無線通信装置及び無線通信方法
【課題】振幅変調方式の種類に係らず、無線タグと安定に通信ができる小型かつ低コストの無線通信装置及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】ベースバンド信号の先頭に付されるプリアンブル波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が変調器の変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有するプリアンブル波形データを記憶するプリアンブル波形記憶手段51を設ける。プリアンブル読出部42は、プリアンブル波形記憶手段51からプリアンブル波形データを読み出す。そして、このプリアンブル波形データを、デジタルフィルタ33で帯域制限した後、変調器に与える。
【解決手段】ベースバンド信号の先頭に付されるプリアンブル波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が変調器の変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有するプリアンブル波形データを記憶するプリアンブル波形記憶手段51を設ける。プリアンブル読出部42は、プリアンブル波形記憶手段51からプリアンブル波形データを読み出す。そして、このプリアンブル波形データを、デジタルフィルタ33で帯域制限した後、変調器に与える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振幅変調(ASK:Amplitude Shift Keying)方式を利用して無線タグと無線通信を行う無線通信装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
振幅変調方式は、送信すべきデータを搬送波の振幅成分に反映させて無線通信を行う方式で、送信すべきデータは、ベースバンド信号と呼ばれる。送信すべきデータは、データシンボル“1”をハイレベルとし、データシンボル“0”をローレベルとするデジタル信号である。振幅変調方式には、片側波帯振幅偏移変調(SSB−ASK:Single side band amplitude shift keying)方式、両側波帯振幅偏移変調(DSB−ASK:double side band amplitude shift keying)方式、位相偏移変調(PSK−ASK:phase shift keying)方式、位相反転振幅偏移変調(PR−ASK:phase reversal amplitude shift keying)方式等がある。
【0003】
このような振幅変調方式を利用して無線タグと無線通信を行う無線通信装置は、既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この種の無線通信装置は、ベースバンド信号をFIR(finite impulse response)フィルタ等のデジタルフィルタで帯域制限した後、DAC(Digital Analog Converter)でアナログ信号に変換し、さらにこのアナログのベースバンド信号で搬送波を変調することにより、振幅変調を行う。変調された信号は、無線通信装置のアンテナに送信され、電波として放射される。また、変調信号を送信し終えた後は、無変調信号を送信し続ける。
【0005】
無線タグは、無線通信装置から振幅変調されて送られてくるコマンドデータを復元するための復調回路を備えている。そして、コマンドデータに応答する際は、無変調信号の反射量を変化させてバックスキャッタ変調を行うことにより、無線通信装置に対してタグデータを無線送信する。無線通信装置は、バックスキャッタ変調波を受信すると、復調してタグデータを読取る。
【0006】
近年、UHF帯と称される周波数帯域860MHz〜960MHzの電波を利用して無線通信装置とデータを送受信する無線タグ、いわゆるUHF帯無線タグが開発されている。このUHF帯無線タグのうち、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)により標準化されたISO/IEC18000−6のTypeCに規格化されている無線タグは、パッシブ型無線タグである。パッシブ型無線タグは、自らは起電力を持たず、無線通信装置からの電波を電力変換して起動する。
【0007】
このようなパッシブ型無線タグとデータ通信を行う場合、無線通信装置は、無線タグにデータを送信する前に、無線タグを起電するための無変調搬送波(CW:Continuous Wave)を送信する必要がある。
【0008】
無線通信装置からパッシブ型無線タグに送信するデータの形式を図14に示す。図中、上方から下方に時間の経過を示している。すなわち、コマンドデータの前に無変調波(CW)1が送信され、続いて、プリアンブル信号2が送信された後、無線タグに対するコマンドデータ3が送信される。続いて、誤り訂正コード(CRC:Cycle Redundancy Check)4が送信され、再び無変調波(CW)5が送信される。プリアンブル信号2は、コマンドとコマンドの区切りを示すデータdelimiter、データシンボル“0”を示すデータTari、無線通信装置から無線タグ(下り)への通信速度を示すデータRTcal、及び、無線タグから無線通信装置(上り)への通信速度を示すデータTRcalから構成される。
【0009】
すなわち、パッシブ型無線タグは、最初の無変調波(CW)1で起電し、次のプリアンブル信号2でコマンドの区切りを認識し、コマンドデータ3を受信し、エラーチェックを行った後、次の無変調波(CW)5でバックスキャッタ変調を行って応答データを返す。その後、次のプリアンブル信号6でコマンドの区切りを認識する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来、プリアンブル信号は、図15に示すように、ハイレベル“H”値とローレベル“L”値とからなるデジタルデータとして生成されていた。そして、このデジタル化されたプリアンブル信号が、同じくデジタル化されたコマンドデータの先頭に付されてベースバンド信号が構成され、無線通信装置にて振幅変調された後、無線タグに送信されていた。このため、次のような問題を生じていた。
【0011】
すなわち、振幅変調方式に対応した従来の無線通信装置は、ベースバンド信号をデジタルフィルタで帯域制限した後、アナログデータに変換する。そして、この帯域制限されたアナログのベースバンド信号で搬送波を変調することにより、振幅変調を行う。
【0012】
一方、例えばISO/IEC18000−6のTypeCに規格化されている無線タグと無線通信を行う際は、振幅変調方式としてDSB−ASK方式と、PR−ASK方式とが規定されている。また、無線通信装置から無線タグ(下り)への符号化方式は、PIE(pulse interval encoding;パルス幅符号化)方式である。PIE方式では、例えばデータシンボル“0”は短いハイレベル期間を有するパルス、データシンボル“1”は長いハイレベル期間を持つパルスというようにパルスのハイレベル期間の長短によってデータを符号化する。
【0013】
DSB−ASK方式を採用した場合の帯域制限後のベースバンド信号のプリアンブル信号部分を図16に示す。また、DSB−ASK方式で振幅変調された変調波の包絡線検波波形を図17に示す。また、図17のデータdelimiter部の拡大図を図18に示す。次いで、PR−ASK方式を採用した場合の帯域制限後のベースバンド信号のプリアンブル信号部分を図19に示す。また、PR−ASK方式で振幅変調された変調波の包絡線検波波形を図20に示す。また、図20のデータdelimiter部の拡大図を図21に示す。
【0014】
無線タグは、図17または図20の波形を復調することで、図示するように、プリアンブル信号の各データdelimiter,Tari,RTcal及びTRcalと、コマンドデータのデータシンボル“1”及び“0”とを認識する。
【0015】
しかしながら、振幅変調方式としてDSB−ASK方式を用いた場合は、プリアンブル信号中のデータdelimiterが適正な幅を有しているのに対して、PR−ASK方式を用いた場合は、データdelimiterの幅が適正な幅に対して極めて狭い。これは、ベースバンド信号をDSB−ASK方式の場合と同一特性を持ったデジタルフィルタに通過させて帯域制限した際、PR−ASK方式の場合は、DSB−ASK方式に比べ、図19中に示した傾きA−A′が急峻になるためである。この結果、無線タグは、データdelimiterを判別できず、したがって、コマンドの開始を認識できないために、無線通信装置からのコマンドデータに応答しないおそれがあった。
