照射されたインプラントを用いる脊柱の小線量治療方法及び装置
【解決手段】 脊柱の腫瘍を容易に集中治療すべく構成された脊柱インプラントであって、腫瘍の放射線治療の線量及び持続期間になるように構成された、複数の照射された移植シードを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年11月26日に出願された、米国仮特許出願第61/118,235号を基礎とする優先権を主張し、同出願の開示は、その全体がここに明らかにされるが如く、ここに参照によって引用される。
本発明は、照射されたインプラントを用いる脊柱の小線量治療方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱腫瘍の治療は、代表的に、腫瘍を取り囲む健康な組織の除去を伴い、悪性細胞が逃げ出して転移するのを防ぐために、腫瘍の外殻を傷つけないようにしている。いくつかの例においては、腫瘍の除去が、腫瘍の外殻を傷つけることを伴う。例えば、腫瘍が脊髄を取り囲んでいる場合には、腫瘍組織を切断して、除去中に腫瘍が脊髄を滑り越えられるようにしている。腫瘍の除去中に腫瘍の外殻が傷つけられるか否かにかかわらず、通常は、転移のリスクを減少させるために、腫瘍の位置に放射線治療を適用することが望ましい。また、放射線治療は、腫瘍を手術できないか、又は外科手術が実際的でないかのいずれかの理由のために、腫瘍が除去されない例においても適用される。
【0003】
放射線療法は、従来、一般的に、腫瘍又は切開部位に向けられる、陽子線などの体外の放射源を使用して、脊柱領域に届けられるか、又は代わりに、静脈内への送出を使用して、より体系的に届けられる。残念なことに、従来の放射線療法は、大量の健康な組織を放射に暴露する。
【0004】
小線量治療は、放射線量密度を有するシードを前立腺組織の内部に移植することによって、前立腺癌を隙間から治療するために使用されてきた。低線量放射(LDR)のシードは、前立腺の中に外科的に移植され、永久的に前立腺の中に取り残される。高線量放射(HRD)のシードは、より一時的なベースにおいて、前立腺の中に移植される。
【0005】
従来のLDRシードは、チタンなどのインプラント等級の材料から、所望のサイズに形成されてなる、ケーシングを具備し、放射線材料にて充填される。シードは、ケーシングが1又は複数のペレットに取り付けられてなる行き詰まったシード、又はペレットがなんら他のケーシングに取り付けられていない自由シードとして提供される。ケーシングには、任意の適当なアイソトープを充填でき、これは、求められる放射線照射のレベル及び半減期に依存する。代表的なアイソトープには、ヨー素125及びパラジウム103が含まれる。これら両方の材料は、低エネルギーのX線を継続的に照射し、このX線は短距離だけにしか届かず、放射を周囲の器官に近づけない。
【0006】
HDRの小線量治療のシードは、イリジウム195から作られたワイヤを一時的に挿入することを伴い、ワイヤは、パラジウムやヨー素に比べて高いエネルギーのX線を照射する。代表的には、薄いプラスチック製のカテーテルが、テンプレートを通して、前立腺の中に挿入される。イリジウムのワイヤは、一度に1本ずつ、これらのカテーテルに挿入され、例えば2〜3秒間といった短時間だけ、所定位置に維持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、脊柱の腫瘍を治療するために、集中した放射を行うインプラントを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの観点によれば、小線源治療用脊柱インプラントが提供され、脊柱インプラントと、複数の放射されたシードとを具備している。脊柱インプラントは、長手軸線に沿って延在する本体と、本体の片側の長手端部に配置された上位終板と、本体の反対側の長手端部に配置された下位終板とを具備し、それぞれの終板が、相補的な椎骨終板に係合すべく構成された椎骨係合面を形成している。インプラント本体に取り付けられた複数の放射線シードは、小線源治療用インプラントが椎骨間空間に配置されたとき、所望の方向において、放射線を脊柱に向けて導くようになっている。
【0009】
上述した要旨並びに本願の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明は、添付図面に関連させて読むことでより良く理解されるだろう。本願の小線量治療用の放射された脊柱インプラントを例示する目的のために、図面には好ましい実施形態を示している。しかしながら、出願は、図示された正確な構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】1つの実施形態に従って構成された小線源治療用脊柱インプラントを示した上部斜視図であって、脊柱インプラントの本体に小線源治療用シードが具備されている。
【図2A】図1の小線源治療用シードの1つを示した側立面図である。
【図2B】図1の小線源治療用シードの1つを破断して示した斜視図である。
【図3A】図1の小線源治療用脊柱インプラントを示した上部平面図であって、その終板を示している。
【図3B】図3Aの終板を拡大して示した上部平面図であって、シード受入れ開口部が示されている。
【図3C】図3Bと同様な上部平面図であって、シード受入れ開口部に据え付けられた、小線源治療用シードを示している。
【図3D】図3Cの終板の一部分を破断して示した側立面図であって、1つの実施形態に従って構成されたものである。
【図3E】図1の線3E−3Eにて指示された、図3Aの終板の一部分を示した斜視図であって、終板の中に挿入されている1つのシードを示している。
【図4A】1つの実施形態に従って構成された、図1の小線源治療用シードの1つを示した斜視図である。
【図4B】他の実施形態に従ってインプラントに取り付けられた、図1の小線源治療用シードの1つを示した斜視図である。
【図4C】他の実施形態に従ってインプラントに取り付けられた、図1の小線源治療用シードの1つを示した分解斜視図である。
【図4D】図1のインプラントの一部分を模式的に示した分解上部平面図であって、他の実施形態に従ってインプラントに取り付けられた、シードの1つを示している。
【図4E】図1のインプラントの一部分を模式的に示した分解上部平面図であって、他の実施形態に従ってインプラントに取り付けられた、シードの1つを示している。
【図4F】図1のインプラントの一部分を分解して示した上部平面図であって、他の実施形態に従ってインプラントに取り付けられた、シードの1つを示している。
【図5A】1つの実施形態に従って、骨ねじとして構成されてなる、小線源治療用骨固定具を示した斜視図である。
【図5B】図5Aの骨ねじを破断して示した側立面図であって、埋設された小線源治療用シードを示している。
【図5C】図5Aの骨ねじを破断して示した側立面図であって、埋設された一対の小線源治療用シードを示している。
【図5D】図5Aの骨ねじを破断して示した側立面図であって、埋設された複数の小線源治療用シードを示している。
【図5E】他の実施形態に従って、放射性核種を収容した、小線源治療用骨固定具を破断して示した側立面図である。
【図5F】他の実施形態に従って、放射性核種から構成された、小線源治療用固定具を破断して示した側立面図である。
【図5G】骨釘として構成された小線源治療用骨固定具を破断して示した側立面図である。
【図6A】悪性の椎体を有する人間の脊柱の一部分を示した斜視図である。
【図6B】図6Aと同様な斜視図であるが、脊柱内及び脊柱周囲に移植された複数の小線源治療用シードを示している。
【図6C】図6Aの脊柱の一部分を示した斜視図であって、悪性の椎体が除去されて、小線源治療用シードが脊柱の中及び周囲に移植されている。
【図6D】図6Cと類似した斜視図であるが、隣接する椎骨の間に配置された椎骨間インプラントを示しており、悪性の椎体が除去された椎骨間の空間を占有している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ある種の用語は、以下の説明において、便利さのためだけに使用されて、制限的ではない。用語“右側”、“左側”、“下側”、及び“上側”は、図面において参照がされている方向を指示するが、実際の向きは使用中に異なることが認識される。方向を示す用語“内方”及び“外方”は、特に別言しない限り、小線源治療用インプラント20及びそれに関連する部品の幾何学的中心にそれぞれ向かう及び遠のく方向を参照している。用語“遠位側”、“近位側”、“前方”、“後方”、“上位”、“下位”、“内側”、及び“外側”及びこれらの関連語及び/又はフレーズは、限定を意味せず、参照がなされている人体に対して好ましい配置又は向きを指示する。用語には、上に列挙した単語、その派生語、及び類義語が含まれる。
【0012】
図1を参照すると、小線源治療(近接照射療法)用脊柱インプラント20は、脊柱インプラント21として構成され、これは、1つの実施形態に従って、拡張可能な椎骨間インプラント22として例示され、インプラント22における1又は複数のシード取付位置77に、図示の照射を受けたシード24である、1又は複数の放射線源を保持し又は他の方法にて支持している。照射を受けたシード24は、所定の線量の放射線を照射するように構成されている。インプラント22は、椎体切除術(corpectomy)の拡張可能なスペーサとして図示され、病んだ又は損傷した椎体の少なくとも一部分と置換されるように構成されている。インプラント22は、上位及び下位の終板28及び30をそれぞれ具備し、そのサイズ及び構造は、隣接する椎骨50における対応する隣接係合面と接触するようになっており、隣接する椎骨50によって定められる前彎角度又は後彎角度の範囲に適合するような表面幾何学形状の範囲に提供できる。1つの実施形態においては、隣接する椎骨50の係合面は、椎骨終板を形成する。変形例としては、例えば、半椎体切除術が実行されるときには、一方又は両方の隣接する椎骨50の係合面は、切除された椎骨によって形成される。従って、上位及び下位の終板28及び30は、それぞれ椎骨係合面35及び37を呈し、これは、歯、スパイク、隆起、又はその他のテクスチャ27など、外方へ突出した抗圧出特徴を支持している。終板28及び30は、中心の長手軸線23に沿って延在するインプラント本体26の反対側端部に配置される。
【0013】
インプラント本体26は、第1のないしは内側の本体部材32であって略管状の形態を有するものと、第2のないしは外側の本体部材34であって略管状の形態を有するものと、拡張リング36とを具備し、これらのすべては中空であり、調整式の椎骨間インプラント22における長手軸線23に沿って、内部に軸線ボアを提供する。本体部材32及び34と、拡張リング36とは、それぞれ、放射状に外面54,56,58を呈している。使用に際しては、第1のないしは内側の部材32は、好ましくは、そのサイズ及び構造が、第2のないしは外側の部材34に比べて若干小さく定められ、第1の部材32が第2の部材34の内部に配置されて可動になっている。しかしながら、他の構成によって可動に関連する、第1の部材32と第2の部材34も想定できることに留意されたい。
【0014】
終板28及び30は、内側及び外側の部材32及び34にそれぞれ結合され、そのためには、当業者に知られた任意の結合機構が用いられ、限定はしないが、締り嵌め、螺合、ねじ止め、接着などが含まれる。図示の通り、インプラント22は、終板キャップ42を具備し、これは、それぞれの上位終板28を通って長手方向に延在してなる中央開口部46の中に挿入され、内側部材32に螺着される。変形例としては、終板キャップ42は、内側部材32と一体的であっても良い。終板キャップ42は、その下端にてベース45に結合された側壁44を形成し、協働して内部空洞48を形成する。従って、外科医は、オステオバイオロジカル(osteobiological)であるか、又はその他の生物学的適合性である材料、例えば、PMMAや骨セメントを空洞48の中に挿入でき、上位椎体50の相補的な終板において、椎骨の融合を促進する。
