焦点調整装置、焦点調整方法およびプログラム
【課題】輝度信号に含まれるノイズ成分の影響を強く受ける状況であっても、信頼性が高い合焦精度を得ることを目的とする。
【解決手段】被写体像を光電変換することによって撮像部により生成される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する焦点調整装置が、被写体の撮影時の露出条件を検出する露出条件検出手段と、撮像信号の高周波成分に基づく焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、露出条件検出手段により検出された露出条件に基づいて、焦点評価値算出手段で取得する焦点評価値のデータ数を設定する設定手段と、焦点評価値算出手段において設定手段で設定されたデータ数算出された焦点評価値に基づいて、フォーカスレンズを駆動するフォーカスレンズ制御手段と、を有する。
【解決手段】被写体像を光電変換することによって撮像部により生成される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する焦点調整装置が、被写体の撮影時の露出条件を検出する露出条件検出手段と、撮像信号の高周波成分に基づく焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、露出条件検出手段により検出された露出条件に基づいて、焦点評価値算出手段で取得する焦点評価値のデータ数を設定する設定手段と、焦点評価値算出手段において設定手段で設定されたデータ数算出された焦点評価値に基づいて、フォーカスレンズを駆動するフォーカスレンズ制御手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点調整装置、焦点調整方法およびプログラムに関するものである。撮像した撮像信号の鮮鋭度(コントラスト)を用いて焦点調整を行う電子撮像装置などに用いられて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、電子撮像装置(デジタルカメラ)などにおいて、フォーカスレンズを動かして被写体に自動的に焦点を合わせるオートフォーカス方法の一つとして、CCDなどの撮像素子から得られる輝度信号を用いて合焦動作を行う方法が知られている。このオートフォーカス方法では、撮影画面内に設定された測距領域内における信号の高周波成分より評価値(以下、焦点評価値という)を取得する。そして、取得した焦点評価値に基づいてフォーカスレンズを所定範囲内で移動させて最も鮮鋭度(コントラスト)の高いフォーカスレンズ位置を検出し(以下、AFスキャンという)、合焦点を求めるのが一般的である。
【0003】
このオートフォーカス方法では、被写体の照度が低かったり被写体のコントラストが低く輝度信号の高周波成分が少なかったりする場合、焦点評価値が小さくなると共に輝度信号に含まれるノイズ成分の割合が大きくなり、良好な合焦精度を得ることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−258681号公報
【特許文献2】特開2000−214379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、1回目のAFスキャンによる合焦判定で合焦不可能と判定された場合に、2回目のAFスキャンを行い、2回のAFスキャンで得られた焦点評価値を加算することで合焦能力を向上させ、合焦精度を向上させる技術が開示されている。ところが、特許文献1に開示された方法では、1回目のAFスキャンと2回目のAFスキャンとの間で時間差が生じてしまい易い。時間差が生じ、撮影シーンが変化してしまった場合にも焦点評価値を加算してしまうため、加算された焦点評価値が誤った値となり、オートフォーカスの信頼性を低下させてしまうという問題点がある。
【0006】
また、特許文献2では、焦点評価値が最大となるようにフォーカスレンズの移動と焦点評価値の取得、合焦点の判断を繰り返し実施する焦点調整方法が開示されている。この焦点調整方法では、フォーカスレンズの移動が所定回数同じ場合には、次の移動が同一方向となることを禁止することで、焦点評価値の変動の影響を抑え、確実な合焦方向の検出を可能にするものである。
【0007】
ところが、特許文献2で開示された方法では、焦点評価値の信頼性が向上する反面フォーカスレンズの方向反転動作の頻度が増加してしまう。したがって、方向反転時に機械的なガタを詰まる際に音が発生する場合がある。特に、本体サイズに制限の多いコンパクトデジタルカメラにおいては、マイクの位置や機械駆動部の位置関係が近接する傾向が強く、動画記録中にAF動作を行う場合は、機械的な駆動音が動画の音声に記録されてしまう問題がある。
【0008】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、輝度信号に含まれるノイズ成分の影響を強く受ける状況であっても、信頼性が高い合焦精度を得ることのできる焦点調整装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被写体像を光電変換することによって撮像部により生成される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する焦点調整装置であって、被写体の撮影時の露出条件を検出する露出条件検出手段と、前記撮像信号の高周波成分に基づく焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記露出条件検出手段により検出された露出条件に基づいて、前記焦点評価値算出手段で取得する焦点評価値のデータ数を設定する設定手段と、前記焦点評価値算出手段において前記設定手段で設定されたデータ数算出された焦点評価値に基づいて、前記フォーカスレンズを駆動するフォーカスレンズ制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像信号に含まれるノイズの割合が大きくなる場合であっても、信頼性の高い合焦精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】撮像装置の焦点調整動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】微小駆動動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】山登り駆動動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】焦点評価値算出領域の設定の流れを示すフローチャートである。
【図6】代表値算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】焦点評価値とフォーカスレンズとの動きを説明するための図である。
【図8】焦点評価値算出領域の切り替え後の状態を説明するための図である。
【図9】代表値算出データ数が5の場合の代表値の概要を説明するための図である。
【図10】第2の実施形態に係る代表値算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】代表値算出の概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態は以下に示す通りである。本実施形態では、焦点調整装置として、電子撮像装置(以下、撮像装置)を用いる場合について説明する。
(第1の実施形態)
以下、本実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
<撮像装置の回路構成>
まず、本実施形態に係る撮像装置1の回路構成について説明する。図1は、本実施形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図である。
撮影レンズ101は、ズーム機構を含む従来一般の撮像レンズである。絞りシャッタ制御部102は、光量を制御する絞りおよびシャッタの駆動を制御する。フォーカスレンズ制御部104は、撮像素子108上に焦点を合わせるためのフォーカスレンズの駆動を制御する。なお、絞りシャッタ制御部102とフォーカスレンズ制御部104は、レンズなどの光学要素、絞り・シャッタといった機構、これらを駆動するためのアクチュエータ、これらを制御するための駆動回路、D/A変換器などが含まれる。すなわち、制御対象を動作させるための必要な各種装置を含んでいるものとする。ストロボ106は、外部に向けて発光する。EF処理部107は、ストロボ106を制御して発光させる。
【0014】
撮像素子108は、反射光を電気信号に変換する受光手段または光電変換手段であり、例えばCCDやCMOSイメージャからなる。撮像素子108は、入射された光を光電変換で電荷に変換し撮像信号として出力する。撮像処理部109は、CDS回路と非線形増幅回路とA/D変換部とを含む。CDS回路は、撮像素子108の出力ノイズを相関二重サンプリング方式により除去する。非線形増幅回路は、CDS回路によりノイズ除去された撮像信号に対して信号増幅(ゲイン制御)を行う。A/D変換部は、供給されたアナログ信号である撮像信号をデジタル信号に変換する。撮像素子108と撮像処理部109とが、被写体像を光電変換することにより撮像信号を生成する撮像部として機能する。
