説明

無線通信装置及び方法

【課題】信号の転送レート(スループット)及びエラーレートが環境劣化前に比べて悪化することがなく、しかも、装置の規模が大型化することがない無線通信装置及び方法を提供する。
【解決手段】送信信号変調装置1と送信信号増幅装置2との間を同軸ケーブル5で接続し、送信信号変調装置1から送信信号増幅装置2に同軸ケーブル5を介して送信信号を送信する。送信信号増幅装置2は送信された信号を受信してBERを測定し、測定されたBERと閾値とを比較して同軸ケーブル5の劣化を判定する。同軸ケーブルが劣化したと判定した場合、送信信号変調装置にケーブル劣化を通知し、送信信号変調装置は送信信号の周波数を下げる、送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を伝送するケーブルが劣化してもケーブルが劣化していない時と同等の信号のスループット及びエラーレートを保持することを可能とする無線通信装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信サービスにおいては、用途の多様化に伴い、通信容量が増大してきている。この通信容量の増大は、変調方式の複雑化や使用する周波数を高周波にシフトすることにより実現している。また、通信容量が増大するに伴い、通信回線の切断が発生すると、多大な金銭的な損害を生じるため、このような通信回線の切断の回避が要求されている。
【0003】
一方、無線通信装置では、設置する場所により相手先の無線通信装置との通信状態が大きく変化する。そのため、無線通信装置には、受信信号の状況により複数の変調方式を手動もしくは自動的手段により切り替えることが可能なものもある。例えば、直角位相振幅変調(Quadrature Amplitude Modulation 、QAM)において、256QAM、160QAM等を、四位相偏移変調(Quadrature Phase-shift Keying 、QPSK)と切り替えること等がある。
【0004】
それら無線自体の切断回避のための機構が存在する一方で、装置自体の信頼性の向上も必要である。その様な無線通信装置の基地局の装置は、基地局の本体装置に加え、アンテナ近傍の装置(一般に、out-door unit(ODU)と呼ばれる)を設けることが多く、その装置間は装置の配置に自由度を持たせるため、導波管等と比較して可撓性(曲げ許容度)高い有線ケーブル(同軸ケーブル等)で接続することが多い。しかし、有線ケーブルを用いる場合には、装置のメンテナンスや屋外の設置環境によりケーブルには微小な負担がかかっており、その可撓性から許容された以上の力がかかることもあるため、ケーブルの劣化を避けることは難しい。
【0005】
このケーブル劣化が発生すると、通信回線の切断が発生するため、無線通信を切断することなく、ケーブルの劣化を事前に診断できれば、ケーブルの断線前にケーブルを交換することが可能となり、回線を維持し続けることができる。このケーブルは被覆されているため、切断や劣化の具合が外部から分かり難く、視覚的な方法以外で劣化を判断する必要がある。
【0006】
このケーブル劣化を判定するための方法が、例えば、特許文献1から特許文献13に記載されている。特許文献1の代表的構成を図5に、特許文献5の代表的構成を図6に示す。特許文献1から特許文献5の手法は、何らかの監視信号や検査信号を通常の送信信号(以後、主信号という)に重畳し、その監視信号や検査信号の特性を監視することでケーブル劣化を判断する技術である。
【0007】
即ち、特許文献1の手法では、ケーブルの一方の端を終端し、ケーブルの他方の端に高周波パルスを印加し、入力パルスの反射波の時間変化を観測してケーブルの劣化や断線を判定する。特許文献2の手法では、測定信号を入力してケーブルの長さに相当する位相をずらした測定信号との比較を行うことでケーブルの断線を判定する。
【0008】
特許文献3の手法では、信号の応答波形から断線時の特徴を抽出して断線を判定する。特許文献4の手法では、ケーブルの抵抗を高周波電流で評価し、高周波電流が導体表面を流れるという表皮効果を利用することで断線検知を行う。更に、特許文献5の手法では、光ファイバーの送信信号に加えて監視用光信号を重畳し、その減衰率を観測してケーブルの劣化を判断する。この例は、光ケーブルの例であるが、光ケーブルを同軸ケーブルに置き換え、送信信号の減衰率を確認することで同軸ケーブルの劣化を判定することは容易に類推可能である。
【0009】
一方、特許文献6から特許文献10の手法は、ケーブルを改良することでケーブル劣化や断線を検知する手法である。即ち、特許文献6及び特許文献7の手法は、主信号の通過するケーブル以外に断線検知用のケーブルを併設し、ケーブルの断線やケーブルを接続するコネクタ等の接続不良を判定する。
【0010】
特許文献8の手法は、複数の電源線の電圧降下を比較することで電源線の断線を判定する。特許文献9の手法は、主信号の通過するケーブルの周りに断線検知用ケーブルを配置する。特許文献10の手法は、ケーブルを複数の素線で構成し、一番外側の素線の破断による特性変化で断線検知を行う。
【0011】
特許文献11や特許文献12の手法は、ケーブル損失による物理的な変化を検出する装置を用いる手法である。即ち、特許文献11の手法は、ケーブルの絶縁体に交流電圧を印加し、その充電電流を測定して損失電流を求め、この損失電流の周波数成分中、第3高調波成分のレベルを、正常なケーブルのレベルの値と比較することで絶縁劣化の程度を判定する。特許文献12の手法は、送波器及び受波器をケーブル外周上で直径上の2点間に固定治具を用いて当接させて超音波伝搬時間を測定し、正常なケーブルの値と比較して劣化の程度を判定する。
【0012】