【0015】
このように、椎骨間インプラント22は、複数の異なる終板28及び30を備えたキットとして提供でき、従って、ユーザは、患者の椎骨の終板の輪郭に最も良く一致する所望の終板を選択することができる。例えば、様々な終板28及び30が提供され、それらには、限定はしないが、様々な形状、すなわち、円形、正方形、矩形、楕円、腎臓形などが含まれ、及び/又は、1又は複数の以下の特性、すなわち、略楔形状の面、曲面、平坦面などが含まれる。変形例としては、上側及び下側の終板28及び30は、内側及び外側の部材32及び34と共に、一体的に形成しても良い。
【0016】
拡張リング36の放射状の内面は、ねじを具備し、内側部材32の外側放射状表面に形成されたねじ39と合致するように構成されており、拡張リング36を回転させると、内側部材32が、調整可能な椎骨間インプラント22の長手軸線23に沿って、外側部材34に対して並進し、又は略直線状に移動する。すなわち、使用に際しては、内側及び外側の部材32及び34は、好ましくは、共通の長手軸線23に沿って同軸的に配置され、好ましくは、(例えば、入子式に)互いに対して摺動式に配置されて、内側部材32の軸線位置は外側部材34に対して調整可能になっている。それにより、拡張リング36の回転は、回転の相対的方向に応じて、内側及び外側部材32及び34を拡張又は収縮させることになる。
【0017】
1又は複数の止めねじ40は、拡張リング36のねじ開口部41に挿入され、調整可能な椎骨間インプラント22の高さを選択的に係止する。変形例としては、拡張リング36は、自己ロック式でも良い。1つの実施形態においては、止めねじ40は、拡張リング36を自由に回転させて所望の高さを提供するのに充分な深さに位置決めされ、一方、依然として、止めねじ40とこれに対応する開口部41との結合固定を両者間の締り嵌めによって確実にする。適切な器具によって止めねじ40を前進させると、前進した止めねじ40の遠位端が、内側部材32の外面に対して当接し、拡張リング36がさらに回転することを防ぎ、それにより、調整可能な椎骨間インプラント22の高さをロックする。
【0018】
椎骨間インプラント22は、あらゆる生物学的適合性の材料や、当業者に知られているあらゆる生物学的適合性の材料の組合せから構築することができ、限定はしないが、それらには、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、セラミック、及びポリマー、すなわち、限定はしないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが含まれる。1つの実施形態においては、内側及び外側の管状部材32及び34は、X線透過性の材料、例えば、ポリマーやポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から形成され、一方、拡張リング36は、好ましくは、金属、例えば、チタンやステンレス鋼から形成される。
【0019】
インプラント22は、1又は複数の比較的大きい骨パッキング開口部52を、外側部材34の外面58に形成されて備えている。開口部52は、外側部材34を放射状に又は水平に通って延びる棚部60を形成している。また、インプラント22は、小さい開口部64の配列を具備し、開口部64は図1に示すように内側部材32又はリング部材36に延入しても良いことが認識されるけれども、開口部は、外側部材34の外面58の中に又は通して放射状に延びるように図示されている。1又は複数の骨パッキング開口部52と小さい開口部64とは、インプラント本体26の内側に長手方向に延びてなる内側ボア62へのアクセスを提供する。インプラント22は、開口部52及び64を備えて製造され、又は1又は複数の開口部52及び64は、例えば、外科手順の前に又は最中などに、(例えば、ドリルを用いて)インシトゥーにてインプラントに形成されても良いことを認識されたい。ボア62は、一方又は両方の終板28及び30を延通しても良い。
【0020】
外科医は、オステオバイオロジカル(osteobiological)であるか、又はその他の生物学的適合性である材料、例えば、PMMAや骨セメントを一方又は両方の開口部52及び64を通して骨62の中へ入れて、下位椎体50の終板において、椎骨の融合を促進する。重力は、椎体50の終板に、移植材料の方向を適用するのを補助する。椎骨間インプラント22は、骨パッキング開口部52や小さい開口部64を含むものには限られず、開口部を具備せずとも良く、又はインプラント22の特定の用途又は構造に依存して、追加的な形状又は位置が可変である開口部を具備しても良い。開口部52及び64はさらに、詳しくは後述するように、シード取付位置77を備えても良い。
【0021】
次に図1及び図2を参照すると、小線源治療用インプラント20は、1又は複数の小線源治療用シード24を具備し、これらは、椎骨間インプラント22に嵌められ又は別な方法で取り付けられる。それぞれの小線源治療用シード24は、放射性核種70を収容した内部コア68を形成している、生物学的適合性の保護外殻66を具備している。放射性核種は、任意の適当なアイソトープから選択され、例えば、ヨー素、パラジウム、イリジウムのアイソトープ、又は任意のアイソトープであって所望の線量の放射線を照射するものが含まれる。特定の例によるアイソトープには、ヨー素125及びパラジウム103が含まれ、ヨー素125は低線量の放射線を照射し、また、パラジウム103は高線量の放射線を照射する。従って、放射線シード24は、限られた時間、例えば、2〜3ヶ月にわたって放射線を照射すると良いけれども、治療の好みに応じて、放射線を無期限に又は比較的短時間だけ照射するように構成しても良い。
【0022】
外殻66は、あらゆる適当なインプラント等級の材料から構築でき、それらには、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、チタン、及びその他のものが含まれる。外殻66は、細長い卵形又は管状の構造物として例示されているけれども、これは、変形例においては、望まれる任意の適当な形状として形成しても良く、例えば、球体、曲線構造、又は任意の所望の多角形構造にすることができる。図示の通り、外殻66は、中心軸線Aに沿って延びてなる、細長い円筒形本体67を形成している。円筒形本体67は、一対の対向する丸められた端部69を形成し、反対側の外側端面73を形成している。円筒形本体67は、反対側の端部69の間に延在してなる外側側面71を形成している。
【0023】
ある種の実施形態においては、放射線を腫瘍に向けて導きつつ、放射線を脊髄から遠ざけるように導くことが望ましい。故に、シード24は、インプラント22において可変に位置決め及び配向させることができ、身体のその他の部分に悪影響を与えない狭い範囲にて治療部位を照射し、一般的に、移植位置とその周囲において、悪性の脊柱腫瘍が成長ないし再成長するのを防ぐように作用する。シード24は、それぞれX線不透過のマーカー63を、外殻66上に又は外殻66の中に配置されて具備し、X線透視術の助けによって治療部位の内部を視認できる。
【0024】
小線源治療用シード24は、1つの実施形態に従って図示して説明されたけれども、シード24は、任意の適当な変形例による実施形態に従って構成しても良いことを認識されたい。例えば、小線源治療用シード24は、放射性核種から構成された、一元的な固体の部材を形成できる。さらに、シード24は、インプラント22の1又は複数の構成要素を提供できることを認識されたい。例えば、抗圧出特徴27は、小線源治療用シード24から形成され、図1に示すように、終板28及び30から長手方向に突出した、スパイク、隆起、テクスチャ、その他を提供するように幾何学的に構成される。
【0025】
シード24は、望むように、構築され及び/又は配置される。インプラント22は、様々な実施形態によるシード24を具備するものとして示され、1又は複数の第1のシード24A、1又は複数の第2のシード24B、1又は複数の第3のシード24C、1又は複数の第4のシード24D、1又は複数の第5のシード24E、及び1又は複数の第6のシード24Fによって指示されるように構築及び/又は配置されるけれども、インプラント22は、任意の変形例によるタイプのシードを望むようにインプラント22に結合及び配置して具備できることを認識されたい。
【0026】
また図3A乃至図3Eを参照すると、第1のシード24Aは、片方又は両方の終板28及び30に配置され、終板から隣接する椎骨50へ向けて長手方向に延出している。特に、インプラント22は、片方又は両方の終板28及び30の中へ長手方向に延入してなるシード受入れ開口部72として示される、1又は複数のシード取付位置77を具備している。インプラント22は、開口部72を備えて製造され、又は1又は複数の開口部は、例えば、外科手順の前に又は最中などに、(例えば、ドリルを用いて)インシトゥーにてインプラント22に形成されても良いことを認識されたい。
【0027】
開口部72は、図示の通り、歯27と組み合わせられて提供されるか、又は歯27の代わりに提供される。第1のシード24Aの外側端部69の片方は、矢印Aの方向に沿った任意の所望の方法にて、開口部72の中へ挿入できる。例えば、開口部72は、第1のシード24A(例えば、外殻66)の外側直径又は代わりに横断面寸法と実質的に等しいような直径又は横断面寸法を形成し、第1のシード24Aは、開口部72の中へ圧入されることができる。代わりに又は加えて、1又は複数の開口部72は、第1のシード24Aに比べて大きい、横断面寸法を形成しても良い。オステオバイオロジカル又はその他の生物学的適合性の材料、例えばPMMAや骨セメントは、開口部72の中へ挿入して、外殻66を片方又は両方の終板28及び30に接着できる。変形例としては、外殻66は、インプラント22に超音波溶接しても良い。
【0028】
開口部72は、片方又は両方の終板28及び30の中へ深さDだけ延入し、この深さは、シード24Aの長手方向長さに比べて短くなっており、シード24Aは、当業者には共通の抗反発歯又はスパイク27と類似して構成及び配置され、小線源治療用脊柱インプラント20の位置ズレを防止する。従って、第1のシード24Aは、椎骨係合面25を呈し、終板28及び30の歯27を補助して、インプラント20を椎骨50に固定するか、又は歯27と置換されて、インプラント20の椎骨50への固定を提供する。椎骨係合面25は、図示のように丸められているか、又は望むならば、スパイク状で、ピラミッド又は円錐の形状であっても良い。インプラント20の拡張、又は代わりに、拡張可能に構築された本体間スペーサは、さらに、第1のシード24Aの表面25を隣接する椎骨終板に貫通させるように促す助けとなる。第1のシード24Aは、外殻66に結合され得る、追加的なクラッディングを具備し、椎骨係合面25にて、隣接する椎骨終板を貫通するような所望の幾何学形状に構成される。所定の1つの開口部72の深さDは、所定のその他の開口部72とは相違しており、シード24Aが、必要に応じて、一方又は両方の終板28及び30から可変長だけ突出するようにさせる。変形例としては、深さDは一定値でも良く、突出の長さLは一定値でも良い。
【0029】
第1のシード24Aは、開口部72が長手軸線Lに対して平行に延びるとき、上位終板28から上方へ突出し、下位終板30から下方へ突出する。変形例としては、開口部72は、長手軸線Lと交差する方向に沿って延び、挿入されたシード24Aの軸線Aは、上位又は下位の方向成分を有する方向へ延び、長手軸線Lに対して斜めに延びても良い。
【0030】
