説明

照射硬化性組成物

本発明は、少なくとも1個のイソシアネート反応官能性基−XH(ここで、各Xは独立して、OまたはNRである)を含み、少なくとも1.50の屈折率(A)を有する少なくとも1種の化合物(i)、少なくとも1種のポリイソシアネート(ii)および場合により、少なくとも1個のイソシアネート反応官能性基−YH(ここで、各Yは独立して、O、NRまたはSである)および少なくとも1個の硬化官能性基Qを含む少なくとも1種の化合物(iii)の反応から得られる少なくとも1種の化合物を含む組成物およびその高屈折率コーティングおよびフィルムの製造における使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規照射硬化性組成物、特に高屈折率を有する新規照射硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの光学用途では、高屈折率を示すコーティングまたはフィルムが望まれる。一例として、高屈折率コーティングはフラットパネルディスプレイ、例えば液晶ディスプレイ(LCD)に明度強化フィルムとして適用される。LCDに使用される偏光フィルムはまた、高屈折率を有する硬質コーティングを必要とする。このようなコーティングは基板に改善された保護、例えば引掻き耐性などの改善された耐性を付与することが望まれる。
【0003】
高屈折率を有する照射硬化性組成物は数年前から知られている。通常、これらの組成物は相違する照射硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーを含んでおり、その中の数種はチオール化合物を基材としている。I.Khudyakov等によりRadtech2007の開催期間中になされた提案は、チオフェノールまたはポリスルフィドなどのチオール化合物とジイソシアネート化合物および2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応から得られる高屈折率を有するチオウレタンを開示している。ポリスルフィドチオウレタンアクリレート化合物がまた、Quan等によりJournal of Applied Polymer Science、91巻、2356−2363頁(2004)に記載されている。チオール化合物およびポリスルフィド化合物は一般に、悪臭を有し、従ってそれらの使用中に、およびこれらのチオール化合物およびポリスルフィド化合物から得られた生成物の事後の使用中に、問題を露呈することがある。さらにまた、チオウレタンは一般に、安定性も乏しい。
【0004】
本発明者らはここに、新規な種類の照射硬化性組成物として、照射硬化性組成物についてこれまでに開示された欠点を示さず、高屈折率フィルムおよびコーティングを提供することができるものを見出した。
【0005】
すなわち、本発明は少なくとも1個のイソシアネート反応官能性基−XH(ここで、各Xは独立して、OまたはNRである)を含み、少なくとも1.50の屈折率


を有する少なくとも1種の化合物(i)、少なくとも1種のポリイソシアネート(ii)および場合により、少なくとも1個のイソシアネート反応官能性基−YH(ここで、各Yは独立して、O、NRまたはSである)および少なくとも1個の硬化官能性基Qを含む少なくとも1種の化合物(iii)の反応から得られる少なくとも1種の化合物を含む組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
材料の屈折率


は一般に、照射線が約589.3nmの波長のナトリウム黄色光であり、および測定が20℃で行われるものとして、当該材料中における照射速度に対する自由空間における電磁線照射速度の比率であると定義される。
【0007】
本発明はさらに、少なくとも1種の下記式(I)で表される化合物を含む組成物に関する:
[A−X−C(O)N]−R−[NC(O)−Y−R−(Q)
式 I
式中、
n<6
0<m
n+m

は(n+m)個のイソシアネート基を含むポリイソシアネート(ii)の残基であり;
は1〜4個のエーテル架橋、三級アミン架橋、−CO−架橋および/または−O−CO−架橋を含有していてもよいアルキレン、アリーレンおよびアラルキレン鎖から選択され;
Aは式A−X−Hで表される化合物(i)の残基であり;
XはOまたはNRであり、
各Yは独立して、O、NRおよびSから選択され;
各Rは独立して、H、アルキル基またはアリール基であり;
各Qは独立して、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合、チオール基またはエポキシ基を含む硬化性基である。
【0008】
本発明はさらに、少なくとも1種の下記式(II)で表される化合物を含む組成物に関する:
[A−X−C(O)N]−R−[NC(O)−Y−R3’(Q)−Y−C(O)
N]−R−[NC(O)−X−A]
式 II
式中、




