説明

無電解めっき装置及び無電解めっき方法

【課題】装置のイニシャルコスト、ランニングコストを低くでき、広い設置スペースを必要とすることなく、高品質の保護膜を金属部の表面に効率よく形成できるようにする。
【解決手段】処理槽を有する前処理ユニットと、めっき槽を有する無電解めっきユニットと、後洗浄ユニットとを有し、前処理ユニットと無電解めっきユニットは、吸着ヘッド234と該吸着ヘッドの周囲を囲繞する基板受け236を備えた共通の基板保持ヘッドを有し、吸着ヘッドには、円周方向に沿って延びる真空引き可能な凹状部250aを有する吸着リング250が取付けられ、基板受けは、内方に突出し内周端部にシールリング254aを有し、吸着ヘッドによってシールリングを基板の周縁部に圧接させて、基板の周縁部をシールリングでシールして基板を保持し、吸着リングの凹状部を真空引きして、基板の周縁部を吸着リングでシールしながら基板を吸着保持して基板を基板受けから引離す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解めっき装置及び無電解めっき方法に係り、特に半導体ウエハ等の基板の表面に設けた配線用の微細な凹部に銅や銀等の導電体を埋込んで構成した配線の露出表面に、配線を覆う磁性膜等の金属合金膜を無電解めっきで形成するのに使用される無電解めっき装置及び無電解めっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の配線形成プロセスとして、配線溝及びコンタクトホールに金属(導電体)を埋込むようにしたプロセス(いわゆる、ダマシンプロセス)が使用されつつある。これは、層間絶縁膜に予め形成した配線溝やコンタクトホールに、アルミニウム、近年では銅や銀等の金属を埋込んだ後、余分な金属を化学機械的研磨(CMP)によって除去し平坦化するプロセス技術である。
【0003】
従来、この種の配線、例えば配線材料として銅を使用した銅配線にあっては、信頼性向上のため、層間絶縁膜への配線(銅)の熱的拡散を防止しかつエレクトロマイグレーション耐性を向上させるためのバリア膜を配線の底面及び側面に形成したり、その後、絶縁膜(酸化膜)を積層して多層配線構造の半導体装置を作る場合の酸化性雰囲気における配線(銅)の酸化を防止したりするため酸化防止膜を形成するなどの方法が採用されている。従来、この種のバリア膜としては、タンタル、チタンまたはタングステンなどの金属あるいはその窒化物が一般に採用されており、また酸化防止膜としては、シリコンの窒化物または炭化物などが一般に採用されていた。
【0004】
これに代わるものとして、最近になってコバルト合金やニッケル合金等からなる配線保護膜で埋込み配線の底面及び側面、または露出表面を選択的に覆って、配線の熱拡散、エレクトロマイグレーション及び酸化を防止することが検討されている。また、不揮発磁気メモリにおいては、メモリセルが高密度化し設計ルールが小さくなると銅配線の電流密度が増大しエレクトロマイグレーションの問題が生じる。さらに、この書き込みには、セルが小さくなると書き込み電流は増大することに加え、セルが接近し、クロストークが課題となる。これを解決するために、銅配線の周囲にコバルト合金やニッケル合金等の磁性膜を付与したヨーク構造が有効であると考えられている。この磁性膜は例えば無電解めっきによって得られる。
【0005】
例えば、図1に示すように、半導体ウエハ等の基板Wの表面に堆積したSiO等からなる絶縁膜2の内部に配線用の微細な凹部4を形成し、表面にTaN等からなるバリア層6を形成し、更に、バリア層6の表面に、必要に応じて銅シード膜7を形成する。そして、銅めっきを施して、基板Wの表面に銅膜を成膜して凹部4の内部に銅を埋込み、しかる後、基板Wの表面にCMP(化学機械的研磨)を施して平坦化することで、絶縁膜2の内部に銅膜からなる配線8を形成する。次に、この配線(銅膜)8の表面に、例えば無電解めっきによって得られる、Co−W−P合金膜からなる配線保護膜(蓋材)9を選択的に形成して配線8を保護する。
【0006】
一般的な無電解めっきによって、このようなCo−W−P合金膜からなる配線保護膜(蓋材)9を配線8の表面に選択的に形成する工程を説明する。先ず、CMP処理を施した半導体ウエハ等の基板Wを、例えば常温の希硫酸または希塩酸中に1分程度浸漬させて、絶縁膜2の表面の金属酸化膜や銅等CMP残渣等の不純物を除去する。そして、基板Wの表面を純水等の洗浄液で洗浄した後、例えば常温のPdCl/HCl混合溶液中に基板Wを1分間程度浸漬させ、これにより、配線8の表面に触媒としてのPdを付着させて配線8の露出表面を活性化させる。
【0007】
次に、基板Wの表面を純水等で洗浄(リンス)した後、例えば液温が80℃のCo−W−Pめっき液中に基板Wを120秒程度浸漬させて、活性化させた配線8の表面に選択的な無電解めっきを施し、しかる後、基板Wの表面を純水等の洗浄液で洗浄する。これによって、配線8の露出表面に、Co−W−P合金膜からなる配線保護膜9を選択的に形成して配線8を保護する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、無電解めっきによって、Co−W−P合金膜からなる配線保護膜(蓋材)を形成する際には、前述のように、配線の表面にPd等の触媒を付与する触媒付与処理を行う前に、例えば配線上の酸化膜を除去し、また絶縁膜上に合金膜が形成されることを防止するため、絶縁膜上に残った銅等からなるCMP残渣を除去するという前洗浄(清浄化)処理が一般に行われる。この前洗浄処理は、一般にHF、HSOやHClなどの無機酸からなる前洗浄液を使用して行われる。しかし、このような前洗浄液は、銅に対するエッチング力があり、このため、前洗浄と同時に、銅配線の一部も損傷(エッチング)され、その損傷によって配線抵抗が上昇するという不具合が発生することがある。