【0016】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、振幅変調方式の種類に係らず、無線タグと安定に通信ができる小型かつ低コストの無線通信装置及び無線通信方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、振幅偏移変調方式の変調手段にて搬送波をベースバンド信号で変調して変調信号を生成し、この変調信号を無線タグに送信する無線通信装置において、ベースバンド信号の先頭に付されるプリアンブル波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が変調器の変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有するプリアンブル波形データを記憶するプリアンブル波形記憶手段を設け、プリアンブル波形記憶手段からプリアンブル波形データを読み出して、変調手段に与えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
かかる手段を講じた本発明によれば、振幅変調方式の種類に係らず、無線タグと安定に通信ができる小型かつ低コストの無線通信装置及び無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態における無線タグリーダの概略構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態において、送信系デジタル信号処理部の要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態において、送信系デジタル信号処理部の波形メモリに記憶されるデータの一構造例を示す模式図。
【図4】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/DSB−ASK方式が指定された場合のデジタルフィルタ入力信号を示す波形図。
【図5】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/DSB−ASK方式が指定された場合のデジタルフィルタ出力信号を示す波形図。
【図6】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/DSB−ASK方式が指定された場合の変調器出力信号を示す波形図。
【図7】図6に示す変調波の包絡線検波波形図。
【図8】図7のデータdelimiter部の拡大図。
【図9】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/PR−ASK方式が指定された場合のデジタルフィルタ入力信号を示す波形図。
【図10】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/PR−ASK方式が指定された場合のデジタルフィルタ出力信号を示す波形図。
【図11】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/PR−ASK方式が指定された場合の変調器出力信号を示す波形図。
【図12】図11に示す変調波の包絡線検波波形図。
【図13】図12のデータdelimiter部の拡大図。
【図14】無線通信装置からパッシブ型無線タグに送信するデータの形式を示す模式図。
【図15】従来例におけるプリアンブル信号の波形図。
【図16】従来例において、DSB−ASK方式を採用した場合の帯域制限後のベースバンド信号のプリアンブル信号部分を示す波形図。
【図17】従来例において、DSB−ASK方式で振幅変調された変調波の包絡線検波波形図。
【図18】図17のデータdelimiter部の拡大図。
【図19】従来例において、PR−ASK方式を採用した場合の帯域制限後のベースバンド信号のプリアンブル信号部分を示す波形図。
【図20】従来例において、PR−ASK方式で振幅変調された変調波の包絡線検波波形図。
【図21】図20のデータdelimiter部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、振幅変調方式を利用して、ISO/IEC18000−6のTypeCに規格化されている無線タグのデータを非接触で読み取る無線タグリーダに、本発明の無線通信装置としての機能を適用した場合、すなわち、振幅変調方式としてDSB−ASK方式と、PR−ASK方式とが規定されている場合である。
【0021】
図1は、本実施の形態における無線タグリーダ10の概略構成を示すブロック図である。無線タグリーダ10は、制御部11、通信部12、送信系デジタル信号処理部13、送信部14、方向性結合器15、ローパスフィルタ16、アンテナ17、受信部18、受信系デジタル信号処理部19及びPLL(Phase Lock1ed Loop)部20を備えている。
【0022】
制御部11は、前記通信部12、送信系デジタル信号処理部13、受信系デジタル信号処理部19及びPLL部20を接続している。また制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やメモリを含み、予め記憶されたプログラムに従って動作する。すなわち制御部11は、通信部12を介してパソコン等の上位機器と通信を行う。また、PLL部20を制御して、搬送波周波数と同じ周波数のローカル信号を出力させる。さらに、送信系デジタル信号処理部13及び受信系デジタル信号処理部19を介して無線タグ(不図示)と無線通信を行い、この無線タグのメモリに記憶されたタグデータを読み取る。
【0023】
制御部11は、無線タグへの送信データを送信系デジタル信号処理部13に出力する。送信系デジタル信号処理部13は、この送信データをデジタル信号処理してベースバンド信号を生成し、このベースバンド信号を送信部14に出力する。送信部14は、変調手段としての変調器21を備えており、PLL部20から入力されるローカル信号の搬送波を、送信部14から入力されるベースバンド信号で振幅変調する。そして、振幅変調された変調信号を、方向性結合器15に出力する。
【0024】
サーキュレータ等と称される方向性結合器15は、送信部14からの信号をローパスフィルタ16を介してアンテナ17に出力する機能と、アンテナ17からローパスフィルタ16を介して入力された信号を受信部18に出力する機能とを有する。アンテナ17は、ローパスフィルタ16を通過した変調信号に基づいて電波を放射する。また、無線タグから送信されるバックスキャッタ変調波を受信すると、この変調波に基づいた受信信号をローパスフィルタ16に出力する。
【0025】
受信部18は、アンテナ17で受信され、ローパスフィルタ16を通過した受信信号を方向性結合器15を介して入力すると、この受信信号を、周知のダイレクトコンバージョン方式で受信処理する。すなわち受信部18は、第1、第2のミキサ、第1、第2のADC(アナログ/デジタル・コンバータ)、及び、90度位相シフト器を主体に構成される。第1、第2のミキサには、それぞれ無線タグからの受信信号が入力される。また、第1のミキサには、PLL部20からのローカル信号が入力され、第2のミキサにはPLL部20からのローカル信号が90度位相シフト器によって90度位相がシフトされたローカル信号が入力される。
【0026】
第1のミキサは、受信信号とローカル信号を混合し、ローカル信号と同相成分のI信号を生成する。第2のミキサは、受信信号と90度位相をシフトしたローカル信号を混合し、ローカル信号と直交成分のQ信号を生成する。第1のミキサから出力されるI信号は、第1のADCでデジタル信号に変換されて受信系デジタル信号処理部19に出力される。同様に、第2のミキサから出力されるQ信号は、第2のADCでデジタル信号に変換されて受信系デジタル信号処理部19に出力される。
【0027】
受信系デジタル信号処理部19は、第1、第2の復調部、及び、第1、第2の復号部を有する。デジタル信号に変換されたI信号は、第1の復調部においてハイレベル値“1”とローレベル値“0”の2値に復調される。そして、第1の復号部でデータとして復号された後、制御部11に送信される。同様に、デジタル信号に変換されたQ信号は、第2の復調部において2値に復調される。そして、第2の復号部でデータとして復号された後、制御部11に送信される。
【0028】
図2は、送信系デジタル信号処理部13の要部構成を示すブロック図である。送信系デジタル信号処理部13は、変調方式判定部31と、ベースバンド処理部32と、デジタルフィルタ33とを備えている。
【0029】
変調方式判定部31は、制御部11から指定される変調方式の種類を判定する。すなわち制御部11は、無線タグに対するデータの送信前に、送信部14の変調器21で行う振幅変調の種類(例えば、40kbps/DSB−ASK方式、40kbps/PR−ASK方式等)を指定するための信号を、送信系デジタル信号処理部13に出力する。そこで変調方式判定部31は、上記信号により制御部11から指定される変調方式の種類を判定し、その判定結果を示すデータを、ベースバンド処理部32の後述するプリアンブル読出部42と符号化データ読出部43に出力する。ここに、変調方式判定部31は、変調方式判定手段を構成する。
【0030】
ベースバンド処理部32は、波形メモリ41、プリアンブル読出部42、及び、符号化データ読出部43を備えている。波形メモリ41は、プリアンブル波形記憶手段51と符号化データ波形記憶手段52とを有している。プリアンブル波形記憶手段51は、変調方式の種類毎に作成されたプリアンブル波形データを記憶している。符号化データ波形記憶手段52は、変調方式の種類毎に作成された符号化波形データを記憶している。符号化波形データは、データシンボル“0”の符号化に対応した波形データと、データシンボル“1”の符号化に対応した波形データとを記憶している。なお、プリアンブル波形データ及び符号化波形データは変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有する。