は(n+m)個のイソシアネート基を含むポリイソシアネート(ii)の残基であり;
3’は2個の−YH基およびp個のQ基を含む化合物の残基であり;
Aは式A−X−Hで表される化合物(i)の残基であり;
XはOまたはNRであり、
各Yは独立して、O、NRおよびSから選択され;
各Rは独立して、H、アルキル基またはアリール基であり;
各Qは独立して、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合、チオール基またはエポキシ基を含む硬化性基である。
【0009】
本明細書で使用されているものとして、「アルキル」の用語は、直鎖状、分枝鎖状または環状分子またはその組合せを有し、および炭素原子1〜50個、好ましくは炭素原子1〜20個を含有する飽和一価炭化水素基を包含するものと定義される。
【0010】
本明細書で使用されているものとして、「アリール」の用語は、1個の水素の除去による1個または2個以上の環を含み、および炭素原子5〜30個を含有する芳香族炭化水素から誘導される有機基、例えばフェニルおよびナフチルを包含するものと定義される。
【0011】
本明細書で使用されているものとして、「アルキレン」の用語は、直鎖状、分枝鎖状または環状分子またはその組合せを有し、および炭素原子1〜50個を含有する飽和二価炭化水素基を包含するものと定義される。
【0012】
本明細書で使用されているものとして、「アルケニレン」の用語は、直鎖状、分枝鎖状または環状分子またはその組合せを有し、および少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有し、および炭素原子1〜50個、好ましくは炭素原子1〜20個を含有する不飽和二価炭化水素基を包含するものと定義される。
【0013】
本明細書で使用されているものとして、「アリーレン」の用語は、2個の水素原子の除去による1個または2個以上の環を含み、および炭素原子5〜30個を含有する芳香族炭化水素から誘導される二価の基を包含するものと定義される。
【0014】
本明細書で使用されているものとして、「アラルキレン」の用語は、アルキレン分子とアリーレン分子との組合せを含む二価の基を表わす。炭素原子6〜30個を有するアラルキレン基は好適である。
【0015】
エーテル架橋(bridge)を含有するアルキル、アルキレン、アリーレンおよびアラルキレンの用語は、炭素原子が酸素原子により置き換えられ、−CO−C−などの基を形成しているアルキル、アルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基を意味する。
【0016】
それぞれ三級アミン架橋、−CO−架橋または−CO−O−架橋を含有するアルキル、アルキレン、アリーレンおよびアラルキレン鎖の用語は、それぞれ三級アミン基、
【化1】


が2個の炭素原子間に存在し、それぞれ式
【化2】


(ここで、Rはアルキル基またはアリール基を表す)を形成している基を意味する。この場合、Rは好ましくは、炭素原子1〜15個を含有するアルキル基である。
【0017】
式(I)において、nmである化合物、特にn<mである化合物は好適である。
【0018】
本発明において、式A−X−Hで表される化合物(i)は一般に、少なくとも1個のS原子および/または少なくとも1個のアリールおよび/またはアリーレン基を含み、および場合により、少なくとも1個のハロゲン原子、好ましくは臭素原子を含有する基Aを含む化合物である。
【0019】
好ましくは、化合物(i)は、式R−Y−R−X−H(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、1個または2個以上のハロゲン原子、好ましくは臭素原子により置換されていてもよいアルキレン、アリーレンおよびアラルキレン鎖から選択される)で表される化合物である。さらに好ましくは、少なくとも1個のRおよびRはアリーレンまたはアラルキレン鎖であり、最も好ましくは少なくとも1個のRおよびRはフェニレン基である。
【0020】
さらに好適な化合物(i)は、式R−S−R−X−H(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、アルキレン、アリーレンおよびアラルキレン鎖から選択され、これらの鎖は場合により、1個または2個以上のハロゲン原子、好ましくは臭素原子により置換されていてもよい)で表される化合物である。さらに好ましくは、少なくとも1個のRおよびRはアリーレンまたはアラルキレン鎖であり、最も好ましくは少なくとも1個のRおよびRはフェニレン基である。
【0021】
好ましくは、化合物(i)の屈折率