【0009】
また、前洗浄を行う際、配線を構成する銅は、微量ながら溶解することがあり、溶解した銅が配線間の絶縁膜上を移動して絶縁膜に付着すると、リーク電流のパースになる恐れがある。さらに、前洗浄後において、前洗浄薬液で処理した後に、純水でのリンスを行う際、絶縁膜が薬液またはリンス液に長時間に曝されると、絶縁膜の絶縁性が落ちてリーク電流が上昇する恐れがある。また、薬液処理後の基板表面に、薬液が残ると、成膜の面内均一性にも悪影響を与えるので、それを素早く除去する必要がある。
【0010】
一方、装置の面から見ると、上述の各工程をそれぞれ専用のユニットで行うとすると、各工程における処理槽の数も多くなるばかりでなく、搬送ロボットによる基板搬送時間の短縮に限界がある。この結果、装置フットプリントの増大及び処理スループットが低下するばかりでなく、各工程間のプロセス制御が複雑となる。特に、触媒付与とリンスの間、またはリンスとめっきの間に基板を酸素雰囲気に長く放置すると、基板の表面状態が変化しやすくなり、処理した基板上の配線の電気特性に悪影響を与えることがある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、装置のイニシャルコスト、ランニングコストを低くでき、広い設置スペースを必要とすることなく、高品質の合金膜を金属部の表面に効率よく形成できるようにした無電解めっき装置及び無電解めっき方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、基板の表面に形成された配線である金属部に配線保護膜を無電解めっきによって形成する無電解めっき装置であって、処理槽を有する前処理ユニットと、めっき槽を有する無電解めっきユニットと、後洗浄ユニットとを有し、前記前処理ユニットと前記無電解めっきユニットは、吸着ヘッドと該吸着ヘッドの周囲を囲繞する基板受けを備えた共通の基板保持ヘッドを有し、前記吸着ヘッドには、円周方向に沿って延びる真空引き可能な凹状部を有する吸着リングが取付けられ、前記基板受けは、内方に突出し内周端部にシールリングを有し、前記吸着ヘッドによって前記シールリングを基板の周縁部に圧接させて、基板の周縁部を前記シールリングでシールして基板を保持し、前記吸着リングの凹状部を真空引きして、基板の周縁部を前記吸着リングでシールしながら基板を吸着保持して基板を前記基板受けから引離すことを特徴とする無電解めっき装置である。
【0013】
これにより、それぞれの処理工程を別々のユニット(処理部)で行う場合に比較して全体がコンパクトになり、広い設置スペースを必要とせず、装置のイニシャルコスト、ランニングコストを低くでき、且つ短い処理時間で合金膜を形成できる。特に、各工程間の基板の待ち時間または搬送時間を極めて短く調整できるため、電気特性を劣化させず高品質合金膜が形成できる。また、前処理液のリンス処理完了からめっき処理開始までの間隔を極めて短く調整して、安定な膜質の合金膜を形成することができる。また、搬送用ロボットハンド等による基板の受け渡し回数を減らして、基板裏面の汚染やダメージを回避できる。更に、例えば基板の表面側の周縁部をシールして前処理ユニットによるめっき前処理を、基板の裏面側の周縁部をシールして前処理ユニットによるリンス処理及び無電解めっきユニットによるめっき処理をそれぞれ行うことで、基板の周縁部に異常なめっき膜が生成されることを防止することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記シールリングを洗浄するリンス液を噴射するノズルを更に有することを特徴とする請求項1記載の無電解めっき装置である。
請求項3に記載の発明は、前記基板保持ヘッドは、揺動自在な揺動アームの自由端に取付けられて、前記前処理ユニットと前記無電解めっきユニットとの間を移動することを特徴とする請求項1記載の無電解めっき装置である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記前処理ユニットでは、基板の表面を清浄化すると同時に、前記金属部に触媒を付与して該金属部の表面を活性化させるめっき前処理と、めっき前処理後の基板の表面に残った前処理液をリンスするリンス処理を行うことを特徴とする請求項1記載の無電解めっき装置である。
これにより、めっき前処理で、金属部の表面に触媒を付与すると同時に、金属部の表面の酸化膜を除去したり、例えば層間絶縁膜上に残る金属残渣等の不純物を除去したりすることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記前処理ユニット、前記無電解めっきユニット及び前記基板保持ヘッドは、内部の雰囲気を装置全体と独立に調整できる筐体内部に配置されていることを特徴とする請求項4記載の無電解めっき装置である。