【0031】
プリアンブル読出部42は、プリアンブル波形記憶手段51により記憶されている変調方式種類別のプリアンブル波形データの中から、前記変調方式判定部31で判定された変調方式に対応したプリアンブル波形データを読み出す。そして、このプリアンブル波形データをデジタルフィルタ33に出力する。ここに、プリアンブル読出部42は、プリアンブル波形読出し手段を構成する。
【0032】
符号化データ読出部43は、符号化データ波形記憶手段52により記憶されている変調方式種類別の符号化波形データの中から、前記変調方式判定部31で判定された変調方式に対応した符号化波形データを、制御部11から出力される送信データに応じて読み出す。つまり、送信データがデータシンボル“0”の場合は、このデータシンボル“0”の符号化に対応した波形データを読み出し、データシンボル“1”の場合は、このデータシンボル“1”の符号化に対応した波形データを読み出す。そして、この符号化波形データをデジタルフィルタ33に出力する。ここに、符号化データ読出部43は、符号化データ波形読出し手段を構成する。
【0033】
デジタルフィルタ33は、プリアンブル読出部42によりプリアンブル波形記憶手段51から読み出されたプリアンブル波形データと、符号化データ読出部43により符号化データ波形記憶手段52から読み出された符号化波形データとについて、所定帯域以下を通過させるべくローパスフィルタとして帯域制限を行うもので、例えばFIRフィルタが用いられている。ここに、デジタルフィルタ33は、帯域制限手段を構成する。
【0034】
図3は、波形メモリ41に記憶されるデータの一構造例を示す模式図である。波形メモリ41は、メモリ管理の最小単位であるバンクBank00,Bank01,…毎に、振幅変調方式の種類を割り当てている。そしてバンクBank00,Bank01,…毎に、そのバンクに割り当てられた種類のプリアンブル波形データ61と符号化波形データ62とが、共通のフォーマットで格納されている。すなわち、各バンクBank00,Bank01,…の先頭アドレス[0000h]から順番に、先ず、プリアンブル信号のデータdelimiterに相当する波形データ[delimiter]が格納され、続いてデータTariに相当する波形データ[Tari]が格納され、続いてデータRTcalに相当する波形データ[RTcal]が格納され、続いてデータTRcalに相当する波形データ[TRcal]が格納される。さらに、それに引き続いて、データシンボル“0”の符号化に対応した波形データ[Data-0]が格納され、続いてデータシンボル“1”の符号化に対応した波形データ[Data-1]が格納される。
【0035】
因みに、図3の例では、第1のバンクBank00には、40kbps/DSK−ASK方式に対応したプリアンブル波形データ([delimiter]00,[Tari]00,[RTcal]00,[TRcal]00)61と符号化波形データ([Data-0]00,[Data-1]00)62とが記憶されている。また、第2のバンクBank01には、40kbps/PR−ASK方式に対応したプリアンブル波形データ([delimiter]01,[Tari]01,[RTcal]01,[TRcal]01)61と符号化波形データ([Data-0]01,[Data-1]01)61と符号化波形データ62とが記憶されている。
【0036】
かかる構成の本実施の形態において、今、制御部11から送信系デジタル信号処理部13に、振幅変調方式として40kbps/DSB−ASK方式を指定する信号が出力されたとする。
【0037】
そうすると、先ず、プリアンブル読出部42が、波形メモリ41の第1のバンクBank00内に格納されているプリアンブル波形データ([delimiter]00,[Tari]00,[RTcal]00,[TRcal]00)61を順に読み出す。そして、この読み出したプリアンブル波形データ61をデジタルフィルタ33に出力する。
【0038】
プリアンブル波形データ61の読み出しが完了すると、次に、符号化データ読出部43が、制御部11から供給された送信データに応じて、同じく第1のバンクBank00内に格納されている符号化波形データ([Data-0]00,[Data-1]00)62を読み出す。つまり、送信するデータシンボルが“0”である場合は、データシンボル“0”の符号化に対応した波形データ[Data-0]00を読み出し、データシンボルが“1”である場合は、データシンボル“1”の符号化に対応した波形データ[Data-1]00を読み出す。そして、この読み出した符号化波形データを順にデジタルフィルタ33に出力する。
【0039】
デジタルフィルタ33では、入力順にプリアンブル波形データ及び符号化波形データの帯域制限が行われる。帯域制限された波形データは、ベースバンド信号として送信部14に出力される。ベースバンド信号は、送信部14のDACでアナログ信号に変換された後、変調器21に与えられる。これにより、変調器21では、このベースバンド信号によりPLL部20から入力されるローカル信号の搬送波が振幅変調される。このときの振幅変調方式は、制御部11が指定した方式、すなわち40kbps/DSB−ASK方式である。
【0040】
40kbps/DSB−ASK方式で変調された信号は、方向性結合器15及びローパスフィルタ16を介してアンテナ17に送信され、電波として放射される。
【0041】
上記例において、プリアンブル読出部42及び符号化データ読出部43によって読み出され、デジタルフィルタ33に入力される前のデータ波形を図4に示す。
【0042】
図4において、区間T1はバンクBank00に格納されているプリアンブル波形データ61の中のデータdelimiterに相当する波形データ[delimiter]00であり、区間T2は同波形データ61の中のデータTariに相当する波形データ[Tari]00であり、区間T3は同波形データ61の中のデータRTcalに相当する波形データ[RTcal]00であり、区間T4は同波形データ61の中のデータTRcalに相当する波形データ[TRcal]00である。また、区間T5はバンクBank00に格納されている符号化波形データ62のデータシンボル“1”の符号化に対応した波形データ[Data-1]00であり、区間T6は同波形データ62のデータシンボル“0”の符号化に対応した波形データ[Data-0]00である。これらの波形データは、全てハイレベルとローレベルとの変化点を、変調器21における振幅変調方式、つまりは40kbps/DSB−ASK方式に応じた周波数、すなわち40kHzの正弦波の変化点と共通にしている。
【0043】
さて、この図4の波形データがデジタルフィルタ33を通過した後の帯域制限されたベースバンド信号を図5に示す。また、このベースバンド信号でPLL部20から出力されるローカル信号の搬送波を変調した後の変調器21の出力波形(変調波)を図6に、この変調波の包絡線検波波形を図7に、図7のデータdelimiter部の拡大図を図8に示す。
【0044】
図8に示すように、変調波の包絡線検波波形には、予め規定された範囲内のデータdelimiterが実現される。したがって、無線タグは、コマンドの区切りを示すデータdelimiterを充分に認識可能であるので、40kbps/DSB−ASK方式の振幅変調方式を用いた場合の無線タグとの通信効率を充分に確保することができる。
【0045】
次に、制御部11から送信系デジタル信号処理部13に、振幅変調方式として40kbps/PR−ASK方式を指定する信号が出力されたとする。
【0046】
そうすると、先ず、プリアンブル読出部42が、波形メモリ41の第2のバンクBank01内に格納されているプリアンブル波形データ([delimiter]01,[Tari]01,[RTcal]01,[TRcal]01)61を順に読み出す。そして、この読み出したプリアンブル波形データ61をデジタルフィルタ33に出力する。
【0047】
プリアンブル波形データ61の読み出しが完了すると、次に、符号化データ読出部43が、制御部11から供給された送信データに応じて、同じく第2のバンクBank01内に格納されている符号化波形データ([Data-0]01,[Data-1]01)62を読み出す。つまり、送信するデータシンボルが“0”である場合は、データシンボル“0”の符号化に対応した波形データ[Data-0]01を読み出し、データシンボルが“1”である場合は、データシンボル“1”の符号化に対応した波形データ[Data-1]01を読み出す。そして、この読み出した符号化波形データを順にデジタルフィルタ33に出力する。
【0048】
デジタルフィルタ33では、入力順にプリアンブル波形データ及び符号化波形データの帯域制限が行われる。帯域制限された波形データは、ベースバンド信号として送信部14に出力される。ベースバンド信号は、送信部14のDACでアナログ信号に変換された後、変調器21に与えられる。これにより、変調器21では、このベースバンド信号によりPLL部20から入力されるローカル信号の搬送波が振幅変調される。このときの振幅変調方式は、制御部11が指定した方式、すなわち40kbps/PR−ASK方式である。