一方、無線通信環境の劣化に対応して通信を行う手段として、特許文献13に開示された手法がある。特許文献13の代表図を図7に示す。特許文献13の手法は、アンテナを経由して送受信される信号の劣化をSNRをもとに判断し、それに基づき送信信号の変調方式または符号化率を変更して回線を維持する手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−121102号公報
【特許文献2】特開2007−064858号公報
【特許文献3】特開2008−292181号公報
【特許文献4】特開平02−095273号公報
【特許文献5】特開昭60−177238号公報
【特許文献6】特開2010−212133号公報
【特許文献7】特開2010−185724号公報
【特許文献8】特開2008−202974号公報
【特許文献9】特開2007−299608号公報
【特許文献10】特開2007−139488号公報
【特許文献11】特開平05−264642号公報
【特許文献12】特開2002−131292号公報
【特許文献13】特開2009−152876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述のように無線通信機器の装置間のケーブル劣化を事前に検知する必要がある。特許文献1から特許文献5の手法は、主信号に重畳した監視信号や検査信号の反射(リターンロス)や、通過損失(ロス)或いはそれらに類する特性を確認することによりケーブルの劣化や断線を判断する。しかし、実際にリターンロスやロスが悪化した時には主信号が通過しない状態となっており、この手法のみでは事前にケーブル劣化を検知することは困難である。
【0015】
特許文献3の手法のようにケーブル劣化状態での特性を抽出できれば、事前検知は可能であるが、実際にはケーブル毎の特性の違いや使用する環境の違い、ケーブル劣化の形や方法の違い等から使用するケーブルの劣化状態のデータを取得することは非常に困難であり、劣化の判断自体が困難である。
【0016】
その一方で、ケーブル劣化や断線がケーブルの外側から発生するという観点から特許文献4に記載されているように監視信号や検査信号に高周波信号を利用する方法は、原理的に有効である。だが、この手法も、事前にケーブル劣化を判断するためには、主信号が影響を受けない状況においてケーブル劣化を判断しなくてはならない。即ち、この高周波信号の周波数は主信号の5倍から10倍に設定する必要がある。その結果、周波数が1GHzより低い信号に対しては有効であるものの、主信号が数GHz以上である場合には、必要な高周波信号が10GHz以上となり、使用するケーブルの通過特性が十分でない問題や、信号源や判定用の回路等の構成が複雑になる等の問題が発生し、この方法を利用することは難しい。
【0017】
更に、特許文献6から特許文献10の手法は、ケーブルを複数配置したり、ケーブル自体を改良して断線の事前検知を行うという手法である。これらの手法は、低周波や直流電圧の使用においては有効であるが、高周波信号においては利用が困難である。即ち、特許文献6、7、9の様に主信号のケーブルの近くに断線検知用のケーブルを配置すると、主信号が通過するケーブルのインピーダンスが不安定となり、信号の伝送自体が困難となる。
【0018】
また、特許文献8に記載されているように複数のケーブルを用いる方法は有効であるものの、高周波信号は電源線を流れる直流信号と異なり、信号の分岐や合成をすることが難しく、仮にそれらの構成をとったとしても回路構成が複雑化する問題がある。特許文献10の手法の様に同軸ケーブルの芯線を複数の素材で構成すると、主信号が高周波信号であるため、表皮効果によりケーブルの劣化が検知されると高周波信号も大きく減衰する結果となり、劣化の検知時には通信が不能となる問題がある。
【0019】
更に、特許文献11や特許文献12の手法は、ケーブル損失による物理的な変化を検出する装置を用いる手法である。特許文献11の手法では、劣化診断用の交流電圧を生成する回路を設けなければならないため、この回路分の実装領域が増える問題がある。特許文献12の手法では、超音波を送受信する装置をケーブルに実装する必要があり、通信装置のアンテナは高所等の外的条件が厳しい場所に設置する必要があるため不向きである。
【0020】
以上のように特許文献1から特許文献12に記載された手法では、ケーブルの劣化は検知できるものの、ケーブルの劣化と同時に主信号も通信が不能となるため、通信が不能になる前の検知が難しい。
【0021】
一方、特許文献13の手法は、アンテナから送信される信号において信号の送信環境が劣化した場合、変調方式または符号化率を変更し、回線を維持する手法である。この手法では、回線を維持することはできるが、変調方式を変更することにより信号の転送レートが環境劣化前より悪くなる問題がある。
【0022】
本発明の目的は、信号の転送レート(スループット)及びエラーレートが環境劣化前に比べて悪化することがなく、しかも、装置の規模が大型化することがない無線通信装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係る無線通信装置は、少なくとも2つの装置がケーブルで接続され、前記ケーブルで接続された一方の送信側装置から他方の受信側装置に前記ケーブルを介して送信信号を送信する無線通信装置であって、前記受信側装置は、前記送信側装置から送信された送信信号から信号の劣化の度合を測定する測定手段と、前記測定された信号の劣化の度合と予め決められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する判定手段と、前記ケーブルが劣化したと判定された場合、前記送信側装置に前記ケーブルの劣化を通知する通知手段とを有し、前記送信側装置は、前記受信側装置からの前記ケーブル劣化通知に応じて前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行う制御手段、を備えたことを特徴する。