これにより、前処理液のリンス後の基板をめっき処理ユニットに搬送する間の動作を、例えば大気より酸素組成が少ない雰囲気で行うことで、処理中の基板が酸化されやすい雰囲気に曝されることを防止して、安定な膜質の合金膜が得られる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、基板の表面に形成された配線である金属部に配線保護膜を無電解めっきによって形成する無電解めっき方法であって、基板表面の周縁部を基板保持ヘッドのシールリングでシールした状態で基板表面に前処理液を接触させてめっき前処理を行い、前記基板ヘッドによって基板裏面のみで基板を吸着保持しながら、リンスおよび無電解めっき処理を行うことを特徴とする無電解めっき方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板表面の金属部の表面に、無電解めっきによって合金膜を選択的に形成する一連の処理を連続的に行うことにより、それぞれの処理工程を別々のユニット(処理部)で行う場合に比較して、全体がコンパクトになり、広い設置スペースを必要とせず、装置のイニシャルコスト、ランニングコストを低くでき、且つ短い処理時間で合金膜を形成できる。特に、各工程間の基板の待ち時間または搬送時間を極めて短く調整でき、または表面洗浄、触媒付与、リンス及びめっきの一連の処理を酸化されにくい雰囲気で連続して行うことで、金属部の電気性能の悪化を防止して、高品質の合金膜を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の実施の形態の無電解めっき装置の平面配置図を示す。図2に示すように、この無電解めっき装置には、表面に形成した配線用の凹部4内に銅等からなる配線8を形成した基板W(図1参照、以下同じ)を収容した基板カセット10を載置収容するロード・アンロードユニット12が備えられている。図2に示すロード・アンロードユニット12には、1つのカセット10のみが収容されているが、複数のカセットを収容するようにしてもよい。
【0020】
そして、排気系統を備えた矩形状のハウジング16の内部に位置して、基板Wのめっき前処理、例えば清浄化処理と触媒付与処理を同一の前処理液を使用して同時に行う前処理ユニット18、基板Wの表面(被処理面)に無電解めっき処理を行う無電解めっきユニット20、無電解めっき処理によって配線8の表面に形成された保護膜(合金膜)9(図1参照、以下同じ)の膜厚及び膜質の少なくとも一方を測定する膜厚/膜質測定ユニット22、及びめっき処理後の基板Wを後洗浄し乾燥させる後洗浄ユニット(後処理ユニット)24が配置されている。更に、ロード・アンロードユニット12と膜厚/膜質測定ユニット22とに挟まれた位置に第1搬送ロボット26が、前処理ユニット18、無電解めっきユニット20、膜厚/膜質測定ユニット22及び後洗浄ユニット24で挟まれた位置に第2搬送ロボット28がそれぞれ配置されている。
【0021】
なお、この例では、めっき前処理として、基板表面の清浄化処理と、金属部である配線の触媒付与処理を同一の前処理液を使用して同時に行うようにした例を示している。このめっき前処理は、基板の表面に薬液を接触させて該表面全面を薬液で修飾する処理、つまり、この例では、絶縁膜2の表面と金属部である配線8の表面の異なった処理を同一の薬液で同時に行うものであればよい。
【0022】
前処理ユニット18及び無電解めっきユニット20の側方に位置して、上下動及び旋回自在な旋回軸30が立設され、この旋回軸30の上端に揺動アーム32が固着されている。そして、この揺動アーム32の自由端に、モータ34が下向きで取付けられ、このモータ34の出力軸36の下端に、基板Wを着脱自在に保持する基板保持ヘッド38が下方に向けて取付けられている。これにより、旋回軸30の旋回に伴って揺動アーム32が水平方向に揺動し、この揺動アーム32の揺動によって、基板保持ヘッド38が前処理ユニット18の直上方位置と無電解めっきユニット20の直上方位置との間を移動し、これによって、前処理ユニット18及び無電解めっきユニット20は、共通の基板保持ヘッド38を有するように構成されている。基板保持ヘッド38は、モータ34の駆動に伴って回転する。
【0023】
これらの前処理ユニット18及び無電解めっきユニット20、更には旋回軸30、揺動アーム32及び基板保持ヘッド38は、図6に示すように、給排気系統40を備え、無電解めっき処理時に密閉可能で独自に雰囲気制御可能な筺体42の内部に配置されている。
【0024】
前処理ユニット18は、基板Wのめっき前処理、すなわち基板Wの表面に形成した埋込み配線8の表面及び絶縁膜2の表面を清浄化する清浄化処理と同時に、この清浄化処理後の配線8の被処理表面に触媒を付与して活性化させる触媒付与処理を行い、更に触媒付与に使用した前処理液(薬液)をリンス液でリンスするリンス処理を行うためのものであり、この例は、これらの処理を単一の前処理ユニット18で行うように構成されている。
【0025】
この前処理ユニット18は、異なる液体の混合を防ぐ2液分離方式を採用したもので、図3乃至図5に示すように、基板保持ヘッド38の外径よりもやや大きい内径を有する、上方に開口した内槽100a及び外槽100bを有する処理槽100(図6参照)が備えられている。内槽100aの外周部には、蓋体102に取付けた一対の脚部104が回転自在に支承されている。更に、脚部104には、クランク106が一体に連結され、このクランク106の自由端は、蓋体移動用シリンダ108のロッド110に回転自在に連結されている。
【0026】
これにより、蓋体移動用シリンダ108の作動に伴って、蓋体102は、内槽100aの上端開口部を覆う処理位置と、側方の待避位置との間を移動するように構成されている。この蓋体102の表面(上面)には、下記のように、純水または還元力を有する電解イオン水、または無電解めっき液を構成する1成分または複数成分を混合して調製した水溶液等のリンス液を外方(上方)に向けて噴射する多数のスプレーノズル112aを有するノズル板112が備えられている。