【0015】
画像処理部110は、撮像信号(すなわち画像データ)のガンマ補正や輪郭補正などの所定の画像処理を実施する。また、画像処理部110は、WB処理部111の制御に基づき、撮像信号のホワイトバランス処理を行う。フォーマット変換部112は、供給された撮像信号を、画像記録部114における記録媒体への記録や、操作表示部117における表示に適した形式に変換する。DRAM113は、高速な内蔵メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)である。DRAM113は、撮像信号を一時的に記憶できる記憶手段としての高速バッファとして、あるいは画像の圧縮伸張における作業用メモリなどに使用される。画像記録部114は、メモリカードなどの記録媒体とそのインターフェースからなり、撮像信号を記録する。
【0016】
システム制御部115は、例えばCPU、RAMおよびROMを有する。システム制御部115は、ROMに予め記憶されたプログラムに従い、RAMを作業領域として用いながら、撮像装置1全体の動作を制御する。なお、後述するフローチャートの各処理は、システム制御部115がプログラムを実行することにより実現される。
AE処理部103は、撮像処理部109より取得された撮像信号を基に、被写体の明るさに応じた測光値を算出する。すなわち、AE処理部103と撮像処理部109は、被写体を撮影するときの露出条件を検出する露出条件検出部として機能する。そして、システム制御部115は、AE処理部103が算出した測光値に基づいて、絞りシャッタ制御部102と撮像処理部109の非線形増幅回路とを制御し、露光量を自動的に調整する自動露出(AE)処理を実施する。
AF処理部105は、撮像処理部109より取得される画像信号を基に、高周波成分を抽出し、撮像信号の鮮鋭度を示す焦点評価値を算出する。すなわち、AF処理部105は、焦点評価値を算出する焦点評価値算出部として機能する。そして、システム制御部115は、AF処理部105が算出した焦点評価値に基づいてフォーカスレンズ制御部104を制御し自動焦点調整(AF)処理を実施する。
【0017】
VRAM116(画像表示用メモリ)は、撮像信号などを記録する。操作表示部117は、画像表示や操作補助のための表示やカメラ状態の表示を行うことができる。また、操作表示部117は、撮影時においては、撮影画面を表示することができる。メインスイッチ(メインSW)118は、撮像装置1の電源をON/OFFするためのスイッチである。第1のスイッチ(SW1)119は、AFやAEなどの撮影スタンバイ動作(撮影準備動作)を行うためのスイッチである。第2のスイッチ(SW2)120は、第1のスイッチ119の操作後、撮影を行うためのスイッチである。
【0018】
<基本動作>
次に、本実施形態の動画記録中に実施される焦点調整動作の流れを図2に示すフローチャートを参照して説明する。図2に示す焦点調整動作の処理は、プログラムとして、システム制御部115のROMなどに記憶されている。そして、メインスイッチ118が操作されて電源が投入され、撮像装置1が起動した後に、主にシステム制御部115およびフォーカスレンズ制御部104が実行する。
【0019】
まず、ステップS200において、システム制御部115は、撮像信号における焦点評価値の算出を行う領域の設定を行う。後述するように、システム制御部115は、設定した領域の高周波成分に基づいて焦点評価値を算出する。領域の設定の詳細については後述する。
ステップS201では、フォーカスレンズ制御部104は、微小駆動動作を行う。ここで、システム制御部115は、合焦しているか、合焦していない場合どちらの方向に合焦点があるかを判定する。微小駆動動作の詳細な説明は後述する。
【0020】
ステップS202では、システム制御部115は、ステップS201において合焦しているか否かを判定する。合焦していると判定された場合、ステップS208に進む。一方、ステップS202において、合焦していると判定されなかった場合、ステップS203に進む。
ステップS203では、システム制御部115は、ステップS201において方向判別が完了しているか否かを判定する。方向判別が完了している場合、ステップS204に進む。一方、方向判別が完了していない場合、ステップS200に戻り、システム制御部115は焦点評価値算出領域を設定し、ステップS201ではフォーカスレンズ制御部104が微小駆動動作を継続する。
【0021】
ステップS204では、フォーカスレンズ制御部104は、焦点評価値が大きくなる方向にフォーカスレンズを高速で駆動させる山登り駆動動作を行う。なお、山登り駆動動作の詳細は後述する。
次に、ステップS205では、システム制御部115は、ステップS204において焦点評価値が頂点(ピーク)を越えたか否かを判定する。頂点を越えたと判定された場合、ステップS206に進む。一方、ステップS204で焦点評価値が頂点を越えたと判定されていない場合、ステップS204に戻り、フォーカスレンズ制御部104は、山登り駆動動作を継続する。
【0022】
ステップS206では、フォーカスレンズ制御部104は、山登り駆動動作における焦点評価値のピーク位置にフォーカスレンズを移動する。
ステップS207では、システム制御部115は、フォーカスレンズがピーク位置への移動が完了しているか否かを判定する。移動が完了している場合、ステップS200に戻る。一方、移動が完了していない場合、システム制御部115は、ピーク位置への移動の完了を待機する。
【0023】
上述したステップS202において合焦していると判定され、ステップS208に進んだ場合、システム制御部115は、DRAM113に合焦状態における焦点評価値を記憶する。DRAM113に記憶された焦点評価値は、ステップS209以降における焦点調整動作の再起動判定に用いられる。
ステップS209では、システム制御部115は、設定されているフォーカスレンズの位置で得られた1つ以上の焦点評価値に基づいて、そのフォーカスレンズの位置における焦点評価値の代表値を算出する。この代表値算出処理については後述する。
【0024】
次に、ステップS210では、システム制御部115は、ステップS208で記憶した合焦状態での焦点評価値と最新の焦点評価値の代表値とを比較し、所定レベル以上の差があるかを判定する。システム制御部115は、所定レベル以上の差がある場合、焦点調整動作の再起動が必要であると判定し、所定レベル以上の差がない場合、焦点調整動作の再起動が必要ないと判定する。
ステップS211では、システム制御部115は、再起動条件が成立しているか否かを判定する。ステップS210において、焦点調整動作の再起動が必要であると判定されている場合、再起動条件が成立し、ステップS200に戻り、システム制御部115は、焦点調整動作を再開する。一方、ステップS210において、焦点調整動作の再起動が必要ないと判定されている場合、再起動条件が成立せず、ステップS209に戻る。システム制御部115は、周期的に得られる焦点評価値(代表値を含む)に基づいて、再起動判定を継続し、その変化を監視する。
【0025】
<微小駆動動作>
次に、微小駆動動作について図3に示すフローチャートおよび図7に示すフォーカスレンズの移動軌跡と焦点評価値との関係を示す図を参照して説明する。ここで、微小駆動動作とは、所定量ずつフォーカスレンズを移動させ、取得される焦点評価値の増減に基づいて合焦位置や合焦位置の方向を特定する、低速な焦点調整動作である。
【0026】
ステップS300では、システム制御部115は、現在のフォーカスレンズ位置で取得した焦点評価値に基づいて、現在のフォーカスレンズ位置における焦点評価値の代表値を算出する。この代表値算出処理については後述する。
ステップS301では、システム制御部115は、ステップS300で算出された代表値が前回算出された焦点評価値よりも大きいか否かを判定する。代表値が焦点評価値以下の場合、ステップS303に進み、代表値が焦点評価値よりも大きい場合、ステップS302に進む。
ステップS302では、フォーカスレンズ制御部104は、前回の順方向に所定量フォーカスレンズを駆動する。このとき、システム制御部115が、連続して順方向に駆動した回数をカウントし、さらに、駆動した後のフォーカスレンズ位置を記憶する。一方、ステップS303では、フォーカスレンズ制御部104は、前回の逆方向に所定量フォーカスレンズを駆動する。このとき、システム制御部115は、駆動した後のフォーカスレンズ位置を記憶する。
【0027】
次に、ステップS304では、システム制御部115は、フォーカスレンズの移動方向が、所定回数にわたって連続して同一方向であるか否かを、ステップS302によりカウントした回数に基づいて判定する。連続して同一方向であると判定された場合、ステップS307に進む。
ステップS307では、システム制御部115は、合焦位置の方向が、現在の進行方向であると方向を特定し、処理を終了する。
【0028】
ここで、図7を参照して、これまでのフォーカスレンズの移動軌跡と焦点評価値との関係を説明する。図7に示す右側の横軸が時間を示し、左側の横軸が焦点評価値を示し、縦軸がフォーカスレンズ位置を示している。実線で示す矢印は、微小駆動動作の1回の制御を示している。また、破線で囲んだ領域(a)は、図3のステップS304、ステップS307で所定回数、連続して同一方向に微小駆動が実施され、合焦位置の方向が特定できた場合を示している。
