無電極放電灯点灯装置および照明器具
【課題】間欠調光時の高周波電圧の不連続性に起因する雑音を低減することができ、しかも点灯期間と消灯期間の時間比率に左右されることなく安定した雑音低減効果を得ることができる無電極放電灯および照明器具を提供することにある。
【解決手段】無電極放電灯点灯装置は、直流電源部3と、直流電源部の出力電圧を高周波電圧に変換して誘導コイル1に印加する高周波電源部4と、無電極放電灯100の点灯期間と消灯期間との所定期間内における時間比率を変更することで無電極放電灯100の調光制御を行う制御部5とを有し、制御部5は、調光制御を行うにあたっては、点灯期間の始期に高周波電圧の周波数が点灯期間の目標値になるように連続的に変化させるとともに、終期に高周波電圧の周波数が消灯期間の目標値になるように連続的に変化させ、かつ高周波電圧の周波数の変化幅が時間比率に関係なく一定になるように高周波電源部4を制御する。
【解決手段】無電極放電灯点灯装置は、直流電源部3と、直流電源部の出力電圧を高周波電圧に変換して誘導コイル1に印加する高周波電源部4と、無電極放電灯100の点灯期間と消灯期間との所定期間内における時間比率を変更することで無電極放電灯100の調光制御を行う制御部5とを有し、制御部5は、調光制御を行うにあたっては、点灯期間の始期に高周波電圧の周波数が点灯期間の目標値になるように連続的に変化させるとともに、終期に高周波電圧の周波数が消灯期間の目標値になるように連続的に変化させ、かつ高周波電圧の周波数の変化幅が時間比率に関係なく一定になるように高周波電源部4を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電極放電灯点灯装置および照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、放電ガスが封入されたバルブ(気密容器)を有する無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置が種々提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示す無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯に近接して配置され高周波電圧が印加されることにより高周波電磁界を発生して無電極放電灯の放電ガスを励起させる誘導コイルと、誘導コイルに高周波電圧を印加する点灯回路部とを備える。
【0004】
点灯回路部は、電源から供給された電力を元に直流電圧を出力する直流電源部と、直流電源部の出力電圧を高周波電圧Vcoilに変換して誘導コイルに印加する高周波電源部と、高周波電源部を制御する制御部とを備える。
【0005】
制御部は、無電極放電灯を点灯させる点灯制御を行う点灯期間と無電極放電灯を消灯させる消灯制御を行う消灯期間との所定期間内における時間比率を変更することで無電極放電灯の調光制御(いわゆる間欠調光制御)を行う。ここで、制御部は、点灯制御では、高周波電圧Vcoilの周波数fを無電極放電灯が点灯する値f1(図12参照)に設定する。一方、制御部は、消灯制御では、高周波電圧Vcoilの周波数fを無電極放電灯が消灯する(点灯状態を維持できない)値f2(図12参照)に設定する。
【0006】
また、制御部は、点灯期間において、高周波電圧Vcoilの周波数fをf2からf1に向けて徐々に低下させる。そして、制御部は、周波数fがf1になると逆に、周波数fを徐々に向けて上昇させる。これによって、点灯期間と消灯期間との切り替え時における周波数fの急激な変化を防止する。
【0007】
このような従来の制御部の動作について図12,図13を参照して説明する。各図において(a)は高周波電圧Vcoilの時間変化を示し、(b)は高周波電圧Vcoilの周波数fの時間変化を示す。なお、図示を簡略化するため、高周波電圧Vcoilについては包絡線で示している。
【0008】
図12は、調光が浅い(点灯期間が消灯期間に比べて長い)場合を示している。図12に示す例では、時刻t71〜t74間が点灯期間と消灯期間の一周期であり、時刻t71〜t73間が点灯期間、時刻t73〜t74間が消灯期間である。
【0009】
この場合、周波数fは図12(b)に示すように変化する。すなわち、時刻t71以前、周波数fはf2であり、時刻t71以後徐々に低くなって時刻t72においてf1になる。そして、時刻t72以後、周波数fはf1より徐々に高くなって時刻t73においてf2になる。その後、周波数fは、時刻t74まではf2に維持される。時刻t74以後、周波数fは、徐々に低くなって時刻t75においてf1になる。そして、時刻t75以後、周波数fはf1から徐々に高くなって時刻t76においてf2になる。以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0010】
図12(b)に示すように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図12(a)に示すように変化し、点灯期間において無電極放電灯が点灯し、消灯期間において無電極放電灯が消灯する。
【0011】
図13は、調光が深い(点灯期間が消灯期間に比べて短い)場合を示している。図13に示す例では、時刻t81〜t84間が点灯期間と消灯期間の一周期であり、時刻t81〜t83間が点灯期間、時刻t83〜t84間が消灯期間である。
【0012】
この場合、周波数fは図13(b)に示すように変化する。すなわち、時刻t81以前、周波数fはf2であり、時刻t81以後徐々に低くなって時刻t82においてf1になる。そして、時刻t82以後、周波数fはf1より徐々に高くなって時刻t83に点灯期間が終了するから、周波数fは、f3(ただし、f1<f3<f2)からf2まで上昇する。その後、周波数fは、消灯期間が終了する時刻t84までf2に維持される。時刻t84以後、周波数fは、徐々に低くなって時刻t85においてf1になり、時刻t85以後、徐々に高くなって時刻t86においてf3になるとf2まで上昇する。以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0013】
図13(b)に示すように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図13(a)に示すように変化し、点灯期間において無電極放電灯が点灯し、消灯期間において無電極放電灯が消灯する。この場合は、図12に示す例に比べて点灯期間が短いから、無電極放電灯の明るさが暗くなる。
【特許文献1】特開2004−247201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の無電極放電灯点灯装置では、点灯期間が開始されると、高周波電圧Vcoilの周波数fがf2からf1に徐々に低下し、f1になると逆に徐々に上昇する。そのため、点灯期間と消灯期間との切り替え時における周波数fの急激な変化が防止される。よって、間欠調光時の高周波電圧Vcoilの不連続性に起因する雑音を低減することができる。
【0015】
しかしながら、上記の無電極放電灯点灯装置では、時間比率によって高周波電圧Vcoilの周波数fの変化幅が変わってしまう。例えば、図12に示す場合には、周波数fの変化幅がf1〜f2であるのに対して、図13に示す場合には、周波数fの変化幅がf1〜f3になり、狭くなってしまう。ここで、周波数fの変化幅は広範囲であればあるほど雑音を低減することができるので、変化幅が狭くなると、雑音低減効果が悪くなる。そのため、上記の無電極放電灯点灯装置では、時間比率によって、雑音低減効果が左右され、安定した性能が得られないという問題がある。
【0016】
また、上記の無電極放電灯では、図12に示すように、時刻t72で周波数fがf1になった後は徐々に周波数が上昇するため、消灯期間の開始時刻が時刻t73付近であれば点灯期間が短くなることによる消費電力の減少は小さい。しかし、消灯期間の開始時刻が時刻t72付近であれば点灯期間が短くなることによる消費電力の減少が大きくなる。そのため時間比率と高周波電源部の消費電力とが単純な比例関係を有しておらず、消費電力の制御が難しいという問題がある。
【0017】
さらに、上記の無電極放電灯では、図14(b)に示すように、消灯期間は周波数fがf2であるが、点灯期間が開始する時刻t91から徐々に低下し時刻t92においてf1になった後に、徐々に上昇して時刻t94においてf2に復帰する。ここで、時刻t92〜t94では、図14(a)に示すように、高周波電圧Vcoilが徐々に低下するため、無電極放電灯が立ち消えてしまうおそれがある(時刻t93)。無電極放電灯が立ち消えたとしても、時刻t95〜t96にかけて周波数fが低下して、高周波電圧Vcoilが上昇するから、再度点灯する。しかし、時刻t96〜t98では高周波電圧Vcoilが徐々に低下するため、無電極放電灯が再度立ち消えてしまうことがある。
【0018】
このように無電極放電灯が立ち消えてしまうと、その間は電力消費が小さくなる。そのため、必ずしも時間比率と消費電力とが対応関係にあるとはいえず、消費電力を把握することが難しい。
【0019】
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、間欠調光時の高周波電圧の不連続性に起因する雑音を低減することができ、しかも点灯期間と消灯期間の時間比率に左右されることなく安定した雑音低減効果を得ることができる無電極放電灯および照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の課題を解決するために、請求項1の発明では、無電極放電灯に近接して配置され高周波電圧が印加されることにより高周波電磁界を発生して無電極放電灯の放電ガスを励起させる誘導コイルと、誘導コイルに高周波電圧を印加する点灯回路部とを備え、点灯回路部は、電源から供給された電力を元に直流電圧を出力する直流電源部と、直流電源部の出力電圧を高周波電圧に変換して誘導コイルに印加する高周波電源部と、高周波電圧の周波数を無電極放電灯が点灯する値に設定する点灯制御を行う点灯期間と高周波電圧の周波数を無電極放電灯が消灯する値に設定する消灯制御を行う消灯期間との所定期間内における時間比率を変更することで無電極放電灯の調光制御を行う制御部とを有し、制御部は、上記調光制御を行うにあたっては、上記点灯期間と上記消灯期間との少なくとも一方の期間において、その始期に高周波電圧の周波数を一方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、または終期に高周波電圧の周波数を他方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、あるいはそれら両方の処理を行い、かつ高周波電圧の周波数の変化幅が上記時間比率に関係なく一定になるように高周波電源部を制御することを特徴とする。
【0021】
請求項1の発明によれば、点灯期間と消灯期間との少なくとも一方の期間において高周波電圧の周波数を他方の期間の周波数の目標値に近付くように連続的に変化させるから、間欠調光時の高周波電圧の不連続性に起因する雑音を低減することができる。その上、高周波電圧の周波数の変化幅が時間比率に関係なく一定であるから、周波数が一定である場合に比べれば雑音低減効果を向上することができ、しかも時間比率によって雑音低減効果が変動することがないので、安定して高い雑音低減効果を得ることができる。
【0022】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記制御部は、上記点灯制御では、高周波電圧の周波数を第1の周波数から当該第1の周波数より高い第2の周波数まで上記点灯期間をかけて線形的に上昇させ、上記消灯制御では、高周波電圧の周波数を上記消灯期間中所定値に維持することを特徴とする。
【0023】
請求項2の発明によれば、点灯期間をかけて高周波電圧の周波数を第1の周波数から当該第1の周波数より高い第2の周波数まで線形的に上昇させるので、時間比率と高周波電源部の消費電力とが比例関係を有するようになるから、消費電力の制御が容易になる。