【0049】
40kbps/PR−ASK方式で変調された信号は、方向性結合器15及びローパスフィルタ16を介してアンテナ17に送信され、電波として放射される。
【0050】
上記例において、プリアンブル読出部42及び符号化データ読出部43によって読み出され、デジタルフィルタ33に入力される前のデータ波形を図9に示す。
【0051】
図9において、区間T1はバンクBank01に格納されているプリアンブル波形データ61の中のデータdelimiterに相当する波形データ[delimiter]01であり、区間T2は同波形データ61の中のデータTariに相当する波形データ[Tari]01であり、区間T3は同波形データ61の中のデータRTcalに相当する波形データ[RTcal]01であり、区間T4は同波形データ61の中のデータTRcalに相当する波形データ[TRcal]01である。また、区間T5はバンクBank01に格納されている符号化波形データ62のデータシンボル“1”の符号化に対応した波形データ[Data-1]01であり、区間T6は同波形データ62のデータシンボル“0”の符号化に対応した波形データ[Data-0]01である。これらの波形データは、全てハイレベルとローレベルとの変化点を、変調器21における振幅変調方式、つまりは40kbps/PR−ASK方式に応じた周波数、すなわち20kHzの正弦波の変化点と共通にしている。
【0052】
さて、この図9の波形データがデジタルフィルタ33を通過した後の帯域制限されたベースバンド信号を図10に示す。また、このベースバンド信号でPLL部20から出力されるローカル信号の搬送波を変調した後の変調器21の出力波形(変調波)を図11に、この変調波の包絡線検波波形を図12に、図12のデータdelimiter部の拡大図を図13に示す。
【0053】
図13に示すように、変調波の包絡線検波波形には、予め規定された範囲内のデータdelimiterが実現される。したがって、無線タグは、コマンドの区切りを示すデータdelimiterを充分に認識可能であるので、40kbps/PR−ASK方式の振幅変調方式を用いた場合の無線タグとの通信効率を充分に確保することができる。
【0054】
このように本実施の形態の無線タグリーダ10であれば、PR−ASK方式の振幅変調方式を用いた場合も、DSB−ASK方式を用いた場合と同様に、無線タグと安定に通信を行うことができる。この場合において、ベースバンド信号を帯域制限するためのデジタルフィルタ33は、ただ1つでよいので、装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0055】
ところで、無線タグは、包絡線検波波形の最大値および最小値を検出し、その中間値を閾値とする。そして、この閾値に従い、無線タグが内部に備えるクロックにて立上がり及び立下りを計測することで、データシンボル“0”とデータシンボル“1”を復号している。
【0056】
本実施の形態では、図8と図18とを比較すれば明らかなように、DSB−ASK方式の振幅変調方式を用いた場合に、包絡線検波波形の最大値から最小値までのリップルRPを従来より小さくすることができる。このため、閾値となる中間値の誤検出がなくなるので、無線タグは、データシンボル“0”とデータシンボル“1”を誤認識しなくなるようになる。
【0057】
同様に、図13と図21とを比較すれば明らかなように、PR−ASK方式の振幅変調方式を用いた場合も、包絡線検波波形の最大値から最小値までのリップルRPが小さくなるので、上記と同様な効果を奏し得る。
【0058】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【0059】
例えば前記実施の形態では、振幅変調方式をDSB−ASK方式とPR−ASK方式とに限定したが、その他の振幅変調方式を用いて無線タグと通信を行う場合も、本発明は適用できるものである。また、本発明は、PR−ASK方式のみに対応した無線通信装置であってもよい。この場合は、送信系デジタル信号処理部13から変調方式判定部31を省略することができる。
【0060】
また、前記実施の形態では、プリアンブル波形データと符号化波形データとを波形メモリ41にて共通に記憶したが、プリアンブル波形データを記憶するプリアンブル波形記憶手段51と、符号化波形データを記憶する符号化データ波形記憶手段52とを、別々のメモリエリアに形成してもよい。
【0061】
また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…無線通信装置、11…制御部、12…通信部、13…送信系デジタル信号処理部、14…送信部、15…方向性結合器、16…ローパスフィルタ、17…アンテナ、18…受信部、19…受信系デジタル信号処理部、20…PLL部、21…変調器、31…変調方式判定部、32…ベースバンド処理部、33…デジタルフィルタ、41…波形メモリ、42…プリアンブル読出部、43…符号化データ読出部、51…プリアンブル波形記憶手段、52…符号化データ波形記憶手段。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平10−261984号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、振幅変調(ASK:Amplitude Shift Keying)方式を利用して無線タグと無線通信を行う無線通信装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
振幅変調方式は、送信すべきデータを搬送波の振幅成分に反映させて無線通信を行う方式で、送信すべきデータは、ベースバンド信号と呼ばれる。送信すべきデータは、データシンボル“1”をハイレベルとし、データシンボル“0”をローレベルとするデジタル信号である。振幅変調方式には、片側波帯振幅偏移変調(SSB−ASK:Single side band amplitude shift keying)方式、両側波帯振幅偏移変調(DSB−ASK:double side band amplitude shift keying)方式、位相偏移変調(PSK−ASK:phase shift keying)方式、位相反転振幅偏移変調(PR−ASK:phase reversal amplitude shift keying)方式等がある。
【0003】
このような振幅変調方式を利用して無線タグと無線通信を行う無線通信装置は、既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この種の無線通信装置は、ベースバンド信号をFIR(finite impulse response)フィルタ等のデジタルフィルタで帯域制限した後、DAC(Digital Analog Converter)でアナログ信号に変換し、さらにこのアナログのベースバンド信号で搬送波を変調することにより、振幅変調を行う。変調された信号は、無線通信装置のアンテナに送信され、電波として放射される。また、変調信号を送信し終えた後は、無変調信号を送信し続ける。
【0005】
無線タグは、無線通信装置から振幅変調されて送られてくるコマンドデータを復元するための復調回路を備えている。そして、コマンドデータに応答する際は、無変調信号の反射量を変化させてバックスキャッタ変調を行うことにより、無線通信装置に対してタグデータを無線送信する。無線通信装置は、バックスキャッタ変調波を受信すると、復調してタグデータを読取る。
【0006】
近年、UHF帯と称される周波数帯域860MHz〜960MHzの電波を利用して無線通信装置とデータを送受信する無線タグ、いわゆるUHF帯無線タグが開発されている。このUHF帯無線タグのうち、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)により標準化されたISO/IEC18000−6のTypeCに規格化されている無線タグは、パッシブ型無線タグである。パッシブ型無線タグは、自らは起電力を持たず、無線通信装置からの電波を電力変換して起動する。
【0007】
このようなパッシブ型無線タグとデータ通信を行う場合、無線通信装置は、無線タグにデータを送信する前に、無線タグを起電するための無変調搬送波(CW:Continuous Wave)を送信する必要がある。
【0008】
無線通信装置からパッシブ型無線タグに送信するデータの形式を図14に示す。図中、上方から下方に時間の経過を示している。すなわち、コマンドデータの前に無変調波(CW)1が送信され、続いて、プリアンブル信号2が送信された後、無線タグに対するコマンドデータ3が送信される。続いて、誤り訂正コード(CRC:Cycle Redundancy Check)4が送信され、再び無変調波(CW)5が送信される。プリアンブル信号2は、コマンドとコマンドの区切りを示すデータdelimiter、データシンボル“0”を示すデータTari、無線通信装置から無線タグ(下り)への通信速度を示すデータRTcal、及び、無線タグから無線通信装置(上り)への通信速度を示すデータTRcalから構成される。