【0029】
一方、ステップS304において、移動方向が連続して同一方向であると判定されなかった場合、ステップS305に進む。
ステップS305では、システム制御部115は、フォーカスレンズ位置が所定回数にわたって同一エリア内に存在しているか否かを判定する。ここで、所定回数にわたって同一エリア内に存在していないと判定された場合、そのまま処理を終了する。一方、所定回数にわたって同一エリア内に存在していると判定された場合、ステップS306に進む。
ステップS306では、システム制御部115は、合焦している、すなわちフォーカスレンズ位置が合焦位置にあると判定する。
【0030】
ここで、図7を参照して、これまでのフォーカスレンズの移動軌跡と焦点評価値との関係を説明する。図7に示す破線で囲んだ領域(b)は、焦点評価値の山の頂上付近では微小駆動に伴い焦点評価値が増減するため、その結果、領域αの範囲内で微小駆動動作によるフォーカスレンズの軌跡が行ったり来たりすることになる。この状態を微小駆動動作における合焦状態としている。
以上が、本実施形態の微小駆動動作の説明である。
【0031】
<山登り駆動動作>
次に、山登り駆動動作について図4に示すフローチャートおよび図7を参照して説明する。ここで、山登り駆動動作とは、所定速度でフォーカスレンズを移動させながら、取得される焦点評価値の増減に基づいて合焦位置を特定する、高速な焦点調整動作である。
【0032】
ステップS400では、システム制御部115は、AF処理部105から焦点評価値を取得する。
ステップS401では、システム制御部115は、ステップS400で取得した焦点評価値が前回の焦点評価値よりも大きいか否かを判定する。前回の焦点評価値よりも大きい場合、ステップS403に進み、前回の焦点評価値よりも大きくない場合、ステップS402に進む。ステップS403では、フォーカスレンズ制御部104は、前回と同一方向に所定の速度でフォーカスレンズを駆動し、ステップS400に戻る。
【0033】
ステップS402では、システム制御部115は、焦点評価値がピークを越えて減少しているか否かを判定する。焦点評価値がピークを越えて減少していない場合、ステップS404に進み、焦点評価値がピークを越えて減少している場合、処理を終了する。
ステップS404では、フォーカスレンズ制御部104は、前回と逆方向に所定の速度でフォーカスレンズを駆動し、ステップS400に戻る。
【0034】
ここで、図7に示す点線の矢印は、上述した山登り駆動動作のうち、微小駆動動作で検出した焦点位置の方向に山登り駆動動作を実施し、焦点位置を検出するまでのフォーカスレンズの軌跡を示している。図7に示すように山登り駆動動作の移動方向が焦点評価値の増加方向と一致しているならば、焦点評価値の山のピークすなわち焦点位置を通過するまで山登り駆動動作が継続される。逆に、微小駆動動作から山登り駆動動作に移り、移動方向が焦点評価値の増加方向と逆だった場合には、それを検出した時点で山登り駆動動作の進行方向を反転し正しい焦点位置を検出する。
以上が、本実施形態の山登り駆動動作の説明である。
【0035】
<焦点評価値算出領域設定>
次に、上述したステップS200の焦点評価値算出領域設定について図5に示すフローチャートおよび図8を参照して説明する。
まず、ステップS500では、システム制御部115は、現在の露出条件として、撮像処理部109における非線形増幅回路での信号増幅量(以下、ゲイン量)を取得する。ゲイン量は、撮像信号の信号レベルを一定にするためのものである。AE処理部103、システム制御部115によって実施される自動露出(AE)処理によりゲイン量は制御され、例えば、明るいシーンで撮像信号が所望の信号レベルを維持できる場合にはゲイン量は少なくてすむ。しかしながら、暗いシーンで所望の信号レベルを維持できない場合にはゲイン量は大きくなる傾向にある。システム制御部115は、取得したゲイン量が所定値G1よりも大きいか否かを判定する。所定値G1よりも大きい場合、ステップS501に進み、所定値G1よりも大きくない場合(所定値以下の場合)、ステップS502に進む。
【0036】
ステップS502では、システム制御部115は、後述する代表値算出処理において代表値を算出する際に使用する焦点評価値の数(以下、代表値算出データ数)を1(第1の値)に設定する。この処理は、設定手段による処理の一例に対応する。その後、ステップS505では、システム制御部115は、焦点評価値算出領域(特定領域)を図8(a)に示す領域80aのように設定する。この処理は、特定領域決定手段による処理の一例に対応する。
一方、ステップS501では、システム制御部115は、取得したゲイン量が所定値G2よりも大きいか否かを判定する。所定値G2よりも大きい場合、ステップS504に進み、所定値G2よりも大きくない場合、ステップS503に進む。ステップS503では、システム制御部115は、代表値算出データ数を3(第1の値または第2の値)に設定する。
一方、ステップS504では、システム制御部115は、代表値算出データ数を5(第2の値)に設定する。
その後、ステップS506では、システム制御部115は、焦点評価値算出領域を図8(b)に示す領域80bのように設定する。
【0037】
このように、ゲイン量に応じて後述する代表値を算出する際に使用する焦点評価値の数が切り替わる。本実施形態では、「G1<G2」であり、ゲイン量が大きくなるほど代表値算出に使用するデータ数が増加する。また、焦点評価値算出領域に関して、図8に示すように、領域の面積は、「領域80a<領域80b」の関係が成り立つように設定する。これにより、代表値算出に使用する焦点評価値の数が多い場合には焦点評価値算出領域が大きく、少ない場合には小さく設定することが可能となる。
これにより一つの代表値の算出により多くの焦点評価値を必要とする場合、すなわち代表値の算出により多くの時間を費やす場合には、焦点評価値算出領域内部で被写体を捉えやすくすることが可能となる。
以上が、本実施形態の焦点評価値算出領域設定の説明である。
【0038】
<代表値算出処理>
次に、代表値算出処理について図6に示すフローチャートおよび図9を参照して説明する。ここで、代表値算出処理とは、停止した現在のフォーカスレンズ位置で取得した1つ以上の焦点評価値に基づいて、そのフォーカスレンズ位置に対応付けられる焦点評価値の代表値を算出する処理である。
【0039】
ステップS600では、システム制御部115は、AF処理部105から焦点評価値を取得し、システム制御部115内のRAM領域に記憶する。次に、ステップS601では、システム制御部115は、これまでに取得した焦点評価値の数が、上述した焦点評価値算出領域設定で設定した代表値算出データ数に達したか否かを判定する。達していない場合、ステップS600に戻り、達している場合、ステップS602に進む。したがって、システム制御部115内のRAM領域には同一のフォーカスレンズ位置における焦点評価値が代表値算出データ数分記憶される。
【0040】
次に、ステップS602では、システム制御部115は、代表値算出データ数が3より大きいか否かを判定する。3よりも大きくない場合、取得した焦点評価値の相加平均を求めるためにステップS603に進む。3よりも大きい場合、取得した焦点評価値から加重平均を求めるためにステップS605に進む。
ステップS603では、システム制御部115は、RAM上に記憶された焦点評価値より代表値算出データ数分の総和を求める。次に、ステップS604において、システム制御部115は、代表値を算出する。具体的には、システム制御部115は、ステップS603で求めた焦点評価値の総和を代表値算出データ数分で割り算し、相加平均を求める。
【0041】
一方、ステップS605では、システム制御部115は、RAM上に記憶された焦点評価値を昇順に並び替える。次に、ステップS606において、システム制御部115は、加重平均を算出する際の係数を設定する。本実施形態では、RAM上に記憶され昇順に並び替えられた5つの焦点評価値のうち、最大値と最小値の係数を「0」にし、それ以外を「1」として重み付けして設定する。
【0042】
ステップS607では、システム制御部115は、焦点評価値×係数の総和を求める。次に、ステップS608では、システム制御部115は、ステップS607で求めた焦点評価値の総和をステップS606で設定した係数の和で割り算し、加重平均を代表値とする。ステップS606で決定した係数では、最大値と最小値の係数を「0」とすることで除外し、他の3つの焦点評価値に対して係数を「1」として設定されているため、係数の和は3で固定される。また、焦点評価値の基となる輝度信号に含まれるノイズ成分の影響を強く受けている可能性がある最大値や最小値に対して係数を「0」に設定するため、平均化して求めた代表値に対して極端なノイズ成分の影響を受けにくくすることができる。具体的には、図9に示すように、5つの焦点評価値90a〜90eのうち最大値の焦点評価値90eや最小値の焦点評価値90cを除いた残りの3つの焦点評価値90a、90b、90dの平均が代表値となる。
【0043】
