baker 3.4 Paging P77)。この所定の周期は、DRX(Discontinues reception)周期、またはページング周期と呼ばれ、UEごとに設定される。このようなページング周期は、NAS(Non−Access Stratum)プロトコル上のUEとMMEとの間のシグナリングなどのハイヤーレイヤーのシグナリングにより設定される。ページング周期が長いとUEの消費電力を削減できるが、呼び出しからUEが応答するまでの遅延が大きくなるという傾向がある。
【0052】
<1−5.ブラインドデコーディング>
各UEには、各UEの識別子であるC−RNTI(Cell Radio Network Temporary Identify)や、ページングチャネルを受信するためのP−RNTIが割り当てられている。
【0053】
eNodeBは、CCEの宛先を特定するために、図3に示したように、PIなどの制御情報をP−RNTIでマスキングしながらCRC(Cyclic Redundancy Check)により得られるチェックビットをCCEに付加する。ここで、マスキングは、制御情報とP−RNTIの排他的論理和(XOR)の演算であってもよし、制御情報とP−RNTIとの直列的な結合であってもよい。
【0054】
UEは、複数のCCEからなるPDCCHを受信すると、自分のP−RNTIにより識別されるCCEをブラインドデコーディングにより抽出する。以下、図4を参照して具体的に説明する。
【0055】
図4は、ブラインドデコーディングを示した説明図である。UEは、図4に示したように、ブラインドデコーディングとして、自分のP−RNTIで各CCEをデマスキングしながらCRCチェックを行う。すなわち、UEは、各CCEが自分宛てであると仮定して各CCEのCRCチェックを行い、結果が正常であったCCEを自分宛てのCCEであると判断する。
【0056】
UEは、このようなブラインドデコーディングにより、eNodeBから送信される自分宛のCCEを判断し、自分宛のCCEからPIを取得することができる。
【0057】
<1−6.MTCに想定されるページング)
「1−1.無線通信システムの構成」で説明したように、MTCには超低消費電力が求められる。MTCによるアプリケーションは、週一回や月一回のデータ収集や設定などが多くなると予想される。例えば、自動販売機に実装されたMTC端末は、データ収集センター(MTCサーバ)からの月一回のコマンドに従って売り上げを報告することが考えられる。
【0058】
このように、MTC端末のデータを月一回eNodeBから読み出す設定を行う場合、eNodeBは、一月の日数の相違により、30日、31日、29日、28日などの異なる周期でページング(PI+ページングチャネル)を送信することが望まれる。したがって、非周期のページング周期の実現が重要であるが、等間隔のページング周期を基調とする現状のLTEでは、非周期のページング周期に対応することが困難である。
【0059】
なお、長周期でかつ非周期なページングをアプリケーションレイヤで行うという手段もあるが、ページングチャネルの送受信は、1ms幅の特定のサブフレームで行う必要があるので、アプリケーションレイヤでのこのような高精度な制御は困難である。
【0060】
また、MTC端末に30日、31日、29日、28日などの非周期パターンで月末に報告するように事前に設定することも可能であるが、このような事前設定には、MTCサーバが報告を必要としない場合まで報告が行われてしまうという欠点がある。MTC端末の数は膨大になることが想定されるので、無駄な報告を許容するとネットワーク内部で輻輳が発生しかねない。
【0061】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の各実施形態によれば、ページングチャネルの通信のための周期を柔軟に切り替えることが可能である。以下、このような本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0062】
<<2.各実施形態の説明>>
<2−1.第1の実施形態>
まず、図5〜図8を参照し、本発明の第1の実施形態を説明する。本発明の第1の実施形態によれば、以下に詳細に説明するように、非周期パターンに基づいてページングを運用することが可能である。
【0063】
(第1の実施形態による基地局の構成)
図5は、本発明の第1の実施形態による基地局10−1の構成を示した機能ブロック図である。図5に示したように、本発明の第1の実施形態による基地局10−1は、アンテナ104と、無線通信部108と、スケジューラ112と、P−RNTI管理部116と、ページング周期管理部121と、記憶部131と、ページング制御部141と、CRC回路150と、を備える。
【0064】
アンテナ104は、無線通信部108から供給されるPDCCH(制御信号)やPDSCH(データ信号)などの送信信号を無線信号として送信する送信部、および、第1の実施形態によるMTC端末20などの無線通信装置から送信された無線信号を電気的な受信信号に変換して無線通信部108に供給する受信部として機能する。なお、図5においては基地局10−1が1のアンテナを有する例を示しているが、基地局10−1は複数のアンテナを備えてもよい。この場合、基地局10は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)通信、およびダイバーシティ通信などを実現可能である。
【0065】
無線通信部108は、ページング制御部141から供給されるPDCCHやS−GW14から供給されるユーザデータを含むPDSCHなどの送信信号の変調、DA変換、フィルタリング、増幅およびアップコンバージョンなどの送信用の無線処理を行う。また、無線通信部108は、アンテナ104から供給される受信信号のダウンコンバージョン、フィルタリング、DA変換、復調などの受信用の無線処理を行う。
【0066】
スケジューラ112は、各MTC端末20にデータ通信のためのリソースを割り当てる。すなわち、スケジューラ112は、各MTC端末20がPDSCHのうちで受信すべきリソースブロック、および各MTC端末20がPUSCHのうちで送信すべきリソースブロックを割り当てる。例えば、スケジューラ116は、MTC端末20に対するページングチャネルが存在する場合、MTC端末20のページング周期に従った無線フレーム(10ms radio frame=10サブフレーム)のPDSCH上で、MTC端末20にページングチチャネルを送信するためのリソースを割り当てる。
【0067】
P−RNTI管理部116は、各MTC端末20に対するP−RNTIの割当てを管理する。なお、P−RNTIは、PIを含むCCEの宛先を識別するために利用される。
【0068】
ページング周期管理部121は、各MTC端末20の非接続時(RRC_Idleモード時)のページング周期を設定する。具体的には、本実施形態によるページング周期管理部121は、第1の実施形態によるMTC端末20−1にページングチャネルを送信するためのページング周期を、2以上の異なる間隔の組合せ、すなわち非周期パターンに設定する。例えば、ページング周期管理部121は、通常はページング周期を10無線フレーム周期に設定するところ、「3、5、2、9、・・・」という非周期パターンに設定する。
【0069】
なお、この非周期パターンはMTC端末20−1と共有されるので、ページング周期として無限の非周期パターンを設定することは現実できでない。このため、設定された非周期パターンの繰り返しをページング周期として扱ってもよい。
【0070】