は、少なくとも1.55であり、さらに好ましくは少なくとも1.58であり、最も好ましくは少なくとも1.59である。
【0022】
好ましくは、化合物(i)は、式A−O−Hで表されるアルコール化合物、特に式R−S−R−O−H(式中、RおよびRは上記定義のとおりである)で表されるアルコール化合物である。
【0023】
化合物(i)の適当な例は、2−フェノキシエタノール、3−(メチルチオ)−1−プロパノール、4−(メチルチオ)ベンジルアルコールおよび2−フェニルチオエタノールである。2−フェニルチオエタノールは特に好適である。
【0024】
本発明のある特定の態様においては、2種または3種以上の相違する化合物(i)の混合物を使用する。この場合、使用される少なくとも1種の化合物(i)は、少なくとも1.55、さらに好ましくは少なくとも1.58、最も好ましくは少なくとも1.59の屈折率


を有する化合物である。この場合、使用される少なくとも1種の化合物(i)は式R−S−R−O−H(式中、RおよびRは上記定義のとおりである)で表されるアルコール化合物である。一例として、2−フェノキシエタノールと2−フェニルチオエタノールとの混合物を使用することができる。この特定の態様は、2個よりも多いイソシアネート基を含むポリイソシアネート化合物を使用する場合に特に適している。
【0025】
本発明において、ポリイソシアネート(ii)は一般に、ウレタン、イソシアヌレート、アロファネート、ビューレット、ウレトジオンおよび/またはイミノ−オキサジアジンジオン基を含有する芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族または環状脂肪族ポリイソシアネート化合物またはその誘導体である。
【0026】
式R−(NCO)n+m(式中、n+mは少なくとも2であり、好ましくは6よりも大きいことはなく、およびRはアルキレン、アリーレンおよびアラルキレン鎖から選択され、これらの鎖は1個または2個以上の−N−CO−O−および/または架橋:
【化3】


を含有することができる)で表されるポリイソシアネート化合物は好適である。
【0027】
本発明において、n+mは、好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは2〜3であり、最も好ましくは2である。さらに好適なポリイソシアネート(ii)はジ−またはトリ−イソシアネートであり、最も好ましくはジ−イソシアネート、あるいはそのダイマーまたはトリマーである。
【0028】
好ましくは、ポリイソシアネート(ii)は少なくとも1個のアリーレン基を含有し、さらに好ましくは少なくとも1個のフェニレン基を含有する。
【0029】
好適ポリイソシアネート(ii)は非対称型ポリイソシアネートである。
【0030】
好適ポリイソシアネート(ii)は、少なくとも1.46、さらに好ましくは少なくとも1.51、最も好ましくは少なくとも1.59の屈折率


を有する化合物である。
【0031】
適当なポリイソシアネート化合物の例には、次の化合物がある:ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トルエン−ジイソシアネート、2,6−トルエン−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアナトヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、メタ−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−ビス−(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、それらのダイマー、トリマーまたはオリゴマーおよびそれらのポリオール付加化合物、
【0032】
【化4】

【0033】
ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネートおよびジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートは特に好適であり、さらに特にジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネートおよびそのオリゴマー、例えば上記MDIオリゴマー(ここで、nは0〜4であり、さらに好ましくは>0〜4である)は好適である。
【0034】
本発明の好適態様においては、少なくとも1個のイソシアネート反応官能性基−XH(ここで、各Xは独立して、OまたはNRである)を含み、少なくとも1.50の屈折率