代わりに又は加えて、1又は複数の、又はすべての、開口部72は、シード24Aの長手長さ以上の深さだけ、一方又は両方の終板28及び30の中に延入し、シード24Aは、対応する終板から長手方向に突出することがなく、終板の中に押し込まれる。従って、いくつかのシード24Aは、終板28内に窪み、一方又は両方の終板28及び30から突出しないようにされ、一方、その他のシード24Aは、一方又は両方の終板28及び30から突出して、図3Dのようになる。さらに変形例としては、一方又は両方の終板28及び30の全体は、その外殻が終板28及び30の椎骨係合面の外側を形成するシードとして提供でき、その放射性核種は、上述した方法にて、外殻の内側に配置されることができる。本願に開示されるそれぞれの実施形態においては、放射線は、一方又は両方の終板28及び30からそれぞれ上位及び下位の方向へ外側へ導かれ、腫瘍再発の一般的部位である、隣接する椎体50の中へ入る。
【0031】
更なる変形例としては、シード24Aは、第2の本体部材34から放射状外方へ延びて、図1に示すように、第2のシード24Bを提供することもできる。特に、シード24Bの片方の外側端部69は、相補的な開口部64の中へ挿入され、開口部は、シード24Bに比べてわずかに大きいか、又は実質的に等しいような直径又は横断面寸法を形成して、シード24Bは、開口部64の中に圧入される。変形例としては、開口部64は、シード24Cに比べて大きいサイズにされ、オステオバイオロジカルであるか、又はその他の生物学的適合性である材料65、例えば、PMMAや骨セメントを開口部64の中に挿入し、外殻66を開口部64の内側にてインプラント22に接着すると良い。変形例としては、外殻66は、インプラント22に超音波溶接しても良い。
【0032】
開口部64は、シード24Bをインプラント22から突出させる深さを有するか、又はシード24Bを窪ませることを許容するか、又はインプラント22の外壁に対して、内方へ変位させることができる。インプラント22が、隣接する椎骨50の間に配置されたとき、開口部64は、前方に、後方に、内側に、外側に、又は両者の間のどこかに対面する。さらに、開口部64は、上位方向において上向きに、又は下位方向において下向きに、角度を付けられる。従って、シード24Bは、開口部64に据え付けられ、放射線を、前方に、後方に、内側に、外側に、又は両者の間のどこかに導く。従って、放射線は、腫瘍の部位へ向けて、かつ、健康な組織から遠ざけて、導かれる。1つの実施形態においては、放射線シード24を、それらが脊髄に向けた方向に延びないように、取り付けることが望ましい。
【0033】
次に図1及び図4A及び図4Bを参照すると、1又は複数の第3のシード24Cは、外殻66から延出してなる結合要素74を具備している。1つの実施形態においては、結合要素74は、インプラント22へシード24Cを取り付けけるのを容易にするため、クラッディング76を具備している。クラッディングは、ポリマー、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はチタン又は任意の代替的なインプラント等級の材料として提供され、インプラント22の一部又は全部と同一の材料から作られる。シード24Cは、外殻66に取り付けられた結合要素74と共に提供され、又は結合要素は、別個に提供され、インシトゥーにて外殻に取り付けられる。1つの実施形態においては、結合要素74は、外殻66に超音波溶接されている。
【0034】
結合要素74は、開口部64に比べて実質的に等しいか、又はわずかに小さいような直径又は横断面寸法を有し、結合要素は、図4Aに示すように、開口部64の中に圧入される。変形例としては、結合要素74は、開口部64に比べて実質的に小さい直径又は横断面寸法を形成し、外殻66は、開口部64の中に緩く受け入れられて、その中に接着して取り付けられる。結合要素74は、骨セメントを使用してインプラント22に取り付けられるか、又は代替的な接着剤が使用されて、結合要素74をインプラント22の対応する開口部64の中に結合させる。変形例としては、結合要素は、インプラント22に超音波溶接しても良い。更なる変形例としては、結合要素74は、図4Bに示すように、開口部64の対応するねじ付き内面78と螺合するように構成された、ねじ付き外面75を有している。結合要素74は、外殻66の外側端部69の片方に結合され、外殻66の全長に比べて短い、外殻66の長さの一部分に沿って延在し、外殻66の本体部分67を結合要素74から突出させている。
【0035】
図示の通り、外殻66は、結合要素74の中に配置され、結合要素が開口部64の中に挿入されたとき、開口部64に整列され、外殻66はインプラント22から放射状に突出する。変形例としては、外殻66は、結合要素74内に配置され、外殻66は、結合要素74が開口部64の中に据え付けられたとき、開口部64に対して斜めにオフセットした方向に延びている。
【0036】
結合要素74は、チタン、金、又は任意の所望の材料から作られて、放射線が通り抜けるのを防止し又は著しく制限するような、放射線シールドを提供する。従って、シード24Cは、結合要素74によって被覆されていない箇所から、放射線を照射する。従って、結合要素74を使用して、第2のシード24Cをインプラント22へ結合し又は結合を補助することで、外科医は、第2のシード24Cの位置とインプラント100に結合される第2のシード140bの数とをを選択することによって、小線源治療用脊柱インプラント20からの放射線の照射を仕立てることができる。変形例としては、第2のシード140bは、小線源治療用脊柱インプラント100に事前に組み付けておいても良い。
【0037】
次に図4C乃至図4Eを参照すると、1又は複数の第4のシード24Dは、インプラント22の任意の表面の端の方に取り付けられ、側面71が、内側本体部材32、外側本体部材34、又は拡張リング36の任意の表面にあるシード取付位置77において、インプラント22に取り付けられる。図示の通り、外側本体部材34の外面58は、シード取付位置77を形成する。
【0038】
例えば、図4Cに示すように、第4のシード24Dは、外側本体部材34の外面58に直接、取り付けられる。特に、PMMA又は骨セメントなど、オステオバイオロジカルの、又は生物学的適合性の材料を、シード24D及び/又は外面58に塗布し、側面71には、シード取付位置77において外側本体部材34に塗布する。変形例としては、シード24Dは、インプラント22に超音波溶接しても良い。
【0039】
シード24Dは、中心軸線Aが長手軸線に対して実質的に平行に延びるように向けられ、シード24Dの適当な長さが外面58に接着されるようになっている。代わりに又は加えて、図4Dに示すように、1つの側面71は、外面58の曲率に一致するように丸められ、シード24Dは、長手軸線Lに対する任意の向きにて、外面58に取り付けられる。従って、1又は複数の脊柱インプラント21と、インプラント21に取り付けられていないシード24とを含むキットを提供でき、上述したように、インプラント21の様々な取付位置77に取り付けられるべく異なる形状及び/又はサイズに構成されて提供できることを認識されたい。脊柱インプラント21は、代わりに又は加えて、シードを事前に取り付けられて提供されても良い。
【0040】
再び図1を参照すると、1又は複数の第5のシード24Eは、インプラント22の内面に取り付けられる。例えば、シード24Eは、骨パッキング開口部52の棚部60上である取付位置77に取り付けられる。シード24Eは、上述した方法で、棚部60に形成された溝部に取り付けられるのに加えて又は代わりに、例えば、PMMA又は骨セメントなど、オステオバイオロジカルであるか、又はその他の生物学的適合性である材料を用いて、取り付けられる。代わりに又は加えて、シード24Eは、インプラント22に超音波溶接しても良い。従って、シード24Eの軸線Aは、インプラント22の長手軸線Lに対して垂直な任意の方向に向けられることを認識されたい。従って、インプラント22が椎骨間の空間に据え付けられるとき、軸線Aは、長手軸線Lに対して垂直な水平面内に向けられ、内側、外側、後方、又は前方の方向に対して、又は斜めに向けられる。
【0041】
次に図1及び図4Fを参照すると、インプラント22は、1又は複数のシード取付位置77を、終板キャップ42に形成している。図示の通り、第6のシード24Fは、終板キャップ42のベース45に取り付けられる。シード24Fは、上述した方法で、ベース45に形成された溝部に取り付けられるのに加えて又は代わりに、例えば、PMMA又は骨セメントなど、オステオバイオロジカルであるか、又はその他の生物学的適合性である材料を用いて、取り付けられる。変形例としては、シード24Fは、インプラント22に超音波溶接しても良い。従って、第6のシード24Fの軸線Aは、インプラント22の長手軸線Lに対して垂直である任意の方向に向けられる。従って、インプラント22が椎骨間の空間に据え付けられるとき、軸線Aは、長手軸線Lに対して垂直な水平面内に向けられ、内側、外側、後方、又は前方の方向に対して、又は斜めに向けられる。
【0042】
小線源治療用インプラント20について、拡張可能なインプラント22と関連させて説明したけれども、インプラント20は、人間の脊柱に移植するのに適したあらゆる構造を呈し得ることを認識されたい。さらに、小線源治療用インプラント20は、図示して説明した位置において、6つのタイプの小線源治療用シード24A〜Fを含むものとして、説明したけれども、インプラント20は、1又は複数のタイプのシード24A〜Fを具備し得ることを認識されたい。さらに、1又は複数の、又はすべての、シード24A〜Fは、任意の取付位置77に取り付けられ、又は望むように、インプラント22上の代替的な位置に取り付けられる。
【0043】
小線源治療用脊柱インプラント20の脊柱インプラント21について、拡張可能な椎骨間インプラント22の1つの実施形態に従って例示される、脊柱インプラント21として構成されたものを図示して説明したけれども、脊柱インプラント21は、所望の任意の変形例による構造を呈することができ、また拡張可能でも堅固でも良い。さらに、インプラント21は、隣接する椎骨間の運動を回復させるために、終板28及び30が互いに対してピボット可能なように構築できることを認識されたい。例えば、図5A乃至図5Dに示すように、脊柱インプラント21は、ねじ90などの小線源治療用骨固定具として提供され、これは、1又は複数のシード24を骨ねじ210の中に搭載されて具備している。変形例としては、骨ねじ90は、放射性核種を一体的に含有しても良い。骨ねじ90は、茎ねじや、前方プレート又は頚椎前方プレートなど、プレートを骨に結合するためのねじ、又はその他の整形外科の骨固定具として提供される。
【0044】
ねじ90は、長手方向に延びたねじ付き軸92と、軸92の近位端に配置された頭部94とを備えている。ねじ90は、チタンなど、任意の適当なインプラント等級の材料から作られる。頭部94は、ねじ付きであり、これは、骨プレートの対応するねじ部と螺合するもので、ねじ90は自己ロック式のねじになっている。軸92の遠位端は、切断縦溝を呈し、ねじ90は、セルフタッピング式のねじになっていても良い。ねじ90は、カニューレ挿入96を含むことができ、頭部94から軸92の中へ長手方向に延在し、軸92の遠位端の付近にて終端している。カニューレ挿入96は、任意の数のシード24を必要に応じて収容し、例えば、1つ、2つ、又は3つを、それぞれ図5A乃至図5Dに示すように収容できる。シード24は、カニューレ挿入96に圧入される。加えて又は代わりに、例えば、PMMA又は骨セメントなど、オステオバイオロジカルであるか、又はその他の生物学的適合性である材料を開口部の中に挿入できる。変形例としては、外殻66は、インプラント22に超音波溶接しても良い。1又は複数のシード24は、好ましくは、骨ねじ90に事前に組み付けられ及び/又は内部に収容される。変形例としては、1又は複数のシード24は、インシトゥーにて、すなわち、手術前に又は手術中に、骨ねじ90に結合される。骨ねじ90は、骨の中に移植され、1又は複数のシード24は続いて骨ねじ90に結合される。
【0045】
変形例としては、図5Eを参照すると、カニューレ挿入96は、放射性核種70を収容するシード24を含むカニューレ挿入96とは対照的に、上述したタイプの放射性核種70を直接収容しても良い。これに関して、軸92は、放射性核種70を取り巻く外殻を提供し、固定具90は一般に小線源治療用シード24について上述したように構築されるが、骨固定具として構成されることを認識されたい。