また、ページング周期管理部121は、MME12やMTCサーバ30などのネットワーク側からの指示に従って非周期パターンを設定してもよい。例えば、ページング周期管理部121は、ネットワーク側から31日、28日、31日、30日、という月末の到来周期での設定を指示された場合、指示された周期を無線フレーム単位に換算して非周期パターンを設定してもよい。
【0071】
記憶部131は、ページング周期管理部121により設定された各MTC端末20の非周期パターンを記憶する。
【0072】
ページング制御部141は、MTC端末20−1へのページング情報(システム情報、incoming callなど)が存在する場合、PIを含むCCEを生成する。具体的には、ページング制御部141は、PI、および当該PIをMTC端末20−1のP−RNTIでマスキングしながらCRC回路150により得られるCCEを生成する。
【0073】
ここで、マスキングは、PIとP−RNTIの排他的論理和(XOR)の演算であってもよし、PIとP−RNTIとの直列的な結合であってもよい。これにより、PIの宛先として、マスキングに用いたP−RNTIが割り当てられているMTC端末20−1を指定することができる。このようにして生成されたCCEは、無線通信部108に供給され、PDCCHにマッピングされる。
【0074】
また、ページング制御部141は、ページング情報を含むページングチャネルを生成する。このページングチャネルは、無線通信部108に供給され、PIの示すPDSCH上のリソースにマッピングされる。なお、incoming callなどのページング情報は、ページングやハンドオーバーなどの制御情報を扱うMME12からS1−MMEインタフェースを介して供給される。
【0075】
また、本実施形態によるページング制御部141は、RRC_IdleモードのMTC端末20−1に対するページング(PIおよびページングチャネルの送信)を、当該MTC端末20−1に関して記憶部131に記憶されている非周期パターンに従った無線フレームで制御する。以下、この点について図6を参照してより具体的に説明する。
【0076】
図6は、基地局10−1によるページングの具体例を示した説明図である。MTC端末20−1に関して記憶部131に記憶されている非周期パターンが「3、5、2、9」である場合、ページング周期は、図6に示したように非周期パターンの繰り返しとなる。基地局10−1のページング制御部141は、MTC端末20−1に対するページング情報がある場合、図6において「P」の四角囲いで示したように、この非周期パターンに従って到来する無線フレームでページングを制御する。
【0077】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態による基地局10−1は、例えば31日(1月)、28日(2月)、31日(3月)、30日(4月)、・・・という月末が到来する非周期パターンをページング周期として設定することができる。このため、基地局10−1は、MTC端末20−1からのデータ報告の必要がある月末にのみページングを行えるので、毎月末にデータ報告するようにMTC端末20−1に事前設定する場合と比べ、無線リソースやMTC端末20−1の消費量を軽減できる。
【0078】
(第1の実施形態によるMTC端末の構成)
続いて、図7を参照し、第1の実施形態によるMTC端末20−1の構成を説明する。
【0079】
図7は、第1の実施形態によるMTC端末20−1の構成を示した機能ブロック図である。図7に示したように、第1の実施形態によるMTC端末20−1は、アンテナ204と、無線通信部208と、受信周期制御部221と、記憶部231と、ブラインドデコーディング部240と、CRC回路250と、を備える。
【0080】
アンテナ204は、無線通信部208から供給されるPUSCH(データ信号)などの送信信号を無線信号として送信する送信部、および、基地局10−1から送信されたPDCCHやPDSCHなどの無線信号を電気的な受信信号に変換して無線通信部208に供給する受信部として機能する。なお、図7においてはMTC端末20−1が1のアンテナを有する例を示しているが、MTC端末20−1は複数のアンテナを備えてもよい。この場合、MTC端末20−1は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)通信、およびダイバーシティ通信などを実現可能である。
【0081】
無線通信部208は、上位レイヤから供給されるユーザデータの変調、DA変換、フィルタリング、増幅およびアップコンバージョンなどの送信用の無線処理を行う。また、無線通信部208は、アンテナ204から供給される受信信号のダウンコンバージョン、フィルタリング、DA変換、復調などの受信用の無線処理を行う。
【0082】
記憶部231は、基地局10−1との通信に利用される多様な情報を記憶する。例えば、記憶部231は、基地局10−1のP−RNTI管理部116によってMTC端末20−1に割り当てられたP−RNTI、および基地局10−1のページング周期管理部121によって設定された非周期パターンなどを記憶する。
【0083】
受信周期制御部221は、RRC_Idleモードにおいてページングを監視するための受信周期(DRX周期)を制御する受信制御部である。具体的には、受信周期制御部221は、記憶部231に記憶されている非周期パターンに従った無線フレームでブラインドデコーディング部240にブラインドデコーディングを行わせる。
【0084】
ブラインドデコーディング部240は、無線通信部208からPDCCHが供給されると、MTC端末20−1に付与されたP−RNTIにより識別されるCCEをブラインドデコーディングにより抽出する。
【0085】
より具体的には、ブラインドデコーディング部240は、CRC回路250と協働して、MTC端末20−1に付与されたP−RNTIで各CCEをデマスキングしながらCRCチェックを行う。そして、ブラインドデコーディング部240は、結果が正常であったCCEを抽出し、CCEに記載されているPIの示すPDSCH上のリソースをデコード結果として無線通信部208に供給する。無線通信部208は、デコード結果の示すPDSCH上のリソースで受信処理を行うことにより、基地局10−1から送信されたページングチャネルを取得できる。
【0086】
以上説明したように、第1の実施形態によるMTC端末20−1は、基地局10−1により設定された非周期パターンに従ってページングを監視することができる。なお、上記では基地局10−1が非周期パターンを設定してMTC端末20−1に通知する例を説明したが、MTC端末20−1が非周期パターンを設定して非周期パターンを基地局10−1に通知してもよい。
【0087】
(第1の実施形態の動作)
以上、本発明の第1の実施形態による基地局10−1およびMTC端末20−1の構成を説明した。続いて、図8を参照し、本発明の第1の実施形態による動作を説明する。
【0088】
図8は、本発明の第1の実施形態による動作を示したシーケンス図である。図8に示したように、MTC端末20−1がRRC_Connectedモードで動作している状態で(S302)、基地局10−1が非周期パターンを設定すると(S304)、基地局10−1は非周期パターンをMTC端末20−1に通知する(S306)。
【0089】
MTC端末20−1は、非周期パターンの通知に対してACKを基地局10−1に返信し(S308)、非周期パターンを記憶部231に記憶する(S310)。
【0090】
その後、MTC端末20−1がRRC_Idleモードに遷移すると、受信周期制御部221は、記憶部231に記憶した非周期パターンに従ってブラインドデコーディング部240にページング(PI)を監視させる(S312)。