【0024】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、上記制御部は、上記時間比率が上記点灯期間を100%とするものである場合、高周波電圧の周波数を上記第1の周波数から上記第2の周波数まで上記所定期間をかけて線形的に上昇させることを特徴とする。
【0025】
請求項3の発明によれば、点灯期間が100%になるように時間比率を設定することによって、フル点灯を行うことができるから、時間比率を設定する回路をフル点灯用の回路に兼用できる。そのため、部品点数を少なくすることができて、小型化、低コスト化が図れる。また、この場合においても周波数が第1の周波数から第2の周波数まで変化するので、周波数を一定にしてフル点灯を行う場合に比べれば、周波数の変化幅が広くなるから、雑音低減効果を向上することができる。
【0026】
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、当該無電極放電灯点灯装置により点灯される無電極放電灯が装着される器具本体とを備えていることを特徴とする。
【0027】
請求項4の発明によれば、間欠調光時の高周波電圧の不連続性に起因する雑音を低減することができ、しかも点灯期間と消灯期間の時間比率に左右されることなく安定した雑音低減効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、間欠調光時の高周波電圧の不連続性に起因する雑音を低減することができ、しかも点灯期間と消灯期間の時間比率に左右されることなく安定した雑音低減効果を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(実施形態1)
本実施形態の無電極放電灯装置は、図1に示すように、商用交流電源ACを電源とするものであって、無電極放電灯100に近接して配置され高周波電圧Vcoilが印加されることにより高周波電磁界を発生して無電極放電灯100の放電ガスを励起させる誘導コイル1と、誘導コイル1に高周波電圧を印加する点灯回路部2とを備える。
【0030】
点灯回路部2は、商用交流電源ACから供給された電力を元に直流電圧Vdcを出力する直流電源部3と、直流電源部3より出力される直流電圧(出力電圧)Vdcを高周波電圧Vcoilに変換して誘導コイル1に印加する高周波電源部4と、高周波電源部4を制御する制御部5とを備える。
【0031】
直流電源部3は、商用交流電源ACを整流する整流器よりなる整流回路DBを備える。整流回路DBは、例えばダイオードブリッジよりなり、商用交流電源ACを全波整流して出力する。また、直流電源部3は、インダクタL1と、スイッチング素子Q1と、逆流阻止用のダイオードD1と、平滑用コンデンサC1と、出力制御部CPとからなる昇圧チョッパ回路を備える。インダクタL1は、一端が整流回路DBの高電位側の出力端に接続され、他端がダイオードD1のアノードに接続される。スイッチング素子Q1は、インダクタL1の他端と整流回路DBの低電位側の出力端(以下、グラウンドと称する)との間に挿入される。平滑用コンデンサC1は、ダイオードD1のカソードと上記グラウンドとの間に挿入される。出力制御部31aは、マイクロコンピュータ(マイクロコントローラ、略称としてマイコン、広義にはCPUとも称される)を主構成要素とし、直流電源部3の出力電圧(平滑用コンデンサC1の両端子間の電圧)Vdcが所定電圧(高周波電源部4の動作に必要な駆動電圧)以上になるようにスイッチング素子Q1をオン・オフ制御する。
【0032】
高周波電源部4は、直流電源部3の出力端間(平滑用コンデンサC1の両端子間)に直列に接続されたFETよりなる2つのスイッチング素子Q2、Q3を有する。また、高周波電源部4は、スイッチング素子Q3に並列接続されたインダクタL2およびコンデンサC2の直列回路よりなる共振回路と、インダクタL2とコンデンサC2との接続点に一端が接続された直流カット用のコンデンサC3とを有する。誘導コイル1は、コンデンサC3の他端と上記グラウンドとの間に挿入される。
【0033】
制御部5は、高周波電源部4のスイッチング素子Q2,Q3をオン・オフ制御する周波数制御部50を有する。周波数制御部50は、例えばマイコンを主構成要素とし、ロウサイド側のスイッチング素子Q3のゲートに接続されるLout端子およびソースに接続されるL−GND端子と、ハイサイド側のスイッチング素子Q2のゲートに接続されるHout端子およびソースに接続されるH−GND端子とを有する。この周波数制御部50は、各スイッチング素子Q2、Q3に対して略180°の位相差がある駆動信号をそれぞれ出力することによってスイッチング素子Q2、Q3を高周波で交互にオン・オフ制御して、誘導コイル1に高周波電圧Vcoilを印加する。
【0034】
また、周波数制御部50は、入力端子を有し、当該入力端子の電位に応じて高周波電圧Vcoilの周波数fを設定する。この入力端子には、定電圧源(図示せず)により所定の電圧が与えられているが、当該電圧は、シンク電流Ivpに応じて変化する。すなわち、周波数制御部50の入力端子にはシンク電流Ivpに応じた電圧が入力され、周波数制御部50は、入力端子の電圧が低くなればなるほど高周波電圧Vcoilの周波数fを高く設定する。このように周波数制御部50は、入力端子の電圧に応じて、高周波電圧Vcoilの周波数fを調整する。
【0035】
制御部5は、無電極放電灯100を点灯させる期間(点灯期間)と、消灯させる期間(消灯期間)との所定期間内における時間比率を変更する、いわゆる時分割調光制御方式(間欠制御方式)により無電極放電灯100の調光制御を行う。
【0036】
ここで、点灯期間とは、制御部5が、高周波電圧Vcoilの周波数fを無電極放電灯100が点灯可能な値f1に設定する制御(点灯制御)を行う期間である。また、消灯期間とは、制御部5が、高周波電圧Vcoilの周波数fを無電極放電灯100が消灯する(無電極放電灯100の点灯状態を維持することができない)値f2に設定する制御(消灯制御)を行う期間である。すなわち、点灯期間における周波数fの目標値はf1であり、消灯期間における周波数fの目標値はf2である。ここで、周波数制御部50は、入力端子の電圧に応じて高周波電圧Vcoilの周波数fを調整するから、点灯期間と消灯期間とは、シンク電流Ivpの大きさによって切り替わることになる。
【0037】
また、時間比率とは、上記所定期間において点灯期間が締める割合をいう。したがって、時間比率が50%であれば、上記所定期間の50%が点灯期間であり、残りの50%が消灯期間になる。また、時間比率が25%であれば、上記所定期間の25%が点灯期間であり、残りの75%が消灯期間になる。
【0038】
本実施形態における制御部5は、点灯期間と消灯期間との所定期間内における時間比率を変更する手段として、PWM発信回路51と、シフト回路52と、遅延回路53とで構成される調光回路を備える。当該調光回路では、PMW発振回路51より出力されるPWM信号のデューティ比(PWM信号がハイレベルである期間とロウレベルである期間との比)に応じて点灯期間と消灯期間との時間比率が決定される。
【0039】
PWM発振回路51は、例えば、可変抵抗器(図示せず)などを備え、当該可変抵抗器で設定された抵抗値に応じたデューティ比のPWM信号を出力する。PWM発振回路51より出力されたPWM信号はシフト回路52に入力され、シフト回路52によって高電圧側にシフトされた後に遅延回路53に入力される。
【0040】
遅延回路53は、オペアンプOPを有する。オペアンプOPの出力端子と反転入力端子との間には抵抗R1が挿入され、また反転入力端子と上記グラウンドとの間には抵抗R2が挿入される。このオペアンプOPと抵抗R1,R2によって非反転増幅回路が構成される。なお、当該非反転増幅回路の増幅率は抵抗R1,R2の値により所望の値に設定される。オペアンプOPの出力端子は、抵抗R3を介して周波数制御部50の入力端子に電気的に接続され、抵抗R3と周波数制御部50の入力端子との間には、ダイオードD2がカソードを抵抗R3に接続する形で挿入されている。したがって、シンク電流Ivpの大きさ(すなわち周波数制御部50の入力端子の電圧)は、オペアンプOPの出力電圧によって決定される。
【0041】
一方、オペアンプOPの非反転入力端子は、抵抗R4およびダイオードD3を介してシフト回路52の出力端子に接続されている。ダイオードD3はアノードがシフト回路52の出力端子に接続されている。この抵抗R4とダイオードD3の直列回路には、抵抗R5とダイオードD4の直列回路が並列接続され、ここで、ダイオードD4の向きはダイオードD3とは逆向きである(ダイオードD4はカソードがシフト回路52に接続されている)。また、オペアンプOPの非反転入力端子と上記グラウンドとの間にはコンデンサC4が挿入されている。このコンデンサC4と抵抗R4とによって、PWM信号の立ち上がり時(ロウレベルからハイレベルへの変化時)の遅延回路が構成され、また、コンデンサC4と抵抗R5とによって、PWM信号の立ち下がり時(ハイレベルからロウレベルへの変化時)の遅延回路が構成される。そのため、オペアンプOPの非反転入力端子の電位は、PWM信号の立ち上がりと立ち下がりのいずれにおいても、急峻に変化せず、緩やかに変化することになる(どの程度緩やかになるかは、各遅延回路の時定数による)。特に、抵抗R5を大きくすればするほど、周波数fが上昇する領域(周波数fがf1からf2まで変化するためにかかる時間)が増え、よりスペクトルが拡散し、より大きな雑音低減効果を得ることができる。一方、抵抗R4を大きくしすぎると、高周波電圧Vcoilの立ち上がりが緩やかになりすぎて、再点弧性能が悪くなるので、適切な大きさに設定することが好ましい。
【0042】
このような遅延回路53では、PWM信号の立ち上がり時と立ち下がり時の両方で、オペアンプOPの出力電圧が緩やかに変化するため、シンク電流Ivpの大きさも緩やかに変化する。その結果、制御部5は、調光制御を行うにあたっては、点灯期間の始期において、高周波電圧Vcoilの周波数fを点灯期間の目標値f1に近付くように連続的に変化させる処理を実行することになる。また、制御部5は、点灯期間の終期において、高周波電圧Vcoilの周波数fを消灯期間の目標値f2に近付くように連続的に変化させる処理を実行することになる。
【0043】
次に、制御部5の動作について図2〜図4を参照して説明する。各図において(a)は高周波電圧Vcoilの時間変化を示し、(b)は高周波電圧Vcoilの周波数fの時間変化を示す。なお、図示を簡略化するため、高周波電圧Vcoilについては包絡線で示している。
【0044】
図2は、時間比率が50%(オン・デューティが50%)である場合を示している。図2に示す例では、時刻t11〜t14間が点灯期間Ton、時刻t14〜t15間が消灯期間Toff、時刻t11〜t15間が点灯期間Tonと消灯期間Toffの一周期(所定期間)Tである。また、期間Tsは、周波数fがf1になっている期間である。
【0045】
この場合、周波数fは図2(b)に示すように変化する。すなわち、消灯期間Toffである間(時刻t11以前)、周波数fはf2である。点灯期間Tonに入ると(時刻t11)、周波数fは徐々に低くなって時刻t12においてf1になる。そして、時刻t13以後、周波数fはf1より徐々に高くなって時刻t14においてf2になる。
【0046】
このように周波数fは、点灯期間Tonの始期(時刻t11〜t12)において、点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化し、点灯期間Tonの終期(時刻t13〜t14)において消灯期間Toffの目標値f2に近付くように連続的に変化する。
【0047】
その後の消灯期間Toffの間、周波数fはf2であるが、点灯期間Tonに入ると(時刻t15)、徐々に低くなって時刻t16においてf1になる。そして、時刻t17以後、徐々に高くなって時刻t18においてf2になり、以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0048】
