説明

無菌ヒアルロン酸溶液

ヒアルロン酸を含む溶液の無菌化方法。その方法は重量平均分子量が0.6MDa〜3.6MDaであるヒアルロン酸の水溶液であって、該ヒアルロン酸の濃度が0.04質量%〜0.8質量%である水溶液を提供することを含む。その水溶液は、また、イオン強度が3質量%〜30質量%の塩化ナトリウムの水性濃度と等価である。一旦、高塩濃度ヒアルロン酸水溶液を調製したら、その溶液を、少なくとも1時間で6日間以下の間、40℃〜80℃の温度に維持する。その加熱処理工程に次いで、水溶液を除菌フィルタ媒体をとおしてろ過し、除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はヒアルロン酸を含むフィルタ除菌された水溶液、及び、ヒアルロン酸を含む商用体積の無菌溶液の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
残念ながら、多くのバイオポリマーは加熱滅菌などの一般的な無菌化手順に対して感受性である。加熱滅菌はしばしばバイオポリマーの物理化学的特性に顕著な変化をもたらすことがあり、それにより、得られる無菌バイオポリマーは使用目的に適さないものとなる。
【0003】
医療材料に現在使用されている無菌化法としては、たとえば、加熱処理、高圧蒸気滅菌(たとえば、オートクレーブ滅菌)、酸化エチレンガス(EOG)滅菌、超臨界二酸化炭素滅菌及び放射線滅菌が挙げられる。たとえば、米国特許第6,891,035号明細書、米国特許第6,149,864号明細書、米国特許第5,621,093号明細書、米国特許第4,263,253号明細書、US2006/0292030及びUS2007/0009578を参照されたい。利用可能な無菌化法は、通常、無菌化しようとする特定のバイオポリマーの堅牢さに関して評価される。たとえば、高圧蒸気滅菌はバイオポリマーが高温及び高圧に耐えることができる範囲でのみバイオポリマーに使用されうる。しかしながら、ヒアルロン酸を含む非常に少数のバイオポリマーしかこのような高温及び高圧に耐えることができない。EOG滅菌はそのプロセスがバイオポリマーを熱分解するのを抑制するので有用である可能性がある。しかしながら、組成物中の残存酸化エチレンの存在は問題となることがある。
【0004】
ヒアルロン酸は非免疫原性物質であり、その粘弾性及び親水性のために、ヒアルロン酸は、たとえば、Balazsの米国特許第4,141,973号明細書に開示されているとおり、目の硝子体もしくは関節滑液の代替品として、又は、眼科手術における支持媒体(supportive medium)として長年にわたって使用されてきた。関節滑液において、ヒアルロン酸溶液は細胞に保護環境を提供するための滑剤としての役割を果たし、このため、炎症を起こした膝関節の治療に使用されている。Chemedia S.A.のEP−A−0698388は増粘剤としてヒアルロン酸塩を含む人工涙液としての使用のための眼科調製物を開示している。ヒアルロン酸を含む製品の消費者使用では製造者が消費者製品を無菌化する必要があり、そして開放した複数用量製剤として使用されるならば、製剤製品を保存するための追加の工程を取らなければならない。
【0005】
ヒアルロン酸は熱滅菌プロセスに非常に感受性があることが知られている1つのバイオポリマーである。ヒアルロン酸の加熱滅菌はヒアルロン酸の加水分解又は酸化を加速し、それにより、バイオポリマーの平均分子量の有意なそしてしばしば有害な低下を生じさせることが知られている。多くの医薬用途では、製剤中のヒアルロン酸の比較的に低分子量の形態は望ましくない。通常、ヒアルロン酸の低分子量形態はヒアルロン酸の高分子量形態の望ましいレオロジー特性を提供しない。上記の加熱滅菌法におけるヒアルロン酸の分解を補うために、所望されるよりも高い分子量を有するヒアルロン酸で開始することが可能である。しかしながら、この調節では、ヒアルロン酸の製品収率はそのバイオポリマーの平均分子量が増加するとともに減少するのでプロセス非効率をもたらすことになる。
【0006】
ヒアルロン酸を無菌化する別の既知の方法はろ過によるものである。濃縮形態で、通常には、乾燥粉末の形態で精製ヒアルロン酸塩を調製するための工業法において一般的なろ過法が使用されており、ここで、水溶液をフィルタをとおして通過させ、次いで、乾燥させる。このようなろ過法は欧州特許出願EP867453及びWO00/44925明細書に記載されている。米国特許出願公開第2006/0052336号明細書は溶液の粘度を低減するために比較的に低いヒアルロン酸濃度で高分子量ヒアルロン酸をフィルタ除菌する方法を記載している。ろ過工程の次に、真空を課しそして水を除去することにより溶液中のヒアルロン酸の濃度を濃縮し、所望の、より濃縮された形態のヒアルロン酸を得る。
【0007】
米国特許第5,093,487号明細書は溶液の粘度を低減することでより容易にろ過されうる高分子量形態のヒアルロン酸(好ましくは1.2MDaを超える)を含む水溶液の調製方法を記載している。この溶液の粘度の低減は「制御された加熱処理」又は「小孔膜をとおした高圧もしくは真空を用いた最小濃度溶液のろ過」によって可能であると言われている。これらの粘度低減プロセスは、また、長時間にわたってその低粘度を維持するヒアルロン酸形態をもたらし、すなわち、誘導された粘度の低減は非可逆的であるものとして記載されている。特に、1ヶ月の処理期間にわたり、種々の加熱温度(30℃、40℃及び50℃)で、1.1MDaの初期重量平均分子量を有するヒアルロン酸の1wt%溶液を加熱処理することが記載されている。各ヒアルロン酸溶液で、重量平均分子量が低下していないことが報告されている。‘487号特許は、また、ヒアルロン酸の加熱処理された溶液が無菌化に要求される0.22ミクロン孔サイズのフィルタをとおしてろ過されうることも報告している。
【0008】
Blumbergらは、Changes in Physical Characteristics of Hyaluronate, pp.1454-61において、塩化ナトリウム濃度の関数としてのヒアルロン酸溶液の物性変化について報告している。粘度に関し、溶液のイオン強度の増加は粘度の低下をもたらす。粘度の低下は比較的に少量の塩を添加したときに観測される。「約0.5M[NaCl]の後に、[粘度の]低下は緩やかになり、1.3Mの後には、さらに多量の塩を添加しても非常に少ししか変化はない。」、同文献1459頁。換言すると、粘度は生理食塩水のイオン強度よりもわずかに低いナトリウムイオン濃度の変化に非常に敏感であり、そして「約0.15のナトリウムイオン強度よりも上では、ヒアルロン酸塩は比較的に鈍感である。」、同文献1459頁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のことに基づいて、バイオポリマーの水溶液、特に、ヒアルロン酸の水溶液の無菌化は全く型にはまったものでなく、そして実質的に分解されていない無菌溶液を得るために多くの技術的挑戦があることが判る。もし商業規模製造バッチを目的とするならば、この技術的挑戦は大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