【0024】
本発明に係るケーブル劣化診断装置は、2つの装置間に接続されたケーブルの劣化を診断するケーブル劣化診断装置であって、前記2つの装置のうち一方の装置から他方の装置に前記ケーブルを介して信号を送信する手段と、前記他方側の装置で前記ケーブルを介して送信された信号を受信し、その信号の劣化の度合を測定する手段と、前記測定された信号の劣化の度合と予め設定された閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る無線通信方法は、少なくとも2つの装置がケーブルで接続され、前記ケーブルで接続された一方の送信側装置から他方の受信側装置に前記ケーブルを介して送信信号を送信する無線通信方法であって、前記受信側装置が、前記送信側装置から送信された送信信号から信号の劣化の度合を測定するステップと、前記測定された信号の劣化の度合と予め決められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定するステップと、前記ケーブルが劣化したと判定された場合、前記送信側装置に前記ケーブルの劣化を通知するステップとを含み、前記送信側装置が、前記受信側装置からの前記ケーブル劣化通知に応じて前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行うステップ、を含むことを特徴する。
【0026】
また、本発明に係るケーブル結果診断方法は、2つの装置間に接続されたケーブルの劣化を診断するケーブル劣化診断方法であって、送信手段が、前記2つの装置のうち一方の装置から他方の装置に前記ケーブルを介して信号を送信するステップと、測定手段が、前記他方側の装置で前記ケーブルを介して送信された信号を受信し、その信号の劣化の度合を測定するステップと、判定手段が、前記測定された信号の劣化の度合と予め設定された閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係るプログラムは、少なくとも2つの装置がケーブルで接続され、前記ケーブルで接続された一方の送信側装置から他方の受信側装置に前記ケーブルを介して送信信号を送信する無線通信装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、前記送信側装置から送信された送信信号から信号の劣化の度合を測定する測定手段と、前記測定された信号の劣化の度合と予め決められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する判定手段と、前記ケーブルが劣化したと判定された場合、前記送信側装置に前記ケーブルの劣化を通知する通知手段と、前記受信側装置からの前記ケーブル劣化通知に応じて前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行う制御手段と、して機能させることを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係るプログラムは、2つの装置間に接続されたケーブルの劣化を診断するケーブル劣化診断装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、前記2つの装置のうち一方の装置から他方の装置に前記ケーブルを介して信号を送信する手段と、前記他方側の装置で前記ケーブルを介して送信された信号を受信し、その信号の劣化の度合を測定する手段と、前記測定された信号の劣化の度合と予め設定された閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する手段と、して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、信号の転送レート及びエラーレートが環境劣化前に比べて悪化することがなく、しかも、装置の規模が大型化することがない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るケーブル劣化診断装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1のブロック図を更に詳細に示すブロック図である。
【図3】ケーブル劣化診断機能がない通常の無線送信装置を示すブロック図である。
【図4】同軸ケーブルを通過する信号の一例を示す図である。
【図5】特許文献1の代表図である。
【図6】特許文献2の代表図である。
【図7】特許文献13の代表図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、本実施形態の概要を図1を参照して説明する。図1は2つの装置間を同軸ケーブルで接続した無線通信装置の例を示す。図中1はベースバンド信号を変調して送信信号を生成する装置(以後、送信信号変調装置という)、2は送信信号を増幅して、その上で、周波数変換をすることにより規定の周波数に変換し、アンテナに供給する装置(以後、送信信号増幅装置という)2であり、送信信号変調装置1と送信信号増幅装置2とは同軸ケーブル5で接続されている。
【0032】
送信信号変調装置1と送信信号増幅装置2は、別々の筐体内に収納され、これら別々の筐体が離れた場所に設置されており、この無線通信装置において同軸ケーブル5の劣化診断を行う例を説明する。
【0033】