図2(b)に示すように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図2(a)に示すように変化し、点灯期間Tonにおいて無電極放電灯100が点灯し、消灯期間Toffにおいて無電極放電灯100が消灯する。ただし、実際には、無電極放電灯100は、時刻t11〜t12間で消灯から点灯に切り替わり、時刻t13〜t14間で点灯から消灯に切り替わるため、事実上の点灯時間は点灯期間Tonより短くなる。この点は図3,4に示す例でも同様である。
【0049】
図3は、時間比率が25%である場合を示している。図3に示す例では、時刻t21〜t23間が点灯期間Ton、時刻t23〜t24間が消灯期間Toff、時刻t21〜t24が一周期Tである。
【0050】
この場合、周波数fは図3(b)に示すように変化する。すなわち、消灯期間Toffである間(時刻t21以前)、周波数fはf2である。点灯期間Tonに入ると(時刻t21)、周波数fは徐々に低くなって時刻t22においてf1になり、その直後に徐々に高くなって時刻t23においてf2になる。
【0051】
このように周波数fは、点灯期間Tonの始期(時刻t21〜t22)において、点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化し、点灯期間Tonの終期(時刻t22〜t23)において消灯期間Toffの目標値f2に近付くように連続的に変化する。
【0052】
その後、消灯期間Toffの間、周波数fはf2であり、点灯期間Tonに入ると(時刻t24)、徐々に低くなって時刻t25においてf1になり、その直後に徐々に高くなって時刻t26においてf2になる。以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0053】
図3(b)に示すように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図3(a)に示すように変化し、点灯期間Tonにおいて無電極放電灯100が点灯し、消灯期間Toffにおいて無電極放電灯100が消灯する。この場合は、時間比率が25%であり、時間比率が50%であるときに比べて点灯期間Tonが短いから、無電極放電灯100の明るさが暗くなる。
【0054】
図4は、時間比率が75%である場合を示している。図4に示す例では、時刻t31〜t34間が点灯期間Ton、時刻t34〜t35間が消灯期間Toff、時刻t31〜t35間が一周期Tである。また、期間Tsは、周波数fがf1になっている期間である。
【0055】
この場合、周波数fは図4(b)に示すように変化する。すなわち、消灯期間Toffである間(時刻t31以前)、周波数fはf2である。点灯期間Tonに入ると(時刻t31)、周波数fは徐々に低くなって時刻t32においてf1になる。そして、時刻t33以後、周波数fはf1より徐々に高くなって時刻t34においてf2になる。
【0056】
このように周波数fは、点灯期間Tonの始期(時刻t31〜t32)において、点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化し、点灯期間Tonの終期(時刻t33〜t34)において消灯期間Toffの目標値f2に近付くように連続的に変化する。
【0057】
その後の消灯期間Toffの間、周波数fはf2であるが、点灯期間Tonに入ると(時刻t35)、徐々に低くなって時刻t36においてf1になる。そして、時刻t37以後、徐々に高くなって時刻t38においてf2になり、以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0058】
図4(b)に示すように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図4(a)に示すように変化し、点灯期間Tonにおいて無電極放電灯100が点灯し、消灯期間Toffにおいて無電極放電灯100が消灯する。この場合は、時間比率が75%であり、時間比率が50%であるときに比べて点灯期間Tonが長いから、無電極放電灯100の明るさが明るくなる。
【0059】
以上述べたように、本実施形態の無電極放電灯点灯装置では、制御部5は、調光制御を行うにあたっては、点灯期間Tonの始期において、高周波電圧Vcoilの周波数fを点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化させる。また、点灯期間Tonの終期において、高周波電圧Vcoilの周波数fを消灯期間Toffの目標値f2に近付くように連続的に変化させる。そのため、間欠調光時の高周波電圧Vcoilの不連続性に起因する雑音を低減することができる。
【0060】
また、図2〜図4に示すように、高周波電圧Vcoilの周波数fの変化幅は、いずれのデューティ比においてもf1〜f2であるから、時間比率に関係なく一定である。そのため、周波数が一定である場合に比べれば、雑音低減効果を向上することができ、しかも、時間比率によって雑音低減効果が変動することがないから、時間比率によらずに高い雑音低減効果を得ることができる。さらに、図2〜図4に示すように、時間比率が変化した場合には、点灯期間において、周波数fがf1である期間Tsが延長あるいは短縮されるので、時間比率と高周波電源部4の消費電力とがおおむね比例するようになるから、消費電力の制御が容易になる。
【0061】
ところで、本実施形態の無電極放電灯点灯装置に使用する無電極放電灯100としては、例えば図5に示すものが挙げられる。
【0062】
図5に示す無電極放電灯100は、放電ガスおよび水銀が封入されたバルブ110と、バルブ110の基端部(図5における下端部)111側に設けられバルブ110をカプラ80に固定する口金120とを備えている。
【0063】
バルブ110は、透光性材料(図5に示す例では石英ガラス)により中空の球形状(図示例では電球形状)に形成された気密容器である。なお、バルブ110は硬質ガラスにより形成されていてもよい。
【0064】
バルブ110の頂(先端)部(図5における上端部)には突起部112が一体に形成される。突起部112は、中空の円錐形状に形成されたものであって、バルブ110の表面側(外面側)において円錐形状の凸部を構成するとともに、バルブ110の裏面側(内面側)において円錐形状の凹部を構成している。突起部112は無電極放電灯100の点灯方向をBUとした場合に最冷部となる。
【0065】
バルブ110の基端部111の中央部にはカプラ80の先部が内部に配置される円柱状の空洞部(キャビティ)113が凹設されている。この空洞部113の底部には、空洞部113の開口部側(すなわち口金120側)に向けて円筒状の排気管114が一体に突設されている。排気管114の内部とバルブ110の内部とは連通している。この排気管114の長さ寸法は、排気管114の先端部(図5における下端部)が、空洞部113より外方に突出するような値に設定されている。
【0066】
バルブ110の内部には、アルゴンやクリプトンなどの希ガスなどの放電ガスが封入されている。また、バルブ110の内面全面には、バルブ110内部で発生した紫外線を可視光に変換するための蛍光体層115が形成されている。本例では、バルブ110を石英ガラスにより形成しているため、石英ガラスと水銀との反応を抑えるための保護膜116を蛍光体層115とバルブ110の内面との間に介在させている。また、図5では、蛍光体層115と保護膜116の一部のみを図示している。
【0067】
排気管114の内部には、バルブ110の内部に水銀を供給する(水銀を蒸発させ、必要な水銀蒸気圧を確保する)ための水銀供給部117が封入される。水銀供給部117は、円柱状のガラスロッド118と、排気管114に形成された突出部119との間に配置され、これによって水銀供給部117が排気管114内を移動しないようにしている。
【0068】
水銀供給部117としては、Zn−Hg(亜鉛−水銀)アマルガムを、鉄−ニッケル合金製の金属容器内に収納したものが用いられる。また、Zn−Hgアマルガムの代わりに、ビスマス−インジウム−水銀アマルガムを用いてもよい。
【0069】
口金120は、合成樹脂を用いて両端が開口した円筒状に形成されている。バルブ110は、基端側を口金120の一端開口(図5における上端開口)から口金120の内部に挿入した形で、口金120に固定されている。また、口金120は、カプラ80に固定できるように構成されており、口金120をカプラ80に固定した際には、カプラ80の先部がバルブ110の空洞部113内に位置するようになっている。
【0070】
一方、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、図6に示すように、無電極放電灯100に装着されるカプラ60を備える。誘導コイル1はカプラ60に設けられており、点灯回路部2は金属製のケース61に収納される。また、誘導コイル1と点灯回路部2とは電線62で接続される。
【0071】
そして、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、図7(a)に示すような照明器具に備えられる。図7(a)に示す照明器具は、いわゆる防犯灯であって、無電極放電灯100が装着される器具本体70を備える。器具本体70は、一面(下面)が開口されており、電柱などのポールに取り付けられる。この器具本体70には、器具本体70の下面開口を覆う透光パネル71が取り付けられ、また器具本体70の内部には、無電極放電灯100から放射された光を下方に反射する反射板72が設けられる。無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯100とともに器具本体70の内部に収納される(図7(a)ではカプラ60、ケース61、および電線62の図示を省略している)。
【0072】
また、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、図7(b)に示す照明器具にも採用することができる。図7(b)に示す照明器具は、例えば街路灯として使用されるものであり、器具本体70は、深皿状に形成されている。この器具本体70には上面を覆う透光パネル71が取り付けられ、また内部には、無電極放電灯100から放射された光を上方に反射する反射板72が設けられる。無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯100とともに器具本体70の内部に収納される(図7(b)ではカプラ60、ケース61、および電線62の図示を省略している)。
【0073】
このような図7(a)および図7(b)に示す照明器具によれば、本実施形態の無電極放電灯点灯装置を備えているので、間欠調光時の高周波電圧Vcoilの不連続性に起因する雑音を低減することができ、しかも点灯期間と消灯期間の時間比率に左右されることなく安定した雑音低減効果を得ることができる。
【0074】
以上述べた本実施形態の無電極放電灯点灯装置の構成はあくまでも本発明の一実施形態であって、本発明の技術的範囲を上記の例に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない程度に変更することができる。特に、点灯回路部2の各部の回路構成は、あくまでも一例であって、上述の例に限定されず、同様の動作を行う回路構成に置き換えることができる。この点は、後述する実施形態2においても同様である。
【0075】