を有する少なくとも1種の化合物(i)、少なくとも1種のポリイソシアネート(ii)、および少なくとも1個のイソシアネート反応官能性基−YH(ここで、Yはそれぞれ独立して、O、NRまたはSである)および少なくとも1個の硬化官能性基Qを含む少なくとも1種の化合物(iii)の反応から得られる少なくとも1種の化合物を含む組成物を使用する。
【0035】
硬化官能性基Qの用語は、本発明において、場合により組成物中に存在する別種の硬化性化合物と一緒になって、硬化条件下に式Iで表される化合物の重合を可能にする官能性基であると理解される意味を有する。重合反応中に硬化を生じさせるために使用される化学反応は、遊離基性、カチオン性、アニオン性、ミカエル(Michael)型付加、ディールス−アルダー(Diels-Alder)型付加、酸化性およびその他の化学反応を経て進行する反応を包含することができる。一例として、ビニル反応官能性基を含有する本発明に従う化合物は、遊離基開始共重合法、遊離基開始ミカエル(Michael)付加チオーレン法、光開始[2+2]付加環化法、熱開始[4+2]付加環化法などによって重合させることができる。チオール官能性化合物は光開始または熱開始チオーレン遊離基を経て重合させることができる。
【0036】
硬化は、UV領域、可視領域または赤外領域のスペクトルにおける電磁線照射への暴露、電子ビーム照射への暴露または場合により熱により行うとさらに好ましい。
【0037】
硬化官能性基は一般に、炭素−炭素二重結合、チオール基およびエポキシ基から選択される。適当な硬化性基は下記群から選択すると好ましい:
【化5】


各式中、YおよびRは上記定義のとおりである。
【0038】
炭素−炭素二重結合含有硬化性基は、(メト)アクリレート、(メト)アクリルアミド、(メト)アクリルチオエステル、N−ビニルアミド、ビニルエステル、ビニルチオエステル、アリルエーテル、アリルアミン、アリルスルフィド、N−ビニルアミン、ビニルエーテル、ビニルスルフィド、マレエート、フマレート、マレアミド、フマールアミド、チオマレエート、チオフマレート、マレイミド、シトラコンイミドおよびノルボルネン基を包含する。
【0039】
硬化性基Qは(メト)アクリレートおよびアリルエーテルから選択すると好ましい。本発明において、「(メト)アクリル」の用語は、アクリルおよびメタアクリルの両方の化合物またはその誘導体、ならびにその混合物を包含するものと理解されるべきである。好適な硬化性基Qは−O−CO−CH=CH、−O−CO−CCH=CH、−O−CH−CH=CH、−O−CH=CH、−O−CCH=CHから選択され、さらに好ましくは−O−CO−CH=CHおよび−O−CO−CCH=CHから選択される。Qは最も好ましくは、−O−CO−CH=CHである。
【0040】
本発明において、好適な化合物(iii)は、少なくとも1.44、さらに好ましくは少なくとも1.50、最も好ましくは少なくとも1.55の屈折率


