説明

焦点検出装置

【課題】 回路規模を小さくしつつ、超高輝度の被写体に対しても、精度の良い焦点調節を行うことができるようにすること。
【解決手段】 被写体からの光を受光して電荷蓄積する複数のラインセンサから得られる信号に基づいて焦点検出を行う焦点検出装置であって、それぞれが複数のラインセンサを含む複数のセンサブロックと、複数のセンサブロックそれぞれに対応し、前記センサブロックごとに各ラインセンサを予め決められた周期で巡回しながらラインセンサの信号をモニタする複数の複数のコンパレータと、モニタしているラインセンサの信号の内の最大値が予め決められた値以上になった場合に、当該ラインセンサにおける電荷蓄積を終了させる制御手段とを有し、コンパレータがそれぞれ1回の巡回を行う間の電荷蓄積により得られる複数のラインセンサの信号の最大値が、予め決められた値よりも低くなるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点検出装置に関し、更に詳しくは、カメラ等の撮像装置において焦点検出装置に用いられるラインセンサの電荷蓄積を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体の焦点検出状態を光電変換素子で検出して、その結果に応じて撮影レンズの焦点を変化させて自動的にピントを合わせるオートフォーカスカメラ(以下AFカメラ)等が一般的に使われている。最近では画面内の複数のポイント(以下、「AF枠」)の焦点状態を検出できるAFカメラもある。そこで、AF枠の増加に伴い問題となる焦点検出用の光電変換装置(AFセンサ)の回路規模の縮小に対して種々提案されている。
【0003】
例えば、光電変換素子をAF枠の領域に分割し、領域1から領域nの信号を順次走査しながら単一の制御部で各領域1〜nの蓄積時間を制御することで回路規模を小さくすることが特許文献1(図1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3854704号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の光電変換装置は、単一の制御部が制御する光電変換素子の領域を増やすほど回路規模が小さくなる一方で、順次走査の周期が長くなってしまい、蓄積終了タイミングが遅れてしまうことがある。特に、被写体が超高輝度である場合に、他の領域の信号を走査している間にある領域の信号が所定値を越えてしまい、結果として、その領域の像信号が光電変換素子やAD変換器のダイナミックレンジを超え、AF精度が悪化してしまうことがあった。
【0006】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、回路規模を小さくしつつ、超高輝度の被写体に対しても、精度の良い焦点調節を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、被写体からの光を受光して電荷蓄積する複数のラインセンサから得られる信号に基づいて、焦点検出を行う本発明の焦点検出装置は、それぞれが、前記複数のラインセンサの内の複数のラインセンサを含む、複数のセンサブロックと、前記複数のセンサブロックそれぞれに対応し、前記センサブロックごとに各ラインセンサを予め決められた周期で巡回しながら各センサブロックに含まれる複数のラインセンサの信号をモニタする複数のモニタ手段と、前記複数のモニタ手段がそれぞれモニタしているラインセンサの信号の内の最大値が予め決められた値以上になった場合に、当該ラインセンサにおける電荷蓄積を終了させる制御手段とを有し、前記複数のモニタ手段がそれぞれ1回の巡回を行う間の電荷蓄積により得られる前記複数のラインセンサの信号の前記最大値が、前記予め決められた値よりも低くなるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回路規模を小さくしつつ、超高輝度の被写体に対しても、精度の良い焦点調節を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係るカメラの概略構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態のカメラにおける光学系の構成を示す図。
【図3】第1の実施形態の焦点検出装置の光学的な配置を示す図。
【図4】第1の実施形態の絞りの開口部を示す図。
【図5】第1の実施形態におけるラインセンサの配置例を示す図。
【図6】第1の実施形態におけるラインセンサのAF枠の配置を示す図。
【図7】第1の実施形態の光電変換装置の構成を示す図。
【図8】第1の実施形態におけるピーク検出回路の動作を説明する図。
