説明

焦点調節装置およびそれを備えた撮像装置

【課題】撮影者が構図変更を行った場合でも、適切な焦点状態の調節を行うことができる焦点調節装置を提供すること。
【解決手段】光学系の焦点状態を検出する焦点検出手段(161,162)と、前記光学系の焦点状態を調節する焦点調節手段(212)と、前記光学系による像のうち特定の対象の像を認識する認識手段(170)と、前記焦点検出手段による前記焦点状態の検出が不可能な場合に、前記焦点調節手段による前記光学系の調節を禁止するとともに、該禁止した状態で、前記認識手段により前記特定の対象の像の認識が不可能となった場合に、前記焦点調節手段により焦点調節状態を調節しながら前記焦点検出手段による前記焦点状態の検出を行う制御手段(170)と、を有することを特徴とする焦点調節装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、焦点調節装置およびそれを備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラなどの撮像装置として、焦点調節用のレンズ、および該焦点調節用のレンズを駆動することで光学系の焦点調節を行う焦点調節装置を備えた自動焦点調節が可能な撮像装置が知られている。このような自動焦点調節が可能な撮像装置において、焦点調節の対象である被写体が移動被写体である場合に、該移動被写体を追尾して、焦点調節を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−66086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、焦点調節装置が起動したままの状態において、撮影者が構図変更を行い、これにより焦点検出結果が大きく変化した場合には、焦点調節用のレンズの駆動を禁止するような制御がなされたり、あるいは、焦点状態の検出が不能となり、焦点調節用のレンズの駆動が停止したままとなってしまうなど、構図変更後における焦点状態の調節を良好に行うことができないという問題があった。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、撮影者が構図変更を行った場合でも、適切な焦点状態の調節を行うことができる焦点調節装置およびそれを備えた撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]発明に係る焦点調節装置は、光学系の焦点状態を検出する焦点検出手段(161,162)と、前記光学系の焦点状態を調節する焦点調節手段(212)と、前記光学系による像のうち特定の対象の像を認識する認識手段(170)と、前記焦点検出手段による前記焦点状態の検出が不可能な場合に、前記焦点調節手段による前記光学系の調節を禁止するとともに、該禁止した状態で、前記認識手段により前記特定の対象の像の認識が不可能となった場合に、前記焦点調節手段により焦点調節状態を調節しながら前記焦点検出手段による前記焦点状態の検出を行う制御手段(170)と、を有することを特徴とする。
【0008】
[2]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御手段(170)が、前記認識手段(170)による認識結果に信頼性があると判断した場合に、前記焦点調節手段(212)により焦点調節状態を調節しながら前記焦点検出手段(161,162)による前記焦点状態の検出を行わせるように構成することができる。
【0009】
[3]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御手段(170)が、前記認識手段(170)による認識結果の信頼性を判定する際の判定基準を前記認識手段による特定の対象の像の認識が不可能であると判定する判定基準よりも高くするように構成することができる。
【0010】
[4]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御手段(170)が、前記認識手段(170)により前記特定の対象の像の認識が不可能となった場合に、前記焦点検出手段(161,162)を初期化するように構成することができる。
【0011】
[5]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御手段(170)が、前記認識手段(170)よる認識結果に信頼性がないと判断した場合には、前記焦点調節手段(212)による調節を禁止するように構成することができる。
【0012】
[6]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御手段(170)が、前記焦点検出手段(161,162)により前記光学系の焦点状態を検出できず、かつ、前記認識手段(170)により前記特定の対象の像を認識できた場合には、前記焦点調節手段(212)による調節を禁止するように構成することができる。
【0013】
[7]発明に係る撮像装置は、上記発明に係る焦点調節装置と、前記光学系による像を撮像する撮像手段(110)とを備えたことを特徴とする。
【0014】
[8]上記撮像装置に係る発明において、前記撮像手段(110)が、前記像を連続撮影可能であり、前記制御手段(170)が、前記像の連続撮影中である場合には、前記焦点調節手段(212)による調節を禁止するように構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、撮影者が構図変更を行った場合でも、適切な焦点状態の調節を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施形態に係る一眼レフデジタルカメラ1を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す焦点検出モジュールを示す図である。