例えば、本実施形態の無電極放電灯点灯装置では、点灯期間Tonの始期において高周波電圧Vcoilの周波数fを点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化させる処理を行っているが、消灯期間Toffの終期において周波数fを点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化させる処理を行ってもよい。また、本実施形態の無電極放電灯点灯装置では、点灯期間Tonの終期において周波数fを消灯期間Toffの目標値f2に近付くように連続的に変化させる処理を行っているが、消灯期間Toffの始期において周波数fを消灯期間Tonの目標値f2に近付くように連続的に変化させる処理を行ってもよい。また、点灯期間Tonと消灯期間Toffのいずれにおいても周波数fを上述のように変化させてもよい。また、本実施形態の無電極放電灯点灯装置では、点灯期間Tonの始期と終期の両方で周波数fを変化させているが、始期と終期のいずれか一方でのみ周波数を変化させるようにしてもよい。要するに、制御部5は、調光制御を行うにあたっては、点灯期間Tonと消灯期間Toffとの少なくとも一方の期間において、その始期に高周波電圧Vcoilの周波数fを一方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、または終期に周波数fを他方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、あるいはそれら両方の処理を行うものであればよい。
【0076】
(実施形態2)
本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、図8に示すように、制御部5の構成が実施形態1と異なっており、その他の構成については実施形態1と同様である。よって、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
本実施形態における制御部5は、実施形態1と同様に、周波数制御部50と、PWM発振回路51とを備えるが、シフト回路52および遅延回路53の代わりに、波形制御部54を備えている点で実施形態1と異なる。なお、周波数制御部50およびPWM発振回路51の説明は省略する。
【0078】
波形制御部54は、例えばマイコンを主構成要素としており、メモリに格納されたプログラムをマイコンで実行することによって下記の制御を実行する。
【0079】
波形制御部54は、入力されたPWM信号のデューティ比に応じて、周波数制御部50の入力端子の電圧を制御することで、点灯期間における高周波電圧Vcoilの波形(包絡線の波形)が時間軸に対して伸縮されるように周波数fを調整する。
【0080】
具体的には、波形制御部54は、PWM信号が入力されると、そのデューティ比に基づいて、点灯期間および消灯期間の時間比率を設定する。そして、波形制御部54は、点灯期間においては、高周波電圧Vcoilの周波数fが第1の周波数f1aから当該第1の周波数f1aより高い第2の周波数f1bまで上記点灯期間をかけて線形的に上昇されるように周波数制御部50を制御する。そのため、点灯期間における周波数fの傾きは、f1bからf1aを引いた値を点灯期間の長さで除した値になる。一方、波形制御部54は、消灯期間においては、高周波電圧Vcoilの周波数fが上記消灯期間中所定値f2に維持されるように、周波数制御部50を制御する。さらに、波形制御部54は、時間比率が100%である場合、次のように周波数制御部50を制御する。すなわち、波形制御部54は、高周波電圧Vcoilの周波数fが第1の周波数f1aから第2の周波数f1bまで上記所定期間をかけて線形的に上昇されるように、周波数制御部50を制御する。
【0081】
次に、本実施形態における制御部5の動作について図9〜図11を参照して説明する。各図において(a)は高周波電圧Vcoilの時間変化を示し、(b)は高周波電圧Vcoilの周波数fの時間変化を示す。なお、図示を簡略化するため、高周波電圧Vcoilについては包絡線で示している。
【0082】
図9は、時間比率が50%である場合を示している。図9に示す例では、時刻t41〜t42間が点灯期間Ton、時刻t42〜t43間が消灯期間Toff、時刻t41〜t43間が点灯期間Tonと消灯期間Toffの一周期(所定期間)Tである。
【0083】
この場合、周波数fは図9(b)に示すように変化する。すなわち、周波数fは、時刻t41においてf2からf1aに低下する。その後、周波数fは、時刻t41から時刻t42にかけてf1aからf1bまで線形的に上昇し、f1bになるとf2まで上昇する。
その後、消灯期間Toffに入ると、周波数fはf2に維持される。そして、時刻t43において、周波数fは、f2からf1aに低下した後、時刻t43から時刻t44にかけてf1aからf1bまで線形的に上昇し、f1bになるとf2まで上昇する。以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0084】
このように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図9(a)に示すように変化し、オン期間Tonにおいて無電極放電灯100が点灯し、オフ期間Toffにおいて無電極放電灯100が消灯する。
【0085】
図10は、時間比率が75%である場合を示している。図10に示す例では、時刻t51〜t52間が点灯期間Ton、時刻t52〜t53間が消灯期間Toff、時刻t51〜t53間が一周期Tである。
【0086】
この場合、周波数fは図10(b)に示すように変化する。すなわち、周波数fは、時刻t51においてf2からf1aに低下する。その後、周波数fは、時刻t51から時刻t52にかけてf1aからf1bまで線形的に上昇し、f1bになるとf2まで上昇する。
その後、消灯期間Toffに入ると、周波数fはf2に維持される。そして、時刻t53において、周波数fは、f2からf1aに低下した後、時刻t53から時刻t54にかけてf1aからf1bまで線形的に上昇し、f1bになるとf2まで上昇する。以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0087】
このように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図10(a)に示すように変化し、オン期間Tonにおいて無電極放電灯100が点灯し、オフ期間Toffにおいて無電極放電灯100が消灯する。この場合は、時間比率が50%であるときに比べて点灯期間Tonが長いから、無電極放電灯100の明るさが明るくなる。そして、このときの点灯期間における高周波電圧Vcoilの波形(包絡線の波形)は、時間比率が50%であるときの波形を時間軸に対して1.5倍伸したような形になる。
【0088】
図11は、時間比率が100%である場合を示している。図11に示す例では、時刻t61〜t62間が点灯期間Tonであり、一周期Tでもある。
【0089】
この場合、周波数fは図11(b)に示すように変化する。すなわち、周波数fは、時刻t61においてf1bからf1aに低下した後、時刻t61から時刻t62にかけてf1aからf1bまで線形的に上昇する。そして、時刻t62において、周波数fは、f1bからf1aに低下し、以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0090】
このように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図11(a)に示すように変化し、無電極放電灯100は常時点灯する(すなわちフル点灯する)。この場合は点灯期間Tonが最長になるから、無電極放電灯100の明るさが最も明るくなる。そして、このときの点灯期間における高周波電圧Vcoilの波形(包絡線の波形)は、時間比率が50%であるときの波形を時間軸に対して2倍したような形になる。
【0091】
このように本実施形態における制御部5は、点灯制御では、高周波電圧Vcoilの周波数fを第1の周波数f1aから当該第1の周波数f1aより高い第2の周波数f1bまで点灯期間Tonをかけて線形的に上昇させ、消灯制御では、高周波電圧Vcoilの周波数fを消灯期間Toff中、所定値f2に維持する。そのため、時間比率と高周波電源部4の消費電力とが比例関係を有するようになるから、消費電力の制御が容易になる。
【0092】
また、制御部5は、時間比率が100%である場合、高周波電圧Vcoilの周波数fを第1の周波数f1aから第2の周波数f1bまで所定期間(PWM信号の一周期T)をかけて線形的に上昇させる。
【0093】
したがって、点灯期間が100%になるように時間比率を設定することによって、フル点灯を行うことができる。そのため、時間比率を設定する回路(すなわちPWM発振回路51および波形制御部54)をフル点灯用の回路に兼用できるから、部品点数を少なくすることができて、小型化、低コスト化が図れる。また、この場合においても周波数fが第1の周波数f1aから第2の周波数f1bまで変化するので、周波数fを一定にしてフル点灯を行う場合に比べれば、周波数fの変化幅が広くなるから、雑音低減効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施形態1の無電極放電灯点灯装置の回路説明図である。
【図2】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図3】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図4】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図5】同上の無電極放電灯点灯装置に使用する無電極放電灯の概略説明図である。
【図6】同上の無電極放電灯点灯装置の外観図である。
【図7】同上の無電極放電灯点灯装置を用いた照明器具の概略断面図である。
【図8】実施形態2の無電極放電灯点灯装置の回路説明図である。
【図9】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図10】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図11】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図12】従来の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図13】従来の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図14】従来の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【符号の説明】
【0095】
1 誘導コイル
2 点灯回路部
3 直流電源部
4 高周波電源部
5 制御部
70 器具本体
100 無電極放電灯
AC 商用交流電源(電源)
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電極放電灯点灯装置および照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、放電ガスが封入されたバルブ(気密容器)を有する無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置が種々提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示す無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯に近接して配置され高周波電圧が印加されることにより高周波電磁界を発生して無電極放電灯の放電ガスを励起させる誘導コイルと、誘導コイルに高周波電圧を印加する点灯回路部とを備える。
【0004】
点灯回路部は、電源から供給された電力を元に直流電圧を出力する直流電源部と、直流電源部の出力電圧を高周波電圧Vcoilに変換して誘導コイルに印加する高周波電源部と、高周波電源部を制御する制御部とを備える。
【0005】
制御部は、無電極放電灯を点灯させる点灯制御を行う点灯期間と無電極放電灯を消灯させる消灯制御を行う消灯期間との所定期間内における時間比率を変更することで無電極放電灯の調光制御(いわゆる間欠調光制御)を行う。ここで、制御部は、点灯制御では、高周波電圧Vcoilの周波数fを無電極放電灯が点灯する値f1(図12参照)に設定する。一方、制御部は、消灯制御では、高周波電圧Vcoilの周波数fを無電極放電灯が消灯する(点灯状態を維持できない)値f2(図12参照)に設定する。