【図9】第1の実施形態におけるAFセンサ101の動作を示すタイミングチャート。
【図10】第2の実施形態におけるラインセンサの配置例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るAFセンサを備えたカメラの概略構成を示すブロック図である。
【0012】
カメラ用マイクロコンピュータ(CPU)100には、信号入力回路104、レンズ通信回路105、撮像センサ106、AEセンサ107、シャッタ制御回路108、AFセンサ101が接続されている。カメラの動作はスイッチ群114の設定で決定され、信号入力回路104はスイッチ群114へのカメラの各種操作を検知する。シャッタ制御回路108は、シャッタマグネット118a、118bを制御する。また、不図示の撮影レンズとはレンズ通信回路105を介して信号115の伝送がなされ、焦点位置や絞りの制御を行う。
【0013】
AFセンサ101はラインセンサを備えており、CPU100によりAFセンサ101を制御することで、ラインセンサで得られた被写体のコントラスト分布からデフォーカス量を検出し、不図示の撮影レンズの焦点位置を制御する。
【0014】
また、CPU100はAEセンサ107を制御することで、被写体の輝度を検出し、不図示の撮影レンズの絞り値や露光時間を決定する。そして、レンズ通信回路105を介して絞り値の制御、また、シャッタ制御回路108を介してマグネット118a、118bの通電時間を制御するとともに、撮像センサ106の電荷蓄積時間を制御するなどして、露光時間の制御を行う。
【0015】
CPU100内には、カメラ動作を制御するためのプログラムを格納したROM、変数を記憶するためのRAM、諸パラメータを記憶するためのEEPROM(電気的消去、書き込み可能メモリ)などの記憶回路109が内蔵されている。
【0016】
次に、図2を参照して、本第1の実施形態におけるカメラの光学系の構成について説明する。撮影レンズ200を介して入射した被写体からの光束の大部分はクイックリターンミラー205で上方に反射され、ファインダスクリーン203上に結像する。カメラのユーザーはこの像をペンタプリズム201、接眼レンズ202を介して観察する。
【0017】
また、撮影光束の一部はクイックリターンミラー205を透過し、後方のサブミラー206で下方へ曲げられて、視野マスク207、フィールドレンズ211、絞り208、二次結像レンズ209を経てAFセンサ101上に結像する。この像を光電変換して得られる像信号を処理することで、撮影レンズ200の焦点状態を検出することができる。撮影に際しては、クイックリターンミラー205が跳ね上がり、全光束は撮像センサ106上に結像され、被写体像の露光が行われる。
【0018】
なお、視野マスク207からAFセンサ101までにより構成される第1の実施形態における焦点検出装置での焦点検出方式は周知の位相差検出方式であり、画面内の異なる複数の領域の焦点状態を検出することが可能である。
【0019】
次に、図3を参照して、焦点検出装置の光学的な配置について説明する。サブミラー206で反射された被写体からの光束は図中の視野マスク207の近傍に一旦結像する。視野マスク207は画面内の焦点検出領域(AF枠)を決定するための遮光部材で、中央と両側にそれぞれ縦長の開口部を有している。
【0020】
フィールドレンズ211を構成する3つのレンズはそれぞれ視野マスク207の3つの開口部に対応している。該フィールドレンズ211の後方には絞り208が配置され、図4に示すように、中央部には上下に一対の2つの開口部208−1が、また左右の周辺部には上下に一対の2つの開口部208−2、208−3がそれぞれ設けられている。そして、ラインセンサ102−1〜6、ラインセンサ103−1〜8に入射する光束をそれぞれ制限する。
【0021】
フィールドレンズ211は絞り208の各開口部を撮影レンズ200の射出瞳付近に結像する作用を有している。絞り208の後方には二次結像レンズ209があり、3対計6つのレンズから構成され、それぞれのレンズは絞り208の各開口部208−1〜3に対応している。
【0022】
一般的にラインセンサに照射される光束が大きく明るいほど精度の高い焦点検出ができる。しかしながら、撮影レンズ200の周辺部を通過する光束はけられてしまう傾向があり、一部がけられてしまったような光束を制限するように開口部の形状を決定する必要がある。従って、図4に示すように、絞り208の開口部208−1の面積は開口部208−2、開口部208−3よりも大きく、開口部208−1を通過する光束は開口部208−2、開口部208−3を通過する光束よりも太く明るい。
【0023】
なお、視野マスク207及び開口部208−1〜3の大きさについては、詳細に後述する。