例えば、送信信号変調装置1は屋内等に設置され、送信信号増幅装置2は屋外のアンテナ8の近くに設置され、その間が同軸ケーブル5で接続されている。同軸ケーブル5には送信信号と制御信号及び送信信号増幅装置2を動作させるための電源信号の両者が送信信号変調装置1から送信信号増幅装置2に伝送・供給される。また、アンテナ8で受信した受信信号が送信信号増幅装置2から送信信号変調装置1へ異なる周波数を用いて伝送される。送信信号変調装置1では受信した信号の強度等をもとに送信信号の強度や変調方式を変更する。
【0034】
本実施形態では、送信信号変調装置1において送信信号の変調方式を変化させる基準は、他の基準(受信信号等)に加えて装置間を接続する同軸ケーブル5を通過した後の送信信号の状態も含んでいる。具体的には、送信信号増幅装置2において送信信号を分岐し、送信信号制御指示回路7にてBER(誤り率)を測定し、測定したBERが予め設定された閾値を越えた場合には、主信号の変調方式を変更するために送信信号変調装置1に送信信号制御指示信号9を送信する。なお、指示信号9の代わりに、同軸ケーブルが劣化したことを示す劣化通知を送信しても良い。本実施形態では、信号の劣化の度合として、例えば、BER(誤り率)を用いている。なお、指示信号9の代わりに、同軸ケーブルが劣化したことを示す劣化通知を送信しても良い。
【0035】
送信信号変調装置1は、送信信号増幅装置2から送信信号制御指示信号9を受信すると、主信号の周波数を下げる、変調方式を変更するのうち、いずれか一方もしくは両方を同時に行う。また、使用者にケーブル劣化の警告を出す。使用者はケーブル劣化警告により同軸ケーブル5の交換を行うことができる。
【0036】
その際、主信号の変調方式として段階的に変調方式を決めておき、測定されたBERが閾値を超えた場合には、現在の変調方式を次の段階の変調方式に変更する。この点に関しては、具体例を挙げて後述する。
【0037】
更に、変調方式変更による送信信号のスループットの低下を抑えるため、同軸ケーブル5の信号送信においては、送信信号の周波数を複数の帯域を利用して分散して送信することにより、転送データ量の減少を防ぎ、同軸ケーブル5の通過後に本来の基準周波数や変調方式に戻し、アンテナ8より送出することで同軸ケーブル5の交換まで安定した無線通信を維持することが可能となる。
【0038】
次に、本発明の実施形態について更に詳細に説明する。本実施形態では、図1に示すように送信信号変調装置1と送信信号増幅装置2との間が同軸ケーブル5で接続されている。送信信号変調装置1は送信データを変調信号に変換する装置であり、送信信号増幅装置2は変調信号を増幅し、その上で周波数変換をすることにより規定の周波数に変換する装置である。送信信号変調装置1は信号の入出力を行うための送信用インターフェース部3と制御部6とを含んでいる。
【0039】
送信信号増幅装置2は、増幅用インターフェース部4と送信信号制御指示回路7とを含んでいる。送信信号増幅装置2の信号入出力を行う増幅用インターフェース部4はBERを測定し、送信信号制御指示回路7に出力する。送信信号制御指示回路7はBERの測定結果に基づいて変調方式等を制御する。送信信号増幅装置2の増幅後の信号出力端子はアンテナ8に接続されている。
【0040】
同軸ケーブル5の信号の変調方式や周波数を変更をする場合、送信信号制御指示信号9を制御部6に送信するため、送信信号制御指示回路7と増幅用インターフェース部4とが接続されている。送信信号増幅装置2から同軸ケーブル5を通して送信信号制御指示信号9が送信信号変調装置1に送信される。送信信号制御指示信号9は送信用インターフェース部3を経由して制御部6に送信される。
【0041】
図2は図1を更に詳細に示すブロック図である。送信信号変調装置1に実装される送信用インターフェース部3は、ベースバンド信号部11と変調部12とを備えている。ベースバント信号部11は送信データからベースバンド信号を生成する。変調部12はベースバンド信号を中間周波数(IF)や送信周波数(RF)に変調、変換し、また、ケーブル劣化時においてベースバンド信号をRFに変換する際、送信信号の周波数を複数の帯域を利用して分散送信する。ベースバンド信号部11と変調部12は、それぞれのブロックを制御するための制御部6と信号線で接続されている。
【0042】
送信信号増幅装置2に実装された増幅用インターフェース部4は、送信信号を復調する復調部13と、送信信号の増幅、周波数変換の一方もしくは両方を行い、また、ケーブル劣化時において変調部12に周波数が分割された(周波数が下げられた)信号を本来のRF及び変調方式に戻すメイン回路部10を備えている。
【0043】
送信信号制御指示回路7は、復調部13から送信された信号からBERを測定するBER測定部14と、測定されたBERの値と主信号の変調方式(又は周波数)を決める閾値とを比較する判定部15と、その判定結果をもとに送信信号の送信周波数と変調方式を制御する信号を送信する変調方式送信周波数変更指示部16とを備えている。
【0044】
復調部13とメイン回路部10は、送信信号変調装置1に実装された送信用インターフェース部3と同軸ケーブル5を介して接続されている。メイン回路部10はアンテナ8と接続されている。BER測定部14は、復調された主信号を受け取るために復調部13と接続されている。判定部15はBER測定結果と変調方式等を変更する閾値とを比較するためにBER測定部14と信号線で接続されている。
【0045】
更に、判定部15は変調方式送信周波数変更指示部16と接続されている。変調方式送信周波数変更指示部16は、判定結果により主信号の送信周波数や変調方式を変更する指示を送信信号変調装置1の制御部6に送信するため、増幅用インターフェース部4と信号線で接続されている。
