説明

焼結鉱の製造方法

【課題】通気性を改善して焼結鉱の歩留りを改善する焼結鉱の製造方法を提供する。
【解決手段】粉コークスを含み造粒機10、11で擬似造粒した焼結原料を、焼結パレット13上に装入して焼結する焼結鉱の製造方法において、粉コークスのうち、粒径1mm以上を90質量%以上含む粗粒分Bを、造粒機11の下流側で添加する。また、粗粒分Bの表面を、CaO成分系を含有する製鋼スラグ微粉で覆う。更に、粉コークスのうち、粒径1mm未満を90質量%以上含む微粒分Aを、造粒機10の上流側で添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉コークスを含む焼結原料を造粒して焼結する焼結鉱の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製鉄所では、コークスを含む焼結原料を造粒機で造粒して擬似造粒物(以下、単に造粒物とも称す)にした後、焼結機の焼結パレット上に装入して焼結鉱を製造している。
上記した焼結原料の造粒方法としては、例えば、特許文献1に、コークスを除く焼結原料を、ドラムミキサーの装入口から装入して、焼結原料がドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒の範囲となる領域で、前記コークスを添加することにより、コークスを除く造粒物の表面にコークスを付着(コークスの外装)させる方法が開示されている。
また、このコークス外装のための他の方法として、特許文献2には、予めコークスの全添加量の20〜50質量%と鉄鉱石とをドラムミキサーに装入し、残部のコークスを、ドラムミキサーの全長をLとして、装入口から0.5L〜0.98Lの範囲に添加して造粒する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3794332号公報
【特許文献2】特許第4087982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1、2に記載の方法には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
焼結原料に使用するコークスには、通常、粒径1mm未満のコークス(以下、微粒分ともいう)を5〜40質量%含有しているものを使用している。この焼結原料を造粒した造粒物の表面に付着する微粒分は、焼結パレットへの装入時に、該微粒分の一部が造粒物の表面から剥離し、この剥離した微粒分が焼結パレット内の造粒物間の隙間に入込んで通気の悪化を招くため、焼結鉱の歩留りが低下する。また、焼結原料に使用するコークスの一部は低温域で燃焼することから、NOxの発生源となる。なお、微粒分が未造粒の場合も同様である。
更に、微粒分が造粒物表面に付着しないで、そのまま焼結パレット上に装入されるものもあるが、これも上記と同様である。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、通気性を改善して焼結鉱の歩留りを改善する焼結鉱の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)粉コークスを含み造粒機で擬似造粒した焼結原料を、焼結パレット上に装入して焼結する焼結鉱の製造方法において、
前記粉コークスのうち、粒径1mm以上を90質量%以上含む粗粒分Bを、前記造粒機の下流側で添加することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【0007】
(2)前記粉コークスのうち、粒径1mm未満を90質量%以上含む微粒分Aを、前記造粒機の上流側で添加することを特徴とする(1)記載の焼結鉱の製造方法。
【0008】
(3)前記造粒機の上流側に添加する前記微粒分Aの量は、前記粉コークスの5質量%以上20質量%以下であることを特徴とする(2)記載の焼結鉱の製造方法。
【0009】
(4)前記粗粒分Bは、前記造粒機内の排出口近傍に添加することを特徴とする(1)〜(3)記載の記載の焼結鉱の製造方法。
【0010】
(5)前記粗粒分Bの表面を、CaO成分系を含有する製鋼スラグ微粉で覆うことを特徴とする(1)〜(4)記載の焼結鉱の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る焼結鉱の製造方法は、焼結原料に含まれる粉コークスのうち、粒径1mm以上を90質量%以上含む粗粒分Bを、造粒機の下流側で添加するので、造粒機で造粒した擬似造粒物の表面を粗粒分Bで覆うことができる。