を有する化合物である。
【0041】
本発明において、少なくとも1個のイソシアネート反応官能性基−YHおよび少なくとも1個の硬化官能性基Qを含む化合物(iii)は一般に、式HY−R−(Q)で表される化合物または式(HY)3’(Q)で表される化合物(各式中、Y、R、R3’、Qおよびpは上記定義のとおりである)である。
【0042】
式HY−R−(Q)で表される化合物(iii)の適当な例には、下記化合物がある:(メト)アクリレート化合物および(メト)アクリルアミド化合物、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート(2異性体)、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジ−トリメチロールプロパントリアクリレート、トリシクロデカン−ジメタノールモノアクリレート、N−メチルエタノールアミンアクリレート、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド;N−ビニルアミド化合物、例えば5−(ヒドロキシメチル)−1−ビニル−2−ピロリジノン、3−ヒドロキシ−N−ビニルプロプリオンアミド(カルボン酸に加水分解され、次いでアルコールに還元される2−シアノ−N−ビニルアセトアミド);アリル化合物、例えばジアリルアミン、アリルアルコール、N−アリル−N−メチルアミン、N−アリル−N−シクロペンチルアミン、N−アリル−N−フェニルアミン、N−アリル−2,2’−イミノジエタノール;ビニルエーテル化合物、例えば4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−メタノール、ジエチレングリコールモノビニルエーテル;ノルボーネン化合物、例えば5−ノルボーネン−2−メタノール、5−ノルボーネン−2,3−ジメタノールモノアクリレート;エポキシド化合物、例えば2−オキシラニルメタノール、(2S,3S)−トランス−3−フェニルオキシラン−2−メタノール、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aモノグリシジルエーテル、ビスフェノール−Fモノグリシジルエーテル、ビスフェノール−A(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)グリシジルエーテル。
【0043】
式HY−R−(Q)で表される化合物(iii)は、好ましくは4個より多いことはない硬化官能性基Q、さらに好ましくは3個より多いことはなく、最も好ましくは1個のみの硬化官能性基Qを含んでいる。式Iにおいて、pは好ましくは、4であり、さらに好ましくは3であり、最も好ましくはpは1である。
【0044】
化合物(iii)のイソシアネート反応官能性基−YHは、好ましくは−OHである。
【0045】
好適な化合物(iii)は、約1個の残留平均ヒドロキシル官能性基を有する(メト)アクリル酸による脂肪族および芳香族ポリオール化合物のエステル化生成物を包含する。(メト)アクリル酸のトリ−、テトラ−、ペンタ−またはヘキサ−ヒドロポリオール化合物またはその混合物による部分的エステル化生成物は適当である。これに関連して、このようなポリオール化合物とエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドあるいはその混合物との反応生成物、あるいはこのようなポリオール化合物とラクトン化合物との反応生成物を使用することもできる。ラクトン化合物は開環反応でこれらのポリオール化合物に付加する。適当なラクトン化合物の例には、γ−ブチロラクトンおよび特に、δ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトンがある。これらの修飾または非修飾ポリオール化合物は、所望の残留ヒドロキシル官能度が得られるまでアクリル酸、メタアクリル酸またはその混合物で部分的にエステル化する。このような化合物の例には、少なくとも2個の(メト)アクリル官能性基を含む化合物、例えばグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジ−トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびそれらの(ポリ)エトキシル化および/または(ポリ)プロポキシル化対応化合物がある。
【0046】
好適な化合物(iii)は、少なくとも1個のヒドロキシル官能性基がフリーのままである直鎖状および分枝鎖状ポリオールによる(メト)アクリル酸エステル化合物であり、ヒドロキシアルキル(メト)アクリレート化合物のように、そのアルキル基中に炭素原子1〜20個、好ましくは炭素原子1〜6個を有する。このカテゴリーにおける好適な分子は、ヒドロキシエチル(メト)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メト)アクリレート、ヒドロキシブチル(メト)アクリレートである。アクリレート化合物が好適である。ヒドロキシプロピルアクリレートが最も好ましく、特に2−ヒドロキシプロピルアクリレートである。
【0047】
本発明のもう一つの態様においては、1個より多いイソシアネート反応性基−YHを含む化合物を使用する。これらの化合物の中で、1個より多いイソシアネート反応性基−YHおよび1個より多い照射硬化性基Qを含む化合物(iii)は好適である。式(HY)3’(Q)で表される化合物、さらに特に(メト)アクリロイルジヒドロキシ化合物およびポリ(メト)アクリロイルジヒドロキシ化合物は好適である。アクリレート化合物は特に好ましい。
【0048】