【0091】
一方、基地局10−1は、MME12からS1−MMEインタフェースを介してページング要求が供給されると(S314)、S304で設定した非周期パターンに従って到来するタイミングを特定し(S316)、特定したタイミングにおいてページングを行う(S318)。ここで、MTC端末20−1は、非周期パターンに従ってページングを監視しているので、基地局10−1からのページングを取得することが可能である。
【0092】
<2−2.第2の実施形態>
以上、本発明の第1の実施形態を説明した。続いて、本発明の第2の実施形態を説明する。本発明の第2の実施形態によれば、以下に詳細に説明するように、あるタイミングにおいて複数の周期のうちでページング周期を切り替えることが可能である。
【0093】
(第2の実施形態による基地局の構成)
図9は、本発明の第2の実施形態による基地局10−2の構成を示した機能ブロック図である。図9に示したように、本発明の第2の実施形態による基地局10−2は、アンテナ104と、無線通信部108と、スケジューラ112と、P−RNTI管理部116と、ページング周期管理部122と、記憶部132と、ページング制御部142と、CRC回路150と、を備える。アンテナ104、無線通信部108、スケジューラ112、P−RNTI管理部116、およびCRC回路150の機能は第1の実施形態で説明した通りであるので、以下では、主に第1の実施形態と異なる構成を説明する。
【0094】
ページング周期管理部122は、RRC_Idleモードで動作する各MTC端末20−2へのページングのための複数の周期、および複数の周期の切替えタイミングを設定する。例えば、ページング周期管理部122は、長周期、短周期、および長周期と短周期の切替えタイミング(時刻、またはフレームなど)を設定する。この周期切替えタイミングは、周期を切り替える時刻またはフレーム番号などであってもよいし、長周期または短周期の継続時間または継続フレーム数などであってもよい。
【0095】
なお、ページング周期管理部122が3以上の周期を設定する場合、各周期切替えタイミングにおいていずれの周期に切り替えるかを判断するための情報が必要である。そこで、ページング周期管理部122は、各周期切替えタイミングに、切換後の周期を対応付けて設定してもよい。または、ページング周期管理部122は、各周期の切替え順序を設定しておいてもよい。かかる構成により、長周期、中周期、短周期などの3以上の周期での運用が可能となる。
【0096】
記憶部132は、ページング周期管理部122により設定された各MTC端末20の複数の周期、および複数の周期の切替えタイミングを示す情報を記憶する。
【0097】
ページング制御部142は、RRC_IdleモードのMTC端末20−2に対するページングを、当該MTC端末20−2に関して記憶部132に記憶されている複数の周期および周期切替えタイミングに従った無線フレームで制御する。以下、この点について図10を参照してより具体的に説明する。
【0098】
図10は、基地局10−2によるページングの具体例を示した説明図である。MTC端末20−2に関して記憶部132に長周期、短周期、および周期切替えタイミングt1、t2が記憶されている場合、基地局10−2のページング制御部142は、図10に示したようにt1においてページング周期を短周期から長周期に切り替える。また、ページング制御部142は、t2においてページング周期を長周期から短周期に切り替える。
【0099】
そして、基地局10−2のページング制御部142は、MTC端末20−2に対するページング情報がある場合、図10において「P」の四角囲いで示したように、この長周期および短周期の切替えに従って到来する無線フレームでページングを制御する。
【0100】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態による基地局10−2は、例えば月末付近に短周期を配置することにより、各月の日数が相違しても、月末においてページング要求の発生から少ない遅延でページングを行うことができる。また、本発明の第2の実施形態では、長周期、短周期および周期切替えタイミングを基地局10−2とMTC端末20−2との間で共有すればよい。このため、第1の実施形態に比べ、基地局10−2からMTC端末20−2へのシグナリングの情報量を抑制し易くなる。
【0101】
(第2の実施形態によるMTC端末の構成)
続いて、図11を参照し、第2の実施形態によるMTC端末20−2の構成を説明する。
【0102】
図11は、第2の実施形態によるMTC端末20−2の構成を示した機能ブロック図である。図11に示したように、第2の実施形態によるMTC端末20−2は、アンテナ204と、無線通信部208と、受信周期制御部222と、記憶部232と、ブラインドデコーディング部240と、CRC回路250と、を備える。アンテナ204、無線通信部208、ブラインドデコーディング部240、およびCRC回路250の機能は第1の実施形態で説明した通りであるので、以下では、主に第1の実施形態と異なる構成を説明する。
【0103】
記憶部232は、基地局10−2との通信に利用される多様な情報を記憶する。例えば、記憶部232は、基地局10−2のP−RNTI管理部116によってMTC端末20−2に割り当てられたP−RNTI、および基地局10−2のページング周期管理部121によって設定された長周期、短周期、および周期切替えタイミングなどを記憶する。
【0104】
受信周期制御部222は、RRC_Idleモードにおいてページングを監視するための受信周期(DRX周期)を制御する受信制御部である。具体的には、受信周期制御部222は、記憶部232に記憶されている長周期、短周期、および周期切替えタイミングに従った無線フレームでブラインドデコーディング部240にブラインドデコーディングを行わせる。
【0105】
以上説明したように、第2の実施形態によるMTC端末20−2は、基地局10−2により設定された周期切替えタイミングにおいて複数の周期の間で受信周期を切り替えることができる。なお、上記では基地局10−2が周期切替えタイミングを設定してMTC端末20−2に通知する例を説明したが、MTC端末20−2が周期切替えタイミングを設定して基地局10−2に通知してもよい。また、長周期および短周期などの複数の周期が事前に基地局10−2と各MTC端末20−2の間で共有されている場合、基地局10−2は長周期および短周期を通知しなくてもよい。
【0106】
(第2の実施形態の動作)
以上、本発明の第2の実施形態による基地局10−2およびMTC端末20−2の構成を説明した。続いて、図12を参照し、本発明の第2の実施形態による動作を説明する。
【0107】
図12は、本発明の第2の実施形態による動作を示したシーケンス図である。図12に示したように、MTC端末20−2がRRC_Connectedモードで動作している状態で(S402)、基地局10−2が周期切替えタイミングを設定すると(S404)、基地局10−2は周期切替えタイミングをMTC端末20−2に通知する(S406)。
【0108】
MTC端末20−2は、周期切替えタイミングの通知に対してACKを基地局10−2に返信し(S408)、周期切替えタイミングを記憶部232に記憶する(S410)。なお、基地局10−2は、周期切替えタイミングに加えて長周期、短周期などの複数の周期を通知してもよい。
【0109】
その後、MTC端末20−2がRRC_Idleモードに遷移すると、受信周期制御部222は、長周期または短周期に従ってページングを監視し、記憶部232に記憶した周期切替えタイミングで長周期と短周期を切り替える(S412)。