【図3】図3は、撮影光学系の撮影画面内に設定された複数の焦点検出エリアの配置例を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャート(その1)である。
【図5】図5は、第1実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャート(その2)である。
【図6】図6は、第2実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第3実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
《第1実施形態》
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
以下においては、本発明を一眼レフデジタルカメラに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。ただし本発明は、銀塩フィルムカメラなどのその他の撮像装置にも適用することができる。
【0018】
図1は、本実施形態に係る一眼レフデジタルカメラ1を示すブロック図であり、本発明の焦点調節装置および撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
【0019】
本実施形態の一眼レフデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とを備え、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とはマウント部を介して、着脱可能に結合されている。本実施形態のカメラ1においては、レンズ鏡筒200は、撮影目的などに応じて、交換可能となっている。
【0020】
レンズ鏡筒200には、レンズ211,212,213、および絞り220を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0021】
フォーカスレンズ212は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ260によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。
【0022】
このフォーカスレンズ212の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒200に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ212を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ230によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1に沿って直進移動することになる。なお、レンズ鏡筒200にはフォーカスレンズ212以外のレンズ211,213が設けられているが、ここではフォーカスレンズ212を例に挙げて本実施形態を説明する。
【0023】
上述したようにレンズ鏡筒200に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ230がレンズ鏡筒200に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ230と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ230の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ230の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ212は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
【0024】
フォーカスレンズ212の位置はエンコーダ260によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ212の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒200に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
【0025】
本実施形態のエンコーダ260としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
【0026】
フォーカスレンズ212は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ100側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ260で検出されたフォーカスレンズ212の現在位置情報は、レンズ制御部250を介して後述するカメラ制御部170へ送出される。そして、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ212の駆動量Δdが、レンズ駆動制御部165からレンズ制御部250を介して送出され、これに基づいて、フォーカスレンズ駆動モータ230は駆動する。
【0027】
絞り220は、上記撮影光学系を通過して、カメラボディ100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部170からレンズ制御部250を介して送出されることにより行われる。また、カメラボディ100に設けられた操作部150によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部170からレンズ制御部250に入力される。絞り220の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部250で現在の開口径が認識される。