このように、本実施形態によれば、ゲイン量が少ない場合には得られた焦点評価値をそのまま代表値として用いる。一方、ゲイン量が所定の条件を満たす場合には、複数の焦点評価値の相加平均もしくは加重平均を求めることで、ノイズ成分の影響を抑えた焦点評価値を取得することができる。これらの代表値を上述したステップS201の微小駆動動作やステップ209の再起動判定に用いることで、安定した焦点調整動作が可能となる。
【0044】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、図10に示すフローチャートおよび図11を参照して説明する。
第1の実施形態では、AF処理部105で撮像処理部109より取得した撮像信号から高周波成分を抽出して焦点評価値を算出し、システム制御部115にて代表値算出処理を実施する場合について説明した。本実施形態では、AF処理部105にて直接代表値を求める方法について説明する。なお、代表値算出処理以外の処理は第1の実施形態と同様であるため、代表値算出処理のみを説明する。
【0045】
まず、ステップS1000では、システム制御部115は、現在のフォーカスレンズ位置で撮影された撮像信号(画像データ)から焦点評価値抽出領域に該当する領域の画像データを切り出す。
次に、ステップS1001では、システム制御部115は、該当領域の画像データにおける高周波成分を抽出するため、バンドパスフィルタ処理を実施する。ステップS1002では、システム制御部115は、ステップS1001で取得した該当領域のバンドパスフィルタ出力をAF処理部105のRAMに記憶する。
【0046】
次に、ステップS1003では、システム制御部115は、代表値算出データ数分の該当領域のバンドパスフィルタ出力が記憶された否かを判定する。代表値算出データ数分が記憶されていない場合、ステップS1000に戻る。
一方、代表値算出データ数分が記憶されている場合、ステップS1004に進む。この時点で、図11に示すように代表値算出データ数分の焦点評価値算出領域に該当するバンドパスフィルタ出力がAF処理部105のRAM上に存在する。ステップS1004では、AF処理部105は、バンドパスフィルタ出力の各画素に該当するデータの総和を算出する。
【0047】
ステップS1005では、AF処理部105は、ステップS1004で算出した各画素に対応する総和を代表値算出データ数で割り算し、画素の代表値を求める。本実施形態では、図11に示すように、代表値算出データ数は3で、画素の代表値は相加平均によって求められるものとする。
次に、ステップS1006では、AF処理部105は、該当領域の全画素の処理が完了したか否かを判断する。完了していない場合、ステップS1004に戻り、完了している場合、ステップS1007に進む。ステップS1007では、AF処理部105は、求めた各画素に対応する代表値の総和を求め、その総和を焦点評価値算出領域における代表値とする。
以上がAF処理部105にて焦点評価値算出領域に対応する画像データのバンドパスフィルタ出力より直接代表値を求める処理である。
【0048】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。例えば、第1の実施形態では、代表値算出データ数をゲイン量によって切り替える場合について説明した。この場合に限られず、撮像した撮像信号が適正露出に対して高いか低いか(高低)を判定することによって、代表値算出データ数を切り替えてもよい。具体的には、AE処理部103で算出された測光値を使用し、適正露出時の測光値との大小関係により代表値算出データ数を切り替えてもよい。さらに、代表値算出処理における加重平均処理の係数は必ずしも最大値、最小値の係数を「0」とする必要はなく、代表値算出に用いる焦点評価値の中央値に対して相対的に小さくするといった実現方法も考えられる。
【0049】
また、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いてプログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給し、そのプログラムを実行する場合も本発明に含む。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリでもよい。また、プログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバに本発明を形成するコンピュータプログラムを記憶し、接続のあったクライアントコンピュータはがコンピュータプログラムをダウンロードしてプログラムするような方法も考えられる。
【符号の説明】
【0050】
101:撮影レンズ 104:フォーカスレンズ制御部 105:AF処理部 108:撮像素子 109:撮像処理部 115:システム制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点調整装置、焦点調整方法およびプログラムに関するものである。撮像した撮像信号の鮮鋭度(コントラスト)を用いて焦点調整を行う電子撮像装置などに用いられて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、電子撮像装置(デジタルカメラ)などにおいて、フォーカスレンズを動かして被写体に自動的に焦点を合わせるオートフォーカス方法の一つとして、CCDなどの撮像素子から得られる輝度信号を用いて合焦動作を行う方法が知られている。このオートフォーカス方法では、撮影画面内に設定された測距領域内における信号の高周波成分より評価値(以下、焦点評価値という)を取得する。そして、取得した焦点評価値に基づいてフォーカスレンズを所定範囲内で移動させて最も鮮鋭度(コントラスト)の高いフォーカスレンズ位置を検出し(以下、AFスキャンという)、合焦点を求めるのが一般的である。
【0003】
このオートフォーカス方法では、被写体の照度が低かったり被写体のコントラストが低く輝度信号の高周波成分が少なかったりする場合、焦点評価値が小さくなると共に輝度信号に含まれるノイズ成分の割合が大きくなり、良好な合焦精度を得ることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−258681号公報
【特許文献2】特開2000−214379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、1回目のAFスキャンによる合焦判定で合焦不可能と判定された場合に、2回目のAFスキャンを行い、2回のAFスキャンで得られた焦点評価値を加算することで合焦能力を向上させ、合焦精度を向上させる技術が開示されている。ところが、特許文献1に開示された方法では、1回目のAFスキャンと2回目のAFスキャンとの間で時間差が生じてしまい易い。時間差が生じ、撮影シーンが変化してしまった場合にも焦点評価値を加算してしまうため、加算された焦点評価値が誤った値となり、オートフォーカスの信頼性を低下させてしまうという問題点がある。
【0006】
また、特許文献2では、焦点評価値が最大となるようにフォーカスレンズの移動と焦点評価値の取得、合焦点の判断を繰り返し実施する焦点調整方法が開示されている。この焦点調整方法では、フォーカスレンズの移動が所定回数同じ場合には、次の移動が同一方向となることを禁止することで、焦点評価値の変動の影響を抑え、確実な合焦方向の検出を可能にするものである。
【0007】
ところが、特許文献2で開示された方法では、焦点評価値の信頼性が向上する反面フォーカスレンズの方向反転動作の頻度が増加してしまう。したがって、方向反転時に機械的なガタを詰まる際に音が発生する場合がある。特に、本体サイズに制限の多いコンパクトデジタルカメラにおいては、マイクの位置や機械駆動部の位置関係が近接する傾向が強く、動画記録中にAF動作を行う場合は、機械的な駆動音が動画の音声に記録されてしまう問題がある。
【0008】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、輝度信号に含まれるノイズ成分の影響を強く受ける状況であっても、信頼性が高い合焦精度を得ることのできる焦点調整装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被写体像を光電変換することによって撮像部により生成される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する焦点調整装置であって、被写体の撮影時の露出条件を検出する露出条件検出手段と、前記撮像信号の高周波成分に基づく焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記露出条件検出手段により検出された露出条件に基づいて、前記焦点評価値算出手段で取得する焦点評価値のデータ数を設定する設定手段と、前記焦点評価値算出手段において前記設定手段で設定されたデータ数算出された焦点評価値に基づいて、前記フォーカスレンズを駆動するフォーカスレンズ制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像信号に含まれるノイズの割合が大きくなる場合であっても、信頼性の高い合焦精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】撮像装置の焦点調整動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】微小駆動動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】山登り駆動動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】焦点評価値算出領域の設定の流れを示すフローチャートである。