【0110】
一方、基地局10−2は、MME12からS1−MMEインタフェースを介してページング要求が供給されると(S414)、S404で設定した周期切替えタイミングにおいて切り替えられる長周期または短周期に従って到来するタイミングを特定し(S416)、特定したタイミングにおいてページングを行う(S418)。ここで、MTC端末20−2は、基地局10−2と同じ周期切替えタイミングにおいて長周期と短周期を切り替えてページングを監視しているので、基地局10−2からのページングを取得することが可能である。
【0111】
<2−3.第3の実施形態>
以上、本発明の第2の実施形態を説明した。続いて、本発明の第3の実施形態を説明する。本発明の第3の実施形態によれば、以下に詳細に説明するように、ページング周期を逐次更新することが可能である。
【0112】
(第3の実施形態による基地局の構成)
図13は、本発明の第3の実施形態による基地局10−3の構成を示した機能ブロック図である。図13に示したように、本発明の第3の実施形態による基地局10−3は、アンテナ104と、無線通信部108と、スケジューラ112と、P−RNTI管理部116と、ページング周期管理部123と、記憶部133と、ページング制御部143と、CRC回路150と、を備える。アンテナ104、無線通信部108、スケジューラ112、P−RNTI管理部116、およびCRC回路150の機能は第1の実施形態で説明した通りであるので、以下では、主に第1の実施形態と異なる構成を説明する。
【0113】
ページング周期管理部123は、RRC_Idleモードで動作するMTC端末20−3へのページングのためのページング周期を逐次更新する。例えば、ページング周期管理部123は、ページング周期が周期Aである場合に、ページング周期を周期Bに更新する。
【0114】
記憶部133は、ページング周期管理部123により逐次更新されるページング周期(逐次更新周期)を記憶する。
【0115】
ページング制御部143は、RRC_IdleモードのMTC端末20−3に対するページングを、記憶部133に記憶されている逐次更新周期に従った無線フレームで制御する。ここで、ページング周期管理部123により更新されるページング周期はMTC端末20−3にも通知する必要があるが、ページング周期の通知方法として、図14を参照して説明する第1の通知方法、および図15を参照して説明する第2の通知方法が挙げられる。
【0116】
図14は、ページング周期の第1の通知方法を示した説明図である。基地局10−3は、第1の通知方法として、全てのページングチャネルで次のページング周期を通知してもよい。例えば、基地局10−3は、図14に示したように、以降も周期Aが継続するページングチャネル#11では周期Aを通知し、以降にページング周期が周期Bに更新されるページングチャネル#12では周期Bを通知してもよい。
【0117】
図15は、ページング周期の第2の通知方法を示した説明図である。基地局10−3は、第2の通知方法として、以降にページング周期が更新されるページングチャネルで更新後のページング周期を通知してもよい。例えば、基地局10−3は、図15に示したように、以降も周期Aが継続するページングチャネル#11ではページング周期を通知せず、以降にページング周期が周期Bに更新されるページングチャネル#12では周期Bを通知してもよい。
【0118】
以上説明したように、本発明の第3の実施形態によれば、基地局10−3を含むネットワーク側でページング周期の更新要求に応じてRRC_Idleモードで動作するMTC端末20−3に関するページング周期を逐次更新することが可能である。また、本発明の第3の実施形態によれば、第1の実施形態のように多数の間隔からなる非周期パターンを共有する必要が無いので、メモリ資源の観点から有用である。また、特に第2の通知方法は、通知のためのリソースを抑制できる点でも効果的である。
【0119】
(第3の実施形態によるMTC端末の構成)
続いて、図16を参照し、第3の実施形態によるMTC端末20−3の構成を説明する。
【0120】
図16は、第3の実施形態によるMTC端末20−3の構成を示した機能ブロック図である。図16に示したように、第3の実施形態によるMTC端末20−3は、アンテナ204と、無線通信部208と、受信周期制御部223と、記憶部233と、ブラインドデコーディング部240と、CRC回路250と、を備える。アンテナ204、無線通信部208、ブラインドデコーディング部240、およびCRC回路250の機能は第1の実施形態で説明した通りであるので、以下では、主に第1の実施形態と異なる構成を説明する。
【0121】
記憶部233は、基地局10−3との通信に利用される多様な情報を記憶する。例えば、記憶部233は、基地局10−3のP−RNTI管理部116によってMTC端末20−3に割り当てられたP−RNTI、および基地局10−3のページング周期管理部121によって逐次更新されるページング周期などを記憶する。
【0122】
受信周期制御部223は、RRC_Idleモードにおいてページングを監視するための受信周期(DRX周期)を制御する受信制御部である。具体的には、受信周期制御部223は、記憶部233に記憶された逐次更新されるページング周期に従った無線フレームでブラインドデコーディング部240にブラインドデコーディングを行わせる。
【0123】
以上説明したように、第3の実施形態によるMTC端末20−3は、基地局10−3により逐次更新されるページング周期に従ってページングを監視することができる。
【0124】
(第3の実施形態の動作)
以上、本発明の第3の実施形態による基地局10−3およびMTC端末20−3の構成を説明した。続いて、図17を参照し、本発明の第3の実施形態による動作を説明する。
【0125】
図17は、本発明の第3の実施形態による動作を示したシーケンス図である。図17に示したように、MTC端末20−3がRRC_Connectedモードで動作している状態で(S502)、基地局10−3がページング周期を設定すると(S504)、基地局10−3はページング周期をMTC端末20−3に通知する(S506)。
【0126】
MTC端末20−3は、ページング周期の通知に対してACKを基地局10−3に返信し(S508)、ページング周期を記憶部233に記憶する(S510)。
【0127】
その後、MTC端末20−3がRRC_Idleモードに遷移すると、受信周期制御部223は、記憶部233に記憶したページング周期に従ってページングを監視する(S512)。
【0128】
一方、基地局10−3は、MME12からS1−MMEインタフェースを介してページング要求が供給されると(S514)、S504で設定したページング周期に従って到来するタイミングを特定する(S516)。また、基地局10−3は、ページング周期を更新する場合、更新後のページング周期をページングチャネルに記載する(S518)。そして、基地局10−3は、S516において特定したタイミングにおいて、更新後のページング周期が記載されたページングチャネルによりページングを行う(S520)。
【0129】
MTC端末20−3は、更新後のページング周期が記載されたページングチャネルを受信すると、更新後のページング周期を記憶部233に記憶し、更新後のページング周期に従ってページングを監視する(S522)。
【0130】