【0024】
視野マスク207、フィールドレンズ211、絞り208、二次結像レンズ209を通過した各光束は、AFセンサ101上の複数のラインセンサ上に結像する。ここで、ラインセンサと画面内のAF枠との関係について図5および図6を用いて説明する。
【0025】
図5はAFセンサ101上のラインセンサの配置例を示す図である。ラインセンサ102−1〜6、ラインセンサ103−1〜8はそれぞれ一対2本のラインセンサから構成され、対のラインセンサから得られた信号の位相差により焦点状態を検出する。対のラインセンサは二次結像レンズ209などの焦点検出系光学により被写体上のほぼ同じ領域(AF領域)に投影される。
【0026】
図5に示すAF領域とファインダ画面上のAF枠との関係を図6に示す。本第1の実施形態においては、ファインダ画面上には中央に3点(中央ブロック)、左右に2点ずつ(周辺ブロック)、計7点のAF枠を有している。
【0027】
中央ブロックのAF枠1にラインセンサ102−3、102−4を、AF枠2にラインセンサ102−1、102−2を、AF枠3にラインセンサ102−5、102−6をそれぞれ配置している。また、周辺ブロック(右)のAF枠4にラインセンサ103−1、103−2を、AF枠5にラインセンサ103−3103−4をそれぞれ配置している。更に、周辺ブロック(左)のAF枠6にラインセンサ103−5、103−6を、AF枠7にラインセンサ103−7、103−8をそれぞれ配置している。
【0028】
隣接したラインセンサ102−1とラインセンサ102−2は画素の半ピッチ分ずらして配置している。一般的に、被写体の空間周波数が高い場合、ラインセンサの画素位置と被写体コントラストの位相により、得られるAF結果に微小な誤差が生じる。そこで、半画素ピッチずれたラインセンサで得られた2つのAF結果の平均値を基にAF制御することで、誤差を軽減することができる。他の隣接するラインセンサも同様の理由で半画素ピッチずれた配置としている。
【0029】
次に、図7を参照して、本第1の実施形態におけるAFセンサ101の詳細な電気的な構成について説明する。図7において、中央ブロックは図5に示すようにAF枠1〜3に対応し、上述したようにラインセンサ102−1〜6が配置されている。また、周辺ブロックはAF枠4〜8に対応し、ラインセンサ103−1〜8が配置されている。ラインセンサ102−1には、図5に示すような一対のセンサ部と、一対のセンサ部の画素の中から蓄積中に一番大きい出力値(最大値)を検出するピーク検知回路が配置されている。更に、蓄積終了と同時にセンサ部の各画素に蓄積された出力値を一時的に記憶するメモリ部が配置されている。ラインセンサ102−2〜6、及びラインセンサ103−1〜8も同様の構成を有する。
【0030】
600はAF用CPUであり、ラインセンサ102−1〜6及び103−1〜8に接続され、各ラインセンサの蓄積及び信号の読み出しを制御している。
【0031】
ここで、ピーク検出回路の動作について説明する。中央ブロックのラインセンサ102−1〜6のピーク検出回路には、psel_cn(n=1〜6)を順次ハイとしてアナログスイッチ602がONになっている間、回路に電源が供給される。そして、アナログスイッチ602がONとなることで選択されたラインセンサのセンサ部の各画素に蓄積された出力値の内、一番大きい信号p_out_cがコンパレータ603の入力部に出力される。コンパレータ603は、所定の電圧VRと信号p_out_cとを比較し、信号comp_cをAF用CPU600に出力する。信号comp_cは、信号p_out_cがVRより大きい、即ち蓄積を終了すべきという時に1を出力する。図8に信号p_out_c、comp_c、電圧VRの関係を示す。
【0032】
周辺ブロックにおいても、アナログスイッチ602をONするpsel_lrm(m=1〜8)を順次ハイとして、選択されたラインセンサのセンサ部の各画素に蓄積された出力値の内、一番大きい信号p_out_lrがコンパレータ604に出力される。そして、電圧VRと比較し、比較結果素を示す信号comp_lrをAF用CPU600に出力することで、中央ブロックと同様の動作が行われる。
【0033】
図9は、AFセンサ101の動作を示すタイミングチャートである。AF用CPU600がリセット信号rstをハイとすると、ラインセンサ102−1〜6、103−1〜8の全てのセンサ部の電荷がクリアされ、ここより全てのラインセンサの蓄積制御が始まる。AF用CPU600は、中央ブロックに対しては信号psel_c1、psel_c2・・・、psel_c6のように順次ハイ出力して、最後のラインセンサ102−6に対して信号psel_c6を出力した後は、また信号psel_c1に戻る。
【0034】