【0046】
更なる変形例としては、図5Fを参照すると、固定具ないしねじ90は、上述したタイプのうち所望の放射性同位元素から構築しても良い。従って、頭部94及び軸92のうち少なくとも一方又は両方は、アイソトープから構築される。コーティング95は、頭部94及び/又は軸92の外面に適用され、放射性同位元素から形成されて、小線源治療用シード24の外殻66に対して、上述したタイプの外殻66を提供する。
【0047】
次に図5Gを参照すると、上述した任意の実施形態に従って構築された固定具90は、変形例としては、ねじの無い軸92を具備し、従って、図5Gに示すように、爪又はピン98を提供するために、滑らかにされ又はうね模様を付けられ又はその他のテクスチャを付けられて、脊柱骨又は軟質組織の中へ望むように直接移植できることをさらに認識されたい。
【0048】
脊柱インプラント21の例について説明したけれども、小線源治療用インプラント20は、小線源治療用シード24を所望の任意の脊柱インプラントに取り付けられ又は共に提供されて具備し、それらには、任意の望ましい椎骨間インプラント、篭、脊柱ロッドなど、又は骨プレートなどのその他のインプラントが含まれることを認識されたい。1又は複数の脊柱インプラントと、1又は複数のシード24とを含むキットを提供でき、脊柱インプラントであるか、又は脊柱骨又はその他の組織への直接的なものであるかのいずれかの移植位置及び/又は方法に従って、形状及びサイズを定められることを認識されたい。さらに、小線源治療用シード24は、ねじ90、爪98など、完全な脊柱インプラントとして構築でき、又は椎体切除装置、体内スペーサ、脊柱ロッド、椎体内部に挿入すべく構成されたインプラント、その他である。
【0049】
次に図6Aを参照すると、脊柱100は、複数の隣接する椎骨を含み、それらには、下位椎体50A、上位椎体50B、及び隣接する椎体50A及び50Bの間に配置された、悪性の椎体50Cが含まれる。椎間板102は、椎体を隔てている。腫瘍又は転移物104は、椎体50Cの外面に示されるけれども、腫瘍104は椎体50Cの内部に配置されていても良いことを認識されたい。
【0050】
1つの方法によれば、1又は複数の小線源治療用シード24は、脊柱100に移植されるが、それは、直接に、又は上述したタイプの脊柱インプラント若しくは任意の代替的に構築されたインプラントによって支持されて行われる。図6Bを参照すると、脊柱の腫瘍104を治療する方法は、小線源治療用シード24を直接に又は経皮的に悪性椎体50Cへ移植することを含み、加えて又は代わりに、小線源治療用シード24を隣接する椎体50A〜Bに、又は脊柱100の任意の代替的な位置に移植する。例えば、1又は複数の小線源治療用シード24の外側端面73の片方は、上述した態様によるスパイク形状であり、脊柱100の様々な位置へ直接押し込むことができる。シード24は、完全に脊柱100の中に配置されるか、又は脊柱100から突出して配置される。
【0051】
代わりに又は加えて、1又は複数の開口部106が、脊柱100の様々な位置に形成されて、シード24は、それぞれの開口部106の中に移植しても良い。シード24は、接着せずに開口部106の中に圧入されるか、又は骨セメント若しくは代替的な接着剤108を用いて開口部に接着される。シード24は、セメント注入の前に又は後に、移植される。変形例としては、結合要素は、脊柱100に超音波溶接しても良い。代わりに又は加えて、1又は複数のシード24の側面71は、接着剤又は超音波溶接を用いて、脊柱100に直接結合しても良い。
【0052】
変形例としては、小線源治療用シード24は、例えば、別の脊柱インプラントを介して、脊柱100の中に間接的に移植しても良い。1つの実施形態においては、脊柱インプラントは、ねじ90又は爪98を具備し、上述した方法で、1又は複数の小線源治療用シード24を支持させる。ねじ90及び爪98は、従って、所望の位置にて、脊柱100の中に押し込むことができる。頭部94は、脊柱100と面一であるか、又は脊柱100から望むだけ突出する。
【0053】
次に図6Cを参照すると、腫瘍104を治療する方法は、脊柱100から腫瘍104を除去する段階を具備している。1つの実施形態においては、椎体切除術が実行され、それにより、腫瘍104をもった椎体50Cの一部分又はすべてが除去されて、隣接する椎骨100A及び100Bの間に配置されるように椎骨間空間110が形成される。代わりに又は加えて、半椎体切除術が実行されて、それにより、椎体の一部分が除去される。図示の実施形態においては、まわりの椎間板物質102もまた除去されている。腫瘍104は除去されたけれども、悪性細胞は脊柱100に取り残されるのが普通であり、特に、腫瘍の外被が傷ついた場合には、悪性細胞が脊柱100の様々な他の位置へと逃げ出して転移することが許容されることを認識されたい。従って、シード24は、上述した脊柱位置に加えて、隣接する椎骨50A及び50Bの椎骨終板51に、直接的に又は間接的に、移植される。
【0054】
図6Dを参照すると、脊柱100に間接的に小線源治療用シードを移植する別の方法は、小線源治療用インプラント20又は任意の代替的な小線源治療用椎骨間インプラントを、椎骨間空間110へ移植することを含む。インプラント22は、表面又は内部に、シード24を据え付けられて有するか、又は、変形例としては、シード24は、インプラントが椎骨間空間110に固定された後で、インプラント20の表面又は内部に据え付けられる。シード24は、インプラント22の表面又は内部の任意の位置に配置され、その向きは、上述したように、1又は複数の悪性細胞を含んでいる見込みのある位置へ向けて、放射線を導くのに適するように定められる。拡張リング36は、必要に応じて操縦され、終板28及び30を椎骨50A及び50Bの終板に係合させる。
【0055】
当業者にあっては、広い発明的概念から逸脱せずに、上述した実施形態に変更を施すことができることを認識されたい。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、本明細書によって定義された本発明の精神及び範囲内において、変形例を包含する意図であることを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年11月26日に出願された、米国仮特許出願第61/118,235号を基礎とする優先権を主張し、同出願の開示は、その全体がここに明らかにされるが如く、ここに参照によって引用される。
本発明は、照射されたインプラントを用いる脊柱の小線量治療方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱腫瘍の治療は、代表的に、腫瘍を取り囲む健康な組織の除去を伴い、悪性細胞が逃げ出して転移するのを防ぐために、腫瘍の外殻を傷つけないようにしている。いくつかの例においては、腫瘍の除去が、腫瘍の外殻を傷つけることを伴う。例えば、腫瘍が脊髄を取り囲んでいる場合には、腫瘍組織を切断して、除去中に腫瘍が脊髄を滑り越えられるようにしている。腫瘍の除去中に腫瘍の外殻が傷つけられるか否かにかかわらず、通常は、転移のリスクを減少させるために、腫瘍の位置に放射線治療を適用することが望ましい。また、放射線治療は、腫瘍を手術できないか、又は外科手術が実際的でないかのいずれかの理由のために、腫瘍が除去されない例においても適用される。
【0003】
放射線療法は、従来、一般的に、腫瘍又は切開部位に向けられる、陽子線などの体外の放射源を使用して、脊柱領域に届けられるか、又は代わりに、静脈内への送出を使用して、より体系的に届けられる。残念なことに、従来の放射線療法は、大量の健康な組織を放射に暴露する。
【0004】
小線量治療は、放射線量密度を有するシードを前立腺組織の内部に移植することによって、前立腺癌を隙間から治療するために使用されてきた。低線量放射(LDR)のシードは、前立腺の中に外科的に移植され、永久的に前立腺の中に取り残される。高線量放射(HRD)のシードは、より一時的なベースにおいて、前立腺の中に移植される。
【0005】
従来のLDRシードは、チタンなどのインプラント等級の材料から、所望のサイズに形成されてなる、ケーシングを具備し、放射線材料にて充填される。シードは、ケーシングが1又は複数のペレットに取り付けられてなる行き詰まったシード、又はペレットがなんら他のケーシングに取り付けられていない自由シードとして提供される。ケーシングには、任意の適当なアイソトープを充填でき、これは、求められる放射線照射のレベル及び半減期に依存する。代表的なアイソトープには、ヨー素125及びパラジウム103が含まれる。これら両方の材料は、低エネルギーのX線を継続的に照射し、このX線は短距離だけにしか届かず、放射を周囲の器官に近づけない。
【0006】
HDRの小線量治療のシードは、イリジウム195から作られたワイヤを一時的に挿入することを伴い、ワイヤは、パラジウムやヨー素に比べて高いエネルギーのX線を照射する。代表的には、薄いプラスチック製のカテーテルが、テンプレートを通して、前立腺の中に挿入される。イリジウムのワイヤは、一度に1本ずつ、これらのカテーテルに挿入され、例えば2〜3秒間といった短時間だけ、所定位置に維持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、脊柱の腫瘍を治療するために、集中した放射を行うインプラントを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの観点によれば、小線源治療用脊柱インプラントが提供され、脊柱インプラントと、複数の放射されたシードとを具備している。脊柱インプラントは、長手軸線に沿って延在する本体と、本体の片側の長手端部に配置された上位終板と、本体の反対側の長手端部に配置された下位終板とを具備し、それぞれの終板が、相補的な椎骨終板に係合すべく構成された椎骨係合面を形成している。インプラント本体に取り付けられた複数の放射線シードは、小線源治療用インプラントが椎骨間空間に配置されたとき、所望の方向において、放射線を脊柱に向けて導くようになっている。
【0009】
上述した要旨並びに本願の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明は、添付図面に関連させて読むことでより良く理解されるだろう。本願の小線量治療用の放射された脊柱インプラントを例示する目的のために、図面には好ましい実施形態を示している。しかしながら、出願は、図示された正確な構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】1つの実施形態に従って構成された小線源治療用脊柱インプラントを示した上部斜視図であって、脊柱インプラントの本体に小線源治療用シードが具備されている。
【図2A】図1の小線源治療用シードの1つを示した側立面図である。
【図2B】図1の小線源治療用シードの1つを破断して示した斜視図である。
【図3A】図1の小線源治療用脊柱インプラントを示した上部平面図であって、その終板を示している。
【図3B】図3Aの終板を拡大して示した上部平面図であって、シード受入れ開口部が示されている。
【図3C】図3Bと同様な上部平面図であって、シード受入れ開口部に据え付けられた、小線源治療用シードを示している。
【図3D】図3Cの終板の一部分を破断して示した側立面図であって、1つの実施形態に従って構成されたものである。
【図3E】図1の線3E−3Eにて指示された、図3Aの終板の一部分を示した斜視図であって、終板の中に挿入されている1つのシードを示している。
【図4A】1つの実施形態に従って構成された、図1の小線源治療用シードの1つを示した斜視図である。
【図4B】他の実施形態に従ってインプラントに取り付けられた、図1の小線源治療用シードの1つを示した斜視図である。
【図4C】他の実施形態に従ってインプラントに取り付けられた、図1の小線源治療用シードの1つを示した分解斜視図である。