【0028】
一方、カメラボディ100は、被写体からの光束を撮像素子110、ファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール161へ導くためのミラー系120を備える。このミラー系120は、回転軸123を中心にして被写体の観察位置と撮影位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー121と、このクイックリターンミラー121に軸支されてクイックリターンミラー121の回動に合わせて回転するサブミラー122とを備える。図1においては、ミラー系120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮影位置にある状態を二点鎖線で示す。
【0029】
ミラー系120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮影位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
【0030】
クイックリターンミラー121はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー121で反射してファインダ135および測光センサ137へ導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー122へ導く。これに対して、サブミラー122は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー121を透過した光束(光軸L4)を焦点検出モジュール161へ導く。
【0031】
したがって、ミラー系120が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール161へ導かれ、撮影者により被写体が観察されるとともに、露出演算やフォーカスレンズ212の焦点調節状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタン(不図示)を全押しするとミラー系120が撮影位置に回動し、被写体からの光束(光軸L1)は全て撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データを図示しないメモリに保存する。
【0032】
クイックリターンミラー121で反射された被写体からの光束は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して観察可能になっている。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ135を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
【0033】
測光センサ137は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた測光信号を出力する。また、測光センサ137は、被写体認識用の撮像素子も兼ねており、撮影光学系により焦点板131上に結像された被写体像を電気信号に変換して画像信号を出力する。測光センサ137で検出された信号はカメラ制御部170へ出力され、自動露出制御および被写体認識処理に用いられる。
【0034】
焦点検出モジュール161は、被写体光を用いた位相差検出方式による自動合焦制御を実行するための焦点検出素子であり、サブミラー122で反射した光束(光軸L4)の撮像素子110の撮像面と光学的に等価な位置に固定されている。
【0035】
図2は、図1に示す焦点検出モジュール161の構成例を示す図である。本実施形態の焦点検出モジュール161は、コンデンサレンズ161a、一対の開口が形成された絞りマスク161b、一対の再結像レンズ161cおよび一対のラインセンサ161dを有し、フォーカスレンズ212の射出瞳の異なる一対の領域を通る一対の光束をラインセンサ161dで受光して得られる一対の像信号の位相ずれを周知の相関演算によって求めることにより焦点調節状態を検出する。
【0036】
そして、図2に示すように被写体Pが撮像素子110の等価面(予定結像面)161eで結像すると合焦状態となるが、フォーカスレンズ212が光軸L1方向に移動することで、結像点が等価面161eより被写体側にずれたり(前ピンと称される)、カメラボディ100側にずれたりすると(後ピンと称される)、ピントずれの状態となる。
【0037】
なお、被写体Pの結像点が等価面161eより被写体側にずれると、一対のラインセンサ161dで検出される一対の像信号の間隔Wが、合焦状態の間隔Wに比べて短くなり、逆に被写体像Pの結像点がカメラボディ100側にずれると、一対のラインセンサ161dで検出される一対の像信号の間隔Wが、合焦状態の間隔Wに比べて長くなる。
【0038】
すなわち、合焦状態では一対のラインセンサ161dで検出される像信号がラインセンサの中心に対して重なるが、非合焦状態ではラインセンサの中心に対して各像信号がずれる、すなわち位相差が生じるので、この位相差(ずれ量)に応じた量だけフォーカスレンズ212を移動させることでピントを合わせる。
【0039】
ここで、撮影光学系の撮影画面50内に設定された複数の焦点検出エリアの配置例を図3に示す。図3に示すように、撮影光学系の撮影画面50内には複数の焦点検出エリアAFPが設定されており、本実施形態においては、焦点検出モジュール161は、各焦点検出エリアAFPに対応して、一対のラインセンサ161dが複数備えられており、これにより、各焦点検出エリアAFPにおける像信号を取得できるようになっている。本実施形態では、図3にAFP1〜AFP31で示すように、31点の焦点検出エリアAFPが設けられ、それぞれの位置が撮像素子110の撮像範囲の所定位置に対応している。なお、焦点検出エリアAFPの個数および配置は、図3に示す態様に限定されるものではない。