【0006】
また、制御部は、点灯期間において、高周波電圧Vcoilの周波数fをf2からf1に向けて徐々に低下させる。そして、制御部は、周波数fがf1になると逆に、周波数fを徐々に向けて上昇させる。これによって、点灯期間と消灯期間との切り替え時における周波数fの急激な変化を防止する。
【0007】
このような従来の制御部の動作について図12,図13を参照して説明する。各図において(a)は高周波電圧Vcoilの時間変化を示し、(b)は高周波電圧Vcoilの周波数fの時間変化を示す。なお、図示を簡略化するため、高周波電圧Vcoilについては包絡線で示している。
【0008】
図12は、調光が浅い(点灯期間が消灯期間に比べて長い)場合を示している。図12に示す例では、時刻t71〜t74間が点灯期間と消灯期間の一周期であり、時刻t71〜t73間が点灯期間、時刻t73〜t74間が消灯期間である。
【0009】
この場合、周波数fは図12(b)に示すように変化する。すなわち、時刻t71以前、周波数fはf2であり、時刻t71以後徐々に低くなって時刻t72においてf1になる。そして、時刻t72以後、周波数fはf1より徐々に高くなって時刻t73においてf2になる。その後、周波数fは、時刻t74まではf2に維持される。時刻t74以後、周波数fは、徐々に低くなって時刻t75においてf1になる。そして、時刻t75以後、周波数fはf1から徐々に高くなって時刻t76においてf2になる。以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0010】
図12(b)に示すように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図12(a)に示すように変化し、点灯期間において無電極放電灯が点灯し、消灯期間において無電極放電灯が消灯する。
【0011】
図13は、調光が深い(点灯期間が消灯期間に比べて短い)場合を示している。図13に示す例では、時刻t81〜t84間が点灯期間と消灯期間の一周期であり、時刻t81〜t83間が点灯期間、時刻t83〜t84間が消灯期間である。
【0012】
この場合、周波数fは図13(b)に示すように変化する。すなわち、時刻t81以前、周波数fはf2であり、時刻t81以後徐々に低くなって時刻t82においてf1になる。そして、時刻t82以後、周波数fはf1より徐々に高くなって時刻t83に点灯期間が終了するから、周波数fは、f3(ただし、f1<f3<f2)からf2まで上昇する。その後、周波数fは、消灯期間が終了する時刻t84までf2に維持される。時刻t84以後、周波数fは、徐々に低くなって時刻t85においてf1になり、時刻t85以後、徐々に高くなって時刻t86においてf3になるとf2まで上昇する。以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0013】
図13(b)に示すように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図13(a)に示すように変化し、点灯期間において無電極放電灯が点灯し、消灯期間において無電極放電灯が消灯する。この場合は、図12に示す例に比べて点灯期間が短いから、無電極放電灯の明るさが暗くなる。
【特許文献1】特開2004−247201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の無電極放電灯点灯装置では、点灯期間が開始されると、高周波電圧Vcoilの周波数fがf2からf1に徐々に低下し、f1になると逆に徐々に上昇する。そのため、点灯期間と消灯期間との切り替え時における周波数fの急激な変化が防止される。よって、間欠調光時の高周波電圧Vcoilの不連続性に起因する雑音を低減することができる。
【0015】
しかしながら、上記の無電極放電灯点灯装置では、時間比率によって高周波電圧Vcoilの周波数fの変化幅が変わってしまう。例えば、図12に示す場合には、周波数fの変化幅がf1〜f2であるのに対して、図13に示す場合には、周波数fの変化幅がf1〜f3になり、狭くなってしまう。ここで、周波数fの変化幅は広範囲であればあるほど雑音を低減することができるので、変化幅が狭くなると、雑音低減効果が悪くなる。そのため、上記の無電極放電灯点灯装置では、時間比率によって、雑音低減効果が左右され、安定した性能が得られないという問題がある。
【0016】
また、上記の無電極放電灯では、図12に示すように、時刻t72で周波数fがf1になった後は徐々に周波数が上昇するため、消灯期間の開始時刻が時刻t73付近であれば点灯期間が短くなることによる消費電力の減少は小さい。しかし、消灯期間の開始時刻が時刻t72付近であれば点灯期間が短くなることによる消費電力の減少が大きくなる。そのため時間比率と高周波電源部の消費電力とが単純な比例関係を有しておらず、消費電力の制御が難しいという問題がある。
【0017】
さらに、上記の無電極放電灯では、図14(b)に示すように、消灯期間は周波数fがf2であるが、点灯期間が開始する時刻t91から徐々に低下し時刻t92においてf1になった後に、徐々に上昇して時刻t94においてf2に復帰する。ここで、時刻t92〜t94では、図14(a)に示すように、高周波電圧Vcoilが徐々に低下するため、無電極放電灯が立ち消えてしまうおそれがある(時刻t93)。無電極放電灯が立ち消えたとしても、時刻t95〜t96にかけて周波数fが低下して、高周波電圧Vcoilが上昇するから、再度点灯する。しかし、時刻t96〜t98では高周波電圧Vcoilが徐々に低下するため、無電極放電灯が再度立ち消えてしまうことがある。
【0018】
このように無電極放電灯が立ち消えてしまうと、その間は電力消費が小さくなる。そのため、必ずしも時間比率と消費電力とが対応関係にあるとはいえず、消費電力を把握することが難しい。
【0019】
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、間欠調光時の高周波電圧の不連続性に起因する雑音を低減することができ、しかも点灯期間と消灯期間の時間比率に左右されることなく安定した雑音低減効果を得ることができる無電極放電灯および照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の課題を解決するために、請求項1の発明では、無電極放電灯に近接して配置され高周波電圧が印加されることにより高周波電磁界を発生して無電極放電灯の放電ガスを励起させる誘導コイルと、誘導コイルに高周波電圧を印加する点灯回路部とを備え、点灯回路部は、電源から供給された電力を元に直流電圧を出力する直流電源部と、直流電源部の出力電圧を高周波電圧に変換して誘導コイルに印加する高周波電源部と、高周波電圧の周波数を無電極放電灯が点灯する値に設定する点灯制御を行う点灯期間と高周波電圧の周波数を無電極放電灯が消灯する値に設定する消灯制御を行う消灯期間との所定期間内における時間比率を変更することで無電極放電灯の調光制御を行う制御部とを有し、制御部は、上記調光制御を行うにあたっては、上記点灯期間と上記消灯期間との少なくとも一方の期間において、その始期に高周波電圧の周波数を一方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、または終期に高周波電圧の周波数を他方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、あるいはそれら両方の処理を行い、かつ高周波電圧の周波数の変化幅が上記時間比率に関係なく一定になるように高周波電源部を制御することを特徴とする。
【0021】
請求項1の発明によれば、点灯期間と消灯期間との少なくとも一方の期間において高周波電圧の周波数を他方の期間の周波数の目標値に近付くように連続的に変化させるから、間欠調光時の高周波電圧の不連続性に起因する雑音を低減することができる。その上、高周波電圧の周波数の変化幅が時間比率に関係なく一定であるから、周波数が一定である場合に比べれば雑音低減効果を向上することができ、しかも時間比率によって雑音低減効果が変動することがないので、安定して高い雑音低減効果を得ることができる。
【0022】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記制御部は、上記点灯制御では、高周波電圧の周波数を第1の周波数から当該第1の周波数より高い第2の周波数まで上記点灯期間をかけて線形的に上昇させ、上記消灯制御では、高周波電圧の周波数を上記消灯期間中所定値に維持することを特徴とする。
【0023】
請求項2の発明によれば、点灯期間をかけて高周波電圧の周波数を第1の周波数から当該第1の周波数より高い第2の周波数まで線形的に上昇させるので、時間比率と高周波電源部の消費電力とが比例関係を有するようになるから、消費電力の制御が容易になる。
【0024】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、上記制御部は、上記時間比率が上記点灯期間を100%とするものである場合、高周波電圧の周波数を上記第1の周波数から上記第2の周波数まで上記所定期間をかけて線形的に上昇させることを特徴とする。
【0025】
請求項3の発明によれば、点灯期間が100%になるように時間比率を設定することによって、フル点灯を行うことができるから、時間比率を設定する回路をフル点灯用の回路に兼用できる。そのため、部品点数を少なくすることができて、小型化、低コスト化が図れる。また、この場合においても周波数が第1の周波数から第2の周波数まで変化するので、周波数を一定にしてフル点灯を行う場合に比べれば、周波数の変化幅が広くなるから、雑音低減効果を向上することができる。
【0026】
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、当該無電極放電灯点灯装置により点灯される無電極放電灯が装着される器具本体とを備えていることを特徴とする。
【0027】
請求項4の発明によれば、間欠調光時の高周波電圧の不連続性に起因する雑音を低減することができ、しかも点灯期間と消灯期間の時間比率に左右されることなく安定した雑音低減効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、間欠調光時の高周波電圧の不連続性に起因する雑音を低減することができ、しかも点灯期間と消灯期間の時間比率に左右されることなく安定した雑音低減効果を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(実施形態1)
本実施形態の無電極放電灯装置は、図1に示すように、商用交流電源ACを電源とするものであって、無電極放電灯100に近接して配置され高周波電圧Vcoilが印加されることにより高周波電磁界を発生して無電極放電灯100の放電ガスを励起させる誘導コイル1と、誘導コイル1に高周波電圧を印加する点灯回路部2とを備える。
【0030】
点灯回路部2は、商用交流電源ACから供給された電力を元に直流電圧Vdcを出力する直流電源部3と、直流電源部3より出力される直流電圧(出力電圧)Vdcを高周波電圧Vcoilに変換して誘導コイル1に印加する高周波電源部4と、高周波電源部4を制御する制御部5とを備える。
【0031】
直流電源部3は、商用交流電源ACを整流する整流器よりなる整流回路DBを備える。整流回路DBは、例えばダイオードブリッジよりなり、商用交流電源ACを全波整流して出力する。また、直流電源部3は、インダクタL1と、スイッチング素子Q1と、逆流阻止用のダイオードD1と、平滑用コンデンサC1と、出力制御部CPとからなる昇圧チョッパ回路を備える。インダクタL1は、一端が整流回路DBの高電位側の出力端に接続され、他端がダイオードD1のアノードに接続される。スイッチング素子Q1は、インダクタL1の他端と整流回路DBの低電位側の出力端(以下、グラウンドと称する)との間に挿入される。平滑用コンデンサC1は、ダイオードD1のカソードと上記グラウンドとの間に挿入される。出力制御部31aは、マイクロコンピュータ(マイクロコントローラ、略称としてマイコン、広義にはCPUとも称される)を主構成要素とし、直流電源部3の出力電圧(平滑用コンデンサC1の両端子間の電圧)Vdcが所定電圧(高周波電源部4の動作に必要な駆動電圧)以上になるようにスイッチング素子Q1をオン・オフ制御する。