このように、中央ブロック(センサブロック)において、psel_cn(n=1〜6)を順次ハイとすることによって、ラインセンサ102−1〜6の各アナログスイッチ602が順次ONとなる。従って、ピーク信号p_out_cを巡回してモニタすることができる。そして、AF用CPU600は、コンパレータ603から出力される信号comp_cに基づいて、選択されたラインセンサからのピーク信号p_out_cが所定レベルを超えているか否かを判断し、そのラインセンサの蓄積を継続するか中止するかの制御を行う。
【0035】
また、周辺ブロック(センサブロック)に対しては信号psel_lr1、psel_lr2・・・、psel_lr8と順次ハイとしていく。そして、最後のラインセンサ103−8に対して信号psel_lr8を出力した後は、また信号psel_lr1に戻る。このように、周辺ブロックにおいて、psel_lrm(m=1〜8)を順次ハイとすることによって、ピーク信号p_out_lrを巡回してモニタすることができる。そして、AF用CPU600は、コンパレータ604から出力されるcomp_lrに基づいて、中央ブロックと同様の制御を行う。
【0036】
次に、本第1の実施形態における、開口部208−1〜3の大きさについて、詳細に説明する。
【0037】
まず、信号psel_cn(n=1〜6)、psel_lrm(m=1〜8)をハイとする期間(モニタ周期)をTm[sec]とし、ラインセンサの感度をSENS[V/(lx・sec)]とする。また、開口部208−1を通過してAFセンサ101に投影されたときの像面照度をE1[lx]、開口部208−2、208−3を通過してAFセンサ101に投影されたときの像面照度をE2[lx]とする。なお、電圧VRは、光電変換素子やAD変換器で規定されるダイナミックレンジVDRよりも小さく、例えば、ダイナミックレンジVDRの半分程度としている(VR=VDR/2)。このようにすることにより、後述するメモリ転送のために、巡回周期が長くなったとしても、蓄積される信号がダイナミックレンジVDRを超えないようにしている。
【0038】
各ラインセンサが少なくとも1回の巡回では蓄積終了判定をされないようにするために、中央ブロックにおいて、一回の巡回で蓄積するピーク信号VPK1は下記の式(1)に示す条件を満たす必要がある。
VPK1 = SENS×E1×Tm×6 < VR …(1)
【0039】
従って、中央ブロックのラインセンサから精度のよい信号を得るためには下記の式(2)に示す条件を満たす必要がある。
E1 < VR/(SENS×Tm×6) …(2)
中央ブロックに投影される光の像面照度E1が上記式を満たすような輝度が、中央ブロックの高輝度限界L1となる。
同様に、周辺ブロックにおいて、一回の巡回で蓄積するピーク信号VPK2は下記の式(3)に示す条件を満たす必要がある。
VPK2 = SENS×E2×Tm×8 < VR …(3)
【0040】
従って、周辺ブロックのラインセンサから精度のよい信号を得るためには下記の式(4)に示す条件を満たす必要がある。
E2 < VR/(SENS×Tm×8) …(4)
周辺ブロックに投影される光の像面照度E2が上記式を満たすような輝度が、周辺ブロックの高輝度限界L2となる。
つまり、同じ輝度の被写体に対して、E1:E2=8:6となるようにすると、VPK1=VPK2となり、L1=L2となりため、中央ブロックと周辺ブロックの高輝度限界は同じになる。従って、本第1の実施形態では、E1:E2が8:6に近づくように開口部208−1〜3の大きさを設定する。
【0041】
仮に、中央ブロックと周辺ブロックの計14個のラインセンサを1個のモニタ回路で制御した場合を考える。このとき、ラインセンサ102−1〜6、103−1〜8の順で巡回していくとすると、1回の巡回でのピーク信号VOUT3は下記の式(5)で表される。
VPK3 = SENS×E2×Tm×14 > VR …(5)
【0042】
従って、ラインセンサのダイナミックレンジを超えてしまい、高輝度限界が悪化してしまう。このようにモニタ回路を1個追加したのみで高輝度限界を向上することができるため、超高輝度の被写体に対しても、精度の良い焦点調節を行うことができるようになる。
次に、センサ部の各画素の光電変換信号のメモリ部への転送について、図9を参照して説明する。
【0043】