【0040】
図1に戻り、AF−CCD制御部162は、オートフォーカスモードにおいて、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dのゲインや蓄積時間を制御するもので、焦点検出モジュール161に備えられた複数対のラインセンサ161dにて検出された像信号を、各焦点検出エリアAFPに対応させて読み出し、デフォーカス演算部163へ出力する。
【0041】
デフォーカス演算部163は、AF−CCD制御部162から送られてきた各焦点検出エリアAFPに対応した像信号のずれ量をデフォーカス量に変換し、これをレンズ駆動量演算部164へ出力する。
【0042】
レンズ駆動量演算部164は、デフォーカス演算部163から送られてきたデフォーカス量に基づいて、当該デフォーカス量に応じたレンズ駆動量Δdを演算し、これをレンズ駆動制御部165へ出力する。
【0043】
レンズ駆動制御部165は、レンズ駆動量演算部164から送られてきたレンズ駆動量Δdに基づいて、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ駆動モータ230へ駆動指令を送出し、レンズ駆動量Δdだけフォーカスレンズ212を移動させる。
【0044】
撮像素子110は、カメラボディ100の、被写体からの光束の光軸L1上であって、レンズ211,212,213を含む撮影光学系の予定焦点面となる位置に設けられ、その前面にシャッター111が設けられている。この撮像素子110は、複数の光電変換素子が二次元に配列されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどで構成することができる。この撮像素子110で光電変換された電気画像信号は、カメラ制御部170で画像処理されたのち図示しないメモリに保存される。なお、撮影画像を格納するメモリは内蔵型メモリやカード型メモリなどで構成することができる。
【0045】
操作部150は、シャッターレリーズボタンや撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチを備えており、連続撮影モードの選択や、自動露出モード/マニュアル露出モードの切換、さらには、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換や、また、オートフォーカスモードの中でも、特定被写体を認識するための被写体認識モードの設定が行えるようになっている。また、シャッターレリーズボタンのスイッチは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。この操作部150により設定されたシャッターレリーズボタンのスイッチSW1,SW2および各種モードはカメラ制御部170へ送信される。
【0046】
カメラボディ100にはカメラ制御部170が設けられている。カメラ制御部170はマイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、レンズ制御部250と電気的に接続され、このレンズ制御部250から、レンズ鏡筒200の焦点調節範囲の情報などを含むレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部250へデフォーカス量や絞り制御信号などの情報を送信する。また、カメラ制御部170は、上述したように撮像素子110から画像情報を読み出すとともに、必要に応じて所定の情報処理を施し、図示しないメモリに出力する。さらに、カメラ制御部170は、操作部150により、被写体認識モードが選択されている場合には、測光センサ137からの画像信号を受信し、受信した画像信号に基づき、撮影画面50内に存在する特定被写体を検知するための被写体認識処理を行う。また、カメラ制御部170は、これらに加えて、撮影画像情報の補正やレンズ鏡筒200の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
【0047】
次に、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図4、図5は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。なお、以下においては、操作部150を介して、被写体認識モードが選択されている場合を例示して説明する。
【0048】
まず、ステップS101では、カメラ制御部170が、撮影者によりシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかを判断し、第1スイッチSW1がオンした場合はステップS102へ進み、第1スイッチSW1がオンしていない場合はステップS101で待機する。
【0049】
ステップS102では、AF−CCD制御部162による、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dのゲインの調整、およびラインセンサ161dによる電荷の蓄積が行われる。
【0050】
ステップS103では、カメラ制御部170が、測光センサ137から被写体認識用の画像信号を受信し、被写体認識処理を行う。被写体認識の方法としては、特に限定されず、公知の方法に従えばよいが、たとえば、人物の顔のテンプレート画像を用いてテンプレートマッチングを行い、撮影光学系の撮影画面50中から人物の顔を認識し、これにより特定被写体を検出する方法などが挙げられる。
【0051】
ステップS104では、AF−CCD制御部162が、ラインセンサ161dで蓄積された信号情報を、撮影画面50内に設定された各焦点検出エリアAFPに対応させて読み出し、デフォーカス演算部163へ出力する。
【0052】