これにより、造粒物表面からの微粒分の剥離を抑制できるため、通気性が悪化することを抑制可能にし、焼結鉱を歩留りよく製造できる。
また、このとき、擬似造粒物の表面に付着する粉コークスの粗粒分Bの表面を、CaO成分を含有する物質で覆うことにより、該粗粒分Bの低温域での燃焼を抑制し、高温域で燃焼させることが可能となり、NOxの低減が図れるので好ましい。
【0012】
また、粉コークスのうち、粒径1mm未満を90質量%以上含む微粒分Aを、造粒機の上流側で添加する場合、大部分の微粒分Aが他の焼結原料と共に造粒され、この微粒分Aを造粒物の内部に閉じ込めることができる。
これにより、焼結パレットへの装入時に微粒分Aが剥離して通気性が悪化することを抑制可能にし、焼結鉱を歩留りよく製造できる。
【0013】
ここで、造粒機の上流側に添加する微粒分Aの量は、焼結原料中に含まれる全粉コークス量の5〜20質量%であることが好ましく、5質量%未満であると擬似造粒物内の温度上昇が不足して焼結品質の向上を図れないことがあり、また、20質量%超になると、外装するコークス量が少なくなり、その効果を享受できなくなると共に焼結原料の含有水分によっては造粒性が悪化することがある。
【0014】
更に、粗粒分Bの表面を、CaO成分系を含有する製鋼スラグ微粉(石灰石系材料微粉)で覆う場合、焼結原料の焼結時に、低温域での燃焼を抑制し、高温域での燃焼にシフトできるため、焼結原料の焼結時に発生する排ガス中のNOx量の更なる低減が図れるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る焼結鉱の製造方法の説明図である。
【図2】粉コークスの粒度が焼結鉱の歩留に及ぼす影響を示すグラフである。
【図3】微粒分Aの造粒状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る焼結鉱の製造方法は、粉コークスを含みドラムミキサー(造粒機の一例)10、11で擬似造粒した焼結原料を、焼結機12の焼結パレット13上に装入して焼結する方法であり、粉コークスのうち、粗粒分Bをドラムミキサー10の下流側に配置されたドラムミキサー11の下流側で添加する方法である。以下、詳しく説明する。
【0017】
まず、鉄原料(例えば、鉄鉱石原料や返鉱等)、粉コークスの微粒分A(即ち、粗粒分Bを除く粉コークス)、石灰石系原料(例えば、CaOやCaCO)、及びその他の副原料(例えば、MgO源やSiO源)を、原料貯留槽14から予め設定した配合割合でそれぞれ切出す。なお、原料貯留槽14の粉コークスの微粒分Aは、粒径1mm未満を90質量%以上有している。
そして、この鉄原料、粉コークス、石灰石系原料、及びその他の副原料を含む焼結原料をドラムミキサー10へ投入し、これに水分を添加して造粒を行う。更に、これらを、ドラムミキサー10の下流側に配置されたドラムミキサー11へ投入して、更なる造粒を行う。
【0018】
また、ドラムミキサー11の下流側に配置した貯留槽15には、粉コークスの粗粒分B(粒径1mm以上を90質量%以上を有する)が貯留されており、この貯留槽15から粗粒分Bを予め設定した配合割合でそれぞれ切出し、ドラムミキサー11の下流側位置から投入して、他の焼結原料と共に造粒する。
ここで、粗粒分Bの添加位置は、ドラムミキサー11内の排出口近傍、例えば、ドラムミキサー11の全長をLとして、排出口から0.1×Lまでの範囲内としているが、例えば、装入口から0.5×L〜0.98×Lの範囲(特許文献2と同様の位置)や、ドラムミキサー11外の排出口近傍(例えば、ドラムミキサー11出側と供給装置16入側との間の領域)とすることもできる。ここで、粗粒分Bの添加位置を、ドラムミキサー11外の排出口近傍とする場合、粗粒分Bが造粒物中に封じ込められることが殆どなくなり、粗粒分Bの燃焼性を向上できるので、好ましい。
これにより、粗粒分Bは、造粒された焼結原料の表層部に付着する。
【0019】
上記した造粒を行うに際しては、2台のドラムミキサー10、11を直列に配置して行ったが、3台以上(複数台)のドラムミキサーを直列に配置して行ってもよく、また1台のドラムミキサーのみで行ってもよい。なお、ドラムミキサーを複数台使用する場合は、粗粒分Bの添加を、最も下流位置に配置されたドラムミキサーの下流側で行い、またドラムミキサーを1台使用する場合は、粗粒分Bの添加を、そのドラムミキサーの下流側で行う。