ここで、上述のように基地局10−3がページング周期を逐次更新してMTC端末20−3に通知する本実施形態では、更新後のページング周期の通知がMTC端末20−3により正常に受信されたか否かを基地局10−3が把握することが重要である。しかし、MTC端末20−3がアップリンクにより受信確認を送信すると、シグナリングが増加してしまうという問題がある。
【0131】
このため、本実施形態による基地局10−3は、以下に図18を参照して説明する方法により上記問題を解決する。
【0132】
図18は、第3の実施形態による動作を示したシーケンス図である。図18に示したように、基地局10−3は、ページング周期を更新する場合、更新後のページング周期をページングチャネルに記載してページングを行う(S532、S534)。その後、基地局10−3は、更新後のページング周期に遷移し、最初のページングチャネルでincoming callにより端末を呼び出した場合に(S536、S538)、incoming callに対するMTC端末20−3の応答の有無を判断する(S540)。
【0133】
ここで、MTC端末20−3から応答が無かった場合、その理由として、MTC端末20−3が、更新後のページング周期の通知を正常に受信できず、更新前のページング周期に従ってページングを監視し続けていることが考えられる。そこで、基地局10−3は、incoming callに対するMTC端末20−3からの応答が無かった場合、ページング周期を更新前のページング周期に戻す(S542)。かかる構成により、基地局10−3は、MTC端末20−3が監視している周期でページングを行うことが可能となる。
【0134】
<2−4.第4の実施形態>
以上、本発明の第1〜第3の実施形態を説明した。続いて、本発明の第4の実施形態の説明に先立ち、本発明の第4の実施形態に至った経緯を説明する。
【0135】
RRC_IdleモードのUEのページング周期が10日や1カ月のように長周期である場合、周期間隔においてUEの状態が変化し得る。しかし、この状態変化に合わせてページング周期を変更することは困難であった。UEがRRC_Connectedモードに遷移して、eNodeBと同期を行い、ページング周期の変更のためのシグナリングを行う方法も考えられるが、この方法では電力を消費してしまうという問題があった。
【0136】
本発明の第4の実施形態、および以下に説明する第5の実施形態は上記の点に着目してなされたものである。本発明の第4の実施形態によるMTC端末20−4は、RRC_Idleモードを維持したまま状態変化に応じてページング周期を変更することが可能である。以下、このような本発明の第4の実施形態について詳細に説明する。
【0137】
(第4の実施形態による基地局の構成)
図19は、本発明の第4の実施形態による基地局10−4の構成を示した機能ブロック図である。図19に示したように、本発明の第4の実施形態による基地局10−4は、アンテナ104と、無線通信部108と、スケジューラ112と、P−RNTI管理部116と、ページング周期管理部124と、記憶部134と、ページング制御部144と、CRC回路150と、を備える。アンテナ104、無線通信部108、スケジューラ112、P−RNTI管理部116、およびCRC回路150の機能は第1の実施形態で説明した通りであるので、以下では、主に第1の実施形態と異なる構成を説明する。
【0138】
ページング周期管理部124は、RRC_Idleモードで動作する各MTC端末20−4へのページングのための複数の周期を設定する。例えば、ページング周期管理部124は、長周期、および短周期を設定する。
【0139】
記憶部134は、ページング周期管理部124により設定された各MTC端末20−4の複数の周期(長周期および短周期)を示す情報を記憶する。
【0140】
ページング制御部144は、RRC_IdleモードのMTC端末20−4に対するページングを、当該MTC端末20−4に関して記憶部134に記憶されている複数の周期の各々に従った無線フレームで制御する。以下、この点について図20を参照してより詳細に説明する。
【0141】
図20は、基地局10−4によるページングの具体例を示した説明図である。MTC端末20−4に関して記憶部134に長周期および短周期が記憶されており、図20に示したように基地局10−4が当該MTC端末20−4に対するページング要求をMME12からt4において受信した場合を考える。この場合、基地局10−4のページング周期管理部124は、図20に示したように、短周期に従うタイミングおよび長周期に従うタイミングの双方においてMTC端末20−4に対するページングを行う。
【0142】
(第4の実施形態によるMTC端末の構成)
続いて、図21を参照し、第4の実施形態によるMTC端末20−4の構成を説明する。
【0143】
図21は、第4の実施形態によるMTC端末20−4の構成を示した機能ブロック図である。図21に示したように、第4の実施形態によるMTC端末20−4は、アンテナ204と、無線通信部208と、受信周期制御部224と、記憶部234と、ブラインドデコーディング部240と、CRC回路250と、状態検出部260と、を備える。アンテナ204、無線通信部208、ブラインドデコーディング部240、およびCRC回路250の機能は第1の実施形態で説明した通りであるので、以下では、主に第1の実施形態と異なる構成を説明する。
【0144】
記憶部234は、基地局10−4との通信に利用される多様な情報を記憶する。例えば、記憶部234は、基地局10−4のP−RNTI管理部116によってMTC端末20−4に割り当てられたP−RNTI、および基地局10−4のページング周期管理部124によって設定された長周期および短周期などを記憶する。
【0145】
状態検出部260は、MTC端末20−4の状態変化を検出する。例えば、状態検出部260は、MTC端末20−4の移動、またはMTC端末20−4が特定位置に移動したことを状態変化として検出する加速度センサやGPSであってもよい。
【0146】
また、状態検出部260は、MTC端末20−4の電源残量の減少(例えば、電源残量が閾値を下回ったこと)を状態変化として検出してもよい。また、MTC端末20−4が商品の自動販売機能を有する機器に実装される場合、状態検出部260は、自動販売機能による売り上げの変化や商品在庫の減少を状態変化として検出してもよい。
【0147】
受信周期制御部224は、RRC_Idleモードにおいてページングを監視するための受信周期(DRX周期)を制御する受信制御部である。ここで、基地局10−4からのページングチャネルにデータ報告(読出し)命令が含まれていても、MTC端末20−4の状態が全く変化していない場合には、MTC端末20−4から有益な情報が得られないこともあり得る。例えば、MTC端末20−4が缶ジュースの自動販売機に実装されており、缶ジュースの補充の目的で基地局10−4がMTC端末20−4から在庫数の報告を要求する場合、在庫数が全く変化していない場合、MTC端末20−4に在庫数を報告させる意義は少ない。
【0148】
一方、MTC端末20−4の状態が変化した場合には、ページングによってMTC端末20−4にデータ報告させる価値が上がっていると考えられる。このため、MTC端末20−4の状態が変化した場合には、受信周期を短くすることが望ましい。しかし、通常、MTC端末20−4がRRC_Idleモードで動作しているときにはコネクションが確立していないので、基地局10−4との通信により受信周期を変更することは困難であった。
【0149】