ステップS105では、デフォーカス演算部163により、撮影光学系の撮影画面50中に設定された各焦点検出エリアAFPについて、位相差検出方式による像ズレ量の演算が行われ、各焦点検出エリアのデフォーカス量dfが算出される。算出されたデフォーカス量dfは、カメラ制御部170およびレンズ駆動量演算部164に出力される。
【0053】
ステップS106では、カメラ制御部170により、ステップS105におけるデフォーカス量の演算結果から、焦点状態の検出が可能か否かの判定が行われる。ここで、焦点状態の検出が可能か否かの判定は、たとえば、次の基準で行われる。すなわち、たとえば、撮影画面50内に存在する被写体が低コントラストであった場合には、一対のラインセンサ161dにより検出されるセンサ信号に基づく一対のデータ間の信頼性が低下してしまい、結果として、焦点調節精度が低下してしまう。そのため、本実施形態では、このような場合に、焦点状態の検出が可能でないと判断し、ステップS107に進む。一方、それ以外の場合には、焦点状態の検出が可能であると判断し、ステップS108に進む。
【0054】
ステップS107では、いわゆるスキャン動作(サーチ駆動)を行う。具体的には、まず、カメラ制御部170により、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ駆動モータ230へ駆動指令が送出され、フォーカスレンズ212の移動が行われる。なお、この際のフォーカスレンズ212の移動量としては、予め定められた量とすればよい。次いで、フォーカスレンズ212の移動後のレンズ位置において、ステップS102と同様にして、ラインセンサ161dによる電荷の蓄積が行われ、ステップS104、S105と同様にして、ラインセンサ161dで蓄積された信号情報の読み出し、デフォーカス量dfの演算が行われ、ステップS106と同様にして、焦点状態の検出が可能か否かの判定が行われる。そして、ステップS107におけるスキャン動作においては、焦点状態の検出が可能と判断されるまで、フォーカスレンズ212の移動、ラインセンサ161dによる電荷の蓄積、蓄積された信号情報の読み出し、デフォーカス量dfの演算、および焦点状態の検出が可能か否かの判定を繰り返し実行する。そして、焦点状態の検出が可能と判断されるとステップS102に戻る。なお、ステップS107におけるスキャン動作の結果、焦点状態の検出が可能と判断されることなく、フォーカスレンズ212のレンズ位置が駆動範囲の端部(至近側端部または無限遠側端部)まで移動したと判定された場合には、非合焦処理が行われ、本実施形態に係る動作の終了処理が行われる。なお、非合焦処理としては、例えば、フォーカスレンズ212を停止し、合焦位置が検出できなかったことをユーザに知らせる警告表示を行う等が挙げられる。
【0055】
一方、ステップS106で、焦点状態の検出が可能であると判定された場合には、ステップS108に進む。ステップS108では、カメラ制御部170により、デフォーカス演算部163によって算出されたデフォーカス量df、およびステップS103における被写体認識処理の結果に基づき、撮影画面50中に設定された各焦点検出エリアAFPのうち、焦点調節に用いるための焦点検出エリアAFPを決定するための処理が行われる。本実施形態では、ステップS103における被写体認識処理により特定被写体が検出された焦点検出エリアAFPのうち、焦点調節に用いるための焦点検出エリアとして適切なエリア(たとえば、特定被写体が検出された焦点検出エリアAFPのうち、最も至近側に位置するエリア)が、焦点検出エリアとして選択される。
【0056】
ステップS109では、レンズ駆動量演算部164により、ステップS108にて決定された焦点調節に用いるための焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたレンズ駆動量Δdを演算し、これをレンズ駆動制御部165へ出力する。
【0057】
ステップS110では、レンズ駆動制御部165により、ステップS109にて算出されたレンズ駆動量Δdに基づいて、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ駆動モータ230へ駆動指令が送出され、フォーカスレンズ212の移動が行われる。
【0058】
そして、図5に進み、図5に示すステップS111では、カメラ制御部170により、撮影者によりシャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたかどうかの判断が行われ、第2スイッチSW2がオンした場合には、ステップS125に進む。そして、ステップS125にて、撮像素子110により、被写体像の撮影が行われ、撮像素子110に備えられた複数の光電変換素子に応じた信号が、センサ制御部151に送信され、その後、ステップS101に戻る。一方、第2スイッチSW2がオンしていない場合には、ステップS112に進む。
【0059】
ステップS112では、第1スイッチSW1がオフとなっているか否かの判定が行われる。第1スイッチSW1がオフとなっている場合には、焦点調節制御の終了処理がなされ、ステップS101に戻る。一方、第1スイッチSW1がオンされたままとなっている場合には、ステップS113に進む。
【0060】
ステップS113〜S116では、上述のステップS102〜S104と同様に、AF−CCD制御部162による、ラインセンサ161dのゲインの調整、およびラインセンサ161dによる、電荷の蓄積(ステップS113)、カメラ制御部170による、測光センサ137からの被写体認識用の画像信号に基づく、被写体認識処理(ステップS114)、AF−CCD制御部162による、ラインセンサ161dで蓄積された信号情報の読み出し(ステップS115)、デフォーカス演算部163による、各焦点検出エリアのデフォーカス量dfの算出(ステップS116)が行われる。
【0061】