【図6】代表値算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】焦点評価値とフォーカスレンズとの動きを説明するための図である。
【図8】焦点評価値算出領域の切り替え後の状態を説明するための図である。
【図9】代表値算出データ数が5の場合の代表値の概要を説明するための図である。
【図10】第2の実施形態に係る代表値算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】代表値算出の概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態は以下に示す通りである。本実施形態では、焦点調整装置として、電子撮像装置(以下、撮像装置)を用いる場合について説明する。
(第1の実施形態)
以下、本実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
<撮像装置の回路構成>
まず、本実施形態に係る撮像装置1の回路構成について説明する。図1は、本実施形態に係る撮像装置の回路構成を示すブロック図である。
撮影レンズ101は、ズーム機構を含む従来一般の撮像レンズである。絞りシャッタ制御部102は、光量を制御する絞りおよびシャッタの駆動を制御する。フォーカスレンズ制御部104は、撮像素子108上に焦点を合わせるためのフォーカスレンズの駆動を制御する。なお、絞りシャッタ制御部102とフォーカスレンズ制御部104は、レンズなどの光学要素、絞り・シャッタといった機構、これらを駆動するためのアクチュエータ、これらを制御するための駆動回路、D/A変換器などが含まれる。すなわち、制御対象を動作させるための必要な各種装置を含んでいるものとする。ストロボ106は、外部に向けて発光する。EF処理部107は、ストロボ106を制御して発光させる。
【0014】
撮像素子108は、反射光を電気信号に変換する受光手段または光電変換手段であり、例えばCCDやCMOSイメージャからなる。撮像素子108は、入射された光を光電変換で電荷に変換し撮像信号として出力する。撮像処理部109は、CDS回路と非線形増幅回路とA/D変換部とを含む。CDS回路は、撮像素子108の出力ノイズを相関二重サンプリング方式により除去する。非線形増幅回路は、CDS回路によりノイズ除去された撮像信号に対して信号増幅(ゲイン制御)を行う。A/D変換部は、供給されたアナログ信号である撮像信号をデジタル信号に変換する。撮像素子108と撮像処理部109とが、被写体像を光電変換することにより撮像信号を生成する撮像部として機能する。
【0015】
画像処理部110は、撮像信号(すなわち画像データ)のガンマ補正や輪郭補正などの所定の画像処理を実施する。また、画像処理部110は、WB処理部111の制御に基づき、撮像信号のホワイトバランス処理を行う。フォーマット変換部112は、供給された撮像信号を、画像記録部114における記録媒体への記録や、操作表示部117における表示に適した形式に変換する。DRAM113は、高速な内蔵メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)である。DRAM113は、撮像信号を一時的に記憶できる記憶手段としての高速バッファとして、あるいは画像の圧縮伸張における作業用メモリなどに使用される。画像記録部114は、メモリカードなどの記録媒体とそのインターフェースからなり、撮像信号を記録する。
【0016】
システム制御部115は、例えばCPU、RAMおよびROMを有する。システム制御部115は、ROMに予め記憶されたプログラムに従い、RAMを作業領域として用いながら、撮像装置1全体の動作を制御する。なお、後述するフローチャートの各処理は、システム制御部115がプログラムを実行することにより実現される。
AE処理部103は、撮像処理部109より取得された撮像信号を基に、被写体の明るさに応じた測光値を算出する。すなわち、AE処理部103と撮像処理部109は、被写体を撮影するときの露出条件を検出する露出条件検出部として機能する。そして、システム制御部115は、AE処理部103が算出した測光値に基づいて、絞りシャッタ制御部102と撮像処理部109の非線形増幅回路とを制御し、露光量を自動的に調整する自動露出(AE)処理を実施する。
AF処理部105は、撮像処理部109より取得される画像信号を基に、高周波成分を抽出し、撮像信号の鮮鋭度を示す焦点評価値を算出する。すなわち、AF処理部105は、焦点評価値を算出する焦点評価値算出部として機能する。そして、システム制御部115は、AF処理部105が算出した焦点評価値に基づいてフォーカスレンズ制御部104を制御し自動焦点調整(AF)処理を実施する。
【0017】
VRAM116(画像表示用メモリ)は、撮像信号などを記録する。操作表示部117は、画像表示や操作補助のための表示やカメラ状態の表示を行うことができる。また、操作表示部117は、撮影時においては、撮影画面を表示することができる。メインスイッチ(メインSW)118は、撮像装置1の電源をON/OFFするためのスイッチである。第1のスイッチ(SW1)119は、AFやAEなどの撮影スタンバイ動作(撮影準備動作)を行うためのスイッチである。第2のスイッチ(SW2)120は、第1のスイッチ119の操作後、撮影を行うためのスイッチである。
【0018】
<基本動作>
次に、本実施形態の動画記録中に実施される焦点調整動作の流れを図2に示すフローチャートを参照して説明する。図2に示す焦点調整動作の処理は、プログラムとして、システム制御部115のROMなどに記憶されている。そして、メインスイッチ118が操作されて電源が投入され、撮像装置1が起動した後に、主にシステム制御部115およびフォーカスレンズ制御部104が実行する。
【0019】
まず、ステップS200において、システム制御部115は、撮像信号における焦点評価値の算出を行う領域の設定を行う。後述するように、システム制御部115は、設定した領域の高周波成分に基づいて焦点評価値を算出する。領域の設定の詳細については後述する。
ステップS201では、フォーカスレンズ制御部104は、微小駆動動作を行う。ここで、システム制御部115は、合焦しているか、合焦していない場合どちらの方向に合焦点があるかを判定する。微小駆動動作の詳細な説明は後述する。
【0020】
ステップS202では、システム制御部115は、ステップS201において合焦しているか否かを判定する。合焦していると判定された場合、ステップS208に進む。一方、ステップS202において、合焦していると判定されなかった場合、ステップS203に進む。
ステップS203では、システム制御部115は、ステップS201において方向判別が完了しているか否かを判定する。方向判別が完了している場合、ステップS204に進む。一方、方向判別が完了していない場合、ステップS200に戻り、システム制御部115は焦点評価値算出領域を設定し、ステップS201ではフォーカスレンズ制御部104が微小駆動動作を継続する。
【0021】
ステップS204では、フォーカスレンズ制御部104は、焦点評価値が大きくなる方向にフォーカスレンズを高速で駆動させる山登り駆動動作を行う。なお、山登り駆動動作の詳細は後述する。
次に、ステップS205では、システム制御部115は、ステップS204において焦点評価値が頂点(ピーク)を越えたか否かを判定する。頂点を越えたと判定された場合、ステップS206に進む。一方、ステップS204で焦点評価値が頂点を越えたと判定されていない場合、ステップS204に戻り、フォーカスレンズ制御部104は、山登り駆動動作を継続する。
【0022】
ステップS206では、フォーカスレンズ制御部104は、山登り駆動動作における焦点評価値のピーク位置にフォーカスレンズを移動する。
ステップS207では、システム制御部115は、フォーカスレンズがピーク位置への移動が完了しているか否かを判定する。移動が完了している場合、ステップS200に戻る。一方、移動が完了していない場合、システム制御部115は、ピーク位置への移動の完了を待機する。
【0023】
上述したステップS202において合焦していると判定され、ステップS208に進んだ場合、システム制御部115は、DRAM113に合焦状態における焦点評価値を記憶する。DRAM113に記憶された焦点評価値は、ステップS209以降における焦点調整動作の再起動判定に用いられる。
ステップS209では、システム制御部115は、設定されているフォーカスレンズの位置で得られた1つ以上の焦点評価値に基づいて、そのフォーカスレンズの位置における焦点評価値の代表値を算出する。この代表値算出処理については後述する。
【0024】
次に、ステップS210では、システム制御部115は、ステップS208で記憶した合焦状態での焦点評価値と最新の焦点評価値の代表値とを比較し、所定レベル以上の差があるかを判定する。システム制御部115は、所定レベル以上の差がある場合、焦点調整動作の再起動が必要であると判定し、所定レベル以上の差がない場合、焦点調整動作の再起動が必要ないと判定する。