【図4D】図1のインプラントの一部分を模式的に示した分解上部平面図であって、他の実施形態に従ってインプラントに取り付けられた、シードの1つを示している。
【図4E】図1のインプラントの一部分を模式的に示した分解上部平面図であって、他の実施形態に従ってインプラントに取り付けられた、シードの1つを示している。
【図4F】図1のインプラントの一部分を分解して示した上部平面図であって、他の実施形態に従ってインプラントに取り付けられた、シードの1つを示している。
【図5A】1つの実施形態に従って、骨ねじとして構成されてなる、小線源治療用骨固定具を示した斜視図である。
【図5B】図5Aの骨ねじを破断して示した側立面図であって、埋設された小線源治療用シードを示している。
【図5C】図5Aの骨ねじを破断して示した側立面図であって、埋設された一対の小線源治療用シードを示している。
【図5D】図5Aの骨ねじを破断して示した側立面図であって、埋設された複数の小線源治療用シードを示している。
【図5E】他の実施形態に従って、放射性核種を収容した、小線源治療用骨固定具を破断して示した側立面図である。
【図5F】他の実施形態に従って、放射性核種から構成された、小線源治療用固定具を破断して示した側立面図である。
【図5G】骨釘として構成された小線源治療用骨固定具を破断して示した側立面図である。
【図6A】悪性の椎体を有する人間の脊柱の一部分を示した斜視図である。
【図6B】図6Aと同様な斜視図であるが、脊柱内及び脊柱周囲に移植された複数の小線源治療用シードを示している。
【図6C】図6Aの脊柱の一部分を示した斜視図であって、悪性の椎体が除去されて、小線源治療用シードが脊柱の中及び周囲に移植されている。
【図6D】図6Cと類似した斜視図であるが、隣接する椎骨の間に配置された椎骨間インプラントを示しており、悪性の椎体が除去された椎骨間の空間を占有している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ある種の用語は、以下の説明において、便利さのためだけに使用されて、制限的ではない。用語“右側”、“左側”、“下側”、及び“上側”は、図面において参照がされている方向を指示するが、実際の向きは使用中に異なることが認識される。方向を示す用語“内方”及び“外方”は、特に別言しない限り、小線源治療用インプラント20及びそれに関連する部品の幾何学的中心にそれぞれ向かう及び遠のく方向を参照している。用語“遠位側”、“近位側”、“前方”、“後方”、“上位”、“下位”、“内側”、及び“外側”及びこれらの関連語及び/又はフレーズは、限定を意味せず、参照がなされている人体に対して好ましい配置又は向きを指示する。用語には、上に列挙した単語、その派生語、及び類義語が含まれる。
【0012】
図1を参照すると、小線源治療(近接照射療法)用脊柱インプラント20は、脊柱インプラント21として構成され、これは、1つの実施形態に従って、拡張可能な椎骨間インプラント22として例示され、インプラント22における1又は複数のシード取付位置77に、図示の照射を受けたシード24である、1又は複数の放射線源を保持し又は他の方法にて支持している。照射を受けたシード24は、所定の線量の放射線を照射するように構成されている。インプラント22は、椎体切除術(corpectomy)の拡張可能なスペーサとして図示され、病んだ又は損傷した椎体の少なくとも一部分と置換されるように構成されている。インプラント22は、上位及び下位の終板28及び30をそれぞれ具備し、そのサイズ及び構造は、隣接する椎骨50における対応する隣接係合面と接触するようになっており、隣接する椎骨50によって定められる前彎角度又は後彎角度の範囲に適合するような表面幾何学形状の範囲に提供できる。1つの実施形態においては、隣接する椎骨50の係合面は、椎骨終板を形成する。変形例としては、例えば、半椎体切除術が実行されるときには、一方又は両方の隣接する椎骨50の係合面は、切除された椎骨によって形成される。従って、上位及び下位の終板28及び30は、それぞれ椎骨係合面35及び37を呈し、これは、歯、スパイク、隆起、又はその他のテクスチャ27など、外方へ突出した抗圧出特徴を支持している。終板28及び30は、中心の長手軸線23に沿って延在するインプラント本体26の反対側端部に配置される。
【0013】
インプラント本体26は、第1のないしは内側の本体部材32であって略管状の形態を有するものと、第2のないしは外側の本体部材34であって略管状の形態を有するものと、拡張リング36とを具備し、これらのすべては中空であり、調整式の椎骨間インプラント22における長手軸線23に沿って、内部に軸線ボアを提供する。本体部材32及び34と、拡張リング36とは、それぞれ、放射状に外面54,56,58を呈している。使用に際しては、第1のないしは内側の部材32は、好ましくは、そのサイズ及び構造が、第2のないしは外側の部材34に比べて若干小さく定められ、第1の部材32が第2の部材34の内部に配置されて可動になっている。しかしながら、他の構成によって可動に関連する、第1の部材32と第2の部材34も想定できることに留意されたい。
【0014】
終板28及び30は、内側及び外側の部材32及び34にそれぞれ結合され、そのためには、当業者に知られた任意の結合機構が用いられ、限定はしないが、締り嵌め、螺合、ねじ止め、接着などが含まれる。図示の通り、インプラント22は、終板キャップ42を具備し、これは、それぞれの上位終板28を通って長手方向に延在してなる中央開口部46の中に挿入され、内側部材32に螺着される。変形例としては、終板キャップ42は、内側部材32と一体的であっても良い。終板キャップ42は、その下端にてベース45に結合された側壁44を形成し、協働して内部空洞48を形成する。従って、外科医は、オステオバイオロジカル(osteobiological)であるか、又はその他の生物学的適合性である材料、例えば、PMMAや骨セメントを空洞48の中に挿入でき、上位椎体50の相補的な終板において、椎骨の融合を促進する。
【0015】
このように、椎骨間インプラント22は、複数の異なる終板28及び30を備えたキットとして提供でき、従って、ユーザは、患者の椎骨の終板の輪郭に最も良く一致する所望の終板を選択することができる。例えば、様々な終板28及び30が提供され、それらには、限定はしないが、様々な形状、すなわち、円形、正方形、矩形、楕円、腎臓形などが含まれ、及び/又は、1又は複数の以下の特性、すなわち、略楔形状の面、曲面、平坦面などが含まれる。変形例としては、上側及び下側の終板28及び30は、内側及び外側の部材32及び34と共に、一体的に形成しても良い。
【0016】
拡張リング36の放射状の内面は、ねじを具備し、内側部材32の外側放射状表面に形成されたねじ39と合致するように構成されており、拡張リング36を回転させると、内側部材32が、調整可能な椎骨間インプラント22の長手軸線23に沿って、外側部材34に対して並進し、又は略直線状に移動する。すなわち、使用に際しては、内側及び外側の部材32及び34は、好ましくは、共通の長手軸線23に沿って同軸的に配置され、好ましくは、(例えば、入子式に)互いに対して摺動式に配置されて、内側部材32の軸線位置は外側部材34に対して調整可能になっている。それにより、拡張リング36の回転は、回転の相対的方向に応じて、内側及び外側部材32及び34を拡張又は収縮させることになる。
【0017】
1又は複数の止めねじ40は、拡張リング36のねじ開口部41に挿入され、調整可能な椎骨間インプラント22の高さを選択的に係止する。変形例としては、拡張リング36は、自己ロック式でも良い。1つの実施形態においては、止めねじ40は、拡張リング36を自由に回転させて所望の高さを提供するのに充分な深さに位置決めされ、一方、依然として、止めねじ40とこれに対応する開口部41との結合固定を両者間の締り嵌めによって確実にする。適切な器具によって止めねじ40を前進させると、前進した止めねじ40の遠位端が、内側部材32の外面に対して当接し、拡張リング36がさらに回転することを防ぎ、それにより、調整可能な椎骨間インプラント22の高さをロックする。
【0018】
椎骨間インプラント22は、あらゆる生物学的適合性の材料や、当業者に知られているあらゆる生物学的適合性の材料の組合せから構築することができ、限定はしないが、それらには、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、セラミック、及びポリマー、すなわち、限定はしないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが含まれる。1つの実施形態においては、内側及び外側の管状部材32及び34は、X線透過性の材料、例えば、ポリマーやポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から形成され、一方、拡張リング36は、好ましくは、金属、例えば、チタンやステンレス鋼から形成される。
【0019】
インプラント22は、1又は複数の比較的大きい骨パッキング開口部52を、外側部材34の外面58に形成されて備えている。開口部52は、外側部材34を放射状に又は水平に通って延びる棚部60を形成している。また、インプラント22は、小さい開口部64の配列を具備し、開口部64は図1に示すように内側部材32又はリング部材36に延入しても良いことが認識されるけれども、開口部は、外側部材34の外面58の中に又は通して放射状に延びるように図示されている。1又は複数の骨パッキング開口部52と小さい開口部64とは、インプラント本体26の内側に長手方向に延びてなる内側ボア62へのアクセスを提供する。インプラント22は、開口部52及び64を備えて製造され、又は1又は複数の開口部52及び64は、例えば、外科手順の前に又は最中などに、(例えば、ドリルを用いて)インシトゥーにてインプラントに形成されても良いことを認識されたい。ボア62は、一方又は両方の終板28及び30を延通しても良い。
【0020】
外科医は、オステオバイオロジカル(osteobiological)であるか、又はその他の生物学的適合性である材料、例えば、PMMAや骨セメントを一方又は両方の開口部52及び64を通して骨62の中へ入れて、下位椎体50の終板において、椎骨の融合を促進する。重力は、椎体50の終板に、移植材料の方向を適用するのを補助する。椎骨間インプラント22は、骨パッキング開口部52や小さい開口部64を含むものには限られず、開口部を具備せずとも良く、又はインプラント22の特定の用途又は構造に依存して、追加的な形状又は位置が可変である開口部を具備しても良い。開口部52及び64はさらに、詳しくは後述するように、シード取付位置77を備えても良い。
【0021】
次に図1及び図2を参照すると、小線源治療用インプラント20は、1又は複数の小線源治療用シード24を具備し、これらは、椎骨間インプラント22に嵌められ又は別な方法で取り付けられる。それぞれの小線源治療用シード24は、放射性核種70を収容した内部コア68を形成している、生物学的適合性の保護外殻66を具備している。放射性核種は、任意の適当なアイソトープから選択され、例えば、ヨー素、パラジウム、イリジウムのアイソトープ、又は任意のアイソトープであって所望の線量の放射線を照射するものが含まれる。特定の例によるアイソトープには、ヨー素125及びパラジウム103が含まれ、ヨー素125は低線量の放射線を照射し、また、パラジウム103は高線量の放射線を照射する。従って、放射線シード24は、限られた時間、例えば、2〜3ヶ月にわたって放射線を照射すると良いけれども、治療の好みに応じて、放射線を無期限に又は比較的短時間だけ照射するように構成しても良い。
【0022】