【0009】
すなわち、パッシブ型無線タグは、最初の無変調波(CW)1で起電し、次のプリアンブル信号2でコマンドの区切りを認識し、コマンドデータ3を受信し、エラーチェックを行った後、次の無変調波(CW)5でバックスキャッタ変調を行って応答データを返す。その後、次のプリアンブル信号6でコマンドの区切りを認識する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来、プリアンブル信号は、図15に示すように、ハイレベル“H”値とローレベル“L”値とからなるデジタルデータとして生成されていた。そして、このデジタル化されたプリアンブル信号が、同じくデジタル化されたコマンドデータの先頭に付されてベースバンド信号が構成され、無線通信装置にて振幅変調された後、無線タグに送信されていた。このため、次のような問題を生じていた。
【0011】
すなわち、振幅変調方式に対応した従来の無線通信装置は、ベースバンド信号をデジタルフィルタで帯域制限した後、アナログデータに変換する。そして、この帯域制限されたアナログのベースバンド信号で搬送波を変調することにより、振幅変調を行う。
【0012】
一方、例えばISO/IEC18000−6のTypeCに規格化されている無線タグと無線通信を行う際は、振幅変調方式としてDSB−ASK方式と、PR−ASK方式とが規定されている。また、無線通信装置から無線タグ(下り)への符号化方式は、PIE(pulse interval encoding;パルス幅符号化)方式である。PIE方式では、例えばデータシンボル“0”は短いハイレベル期間を有するパルス、データシンボル“1”は長いハイレベル期間を持つパルスというようにパルスのハイレベル期間の長短によってデータを符号化する。
【0013】
DSB−ASK方式を採用した場合の帯域制限後のベースバンド信号のプリアンブル信号部分を図16に示す。また、DSB−ASK方式で振幅変調された変調波の包絡線検波波形を図17に示す。また、図17のデータdelimiter部の拡大図を図18に示す。次いで、PR−ASK方式を採用した場合の帯域制限後のベースバンド信号のプリアンブル信号部分を図19に示す。また、PR−ASK方式で振幅変調された変調波の包絡線検波波形を図20に示す。また、図20のデータdelimiter部の拡大図を図21に示す。
【0014】
無線タグは、図17または図20の波形を復調することで、図示するように、プリアンブル信号の各データdelimiter,Tari,RTcal及びTRcalと、コマンドデータのデータシンボル“1”及び“0”とを認識する。
【0015】
しかしながら、振幅変調方式としてDSB−ASK方式を用いた場合は、プリアンブル信号中のデータdelimiterが適正な幅を有しているのに対して、PR−ASK方式を用いた場合は、データdelimiterの幅が適正な幅に対して極めて狭い。これは、ベースバンド信号をDSB−ASK方式の場合と同一特性を持ったデジタルフィルタに通過させて帯域制限した際、PR−ASK方式の場合は、DSB−ASK方式に比べ、図19中に示した傾きA−A′が急峻になるためである。この結果、無線タグは、データdelimiterを判別できず、したがって、コマンドの開始を認識できないために、無線通信装置からのコマンドデータに応答しないおそれがあった。
【0016】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、振幅変調方式の種類に係らず、無線タグと安定に通信ができる小型かつ低コストの無線通信装置及び無線通信方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、振幅偏移変調方式の変調手段にて搬送波をベースバンド信号で変調して変調信号を生成し、この変調信号を無線タグに送信する無線通信装置において、ベースバンド信号の先頭に付されるプリアンブル波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が変調器の変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有するプリアンブル波形データを記憶するプリアンブル波形記憶手段を設け、プリアンブル波形記憶手段からプリアンブル波形データを読み出して、変調手段に与えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
かかる手段を講じた本発明によれば、振幅変調方式の種類に係らず、無線タグと安定に通信ができる小型かつ低コストの無線通信装置及び無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態における無線タグリーダの概略構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態において、送信系デジタル信号処理部の要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態において、送信系デジタル信号処理部の波形メモリに記憶されるデータの一構造例を示す模式図。
【図4】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/DSB−ASK方式が指定された場合のデジタルフィルタ入力信号を示す波形図。
【図5】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/DSB−ASK方式が指定された場合のデジタルフィルタ出力信号を示す波形図。
【図6】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/DSB−ASK方式が指定された場合の変調器出力信号を示す波形図。
【図7】図6に示す変調波の包絡線検波波形図。
【図8】図7のデータdelimiter部の拡大図。
【図9】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/PR−ASK方式が指定された場合のデジタルフィルタ入力信号を示す波形図。
【図10】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/PR−ASK方式が指定された場合のデジタルフィルタ出力信号を示す波形図。
【図11】同実施の形態において、振幅変調方式として40kbps/PR−ASK方式が指定された場合の変調器出力信号を示す波形図。
【図12】図11に示す変調波の包絡線検波波形図。
【図13】図12のデータdelimiter部の拡大図。
【図14】無線通信装置からパッシブ型無線タグに送信するデータの形式を示す模式図。
【図15】従来例におけるプリアンブル信号の波形図。
【図16】従来例において、DSB−ASK方式を採用した場合の帯域制限後のベースバンド信号のプリアンブル信号部分を示す波形図。
【図17】従来例において、DSB−ASK方式で振幅変調された変調波の包絡線検波波形図。
【図18】図17のデータdelimiter部の拡大図。
【図19】従来例において、PR−ASK方式を採用した場合の帯域制限後のベースバンド信号のプリアンブル信号部分を示す波形図。
【図20】従来例において、PR−ASK方式で振幅変調された変調波の包絡線検波波形図。
【図21】図20のデータdelimiter部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、振幅変調方式を利用して、ISO/IEC18000−6のTypeCに規格化されている無線タグのデータを非接触で読み取る無線タグリーダに、本発明の無線通信装置としての機能を適用した場合、すなわち、振幅変調方式としてDSB−ASK方式と、PR−ASK方式とが規定されている場合である。
【0021】
図1は、本実施の形態における無線タグリーダ10の概略構成を示すブロック図である。無線タグリーダ10は、制御部11、通信部12、送信系デジタル信号処理部13、送信部14、方向性結合器15、ローパスフィルタ16、アンテナ17、受信部18、受信系デジタル信号処理部19及びPLL(Phase Lock1ed Loop)部20を備えている。
【0022】
制御部11は、前記通信部12、送信系デジタル信号処理部13、受信系デジタル信号処理部19及びPLL部20を接続している。また制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やメモリを含み、予め記憶されたプログラムに従って動作する。すなわち制御部11は、通信部12を介してパソコン等の上位機器と通信を行う。また、PLL部20を制御して、搬送波周波数と同じ周波数のローカル信号を出力させる。さらに、送信系デジタル信号処理部13及び受信系デジタル信号処理部19を介して無線タグ(不図示)と無線通信を行い、この無線タグのメモリに記憶されたタグデータを読み取る。
【0023】