また、この造粒は、擬似造粒物を製造できれば、ドラムミキサー以外の他の造粒機、例えば、アイリッヒミキサー等を使用することもできる。
これにより、核となる粒子の周囲に粉を付着させ、平均粒径が2〜4mm程度の擬似造粒物を製造することができる。
【0020】
ここで、粉コークスの粒度が焼結鉱の歩留に及ぼす影響について検討した結果を、図2を参照しながら説明する。なお、図2は、縦軸が焼結鉱の歩留を、横軸が粉コークスの粒度を、それぞれ示している。この歩留とは、焼結させた全焼結鉱量に対する粒径(幅)5mm以上の焼結鉱(高炉に装入可能な焼結鉱)量の割合(%)である。
図2から明らかなように、粉コークスの粒度を1mm以上とすることで、焼結鉱の歩留を80%以上、更には85%以上に向上できることを確認できた。
【0021】
ここで使用した試料は、石灰石及び鉄鉱石にて、SiO:2.5質量%、CaO:4.5質量%、となるよう調製した粉コークスを、4質量%配合したものである。そして、これを、300mm径×600mm高さの鍋試験機にて、定風量100Nm/m/時間で焼結した。
また、前記粉コークスは、1mm未満、1mm以上2mm未満、2mm以上3mm未満、3mm以上4mm未満、4mm以上5mm以下の粒度領域に篩分けたものを用いた。なお、図2において、粉コークスの1mm未満は0.5mmの位置に、1mm以上2mm未満は1.5mmの位置に、2mm以上3mm未満は2.5mmの位置に、3mm以上4mm未満は3.5mmの位置に、4mm以上5mm以下は4.5mmの位置に、それぞれプロットした。
【0022】
前記した微粒分Bと粗粒分Aで構成される全粉コークスを、ドラムミキサーの下流側で添加(即ち、後添加)した場合、図3の上側図の形態が得られる。即ち、鉱石中の粗粒分(以下、粗粒鉱石と称す)が核粒子となり、その周囲に微粉鉱石が付着した付着粉層を形成し、更に、その付着粉層の内部に若干、粉コークスの1mm未満の微粒分Aと粗粒分B(図示しない)が混入しているが、粉コークスの微粒分Aと粗粒分Bの大部分が、微粉鉱石の付着粉層の外周に付着したり、また付着することなく未造粒の状態で単独に存在する。
前記したように、微粉鉱石の付着粉層の外周に付着することなく未造粒の状態で単独に存在する微粒分Aは勿論であるが、微粉鉱石の付着粉層の外周に付着した粉コークスのうち、焼結パレットに装入されるまでの搬送途中において剥離した微粒分Aが、焼結パレットの焼結原料の目詰りの原因となる。
【0023】
一方、図3の下側図は、粉コークス中の微粒分Aを、ドラムミキサーの上流側で添加(即ち、前添加)し、粉コークス中の粗粒分B(図示しない)をドラムミキサーの下流側で添加することにより得られる形態である。即ち、粗粒鉱石が核粒子となり、その外周に微粉鉱石と粉コークスの微粒分Aが混合された状態で付着した混合層を形成し、その混合層の周囲に粉コークスの粗粒分Bが付着した状態になる。
このため、搬送途中において粉コークスが剥離したとしても、この剥離した粉コークス中に微粒分Aは殆ど含まれておらず、しかも、未造粒の微粒分Aも殆どないことから、焼結原料の目詰りがなく、通気性が良好に維持されるものと推定される。
【0024】
以上のことから、焼結時の通気性を改善して焼結鉱の歩留りを向上させるには、粗粒鉱石が核粒子となる場合、造粒物表面への微粒分Aの付着や、未造粒の微粒分Aの発生を抑制するため、図3の下側図に示すように、核粒子の周囲に付着する微粉鉱石の層内に、微粒分Aを閉じ込める必要がある。
その方法としては、粉コークスを予め粒径選別処理し、粒径1mm未満の微粒分Aを原料貯留槽14に貯留して、他の焼結原料と共にドラムミキサー10内に供給して造粒する。なお、粒径選別処理手段としては、例えば、風力選別や篩選別等がある。
【0025】
ここで、微粒分Aの添加位置は、微粒分Aの大部分が、核粒子の周囲に付着する微粉鉱石の層内に閉じ込められれば、特に限定されるものではなく、例えば、他の焼結原料のドラムミキサー10への搬送経路や、ドラムミキサー10の装入口とすることもできる。
また、微粒分Aは、粉コークス中の粒径1mm未満のもののみ(粒径1mm未満:100質量%)で構成されることが望ましいが、前記した検討結果や粒径選別処理手段の精度等を考慮すると、粒径1mm未満を90質量%以上(好ましくは93質量%以上)含んでいれば、これより大きい粒径の粉コークスが含まれていても実操業上問題ない。