信号psel_cn(n=1〜6)を順位ハイとしているときに、comp_cが1であれば、AF用CPU600は信号trans_cn(n=1〜6)をハイとする。これにより、そのラインセンサの巡回を中止し、センサ部に蓄積された各画素の光電変換信号をメモリ部に転送する。図8にラインセンサ102−5が蓄積を終了する例を示している。例えば、中央ブロックのk番目の巡回kにおいて、信号psel_c5をハイ出力しているときにラインセンサ102−5のピーク信号が電圧VR以上(予め決められた値以上)になると、信号comp_cが反転してハイとなる。これに応じて、AF用CPU600はtrans_c5をハイとして、画素の光電変換信号をメモリ部に転送する。信号を転送している間は、中央ブロック、周辺ブロックともに巡回を中止する。その後、stint端子から信号出力することで外部に対して蓄積が終了したことを知らせる。
【0044】
信号comp_cが0であれば、転送動作は行わずラインセンサの蓄積を継続する。巡回k+1ではラインセンサ102−5の蓄積は終了しているため、psel_c1、psel_c2、psel_c3、psel_c4、psel_c6と順次ハイとしていき、psel_c5の出力はスキップする。同様に各ラインセンサの蓄積が終了すると、巡回をスキップしていく。なお、中央ブロック、周辺ブロックともに所定レベルの信号が蓄積され、信号comp_c、comp_lrが同時にハイとなった場合は、以下のようにする。すなわち、該当する信号trans_cn(n=1〜6)のいずれか1つと、trans_lrm(m=1〜8)のいずれか1つとを同時に出力し、各センサ部の光電変換信号をメモリ部に同時に転送する。
【0045】
メモリ部に転送された信号は、アナログスイッチ601をONするための信号sel_cn(n=1〜6)、sel_lrm(m=1〜8)により対象のラインセンサが選択され、信号shiftによって各ラインセンサから出力を読み出すことができる。すなわち、メモリ部からは、アナログスイッチ601がONになっている間、AF用CPU600からの信号shiftによって各画素の出力が順次出力アンプ605の入力に出力される。出力アンプ605は適切なゲインでVout端子より画素信号を出力する。
【0046】
AF用CPU600には、不図示のレジスタがあり、通信端子であるcs、sclk、miso、mosi端子を使って外部からシリアル通信することで、レジスタ値の読み出しや書き込みができる。
【0047】
さらに、AF用CPU600には、一定周期のクロック信号を生成する不図示のクロックジェネレータと、生成されたクロックを基に蓄積時間を計測するカウンタを有する。また、外部からレジスタの設定することで、蓄積モニタの対象ラインセンサを設定できる。
【0048】
上記の通り本第1の実施形態によれば、二次結像レンズから投影される光の明るさに応じた個数のラインセンサを配置する、言い換えれば、ラインセンサの個数に応じた光の明るさとなるように開口部を調節する。更に、コンパレータを複数設けることにより、回路規模の縮小と高輝度被写体に対する精度の両立を実現することができる。
【0049】
なお、複数の開口を介して二次結像レンズから投影される光の明るさの比と、複数の開口にそれぞれ対応するランセンサの数の比とを厳密に一致させる必要はない。例えば、所望の高輝度限界から、1つのコンパレータに接続するラインセンサの数の最大数を逆算して配置すればよい。また、カメラの仕様からラインセンサ数が決まっており、所望の高輝度限界を達成できない場合は、コンパレータの数を増やし、1つのコンパレータに接続するラインセンサの数を少なくして巡回周期を短くすることで、高輝度限界を向上することもできる。
【0050】
<第2の実施形態>
次に、図10を参照して、本発明の第2の実施形態に係る光電変換装置について説明する。なお、本第2の実施形態におけるカメラの基本的な構成は図1及び図2を参照して説明したものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0051】
本第2の実施形態では、上述した第1の実施形態とは異なり、図4に示す開口部208−1の面積と、開口部208−2、208−3それぞれの面積とが等しく、同じ輝度の被写体が各ラインセンサには等しい像面照度Eで投影されるものとする。
【0052】
図10はAFセンサ101上のラインセンサの配置例を示す図である。本第2の実施形態では、AFセンサ101はラインセンサ124−1〜6、ラインセンサ125−1〜8を有し、ラインセンサ124−1〜6とラインセンサ125−1〜8の各画その受光面積比を8:6とする。従って、ラインセンサ124−1〜6の感度をSENS1、ラインセンサ125−1〜8の感度をSENS2とすると下記の式(6)に示す関係が成り立つ。
6×SENS1 = 8×SENS2 …(6)
【0053】
なお、AFセンサ101の詳細な電気的な構成は、第1の実施形態において図7を参照して説明したものと同様である。ただし、図10のラインセンサ124−1〜6が図6のラインセンサ102−1〜6に対応し、図10のラインセンサ125−1〜8が図6のラインセンサ103−1〜8に対応する。また、AFセンサ動作のタイミングチャートは図9と同様である。