【0046】
次に、本実施形態の動作について説明するが、始めに、図3を用いてケーブル劣化診断機能がない通常の無線送信装置の動作を説明する。図3では図2と同一部分には同一符号を付している。送信信号変調装置1の送信用インターフェース部3は、ベースバンド信号部11と変調部12で構成され、各ブロックは信号線で接続された制御部6によって制御される。送信信号を送信する場合には、ベースバンド信号部11でベースバンド信号が生成され、変調部12へ送信される。変調部12はベースバンド信号と制御信号の変調を行い、送信信号増幅装置2に実装されている増幅用インターフェース部4に同軸ケーブル5を介して送信する。
【0047】
次に、本実施形態のケーブル劣化判定機能がある無線通信装置の動作について図2を用いて説明する。送信信号変調装置1側には、通常の構成である送信用インターフェース部3、制御部6を備え、送信用インターフェース部3より送信信号増幅装置2に本装置の主信号が送信される。
【0048】
送信信号増幅装置2の増幅用インターフェース4で受信された主信号は、メイン回路部10に送信される信号と、復調部13に送信される信号に分岐される。復調部13にて復調された主信号は、送信信号制御指示回路7内のBER測定部14に送られる。BER測定部14は、復調された主信号からBERを測定し、測定結果を判定部15に出力する。判定部15では、測定されたBERと予め設定されたBER閾値との比較を行い、比較結果を変調方式送信周波数変更指示部16に送信する。
【0049】
本実施形態では、この判定結果をもとに主信号の通信環境を判断し、それに基づいて送信信号の周波数を下げる、或いは環境に見合った変調方式の選定を行い、主信号の送信周波数を変更する(下げる)、変調方式を変更するのうち、いずれか一方もしくは両方の制御を行う。閾値との比較により送信周波数及び変調方式の変更が必要な場合には、変調方式送信周波数変更指示部16から送信信号制御指示信号9を送信信号変調装置1側の制御部6に送信する。
【0050】
また、送信信号制御指示信号9は、増幅用インターフェース部4、同軸ケーブル5、送信信号変調装置1側の送信用インターフェース部3を経由して制御部6に送信される。送信信号制御指示信号9から変調方式等を変更する指示信号が送信された場合には、ケーブル劣化の警告を出し、変調部12と同軸ケーブル5を介したメイン回路部10の間の送信信号の変調方式を条件が緩和された変調方式に変更するように制御を行う。上述のように主信号の周波数を下げるように指示された場合も同様である。変調方式等の変更方法については後述する。
【0051】
図4は同軸ケーブルを通過する信号の例を示す。図4(A)に示すように通常使用する周波数での送信では、変調方式変更により送信信号のスループットが低下する。図4(A)では送信中心周波数をf0とする。本実施形態では、スループット低下を抑えるために、図4(B)に示すように同軸ケーブル5間の送信において送信信号の周波数を複数の帯域を利用して送信する。
【0052】
即ち、図4(B)に示すように利用可能な周波数にて送信用中心周波数f0より低い複数の周波数帯域にデータを分散して送信する。送信用中心周波数f0’は(f0’≦f0)とする。そうすることで、転送データ量の減少を防ぐことができ、また、図4(C)に示すようにメイン回路部12にて本来の基準周波数及び変調方式に戻すことでケーブル交換まで安定した無線通信を維持することが可能となる。
【0053】
送信信号制御指示信号9により段階的に緩和された変調方式に変更する方法としては、例えば、256QAM→128QAM→64QAM→32QAM→16QAM→QPSKのようにシンボル中のビット数を減らすことで、信号空間ダイヤグラム(Constellation Diaglam)における信号点を減らす方法がある。
【0054】
例えば、現在の変調方式を256QAMとし、送信信号制御指示信号9が送信された場合には、次の段階の128QAMに変更する。また、変調方式を128QAMに変更しても、測定されたBERが予め設定されたBER閾値を超えた場合には、次の段階の64QAMに変更すれば良い。
【0055】
同様に、変調方式を64QAMに変更してもBERが閾値を超えた場合には、次の32QAMに変更するというように段階的に変調方式を条件が緩和された変調方式に変更するのが望ましい。これにより、劣化した同軸ケーブル5において同レベルのエラーが発生してもエラー率が下げられ、通信を継続することができる。
【0056】
また、送信信号の周波数を複数の帯域を利用して送信する周波数を分散させることで、変調方式を変更したことによるスループットの低下を防ぐことが可能となる。更に、周波数を下げることにより、ケーブルを通過する信号は表皮効果の影響により表面から深い領域を使用して伝搬する。その結果、ケーブル表面から生じる劣化の影響を低減することが可能である。そのため、周波数を下げる前の信号では、エラーが生じて通信が不可能であったものが、周波数を下げることにより通信が可能となる。
【0057】
なお、上述のように送信信号制御指示信号9の代わりに同軸ケーブルが劣化したことを送信信号変調装置2に通知しても良く、送信信号変調装置2は送信信号増幅装置1からのケーブル劣化通知に応じて送信信号の周波数を下げる、送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行っても良い。
【0058】
また、以上の実施形態では、同軸ケーブルを1本使用した例を示したが、例えば、別の同軸ケーブルを用いて送信信号増幅装置2から送信信号変調装置1に送信信号を戻し、送信信号変調装置1においてBERを確認し、制御部6で同様に制御する構成であっても同様の効果が得られる。