【0027】
図6に示すように、内槽100aの内部には、前処理液タンク120から前処理液供給ポンプ122の駆動に伴って供給された前処理液を上方に向けて噴射する複数のスプレーノズル124aを有するノズル板124が、該スプレーノズル124aが内槽100aの横断面の全面に亘ってより均等に分布した状態で配置されている。この処理槽100の内槽100aには、前処理液(排液)を外部に排出する排水管126が接続されている。この排水管126の途中には、三方弁128が介装され、この三方弁128の一つの出口ポートに接続された戻り管130を介して、必要に応じて、この前処理液(排液)を前処理液タンク120に戻して再利用できるようになっている。
【0028】
ここで、めっき前処理液は、触媒金属イオンと、金属部の表面の金属酸化膜または金属部の表面及び基板上のその以外の絶縁膜等の表面に残った金属残渣等を含む不純物を除去する清浄化機能を有する酸を混合して調製され、この前処理液を基板の表面に接触させることで、配線表面に触媒を付与すると同時に、配線金属の酸化膜を除去したり、層間絶縁膜上の金属残渣を除去したりすることができるようになっている。具体的に、めっき前処理液としては、塩酸パラジウム、硫酸パラジウム及び酢酸パラジウムの少なくとも1種類と、塩酸、硫酸、フッ酸、酢酸、蓚酸、蟻酸、クエン酸及び酒石酸の少なくとも1種類とを混合した水溶液が挙げられる。
【0029】
更に、この例では、蓋体102の表面(上面)に設けられたノズル板112は、リンス液供給源132に接続されており、めっき前処理後に基板表面に残った前処理液のリンス処理(洗浄処理)をそのリンス液、例えば純水を使用して行うようにしている。この処理槽100の外槽100bには、リンス液(廃液)を外部に排出する排水管127が接続されている。
【0030】
なお、この例では、前処理液のリンス液として、例えば純水を使用するようにしているが、還元力のある電解イオン水や任意の方法でイオン化された還元性水を使用し、これにより、配線が酸化されるのを防止しつつ、基板上に残る前処理液を効率良くリンス(洗浄)するようにしてもよい。更に、前処理液のリンス処理を、無電解めっき液を構成する1成分または多数成分を混合した水溶液で基板の表面を洗浄して行うようにしてもよく、これによっても、配線が酸化されることを防止しつつ、基板上に残る前処理液を効率よく洗浄できる。
【0031】
これにより、基板Wを保持した基板保持ヘッド38を下降させて、処理槽100の内槽100aの内部に基板保持ヘッド38を位置させ、この状態で、内槽100aの内部に配置したノズル板124のスプレーノズル124aから前処理液を基板Wに向けて噴射することで、基板Wの下面(処理面)の全面に亘って前処理液を均一に噴射し、しかも前処理液の外部への飛散を防止しつつ前処理液を排水管126から外部に排出できる。
【0032】
更に、基板保持ヘッド38を上昇させ、処理槽100の内槽100aの上端開口部を蓋体102で閉塞した状態で、基板保持ヘッド38で保持した基板Wに向けて、蓋体102の上面に配置したノズル板112のスプレーノズル112aから純水または還元力を有する電解イオン水、または無電解めっき液を構成する1成分または複数成分を混合して調製した水溶液等のリンス液を噴射することで、触媒付与後に基板表面に残った前処理液のリンス処理(洗浄処理)を行う。処理した後のリンス液(廃液)は、処理槽100の外槽100bに集められ、排水管127を介して廃棄される。このように、この還元力を有する電解イオン水等のリンス液が内槽100aの内部に流入するのを防止して、2つの液体が混ざらないようになっている。
【0033】
この前処理ユニット18によれば、図3に示すように、基板保持ヘッド38を上昇させた状態で、この内部に基板Wを挿入して保持し、しかる後、図4に示すように、基板保持ヘッド38を下降させて処理槽100の内槽100a(図6参照)内に位置させる。そして、基板保持ヘッド38を回転させて、基板保持ヘッド38で保持した基板Wを回転させながら、内槽100aの内部に配置したノズル板124のスプレーノズル124aから前処理液を基板Wに向けて噴射することで、基板Wの全面に亘って前処理液を均一に噴射する。また、基板保持ヘッド38を上昇させて所定位置で停止させ、図5に示すように、待避位置にあった蓋体102を処理槽100の内槽100aの上端開口部を覆う位置まで移動させる。
【0034】
そして、この状態で、基板保持ヘッド38で保持して回転させた基板Wに向けて、蓋体102の上面に配置したノズル板112のスプレーノズル112aから純水または還元力を有する電解イオン水、または無電解めっき液を構成する1成分または複数成分を混合して調製した水溶液を噴射する等のリンス液を噴射する。これにより、基板Wの前処理液による清浄化処理及び触媒付与処理と、純水または還元力を有する電解イオン水、または無電解めっき液を構成する1成分または複数成分を混合して調製した水溶液を噴射する等のリンス液によるリンス処理を、2つの液体が混ざらないようにしながら行うことができる。
【0035】
更に、この前処理液タンク120には、めっき前処理によって前処理液中に混入した銅等の不純物の濃度を測定し、この不純物の濃度が所定の値に達したときに不純物を除去する前処理液浄化装置140が備えられている。これにより、めっき前処理に使用する前処理液の汚染を抑えて、前処理液が常に安定した触媒力及び洗浄力を持つようにすることができる。また、前処理液の温度、組成及び各成分の濃度を所定範囲内に維持することが好ましく、これにより、配線表面に核密度の安定した触媒を付与して、膜質が安定で膜厚の均一な合金膜を形成することができる。