ステップS211では、システム制御部115は、再起動条件が成立しているか否かを判定する。ステップS210において、焦点調整動作の再起動が必要であると判定されている場合、再起動条件が成立し、ステップS200に戻り、システム制御部115は、焦点調整動作を再開する。一方、ステップS210において、焦点調整動作の再起動が必要ないと判定されている場合、再起動条件が成立せず、ステップS209に戻る。システム制御部115は、周期的に得られる焦点評価値(代表値を含む)に基づいて、再起動判定を継続し、その変化を監視する。
【0025】
<微小駆動動作>
次に、微小駆動動作について図3に示すフローチャートおよび図7に示すフォーカスレンズの移動軌跡と焦点評価値との関係を示す図を参照して説明する。ここで、微小駆動動作とは、所定量ずつフォーカスレンズを移動させ、取得される焦点評価値の増減に基づいて合焦位置や合焦位置の方向を特定する、低速な焦点調整動作である。
【0026】
ステップS300では、システム制御部115は、現在のフォーカスレンズ位置で取得した焦点評価値に基づいて、現在のフォーカスレンズ位置における焦点評価値の代表値を算出する。この代表値算出処理については後述する。
ステップS301では、システム制御部115は、ステップS300で算出された代表値が前回算出された焦点評価値よりも大きいか否かを判定する。代表値が焦点評価値以下の場合、ステップS303に進み、代表値が焦点評価値よりも大きい場合、ステップS302に進む。
ステップS302では、フォーカスレンズ制御部104は、前回の順方向に所定量フォーカスレンズを駆動する。このとき、システム制御部115が、連続して順方向に駆動した回数をカウントし、さらに、駆動した後のフォーカスレンズ位置を記憶する。一方、ステップS303では、フォーカスレンズ制御部104は、前回の逆方向に所定量フォーカスレンズを駆動する。このとき、システム制御部115は、駆動した後のフォーカスレンズ位置を記憶する。
【0027】
次に、ステップS304では、システム制御部115は、フォーカスレンズの移動方向が、所定回数にわたって連続して同一方向であるか否かを、ステップS302によりカウントした回数に基づいて判定する。連続して同一方向であると判定された場合、ステップS307に進む。
ステップS307では、システム制御部115は、合焦位置の方向が、現在の進行方向であると方向を特定し、処理を終了する。
【0028】
ここで、図7を参照して、これまでのフォーカスレンズの移動軌跡と焦点評価値との関係を説明する。図7に示す右側の横軸が時間を示し、左側の横軸が焦点評価値を示し、縦軸がフォーカスレンズ位置を示している。実線で示す矢印は、微小駆動動作の1回の制御を示している。また、破線で囲んだ領域(a)は、図3のステップS304、ステップS307で所定回数、連続して同一方向に微小駆動が実施され、合焦位置の方向が特定できた場合を示している。
【0029】
一方、ステップS304において、移動方向が連続して同一方向であると判定されなかった場合、ステップS305に進む。
ステップS305では、システム制御部115は、フォーカスレンズ位置が所定回数にわたって同一エリア内に存在しているか否かを判定する。ここで、所定回数にわたって同一エリア内に存在していないと判定された場合、そのまま処理を終了する。一方、所定回数にわたって同一エリア内に存在していると判定された場合、ステップS306に進む。
ステップS306では、システム制御部115は、合焦している、すなわちフォーカスレンズ位置が合焦位置にあると判定する。
【0030】
ここで、図7を参照して、これまでのフォーカスレンズの移動軌跡と焦点評価値との関係を説明する。図7に示す破線で囲んだ領域(b)は、焦点評価値の山の頂上付近では微小駆動に伴い焦点評価値が増減するため、その結果、領域αの範囲内で微小駆動動作によるフォーカスレンズの軌跡が行ったり来たりすることになる。この状態を微小駆動動作における合焦状態としている。
以上が、本実施形態の微小駆動動作の説明である。
【0031】
<山登り駆動動作>
次に、山登り駆動動作について図4に示すフローチャートおよび図7を参照して説明する。ここで、山登り駆動動作とは、所定速度でフォーカスレンズを移動させながら、取得される焦点評価値の増減に基づいて合焦位置を特定する、高速な焦点調整動作である。
【0032】
ステップS400では、システム制御部115は、AF処理部105から焦点評価値を取得する。
ステップS401では、システム制御部115は、ステップS400で取得した焦点評価値が前回の焦点評価値よりも大きいか否かを判定する。前回の焦点評価値よりも大きい場合、ステップS403に進み、前回の焦点評価値よりも大きくない場合、ステップS402に進む。ステップS403では、フォーカスレンズ制御部104は、前回と同一方向に所定の速度でフォーカスレンズを駆動し、ステップS400に戻る。
【0033】
ステップS402では、システム制御部115は、焦点評価値がピークを越えて減少しているか否かを判定する。焦点評価値がピークを越えて減少していない場合、ステップS404に進み、焦点評価値がピークを越えて減少している場合、処理を終了する。
ステップS404では、フォーカスレンズ制御部104は、前回と逆方向に所定の速度でフォーカスレンズを駆動し、ステップS400に戻る。
【0034】
ここで、図7に示す点線の矢印は、上述した山登り駆動動作のうち、微小駆動動作で検出した焦点位置の方向に山登り駆動動作を実施し、焦点位置を検出するまでのフォーカスレンズの軌跡を示している。図7に示すように山登り駆動動作の移動方向が焦点評価値の増加方向と一致しているならば、焦点評価値の山のピークすなわち焦点位置を通過するまで山登り駆動動作が継続される。逆に、微小駆動動作から山登り駆動動作に移り、移動方向が焦点評価値の増加方向と逆だった場合には、それを検出した時点で山登り駆動動作の進行方向を反転し正しい焦点位置を検出する。
以上が、本実施形態の山登り駆動動作の説明である。
【0035】
<焦点評価値算出領域設定>
次に、上述したステップS200の焦点評価値算出領域設定について図5に示すフローチャートおよび図8を参照して説明する。
まず、ステップS500では、システム制御部115は、現在の露出条件として、撮像処理部109における非線形増幅回路での信号増幅量(以下、ゲイン量)を取得する。ゲイン量は、撮像信号の信号レベルを一定にするためのものである。AE処理部103、システム制御部115によって実施される自動露出(AE)処理によりゲイン量は制御され、例えば、明るいシーンで撮像信号が所望の信号レベルを維持できる場合にはゲイン量は少なくてすむ。しかしながら、暗いシーンで所望の信号レベルを維持できない場合にはゲイン量は大きくなる傾向にある。システム制御部115は、取得したゲイン量が所定値G1よりも大きいか否かを判定する。所定値G1よりも大きい場合、ステップS501に進み、所定値G1よりも大きくない場合(所定値以下の場合)、ステップS502に進む。
【0036】
ステップS502では、システム制御部115は、後述する代表値算出処理において代表値を算出する際に使用する焦点評価値の数(以下、代表値算出データ数)を1(第1の値)に設定する。この処理は、設定手段による処理の一例に対応する。その後、ステップS505では、システム制御部115は、焦点評価値算出領域(特定領域)を図8(a)に示す領域80aのように設定する。この処理は、特定領域決定手段による処理の一例に対応する。
一方、ステップS501では、システム制御部115は、取得したゲイン量が所定値G2よりも大きいか否かを判定する。所定値G2よりも大きい場合、ステップS504に進み、所定値G2よりも大きくない場合、ステップS503に進む。ステップS503では、システム制御部115は、代表値算出データ数を3(第1の値または第2の値)に設定する。
一方、ステップS504では、システム制御部115は、代表値算出データ数を5(第2の値)に設定する。
その後、ステップS506では、システム制御部115は、焦点評価値算出領域を図8(b)に示す領域80bのように設定する。
【0037】
このように、ゲイン量に応じて後述する代表値を算出する際に使用する焦点評価値の数が切り替わる。本実施形態では、「G1<G2」であり、ゲイン量が大きくなるほど代表値算出に使用するデータ数が増加する。また、焦点評価値算出領域に関して、図8に示すように、領域の面積は、「領域80a<領域80b」の関係が成り立つように設定する。これにより、代表値算出に使用する焦点評価値の数が多い場合には焦点評価値算出領域が大きく、少ない場合には小さく設定することが可能となる。
これにより一つの代表値の算出により多くの焦点評価値を必要とする場合、すなわち代表値の算出により多くの時間を費やす場合には、焦点評価値算出領域内部で被写体を捉えやすくすることが可能となる。
以上が、本実施形態の焦点評価値算出領域設定の説明である。
【0038】
<代表値算出処理>
次に、代表値算出処理について図6に示すフローチャートおよび図9を参照して説明する。ここで、代表値算出処理とは、停止した現在のフォーカスレンズ位置で取得した1つ以上の焦点評価値に基づいて、そのフォーカスレンズ位置に対応付けられる焦点評価値の代表値を算出する処理である。