本発明はヒアルロン酸を含む溶液の無菌化方法に関する。その方法は重量平均分子量が0.6MDa〜3.6MDaであるヒアルロン酸の水溶液であって、該ヒアルロン酸の濃度が0.04質量%〜0.8質量%である水溶液を提供することを含む。その水溶液は、また、イオン強度が3質量%〜30質量%の塩化ナトリウムの水性濃度と等価である。一旦、高塩濃度ヒアルロン酸水溶液を調製したら、その溶液を、少なくとも1時間で6日間以下の間、40℃〜80℃の温度に維持する。その加熱処理工程に次いで、水溶液を除菌フィルタ媒体をとおしてろ過し、除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を提供する。
【0011】
1つの実施形態において、その方法は重量平均分子量が0.8MDa〜2.2MDaであるヒアルロン酸の水溶液であって、該ヒアルロン酸の濃度が0.1質量%〜0.5質量%である水溶液を提供することを含む。その水溶液は、また、イオン強度が4質量%〜18質量%の塩化ナトリウムの水性濃度と等価である。一旦、高塩濃度ヒアルロン酸水溶液を調製したら、その溶液を、少なくとも1時間で18時間以下の間、50℃〜75℃の温度に維持する。その加熱処理工程に次いで、水溶液を上記のとおりの除菌フィルタ媒体をとおしてろ過する。
【0012】
本発明は、また、重量平均分子量が0.6MDa〜3.6MDaであるヒアルロン酸を0.04質量%〜0.8質量%の量で含む水溶液に関する。そのヒアルロン酸水溶液は、また、4質量%〜18質量%の塩化ナトリウム、塩化カリウム又はそれらの混合物を含み、そして溶液はフィルタ除菌されている。
【0013】
本発明は、また、溶液1リットル中のヒアルロン酸1g毎に塩化ナトリウム約25g〜60gと等価のイオン強度を含む、高塩濃度ヒアルロン酸水溶液に関する。溶液中のヒアルロン酸の濃度は0.05質量%〜0.4質量%である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面の簡単な説明
【図1】図1は示した種々のプロセス条件で約740kgのヒアルロン酸水溶液を処理するために要求される10インチフィルタカートリッジの推定数を示す棒グラフである。
【図2】図2は水溶液中のランダムコイルヒアルロン酸の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
「無菌」組成物はUSP無菌性試験を用いて決定されるとおりの生菌なしの組成物である。The United States Pharmacopeia, 30th Revision, The United States Pharmacopeial Convention:2008を参照されたい。
【0016】
用語「ヒアルロン酸」とはヒアルロナンの繰り返し二糖副単位を含むポリマーを指す。その用語は、また、二糖副単位が1つ以上の位置でD−グルクロン酸及び/又はD−N−アセチルグルコサミン繰り返し副単位から誘導化されていてよいポリマーを含む。したがって、用語ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の誘導体及び塩形態(ヒアルロネートとも呼び、たとえば、ナトリウムヒアルロネート(ヒアルロン酸ナトリウム))を包含する。
【0017】
ヒアルロン酸はβ(1−3)及びβ(1−4)グリコシド結合により結合しているD−グルクロン酸とN−アセチル−D−グルコサミンとからなる繰り返し二糖単位から形成された直鎖多糖類(長鎖生体ポリマー)である。ヒアルロン酸はタンパク及びスルホン基に対する共有結合がないので、他のグルコサミノグリカンとは区別される。ヒアルロン酸は動物中の至る処にあり、最も高濃度のものは軟結合組織に見られる。それは体内で機械目的及び輸送目的の両方で重要な役割を果たし、たとえば、それは関節に弾性を付与しそして椎間板に剛性を付与し、そしてそれは、また、目の硝子体の重要な成分である。
【0018】
ヒアルロン酸は生体組織又は細胞を圧縮力から保護することができる化合物として眼科団体により良好に受け入れられている。したがって、ヒアルロン酸は白内障手術のための粘弾性眼科組成物の成分として提案されている。小さなせん断力下であまり粘性でないが、静的条件下で硬質弾性であるヒアルロン酸の粘弾性特性により、ヒアルロン酸が細胞及び組織のための衝撃吸収材として基本的に機能することが可能になる。ヒアルロン酸は、また、水を吸収しそして保持する能力が比較的大きい。記載したヒアルロン酸の特性は、分子量、溶液濃度及び生理的pHに依存する。低濃度では、溶液中で個々の鎖が絡み合いそして連続したネットワークを形成し、それにより、系に興味深い特性、たとえば、顕著な粘弾性及び低濃度の水溶性ポリマーに特有の擬塑性を付与する。
【0019】
ヒアルロン酸溶液は熱及び酸加水分解に感受性であることが知られており、そのため、重量平均分子量は、通常、溶液が多糖結合の加水分解を促進する条件に付したならば、時間の経過とともに低減するであろう。ヒアルロン酸の水溶液の場合には、80℃を超える長時間の加熱、たとえば、加熱滅菌するのに使用する条件は適さず、ヒアルロン酸の重量平均分子量の実質的な低下が観測される。また、比較的高い重量平均分子量のヒアルロン酸を含むヒアルロン酸水溶液を除菌するために0.22ミクロンの孔サイズのフィルタの使用は適さない。より小さい分子量画分はフィルタを容易に通過するが、平均分子直径が0.2μmを超える大きな画分(平均Mwが約0.6MDa以上)は容易に通過しない。しかしながら、出願人は、重量平均分子量が0.6MDa〜3.6MDaであるヒアルロン酸の水溶液のフィルタ除菌を容易にする選択処理条件を発見した。
【0020】
記述される処理条件は、ヒアルロン酸水溶液のろ過効率を改善する。特に、記述される処理条件により、比較的大規模のヒアルロン酸水溶液の製造バッチの無菌化を可能になる。出願人は重量平均分子量が0.6MDa〜3.6MDaであるヒアルロン酸を含み、該ヒアルロン酸の濃度が0.04質量%〜0.8質量%である水溶液の無菌ろ過では0.22ミクロンの孔サイズのフィルタをとおしてろ過することができ、そのため、大規模商業生産バッチで無菌化することができることを示した。記述されるプロセスは、本質的に、溶液の特定の熱処理及び溶液が比較的高いイオン強度を有することに依存する。
【0021】
一つのプロセス条件は熱処理が関与する。この場合において、ヒアルロン酸水溶液は、少なくとも1時間で6日間以下の間、40℃〜80℃の温度に維持される。しかしながら、24時間を超える期間、この温度範囲の上限に溶液の温度を維持しないように注意しなければならない。さもなければ、ヒアルロン酸の重量平均分子量の有意な低下を観測し始める。長時間にわたって80℃又はそれを超える温度に維持することで、多糖結合の加水分解又は酸化分解をもたらすことがある。ヒアルロン酸の重量平均分子量の観察される低下を最小限にすることに関する熱処理時間と維持温度との相関関係を考えて、推奨される熱処理を、重量平均分子量が約0.6MDa〜1.6MDaであるヒアルロン酸について表1に示す。同様に、推奨される熱処理を、重量平均分子量が約1.6MDa〜3.6MDaであるヒアルロン酸について表2に示す。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