ステップS117では、カメラ制御部170により、ステップS106と同様にして、ステップS116におけるデフォーカス量の演算結果から、焦点状態の検出が可能か否かの判定が行われる。焦点状態の検出が可能であると判定された場合にはステップS118に進み、一方、焦点状態の検出が可能でないと判定された場合には、ステップS121に進む。
【0062】
ステップS118では、カメラ制御部170により、デフォーカス演算部163によって算出されたデフォーカス量df、およびステップS114における被写体認識処理の結果に基づき、撮影画面50中に設定された各焦点検出エリアAFPのうち、焦点調節に用いるための焦点検出エリアAFPを決定するための処理が行われる。なお、本実施形態においては、ステップS114における被写体認識処理において、前回処理時と同じ位置に特定被写体が留まっていると判断された場合には、焦点調節に用いるための焦点検出エリアAFPとして、前回処理時に選択された焦点検出エリアAFPが用いられる。一方、ステップS114における被写体認識処理において、前回処理時から特定被写体が撮影画面50内を移動していると判断された場合には、該特定被写体の移動後の位置に対応する焦点検出エリアが、焦点調節用の焦点検出エリアとして選択される。
【0063】
次いで、ステップS119〜S120において、ステップS109〜S110と同様に、レンズ駆動量演算部164による、レンズ駆動量Δdの演算(ステップS119)、およびレンズ駆動制御部165による、フォーカスレンズ212の駆動(ステップS120)が行われた後、ステップS111に戻り、第2スイッチSW2がオンしたか否かの判定が行われることとなる。
【0064】
一方、ステップS117において、焦点状態の検出が可能でないと判定された場合には、ステップS121に進む。ステップS121では、カメラ制御部170により、ステップS114における被写体認識処理結果に基づき、ステップS108において決定された焦点調節に用いるための焦点検出エリアAFPにおいて捕捉された特定被写体が、撮影光学系の撮影画面50内から消失しているか否か(撮影画面50内において、認識不可能となっているか否か)の判定が行われる。本実施形態では、ステップS114における被写体認識処理の信頼性が所定の水準L1以上であり、かつ、特定被写体が撮影画面50内において全く検出できない場合や、被写体認識処理の信頼性が所定の水準L1以上であり、かつ、前回処理において認識された特定被写体と、今回の処理にて認識された特定被写体との間の一致性または類似性が低い場合に、特定被写体が、撮影画面50から消失していると判定することができる。特定被写体が消失していると判定された場合には、ステップS122に進む。一方、特定被写体が消失していないと判定された場合(撮影画面50内において、特定被写体を検出できた場合)には、ステップS124に進む。
【0065】
ステップS122では、カメラ制御部170により、ステップS121における特定被写体が消失しているとの判定における、被写体認識処理の信頼性が所定の水準L2以上であるか否かの判断が行われる。この場合において、ステップS122における所定の水準L2は、ステップS121における所定の水準L1よりも高いものとする(L2>L1とする)。これにより、ステップS121における特定被写体の消失判定の精度をより高いものとすることができる。被写体認識の信頼性が所定の水準L2以上である場合には、撮影者による構図変更などにより、撮影画面50内に存在していた特定被写体が、第1スイッチSW1がオンとなっている間(レリーズボタンが半押しされている間)に、撮影画面50内から消失したと判断し、ステップS123に進む。一方、被写体認識の信頼性が所定の水準L2未満である場合には、ステップS124に進む。
【0066】
ステップS123では、上述のステップS107と同様に、いわゆるスキャン動作(サーチ駆動)を行う。そして、スキャン動作の結果、焦点状態の検出が可能と判断されるとステップS111に戻る。
【0067】
一方、ステップS121において、特定被写体が消失していないと判定された場合、および、ステップS122においてステップS114における被写体認識処理の信頼性が所定の水準L2未満であると判定された場合には、カメラ制御部170から、レンズ制御部250に、フォーカスレンズ212の駆動を禁止するための信号が送信される。そして、レンズ制御部250は、該信号に基づき、フォーカスレンズ駆動モータ230を停止させ、これにより、フォーカスレンズ212の駆動が停止され、ステップS111に戻る。
【0068】
本実施形態のカメラ1は、以上のように動作する。
【0069】
なお、上述の実施形態においては、ステップS121において、特定被写体が消失しているとの判定がなされ、かつ、ステップS122において、被写体認識処理の信頼性が所定の水準L2以上であると判定された場合に、ステップS123において、スキャン動作を行うような制御としたが、カメラ制御部170から、レンズ駆動制御部165およびレンズ制御部250にスキャン動作を許可する旨の信号を送るような制御とし、これにより、単にスキャン動作可能な状態とするような態様としてもよい。
【0070】
本実施形態によれば、撮影画面50内において、焦点状態の検出が不能な場合であり、かつ、前回処理以前では認識されていた特定被写体が認識されなくなった場合(消失したと判断できる場合)に、スキャン動作(焦点検出モジュール161、AF−CCD制御部162、およびデフォーカス演算部163による焦点状態の検出動作、およびフォーカスレンズ212の移動による焦点調節動作)を行うような構成(または、スキャン動作を許可する構成)とする。特に、本実施形態においては、前回処理以前では認識されていた特定被写体が認識されなくなった場合(消失したと判断できる場合)に、撮影者により構図変更が行われたと判断し、これにより、スキャン動作を行う(または、スキャン動作を許可する)ものである。そして、これにより、たとえば、レリーズボタンが半押しされている間(第1スイッチSW1がオンとなっている間)に、撮影者により構図変更が行われた場合において、フォーカスレンズ212の応答性を向上させることができ、結果として、構図変更後における焦点調節を良好に行うことができる。