この点に関し、本実施形態によるMTC端末20−4の受信周期制御部224は、状態検出部260による状態変化の検出に応じて受信周期を長周期と短周期の間で切り替える。このようにMTC端末20−4が一方的にページングのための受信周期を切り替えても、本実施形態による基地局10−4は、図20を参照して説明したように、短周期に従うタイミングおよび長周期に従うタイミングの双方においてMTC端末20−4に対するページングを行うので、MTC端末20−4は基地局10−4からページングを受信することが可能である。以下、この点について図22を参照してより具体的に説明する。
【0150】
図22は、MTC端末20−4による受信周期の切替えを示した説明図である。図22に示したように、MTC端末20−4の受信周期制御部224は、t3において状態検出部260により状態変化が検出された場合、受信周期を長周期から短周期に切り替える。一方、基地局10−4は、t4においてMME12からページング要求を受信した場合、短周期に従ったタイミング、および長周期に従ったタイミングの双方においてページングを行う。このため、MTC端末20−4は、受信周期の切換後、基地局10−4から短周期に従ったタイミングで行われるページングを受信することができる。
【0151】
ここで、受信周期制御部224による受信周期の切替え基準の具体例を説明する。例えば、荷物がどの場所にあるかをMTC端末20−4により監視するためのトラッキングのアプリケーションでは、荷物に移動が無い場合にMTC端末20−4に場所の報告をさせても新たな情報を入手できない。そこで、MTC端末20−4は、荷物に移動が無い場合には長周期に従ってページングを監視し、同じ位置情報を報告する。一方、MTC端末20−4の受信周期制御部224は、荷物が移動した場合には受信周期を短周期に切り替える。これにより、呼び出しに対する応答が速くなり、移動後または移動中の位置情報などの有益な情報の報告を短い応答時間で得ることが可能となる。同様の理由により、MTC端末20−4の受信周期制御部224は、荷物が特定の場所に移動した場合に受信周期を短周期に切り替えてもよい。
【0152】
また、MTC端末20−4の受信周期制御部224は、MTC端末20−4の電源残量が減少した場合、受信周期を短周期から長周期に切り替えてもよい。かかる構成により、MTC端末20−4の電源残量の減少速度を抑制することができる。
【0153】
また、MTC端末20−4の受信周期制御部224は、自動販売機能による売上げが上がった場合、または商品の在庫数が少なくなった場合、受信周期を長周期から短周期に切り替えてもよい。かかる構成により、ネットワーク側は有益な情報を低遅延で取得することが可能となる。
【0154】
(第4の実施形態の動作)
以上、本発明の第4の実施形態による基地局10−4およびMTC端末20−4の構成を説明した。続いて、図23を参照し、本発明の第4の実施形態による動作を説明する。
【0155】
図23は、本発明の第4の実施形態による動作を示したシーケンス図である。図23に示したように、MTC端末20−4がRRC_Connectedモードで動作している状態で(S602)、基地局10−4は、長周期および短周期を設定し(S604)、長周期および短周期をMTC端末20−4に通知する(S606)。
【0156】
MTC端末20−4は、長周期および短周期の通知に対してACKを基地局10−4に返信し(S608)、長周期および短周期を示す情報を記憶部234に記憶する(S610)。
【0157】
その後、MTC端末20−4がRRC_Idleモードに遷移すると、受信周期制御部224は、記憶部234に記憶した長周期に従ってページングを監視する(S612)。なお、受信周期制御部224は、RRC_Idleモードへの遷移直後の受信周期を短周期に設定してもよい。
【0158】
一方、基地局10−4は、MME12からS1−MMEインタフェースを介してページング要求が供給されると(S614)、長周期に従うタイミングおよび短周期に従うタイミングを特定し(S616)、双方のタイミングにおいてページングを行う(S618、S620)。ここで、MTC端末20−4は、長周期に従ってページングを監視しているので、長周期に従うタイミングのページングを取得することができる(S620)。
【0159】
その後、MTC端末20−4の受信周期制御部224は、状態検出部260により状態変化が検出された場合(S622)、受信周期を長周期から短周期に切り替える(S624)。
【0160】
そして、基地局10−4は、MME12からS1−MMEインタフェースを介してページング要求が供給されると(S626)、長周期に従うタイミングおよび短周期に従うタイミングを特定し(S628)、双方のタイミングにおいてページングを行う(S630、S632)。ここで、MTC端末20−4は、短周期に従ってページングを監視しているので、短周期に従うタイミングのページングを取得することができる(S630)。
【0161】
<2−5.第5の実施形態>
以上、本発明の第4の実施形態を説明した。続いて、本発明の第5の実施形態を説明する。本発明の第5の実施形態は、本発明の第4の実施形態と同様の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の第5の実施形態によるMTC端末20−5は、RRC_Idleモードを維持したまま状態変化に応じてページング周期を変更することが可能である。以下、このような本発明の第5の実施形態について詳細に説明する。なお、第5の実施形態によるMTC端末20−5の機能ブロックは、第4の実施形態によるMTC端末20−4の機能ブロックと実質的に同一に構成できるので、詳細な説明を省略する。
【0162】
(第5の実施形態による基地局の構成)
図24は、本発明の第5の実施形態による基地局10−5の構成を示した機能ブロック図である。図24に示したように、本発明の第5の実施形態による基地局10−5は、アンテナ104と、無線通信部108と、スケジューラ112と、P−RNTI管理部116と、ページング周期管理部125と、記憶部135と、ページング制御部145と、CRC回路150と、を備える。アンテナ104、無線通信部108、スケジューラ112、P−RNTI管理部116、およびCRC回路150の機能は第1の実施形態で説明した通りであるので、以下では、主に第1の実施形態と異なる構成を説明する。
【0163】
ページング周期管理部125は、RRC_Idleモードで動作する各MTC端末20−5へのページングのための複数の周期を設定する。例えば、ページング周期管理部125は、長周期、および短周期を設定する。
【0164】
記憶部135は、ページング周期管理部125により設定された各MTC端末20−5の複数の周期(長周期および短周期)を示す情報を記憶する。
【0165】
ページング制御部145は、RRC_IdleモードのMTC端末20−5に対するページングを、当該MTC端末20−5に関して記憶部135に記憶されている複数の周期のいずれかに従った無線フレームで制御する。
【0166】
ここで、第5の実施形態によるMTC端末20−5は、第4の実施形態と同様に、MTC端末20−5の状態変化によりページングのための受信周期を切り替える。一方、基地局10−5は、MTC端末20−5の受信周期の切替え後であっても、MTC端末20−5の切替え前の周期に従ってページングを行う。このため、MTC端末20−5がページングを受信できないので、基地局10−5は、MTC端末20−5からページングに対する応答を得られない。
【0167】
そこで、基地局10−5は、MTC端末20−5からページングに対する応答を得られない場合、MTC端末20−5が受信周期を切り替えたと判断し、このMTC端末20−5のためのページング周期を切り替える。以下、この点について図25および図26を参照して具体的に説明する。
【0168】