第二のプロセス条件はヒアルロン酸水溶液のイオン強度が関与する。イオン強度値は記載され、記載される塩化ナトリウムの水性濃度に等価であると説明される。出願人は、時折、ヒアルロン酸水溶液のイオン強度の増加をポリマーの「塩収縮ラッピング(salt shrink wrapping)」として参照する。ヒアルロン酸の「塩収縮ラッピング」(salt shrink wrapping)は図2に示す水溶液中のランダムコイルヒアルロン酸の模式図により最も上手く記載される。
【0025】
したがって、十分な量の1種以上の塩化合物は、ヒアルロン酸と混合され、3wt%〜30wt%、4wt%〜18wt%又は8wt%〜14wt%の塩化ナトリウムの水性濃度と等価であるイオン強度を有する、高塩濃度ヒアルロン酸水溶液を提供する。
【0026】
理想的には、ヒアルロン酸水溶液のイオン強度を上げるために使用される1種以上の塩は所望の製品製剤中に存在することになる塩である。たとえば、もし、製剤を緩衝作用に付すことが必要であるならば、塩のうちの1種はバッファーの塩成分であることができる。ホウ酸塩で緩衝される製剤の場合には、塩はアルカリホウ酸塩、たとえば、ホウ酸ナトリウムであることができる。同様に、クエン酸塩又はリン酸塩で緩衝される製剤の場合には、塩は、それぞれ、アルカリクエン酸塩、たとえば、クエン酸ナトリウム、又は、アルカリリン酸塩、たとえば、リン酸二ナトリウムであることができる。ヒアルロン酸水溶液のイオン強度を上げるためにいかなる塩バッファー成分を使用してもよいことを当業者は理解するであろう。
【0027】
眼科調製物を調製する場合にNaCl又はKClなどのアルカリ金属塩化物は、通常、調製物のモル浸透圧濃度を調節するために使用される。したがって、NaCl、KCl又はその2つの塩のある組み合わせはヒアルロン酸水溶液のイオン強度を上げるために使用できる。又は、塩化マグネシウム又は塩化カルシウムなどの第II族金属塩を含む他の一般的な塩を使用することができる。
【0028】
1つの実施形態において、高塩濃度ヒアルロン酸溶液は1リットルの溶液中のヒアルロン酸1g毎に塩化ナトリウム約25g〜60gに等価のイオン強度を有するであろう。たとえば、0.1wt%のヒアルロン酸溶液は塩化ナトリウム約25g〜60gに等価のイオン強度を含むであろう。同様に、0.2wt%のヒアルロン酸溶液は塩化ナトリウム約50g〜120gに等価のイオン強度を含むであろう。0.3wt%のヒアルロン酸溶液は塩化ナトリウム約75g〜180gに等価のイオン強度を含むであろう。
【0029】
酸の任意添加
溶液のpHも0.22ミクロン孔サイズを有する除菌フィルタ媒体をとおしてヒアルロン酸水溶液を通過させる効率に対して影響があることが観測されている。溶液のpHは、また、加熱処理工程において使用される温度でのヒアルロン酸の加水分解の速度に対しても影響を与えることができる。pHを約4.2〜約6.2の値に低減し、好ましくはpHを約5.2〜約6.2の値に低減することはヒアルロン酸溶液の除菌ろ過プロセスを促進することもできる。通常、最終製剤製品中に存在するバッファー塩に関連するバッファー酸を添加する。たとえば、製剤に緩衝作用を付す必要があるならば、対応する遊離酸を使用する。ホウ酸塩で緩衝される製剤の場合には、ホウ酸を添加するであろう。同様に、クエン酸塩で緩衝される製剤の場合には、クエン酸を添加するであろう。
【0030】
しかしながら、もし、約6.4未満のpH値を有するヒアルロン酸水溶液を調製し、その後、記載されるプロセスを用いてフィルタ除菌しようとするならば、トレードオフがある。記載したとおり、ヒアルロン酸の水溶液は加水分解に感受性があり、すなわち、ヒアルロン酸の重量平均分子量の所望しない減少をもたらす多糖結合の加水分解開裂に感受性がある。出願人は加水分解反応が酸の存在により触媒され、そのため、より低いpH値はしばしば加水分解の速度を上げることになるであろうと考えられる。それゆえ、当業者は2つの競争的要因に直面し、そしてヒアルロン酸の選択グレードに対する除菌ろ過プロセスを最適化するプロセス条件を決定しなければならない。溶液のpHがより低いと、溶液の粘度が低下することになり、そのため、除菌フィルタをとおしてより速い流速となる。同時に、より低いpH値は加水分解速度の増加及びより低い重量平均分子量のヒアルロン酸をもたらすことができる。
【0031】
同様に、ヒアルロン酸の加水分解の速度は、比較的に高い塩基性条件、たとえば、少なくとも7.8以上のpH値でも加速される。したがって、高塩濃度ヒアルロン酸溶液を調製するために添加される好ましい塩基は中性塩、たとえば、第I族又は第II族金属クロリドである。記載されるヒアルロン酸の無菌ろ過の好ましいpH範囲は約6.4〜約7.2である。
【0032】
出願人はヒアルロン酸溶液をろ過するための孔サイズが0.22ミクロンの2つのタイプの除菌フィルタ媒体:二層ポリエーテルスルホン(PES)媒体及び疎水性ポリフッ化ビニリデン(PVDF)媒体を調べた。実験室規模で両方のフィルタ媒体は非常に良好に機能したが、商業プロセス環境では、より大きなPVDFカートリッジがバッチ毎により一貫した流れを提供した。図1は種々のプロセス条件について、約740kgのヒアルロン酸水溶液を処理するのに要求される10インチフィルタカートリッジの推測数を示す棒グラフである。実際の試験は47mmフィルタディスクを用いて約2Lのヒアルロン酸溶液を用いて行った。これらの試験の変数としては、ヒアルロン酸の濃度、溶液中の塩化ナトリウムの濃度により報告される溶液のイオン強度、使用したフィルタ媒体(PES又はPVDF)、及び、溶液中のホウ酸の有無が挙げられる。出願人は、実験運転をとおして可能な限り一貫した重量平均分子量のヒアルロン酸を維持しようと試みたが、試験ロットにおけるヒアルロン酸の重量平均分子量の若干の変動があった。ヒアルロン酸ナトリウムの分子量及び分子量分布をオンライントリプル検知による水性サイズ排除クロマトグラフィーにより決定する。Liu, X.M. らのDetailed Characterization of Cationic Hydroxyethylcellulose Derivatives using Aqueous Size-Exclusion Chromatography with on-line Triple Detection. J. Chromatogr. A. 1104, 2006. 145-153を参照されたい。
【0033】