外殻66は、あらゆる適当なインプラント等級の材料から構築でき、それらには、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、チタン、及びその他のものが含まれる。外殻66は、細長い卵形又は管状の構造物として例示されているけれども、これは、変形例においては、望まれる任意の適当な形状として形成しても良く、例えば、球体、曲線構造、又は任意の所望の多角形構造にすることができる。図示の通り、外殻66は、中心軸線Aに沿って延びてなる、細長い円筒形本体67を形成している。円筒形本体67は、一対の対向する丸められた端部69を形成し、反対側の外側端面73を形成している。円筒形本体67は、反対側の端部69の間に延在してなる外側側面71を形成している。
【0023】
ある種の実施形態においては、放射線を腫瘍に向けて導きつつ、放射線を脊髄から遠ざけるように導くことが望ましい。故に、シード24は、インプラント22において可変に位置決め及び配向させることができ、身体のその他の部分に悪影響を与えない狭い範囲にて治療部位を照射し、一般的に、移植位置とその周囲において、悪性の脊柱腫瘍が成長ないし再成長するのを防ぐように作用する。シード24は、それぞれX線不透過のマーカー63を、外殻66上に又は外殻66の中に配置されて具備し、X線透視術の助けによって治療部位の内部を視認できる。
【0024】
小線源治療用シード24は、1つの実施形態に従って図示して説明されたけれども、シード24は、任意の適当な変形例による実施形態に従って構成しても良いことを認識されたい。例えば、小線源治療用シード24は、放射性核種から構成された、一元的な固体の部材を形成できる。さらに、シード24は、インプラント22の1又は複数の構成要素を提供できることを認識されたい。例えば、抗圧出特徴27は、小線源治療用シード24から形成され、図1に示すように、終板28及び30から長手方向に突出した、スパイク、隆起、テクスチャ、その他を提供するように幾何学的に構成される。
【0025】
シード24は、望むように、構築され及び/又は配置される。インプラント22は、様々な実施形態によるシード24を具備するものとして示され、1又は複数の第1のシード24A、1又は複数の第2のシード24B、1又は複数の第3のシード24C、1又は複数の第4のシード24D、1又は複数の第5のシード24E、及び1又は複数の第6のシード24Fによって指示されるように構築及び/又は配置されるけれども、インプラント22は、任意の変形例によるタイプのシードを望むようにインプラント22に結合及び配置して具備できることを認識されたい。
【0026】
また図3A乃至図3Eを参照すると、第1のシード24Aは、片方又は両方の終板28及び30に配置され、終板から隣接する椎骨50へ向けて長手方向に延出している。特に、インプラント22は、片方又は両方の終板28及び30の中へ長手方向に延入してなるシード受入れ開口部72として示される、1又は複数のシード取付位置77を具備している。インプラント22は、開口部72を備えて製造され、又は1又は複数の開口部は、例えば、外科手順の前に又は最中などに、(例えば、ドリルを用いて)インシトゥーにてインプラント22に形成されても良いことを認識されたい。
【0027】
開口部72は、図示の通り、歯27と組み合わせられて提供されるか、又は歯27の代わりに提供される。第1のシード24Aの外側端部69の片方は、矢印Aの方向に沿った任意の所望の方法にて、開口部72の中へ挿入できる。例えば、開口部72は、第1のシード24A(例えば、外殻66)の外側直径又は代わりに横断面寸法と実質的に等しいような直径又は横断面寸法を形成し、第1のシード24Aは、開口部72の中へ圧入されることができる。代わりに又は加えて、1又は複数の開口部72は、第1のシード24Aに比べて大きい、横断面寸法を形成しても良い。オステオバイオロジカル又はその他の生物学的適合性の材料、例えばPMMAや骨セメントは、開口部72の中へ挿入して、外殻66を片方又は両方の終板28及び30に接着できる。変形例としては、外殻66は、インプラント22に超音波溶接しても良い。
【0028】
開口部72は、片方又は両方の終板28及び30の中へ深さDだけ延入し、この深さは、シード24Aの長手方向長さに比べて短くなっており、シード24Aは、当業者には共通の抗反発歯又はスパイク27と類似して構成及び配置され、小線源治療用脊柱インプラント20の位置ズレを防止する。従って、第1のシード24Aは、椎骨係合面25を呈し、終板28及び30の歯27を補助して、インプラント20を椎骨50に固定するか、又は歯27と置換されて、インプラント20の椎骨50への固定を提供する。椎骨係合面25は、図示のように丸められているか、又は望むならば、スパイク状で、ピラミッド又は円錐の形状であっても良い。インプラント20の拡張、又は代わりに、拡張可能に構築された本体間スペーサは、さらに、第1のシード24Aの表面25を隣接する椎骨終板に貫通させるように促す助けとなる。第1のシード24Aは、外殻66に結合され得る、追加的なクラッディングを具備し、椎骨係合面25にて、隣接する椎骨終板を貫通するような所望の幾何学形状に構成される。所定の1つの開口部72の深さDは、所定のその他の開口部72とは相違しており、シード24Aが、必要に応じて、一方又は両方の終板28及び30から可変長だけ突出するようにさせる。変形例としては、深さDは一定値でも良く、突出の長さLは一定値でも良い。
【0029】
第1のシード24Aは、開口部72が長手軸線Lに対して平行に延びるとき、上位終板28から上方へ突出し、下位終板30から下方へ突出する。変形例としては、開口部72は、長手軸線Lと交差する方向に沿って延び、挿入されたシード24Aの軸線Aは、上位又は下位の方向成分を有する方向へ延び、長手軸線Lに対して斜めに延びても良い。
【0030】
代わりに又は加えて、1又は複数の、又はすべての、開口部72は、シード24Aの長手長さ以上の深さだけ、一方又は両方の終板28及び30の中に延入し、シード24Aは、対応する終板から長手方向に突出することがなく、終板の中に押し込まれる。従って、いくつかのシード24Aは、終板28内に窪み、一方又は両方の終板28及び30から突出しないようにされ、一方、その他のシード24Aは、一方又は両方の終板28及び30から突出して、図3Dのようになる。さらに変形例としては、一方又は両方の終板28及び30の全体は、その外殻が終板28及び30の椎骨係合面の外側を形成するシードとして提供でき、その放射性核種は、上述した方法にて、外殻の内側に配置されることができる。本願に開示されるそれぞれの実施形態においては、放射線は、一方又は両方の終板28及び30からそれぞれ上位及び下位の方向へ外側へ導かれ、腫瘍再発の一般的部位である、隣接する椎体50の中へ入る。
【0031】
更なる変形例としては、シード24Aは、第2の本体部材34から放射状外方へ延びて、図1に示すように、第2のシード24Bを提供することもできる。特に、シード24Bの片方の外側端部69は、相補的な開口部64の中へ挿入され、開口部は、シード24Bに比べてわずかに大きいか、又は実質的に等しいような直径又は横断面寸法を形成して、シード24Bは、開口部64の中に圧入される。変形例としては、開口部64は、シード24Cに比べて大きいサイズにされ、オステオバイオロジカルであるか、又はその他の生物学的適合性である材料65、例えば、PMMAや骨セメントを開口部64の中に挿入し、外殻66を開口部64の内側にてインプラント22に接着すると良い。変形例としては、外殻66は、インプラント22に超音波溶接しても良い。
【0032】
開口部64は、シード24Bをインプラント22から突出させる深さを有するか、又はシード24Bを窪ませることを許容するか、又はインプラント22の外壁に対して、内方へ変位させることができる。インプラント22が、隣接する椎骨50の間に配置されたとき、開口部64は、前方に、後方に、内側に、外側に、又は両者の間のどこかに対面する。さらに、開口部64は、上位方向において上向きに、又は下位方向において下向きに、角度を付けられる。従って、シード24Bは、開口部64に据え付けられ、放射線を、前方に、後方に、内側に、外側に、又は両者の間のどこかに導く。従って、放射線は、腫瘍の部位へ向けて、かつ、健康な組織から遠ざけて、導かれる。1つの実施形態においては、放射線シード24を、それらが脊髄に向けた方向に延びないように、取り付けることが望ましい。
【0033】
次に図1及び図4A及び図4Bを参照すると、1又は複数の第3のシード24Cは、外殻66から延出してなる結合要素74を具備している。1つの実施形態においては、結合要素74は、インプラント22へシード24Cを取り付けけるのを容易にするため、クラッディング76を具備している。クラッディングは、ポリマー、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はチタン又は任意の代替的なインプラント等級の材料として提供され、インプラント22の一部又は全部と同一の材料から作られる。シード24Cは、外殻66に取り付けられた結合要素74と共に提供され、又は結合要素は、別個に提供され、インシトゥーにて外殻に取り付けられる。1つの実施形態においては、結合要素74は、外殻66に超音波溶接されている。
【0034】
結合要素74は、開口部64に比べて実質的に等しいか、又はわずかに小さいような直径又は横断面寸法を有し、結合要素は、図4Aに示すように、開口部64の中に圧入される。変形例としては、結合要素74は、開口部64に比べて実質的に小さい直径又は横断面寸法を形成し、外殻66は、開口部64の中に緩く受け入れられて、その中に接着して取り付けられる。結合要素74は、骨セメントを使用してインプラント22に取り付けられるか、又は代替的な接着剤が使用されて、結合要素74をインプラント22の対応する開口部64の中に結合させる。変形例としては、結合要素は、インプラント22に超音波溶接しても良い。更なる変形例としては、結合要素74は、図4Bに示すように、開口部64の対応するねじ付き内面78と螺合するように構成された、ねじ付き外面75を有している。結合要素74は、外殻66の外側端部69の片方に結合され、外殻66の全長に比べて短い、外殻66の長さの一部分に沿って延在し、外殻66の本体部分67を結合要素74から突出させている。
【0035】
図示の通り、外殻66は、結合要素74の中に配置され、結合要素が開口部64の中に挿入されたとき、開口部64に整列され、外殻66はインプラント22から放射状に突出する。変形例としては、外殻66は、結合要素74内に配置され、外殻66は、結合要素74が開口部64の中に据え付けられたとき、開口部64に対して斜めにオフセットした方向に延びている。
【0036】
結合要素74は、チタン、金、又は任意の所望の材料から作られて、放射線が通り抜けるのを防止し又は著しく制限するような、放射線シールドを提供する。従って、シード24Cは、結合要素74によって被覆されていない箇所から、放射線を照射する。従って、結合要素74を使用して、第2のシード24Cをインプラント22へ結合し又は結合を補助することで、外科医は、第2のシード24Cの位置とインプラント100に結合される第2のシード140bの数とをを選択することによって、小線源治療用脊柱インプラント20からの放射線の照射を仕立てることができる。変形例としては、第2のシード140bは、小線源治療用脊柱インプラント100に事前に組み付けておいても良い。
【0037】
次に図4C乃至図4Eを参照すると、1又は複数の第4のシード24Dは、インプラント22の任意の表面の端の方に取り付けられ、側面71が、内側本体部材32、外側本体部材34、又は拡張リング36の任意の表面にあるシード取付位置77において、インプラント22に取り付けられる。図示の通り、外側本体部材34の外面58は、シード取付位置77を形成する。
【0038】
例えば、図4Cに示すように、第4のシード24Dは、外側本体部材34の外面58に直接、取り付けられる。特に、PMMA又は骨セメントなど、オステオバイオロジカルの、又は生物学的適合性の材料を、シード24D及び/又は外面58に塗布し、側面71には、シード取付位置77において外側本体部材34に塗布する。変形例としては、シード24Dは、インプラント22に超音波溶接しても良い。