この態様において、特に好適な化合物(iii)は、ポリグリシジル化合物、より具体的にはジグリシジル化合物、と(メト)アクリル酸との反応から得られる化合物である。ポリフェノール樹脂、ビスフェノールAおよびビスフェノールFから誘導される芳香族グリシジル化合物は好適である。ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテルおよびそれらのエトキシル化および/またはプロポキシル化対応化合物は特に好適である。ジグリシジルフタレート、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリンなどのジグリシジルエステル化合物を使用することもできる。ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレートエステルは特に好適である。
【0049】
式Iで表される化合物において、pは好ましくは、4であり、さらに好ましくは3であり、最も好ましくはpは1である。式Iで表される化合物において、nは好ましくは、1である。式Iで表される化合物において、mは好ましくは、1または2であり、さらに好ましくは1である。式Iで表される化合物において、Rは、好ましくは、炭素原子1〜20個、さらに好ましくは1〜6個を含むアルキレンである。
【0050】
式IIで表される化合物において、pは好ましくは、4であり、さらに好ましくは3であり、最も好ましくはpは1であり;nは好ましくは1であり;mは好ましくは1または2であり、さらに好ましくは1であり;qは好ましくは1である。式IIで表される化合物において、Rは好ましくは、Rについての上記定義のとおりであり、さらに好ましくは炭素原子7〜30個、さらに好ましくは19〜21個を含むアラルキレンである。
【0051】
化合物(iv)を用いる上記特定の態様において、A−X−C(O)N−基で表される部分は式(I)および(II)で表される化合物中のA’−X−C(O)N−基により置き換えられている。
【0052】
本発明による組成物はそのために適当なあらゆる方法により製造することができる。一般に、組成物はポリイソシアネート(ii)1当量当たり0.5〜1.2当量の化合物(i)および場合により、0〜0.6当量の化合物(iii)からの反応によって製造する。
【0053】
本発明による組成物は好ましくは、ポリイソシアネート(ii)1当量当たり0.55〜1.1当量の化合物(i)および0.1〜0.6当量の化合物(iii)からの反応によって製造する。本発明による組成物はさらに好ましくは、ポリイソシアネート(ii)1当量当たり0.55〜0.9当量の化合物(i)および0.2〜0.55当量の化合物(iii)からの反応によって製造する。該組成物は最も好ましくは、ポリイソシアネート(ii)1当量当たり0.6〜0.8当量の化合物(i)および0.3〜0.4当量の化合物(iii)からの反応によって製造する。
【0054】
1よりも大きい、さらに好ましくは1.1〜19、さらに好ましくは1.2〜2.0、最も好ましくは1.2〜1.6の化合物(iii)に対する化合物(i)の当量比を使用すると、特に好ましい。
【0055】
「当量」の用語は、ポリイソシアネート(ii)により提供されるイソシアネート基1当量当たりの化合物(i)により提供されるイソシアネート反応性基−XH、化合物(iii)により提供されるイソシアネート反応性基−YHそれぞれの当量数を示す意味を有する。
【0056】
本発明はまた、上記定義のとおりの組成物の製造方法に関し、この方法ではポリイソシアネート(ii)1当量当たり0.5〜1.2当量の化合物(i)をポリイソシアネート(ii)と反応させ、場合により、0〜0.5当量の化合物(iii)をポリイソシアネート化合物(ii)と反応させる。
【0057】
本発明の方法において、該反応は好ましくは、少なくとも2工程で行い、第一工程において、ポリイソシアネート(ii)の少なくとも1部分を先ず、化合物(iii)と反応させ、次いで第二工程において、得られた反応生成物を化合物(i)と反応させる。
【0058】
上記反応は一般に、触媒、例えばアミンおよび有機金属錯体触媒などの存在下に行う。ジブチルスズジラウレート触媒は特に適している。
【0059】
上記反応は好ましくは、20〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃の温度において行う。
【0060】
上記反応は重合抑制剤または安定剤、あるいはその組合せの存在下に行うと好ましい。キノン化合物、特にハイドロキノンおよびジ−tert−ブチルp−クレゾールなどの一級酸化防止剤(遊離基抑制剤)は特に好適である。
【0061】
上記反応は、溶媒または希釈剤、好ましくは反応性溶媒または希釈剤の存在下に行うことができる。反応性溶媒または希釈剤の用語は、上記定義のとおり硬化性の化合物を意味するが、化合物(i)、(ii)および任意の(iii)とは反応しないものである。好適態様においては、組成物の合成期間中、合成の終了時点および/または合成後に少なくとも反応性希釈剤を組成物に添加する。
【0062】
本発明による組成物は一般に、式Iで表される化合物を少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%、さらに好ましくは少なくとも25重量%の量で含有する。化合物Iの量は通常、組成物の95重量%を超えず、好ましくは80重量%を超えない。
【0063】
本発明による組成物は好ましくは、1種または2種以上の式Iで表される化合物以外に、硬化反応性の希釈剤を少なくとも含有する。この希釈剤は好ましくは、共重合性エチレン状不飽和化合物、さらに好ましくは一官能性または多官能性(メト)アクリレート化合物である。共重合性エチレン状不飽和化合物の用語は、一般に光重合条件下に、特に照射により、式Iで表される化合物と共重合することができるモノマーおよびオリゴマーを示す意味を有する。好適な共重合性エチレン状不飽和化合物は、少なくとも1.45、さらに好ましくは少なくとも1.50、最も好ましくは少なくとも1.55の屈折率