【0039】
ステップS600では、システム制御部115は、AF処理部105から焦点評価値を取得し、システム制御部115内のRAM領域に記憶する。次に、ステップS601では、システム制御部115は、これまでに取得した焦点評価値の数が、上述した焦点評価値算出領域設定で設定した代表値算出データ数に達したか否かを判定する。達していない場合、ステップS600に戻り、達している場合、ステップS602に進む。したがって、システム制御部115内のRAM領域には同一のフォーカスレンズ位置における焦点評価値が代表値算出データ数分記憶される。
【0040】
次に、ステップS602では、システム制御部115は、代表値算出データ数が3より大きいか否かを判定する。3よりも大きくない場合、取得した焦点評価値の相加平均を求めるためにステップS603に進む。3よりも大きい場合、取得した焦点評価値から加重平均を求めるためにステップS605に進む。
ステップS603では、システム制御部115は、RAM上に記憶された焦点評価値より代表値算出データ数分の総和を求める。次に、ステップS604において、システム制御部115は、代表値を算出する。具体的には、システム制御部115は、ステップS603で求めた焦点評価値の総和を代表値算出データ数分で割り算し、相加平均を求める。
【0041】
一方、ステップS605では、システム制御部115は、RAM上に記憶された焦点評価値を昇順に並び替える。次に、ステップS606において、システム制御部115は、加重平均を算出する際の係数を設定する。本実施形態では、RAM上に記憶され昇順に並び替えられた5つの焦点評価値のうち、最大値と最小値の係数を「0」にし、それ以外を「1」として重み付けして設定する。
【0042】
ステップS607では、システム制御部115は、焦点評価値×係数の総和を求める。次に、ステップS608では、システム制御部115は、ステップS607で求めた焦点評価値の総和をステップS606で設定した係数の和で割り算し、加重平均を代表値とする。ステップS606で決定した係数では、最大値と最小値の係数を「0」とすることで除外し、他の3つの焦点評価値に対して係数を「1」として設定されているため、係数の和は3で固定される。また、焦点評価値の基となる輝度信号に含まれるノイズ成分の影響を強く受けている可能性がある最大値や最小値に対して係数を「0」に設定するため、平均化して求めた代表値に対して極端なノイズ成分の影響を受けにくくすることができる。具体的には、図9に示すように、5つの焦点評価値90a〜90eのうち最大値の焦点評価値90eや最小値の焦点評価値90cを除いた残りの3つの焦点評価値90a、90b、90dの平均が代表値となる。
【0043】
このように、本実施形態によれば、ゲイン量が少ない場合には得られた焦点評価値をそのまま代表値として用いる。一方、ゲイン量が所定の条件を満たす場合には、複数の焦点評価値の相加平均もしくは加重平均を求めることで、ノイズ成分の影響を抑えた焦点評価値を取得することができる。これらの代表値を上述したステップS201の微小駆動動作やステップ209の再起動判定に用いることで、安定した焦点調整動作が可能となる。
【0044】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、図10に示すフローチャートおよび図11を参照して説明する。
第1の実施形態では、AF処理部105で撮像処理部109より取得した撮像信号から高周波成分を抽出して焦点評価値を算出し、システム制御部115にて代表値算出処理を実施する場合について説明した。本実施形態では、AF処理部105にて直接代表値を求める方法について説明する。なお、代表値算出処理以外の処理は第1の実施形態と同様であるため、代表値算出処理のみを説明する。
【0045】
まず、ステップS1000では、システム制御部115は、現在のフォーカスレンズ位置で撮影された撮像信号(画像データ)から焦点評価値抽出領域に該当する領域の画像データを切り出す。
次に、ステップS1001では、システム制御部115は、該当領域の画像データにおける高周波成分を抽出するため、バンドパスフィルタ処理を実施する。ステップS1002では、システム制御部115は、ステップS1001で取得した該当領域のバンドパスフィルタ出力をAF処理部105のRAMに記憶する。
【0046】
次に、ステップS1003では、システム制御部115は、代表値算出データ数分の該当領域のバンドパスフィルタ出力が記憶された否かを判定する。代表値算出データ数分が記憶されていない場合、ステップS1000に戻る。
一方、代表値算出データ数分が記憶されている場合、ステップS1004に進む。この時点で、図11に示すように代表値算出データ数分の焦点評価値算出領域に該当するバンドパスフィルタ出力がAF処理部105のRAM上に存在する。ステップS1004では、AF処理部105は、バンドパスフィルタ出力の各画素に該当するデータの総和を算出する。
【0047】
ステップS1005では、AF処理部105は、ステップS1004で算出した各画素に対応する総和を代表値算出データ数で割り算し、画素の代表値を求める。本実施形態では、図11に示すように、代表値算出データ数は3で、画素の代表値は相加平均によって求められるものとする。
次に、ステップS1006では、AF処理部105は、該当領域の全画素の処理が完了したか否かを判断する。完了していない場合、ステップS1004に戻り、完了している場合、ステップS1007に進む。ステップS1007では、AF処理部105は、求めた各画素に対応する代表値の総和を求め、その総和を焦点評価値算出領域における代表値とする。
以上がAF処理部105にて焦点評価値算出領域に対応する画像データのバンドパスフィルタ出力より直接代表値を求める処理である。
【0048】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。例えば、第1の実施形態では、代表値算出データ数をゲイン量によって切り替える場合について説明した。この場合に限られず、撮像した撮像信号が適正露出に対して高いか低いか(高低)を判定することによって、代表値算出データ数を切り替えてもよい。具体的には、AE処理部103で算出された測光値を使用し、適正露出時の測光値との大小関係により代表値算出データ数を切り替えてもよい。さらに、代表値算出処理における加重平均処理の係数は必ずしも最大値、最小値の係数を「0」とする必要はなく、代表値算出に用いる焦点評価値の中央値に対して相対的に小さくするといった実現方法も考えられる。
【0049】
また、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いてプログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給し、そのプログラムを実行する場合も本発明に含む。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリでもよい。また、プログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバに本発明を形成するコンピュータプログラムを記憶し、接続のあったクライアントコンピュータはがコンピュータプログラムをダウンロードしてプログラムするような方法も考えられる。
【符号の説明】
【0050】
101:撮影レンズ 104:フォーカスレンズ制御部 105:AF処理部 108:撮像素子 109:撮像処理部 115:システム制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を光電変換することによって撮像部により生成される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する焦点調整装置であって、
被写体の撮影時の露出条件を検出する露出条件検出手段と、
前記撮像信号の高周波成分に基づく焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、
前記露出条件検出手段により検出された露出条件に基づいて、前記焦点評価値算出手段で取得する焦点評価値のデータ数を設定する設定手段と、
前記焦点評価値算出手段において前記設定手段で設定されたデータ数算出された焦点評価値に基づいて、前記フォーカスレンズを駆動するフォーカスレンズ制御手段と、を有することを特徴とする焦点調整装置。
【請求項2】
前記焦点評価値算出手段により算出された焦点評価値から代表値を算出する代表値算出手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の焦点調整装置。
【請求項3】
前記焦点評価値算出手段は、前記撮像信号の特定領域から焦点評価値を算出し、
前記特定領域の大きさは、前記露出条件検出手段により検出された露出条件に基づいて決定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の焦点調整装置。
【請求項4】
前記露出条件検出手段により検出される露出条件は、前記撮像信号の適正露出に対する高低であり、