【0059】
更に、送信信号の劣化の度合として送信信号のBERを測定しているが、本発明は、これに限ることなく、例えば、送信信号の誤り数を測定しても良い。更に、送信信号の劣化の度合としてMERやSER等を用いても良い。また、同軸ケーブルの劣化を診断する例を示したが、本発明はこれに限ることなく、例えば、USBケーブル、ツイストペアケーブル等の劣化診断にも使用することができる。
【0060】
以上のように本実施形態によれば、例えば、ベースバンド信号を変調して送信信号を生成する装置と、送信信号を増幅して規定の周波数に変換し、アンテナに供給する装置との間が同軸ケーブルで接続されている無線通信装置において、同軸ケーブルを通過した送信信号からBERの測定を行い、測定結果と予め決められた閾値との比較結果に基づいて同軸ケーブルの劣化を判断する。そして、その測定結果をもとに同軸ケーブルを通過する主信号の送信周波数、変調方式のいずれか一方、もしくは両方を変更することより、通信回線の維持が可能となる。
【0061】
その結果、同軸ケーブルが完全に切れる前に同軸ケーブルの交換ができ、同軸ケーブル交換までは同軸ケーブルを通過する送信信号は、同軸ケーブルの状態に見合う周波数又は変調方式により送信を行うことで、劣化と判断される前の回線状態を維持することができる。また、本実施形態では、主信号をもとに劣化を判断するため、大規模な回路を構築しなくても良く、特にケーブル劣化診断のための装置は不要である。つまり、機械的な装置を別途設ける必要はなく、主信号よりBERを測定する機能と、BER測定結果から主信号の周波数や変調方式等を変更するだけであるため、特別の装置は不要で汎用性があり、人的操作も必要ないため有効である。
【0062】
なお、上記無線通信装置やケーブル劣化診断装置は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合わせにより実現することができる。ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0063】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0064】
また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0065】
なお、上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限らない。
【0066】
(付記1)少なくとも2つの装置がケーブルで接続され、前記ケーブルで接続された一方の送信側装置から他方の受信側装置に前記ケーブルを介して送信信号を送信する無線通信装置であって、
前記受信側装置は、
前記送信側装置から送信された送信信号から信号の劣化の度合を測定する測定手段と、
前記測定された信号の劣化の度合と予め決められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する判定手段と、
前記ケーブルが劣化したと判定された場合、前記送信側装置に前記ケーブルの劣化を通知する通知手段とを有し、
前記送信側装置は、前記受信側装置からの前記ケーブル劣化通知に応じて前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行う制御手段、
を備えたことを特徴する無線通信装置。
【0067】
(付記2)前記送信側装置は、前記受信側装置から前記ケーブル劣化が通知された場合には、前記ケーブルを通過する信号について、複数の周波数帯域に分散してデータを同時に前記受信側装置に送信することを特徴とする付記1に記載の無線通信装置。
【0068】
(付記3)前記受信側装置は、前記ケーブルが劣化したと判断され、前記送信側装置と受信側装置との間での送信信号の伝送における周波数、変調方式又は双方が変更されている場合には、前記ケーブルの通過後の信号について、変更されている周波数、変調方式又はその双方に戻してアンテナから出力することを特徴とする付記1に記載の無線通信装置。
【0069】
(付記4)前記受信側装置で前記送信信号の劣化の度合を測定する代わりに、前記受信側装置から前記ケーブルとは別のケーブルを介して前記送信側装置に前記送信信号を戻し、前記送信側装置で前記送信信号の劣化の度合を測定し、前記ケーブルが劣化したと判断した場合には、前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行うことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1に記載の無線通信装置。
【0070】
(付記5)2つの装置間に接続されたケーブルの劣化を診断するケーブル劣化診断装置であって、
前記2つの装置のうち一方の装置から他方の装置に前記ケーブルを介して信号を送信する手段と、
前記他方側の装置で前記ケーブルを介して送信された信号を受信し、その信号の劣化の度合を測定する手段と、
前記測定された信号の劣化の度合と予め設定された閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する手段と、
を備えたことを特徴とするケーブル劣化診断装置。
【0071】
(付記6)少なくとも2つの装置がケーブルで接続され、前記ケーブルで接続された一方の送信側装置から他方の受信側装置に前記ケーブルを介して送信信号を送信する無線通信方法であって、
前記受信側装置が、
前記送信側装置から送信された送信信号から信号の劣化の度合を測定するステップと、
前記測定された信号の劣化の度合と予め決められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定するステップと、