当業者によって理解されるとおり、記載される滅菌ろ過プロセスは高塩濃度ヒアルロン酸水溶液の粘度によって制限される。したがって、高塩濃度ヒアルロン酸溶液中のヒアルロン酸の濃度は0.8wt%未満である。というのは、ヒアルロン酸の濃度のさらなる増加は加熱処理された高塩濃度溶液をろ過するためにでさえ溶液を粘性とするであろうからである。また、より高い濃度のヒアルロン酸をフィルタ除菌するために十分な時間80℃を超える温度で溶液を加熱することは多糖結合の有意な熱加水分解をもたらす傾向があり、重量平均分子量の有意な減少となり、そして所望の製品製剤に当初求められていた有利な粘弾性特性を失うことになる傾向がある。
【0034】
多くの実施形態において、高塩濃度ヒアルロン酸溶液中のヒアルロン酸の濃度は0.04wt%〜0.8wt%であり、又は、0.1wt%〜0.4wt%であり、たとえば、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%又は約0.5wt%である。
【実施例】
【0035】
例1:図1。0.5wt%ヒアルロン酸(HA)を、10.0gのHA及び250gのNaCl(12.5wt%)のドライブレンドした混合物を、ステンレス容器内で約70℃に維持した1740.0gの精製水に攪拌しながらゆっくりと添加することにより調製した。HAは報告された重量平均分子量が約1.8MDaであった。HAは約20分後に完全に溶解した外観を有した。溶液を室温に冷却させ、そして2つのプラスチックボトルに貯蔵した。溶液はコーン/プレート粘度が1rpmで304cP、17rpmで111cPであった。
【0036】
溶液A[比較例A] 0.5wt%ヒアルロン酸(HA)を、10.0gのHAを、ステンレス容器内で約70℃に維持した1990.0gの精製水に攪拌しながらゆっくりと添加することにより調製した。HAは約47分後に完全に溶解した外観を有した。溶液を室温に冷却させ、そして2つのプラスチックボトルに貯蔵した。溶液のコーン/プレート粘度が1rpmで1343cP、17rpmで192.2cPであった。
【0037】
溶液B[比較例B] 1.0wt%ヒアルロン酸(HA)を、20.0gのHAを、ステンレス容器内で約70℃に維持した1980.0gの精製水に攪拌しながらゆっくりと添加することにより調製した。HAは約75分後に完全に溶解した外観を有した。溶液を室温に冷却させ、そして2つのプラスチックボトルに貯蔵した。溶液の見掛の高粘度のために、粘度測定は得られなかった。
【0038】
溶液C[比較例C] 3.0wt%ヒアルロン酸(HA)を、15.0gのHAを、ステンレス容器内で約70℃に維持した485.0gの精製水に攪拌しながらゆっくりと添加することにより調製した。HAは約150分後に完全に溶解した外観を有した。生成物は非常に粘性の注ぐことができないゲルを形成し、実際に攪拌シャフト上に登り始めた。粘度測定は得られなかった。
【0039】
1つの実施形態において、記載される除菌ろ過プロセスは、0.22ミクロンの孔サイズのPES又はPVDFフィルタカートリッジについて下記のプロセス条件及び溶液条件を含む。重量平均分子量が約0.7MDa〜約1.7MDaであるヒアルロン酸は微細乾燥粉末として市販入手される。適量の乾燥ヒアルロン酸を適量の塩化ナトリウムとともにドライブレンディング容器に添加する。2つの粉末は塩化ナトリウム中でヒアルロン酸を有効に希釈してドライブレンドされる。一方、精製水を混合タンクに添加し、水の温度を40℃〜80℃に加熱しそして維持する。ドライブレンドされたヒアルロン酸/NaClを精製水にゆっくりと添加し、そしてヒアルロン酸が完全に溶液中となる(すなわち、溶解された)ような外観となるまで溶液を攪拌する。高塩濃度ヒアルロン酸溶液を、その後、40℃〜80℃の温度で少なくとも1時間で6日間以下の間加熱処理する。また、維持温度が高いほど、加熱処理の時間が短いことが理解される。加熱処理に次いで、もし、もちろん、維持温度が55℃を超えているならば、高塩濃度ヒアルロン酸溶液を好ましくは約45℃〜55℃に冷却する。
多くの実施形態において、ヒアルロン酸は重量平均分子量が0.6MDa〜3.6MDa、0.8MDa〜2.2MDa、0.8MDa〜1.6MDa又は1.1MDa〜1.4MDaであろう。
【0040】
例2:図1。0.25wt%ヒアルロン酸(HA)を、10.0gのHA及び500gのNaCl(12.5wt%)のドライブレンドした混合物を、ステンレス容器内で約78℃に維持した3490.0gの精製水に攪拌しながらゆっくりと添加することにより調製した。HAは報告された重量平均分子量が約1.8MDaであった。溶液を室温に冷却させた。溶液はコーン/プレート粘度が30rpmで16.3cPであった。
【0041】
例3:図1。0.125wt%ヒアルロン酸(HA)を、5.0gのHA及び250gのNaCl(6.25wt%)のドライブレンドした混合物を、ステンレス容器内で約73℃に維持した3745.0gの精製水に攪拌しながらゆっくりと添加することにより調製した。HAは報告された重量平均分子量が約1.4MDaであった。HAは約75分後に完全に溶解した外観を有した。溶液を室温に冷却させた。溶液はコーン/プレート粘度が60rpmで6.4cPであった。
【0042】
例4:図1。0.125wt%ヒアルロン酸(HA)を、5.0gのHA及び250gのNaCl(6.25wt%)のドライブレンドした混合物を、ステンレス容器内で160gのホウ酸(4wt%)を含む約76℃に維持した3485.0gの精製水に攪拌しながらゆっくりと添加することにより調製した。HAは報告された重量平均分子量が約1.4MDaであった。溶液を室温に冷却させた。溶液はコーン/プレート粘度が60rpmで3.5cPであった。
【0043】
図1に報告したデータから示唆されるとおり、4wt%のホウ酸を含む例4の溶液は、ホウ酸を含まない同等の溶液、すなわち、例3の溶液よりも、PVDFフィルタディスクをとおして2倍近く効率がよい。さらに、例4の溶液は例3の溶液よりも、PESフィルタディスクをとおして5倍効率がよい。
【0044】
例5:図1。0.25wt%ヒアルロン酸(HA)を、5.0gのHA及び250gのNaCl(12.5wt%)のドライブレンドした混合物を、ステンレス容器内で約75℃に維持した1745.0gの精製水に攪拌しながらゆっくりと添加することにより調製した。HAは報告された重量平均分子量が約0.8MDaであった。HAは約30分後に完全に溶解した外観を有した。溶液を室温に冷却させた。溶液はコーン/プレート粘度が60rpmで8.3cPであった。
【0045】
例6:図1。0.25wt%ヒアルロン酸(HA)を、4.0gのHA及び200gのNaCl(12.5wt%)のドライブレンドした混合物を、ステンレス容器内で約73℃に維持した1396.0gの精製水に攪拌しながらゆっくりと添加することにより調製した。HAは報告された重量平均分子量が約0.7MDaであった。HAは約30分後に完全に溶解した外観を有した。溶液を室温に冷却させた。溶液はコーン/プレート粘度が60rpmで8.7cPであった。
【0046】
分子量に対する維持温度の効果