【0026】
この微粒分Aの量は、焼結原料に使用する全粉コークスの5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。これにより、擬似造粒物内の温度を上昇させて焼結品質の向上が図れ、しかも粉コークスの外装効果が享受できると共に、造粒性も良好にできる。
なお、微粒分Aの粒径の下限は、使用する粉コークスの種類等により変わるため、特に限定していないが、微粒分Aの平均粒径は、例えば、0.25〜0.35mm程度であり、微粒分Aには、例えば、0.125mm未満が40〜60質量%程度含まれるものを使用できる。
【0027】
更に、粗粒分Bについては、焼結鉱の製造時におけるNOxの低減効果を更に高めるため、粗粒分Bを他の焼結原料と共に造粒する前に、粗粒分Bの表面を、CaO成分系を含有する製鋼スラグ微粉や石灰石で覆うことが好ましい。
粗粒分Bの表面を覆う製鋼スラグ微粉(例えば、粒径0.5mm以下の微粉を60質量%以上含有するもの)には、製鉄所から発生する製鋼スラグ、即ちCaO成分系(例えば、CaOやCa(OH)等)を30質量%以上(好ましくは、下限を35質量%)含有する転炉スラグや電気炉スラグ等を使用できる。なお、製鋼スラグに含まれるCaO成分系の上限は、例えば、50質量%程度であり、また、製鋼スラグには、Fe成分(T.Fe(全鉄)で5質量%以上25質量%以下程度)も含まれている。
これにより、粗粒分Bの燃焼時に発生するNOxの還元作用を備えるカルシウムフェライト(CaO−Fe)を、粗粒分Bの近傍に生成できる。
【0028】
また、製鋼スラグ微粉で粗粒分Bを覆うに際しては、製鋼スラグ微粉と粗粒分Bをパンペレタイザー(混合機の一例)に供給すると共に、このパンペレタイザーに水分を添加し、混合して造粒する。なお、製鋼スラグ微粉と粗粒分Bに添加する水分量は、粗粒分B表面への製鋼スラグ微粉の付着効果を高めるため、製鋼スラグ微粉と粗粒分Bとの造粒物の水分含有量が8質量%以上14質量%以下(好ましくは、下限を10質量%、上限を12質量%)となるように、調整することが好ましい。
ここで、粗粒分Bの表面への製鋼スラグ微粉の付着は、パンペレタイザーを用いて行ったが、例えば、レディゲミキサー等を使用することもできる。
【0029】
以上の方法で得られた造粒物を、供給装置(例えば、ドラムフィーダ等)16を介して焼結パレット13上に装入する。
これにより、核粒子の周囲に付着する微粉鉱石の層内に、微粒分Aを閉じ込めることによる通気性の改善効果が得られると共に、粗粒分Bを微粉鉱石の擬似造粒物の周囲に付着させることによる粗粒分Bの高燃焼を維持できる。また、微粉鉱石の層内に微粒分Aを閉じ込めることで、微粒分Aを高温域で燃焼させることができ、更に粗粒分Bの表面を製鋼スラグ微粉で覆うことで、粗粒分Bの近傍でカルシウムフェライトを生成でき、コークスの燃焼時に発生するNOxの一部をNに分解できる。
従って、通気性を改善し、更に燃焼性を高い状態にして、焼結鉱を歩留りよく製造できると共に、焼結鉱の製造時におけるNOxの低減効果も得られる。
【実施例】
【0030】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、前記した300mm径×600mm高さの鍋試験機を用い、定風量100Nm/m/時間で焼結させて、歩留とNOx転換率を求めた。なお、各試験条件(操業条件)と試験結果(操業結果)を、表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
表1に示す粗粒分Bの添加位置のDM11内下流側とは、ドラムミキサー11の全長Lに対し、出側から0.1×Lの位置であり、また、DM11下流側とは、ドラムミキサー11の出側直近のベルトコンベア上である。
また、操業結果のNOx転換率とは、焼結時に発生したガスがNOxになる割合を示しており、以下の式によって求められる。
[NOxの転換率(mol%)]
=[単位時間当りの排ガスに含まれるNOx中のN量(mol)]
/[単位時間当りに供給する粉コークス中のN量(mol)]
なお、NOxは煙突に設けたNOx計の値であり、粉コークス中のN量はCHN元素分析で求めた値である。
【0033】