【0039】
シード24Dは、中心軸線Aが長手軸線に対して実質的に平行に延びるように向けられ、シード24Dの適当な長さが外面58に接着されるようになっている。代わりに又は加えて、図4Dに示すように、1つの側面71は、外面58の曲率に一致するように丸められ、シード24Dは、長手軸線Lに対する任意の向きにて、外面58に取り付けられる。従って、1又は複数の脊柱インプラント21と、インプラント21に取り付けられていないシード24とを含むキットを提供でき、上述したように、インプラント21の様々な取付位置77に取り付けられるべく異なる形状及び/又はサイズに構成されて提供できることを認識されたい。脊柱インプラント21は、代わりに又は加えて、シードを事前に取り付けられて提供されても良い。
【0040】
再び図1を参照すると、1又は複数の第5のシード24Eは、インプラント22の内面に取り付けられる。例えば、シード24Eは、骨パッキング開口部52の棚部60上である取付位置77に取り付けられる。シード24Eは、上述した方法で、棚部60に形成された溝部に取り付けられるのに加えて又は代わりに、例えば、PMMA又は骨セメントなど、オステオバイオロジカルであるか、又はその他の生物学的適合性である材料を用いて、取り付けられる。代わりに又は加えて、シード24Eは、インプラント22に超音波溶接しても良い。従って、シード24Eの軸線Aは、インプラント22の長手軸線Lに対して垂直な任意の方向に向けられることを認識されたい。従って、インプラント22が椎骨間の空間に据え付けられるとき、軸線Aは、長手軸線Lに対して垂直な水平面内に向けられ、内側、外側、後方、又は前方の方向に対して、又は斜めに向けられる。
【0041】
次に図1及び図4Fを参照すると、インプラント22は、1又は複数のシード取付位置77を、終板キャップ42に形成している。図示の通り、第6のシード24Fは、終板キャップ42のベース45に取り付けられる。シード24Fは、上述した方法で、ベース45に形成された溝部に取り付けられるのに加えて又は代わりに、例えば、PMMA又は骨セメントなど、オステオバイオロジカルであるか、又はその他の生物学的適合性である材料を用いて、取り付けられる。変形例としては、シード24Fは、インプラント22に超音波溶接しても良い。従って、第6のシード24Fの軸線Aは、インプラント22の長手軸線Lに対して垂直である任意の方向に向けられる。従って、インプラント22が椎骨間の空間に据え付けられるとき、軸線Aは、長手軸線Lに対して垂直な水平面内に向けられ、内側、外側、後方、又は前方の方向に対して、又は斜めに向けられる。
【0042】
小線源治療用インプラント20について、拡張可能なインプラント22と関連させて説明したけれども、インプラント20は、人間の脊柱に移植するのに適したあらゆる構造を呈し得ることを認識されたい。さらに、小線源治療用インプラント20は、図示して説明した位置において、6つのタイプの小線源治療用シード24A〜Fを含むものとして、説明したけれども、インプラント20は、1又は複数のタイプのシード24A〜Fを具備し得ることを認識されたい。さらに、1又は複数の、又はすべての、シード24A〜Fは、任意の取付位置77に取り付けられ、又は望むように、インプラント22上の代替的な位置に取り付けられる。
【0043】
小線源治療用脊柱インプラント20の脊柱インプラント21について、拡張可能な椎骨間インプラント22の1つの実施形態に従って例示される、脊柱インプラント21として構成されたものを図示して説明したけれども、脊柱インプラント21は、所望の任意の変形例による構造を呈することができ、また拡張可能でも堅固でも良い。さらに、インプラント21は、隣接する椎骨間の運動を回復させるために、終板28及び30が互いに対してピボット可能なように構築できることを認識されたい。例えば、図5A乃至図5Dに示すように、脊柱インプラント21は、ねじ90などの小線源治療用骨固定具として提供され、これは、1又は複数のシード24を骨ねじ210の中に搭載されて具備している。変形例としては、骨ねじ90は、放射性核種を一体的に含有しても良い。骨ねじ90は、茎ねじや、前方プレート又は頚椎前方プレートなど、プレートを骨に結合するためのねじ、又はその他の整形外科の骨固定具として提供される。
【0044】
ねじ90は、長手方向に延びたねじ付き軸92と、軸92の近位端に配置された頭部94とを備えている。ねじ90は、チタンなど、任意の適当なインプラント等級の材料から作られる。頭部94は、ねじ付きであり、これは、骨プレートの対応するねじ部と螺合するもので、ねじ90は自己ロック式のねじになっている。軸92の遠位端は、切断縦溝を呈し、ねじ90は、セルフタッピング式のねじになっていても良い。ねじ90は、カニューレ挿入96を含むことができ、頭部94から軸92の中へ長手方向に延在し、軸92の遠位端の付近にて終端している。カニューレ挿入96は、任意の数のシード24を必要に応じて収容し、例えば、1つ、2つ、又は3つを、それぞれ図5A乃至図5Dに示すように収容できる。シード24は、カニューレ挿入96に圧入される。加えて又は代わりに、例えば、PMMA又は骨セメントなど、オステオバイオロジカルであるか、又はその他の生物学的適合性である材料を開口部の中に挿入できる。変形例としては、外殻66は、インプラント22に超音波溶接しても良い。1又は複数のシード24は、好ましくは、骨ねじ90に事前に組み付けられ及び/又は内部に収容される。変形例としては、1又は複数のシード24は、インシトゥーにて、すなわち、手術前に又は手術中に、骨ねじ90に結合される。骨ねじ90は、骨の中に移植され、1又は複数のシード24は続いて骨ねじ90に結合される。
【0045】
変形例としては、図5Eを参照すると、カニューレ挿入96は、放射性核種70を収容するシード24を含むカニューレ挿入96とは対照的に、上述したタイプの放射性核種70を直接収容しても良い。これに関して、軸92は、放射性核種70を取り巻く外殻を提供し、固定具90は一般に小線源治療用シード24について上述したように構築されるが、骨固定具として構成されることを認識されたい。
【0046】
更なる変形例としては、図5Fを参照すると、固定具ないしねじ90は、上述したタイプのうち所望の放射性同位元素から構築しても良い。従って、頭部94及び軸92のうち少なくとも一方又は両方は、アイソトープから構築される。コーティング95は、頭部94及び/又は軸92の外面に適用され、放射性同位元素から形成されて、小線源治療用シード24の外殻66に対して、上述したタイプの外殻66を提供する。
【0047】
次に図5Gを参照すると、上述した任意の実施形態に従って構築された固定具90は、変形例としては、ねじの無い軸92を具備し、従って、図5Gに示すように、爪又はピン98を提供するために、滑らかにされ又はうね模様を付けられ又はその他のテクスチャを付けられて、脊柱骨又は軟質組織の中へ望むように直接移植できることをさらに認識されたい。
【0048】
脊柱インプラント21の例について説明したけれども、小線源治療用インプラント20は、小線源治療用シード24を所望の任意の脊柱インプラントに取り付けられ又は共に提供されて具備し、それらには、任意の望ましい椎骨間インプラント、篭、脊柱ロッドなど、又は骨プレートなどのその他のインプラントが含まれることを認識されたい。1又は複数の脊柱インプラントと、1又は複数のシード24とを含むキットを提供でき、脊柱インプラントであるか、又は脊柱骨又はその他の組織への直接的なものであるかのいずれかの移植位置及び/又は方法に従って、形状及びサイズを定められることを認識されたい。さらに、小線源治療用シード24は、ねじ90、爪98など、完全な脊柱インプラントとして構築でき、又は椎体切除装置、体内スペーサ、脊柱ロッド、椎体内部に挿入すべく構成されたインプラント、その他である。
【0049】
次に図6Aを参照すると、脊柱100は、複数の隣接する椎骨を含み、それらには、下位椎体50A、上位椎体50B、及び隣接する椎体50A及び50Bの間に配置された、悪性の椎体50Cが含まれる。椎間板102は、椎体を隔てている。腫瘍又は転移物104は、椎体50Cの外面に示されるけれども、腫瘍104は椎体50Cの内部に配置されていても良いことを認識されたい。
【0050】
1つの方法によれば、1又は複数の小線源治療用シード24は、脊柱100に移植されるが、それは、直接に、又は上述したタイプの脊柱インプラント若しくは任意の代替的に構築されたインプラントによって支持されて行われる。図6Bを参照すると、脊柱の腫瘍104を治療する方法は、小線源治療用シード24を直接に又は経皮的に悪性椎体50Cへ移植することを含み、加えて又は代わりに、小線源治療用シード24を隣接する椎体50A〜Bに、又は脊柱100の任意の代替的な位置に移植する。例えば、1又は複数の小線源治療用シード24の外側端面73の片方は、上述した態様によるスパイク形状であり、脊柱100の様々な位置へ直接押し込むことができる。シード24は、完全に脊柱100の中に配置されるか、又は脊柱100から突出して配置される。
【0051】
代わりに又は加えて、1又は複数の開口部106が、脊柱100の様々な位置に形成されて、シード24は、それぞれの開口部106の中に移植しても良い。シード24は、接着せずに開口部106の中に圧入されるか、又は骨セメント若しくは代替的な接着剤108を用いて開口部に接着される。シード24は、セメント注入の前に又は後に、移植される。変形例としては、結合要素は、脊柱100に超音波溶接しても良い。代わりに又は加えて、1又は複数のシード24の側面71は、接着剤又は超音波溶接を用いて、脊柱100に直接結合しても良い。
【0052】
変形例としては、小線源治療用シード24は、例えば、別の脊柱インプラントを介して、脊柱100の中に間接的に移植しても良い。1つの実施形態においては、脊柱インプラントは、ねじ90又は爪98を具備し、上述した方法で、1又は複数の小線源治療用シード24を支持させる。ねじ90及び爪98は、従って、所望の位置にて、脊柱100の中に押し込むことができる。頭部94は、脊柱100と面一であるか、又は脊柱100から望むだけ突出する。
【0053】
次に図6Cを参照すると、腫瘍104を治療する方法は、脊柱100から腫瘍104を除去する段階を具備している。1つの実施形態においては、椎体切除術が実行され、それにより、腫瘍104をもった椎体50Cの一部分又はすべてが除去されて、隣接する椎骨100A及び100Bの間に配置されるように椎骨間空間110が形成される。代わりに又は加えて、半椎体切除術が実行されて、それにより、椎体の一部分が除去される。図示の実施形態においては、まわりの椎間板物質102もまた除去されている。腫瘍104は除去されたけれども、悪性細胞は脊柱100に取り残されるのが普通であり、特に、腫瘍の外被が傷ついた場合には、悪性細胞が脊柱100の様々な他の位置へと逃げ出して転移することが許容されることを認識されたい。従って、シード24は、上述した脊柱位置に加えて、隣接する椎骨50A及び50Bの椎骨終板51に、直接的に又は間接的に、移植される。
【0054】
図6Dを参照すると、脊柱100に間接的に小線源治療用シードを移植する別の方法は、小線源治療用インプラント20又は任意の代替的な小線源治療用椎骨間インプラントを、椎骨間空間110へ移植することを含む。インプラント22は、表面又は内部に、シード24を据え付けられて有するか、又は、変形例としては、シード24は、インプラントが椎骨間空間110に固定された後で、インプラント20の表面又は内部に据え付けられる。シード24は、インプラント22の表面又は内部の任意の位置に配置され、その向きは、上述したように、1又は複数の悪性細胞を含んでいる見込みのある位置へ向けて、放射線を導くのに適するように定められる。拡張リング36は、必要に応じて操縦され、終板28及び30を椎骨50A及び50Bの終板に係合させる。
【0055】