例7A.0.26wt%のヒアルロン酸及び13wt%のNaClを含む高塩濃度ヒアルロン酸溶液を、例2に記載されるとおりに調製した。5.2gのHA及び260gのNaClのドライブレンドされた混合物を、ステンレス容器内で69℃に維持した1734.8gの熱蒸留水に攪拌しながらゆっくりと添加した。HAは約105分後に完全に溶解した外観を有し、その時点で、温度は66℃であった。溶液を約10分で約40℃に冷却し、そして約40℃に維持した。サンプルを0時間、1時間、2時間、3時間、4時間及び18時間で抜き取り、その間、溶液の温度は38℃(18時間)〜44℃(4時間)で変化した。水性GPCトリプル検知システムを用いて、各サンプルの重量平均分子量を決定した。また、コーン/プレート粘度決定を各サンプルで12rpmにて行った。GPC分子量データ及び粘度データの両方を表3に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
例7B.0.26wt%のヒアルロン酸及び13wt%のNaClを含む高塩濃度ヒアルロン酸溶液を、例2に記載されるとおりに調製した。5.2gのHA及び260gのNaClのドライブレンドされた混合物を、ステンレス容器内で67℃に維持した1734.8gの熱蒸留水に攪拌しながらゆっくりと添加した。HAは約115分後に完全に溶解した外観を有し、その時点で、温度は69℃であった。溶液を約10分で約50℃に冷却し、そして約50℃に維持した。サンプルを0時間、1時間、2時間、3時間、4時間及び18時間で抜き取り、その間、溶液の温度は46℃(18時間)〜54℃(3時間)で変化した。水性GPCトリプル検知システム(Integrated PL-GPC50、2x Waters Ultrahydrogel Linear, 7.8x300 mm)を用いて、各サンプルの重量平均分子量を決定した。また、コーン/プレート粘度決定を各サンプルで12rpmにて行った。GPC分子量データ及び粘度データの両方を表4に示す。
【0049】
【表4】

【0050】
例7C.0.26wt%のヒアルロン酸及び13wt%のNaClを含む高塩濃度ヒアルロン酸溶液を、例2に記載されるとおりに調製した。5.2gのHA及び260gのNaClのドライブレンドされた混合物を、ステンレス容器内で70℃に維持した1734.8gの熱蒸留水に攪拌しながらゆっくりと添加した。HAは約125分後に完全に溶解した外観を有し、その時点で、温度は67℃であった。溶液を約5分で約61℃に冷却し、そして約60℃に維持した。サンプルを0時間、1時間、2時間、3時間、4時間及び18時間で抜き取り、その間、溶液の温度は56℃(18時間)〜61℃(0時間)で変化した。水性GPCトリプル検知システムを用いて、各サンプルの重量平均分子量を決定した。また、コーン/プレート粘度決定を各サンプルで30rpmにて行った。GPC分子量データ及び粘度データの両方を表5に示す。
【0051】
【表5】

【0052】
例8A〜8C
第二のロットのヒアルロン酸を用い、そして維持温度が約50℃(8A)、55℃(8B)及び60℃(8C)であったことを除いては例7を繰り返した。分子量決定を表6に示す。
【0053】
【表6】

【0054】
例9
0.26wt%のヒアルロン酸及び13wt%のNaClを含む高塩濃度ヒアルロン酸溶液を調製した。5.2gのHA及び260gのNaClのドライブレンドされた混合物を、ステンレス容器内で約66℃に維持した1734.8gの熱蒸留水に攪拌しながら5分間にわたってゆっくりと添加した。HAは約107分後に完全に溶解した外観を有し、その時点で、温度は約70℃であった。溶液を約5分で約50℃に冷却し、そして約50℃に維持した。Vmax47mmディスクフィルタ(STW 0.2 Everlux(商標)0.45/0.22ミクロン)を、50℃の水で5分間、プレフラッシュした。加熱処理された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を27psiでフィルタをとおしてろ過した。ミリポア変換プログラムを用いて、ディスクろ過は777Lの溶液体積に対して約2.7個の10−インチフィルタカートリッジを要求する。
【0055】
例10
HA及びNaCl濃度を25%低減したことを除いては例9と同様の実験であった。0.195wt%のヒアルロン酸及び9.75wt%のNaClを含む高塩濃度ヒアルロン酸溶液を調製した。3.9gのHA及び195gのNaClのドライブレンドされた混合物を、ステンレス容器内で約69℃に維持した1801.1gの熱蒸留水に攪拌しながら5分間にわたってゆっくりと添加した。HAは約100分後に完全に溶解した外観を有し、その時点で、温度は約69℃であった。溶液を約7分で約51℃に冷却し、そして約51℃に維持した。Vmax47mmディスクフィルタ(STW 0.2 Everlux(商標)0.45/0.22ミクロン)を、50℃の水で5分間、プレフラッシュした。加熱処理された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を27psiでフィルタをとおしてろ過した。ミリポア変換プログラムを用いて、ディスクろ過は777Lの溶液体積に対して約2.6個の10−インチフィルタカートリッジを要求する。
【0056】
例11
HA及びNaCl濃度を50%低減したことを除いては例9と同様の実験であった。0.13wt%のヒアルロン酸及び6.5wt%のNaClを含む高塩濃度ヒアルロン酸溶液を調製した。2.6gのHA及び130gのNaClのドライブレンドされた混合物を、ステンレス容器内で約68℃に維持した1867.4gの熱蒸留水に攪拌しながら5分間にわたってゆっくりと添加した。HAは約97分後に完全に溶解した外観を有し、その時点で、温度は約69℃であった。溶液を約8分で約49℃に冷却し、そして約49℃に維持した。Vmax47mmディスクフィルタ(STW 0.2 Everlux(商標)0.45/0.22ミクロン)を、50℃の水で5分間、プレフラッシュした。加熱処理された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を27psiでフィルタをとおしてろ過した。ミリポア変換プログラムを用いて、ディスクろ過は777Lの溶液体積に対して約3.0個の10−インチフィルタカートリッジを要求する。
【0057】
1つの実施形態において、適切なフィルタ媒体を用いてヒアルロン酸水溶液を無菌化する方法を記載する。その方法は重量平均分子量が0.6MDa〜3.6MDaであるヒアルロン酸の水溶液を提供することを含む。溶液中のヒアルロン酸の濃度は0.04質量%〜0.8質量%である。また、ろ過効率を上げるために、水溶液は3質量%〜30質量%の塩化ナトリウムの水性濃度と等価のイオン強度を有する。塩の存在はヒアルロン酸溶液の溶液粘度を低減する。出願人は、ヒアルロン酸は比較的に高いイオン強度の溶液中でより強固にラッピングされており、バイオポリマーの旋回半径が低減されるものと信じる。高塩濃度ヒアルロン酸溶液は熱処理を受け、それがさらに溶液の粘度を低減する。したがって、高塩濃度ヒアルロン酸溶液を少なくとも1時間で6日以下の間40℃〜80℃の温度に維持する。その後、加熱処理された溶液を除菌フィルタ媒体をとおしてろ過する。フィルタ媒体は平均孔サイズが0.25μm以下であり、たとえば、0.22μmの孔サイズであり、除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を提供する。水の添加時のヒアルロン酸の溶解を促進するために(通常、ヒアルロン酸は微細乾燥粉末として市販されている)、ヒアルロン酸は好ましくはNaClなどの塩とドライブレンドされている。ドライブレンドされた塩/ヒアルロン酸混合物を、その後、適量の精製水中に攪拌しながらゆっくりと添加する。