【0036】
なお、基板保持ヘッド38の下降位置を調整して、この基板保持ヘッド38で保持した基板Wとノズル板124との距離を調整することで、ノズル板124のスプレーノズル124aから噴射された前処理液が基板Wに当たる領域や噴射圧を任意に調整することができる。
【0037】
上述の例は、めっき前処理に1種類の処理液を使用する場合に対応している。めっき前処理に複数種類、例えば、2種類の処理液を使用する場合には、前処理ユニットに、3種類の薬液(純水を含む)使えるよう独立した3系統を設けることで対応することができる。つまり、第1のめっき前処理液専用の第1系統、第2のめっき前処理液専用の第2系統、及びリンス液専用の第3系統の3系統を個別に同一ユニットに連結する。
【0038】
無電解めっきユニット20には、図6に示すように、所定の温度(例えば80℃)に制御しためっき液を内部に溜めるめっき槽200が備えられている。このめっき槽200は、底部において、めっき液供給タンク202から延び、途中にめっき液供給ポンプ204と三方弁206とを介装しためっき液供給管208に接続され、周壁部にめっき液回収溝210が設けられている。これにより、めっき処理中にあっては、めっき槽200の内部に、この底部からめっき液を供給し、溢れるめっき液をめっき液回収溝210からめっき液供給タンク202へ回収することで、めっき液が循環できるようになっている。
【0039】
めっき槽200の底部付近には、めっき槽200の内部に導入されるめっき液の液温を測定して、この測定結果を元に、下記のヒータ216及び流量計218を制御する温度測定器214が設置されている。
【0040】
更に、この例では、別置きのヒータ216を使用して昇温させ流量計218を通過させた水を熱媒体に使用し、熱交換器220をめっき液供給タンク202内のめっき液中に設置して該めっき液を間接的に加熱する加熱装置222と、めっき液供給タンク202内のめっき液を循環させて攪拌する攪拌ポンプ224が備えられている。これは、無電解めっきにあっては、めっき液を高温(約80℃程度)にして使用することがあり、これと対応するためであり、この方法によれば、インライン・ヒーティング方式に比べ、非常にデリケートなめっき液に不要物等が混入するのを防止することができる。
【0041】
この無電解めっきユニット20にあっては、めっき槽200内のめっき液を循環させておいた状態で、基板保持ヘッド38で保持した基板Wを回転させながら下降させて該基板Wをめっき槽200内のめっき液に浸漬させる。この時、めっき槽200に付設しためっき液管理装置240及び加熱装置222等により、めっき液の温度、めっき液の組成及び各成分の濃度を所定範囲内に維持しておく。そして、所定時間、基板Wをめっき液に浸漬させた後、基板Wをめっき槽200の上方位置まで引き上げて、基板保持ヘッド38の回転を停止させてめっき処理を終了する。このように、処理時間を制御することで、基板の被処理下地表面に形成される合金膜の膜厚を調整する。
【0042】
基板保持ヘッド38は、図7乃至図9に詳細に示すように、吸着ヘッド234と該吸着ヘッド234の周囲を囲繞する基板受け236とを有している。そして、この吸着ヘッド234と基板受け236は、スプライン構造を介して、モータ34の駆動に伴って一体に回転するが、シリンダ(図示せず)の作動に伴って、相対的に上下動するよう構成されている。
【0043】
吸着ヘッド234の下面周縁部には、下面をシール面として基板Wを吸着保持する吸着リング250が押えリング251を介して取付けられ、この吸着リング250の下面に円周方向に連続させて設けた凹状部250aと吸着ヘッド234内を延びる真空ライン252とが吸着リング250に設けた連通孔250bを介して互いに連通するようになっている。これにより、凹状部250a内を真空引きすることで、基板Wを吸着保持するのであり、このように、小さな幅(径方向)で円周状に真空引きして基板Wを保持することで、真空による基板Wへの影響(たわみ等)を最小限に抑えることができる。基板Wのリリースは、真空ライン252にN及び/または純水を供給して行う。
【0044】
一方、基板受け236は、下方に開口した有底円筒状に形成され、その周壁には、基板Wを内部に挿入する基板挿入窓236aが設けられ、下端には、内方に突出する円板状の基板ガイド部254が設けられており、この基板ガイド部254の内周端部にシールリング254aがやや上方に突出して設けられている。更に、この基板ガイド部254の上部には、基板Wの案内となるテーパ面256aを内周面に有する突起片256が備えられている。
【0045】
これにより、図7に示すように、基板受け236を下降させた状態で、基板Wを基板挿入窓236aから基板受け236の内部に挿入する。すると、この基板Wは、突起片256のテーパ面256aに案内され、位置決めされて基板ガイド部254の上面の所定位置に載置保持される。この状態で、基板受け236と吸着ヘッド234との相対位置を接近させ、図8に示すように、この基板受け236の基板ガイド部254上に載置保持した基板Wの上面を吸着ヘッド234の吸着リング250に当接させ、更に相対位置を接近させることによって、基板ガイド部254のシールリング254aを基板Wの周縁部下面に圧接させる。これによって、基板Wの周縁部下面をシールリング254aでシールして基板Wを保持する。
【0046】