前記設定手段は、前記露出条件検出手段により検出された適正露出に対する高低に基づいて、取得する焦点評価値のデータ数を設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の焦点調整装置。
【請求項5】
前記露出条件検出手段により検出される露出条件は、前記撮像信号のレベルを一定にするためのゲイン量であり、
前記設定手段は、前記露出条件検出手段により検出されたゲイン量に基づいて、取得する焦点評価値のデータ数を設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の焦点調整装置。
【請求項6】
前記露出条件検出手段によって検出されたゲイン量と所定値とを比較する比較手段を有し、
前記設定手段は、前記比較手段によってゲイン量が所定値以下であると判定された場合、取得する焦点評価値のデータ数を第1の値に設定し、前記比較手段によってゲイン量が所定値よりも大きいと判定された場合、取得する焦点評価値のデータ数を前記第1の値より大きい第2の値に設定することを特徴とする請求項5に記載の焦点調整装置。
【請求項7】
前記代表値算出手段は、前記設定手段により設定された焦点評価値のデータ数に応じて、焦点評価値の相加平均および加重平均の何れかに切り替えて代表値を算出することを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の焦点調整装置。
【請求項8】
前記代表値算出手段は、前記加重平均を用いて代表値を算出する場合、複数の焦点評価値のうち最大値および最小値を除外する重み付けをして、代表値を算出することを特徴とする請求項7に記載の焦点調整装置。
【請求項9】
前記焦点評価値算出手段は、前記撮像信号の特定領域から前記設定手段により設定されたデータ数に応じたバンドパスフィルタ処理を行い、
前記代表値算出手段は、前記バンドパスフィルタ処理により出力されたバンドパスフィルタ出力から焦点評価値の代表値を算出することを特徴とする請求項2に記載の焦点調整装置。
【請求項10】
被写体像を光電変換することによって撮像部により生成される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する焦点調整方法であって、
被写体の撮影時の露出条件を検出する露出条件検出ステップと、
前記撮像信号の高周波成分に基づく焦点評価値を算出する焦点評価値算出ステップと、
前記露出条件検出ステップにより検出された露出条件に基づいて、前記焦点評価値算出ステップで取得する焦点評価値のデータ数を設定する設定ステップと、
前記焦点評価値算出ステップにおいて前記設定ステップで設定されたデータ数算出された焦点評価値に基づいて、前記フォーカスレンズを駆動するフォーカスレンズ制御ステップと、を有することを特徴とする焦点調整方法。
【請求項11】
被写体像を光電変換することによって撮像部により生成される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する焦点調整方法のプログラムであって、
被写体の撮影時の露出条件を検出する露出条件検出ステップと、
前記撮像信号の高周波成分に基づく焦点評価値を算出する焦点評価値算出ステップと、
前記露出条件検出ステップにより検出された露出条件に基づいて、前記焦点評価値算出ステップで取得する焦点評価値のデータ数を設定する設定ステップと、
前記焦点評価値算出ステップにおいて前記設定ステップで設定されたデータ数算出された焦点評価値に基づいて、前記フォーカスレンズを駆動するフォーカスレンズ制御ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
被写体像を光電変換することによって撮像部により生成される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する焦点調整装置であって、
被写体の撮影時の露出条件を検出する露出条件検出手段と、
前記撮像信号の高周波成分に基づく焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、
前記露出条件検出手段により検出された露出条件に基づいて、前記焦点評価値算出手段で取得する焦点評価値のデータ数を設定する設定手段と、
前記焦点評価値算出手段において前記設定手段で設定されたデータ数算出された焦点評価値に基づいて、前記フォーカスレンズを駆動するフォーカスレンズ制御手段と、を有することを特徴とする焦点調整装置。
【請求項2】
前記焦点評価値算出手段により算出された焦点評価値から代表値を算出する代表値算出手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の焦点調整装置。
【請求項3】
前記焦点評価値算出手段は、前記撮像信号の特定領域から焦点評価値を算出し、
前記特定領域の大きさは、前記露出条件検出手段により検出された露出条件に基づいて決定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の焦点調整装置。
【請求項4】
前記露出条件検出手段により検出される露出条件は、前記撮像信号の適正露出に対する高低であり、
前記設定手段は、前記露出条件検出手段により検出された適正露出に対する高低に基づいて、取得する焦点評価値のデータ数を設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の焦点調整装置。
【請求項5】
前記露出条件検出手段により検出される露出条件は、前記撮像信号のレベルを一定にするためのゲイン量であり、
前記設定手段は、前記露出条件検出手段により検出されたゲイン量に基づいて、取得する焦点評価値のデータ数を設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の焦点調整装置。
【請求項6】
前記露出条件検出手段によって検出されたゲイン量と所定値とを比較する比較手段を有し、
前記設定手段は、前記比較手段によってゲイン量が所定値以下であると判定された場合、取得する焦点評価値のデータ数を第1の値に設定し、前記比較手段によってゲイン量が所定値よりも大きいと判定された場合、取得する焦点評価値のデータ数を前記第1の値より大きい第2の値に設定することを特徴とする請求項5に記載の焦点調整装置。
【請求項7】
前記代表値算出手段は、前記設定手段により設定された焦点評価値のデータ数に応じて、焦点評価値の相加平均および加重平均の何れかに切り替えて代表値を算出することを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の焦点調整装置。
【請求項8】
前記代表値算出手段は、前記加重平均を用いて代表値を算出する場合、複数の焦点評価値のうち最大値および最小値を除外する重み付けをして、代表値を算出することを特徴とする請求項7に記載の焦点調整装置。
【請求項9】
前記焦点評価値算出手段は、前記撮像信号の特定領域から前記設定手段により設定されたデータ数に応じたバンドパスフィルタ処理を行い、
前記代表値算出手段は、前記バンドパスフィルタ処理により出力されたバンドパスフィルタ出力から焦点評価値の代表値を算出することを特徴とする請求項2に記載の焦点調整装置。
【請求項10】
被写体像を光電変換することによって撮像部により生成される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する焦点調整方法であって、
被写体の撮影時の露出条件を検出する露出条件検出ステップと、
前記撮像信号の高周波成分に基づく焦点評価値を算出する焦点評価値算出ステップと、
前記露出条件検出ステップにより検出された露出条件に基づいて、前記焦点評価値算出ステップで取得する焦点評価値のデータ数を設定する設定ステップと、
前記焦点評価値算出ステップにおいて前記設定ステップで設定されたデータ数算出された焦点評価値に基づいて、前記フォーカスレンズを駆動するフォーカスレンズ制御ステップと、を有することを特徴とする焦点調整方法。
【請求項11】
被写体像を光電変換することによって撮像部により生成される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する焦点調整方法のプログラムであって、
被写体の撮影時の露出条件を検出する露出条件検出ステップと、
前記撮像信号の高周波成分に基づく焦点評価値を算出する焦点評価値算出ステップと、
前記露出条件検出ステップにより検出された露出条件に基づいて、前記焦点評価値算出ステップで取得する焦点評価値のデータ数を設定する設定ステップと、
前記焦点評価値算出ステップにおいて前記設定ステップで設定されたデータ数算出された焦点評価値に基づいて、前記フォーカスレンズを駆動するフォーカスレンズ制御ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−20067(P2013−20067A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152891(P2011−152891)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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