【0058】
1つの実施形態において、高塩濃度ヒアルロン酸溶液の加熱処理は40℃〜70℃の温度に溶液を維持することを含むが、一般に、溶液を50℃〜70℃の温度に1時間〜12時間維持することを含む。また、維持温度が高いほど、短い維持時間が要求される。たとえば、高塩濃度ヒアルロン酸水溶液が55℃〜65℃の温度に維持されるならば、このような加熱処理下に少なくとも1時間で12時間以下の維持時間が推奨される。
【0059】
除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液は好ましくはヒアルロン酸の濃度が0.15質量%〜0.6質量%であり、好ましくは4質量%〜16質量%の塩化ナトリウムの水性濃度と等価のイオン強度を有する。
【0060】
記載したとおり、pHはヒアルロン酸ポリマーの加水分解の速度に役割を果たすことができ、加水分解は酸又は塩基の存在下で触媒されるものと信じられる。したがって、高塩濃度ヒアルロン酸溶液は、バイオポリマーの加水分解開裂、それによる時間経過に伴うヒアルロン酸の重量平均分子量の低下を制限するために、pH6.4〜7.2で最も良好に調製される。
【0061】
ある実施形態において、加熱処理されたフィルタ除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を、眼科用途に使用するものを含めた医薬製剤を調製するために、また、骨関節炎の治療において使用する。したがって、無菌ろ過された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を、ホウ酸及びホウ酸ナトリウムなどのバッファー成分を含む他の医薬製剤成分を含む事前無菌化された水溶液と混合することができる。眼科製剤の場合には、pHは6.4〜7.2に調節される。水性製剤を商業処理の少なくとも2つの別個の部分又は相に分けることにより、フィルタ除菌を要求する製剤の体積は有意に低減される。多くの場合には、無菌化された高塩濃度ヒアルロン酸溶液は、医薬製剤中で所望のヒアルロン酸の濃度を提供するように少なくとも10倍で希釈されうる。そのため、製剤の1/10未満の量がフィルタ除菌を必要とする。別の場合には、無菌化された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を少なくとも5倍に希釈することができる。医薬製剤中の残りの成分により、製剤の過半の体積部分は加熱滅菌、たとえば、オートクレーブ処理されてよく、又は、この部分はフィルタ除菌されてもよい(もちろん、製剤の過半体積は高効率でろ過されうるものと仮定する)。
【0062】
伝統的に、除菌フィルタ媒体は、107コロニー形成単位(CFU)/cmの最小濃度の試験生物ブレバンディ・ジミヌタ(Brevundimonas diminuta)(B. diminuta)で攻撃したときに、無菌エフルエントを生じるものである。フィルタ媒体は所与の高塩濃度ヒアルロン酸溶液のろ過流速(リットル/分)に役割を果たす。多くのフィルタ媒体は除菌フィルタに使用するのに利用可能である。そのフィルタ媒体としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリエーテルスルホン(PES)が挙げられる。フィルタ膜は、その後、カートリッジ中に組み込まれる。たとえばデュラポア(Durapore)(登録商標)疎水性膜カートリッジは最小差圧で無菌保証、高流速及び高スループットを提供する除菌グレードのフィルタである。そのカートリッジは小体積装置及び大体積装置の液体ろ過に使用される。デュラポア(Durapore)(登録商標)0.22μm疎水性ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜は、除菌用途において汚染物質及び微生物を確実に排除する。支持フィルタ構造(たとえば、ケージ、コア、エンドキャップ及びアダプタ)の構成材料は、通常、ポリプロピレン又はポリスルホンである。
【0063】
別の実施形態において、ヒアルロン酸を含む溶液の無菌化方法は高塩濃度ヒアルロン酸水溶液を調製することを含む。ヒアルロン酸は重量平均分子量が0.6MDa〜2.2MDaであり、そしてヒアルロン酸の濃度が0.08質量%〜0.5質量%である。ヒアルロン酸溶液は4%〜18%の塩化ナトリウムの水性濃度に等価のイオン強度を有する。溶液の比較的高いイオン強度は、1種以上のイオン性塩、たとえば、塩化ナトリウム又はホウ酸ナトリウムを添加することによって提供される。高塩濃度ヒアルロン酸溶液を、少なくとも1時間で18時間以下の間、50℃〜75℃の温度で加熱処理に付す。加熱処理された溶液を、その後、上記のとおりの除菌フィルタ媒体をとおしてろ過する。また、水中でのヒアルロン酸の溶解を促進するために、ヒアルロン酸は、好ましくは、塩、たとえば、NaClとドライブレンドされる。ドライブレンドされた塩/ヒアルロン酸混合物を、その後、ゆっくりと攪拌しながら水に添加する。
【0064】
別の実施形態において、高塩濃度ヒアルロン酸溶液は0.1質量%〜0.4質量%のヒアルロン酸及び8質量%〜16質量%の塩化ナトリウムを含む。その後、溶液を記載されたとおりに加熱処理に付す。また、維持温度が高いほど、短い維持時間が必要とされる。たとえば、高塩濃度ヒアルロン酸水溶液を55℃〜65℃の温度に維持するならば、少なくとも2時間で8時間以下の維持時間が推奨される。
【0065】
ヒアルロン酸を含む水溶液のために記載されるフィルタ除菌プロセスは、重量平均分子量が0.6MDa〜3.6MDaであるヒアルロン酸を0.04質量%〜0.8質量%の量で含む無菌化された水溶液を調製するために使用されうる。その水溶液は塩化ナトリウム4質量%〜18質量%の水性濃度に等価のイオン強度を有し、そして溶液はフィルタ除菌されている。
【0066】
1つの実施形態において、フィルタ除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液は1リットルの溶液中のヒアルロン酸1g毎に塩化ナトリウム約25g〜60gに等価のイオン強度を有するであろう。たとえば、0.1wt%のヒアルロン酸溶液は塩化ナトリウム約25g〜60gに等価のイオン強度を含むであろう。同様に、0.2wt%のヒアルロン酸溶液は塩化ナトリウム約50g〜120gに等価のイオン強度を含むであろう。0.3wt%のヒアルロン酸溶液は塩化ナトリウム約75g〜180gに等価のイオン強度を含むであろう。