を有する一官能性および多官能性(メト)アクリレート化合物である。
【0064】
好適共重合性エチレン状不飽和化合物は25℃において最大で200cPsの粘度を有する化合物である。
【0065】
適当なモノマーおよびオリゴマーの例は、下記化合物を包含する:(メト)アクリル酸、ベータ−カルボキシエチルアクリレート、ブチル(メト)アクリレート、メチル(メト)アクリレート、イソブチル(メト)アクリレート、2−エチルヘキシル(メト)アクリレート、シクロヘキシル(メト)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メト)アクリレート、n−ヘキシル(メト)アクリレート、イソボルニル(メト)アクリレート、イソオクチル(メト)アクリレート、n−ラウリル(メト)アクリレート、オクチル/デシル(メト)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メト)アクリレート、フェノキシエチル(メト)アクリレート、ノニルフェノールエトキシレートモノ(メト)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メト)アクリレート、2−ブトキシエチル(メト)アクリレート、ベンジル(メト)アクリレート、ブロモベンジル(メト)アクリレート、ジブロモベンジル(メト)アクリレート、トリブロモベンジル(メト)アクリレート、ペンタブロモベンジル(メト)アクリレート、カルデュラ(メト)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メト)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メト)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリレート、フェニルグリシジルエーテル(メト)アクリレート、ビスフェノールジグリシジルエーテル(メト)アクリレートおよびその(メト)アクリル化、オキシエチル化または/およびオキシプロビル化誘導体、ウレタン(メト)アクリレート、エポキシ(メト)アクリレートおよびポリエステル(メト)アクリレート。
【0066】
好適な(メト)アクリル化化合物は、芳香族、シクロヘキシル、ハロゲン(例えば、塩素、臭素またはヨウ素)およびイオウ含有基から選択される少なくとも1個の基を含む化合物である。これらの好適(メト)アクリル化化合物の中で、ハロゲン化、特に臭素化(メト)アクリル化化合物およびアリールチオエーテル(メト)アクリレート化合物は特に好適である。
【0067】
臭素化(メト)アクリル化化合物の例は、臭素化芳香族(メト)アクリレート化合物、特に不飽和およびアルキル置換ブロモフェニル(メト)アクリレート化合物、ブロモ−ベンジル(メト)アクリレート化合物、ブロモフェノキシエチル(メト)アクリレート化合物、(メト)アクリル化臭素化ビスフェノール−A化合物およびビスフェノール−F誘導体、例えばテトラブロモビスフェノール−A−ジアクリレート、およびエトキシル化および/またはプロポキシル化臭素化ビスフェノール−A−ジアクリレートを包含する。
【0068】
2−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−エチルアクリレートおよび2,4,6−トリブロモフェニルアクリレートは特に好適である。
【0069】
好適なアリールチオエーテル(メト)アクリレート化合物は、未置換および置換フェニルチオエーテル(メト)アクリレート化合物である。2−フェニルチオエーテル(メト)アクリレートは特に好適である。
【0070】
少なくとも1個の芳香族基を含む好適な(メト)アクリル化化合物は、フェニル(メト)アクリレート、特に2−フェノキシエチルアクリレートおよび(メト)アクリル化ビスフェノール−Aおよびビスフェノール−F誘導体、特にそれらのオキシエチル化および/またはオキシプロピル化誘導体である。ビスフェノール−Aオキシエチル化ジアクリレート、例えばEBECRYL(登録商標)150の名称で市販されている化合物およびEBECRYL(登録商標)114の名称で市販されている2−フェノキシエチルアクリレートは特に好適である。
【0071】
組成物中に存在する反応性希釈剤の量は一般に、0〜60重量%、好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは0〜30重量%である。
【0072】
本発明による方法で使用される組成物は通常また、少なくとも1種の抑制剤を含有する。抑制剤は、これらに制限されないものとして、ハイドロキノン、トルハイドロキノン、モノメチルエーテルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、ジ−tert−ブチルハイドロキノン、フェノチアジンを包含する。使用される抑制剤の量は、好ましくは0〜0.5重量%である。
【0073】
組成物はまた、前記硬化性化合物および組成物中に任意に存在する硬化性化合物の重合を開始させることができる少なくとも1種の光化学的開始剤および/または化学的開始剤を含むことができる。光化学的開始剤(光開始剤とも称される)は光線、代表的にUV光の吸収によって遊離基を生成することができる化合物である。光開始剤は好ましくは、遊離基光開始剤である。
【0074】
UV光下に硬化させる場合、少なくとも1種の光開始剤を含む硬化性組成物が好適である。組成物中の光開始剤または化学開始剤の量は、好ましくは0.01〜5重量%である。
【0075】
別法として、組成物は開始剤の不存在下に、特に電子ビーム照射によって硬化させることができる。
【0076】
本発明による硬化性組成物はまた、別種の添加剤、例えば分散剤、界面活性剤、湿潤剤、乳化剤、酸化防止剤、流動性改質剤、スリップ剤、難燃剤、UV−保護剤を含むことができる。添加剤の総量は好ましくは、10重量%超えない量である。
【0077】
本発明による組成物は好ましくは、水および揮発性有機溶媒(VOC)であると考えられる有機溶媒を実質的に含有していない。従って、組成物は一般に、後続の硬化期間中に水または溶媒を蒸発させる必要のない100%硬化性組成物であると考えられる。
【0078】
本発明による照射硬化性組成物は一般に、高屈折率を示す。一般に、本発明による照射硬化性組成物は、少なくとも1.55、好ましくは少なくとも1.56、さらに好ましくは少なくとも1.60の屈折率