図25は、基地局10−5によるページング周期の切替えを示した説明図である。図25に示したように、MTC端末20−5は、長周期でページングを監視している場合、基地局10−5が長周期に従ってページング#21を送信すると、このページング#21を受信する。
【0169】
その後、MTC端末20−5がt5において状態変化により受信周期を短周期に切り替えると、基地局10−5が長周期に従って送信するページング#22をMTC端末20−5が受信できなくなる。このため、基地局10−5のページング制御部145は、ページング#22に対する応答が得られないので、MTC端末20−5が受信周期を切り替えたと判断し、ページング周期を短周期に切り替えてページング#22’を送信する。MTC端末20−5は、短周期に従ってページングを監視しているので、このページング#22’を受信することが可能である。
【0170】
このように、基地局10−5がページング周期を長周期から短周期に切り替える場合、呼び出しから応答までの時間は短縮されないが、必要が生じるまで長周期に従ってページングを送信するので、ページングのためのリソースを節約できるという利点がある。
【0171】
なお、1つのP−RNTIには、通常複数のMTC端末20−5が属する。また、同一のP−RNTIに属する複数のMTC端末20−5には、長周期で動作するMTC端末20−5および短周期で動作するMTC端末20−5が混在し得る。このため、基地局10−5は、短周期に従ったタイミングと、長周期に従ったタイミングの双方において、同一のP−RNTIを用いつつ、異なるMTC端末20−5に対するページングを行ってもよい。
【0172】
また、長周期に従って到来する各タイミングが短周期に従って到来するタイミングと同一である場合、MTC端末20−5は、タイミング的には、短周期への切換後も長周期に従って送信されるページングを受信可能である。しかし、この場合、基地局10−5がMTC端末20−5の受信周期の切替えを判断することが困難となる。
【0173】
そこで、基地局10−5は、各MTC端末20−5に長周期用のP−RNTIと短周期用のP−RNTIを割当て、長周期に従ってページングを行う場合には長周期用のP−RNTIを用い、短周期に従ってページングを行う場合には短周期用のP−RNTIを用いてもよい。また、MTC端末20−5は、長周期でページングを監視する場合には長周期用のP−RNTIを用いてブラインドデコ―ディングを行い、短周期でページングを監視する場合には短周期用のP−RNTIを用いてブラインドデコ―ディングを行ってもよい。かかる構成によれば、基地局10−5がMTC端末20−5の受信周期の切替えを高精度に判断することが可能となる。
【0174】
以上、ページング周期(受信周期)が長周期から短周期に切り替えられる例を説明したが、以下に図26を参照して説明するように、短周期から長周期への切り替えも可能である。
【0175】
図26は、基地局10−5によるページング周期の切替えを示した説明図である。図26に示したように、MTC端末20−5は、短周期でページングを監視している場合、基地局10−5が短周期に従ってページング#31を送信すると、このページング#31を受信する。
【0176】
その後、MTC端末20−5がt6において状態変化により受信周期を長周期に切り替えると、基地局10−5が短周期に従って送信するページング#32をMTC端末20−5が受信できなくなる。このため、基地局10−5のページング制御部145は、ページング#32に対する応答が得られないので、MTC端末20−5が受信周期を切り替えたと判断し、ページング周期を長周期に切り替えてページング#32’を送信する。MTC端末20−5は、長周期に従ってページングを監視しているので、このページング#32’を受信することが可能である。
【0177】
このように、MTC端末20−5が受信周期を短周期から長周期に切り替えることにより、MTC端末20−5の消費電力を削減することができる。なお、この場合、呼び出しから応答までの時間が長期化するが、レスポンスが遅くなっても問題無いと考えられる場合にMTC端末20−5がページングの監視周期を長周期に切り替えるので、これによる悪影響は少ない。
【0178】
(第5の実施形態の動作)
以上、本発明の第5の実施形態による基地局10−5およびMTC端末20−5の構成を説明した。続いて、図27を参照し、本発明の第5の実施形態による動作を説明する。
【0179】
図27は、本発明の第5の実施形態による動作を示したシーケンス図である。図27に示したように、MTC端末20−5がRRC_Connectedモードで動作している状態で(S702)、基地局10−5は、長周期および短周期を設定し(S704)、長周期および短周期をMTC端末20−5に通知する(S706)。
【0180】
MTC端末20−5は、長周期および短周期の通知に対してACKを基地局10−5に返信し(S708)、長周期および短周期を示す情報を記憶部234に記憶する(S710)。
【0181】
その後、MTC端末20−5がRRC_Idleモードに遷移すると、受信周期制御部224は、記憶部234に記憶した長周期に従ってページングを監視する(S712)。なお、受信周期制御部224は、RRC_Idleモードへの遷移直後の受信周期を短周期に設定してもよい。
【0182】
一方、基地局10−5は、MME12からS1−MMEインタフェースを介してページング要求が供給されると(S714)、長周期に従うタイミングを特定し(S716)、特定したタイミングにおいてページングを行う(S718)。ここで、MTC端末20−5は、長周期に従ってページングを監視しているので、基地局10−5からのページングを取得することができる(S720)。
【0183】
その後、MTC端末20−5の受信周期制御部224は、状態検出部260により状態変化が検出された場合(S720)、受信周期を長周期から短周期に切り替える(S722)。
【0184】
そして、基地局10−5は、MME12からS1−MMEインタフェースを介してページング要求が供給されると(S724)、長周期に従うタイミングを特定し(S726)、特定したタイミングにおいてページングを行う(S728)。しかし、MTC端末20−5は、短周期に従ってページングを監視しているので、基地局10−5は、このページングに対する応答を得られない。
【0185】
このため、基地局10−5のページング制御部145は、MTC端末20−5が受信周期を切り替えたと判断し、ページング周期を短周期に切り替えてページングを行う(S730、S732)。ここで、MTC端末20−5は、短周期に従ってページングを監視しているので、S732で送信されたページングを取得することができる。
【0186】
<<3.むすび>>
以上説明したように、本発明の第1〜第3および第5実施形態によれば、基地局10が複数の周期を切り替えてページングを行うことが可能となる。例えば、第1の実施形態による基地局10−1は、31日(1月)、28日(2月)、31日(3月)、30日(4月)、・・・という月末が到来する非周期パターンに従ってページングを行うことができる。
【0187】
また、本発明の第4実施形態による基地局10−4は、複数の周期でページングを行うので、第4の実施形態によるMTC端末20−4は、基地局10−4と事前に通信することなく、例えばMTC端末20−4の状態変化によりページングの受信周期を切り替える事が可能である。
【0188】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0189】