【0067】
別の実施形態において、記載される無菌ろ過方法は商業規模製造バッチ量のコンタクトレンズケア溶液を調製するために使用されうる。その方法は、最終製剤がコンタクトレンズケア溶液に適した成分をも含んでいることを除いて上述したものと同様であろう。ヒアルロン酸に関してこれらの成分の幾つかは無菌ろ過により適するが、他の成分は加熱滅菌できそうである。5,000L〜40,000Lの最終総溶液体積の製造バッチを調製することができる。
【0068】
また、高塩濃度ヒアルロン酸水溶液を調製することから始めることができる。ヒアルロン酸は重量平均分子量が0.6MDa〜3.6MDaであり、そしてヒアルロン酸の濃度が0.04質量%〜0.8質量%であろう。ヒアルロン酸溶液は3%〜30%の塩化ナトリウムの水性濃度に等価のイオン強度を有するであろう。溶液の比較的高いイオン強度は、1種以上のイオン性塩、たとえば、塩化ナトリウム又はホウ酸ナトリウムを添加することによって提供される。高塩濃度ヒアルロン酸溶液を、55℃〜75℃の温度で少なくとも1時間で12時間以下の間、加熱処理する。加熱処理された溶液を、その後、上記のとおりの除菌フィルタ媒体をとおしてろ過する。
【0069】
除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を、その後、バッファー成分、1種以上の界面活性剤、1種以上のキレート化剤及び1種以上の抗菌性成分などのコンタクトレンズケア溶液の残りの成分のほとんど又はすべてを含むことができる第二の水溶液と混合する。また、2つの水溶液を混合することにより、除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液は少なくとも5倍又は、ある場合には、少なくとも10倍に希釈される。
【0070】
記載したとおり、レンズケア溶液は第四級アンモニウム化合物(小分子を含む)及びポリマーならびに低分子量及び高分子量ビグアニドから選ばれる1種以上の抗菌性成分をも含むであろう。たとえば、ビグアニドとしては、アレキシジン、クロルヘキシジン、ヘキサメチレンビグアニド及びそれらのポリマーの遊離塩基又は塩ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい実施形態において、レンズケア溶液としては、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)(PHMB又はPAPB)として知られているポリマービグアニドが挙げられ、それはCosmocil(商標)CQでZeneca, Wilmington, DEから市販されている。 PHMBはレンズケア溶液中に0.2ppm〜5ppm又は0.5ppm〜2ppmで存在する。
【0071】
より一般的な第四級アンモニウム化合物の一つは、α-[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウムクロリド−2−ブテニル]ポリ[1−ジメチルアンモニウムクロリド−2−ブテニル]−ω−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリドであり、それはポリクオタニウム-1とも当該技術分野において呼ばれている。第四級アンモニウム化合物は、一般に、「ポリクオタニウム」消毒剤と当該技術分野で呼ばれており、ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-10又はポリクオタニウム-42などの指定に従う特定の番号で識別される。ポリクオタニウム-1は0.5ppm〜3ppmでレンズケア溶液中に存在する。興味深いことに、溶液中のポリクオタニウム-1の濃度を3ppmを超える濃度に増加しようとすると、沈殿物が形成することになる。沈殿物はヒアルロン酸とポリクオタニウム-1の錯体生成物であると信じられる。
【0072】
2つの抗菌性成分のより好ましい組み合わせの一つとしては、0.5ppm〜1.5ppmの濃度のPHMBと0.5ppm〜1.5ppmの濃度のポリクオタニウム-1との混合物が挙げられる。このような製剤中で、ヒアルロン酸は、0.002wt%〜0.04wt%で存在する。
【0073】
コンタクトレンズケア溶液は、0.01wt%〜1wt%の一般式Iの両性界面活性剤を含むことができる。一般式Iの特定のスルホベタインは他のものよりも好ましい。たとえば、スルホベタイン3-10(Rは10個の炭素を含む直鎖飽和アルキルであり、R及びRはそれぞれメチルであり、Rは−CHCHCH−(3個の炭素)である)である。眼科組成物において使用することができる他のベタインとしては、対応するスルホベタイン3-08(Rは8個の炭素を含む直鎖飽和アルキルである)、スルホベタイン3−12(Rは12個の炭素を含む直鎖飽和アルキルである)、スルホベタイン3−14(Rは14個の炭素を含む直鎖飽和アルキルである)及びスルホベタイン3−16(Rは16個の炭素を含む直鎖飽和アルキルである)が挙げられる。したがって、より好ましい特定の眼科組成物としては、一般式I(RはC〜C16アルキルであり、R及びRはメチルであり、そしてRは−CHCHCH−である)のスルホベタインが挙げられる。
【0074】
【化1】

【0075】
コンタクトレンズケア溶液中に含まれることができる他の成分は2008年9月3日に出願された同時係属出願の米国特許出願第12/203,384号に記載されている。
【0076】
1つの実施形態において、一般式Iのスルホベタイン、PHMB及びポリクオタニウム−1の水溶液を調製し、高塩濃度ヒアルロン酸溶液を処理するために使用されるフィルタ媒体と同様の除菌フィルタをとおして通過させる。その後、各フィルタ除菌された溶液を共通の混合タンクに添加する。
【0077】
例12
コンタクトレンズの多目的洗浄及び消毒液の商業規模の製造バッチを、4つの別個の相(水溶液)として用意し、主要混合タンクにおいて混合する。
相I.
攪拌機を装備した適切なサイズの316ステンレススチールのジャケット付き圧力容器に、最大攪拌を達成するために十分な精製水を添加する。相Iの水の体積は総バッチ体積の約60〜96%とすべきである。水を70℃以上の水温とし及び/又はその温度に維持するための水を加熱する。攪拌を開始し、バッチの全体の処理にわたって攪拌を維持する。記載の順序で、以下のバッチ量でエデト酸二ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム及びポロキサミン1107を添加しそして溶解させる。ポロキサミン1107の完全な溶解を確保するために、20分以上、溶液を混合する。溶液サンプルを抜き出し、そしてpHを決定する。必要ならば、1N NaOH又は1N HClによりpHを7.3〜7.7に調整する。プロセス及び文書化要件について、加圧下でのスチームによる溶液滅菌の一般手順を参照し、確証サイクルを用いて、反応器をシールし、相I溶液を121℃〜124℃で30〜45分間、加熱滅菌する。滅菌時間の完了時に、相I溶液を40℃未満に冷却する。
【0078】
相II.