当業者にあっては、広い発明的概念から逸脱せずに、上述した実施形態に変更を施すことができることを認識されたい。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、本明細書によって定義された本発明の精神及び範囲内において、変形例を包含する意図であることを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小線源治療用脊柱インプラントであって、このインプラントが、
脊柱インプラントであって、長手軸線に沿って延在する本体と、本体の片側の長手端部に配置された上位終板と、本体の反対側の長手端部に配置された下位終板とを具備し、それぞれの終板が、相補的な椎骨終板に係合すべく構成された椎骨係合面を形成している、上記脊柱インプラントと、
インプラント本体に取り付けられた複数の放射線シードであって、小線源治療用インプラントが椎骨間空間に配置されたとき、所望の方向において、放射線を脊柱に向けて導くようになっている、上記複数の放射線シードと、
を備えていることを特徴とする小線源治療用インプラント。
【請求項2】
脊柱インプラント内に形成された開口部中に、放射線シードが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項3】
少なくとも1つの開口部が脊柱インプラントの中に延在し、その深さが、開口部内に配置された放射線シードの長さに比べて短くなっていることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項4】
少なくとも1つの開口部が終板の中に延在し、その深さが、開口部内に配置された放射線シード長さに比べて短くなっており、放射線シードが脊柱インプラントから突出していることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項5】
放射線シードは、開口部の中に圧入されていることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項6】
放射線シードは、開口部の内側にて、脊柱インプラントに接着されていることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項7】
放射線シードは、開口部の内側にて、脊柱インプラントに超音波溶接されていることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項8】
開口部は、少なくとも1つの終板に形成され、開口部内に配置された放射線シードが、下位又は上位の方向成分を有していることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項9】
放射線シードは、椎骨係合端部を提供していることを特徴とする請求項8に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項10】
開口部は、本体中に延在していることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項11】
開口部は、骨パッキング開口部を備えていることを特徴とする請求項10に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項12】
放射線シードは、細長い本体を形成し、側面と、一対の反対側端面とを呈し、側面は脊柱インプラントの表面に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項13】
脊柱インプラントはさらに、上位終板に取り付けられた終板キャップを備え、終板キャップは、上位終板の椎骨係合面に対して窪んだベースを形成し、少なくとも1つの放射線シードの側面は、終板キャップのベースに取り付けられていることを特徴とする請求項12に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項14】
小線源治療用インプラントであって、このインプラントが、
近位端と遠位端とを形成している軸と、軸の近位端に取り付けられた頭部とを備え、軸は、1又は複数の放射線シードを受け入れるように構成されてなるカニューレを形成している、ことを特徴とする小線源治療用インプラント。
【請求項15】
軸は、骨ねじを提供すべく、ねじ付きになっていることを特徴とする請求項14に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項16】
軸には、ねじが無く、釘を提供していることを特徴とする請求項14に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項17】
脊柱の腫瘍を治療する方法であって、悪性細胞に向けて放射線を導くのに適した位置において、脊柱の中へ複数の照射を受けた放射線シードを移植する段階を備えていることを特徴とする方法。
【請求項18】
方法がさらに、経皮的に脊柱の中にシードを移植する段階を備えていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
方法がさらに、間接的に脊柱の中にシードを移植する段階を備えていることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
シードは、脊柱インプラント内に配置され、方法がさらに、脊柱インプラントを脊柱に固定する段階を備えていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項1】
小線源治療用脊柱インプラントであって、このインプラントが、
脊柱インプラントであって、長手軸線に沿って延在する本体と、本体の片側の長手端部に配置された上位終板と、本体の反対側の長手端部に配置された下位終板とを具備し、それぞれの終板が、相補的な椎骨終板に係合すべく構成された椎骨係合面を形成している、上記脊柱インプラントと、
インプラント本体に取り付けられた複数の放射線シードであって、小線源治療用インプラントが椎骨間空間に配置されたとき、所望の方向において、放射線を脊柱に向けて導くようになっている、上記複数の放射線シードと、
を備えていることを特徴とする小線源治療用インプラント。
【請求項2】
脊柱インプラント内に形成された開口部中に、放射線シードが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項3】
少なくとも1つの開口部が脊柱インプラントの中に延在し、その深さが、開口部内に配置された放射線シードの長さに比べて短くなっていることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項4】
少なくとも1つの開口部が終板の中に延在し、その深さが、開口部内に配置された放射線シード長さに比べて短くなっており、放射線シードが脊柱インプラントから突出していることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項5】
放射線シードは、開口部の中に圧入されていることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項6】
放射線シードは、開口部の内側にて、脊柱インプラントに接着されていることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項7】
放射線シードは、開口部の内側にて、脊柱インプラントに超音波溶接されていることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項8】
開口部は、少なくとも1つの終板に形成され、開口部内に配置された放射線シードが、下位又は上位の方向成分を有していることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項9】
放射線シードは、椎骨係合端部を提供していることを特徴とする請求項8に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項10】
開口部は、本体中に延在していることを特徴とする請求項2に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項11】
開口部は、骨パッキング開口部を備えていることを特徴とする請求項10に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項12】
放射線シードは、細長い本体を形成し、側面と、一対の反対側端面とを呈し、側面は脊柱インプラントの表面に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項13】
脊柱インプラントはさらに、上位終板に取り付けられた終板キャップを備え、終板キャップは、上位終板の椎骨係合面に対して窪んだベースを形成し、少なくとも1つの放射線シードの側面は、終板キャップのベースに取り付けられていることを特徴とする請求項12に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項14】
小線源治療用インプラントであって、このインプラントが、
近位端と遠位端とを形成している軸と、軸の近位端に取り付けられた頭部とを備え、軸は、1又は複数の放射線シードを受け入れるように構成されてなるカニューレを形成している、ことを特徴とする小線源治療用インプラント。
【請求項15】
軸は、骨ねじを提供すべく、ねじ付きになっていることを特徴とする請求項14に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項16】
軸には、ねじが無く、釘を提供していることを特徴とする請求項14に記載の小線源治療用インプラント。
【請求項17】
脊柱の腫瘍を治療する方法であって、悪性細胞に向けて放射線を導くのに適した位置において、脊柱の中へ複数の照射を受けた放射線シードを移植する段階を備えていることを特徴とする方法。
【請求項18】
方法がさらに、経皮的に脊柱の中にシードを移植する段階を備えていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
方法がさらに、間接的に脊柱の中にシードを移植する段階を備えていることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
シードは、脊柱インプラント内に配置され、方法がさらに、脊柱インプラントを脊柱に固定する段階を備えていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【公表番号】特表2012−509721(P2012−509721A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537739(P2011−537739)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/065897
【国際公開番号】WO2010/062945
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(505377463)ジンテス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (186)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/065897
【国際公開番号】WO2010/062945
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(505377463)ジンテス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (186)
【Fターム(参考)】
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