【0032】
高周波電源部4は、直流電源部3の出力端間(平滑用コンデンサC1の両端子間)に直列に接続されたFETよりなる2つのスイッチング素子Q2、Q3を有する。また、高周波電源部4は、スイッチング素子Q3に並列接続されたインダクタL2およびコンデンサC2の直列回路よりなる共振回路と、インダクタL2とコンデンサC2との接続点に一端が接続された直流カット用のコンデンサC3とを有する。誘導コイル1は、コンデンサC3の他端と上記グラウンドとの間に挿入される。
【0033】
制御部5は、高周波電源部4のスイッチング素子Q2,Q3をオン・オフ制御する周波数制御部50を有する。周波数制御部50は、例えばマイコンを主構成要素とし、ロウサイド側のスイッチング素子Q3のゲートに接続されるLout端子およびソースに接続されるL−GND端子と、ハイサイド側のスイッチング素子Q2のゲートに接続されるHout端子およびソースに接続されるH−GND端子とを有する。この周波数制御部50は、各スイッチング素子Q2、Q3に対して略180°の位相差がある駆動信号をそれぞれ出力することによってスイッチング素子Q2、Q3を高周波で交互にオン・オフ制御して、誘導コイル1に高周波電圧Vcoilを印加する。
【0034】
また、周波数制御部50は、入力端子を有し、当該入力端子の電位に応じて高周波電圧Vcoilの周波数fを設定する。この入力端子には、定電圧源(図示せず)により所定の電圧が与えられているが、当該電圧は、シンク電流Ivpに応じて変化する。すなわち、周波数制御部50の入力端子にはシンク電流Ivpに応じた電圧が入力され、周波数制御部50は、入力端子の電圧が低くなればなるほど高周波電圧Vcoilの周波数fを高く設定する。このように周波数制御部50は、入力端子の電圧に応じて、高周波電圧Vcoilの周波数fを調整する。
【0035】
制御部5は、無電極放電灯100を点灯させる期間(点灯期間)と、消灯させる期間(消灯期間)との所定期間内における時間比率を変更する、いわゆる時分割調光制御方式(間欠制御方式)により無電極放電灯100の調光制御を行う。
【0036】
ここで、点灯期間とは、制御部5が、高周波電圧Vcoilの周波数fを無電極放電灯100が点灯可能な値f1に設定する制御(点灯制御)を行う期間である。また、消灯期間とは、制御部5が、高周波電圧Vcoilの周波数fを無電極放電灯100が消灯する(無電極放電灯100の点灯状態を維持することができない)値f2に設定する制御(消灯制御)を行う期間である。すなわち、点灯期間における周波数fの目標値はf1であり、消灯期間における周波数fの目標値はf2である。ここで、周波数制御部50は、入力端子の電圧に応じて高周波電圧Vcoilの周波数fを調整するから、点灯期間と消灯期間とは、シンク電流Ivpの大きさによって切り替わることになる。
【0037】
また、時間比率とは、上記所定期間において点灯期間が締める割合をいう。したがって、時間比率が50%であれば、上記所定期間の50%が点灯期間であり、残りの50%が消灯期間になる。また、時間比率が25%であれば、上記所定期間の25%が点灯期間であり、残りの75%が消灯期間になる。
【0038】
本実施形態における制御部5は、点灯期間と消灯期間との所定期間内における時間比率を変更する手段として、PWM発信回路51と、シフト回路52と、遅延回路53とで構成される調光回路を備える。当該調光回路では、PMW発振回路51より出力されるPWM信号のデューティ比(PWM信号がハイレベルである期間とロウレベルである期間との比)に応じて点灯期間と消灯期間との時間比率が決定される。
【0039】
PWM発振回路51は、例えば、可変抵抗器(図示せず)などを備え、当該可変抵抗器で設定された抵抗値に応じたデューティ比のPWM信号を出力する。PWM発振回路51より出力されたPWM信号はシフト回路52に入力され、シフト回路52によって高電圧側にシフトされた後に遅延回路53に入力される。
【0040】
遅延回路53は、オペアンプOPを有する。オペアンプOPの出力端子と反転入力端子との間には抵抗R1が挿入され、また反転入力端子と上記グラウンドとの間には抵抗R2が挿入される。このオペアンプOPと抵抗R1,R2によって非反転増幅回路が構成される。なお、当該非反転増幅回路の増幅率は抵抗R1,R2の値により所望の値に設定される。オペアンプOPの出力端子は、抵抗R3を介して周波数制御部50の入力端子に電気的に接続され、抵抗R3と周波数制御部50の入力端子との間には、ダイオードD2がカソードを抵抗R3に接続する形で挿入されている。したがって、シンク電流Ivpの大きさ(すなわち周波数制御部50の入力端子の電圧)は、オペアンプOPの出力電圧によって決定される。
【0041】
一方、オペアンプOPの非反転入力端子は、抵抗R4およびダイオードD3を介してシフト回路52の出力端子に接続されている。ダイオードD3はアノードがシフト回路52の出力端子に接続されている。この抵抗R4とダイオードD3の直列回路には、抵抗R5とダイオードD4の直列回路が並列接続され、ここで、ダイオードD4の向きはダイオードD3とは逆向きである(ダイオードD4はカソードがシフト回路52に接続されている)。また、オペアンプOPの非反転入力端子と上記グラウンドとの間にはコンデンサC4が挿入されている。このコンデンサC4と抵抗R4とによって、PWM信号の立ち上がり時(ロウレベルからハイレベルへの変化時)の遅延回路が構成され、また、コンデンサC4と抵抗R5とによって、PWM信号の立ち下がり時(ハイレベルからロウレベルへの変化時)の遅延回路が構成される。そのため、オペアンプOPの非反転入力端子の電位は、PWM信号の立ち上がりと立ち下がりのいずれにおいても、急峻に変化せず、緩やかに変化することになる(どの程度緩やかになるかは、各遅延回路の時定数による)。特に、抵抗R5を大きくすればするほど、周波数fが上昇する領域(周波数fがf1からf2まで変化するためにかかる時間)が増え、よりスペクトルが拡散し、より大きな雑音低減効果を得ることができる。一方、抵抗R4を大きくしすぎると、高周波電圧Vcoilの立ち上がりが緩やかになりすぎて、再点弧性能が悪くなるので、適切な大きさに設定することが好ましい。
【0042】
このような遅延回路53では、PWM信号の立ち上がり時と立ち下がり時の両方で、オペアンプOPの出力電圧が緩やかに変化するため、シンク電流Ivpの大きさも緩やかに変化する。その結果、制御部5は、調光制御を行うにあたっては、点灯期間の始期において、高周波電圧Vcoilの周波数fを点灯期間の目標値f1に近付くように連続的に変化させる処理を実行することになる。また、制御部5は、点灯期間の終期において、高周波電圧Vcoilの周波数fを消灯期間の目標値f2に近付くように連続的に変化させる処理を実行することになる。
【0043】
次に、制御部5の動作について図2〜図4を参照して説明する。各図において(a)は高周波電圧Vcoilの時間変化を示し、(b)は高周波電圧Vcoilの周波数fの時間変化を示す。なお、図示を簡略化するため、高周波電圧Vcoilについては包絡線で示している。
【0044】
図2は、時間比率が50%(オン・デューティが50%)である場合を示している。図2に示す例では、時刻t11〜t14間が点灯期間Ton、時刻t14〜t15間が消灯期間Toff、時刻t11〜t15間が点灯期間Tonと消灯期間Toffの一周期(所定期間)Tである。また、期間Tsは、周波数fがf1になっている期間である。
【0045】
この場合、周波数fは図2(b)に示すように変化する。すなわち、消灯期間Toffである間(時刻t11以前)、周波数fはf2である。点灯期間Tonに入ると(時刻t11)、周波数fは徐々に低くなって時刻t12においてf1になる。そして、時刻t13以後、周波数fはf1より徐々に高くなって時刻t14においてf2になる。
【0046】
このように周波数fは、点灯期間Tonの始期(時刻t11〜t12)において、点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化し、点灯期間Tonの終期(時刻t13〜t14)において消灯期間Toffの目標値f2に近付くように連続的に変化する。
【0047】
その後の消灯期間Toffの間、周波数fはf2であるが、点灯期間Tonに入ると(時刻t15)、徐々に低くなって時刻t16においてf1になる。そして、時刻t17以後、徐々に高くなって時刻t18においてf2になり、以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0048】
図2(b)に示すように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図2(a)に示すように変化し、点灯期間Tonにおいて無電極放電灯100が点灯し、消灯期間Toffにおいて無電極放電灯100が消灯する。ただし、実際には、無電極放電灯100は、時刻t11〜t12間で消灯から点灯に切り替わり、時刻t13〜t14間で点灯から消灯に切り替わるため、事実上の点灯時間は点灯期間Tonより短くなる。この点は図3,4に示す例でも同様である。
【0049】
図3は、時間比率が25%である場合を示している。図3に示す例では、時刻t21〜t23間が点灯期間Ton、時刻t23〜t24間が消灯期間Toff、時刻t21〜t24が一周期Tである。
【0050】
この場合、周波数fは図3(b)に示すように変化する。すなわち、消灯期間Toffである間(時刻t21以前)、周波数fはf2である。点灯期間Tonに入ると(時刻t21)、周波数fは徐々に低くなって時刻t22においてf1になり、その直後に徐々に高くなって時刻t23においてf2になる。
【0051】
このように周波数fは、点灯期間Tonの始期(時刻t21〜t22)において、点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化し、点灯期間Tonの終期(時刻t22〜t23)において消灯期間Toffの目標値f2に近付くように連続的に変化する。
【0052】
その後、消灯期間Toffの間、周波数fはf2であり、点灯期間Tonに入ると(時刻t24)、徐々に低くなって時刻t25においてf1になり、その直後に徐々に高くなって時刻t26においてf2になる。以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0053】
図3(b)に示すように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図3(a)に示すように変化し、点灯期間Tonにおいて無電極放電灯100が点灯し、消灯期間Toffにおいて無電極放電灯100が消灯する。この場合は、時間比率が25%であり、時間比率が50%であるときに比べて点灯期間Tonが短いから、無電極放電灯100の明るさが暗くなる。
【0054】
図4は、時間比率が75%である場合を示している。図4に示す例では、時刻t31〜t34間が点灯期間Ton、時刻t34〜t35間が消灯期間Toff、時刻t31〜t35間が一周期Tである。また、期間Tsは、周波数fがf1になっている期間である。
【0055】
この場合、周波数fは図4(b)に示すように変化する。すなわち、消灯期間Toffである間(時刻t31以前)、周波数fはf2である。点灯期間Tonに入ると(時刻t31)、周波数fは徐々に低くなって時刻t32においてf1になる。そして、時刻t33以後、周波数fはf1より徐々に高くなって時刻t34においてf2になる。
【0056】