そして、例えば基板Wの前処理を行うときには、前述のように、真空ライン252を通して吸着リング250の凹状部250aを真空引きすることで、基板Wの上面の周縁部を該吸着リング250の下面でシールしながら基板Wを吸着保持する。この状態で、基板Wの表面(下面)に向けて前処理液を噴射して基板の前処理を行う。これにより、基板Wの周縁部に触媒が付与されることを防止することができる。また、リンス時及びめっき処理時にあっては、図9に示すように、基板受け236と吸着ヘッド234との相対位置を、例えば数mm〜数十mm離間させ、基板Wを基板ガイド部254から離して、吸着リング250のみで吸着保持した状態となす。これにより、基板Wの表面(下面)の周縁部がリンス液により浄化される。更に、めっき処理時、基板表面及び裏面の周縁部がシールされなくでも、触媒がそれに付着していないため、めっきによる基板周縁部の汚染が防げる。
【0047】
この例にあっては、図10(a)に示すように、基板ガイド部254のシールリング254aを基板Wの周縁部下面に圧接させ、基板Wの周縁部下面をシールリング254aでシールした状態で、このシールリング254aでシールした領域(下面)に、前述のように、ノズル板124のスプレーノズル124aから前処理液を基板Wに向けて噴射して基板Wの前処理、すなわち清浄化処理及び触媒付与処理を行う。
【0048】
また、図10(b)に示すように、基板Wの上面の周縁部を該吸着リング250の下面でシールしながら基板Wを吸着保持し、更に、基板Wを基板ガイド部254から離した状態で、ノズル板112のスプレーノズル112aから純水または還元力を有する電解イオン水、または無電解めっき液を構成する1成分または複数成分を混合して調製した水溶液等のリンス液を基板Wに向けて噴射して、基板Wに付着した前処理液をリンスするリンス処理を行う。その時、基板ガイド部254のシールリング254a、及び基板表面の外周部を専用のノズル(図示せず)からリンス液を噴射して洗浄する。
【0049】
更に、図10(c)に示すように、基板Wの上面の周縁部を該吸着リング250の下面でシールしながら基板Wを吸着保持し、更に、基板Wを基板ガイド部254から離した状態で、めっき槽200内のめっき液中に基板Wを浸漬させることで、基板表面にめっき処理を行う。
【0050】
めっき前処理が完了してからリンス処理を開始するまでの時間は、5秒以内であることが好ましく、これによって、めっき前処理後の残液による継続反応及び活性化された金属表面の酸化を最小限に抑えることができる。
また、基板表面に残る前処理液のリンス処理を完了してから無電解めっき処理を開始するまでの間隔は、15秒以内であることが好ましく、これにより、めっき前処理後の金属部表面の外部雰囲気の影響による再酸化を最小限に抑えることができる。
【0051】
図6に示していないが、めっき槽200を前処理槽100とほぼ同様な2重構造としてもよい。このように、めっき槽200を2重構造とすることで、めっき処理の直後に、基板を内槽から外槽に移して、直ちに1次リンス洗浄を行うことができる。この例では、無電解めっきユニット20として、リンス機能を備えていないものを使用しており、めっき処理の直後に、基板をめっき槽200からめっき前処理ユニット18に移し、めっき前処理ユニット18の外槽100bで1次リンス洗浄を行う。
【0052】
後洗浄ユニット24は、無電解めっきユニット20によってめっきを施した基板Wの表面に残留しているめっき液または絶縁膜上の不要析出物を2次洗浄で除去し、同時に基板Wの裏面を洗浄するためのものであり、更に、基板Wを高速回転させてスピン乾燥させることができるように構成されている。
【0053】
つまり、この後洗浄ユニット24には、クランプ機構を介して基板Wを着脱自在に保持して該基板Wを高速回転させる基板ステージと、この基板ステージで保持した基板の表裏両面に、純水や薬液等の洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルが備えられている。そして、基板ステージで保持した基板を回転させながら、基板Wの表裏両面に純水や薬液等の洗浄液を供給することで、基板Wの表面に残留しているめっき液または絶縁膜上の不要析出物を除去し、同時に基板の裏面を洗浄し、更に基板ステージを介して基板Wを高速回転させることで、後洗浄後の基板Wをスピン乾燥するようになっている。
【0054】
次に、この無電解めっき装置による一連の無電解めっき処理について、図11を更に参照して説明する。なお、この例では、図1に示すように、Co−W−P合金からなる合金膜(配線保護膜)9を選択的に形成して配線8を保護する場合について説明する。
【0055】
先ず、表面に配線8を形成した基板W(図1参照、以下同じ)を該基板Wの表面を上向き(フェースアップ)で収納してロード・アンロードユニット12に搭載した基板カセット10から、1枚の基板Wを第1搬送ロボット26で取り出して膜厚/膜質測定ユニット22に搬送する。そして、この膜厚/膜質測定ユニット22上に載置された基板Wを第2搬送ロボット28で受取り、180゜反転させた後、基板保持ヘッド38に受渡す。つまり、前述のように、基板受け236を下降させた状態で、基板Wを基板挿入窓236aから基板受け236の内部に挿入し、基板受け236を上昇させ基板ガイド部254のシールリング254aを基板Wの周縁部下面に圧接させて基板Wを保持する。
【0056】