前記ケーブルが劣化したと判定された場合、前記送信側装置に前記ケーブルの劣化を通知するステップとを含み、
前記送信側装置が、
前記受信側装置からの前記ケーブル劣化通知に応じて前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行うステップ、
を含むことを特徴する無線通信方法。
【0072】
(付記7)前記送信側装置は、前記受信側装置から前記ケーブル劣化が通知された場合には、前記ケーブルを通過する信号について、複数の周波数帯域に分散してデータを同時に前記受信側装置に送信することを特徴とする付記6に記載の無線通信方法。
【0073】
(付記8)前記受信側装置は、前記ケーブルが劣化したと判断され、前記送信側装置と受信側装置との間での送信信号の伝送における周波数、変調方式又は双方が変更されている場合には、前記ケーブルの通過後の信号について、変更されている周波数、変調方式又はその双方に戻してアンテナから出力することを特徴とする付記6に記載の無線通信方法。
【0074】
(付記9)前記受信側装置で前記送信信号の劣化の度合を測定する代わりに、前記受信側装置から前記ケーブルとは別のケーブルを介して前記送信側装置に前記送信信号を戻し、前記送信側装置で前記送信信号の劣化の度合を測定し、前記ケーブルが劣化したと判断した場合には、前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行うことを特徴とする付記6乃至8のいずれか1に記載の無線通信方法。
【0075】
(付記10)少なくとも2つの装置がケーブルで接続され、前記ケーブルで接続された一方の送信側装置から他方の受信側装置に前記ケーブルを介して送信信号を送信する無線通信装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記送信側装置から送信された送信信号から信号の劣化の度合を測定する測定手段と、
前記測定された信号の劣化の度合と予め決められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する判定手段と、
前記ケーブルが劣化したと判定された場合、前記送信側装置に前記ケーブルの劣化を通知する通知手段と、
前記受信側装置からの前記ケーブル劣化通知に応じて前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行う制御手段と、
して機能させるためのプログラム。
【0076】
(付記11)更に、前記受信側装置から前記ケーブル劣化が通知された場合には、前記ケーブルを通過する信号について、複数の周波数帯域に分散してデータを同時に前記受信側装置に送信する手段として機能させることを特徴とする付記10に記載のプログラム。
【0077】
(付記12)更に、前記ケーブルが劣化したと判断され、前記送信側装置と受信側装置との間での送信信号の伝送における周波数、変調方式又は双方が変更されている場合には、前記ケーブルの通過後の信号について、変更されている周波数、変調方式又はその双方に戻してアンテナから出力する手段として機能させることを特徴とする付記10に記載のプログラム。
【0078】
(付記13)更に、前記受信側装置で前記送信信号の劣化の度合を測定する代わりに、前記受信側装置から前記ケーブルとは別のケーブルを介して前記送信側装置に前記送信信号を戻し、前記送信側装置で前記送信信号の劣化の度合を測定し、前記ケーブルが劣化したと判断した場合には、前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行う手段として機能させることを特徴とする付記10乃至12のいずれか1に記載のプログラム。
【0079】
(付記14)2つの装置間に接続されたケーブルの劣化を診断するケーブル劣化診断装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記2つの装置のうち一方の装置から他方の装置に前記ケーブルを介して信号を送信する手段と、
前記他方側の装置で前記ケーブルを介して送信された信号を受信し、その信号の劣化の度合を測定する手段と、
前記測定された信号の劣化の度合と予め設定された閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する手段と、
して機能させるためのプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、特に、別々の筐体に分けられた2つの装置が同軸ケーブルで接続された無線通信装置の同軸ケーブルの劣化診断に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 送信信号変調装置
2 送信信号増幅装置
3 送信用インターフェース部
4 増幅用インターフェース部
5 同軸ケーブル
6 制御部
7 送信信号制御指示回路
8 アンテナ
9 送信信号制御指示信号
10 メイン回路部
11ベースバンド信号部
12 変調部
13 復調部
14 BER測定部
15 判定部
16 変調方式送信周波数変更指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの装置がケーブルで接続され、前記ケーブルで接続された一方の送信側装置から他方の受信側装置に前記ケーブルを介して送信信号を送信する無線通信装置であって、
前記受信側装置は、
前記送信側装置から送信された送信信号から信号の劣化の度合を測定する測定手段と、
前記測定された信号の劣化の度合と予め決められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する判定手段と、