相IIは、精製水、0.26wt%ヒアルロン酸及び13wt%塩化ナトリウムの水性混合物である。バッチ量のヒアルロン酸と塩化ナトリウムを混合しそしてドライブレンドする。適量の水を混合しながら、ゆっくりと混合タンクにNaCl/ヒアルロン酸のドライブレンド混合物を注ぐ。NaCl/ヒアルロン酸溶液を65〜75℃の温度範囲に維持しながら、ヒアルロン酸が完全に溶解するまで混合する。懸濁したヒアルロン酸を視覚的に検査するために、必要に応じてミキサーを遅くして、溶液を視覚的に検査する。
ヒアルロン酸が完全に溶解したら、溶液を50〜55℃に冷却する。無菌化されたミリポアCVGLフィルタをとおしてNaCl/ヒアルロン酸溶液をろ過し、相Iコンパウンディングタンクに入れる。差圧は30psiを超えるべきでない。
【0079】
相III
攪拌機を備えた適切な圧力容器に、40℃未満の温度の、合計バッチ質量の0.50%〜4.95%の精製水及びバッチ量のスルホベタイン粉末を添加し、0.05wt%〜10.0wt%の溶液を製造する。溶液を最低で20分間混合する。無菌0.22μmミリポアフィルタ(相IIの輸送に使用されるものとは異なるフィルタアセンブリ)をとおしてスルホベタイン溶液を無菌ろ過し、相I溶液中に入れる。相I溶液を10分以上の時間混合する。
【0080】
相IV
攪拌機を備えた適切な圧力容器に、合計バッチ質量の0.078〜1.98%の冷たい(40℃未満)の水及びバッチ量のポリ(ヘキサメチレンビグアニド)及びポリクオタニウム-1を添加し、0.03〜1.00%溶液を製造する。溶液を最低で10分間混合する。無菌ミリポア0.22μmフィルタをとおしてPHMB/PQ−1溶液を無菌ろ過し、相I溶液中に入れる。
【0081】
例13
コンタクトレンズ再湿潤点眼製剤は以下のように調製される。
3.0wt%のホウ酸NF、2.1wt%のNaCl USP、0.7wt%のKCl USP及び0.5wt%のヒアルロン酸溶液(約0.8MDaの平均分子量)を含む高塩濃度ヒアルロン酸塩水溶液を調製する。HA及びNaClのドライブレンドした混合物を攪拌しながらステンレス容器中で約68℃に維持された熱蒸留水に5分かけてゆっくりと添加する。HAは約100分後に完全に溶解した外観を有する。約8分で溶液を約55℃に冷却し、約55℃に3時間以上維持した。KCl及びホウ酸を、冷却後の熱処理済みHA溶液に添加し、そして溶液を10分間攪拌する。55℃の温度で、PVDF0.22μmフィルタ媒体をとおして溶液を通過させることによって溶液を無菌ろ過する。別個に、1.75wt%のホウ酸ナトリウム十水和物、0.03wt%の塩化カルシウム無水物USP、0.03wt%の塩化マグネシウム六水和物及び0.025wt%の安定化オキシクロリド錯体(purite)を含む第二の無菌化された溶液を調製する。この第二の塩溶液は従来の加熱滅菌処理を用いて無菌化することができる。あるいは、この溶液は、HA溶液を調製するのに使用されるのと同一のフィルタを用いて除菌ろ過することができる。第二の塩溶液の無菌化の後に、第二の溶液を、加熱処理された高塩濃度ヒアルロネート溶液と、4:1の体積比で混合する。コンタクトレンズ再湿潤点眼製剤として使用することができる最終的眼科製剤を表7に提供する。
【0082】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が0.6MDa〜3.6MDaであるヒアルロン酸の水溶液であって、該ヒアルロン酸の濃度が0.04質量%〜0.8質量%である水溶液を提供すること、ここで、前記水溶液は高塩濃度ヒアルロン酸溶液を提供するようにイオン強度が2質量%〜30質量%の塩化ナトリウムの水性濃度と等価である、
前記高塩濃度ヒアルロン酸水溶液を、少なくとも1時間で6日間以下の間、40℃〜80℃の温度に維持すること、及び、
加熱された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を除菌フィルタ媒体をとおしてろ過すること、ここで、前記フィルタ媒体は平均孔サイズが0.25μm以下であり、除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を提供する、
を含む、溶液の無菌化方法。
【請求項2】
前記ヒアルロン酸は重量平均分子量が0.8MDa〜2.2MDaである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ヒアルロン酸の濃度は0.1質量%〜0.5質量%である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記高塩濃度ヒアルロン酸溶液を提供する工程は適切な乾燥質量の塩とヒアルロン酸とを合わせそして混合して、前記塩とヒアルロン酸とのドライブレンドを形成し、そして該ドライブレンドを適量の精製水に添加することを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記精製水は40℃〜70℃の温度に予熱されている、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記高塩濃度ヒアルロン酸水溶液を水性高塩濃度に維持する工程は少なくとも1時間で12時間以下の間、50℃〜65℃の温度に維持することを含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を、バッファー成分を含む水溶液と混合し、pHを6.4〜7.2に調節することをさらに含み、そしてその2つの水溶液を混合することにより、除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液は少なくとも10倍に希釈される、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記バッファー成分はホウ酸及びホウ酸ナトリウムを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液はpHが6.4〜7.2である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液はヒアルロン酸の濃度が0.15質量%〜0.6質量%であり、そして塩化ナトリウムが4質量%〜16質量%である、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記除菌フィルタ媒体はポリフッ化ビニリデンフィルタ媒体カートリッジである、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液を、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムからなる群より選ばれるバッファー成分を含む水溶液と混合し、pHを6.4〜7.2に調節することをさらに含み、そしてその2つの水溶液を混合することにより、除菌された高塩濃度ヒアルロン酸溶液は少なくとも5倍に希釈される、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
混合された水溶液は防腐有効量で安定化塩素をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
混合された水溶液は0.5ppm〜2.0ppmで存在するポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、又は、0.5ppm〜3ppmで存在するα−[4−トリス(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウムクロリド−2−ブテニル]ポリ[1−ジメチルアンモニウムクロリド−2−ブテニル]−ω−トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリドをさらに含む、請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
重量平均分子量が0.6MDa〜3.6MDaであるヒアルロン酸を0.04質量%〜0.8質量%の量で含み、イオン強度が4質量%〜18質量%の塩化ナトリウムである塩化ナトリウム水性濃度と等価であり、フィルタ除菌されている、無菌化水溶液。
【請求項16】
0.1質量%〜0.4質量%のヒアルロン酸を含み、そして8質量%〜16質量%の塩化ナトリウムを含む、請求項15記載の水溶液。
【請求項17】
前記ヒアルロン酸は重量平均分子量が0.8MDa〜2.2MDaである、請求項15又は16記載の水溶液。

【図1】
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【公表番号】特表2013−518926(P2013−518926A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552893(P2012−552893)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2011/022656
【国際公開番号】WO2011/100114
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】