次に、揺動アーム32を揺動させて、基板保持ヘッド38を前処理ユニット18の直上方位置まで移動させる。次に、蓋体102を内槽100aの上端開口部を覆う位置から待避位置に移動させた状態で、基板保持ヘッド38を下降させて処理槽100の内槽100aの内部に位置させ、基板保持ヘッド38で保持して回転させた基板Wに向けて、内槽100aの内部に配置したノズル板124のスプレーノズル124aから前処理液を基板Wに向けて噴射し、これによって、配線8の表面に前処理を施す。この前処理液としては、例えば、液温が25℃で、0.005g/LのPdClと0.2ml/LのHClの混合液、または0.04g/LのPdSOと20ml/LのHSOの混合溶液が挙げられる。
【0057】
これにより、配線8の表面にある金属酸化膜を除去したり、配線8及び絶縁膜2の表面に残ったCMP残渣を除去したりすると同時に、配線8の表面に触媒としてのPdを付着させる。つまり配線8の表面に触媒核(シード)としてのPd核を形成して、配線8の露出表面を活性化させる。なお、前述のように、触媒付与処理によって前処理液中に混入する銅等の不純物の濃度を測定し、この不純物の濃度が所定の値に達したときに不純物を除去する前処理液浄化装置140を備えることで、使用済の前処理液を循環させて再利用することができる。
このめっき前処理時に基板Wを回転させることが好ましく、これにより、基板の表面全面に対する薬液反応の均一性を高めることができる。
【0058】
そして、基板保持ヘッド38を一旦上昇させ、必要に応じて、基板Wを高速で回転させて前処理液を振り切った後、前述のように、基板Wの上面の周縁部を該吸着リング250の下面でシールしながら基板Wを吸着保持し、更に、基板Wを基板ガイド部254から離した状態にする。しかる後、蓋体102を処理槽100の上端開口部を覆う位置に位置させ、ノズル板112のスプレーノズル112aから純水または還元力を有する電解イオン水等のリンス液を基板Wに向けて噴射して、基板に付着した前処理液をリンスするリンス処理を行う。
このリンス処理時にも基板Wを回転させることが好ましく、これにより、基板の表面全面に対する洗浄の均一性を高めることができる。
【0059】
次に、前述のようにして基板Wを基板保持ヘッド38で保持したまま、基板保持ヘッド38を無電解めっきユニット20の直上方位置まで移動させる。そして、めっき槽200内のめっき液を循環させた状態で、基板Wの表面に無電解めっき処理を施す。つまり、例えば、液温が80℃のCo−W−Pめっき液中に基板Wを、例えば120秒程度浸漬させて、活性化させた配線8の表面に選択的な無電解めっき(無電解Co−W−P蓋めっき)を施し、しかる後、基板保持ヘッド38を上昇させ、めっき後の1次リンスを行う。これによって、配線8の表面に、Co−W−P合金からなる合金膜(配線保護膜)9を選択的に形成して配線8を保護する。このめっき液の組成としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
【0060】
めっき液組成
・CoSO・7HO:14g/L
・Na・2HO:70g/L
・HBO:40g/L
・NaWO・2HO:12g/L
・NaHPO・HO:21g/L
・pH:9.5(NaOHで調整)
このめっき液の容量、温度及び各組成成分を、めっき液管理装置240によって所定の範囲内に維持する。
【0061】
ここで、筺体42の内部に、不活性ガスまたは還元性ガスを充填または循環させて、筺体42の内部を、少なくとも大気より酸素成分が少ない雰囲気となし、この状態で基板の前処理、リンス処理及びめっき処理を行うことが好ましい。これにより、触媒付与処理された配線8の表面に酸化膜が再生成されることを抑制したり、成膜中に保護膜が酸化されることを防止して、安定な膜質の合金膜を形成することができる。
【0062】
このめっき処理後の基板を基板保持ヘッド38から第2搬送ロボット28で受取り、180゜反転させた後、後洗浄ユニット24に搬送する。この後洗浄ユニット24で、基板Wを基板ステージで保持し回転させながら、基板Wの表裏両面に純水等の洗浄液を供給して、基板Wの表面及び裏面を洗浄し、更に基板ステージを介して基板Wを高速回転させることで、後洗浄後の基板Wをスピン乾燥する。
【0063】
次に、このスピン乾燥後の基板Wを第2搬送ロボット28で膜厚/膜質測定ユニット22に搬送し、この膜厚/膜質測定ユニット22で、必要に応じて配線8の表面に形成された合金膜9の膜厚及び膜質の少なくとも一方を測定し、この膜厚または膜質測定後の基板Wを第1搬送ロボット26でロード・アンロードユニット12に搭載された基板カセット10に戻す。
【0064】
そして、この配線8の露出表面に形成した保護膜9の膜厚または膜質を測定した測定結果を次の基板を無電解めっき処理する前にフィードバックし、これにより、この膜厚や膜質の変動に応じて、例えば次の基板に対するめっき処理の処理時間またはめっき液の成分を調整することで、基板の被処理下地表面に形成される合金膜の膜厚や膜質を制御する。
【0065】
この例によれば、めっき前処理後、基板に残った前処理液をリンスするリンス液として純水等の任意の液体を使用することができる。
なお、上記の例では、合金膜(配線保護膜)9として、Co−W−P合金膜を使用した例を示しているが、Co−P、Co−W−B、Co−B、Ni−W−P、Ni−P、Ni−W−BまたはNi−B等からなる配線保護膜を使用するようにしてもよい。また、配線材料として、銅を使用した例を示しているが、銅の他に、銅合金、銀、銀合金、金及び金合金等を使用しても良い。
【0066】