【0054】
中央ブロックのラインセンサ124−1〜6が1回の巡回で蓄積するピーク信号VPK3は下記の式(7)で表される。
VPK3 = SENS1×E×Tm×6 …(7)
【0055】
周辺ブロックのラインセンサ125−1〜8が一回の巡回で蓄積するピーク信号VPK4は下記の式(8)で表される。
VPK4 = SENS2×E×Tm×8 …(8)
【0056】
6×SENS1=8×SENS2であるため、VPK3=VPK4が得られ、それぞれのブロックの1周期で得られる信号は等しくなり、高輝度限界も等しくなる。
上記の通り本第2の実施形態によれば、1つのモニタ回路でモニタするラインセンサの数に応じて、ラインセンサの感度を変えることで、回路規模の縮小と高輝度被写体に対する精度の両立を実現することができる。
【0057】
なお、ラインセンサの感度の比と、1つのモニタ回路に接続するラインセンサの数の比とを厳密に一致させる必要はない。所望の高輝度限界に基づいて、1回の巡回で規定を越えないように、1つのモニタ回路に接続するラインセンサの数及び感度を決めればよい。また、カメラの仕様からラインセンサ数が決まっており、所望の高輝度限界を達成できない場合は、コンパレータの数を増やし、1つのコンパレータに接続するラインセンサの数を少なくして巡回周期を短くすることで、高輝度限界を向上することもできる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を受光して電荷蓄積する複数のラインセンサから得られる信号に基づいて、焦点検出を行う焦点検出装置であって、
それぞれが、前記複数のラインセンサの内の複数のラインセンサを含む、複数のセンサブロックと、
前記複数のセンサブロックそれぞれに対応し、前記センサブロックごとに各ラインセンサを予め決められた周期で巡回しながら各センサブロックに含まれる複数のラインセンサの信号をモニタする複数のモニタ手段と、
前記複数のモニタ手段がそれぞれモニタしているラインセンサの信号の内の最大値が予め決められた値以上になった場合に、当該ラインセンサにおける電荷蓄積を終了させる制御手段とを有し、
前記複数のモニタ手段がそれぞれ1回の巡回を行う間の電荷蓄積により得られる前記複数のラインセンサの信号の前記最大値が、前記予め決められた値よりも低くなるようにしたことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
前記センサブロックごとに開口を有し、前記被写体からの光の光束を制限するための絞りを有し、
前記開口の大きさは、前記複数のモニタ手段が1回の巡回でそれぞれモニタする前記複数のラインセンサの信号の内の最大値が、前記予め決められた値よりも低くなる大きさであることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
より狭い前記開口に対応する前記センサブロックに含まれるラインセンサの数は、より広い前記開口に対応する前記センサブロックに含まれるラインセンサの数よりも多いことを特徴とする請求項2に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
前記ラインセンサの感度は、前記複数のモニタ手段が1回の巡回でそれぞれモニタする前記複数のラインセンサの信号の内の最大値が、前記予め決められた値よりも低くなる感度であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項5】
前記ラインセンサの感度は、前記センサブロックごとに異なり、
前記センサブロックそれぞれに含まれるラインセンサの数が多いほど、前記感度が低いことを特徴とする請求項4に記載の焦点検出装置。
【請求項6】
前記予め決められた値は、前記複数のラインセンサを構成する光電変換素子のダイナミックレンジよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項7】
前記複数のラインセンサの信号をAD変換するAD変換器を更に有し、
前記予め決められた値は、前記AD変換器のダイナミックレンジよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の焦点検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−211946(P2012−211946A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76394(P2011−76394)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】