制御部11は、無線タグへの送信データを送信系デジタル信号処理部13に出力する。送信系デジタル信号処理部13は、この送信データをデジタル信号処理してベースバンド信号を生成し、このベースバンド信号を送信部14に出力する。送信部14は、変調手段としての変調器21を備えており、PLL部20から入力されるローカル信号の搬送波を、送信部14から入力されるベースバンド信号で振幅変調する。そして、振幅変調された変調信号を、方向性結合器15に出力する。
【0024】
サーキュレータ等と称される方向性結合器15は、送信部14からの信号をローパスフィルタ16を介してアンテナ17に出力する機能と、アンテナ17からローパスフィルタ16を介して入力された信号を受信部18に出力する機能とを有する。アンテナ17は、ローパスフィルタ16を通過した変調信号に基づいて電波を放射する。また、無線タグから送信されるバックスキャッタ変調波を受信すると、この変調波に基づいた受信信号をローパスフィルタ16に出力する。
【0025】
受信部18は、アンテナ17で受信され、ローパスフィルタ16を通過した受信信号を方向性結合器15を介して入力すると、この受信信号を、周知のダイレクトコンバージョン方式で受信処理する。すなわち受信部18は、第1、第2のミキサ、第1、第2のADC(アナログ/デジタル・コンバータ)、及び、90度位相シフト器を主体に構成される。第1、第2のミキサには、それぞれ無線タグからの受信信号が入力される。また、第1のミキサには、PLL部20からのローカル信号が入力され、第2のミキサにはPLL部20からのローカル信号が90度位相シフト器によって90度位相がシフトされたローカル信号が入力される。
【0026】
第1のミキサは、受信信号とローカル信号を混合し、ローカル信号と同相成分のI信号を生成する。第2のミキサは、受信信号と90度位相をシフトしたローカル信号を混合し、ローカル信号と直交成分のQ信号を生成する。第1のミキサから出力されるI信号は、第1のADCでデジタル信号に変換されて受信系デジタル信号処理部19に出力される。同様に、第2のミキサから出力されるQ信号は、第2のADCでデジタル信号に変換されて受信系デジタル信号処理部19に出力される。
【0027】
受信系デジタル信号処理部19は、第1、第2の復調部、及び、第1、第2の復号部を有する。デジタル信号に変換されたI信号は、第1の復調部においてハイレベル値“1”とローレベル値“0”の2値に復調される。そして、第1の復号部でデータとして復号された後、制御部11に送信される。同様に、デジタル信号に変換されたQ信号は、第2の復調部において2値に復調される。そして、第2の復号部でデータとして復号された後、制御部11に送信される。
【0028】
図2は、送信系デジタル信号処理部13の要部構成を示すブロック図である。送信系デジタル信号処理部13は、変調方式判定部31と、ベースバンド処理部32と、デジタルフィルタ33とを備えている。
【0029】
変調方式判定部31は、制御部11から指定される変調方式の種類を判定する。すなわち制御部11は、無線タグに対するデータの送信前に、送信部14の変調器21で行う振幅変調の種類(例えば、40kbps/DSB−ASK方式、40kbps/PR−ASK方式等)を指定するための信号を、送信系デジタル信号処理部13に出力する。そこで変調方式判定部31は、上記信号により制御部11から指定される変調方式の種類を判定し、その判定結果を示すデータを、ベースバンド処理部32の後述するプリアンブル読出部42と符号化データ読出部43に出力する。ここに、変調方式判定部31は、変調方式判定手段を構成する。
【0030】
ベースバンド処理部32は、波形メモリ41、プリアンブル読出部42、及び、符号化データ読出部43を備えている。波形メモリ41は、プリアンブル波形記憶手段51と符号化データ波形記憶手段52とを有している。プリアンブル波形記憶手段51は、変調方式の種類毎に作成されたプリアンブル波形データを記憶している。符号化データ波形記憶手段52は、変調方式の種類毎に作成された符号化波形データを記憶している。符号化波形データは、データシンボル“0”の符号化に対応した波形データと、データシンボル“1”の符号化に対応した波形データとを記憶している。なお、プリアンブル波形データ及び符号化波形データは変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有する。
【0031】
プリアンブル読出部42は、プリアンブル波形記憶手段51により記憶されている変調方式種類別のプリアンブル波形データの中から、前記変調方式判定部31で判定された変調方式に対応したプリアンブル波形データを読み出す。そして、このプリアンブル波形データをデジタルフィルタ33に出力する。ここに、プリアンブル読出部42は、プリアンブル波形読出し手段を構成する。
【0032】
符号化データ読出部43は、符号化データ波形記憶手段52により記憶されている変調方式種類別の符号化波形データの中から、前記変調方式判定部31で判定された変調方式に対応した符号化波形データを、制御部11から出力される送信データに応じて読み出す。つまり、送信データがデータシンボル“0”の場合は、このデータシンボル“0”の符号化に対応した波形データを読み出し、データシンボル“1”の場合は、このデータシンボル“1”の符号化に対応した波形データを読み出す。そして、この符号化波形データをデジタルフィルタ33に出力する。ここに、符号化データ読出部43は、符号化データ波形読出し手段を構成する。
【0033】
デジタルフィルタ33は、プリアンブル読出部42によりプリアンブル波形記憶手段51から読み出されたプリアンブル波形データと、符号化データ読出部43により符号化データ波形記憶手段52から読み出された符号化波形データとについて、所定帯域以下を通過させるべくローパスフィルタとして帯域制限を行うもので、例えばFIRフィルタが用いられている。ここに、デジタルフィルタ33は、帯域制限手段を構成する。
【0034】
図3は、波形メモリ41に記憶されるデータの一構造例を示す模式図である。波形メモリ41は、メモリ管理の最小単位であるバンクBank00,Bank01,…毎に、振幅変調方式の種類を割り当てている。そしてバンクBank00,Bank01,…毎に、そのバンクに割り当てられた種類のプリアンブル波形データ61と符号化波形データ62とが、共通のフォーマットで格納されている。すなわち、各バンクBank00,Bank01,…の先頭アドレス[0000h]から順番に、先ず、プリアンブル信号のデータdelimiterに相当する波形データ[delimiter]が格納され、続いてデータTariに相当する波形データ[Tari]が格納され、続いてデータRTcalに相当する波形データ[RTcal]が格納され、続いてデータTRcalに相当する波形データ[TRcal]が格納される。さらに、それに引き続いて、データシンボル“0”の符号化に対応した波形データ[Data-0]が格納され、続いてデータシンボル“1”の符号化に対応した波形データ[Data-1]が格納される。
【0035】
因みに、図3の例では、第1のバンクBank00には、40kbps/DSK−ASK方式に対応したプリアンブル波形データ([delimiter]00,[Tari]00,[RTcal]00,[TRcal]00)61と符号化波形データ([Data-0]00,[Data-1]00)62とが記憶されている。また、第2のバンクBank01には、40kbps/PR−ASK方式に対応したプリアンブル波形データ([delimiter]01,[Tari]01,[RTcal]01,[TRcal]01)61と符号化波形データ([Data-0]01,[Data-1]01)61と符号化波形データ62とが記憶されている。
【0036】
かかる構成の本実施の形態において、今、制御部11から送信系デジタル信号処理部13に、振幅変調方式として40kbps/DSB−ASK方式を指定する信号が出力されたとする。
【0037】
そうすると、先ず、プリアンブル読出部42が、波形メモリ41の第1のバンクBank00内に格納されているプリアンブル波形データ([delimiter]00,[Tari]00,[RTcal]00,[TRcal]00)61を順に読み出す。そして、この読み出したプリアンブル波形データ61をデジタルフィルタ33に出力する。
【0038】
プリアンブル波形データ61の読み出しが完了すると、次に、符号化データ読出部43が、制御部11から供給された送信データに応じて、同じく第1のバンクBank00内に格納されている符号化波形データ([Data-0]00,[Data-1]00)62を読み出す。つまり、送信するデータシンボルが“0”である場合は、データシンボル“0”の符号化に対応した波形データ[Data-0]00を読み出し、データシンボルが“1”である場合は、データシンボル“1”の符号化に対応した波形データ[Data-1]00を読み出す。そして、この読み出した符号化波形データを順にデジタルフィルタ33に出力する。
【0039】
デジタルフィルタ33では、入力順にプリアンブル波形データ及び符号化波形データの帯域制限が行われる。帯域制限された波形データは、ベースバンド信号として送信部14に出力される。ベースバンド信号は、送信部14のDACでアナログ信号に変換された後、変調器21に与えられる。これにより、変調器21では、このベースバンド信号によりPLL部20から入力されるローカル信号の搬送波が振幅変調される。このときの振幅変調方式は、制御部11が指定した方式、すなわち40kbps/DSB−ASK方式である。