例えば、本発明の第1〜第5の実施形態のうちの複数の実施形態の技術的事項を組み合わせることも可能である。具体的には、第4または第5の実施形態の技術的事項と、第1または第2の実施形態の技術的事項との組み合わせも本発明の技術的範囲に属する。例えば、第4の実施形態と第1の実施形態を組み合わせた場合、基地局10は、複数組の非周期パターンを保持し、複数組の非周期パターンの各々に従ったタイミングでページングを行い、MTC端末20は、状態変化に応じてページンの監視のための非周期パターンを切り替えてもよい。
【0190】
また、本明細書の基地局10およびMTC端末20の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、基地局10およびMTC端末20の処理における各ステップは、シーケンス図として記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0191】
また、基地局10およびMTC端末20に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した基地局10およびMTC端末20の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0192】
10 基地局
12 MME
14 S−GW
20 MTC端末
104、204 アンテナ
108、208 無線通信部
112 スケジューラ
116 P−RNTI管理部
121〜125 ページング周期管理部
131〜135、231〜234 記憶部
141〜145 ページング制御部
150 CRC回路
221〜224 受信周期制御部
240 ブラインドデコーディング部
250 CRC回路
260 状態検出部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置と無線通信する無線通信部と、
前記無線通信部から前記無線通信装置に対するページングチャネルを第1の周期に従って送信させるページング制御部と、
を備え、
前記ページングチャネルは第2の周期を示す情報を含み、
前記ページング制御部は、ページングチャネルを送信するための周期を前記第1の周期から前記第2の周期に変更する、基地局。
【請求項2】
前記ページング制御部は、前記第2の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答がない場合、前記ページングチャネルを送信するための周期を前記第2の周期から前記第1の周期に戻す、請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
基地局から第1の周期に従ってページングチャネルを受信する無線通信部と、
前記ページングチャネルを受信するための受信周期を、前記第1の周期から、前記無線通信部により受信されるページングチャネルの示す第2の周期に変更する受信制御部と、
を備える、無線通信装置。
【請求項4】
無線通信装置であって、
第1の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答が無い場合に前記ページングチャネルを送信するための周期を第2の周期に変更する基地局と無線通信する無線通信部と、
前記無線通信装置の状態変化を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に応じ、前記ページングチャネルを受信するための受信周期を、前記第1の周期から前記第2の周期に切り替える受信制御部と、
を備える、無線通信装置。
【請求項5】
前記無線通信部は、前記第1の周期および前記第2の周期を示す通知を前記基地局から受信し、
前記無線通信装置は、前記無線通信部により受信された前記第1の周期および前記第2の周期を記憶する記憶部をさらに備える、請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記受信制御部は、前記基地局との非接続時に前記受信周期を前記第1の周期および前記第2の周期のうちで切り替える、請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記無線通信装置の移動を前記状態変化として検出する、請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記無線通信装置が特定位置に移動したことを前記状態変化として検出する、請求項7に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記無線通信装置の電源残量の減少を前記状態変化として検出する、請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記無線通信装置は、商品の自動販売機能を有し、
前記検出部は、前記自動販売機能による売り上げの変化または商品在庫の減少を前記状態変化として検出する、請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記ページングチャネルの宛先は、前記無線通信装置に割り当てられた識別情報を用いて指定されており、
前記宛先の指定に用いられる識別情報は、前記第1の周期に従って送信されるページングチャネルと、前記第2の周期に従って送信されるページングチャネルとで異なる、請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記無線通信装置の状態変化を検出し、
前記状態変化の検出結果に応じ、第1の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答が無い場合に前記ページングチャネルを送信するための周期を第2の時間に変更する基地局から前記ページングチャネルを受信するための受信周期を、前記第1の周期から前記第2の周期に切り替える、無線通信方法。
【請求項13】
コンピュータを、
無線通信装置であって、
第1の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答が無い場合に前記ページングチャネルを送信するための周期を第2の周期に変更する基地局と無線通信する無線通信部と、
前記無線通信装置の状態変化を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に応じ、前記ページングチャネルを受信するための受信周期を、前記第1の周期から前記第2の周期に切り替える受信制御部と、
を備える、無線通信装置として機能させるための、プログラム。
【請求項14】
無線通信装置と無線通信する無線通信部と、
第1の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答が無い場合に前記ページングチャネルを送信するための周期を第2の周期に変更するページング制御部と、
を備える、基地局。
【請求項15】
無線通信装置と、
第1の周期に従って送信したページングチャネルに対して前記無線通信装置から応答が無い場合に前記ページングチャネルを送信するための周期を第2の周期に変更する基地局と、
を備え、
前記無線通信装置は、
前記無線通信装置の状態変化を検出する検出部、および、
前記検出部による検出結果に応じ、前記ページングチャネルを受信するための受信周期を、前記第1の周期から前記第2の周期に切り替える受信制御部、
を有する、無線通信システム。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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