このように周波数fは、点灯期間Tonの始期(時刻t31〜t32)において、点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化し、点灯期間Tonの終期(時刻t33〜t34)において消灯期間Toffの目標値f2に近付くように連続的に変化する。
【0057】
その後の消灯期間Toffの間、周波数fはf2であるが、点灯期間Tonに入ると(時刻t35)、徐々に低くなって時刻t36においてf1になる。そして、時刻t37以後、徐々に高くなって時刻t38においてf2になり、以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0058】
図4(b)に示すように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図4(a)に示すように変化し、点灯期間Tonにおいて無電極放電灯100が点灯し、消灯期間Toffにおいて無電極放電灯100が消灯する。この場合は、時間比率が75%であり、時間比率が50%であるときに比べて点灯期間Tonが長いから、無電極放電灯100の明るさが明るくなる。
【0059】
以上述べたように、本実施形態の無電極放電灯点灯装置では、制御部5は、調光制御を行うにあたっては、点灯期間Tonの始期において、高周波電圧Vcoilの周波数fを点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化させる。また、点灯期間Tonの終期において、高周波電圧Vcoilの周波数fを消灯期間Toffの目標値f2に近付くように連続的に変化させる。そのため、間欠調光時の高周波電圧Vcoilの不連続性に起因する雑音を低減することができる。
【0060】
また、図2〜図4に示すように、高周波電圧Vcoilの周波数fの変化幅は、いずれのデューティ比においてもf1〜f2であるから、時間比率に関係なく一定である。そのため、周波数が一定である場合に比べれば、雑音低減効果を向上することができ、しかも、時間比率によって雑音低減効果が変動することがないから、時間比率によらずに高い雑音低減効果を得ることができる。さらに、図2〜図4に示すように、時間比率が変化した場合には、点灯期間において、周波数fがf1である期間Tsが延長あるいは短縮されるので、時間比率と高周波電源部4の消費電力とがおおむね比例するようになるから、消費電力の制御が容易になる。
【0061】
ところで、本実施形態の無電極放電灯点灯装置に使用する無電極放電灯100としては、例えば図5に示すものが挙げられる。
【0062】
図5に示す無電極放電灯100は、放電ガスおよび水銀が封入されたバルブ110と、バルブ110の基端部(図5における下端部)111側に設けられバルブ110をカプラ80に固定する口金120とを備えている。
【0063】
バルブ110は、透光性材料(図5に示す例では石英ガラス)により中空の球形状(図示例では電球形状)に形成された気密容器である。なお、バルブ110は硬質ガラスにより形成されていてもよい。
【0064】
バルブ110の頂(先端)部(図5における上端部)には突起部112が一体に形成される。突起部112は、中空の円錐形状に形成されたものであって、バルブ110の表面側(外面側)において円錐形状の凸部を構成するとともに、バルブ110の裏面側(内面側)において円錐形状の凹部を構成している。突起部112は無電極放電灯100の点灯方向をBUとした場合に最冷部となる。
【0065】
バルブ110の基端部111の中央部にはカプラ80の先部が内部に配置される円柱状の空洞部(キャビティ)113が凹設されている。この空洞部113の底部には、空洞部113の開口部側(すなわち口金120側)に向けて円筒状の排気管114が一体に突設されている。排気管114の内部とバルブ110の内部とは連通している。この排気管114の長さ寸法は、排気管114の先端部(図5における下端部)が、空洞部113より外方に突出するような値に設定されている。
【0066】
バルブ110の内部には、アルゴンやクリプトンなどの希ガスなどの放電ガスが封入されている。また、バルブ110の内面全面には、バルブ110内部で発生した紫外線を可視光に変換するための蛍光体層115が形成されている。本例では、バルブ110を石英ガラスにより形成しているため、石英ガラスと水銀との反応を抑えるための保護膜116を蛍光体層115とバルブ110の内面との間に介在させている。また、図5では、蛍光体層115と保護膜116の一部のみを図示している。
【0067】
排気管114の内部には、バルブ110の内部に水銀を供給する(水銀を蒸発させ、必要な水銀蒸気圧を確保する)ための水銀供給部117が封入される。水銀供給部117は、円柱状のガラスロッド118と、排気管114に形成された突出部119との間に配置され、これによって水銀供給部117が排気管114内を移動しないようにしている。
【0068】
水銀供給部117としては、Zn−Hg(亜鉛−水銀)アマルガムを、鉄−ニッケル合金製の金属容器内に収納したものが用いられる。また、Zn−Hgアマルガムの代わりに、ビスマス−インジウム−水銀アマルガムを用いてもよい。
【0069】
口金120は、合成樹脂を用いて両端が開口した円筒状に形成されている。バルブ110は、基端側を口金120の一端開口(図5における上端開口)から口金120の内部に挿入した形で、口金120に固定されている。また、口金120は、カプラ80に固定できるように構成されており、口金120をカプラ80に固定した際には、カプラ80の先部がバルブ110の空洞部113内に位置するようになっている。
【0070】
一方、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、図6に示すように、無電極放電灯100に装着されるカプラ60を備える。誘導コイル1はカプラ60に設けられており、点灯回路部2は金属製のケース61に収納される。また、誘導コイル1と点灯回路部2とは電線62で接続される。
【0071】
そして、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、図7(a)に示すような照明器具に備えられる。図7(a)に示す照明器具は、いわゆる防犯灯であって、無電極放電灯100が装着される器具本体70を備える。器具本体70は、一面(下面)が開口されており、電柱などのポールに取り付けられる。この器具本体70には、器具本体70の下面開口を覆う透光パネル71が取り付けられ、また器具本体70の内部には、無電極放電灯100から放射された光を下方に反射する反射板72が設けられる。無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯100とともに器具本体70の内部に収納される(図7(a)ではカプラ60、ケース61、および電線62の図示を省略している)。
【0072】
また、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、図7(b)に示す照明器具にも採用することができる。図7(b)に示す照明器具は、例えば街路灯として使用されるものであり、器具本体70は、深皿状に形成されている。この器具本体70には上面を覆う透光パネル71が取り付けられ、また内部には、無電極放電灯100から放射された光を上方に反射する反射板72が設けられる。無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯100とともに器具本体70の内部に収納される(図7(b)ではカプラ60、ケース61、および電線62の図示を省略している)。
【0073】
このような図7(a)および図7(b)に示す照明器具によれば、本実施形態の無電極放電灯点灯装置を備えているので、間欠調光時の高周波電圧Vcoilの不連続性に起因する雑音を低減することができ、しかも点灯期間と消灯期間の時間比率に左右されることなく安定した雑音低減効果を得ることができる。
【0074】
以上述べた本実施形態の無電極放電灯点灯装置の構成はあくまでも本発明の一実施形態であって、本発明の技術的範囲を上記の例に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない程度に変更することができる。特に、点灯回路部2の各部の回路構成は、あくまでも一例であって、上述の例に限定されず、同様の動作を行う回路構成に置き換えることができる。この点は、後述する実施形態2においても同様である。
【0075】
例えば、本実施形態の無電極放電灯点灯装置では、点灯期間Tonの始期において高周波電圧Vcoilの周波数fを点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化させる処理を行っているが、消灯期間Toffの終期において周波数fを点灯期間Tonの目標値f1に近付くように連続的に変化させる処理を行ってもよい。また、本実施形態の無電極放電灯点灯装置では、点灯期間Tonの終期において周波数fを消灯期間Toffの目標値f2に近付くように連続的に変化させる処理を行っているが、消灯期間Toffの始期において周波数fを消灯期間Tonの目標値f2に近付くように連続的に変化させる処理を行ってもよい。また、点灯期間Tonと消灯期間Toffのいずれにおいても周波数fを上述のように変化させてもよい。また、本実施形態の無電極放電灯点灯装置では、点灯期間Tonの始期と終期の両方で周波数fを変化させているが、始期と終期のいずれか一方でのみ周波数を変化させるようにしてもよい。要するに、制御部5は、調光制御を行うにあたっては、点灯期間Tonと消灯期間Toffとの少なくとも一方の期間において、その始期に高周波電圧Vcoilの周波数fを一方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、または終期に周波数fを他方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、あるいはそれら両方の処理を行うものであればよい。
【0076】
(実施形態2)
本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、図8に示すように、制御部5の構成が実施形態1と異なっており、その他の構成については実施形態1と同様である。よって、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
本実施形態における制御部5は、実施形態1と同様に、周波数制御部50と、PWM発振回路51とを備えるが、シフト回路52および遅延回路53の代わりに、波形制御部54を備えている点で実施形態1と異なる。なお、周波数制御部50およびPWM発振回路51の説明は省略する。
【0078】
波形制御部54は、例えばマイコンを主構成要素としており、メモリに格納されたプログラムをマイコンで実行することによって下記の制御を実行する。
【0079】
波形制御部54は、入力されたPWM信号のデューティ比に応じて、周波数制御部50の入力端子の電圧を制御することで、点灯期間における高周波電圧Vcoilの波形(包絡線の波形)が時間軸に対して伸縮されるように周波数fを調整する。
【0080】
具体的には、波形制御部54は、PWM信号が入力されると、そのデューティ比に基づいて、点灯期間および消灯期間の時間比率を設定する。そして、波形制御部54は、点灯期間においては、高周波電圧Vcoilの周波数fが第1の周波数f1aから当該第1の周波数f1aより高い第2の周波数f1bまで上記点灯期間をかけて線形的に上昇されるように周波数制御部50を制御する。そのため、点灯期間における周波数fの傾きは、f1bからf1aを引いた値を点灯期間の長さで除した値になる。一方、波形制御部54は、消灯期間においては、高周波電圧Vcoilの周波数fが上記消灯期間中所定値f2に維持されるように、周波数制御部50を制御する。さらに、波形制御部54は、時間比率が100%である場合、次のように周波数制御部50を制御する。すなわち、波形制御部54は、高周波電圧Vcoilの周波数fが第1の周波数f1aから第2の周波数f1bまで上記所定期間をかけて線形的に上昇されるように、周波数制御部50を制御する。
【0081】