【0040】
40kbps/DSB−ASK方式で変調された信号は、方向性結合器15及びローパスフィルタ16を介してアンテナ17に送信され、電波として放射される。
【0041】
上記例において、プリアンブル読出部42及び符号化データ読出部43によって読み出され、デジタルフィルタ33に入力される前のデータ波形を図4に示す。
【0042】
図4において、区間T1はバンクBank00に格納されているプリアンブル波形データ61の中のデータdelimiterに相当する波形データ[delimiter]00であり、区間T2は同波形データ61の中のデータTariに相当する波形データ[Tari]00であり、区間T3は同波形データ61の中のデータRTcalに相当する波形データ[RTcal]00であり、区間T4は同波形データ61の中のデータTRcalに相当する波形データ[TRcal]00である。また、区間T5はバンクBank00に格納されている符号化波形データ62のデータシンボル“1”の符号化に対応した波形データ[Data-1]00であり、区間T6は同波形データ62のデータシンボル“0”の符号化に対応した波形データ[Data-0]00である。これらの波形データは、全てハイレベルとローレベルとの変化点を、変調器21における振幅変調方式、つまりは40kbps/DSB−ASK方式に応じた周波数、すなわち40kHzの正弦波の変化点と共通にしている。
【0043】
さて、この図4の波形データがデジタルフィルタ33を通過した後の帯域制限されたベースバンド信号を図5に示す。また、このベースバンド信号でPLL部20から出力されるローカル信号の搬送波を変調した後の変調器21の出力波形(変調波)を図6に、この変調波の包絡線検波波形を図7に、図7のデータdelimiter部の拡大図を図8に示す。
【0044】
図8に示すように、変調波の包絡線検波波形には、予め規定された範囲内のデータdelimiterが実現される。したがって、無線タグは、コマンドの区切りを示すデータdelimiterを充分に認識可能であるので、40kbps/DSB−ASK方式の振幅変調方式を用いた場合の無線タグとの通信効率を充分に確保することができる。
【0045】
次に、制御部11から送信系デジタル信号処理部13に、振幅変調方式として40kbps/PR−ASK方式を指定する信号が出力されたとする。
【0046】
そうすると、先ず、プリアンブル読出部42が、波形メモリ41の第2のバンクBank01内に格納されているプリアンブル波形データ([delimiter]01,[Tari]01,[RTcal]01,[TRcal]01)61を順に読み出す。そして、この読み出したプリアンブル波形データ61をデジタルフィルタ33に出力する。
【0047】
プリアンブル波形データ61の読み出しが完了すると、次に、符号化データ読出部43が、制御部11から供給された送信データに応じて、同じく第2のバンクBank01内に格納されている符号化波形データ([Data-0]01,[Data-1]01)62を読み出す。つまり、送信するデータシンボルが“0”である場合は、データシンボル“0”の符号化に対応した波形データ[Data-0]01を読み出し、データシンボルが“1”である場合は、データシンボル“1”の符号化に対応した波形データ[Data-1]01を読み出す。そして、この読み出した符号化波形データを順にデジタルフィルタ33に出力する。
【0048】
デジタルフィルタ33では、入力順にプリアンブル波形データ及び符号化波形データの帯域制限が行われる。帯域制限された波形データは、ベースバンド信号として送信部14に出力される。ベースバンド信号は、送信部14のDACでアナログ信号に変換された後、変調器21に与えられる。これにより、変調器21では、このベースバンド信号によりPLL部20から入力されるローカル信号の搬送波が振幅変調される。このときの振幅変調方式は、制御部11が指定した方式、すなわち40kbps/PR−ASK方式である。
【0049】
40kbps/PR−ASK方式で変調された信号は、方向性結合器15及びローパスフィルタ16を介してアンテナ17に送信され、電波として放射される。
【0050】
上記例において、プリアンブル読出部42及び符号化データ読出部43によって読み出され、デジタルフィルタ33に入力される前のデータ波形を図9に示す。
【0051】
図9において、区間T1はバンクBank01に格納されているプリアンブル波形データ61の中のデータdelimiterに相当する波形データ[delimiter]01であり、区間T2は同波形データ61の中のデータTariに相当する波形データ[Tari]01であり、区間T3は同波形データ61の中のデータRTcalに相当する波形データ[RTcal]01であり、区間T4は同波形データ61の中のデータTRcalに相当する波形データ[TRcal]01である。また、区間T5はバンクBank01に格納されている符号化波形データ62のデータシンボル“1”の符号化に対応した波形データ[Data-1]01であり、区間T6は同波形データ62のデータシンボル“0”の符号化に対応した波形データ[Data-0]01である。これらの波形データは、全てハイレベルとローレベルとの変化点を、変調器21における振幅変調方式、つまりは40kbps/PR−ASK方式に応じた周波数、すなわち20kHzの正弦波の変化点と共通にしている。
【0052】
さて、この図9の波形データがデジタルフィルタ33を通過した後の帯域制限されたベースバンド信号を図10に示す。また、このベースバンド信号でPLL部20から出力されるローカル信号の搬送波を変調した後の変調器21の出力波形(変調波)を図11に、この変調波の包絡線検波波形を図12に、図12のデータdelimiter部の拡大図を図13に示す。
【0053】
図13に示すように、変調波の包絡線検波波形には、予め規定された範囲内のデータdelimiterが実現される。したがって、無線タグは、コマンドの区切りを示すデータdelimiterを充分に認識可能であるので、40kbps/PR−ASK方式の振幅変調方式を用いた場合の無線タグとの通信効率を充分に確保することができる。
【0054】
このように本実施の形態の無線タグリーダ10であれば、PR−ASK方式の振幅変調方式を用いた場合も、DSB−ASK方式を用いた場合と同様に、無線タグと安定に通信を行うことができる。この場合において、ベースバンド信号を帯域制限するためのデジタルフィルタ33は、ただ1つでよいので、装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0055】
ところで、無線タグは、包絡線検波波形の最大値および最小値を検出し、その中間値を閾値とする。そして、この閾値に従い、無線タグが内部に備えるクロックにて立上がり及び立下りを計測することで、データシンボル“0”とデータシンボル“1”を復号している。
【0056】
本実施の形態では、図8と図18とを比較すれば明らかなように、DSB−ASK方式の振幅変調方式を用いた場合に、包絡線検波波形の最大値から最小値までのリップルRPを従来より小さくすることができる。このため、閾値となる中間値の誤検出がなくなるので、無線タグは、データシンボル“0”とデータシンボル“1”を誤認識しなくなるようになる。
【0057】
同様に、図13と図21とを比較すれば明らかなように、PR−ASK方式の振幅変調方式を用いた場合も、包絡線検波波形の最大値から最小値までのリップルRPが小さくなるので、上記と同様な効果を奏し得る。
【0058】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【0059】
例えば前記実施の形態では、振幅変調方式をDSB−ASK方式とPR−ASK方式とに限定したが、その他の振幅変調方式を用いて無線タグと通信を行う場合も、本発明は適用できるものである。また、本発明は、PR−ASK方式のみに対応した無線通信装置であってもよい。この場合は、送信系デジタル信号処理部13から変調方式判定部31を省略することができる。
【0060】
また、前記実施の形態では、プリアンブル波形データと符号化波形データとを波形メモリ41にて共通に記憶したが、プリアンブル波形データを記憶するプリアンブル波形記憶手段51と、符号化波形データを記憶する符号化データ波形記憶手段52とを、別々のメモリエリアに形成してもよい。
【0061】
また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…無線通信装置、11…制御部、12…通信部、13…送信系デジタル信号処理部、14…送信部、15…方向性結合器、16…ローパスフィルタ、17…アンテナ、18…受信部、19…受信系デジタル信号処理部、20…PLL部、21…変調器、31…変調方式判定部、32…ベースバンド処理部、33…デジタルフィルタ、41…波形メモリ、42…プリアンブル読出部、43…符号化データ読出部、51…プリアンブル波形記憶手段、52…符号化データ波形記憶手段。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平10−261984号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振幅偏移変調方式の変調手段にて搬送波をベースバンド信号で変調して変調信号を生成し、この変調信号を無線タグに送信する無線通信装置において、