前記ケーブルが劣化したと判定された場合、前記送信側装置に前記ケーブルの劣化を通知する通知手段とを有し、
前記送信側装置は、前記受信側装置からの前記ケーブル劣化通知に応じて前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行う制御手段、
を備えたことを特徴する無線通信装置。
【請求項2】
前記送信側装置は、前記受信側装置から前記ケーブル劣化が通知された場合には、前記ケーブルを通過する信号について、複数の周波数帯域に分散してデータを同時に前記受信側装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記受信側装置は、前記ケーブルが劣化したと判断され、前記送信側装置と受信側装置との間での送信信号の伝送における周波数、変調方式又は双方が変更されている場合には、前記ケーブルの通過後の信号について、変更されている周波数、変調方式又はその双方に戻してアンテナから出力することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記受信側装置で前記送信信号の劣化の度合を測定する代わりに、前記受信側装置から前記ケーブルとは別のケーブルを介して前記送信側装置に前記送信信号を戻し、前記送信側装置で前記送信信号の劣化の度合を測定し、前記ケーブルが劣化したと判断した場合には、前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
2つの装置間に接続されたケーブルの劣化を診断するケーブル劣化診断装置であって、
前記2つの装置のうち一方の装置から他方の装置に前記ケーブルを介して信号を送信する手段と、
前記他方側の装置で前記ケーブルを介して送信された信号を受信し、その信号の劣化の度合を測定する手段と、
前記測定された信号の劣化の度合と予め設定された閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する手段と、
を備えたことを特徴とするケーブル劣化診断装置。
【請求項6】
少なくとも2つの装置がケーブルで接続され、前記ケーブルで接続された一方の送信側装置から他方の受信側装置に前記ケーブルを介して送信信号を送信する無線通信方法であって、
前記受信側装置が、
前記送信側装置から送信された送信信号から信号の劣化の度合を測定するステップと、
前記測定された信号の劣化の度合と予め決められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定するステップと、
前記ケーブルが劣化したと判定された場合、前記送信側装置に前記ケーブルの劣化を通知するステップとを含み、
前記送信側装置が、
前記受信側装置からの前記ケーブル劣化通知に応じて前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行うステップ、
を含むことを特徴する無線通信方法。
【請求項7】
2つの装置間に接続されたケーブルの劣化を診断するケーブル劣化診断方法であって、
送信手段が、前記2つの装置のうち一方の装置から他方の装置に前記ケーブルを介して信号を送信するステップと、
測定手段が、前記他方側の装置で前記ケーブルを介して送信された信号を受信し、その信号の劣化の度合を測定するステップと、
判定手段が、前記測定された信号の劣化の度合と予め設定された閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定するステップと、
を含むことを特徴とするケーブル劣化診断方法。
【請求項8】
少なくとも2つの装置がケーブルで接続され、前記ケーブルで接続された一方の送信側装置から他方の受信側装置に前記ケーブルを介して送信信号を送信する無線通信装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記送信側装置から送信された送信信号から信号の劣化の度合を測定する測定手段と、
前記測定された信号の劣化の度合と予め決められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する判定手段と、
前記ケーブルが劣化したと判定された場合、前記送信側装置に前記ケーブルの劣化を通知する通知手段と、
前記受信側装置からの前記ケーブル劣化通知に応じて前記送信信号の周波数を下げる、前記送信信号の変調方式を変更するのうち、いずれか一方又は両方の制御を行う制御手段と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項9】
2つの装置間に接続されたケーブルの劣化を診断するケーブル劣化診断装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記2つの装置のうち一方の装置から他方の装置に前記ケーブルを介して信号を送信する手段と、
前記他方側の装置で前記ケーブルを介して送信された信号を受信し、その信号の劣化の度合を測定する手段と、
前記測定された信号の劣化の度合と予め設定された閾値とを比較し、その比較結果に基づいて前記ケーブルの劣化を判定する手段と、
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−46333(P2013−46333A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184495(P2011−184495)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】