【0071】
《第2実施形態》
次いで、本発明の第2実施形態を説明する。本発明の第2実施形態は、上述した第1実施形態のカメラ1において、以下に説明するように動作する以外は、第1実施形態と同様である。
【0072】
以下においては、第2実施形態の動作について、説明する。図6は、第2実施形態に係るカメラ1の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図6に示すフローチャートは、第1実施形態における図4に示すフローチャートの続きのフローチャートに相当する。そして、第2実施形態においては、図6に示すフローチャートにおいて、ステップS121において、特定被写体が消失しているとの判定がなされ、かつ、ステップS122において、被写体認識処理の信頼性が所定の水準L2以上であると判定された場合に、ステップS123’に進み、ステップS123’にて、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dの蓄積データの初期化を行い、次いで、ステップS123に進んで、スキャン動作を実行する以外は、第1実施形態と同様に動作する。
【0073】
なお、図6に示すフローチャートにおいては、スキャン動作に先立って、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dの蓄積データの初期化を行う場合を例示したが、ラインセンサ161dの蓄積データの初期化は、スキャン動作を行う際に実行すればよく、たとえば、スキャン動作を行った後に、ラインセンサ161dの初期化を行うような構成としてもよい。
【0074】
また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、ステップS123において、スキャン動作を行うような制御としたが、カメラ制御部170から、レンズ駆動制御部165およびレンズ制御部250にスキャン動作を許可する旨の信号を送り、単にスキャン動作可能な状態とするような態様としてもよい。
【0075】
第2実施形態によれば、第1実施形態における効果に加えて、次の効果を奏する。すなわち、第2実施形態によれば、焦点状態の検出が不能な場合であり、かつ、撮影画面50内において、前回処理以前では認識されていた特定被写体が認識されなくなった場合(消失したと判断できる場合)に、スキャン動作(または、スキャン動作の許可)に加えて、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dの蓄積データの初期化を行う。そのため、たとえば、レリーズボタンが半押しされている間に、撮影者により構図変更が行われた場合において、構図変更後、ラインセンサ161dにより、速やかに構図変更後の被写体に対応する輝度情報の取得を行うことができる。すなわち、構図変更に速やかに対応することができる。そして、その結果として、構図変更後における焦点調節をより良好に行うことができる。
【0076】
《第3実施形態》
次いで、本発明の第3実施形態を説明する。本発明の第3実施形態は、上述した第1実施形態のカメラ1において、以下に説明するように動作する以外は、第1実施形態と同様である。
【0077】
以下においては、第3実施形態の動作について、説明する。図7は、第3実施形態に係るカメラ1の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図7に示すフローチャートは、第1実施形態における図4に示すフローチャートの続きのフローチャートに相当する。
【0078】
すなわち、第3実施形態においては、第1実施形態と同様に、図4に示す各ステップS101〜S110が実行され、また、第1実施形態と同様に、図7に示す各ステップS111〜S116が実行される。
【0079】
そして、第3実施形態においては、第1実施形態と異なり、ステップS116において、デフォーカス演算部163による、各焦点検出エリアのデフォーカス量dfの算出の後に、ステップS201に進み、図5に示すステップS121と同様にして、特定被写体の消失判定が行われる。すなわち、第3実施形態では、焦点状態の検出が可能か否かの判定(図5に示すステップS117に相当)を行う前に、特定被写体の消失判定が行われる。
【0080】
そして、ステップS201における、特定被写体の消失判定の結果、特定被写体が、撮影画面50内から消失していると判定された場合には、ステップS206に進み、図5に示すステップS122と同様にして、ステップS201における特定被写体が消失しているとの判定における、被写体認識処理の信頼性が所定の水準L2以上であるか否かの判断が行われる。その結果、被写体認識処理の信頼性が所定の水準L2以上であると判定された場合には、ステップS207に進み、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dの初期化が行われ、ステップS111に戻る。一方、被写体認識処理の信頼性が所定の水準L2未満である場合には、ステップS202に進む。
【0081】
一方、ステップS201における、特定被写体の消失判定の結果、特定被写体が、撮影画面50内から消失していないと判定された場合には、ステップS202に進み、図5に示すステップS117と同様にして、焦点状態の検出が可能か否かの判定が行われる。そして、その結果、焦点状態の検出が可能であると判定された場合には、ステップS203〜S205において、図5に示すステップS118〜S120と同様にして、焦点調節用の焦点検出エリアの決定(ステップS203)、レンズ駆動量Δdの演算(ステップS204)、およびレンズ駆動制御部165による、フォーカスレンズ212の駆動(ステップS205)が行われた後、ステップS111に戻り、第2スイッチSW2がオンしたか否かの判定が行われることとなる。あるいは、焦点状態の検出が可能でないと判定された場合には、図5に示すステップS124と同様にして、フォーカスレンズ212の駆動停止処理が行われ、ステップS111に戻ることとなる。