前記ベースバンド信号の先頭に付されるプリアンブル波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が前記変調手段における変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有するプリアンブル波形データを記憶するプリアンブル波形記憶手段、を具備し、
前記プリアンブル波形記憶手段から前記プリアンブル波形データを読み出して、前記変調手段に与えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記プリアンブル波形記憶手段は、前記変調方式の種類毎に、前記プリアンブル波形データを記憶していることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
振幅偏移変調方式の変調手段にて搬送波をベースバンド信号で変調して変調信号を生成し、この変調信号を無線タグに送信する無線通信装置において、
データシンボルの符号化に対応した符号化波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が前記変調手段における変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有する符号化波形データを記憶する符号化データ波形記憶手段、を具備し、
前記符号化データ波形記憶手段から前記データシンボルの符号化に対応した波形データを読み出して、前記変調手段に与えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
前記符号化データ波形記憶手段は、前記変調方式の種類毎に、前記データシンボルの符号化に対応した波形データを記憶していることを特徴とする請求項3記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記変調方式は、両側波帯振幅偏移変調方式または位相反転振幅偏移変調方式を含むことを特徴とする請求項2または4記載の無線通信装置。
【請求項6】
振幅偏移変調方式にて搬送波をベースバンド信号で変調して変調信号を生成し、この変調信号を無線タグに送信する無線通信方法であって、
前記ベースバンド信号の先頭に付されるプリアンブル波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が前記変調手段における変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有するプリアンブル波形データを記憶し、
前記プリアンブル波形データを読み出して、前記変調方式にて変調することを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】
前記変調方式の種類毎に、前記プリアンブル波形データが記憶されていることを特徴とする請求項6記載の無線通信方法。
【請求項8】
振幅偏移変調方式にて搬送波をベースバンド信号で変調して変調信号を生成し、この変調信号を無線タグに送信する無線通信方法であって、
データシンボルの符号化に対応した符号化波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が前記変調手段における変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有する符号化波形データを記憶し、
前記データシンボルの符号化に対応した波形データを読み出して、前記変調手段にて変調することを特徴とする無線通信方法。
【請求項9】
前記変調方式の種類毎に、前記データシンボルの符号化に対応した波形データを記憶していることを特徴とする請求項8記載の無線通信方法。
【請求項10】
前記変調方式は、両側波帯振幅偏移変調方式または位相反転振幅偏移変調方式を含むことを特徴とする請求項7または9記載の無線通信方法。
【請求項1】
振幅偏移変調方式の変調手段にて搬送波をベースバンド信号で変調して変調信号を生成し、この変調信号を無線タグに送信する無線通信装置において、
前記ベースバンド信号の先頭に付されるプリアンブル波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が前記変調手段における変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有するプリアンブル波形データを記憶するプリアンブル波形記憶手段、を具備し、
前記プリアンブル波形記憶手段から前記プリアンブル波形データを読み出して、前記変調手段に与えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記プリアンブル波形記憶手段は、前記変調方式の種類毎に、前記プリアンブル波形データを記憶していることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
振幅偏移変調方式の変調手段にて搬送波をベースバンド信号で変調して変調信号を生成し、この変調信号を無線タグに送信する無線通信装置において、
データシンボルの符号化に対応した符号化波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が前記変調手段における変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有する符号化波形データを記憶する符号化データ波形記憶手段、を具備し、
前記符号化データ波形記憶手段から前記データシンボルの符号化に対応した波形データを読み出して、前記変調手段に与えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
前記符号化データ波形記憶手段は、前記変調方式の種類毎に、前記データシンボルの符号化に対応した波形データを記憶していることを特徴とする請求項3記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記変調方式は、両側波帯振幅偏移変調方式または位相反転振幅偏移変調方式を含むことを特徴とする請求項2または4記載の無線通信装置。
【請求項6】
振幅偏移変調方式にて搬送波をベースバンド信号で変調して変調信号を生成し、この変調信号を無線タグに送信する無線通信方法であって、
前記ベースバンド信号の先頭に付されるプリアンブル波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が前記変調手段における変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有するプリアンブル波形データを記憶し、
前記プリアンブル波形データを読み出して、前記変調方式にて変調することを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】
前記変調方式の種類毎に、前記プリアンブル波形データが記憶されていることを特徴とする請求項6記載の無線通信方法。
【請求項8】
振幅偏移変調方式にて搬送波をベースバンド信号で変調して変調信号を生成し、この変調信号を無線タグに送信する無線通信方法であって、
データシンボルの符号化に対応した符号化波形データとして、ハイレベルとローレベルとの変化点が前記変調手段における変調方式に応じた周波数の正弦波の傾きを有する符号化波形データを記憶し、
前記データシンボルの符号化に対応した波形データを読み出して、前記変調手段にて変調することを特徴とする無線通信方法。
【請求項9】
前記変調方式の種類毎に、前記データシンボルの符号化に対応した波形データを記憶していることを特徴とする請求項8記載の無線通信方法。
【請求項10】
前記変調方式は、両側波帯振幅偏移変調方式または位相反転振幅偏移変調方式を含むことを特徴とする請求項7または9記載の無線通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−114907(P2010−114907A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270427(P2009−270427)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【分割の表示】特願2007−307707(P2007−307707)の分割
【原出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【分割の表示】特願2007−307707(P2007−307707)の分割
【原出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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