前記めっき前処理を、無電解めっき処理と同様に、基板を前処理液に浸漬させて行うようにしてもよい。これにより、基板処理中に基板を外部雰囲気と隔離して、活性化された金属部の表面が再酸化されてしまうことを防止することができる。また、めっき前処理液の溶存酸素量が調整可能となり、めっき前処理における触媒付与等の反応速度を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】無電解めっきによって配線保護膜を形成した状態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の無電解めっき装置の平面配置図である。
【図3】前処理ユニットの基板受渡し時における正面図である。
【図4】前処理ユニットの触媒付与処理時における正面図である。
【図5】前処理ユニットの清浄化処理時及び触媒薬液のリンス処理時における正面図である。
【図6】前処理ユニット及び無電解めっきユニットの系統図である。
【図7】基板保持ヘッドの基板受渡し時における要部拡大断面図である。
【図8】基板保持ヘッドの基板受けを上昇させ基板ガイド部のシールリングを基板の周縁部下面に圧接させて基板を保持した状態の要部拡大断面図である。
【図9】基板保持ヘッドの基板の上面の周縁部を吸着リングの下面でシールしながら基板を吸着保持し、更に基板を基板ガイド部から離した状態の要部拡大断面図である。
【図10】(a)は、基板の前処理(清浄化処理及び触媒付与処理)を行っている状態を、(b)は、基板に付着した薬液をリンスするリンス処理を行っている状態を、(c)は、基板表面にめっき処理を行っている状態をそれぞれ示す概要図である。
【図11】図2に示す無電解めっき装置におけるプロセスフロー図である。
【符号の説明】
【0068】
8 配線
9 保護膜
10 基板カセット
12 ロード・アンロードユニット
18 前処理ユニット
20 無電解めっきユニット
22 膜厚/膜質測定ユニット
24 後洗浄ユニット
30 旋回軸
32 揺動アーム
38 基板保持ヘッド
40 筺体
100 処理槽
102 蓋体
104 脚部
106 クランク
108 蓋体移動用シリンダ
112,124 ノズル板
112a,124a スプレーノズル
120 前処理液タンク
126 排水管
132 リンス液供給源
140 前処理液浄化装置
200 めっき槽
202 めっき液供給タンク
210 めっき液回収溝
216 ヒータ
218 流量計
220 熱交換器
222 加熱装置
224 攪拌ポンプ
234 吸着ヘッド
236 基板受け
240 めっき液管理装置
250 吸着リング
252 真空ライン
254 基板ガイド部
254a シールリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成された配線である金属部に配線保護膜を無電解めっきによって形成する無電解めっき装置であって、
処理槽を有する前処理ユニットと、
めっき槽を有する無電解めっきユニットと、
後洗浄ユニットとを有し、
前記前処理ユニットと前記無電解めっきユニットは、吸着ヘッドと該吸着ヘッドの周囲を囲繞する基板受けを備えた共通の基板保持ヘッドを有し、
前記吸着ヘッドには、円周方向に沿って延びる真空引き可能な凹状部を有する吸着リングが取付けられ、
前記基板受けは、内方に突出し内周端部にシールリングを有し、
前記吸着ヘッドによって前記シールリングを基板の周縁部に圧接させて、基板の周縁部を前記シールリングでシールして基板を保持し、
前記吸着リングの凹状部を真空引きして、基板の周縁部を前記吸着リングでシールしながら基板を吸着保持して基板を前記基板受けから引離すことを特徴とする無電解めっき装置。
【請求項2】
前記シールリングを洗浄するリンス液を噴射するノズルを更に有することを特徴とする請求項1記載の無電解めっき装置。
【請求項3】
前記基板保持ヘッドは、揺動自在な揺動アームの自由端に取付けられて、前記前処理ユニットと前記無電解めっきユニットとの間を移動することを特徴とする請求項1記載の無電解めっき装置。
【請求項4】
前記前処理ユニットでは、基板の表面を清浄化すると同時に、前記金属部に触媒を付与して該金属部の表面を活性化させるめっき前処理と、めっき前処理後の基板の表面に残った前処理液をリンスするリンス処理を行うことを特徴とする請求項1記載の無電解めっき装置。
【請求項5】
前記前処理ユニット、前記無電解めっきユニット及び前記基板保持ヘッドは、内部の雰囲気を装置全体と独立に調整できる筐体内部に配置されていることを特徴とする請求項4記載の無電解めっき装置。
【請求項6】
基板の表面に形成された配線である金属部に配線保護膜を無電解めっきによって形成する無電解めっき方法であって、
基板表面の周縁部を基板保持ヘッドのシールリングでシールした状態で基板表面に前処理液を接触させてめっき前処理を行い、
前記基板ヘッドによって基板裏面のみで基板を吸着保持しながら、リンスおよび無電解めっき処理を行うことを特徴とする無電解めっき方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【公開番号】特開2007−126756(P2007−126756A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28541(P2007−28541)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【分割の表示】特願2004−75363(P2004−75363)の分割
【原出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】