次に、本実施形態における制御部5の動作について図9〜図11を参照して説明する。各図において(a)は高周波電圧Vcoilの時間変化を示し、(b)は高周波電圧Vcoilの周波数fの時間変化を示す。なお、図示を簡略化するため、高周波電圧Vcoilについては包絡線で示している。
【0082】
図9は、時間比率が50%である場合を示している。図9に示す例では、時刻t41〜t42間が点灯期間Ton、時刻t42〜t43間が消灯期間Toff、時刻t41〜t43間が点灯期間Tonと消灯期間Toffの一周期(所定期間)Tである。
【0083】
この場合、周波数fは図9(b)に示すように変化する。すなわち、周波数fは、時刻t41においてf2からf1aに低下する。その後、周波数fは、時刻t41から時刻t42にかけてf1aからf1bまで線形的に上昇し、f1bになるとf2まで上昇する。
その後、消灯期間Toffに入ると、周波数fはf2に維持される。そして、時刻t43において、周波数fは、f2からf1aに低下した後、時刻t43から時刻t44にかけてf1aからf1bまで線形的に上昇し、f1bになるとf2まで上昇する。以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0084】
このように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図9(a)に示すように変化し、オン期間Tonにおいて無電極放電灯100が点灯し、オフ期間Toffにおいて無電極放電灯100が消灯する。
【0085】
図10は、時間比率が75%である場合を示している。図10に示す例では、時刻t51〜t52間が点灯期間Ton、時刻t52〜t53間が消灯期間Toff、時刻t51〜t53間が一周期Tである。
【0086】
この場合、周波数fは図10(b)に示すように変化する。すなわち、周波数fは、時刻t51においてf2からf1aに低下する。その後、周波数fは、時刻t51から時刻t52にかけてf1aからf1bまで線形的に上昇し、f1bになるとf2まで上昇する。
その後、消灯期間Toffに入ると、周波数fはf2に維持される。そして、時刻t53において、周波数fは、f2からf1aに低下した後、時刻t53から時刻t54にかけてf1aからf1bまで線形的に上昇し、f1bになるとf2まで上昇する。以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0087】
このように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図10(a)に示すように変化し、オン期間Tonにおいて無電極放電灯100が点灯し、オフ期間Toffにおいて無電極放電灯100が消灯する。この場合は、時間比率が50%であるときに比べて点灯期間Tonが長いから、無電極放電灯100の明るさが明るくなる。そして、このときの点灯期間における高周波電圧Vcoilの波形(包絡線の波形)は、時間比率が50%であるときの波形を時間軸に対して1.5倍伸したような形になる。
【0088】
図11は、時間比率が100%である場合を示している。図11に示す例では、時刻t61〜t62間が点灯期間Tonであり、一周期Tでもある。
【0089】
この場合、周波数fは図11(b)に示すように変化する。すなわち、周波数fは、時刻t61においてf1bからf1aに低下した後、時刻t61から時刻t62にかけてf1aからf1bまで線形的に上昇する。そして、時刻t62において、周波数fは、f1bからf1aに低下し、以後、時間比率が変更されるまでは同様な変化を繰り返す。
【0090】
このように周波数fが変化した場合、高周波電圧Vcoilは図11(a)に示すように変化し、無電極放電灯100は常時点灯する(すなわちフル点灯する)。この場合は点灯期間Tonが最長になるから、無電極放電灯100の明るさが最も明るくなる。そして、このときの点灯期間における高周波電圧Vcoilの波形(包絡線の波形)は、時間比率が50%であるときの波形を時間軸に対して2倍したような形になる。
【0091】
このように本実施形態における制御部5は、点灯制御では、高周波電圧Vcoilの周波数fを第1の周波数f1aから当該第1の周波数f1aより高い第2の周波数f1bまで点灯期間Tonをかけて線形的に上昇させ、消灯制御では、高周波電圧Vcoilの周波数fを消灯期間Toff中、所定値f2に維持する。そのため、時間比率と高周波電源部4の消費電力とが比例関係を有するようになるから、消費電力の制御が容易になる。
【0092】
また、制御部5は、時間比率が100%である場合、高周波電圧Vcoilの周波数fを第1の周波数f1aから第2の周波数f1bまで所定期間(PWM信号の一周期T)をかけて線形的に上昇させる。
【0093】
したがって、点灯期間が100%になるように時間比率を設定することによって、フル点灯を行うことができる。そのため、時間比率を設定する回路(すなわちPWM発振回路51および波形制御部54)をフル点灯用の回路に兼用できるから、部品点数を少なくすることができて、小型化、低コスト化が図れる。また、この場合においても周波数fが第1の周波数f1aから第2の周波数f1bまで変化するので、周波数fを一定にしてフル点灯を行う場合に比べれば、周波数fの変化幅が広くなるから、雑音低減効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施形態1の無電極放電灯点灯装置の回路説明図である。
【図2】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図3】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図4】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図5】同上の無電極放電灯点灯装置に使用する無電極放電灯の概略説明図である。
【図6】同上の無電極放電灯点灯装置の外観図である。
【図7】同上の無電極放電灯点灯装置を用いた照明器具の概略断面図である。
【図8】実施形態2の無電極放電灯点灯装置の回路説明図である。
【図9】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図10】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図11】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図12】従来の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図13】従来の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図14】従来の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【符号の説明】
【0095】
1 誘導コイル
2 点灯回路部
3 直流電源部
4 高周波電源部
5 制御部
70 器具本体
100 無電極放電灯
AC 商用交流電源(電源)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電極放電灯に近接して配置され高周波電圧が印加されることにより高周波電磁界を発生して無電極放電灯の放電ガスを励起させる誘導コイルと、誘導コイルに高周波電圧を印加する点灯回路部とを備え、
点灯回路部は、電源から供給された電力を元に直流電圧を出力する直流電源部と、直流電源部の出力電圧を高周波電圧に変換して誘導コイルに印加する高周波電源部と、高周波電圧の周波数を無電極放電灯が点灯する値に設定する点灯制御を行う点灯期間と高周波電圧の周波数を無電極放電灯が消灯する値に設定する消灯制御を行う消灯期間との所定期間内における時間比率を変更することで無電極放電灯の調光制御を行う制御部とを有し、
制御部は、上記調光制御を行うにあたっては、上記点灯期間と上記消灯期間との少なくとも一方の期間において、その始期に高周波電圧の周波数を一方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、または終期に高周波電圧の周波数を他方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、あるいはそれら両方の処理を行い、かつ高周波電圧の周波数の変化幅が上記時間比率に関係なく一定になるように高周波電源部を制御することを特徴とする無電極放電灯点灯装置。
【請求項2】
上記制御部は、上記点灯制御では、高周波電圧の周波数を第1の周波数から当該第1の周波数より高い第2の周波数まで上記点灯期間をかけて線形的に上昇させ、上記消灯制御では、高周波電圧の周波数を上記消灯期間中所定値に維持することを特徴とする請求項1記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記時間比率が上記点灯期間を100%とするものである場合、高周波電圧の周波数を上記第1の周波数から上記第2の周波数まで上記所定期間をかけて線形的に上昇させることを特徴とする請求項2記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、当該無電極放電灯点灯装置により点灯される無電極放電灯が装着される器具本体とを備えていることを特徴とする照明器具。
【請求項1】
無電極放電灯に近接して配置され高周波電圧が印加されることにより高周波電磁界を発生して無電極放電灯の放電ガスを励起させる誘導コイルと、誘導コイルに高周波電圧を印加する点灯回路部とを備え、
点灯回路部は、電源から供給された電力を元に直流電圧を出力する直流電源部と、直流電源部の出力電圧を高周波電圧に変換して誘導コイルに印加する高周波電源部と、高周波電圧の周波数を無電極放電灯が点灯する値に設定する点灯制御を行う点灯期間と高周波電圧の周波数を無電極放電灯が消灯する値に設定する消灯制御を行う消灯期間との所定期間内における時間比率を変更することで無電極放電灯の調光制御を行う制御部とを有し、
制御部は、上記調光制御を行うにあたっては、上記点灯期間と上記消灯期間との少なくとも一方の期間において、その始期に高周波電圧の周波数を一方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、または終期に高周波電圧の周波数を他方の期間における目標値に近付けるように連続的に変化させる処理、あるいはそれら両方の処理を行い、かつ高周波電圧の周波数の変化幅が上記時間比率に関係なく一定になるように高周波電源部を制御することを特徴とする無電極放電灯点灯装置。
【請求項2】
上記制御部は、上記点灯制御では、高周波電圧の周波数を第1の周波数から当該第1の周波数より高い第2の周波数まで上記点灯期間をかけて線形的に上昇させ、上記消灯制御では、高周波電圧の周波数を上記消灯期間中所定値に維持することを特徴とする請求項1記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記時間比率が上記点灯期間を100%とするものである場合、高周波電圧の周波数を上記第1の周波数から上記第2の周波数まで上記所定期間をかけて線形的に上昇させることを特徴とする請求項2記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、当該無電極放電灯点灯装置により点灯される無電極放電灯が装着される器具本体とを備えていることを特徴とする照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−9867(P2010−9867A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166256(P2008−166256)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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