表1に示す実施例1〜6はいずれも、粉コークスのうち、粒径1mm以上を90質量%以上含む粗粒分Bを、ドラムミキサー11内の下流側位置、又はドラムミキサー11外の下流側位置で添加したため、造粒物表面からの微粒分の剥離を抑制でき、その結果、通気性が悪化することを抑制して、焼結鉱を歩留りよく(80%以上)製造できた。
特に、微粒分Aを添加することなく、粗粒分Bのみを添加した実施例1、2は、他の実施例3〜6と比較して、焼結鉱の歩留りを更に高めることができた(85%以上)。
【0034】
また、実施例3、4に示すように、ドラムミキサー10の上流側(入側)に添加する微粒分Aの量を、添加する全粉コークスの5質量%以上20質量%以下とすることにより、20質量%を超える実施例5と比較して、焼結鉱の歩留りを高めることができた。これは、外装するコークス量を適切な量に調整でき、造粒物表面からの微粒分の剥離の抑制効果が得られたことによる。
なお、実施例3、4に示すように、微粒分Aをドラムミキサー10の上流側に添加することにより、微粒分Aをドラムミキサー11の上流側に添加した実施例6と比較して、焼結鉱の歩留りを高めることができ、NOxの低減も図れた。
更に、実施例4に示すように、粗粒分Bの表面を製鋼スラグ微粉で覆った場合、他の実施例1〜3、5、6よりも、NOx転換率を低減でき、NOxの低減が図れた。
【0035】
一方、表1に示す比較例1は、粗粒分Bを添加することなく、微粒分Aのみを添加した結果であり、造粒物表面から微粒分が剥離し、その結果、通気性が悪化して、焼結鉱の歩留りが低下した(80%未満)。
また、比較例2、3はいずれも、粉コークスのうち、粒径1mm以上を90質量%未満含む粗粒分Bを、ドラムミキサー11内の下流側位置、又はドラムミキサー11外の下流側位置で添加したため、比較例1と同様、造粒物表面から微粒分が剥離し、その結果、通気性が悪化して、焼結鉱の歩留りが低下した(80%未満)。
【0036】
以上の結果から、本発明の焼結鉱の製造方法を使用することで、通気性を改善して焼結鉱の歩留りを改善できることを確認できた。
【0037】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の焼結鉱の製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
なお、前記実施の形態においては、焼結原料に使用する粉コークスとして、粗粒分Bと微粒分Aの双方を使用する場合について説明したが、粗粒分Bだけを使用し、微粒分Aを使用しなくても構わない。なお、微粒分Aを使用しない方法としては、例えば、粒径選別処理手段により粉コークスから微粒分Aを除く方法や、また微粒分Aが含まれていない粉コークスを選択して使用する方法がある。
【符号の説明】
【0038】
10、11:ドラムミキサー(造粒機)、12:焼結機、13:焼結パレット、14:原料貯留槽、15:貯留槽、16:供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉コークスを含み造粒機で擬似造粒した焼結原料を、焼結パレット上に装入して焼結する焼結鉱の製造方法において、
前記粉コークスのうち、粒径1mm以上を90質量%以上含む粗粒分Bを、前記造粒機の下流側で添加することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の焼結鉱の製造方法において、前記粉コークスのうち、粒径1mm未満を90質量%以上含む微粒分Aを、前記造粒機の上流側で添加することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の焼結鉱の製造方法において、前記造粒機の上流側に添加する前記微粒分Aの量は、前記粉コークスの5質量%以上20質量%以下であることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法において、前記粗粒分Bは、前記造粒機内の排出口近傍に添加することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法において、前記粗粒分Bの表面を、CaO成分系を含有する製鋼スラグ微粉で覆うことを特徴とする焼結鉱の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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