【0082】
上述のように、第3実施形態は、光学系の焦点状態を検出する焦点検出手段と、前記光学系の焦点状態を調節する焦点調節手段と、前記光学系による像のうち特定の対象の像を認識する認識手段と、前記認識手段により前記特定の対象の像の認識が不可能となった場合に、前記焦点検出手段を初期化する焦点調節装置に係るものである。
【0083】
そして、このような第3実施形態によれば、撮影画面50内において、前回処理以前では認識されていた特定被写体が認識されなくなった場合(消失したと判断できる場合)に、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dの蓄積データの初期化を行う。そのため、第3実施形態によれば、たとえば、レリーズボタンが半押しされている間に、撮影者により構図変更が行われた場合において、構図変更後、ラインセンサ161dにより、速やかに構図変更後の被写体に対応する輝度情報の取得を行うことができる。すなわち、構図変更に速やかに対応することができる。そして、その結果として、構図変更後における焦点調節を良好に行うことができる。
【0084】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0085】
たとえば、上述した第1実施形態および第2実施形態において、操作部150を介して、連続撮影モードが選択されており、かつ、連続撮影が行われている場合には、ステップS123におけるスキャン動作(または、スキャン動作の許可)を行わず、その代わりに、フォーカスレンズ212の駆動を一時的に禁止するような構成としてもよい。このような構成とすることにより、連続撮影中などフォーカスレンズ212が駆動することが望ましくない状況においては、フォーカスレンズ212の駆動を制限できる一方で、レリーズボタンが半押しされている間に、撮影者により構図変更が行われた場合に、構図変更後における焦点調節を良好なものとすることができる。
【符号の説明】
【0086】
1…一眼レフデジタルカメラ
100…カメラボディ
110…撮像素子
150…操作部
161…焦点検出モジュール
162…AF−CCD制御部
163…デフォーカス演算部
164…レンズ駆動量演算部
165…レンズ駆動量制御部
170…カメラ制御部
200…レンズ鏡筒
212…フォーカスレンズ
230…フォーカスレンズ駆動モータ
250…レンズ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系の焦点状態を検出する焦点検出手段と、
前記光学系の焦点状態を調節する焦点調節手段と、
前記光学系による像のうち特定の対象の像を認識する認識手段と、
前記焦点検出手段による前記焦点状態の検出が不可能な場合に、前記焦点調節手段による前記光学系の調節を禁止するとともに、該禁止した状態で、前記認識手段により前記特定の対象の像の認識が不可能となった場合に、前記焦点調節手段により焦点調節状態を調節しながら前記焦点検出手段による前記焦点状態の検出を行う制御手段と、
を有することを特徴とする焦点調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の焦点調節装置において、
前記制御手段は、前記認識手段による認識結果に信頼性があると判断した場合に、前記焦点調節手段により焦点調節状態を調節しながら前記焦点検出手段による前記焦点状態の検出を行わせることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項3】
請求項2に記載の焦点調節装置において、
前記制御手段は、前記認識手段による認識結果の信頼性を判定する際の判定基準を前記認識手段による特定の対象の像の認識が不可能であると判定する判定基準よりも高くすることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか1項に記載の焦点調節装置において、
前記制御手段は、前記認識手段により前記特定の対象の像の認識が不可能となった場合に、前記焦点検出手段を初期化することを特徴とする焦点調節装置。
【請求項5】
請求項2から4までの何れか1項に記載の焦点調節装置において、
前記制御手段は、前記認識手段よる認識結果に信頼性がないと判断した場合には、前記焦点調節手段による調節を禁止することを特徴とする焦点調節装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか1項に記載の焦点調節装置において、
前記制御手段は、前記焦点検出手段により前記光学系の焦点状態を検出できず、かつ、前記認識手段により前記特定の対象の像を認識できた場合には、前記焦点調節手段による調節を禁止することを特徴とする焦点調節装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか1項に記載の焦点調節装置と、前記光学系による像を撮像する撮像手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像装置において、
前記撮像手段は、前記像を連続撮影可能であり、
前記制御手段は、前記像の連続撮影中である場合には、前記焦点調節手段による調節を禁止することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−276675(P2010−276675A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126384(P2009−126384)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】