を示す。
【0079】
本発明による照射硬化性組成物は一般に、ASTM法D−2196−05に従い25℃で測定して、300,000cPs以下(at most)、好ましくは30,000cPs以下、さらに好ましくは5,000cPs以下、最も好ましくは約200cPs以下の粘度を有する。
【0080】
本発明による照射硬化性組成物により、高い屈折率および良好な機械的特性を示すフィルムおよびコーティングを得ることが可能になる。本発明による組成物は、高い引張強さ、伸び率、弾性率および靭性(toughness)を示すフィルムおよびコーティングの取得を可能にする。本発明による組成物は、高い引掻き耐性を示すフィルムおよびコーティングの取得を可能にする。
【0081】
本発明による組成物は、良好な透明性を有する澄明な(clear)フィルムおよびコーティングの取得を可能にする。
【0082】
従って、本発明による照射硬化性組成物は、LCDなどの平面パネルディスプレイで、および明度強化性フィルムとして使用されるフィルムおよびコーティングの製造に適している。
【0083】
すなわち、本発明はさらにまた、フィルムおよびコーティング、特に平面パネルディスプレイおよび明度強化性フィルムに使用するための本発明による組成物を用いるフィルムおよびコーティングの製造方法に関し、また本発明による組成物を用いて得られるフィルムおよびコーティングに関する。本発明による組成物は、基板の表面に反復適用するか、または適用し、次いで照射線または熱に暴露することにより硬化フィルムおよびコーティングを生成する微細構造を支持することができる鋳型に装入することができる。照射は一般に、UV光により、または電子ビームにより行う。
【0084】
本発明による組成物を使用して製造されたフィルムおよびコーティングは一般に、高屈折率を示す。一般に、これらのフィルムおよびコーティングは少なくとも1.54、好ましくは少なくとも1.56、さらに好ましくは少なくとも1.58の屈折率を示す。硬化したフィルムまたはコーティングの屈折率はルビー赤色レーザーを632.8nmで使用し、20℃で測定した(Metrocon Prism Coupler、モデル#2010)。
(例)
【0085】
下記例は本発明を制限するものではなく、本発明をより良く理解するために示すものである。
【0086】
(例1)
Mondur(登録商標)MLとして市販されているジフェニルメタン−ジイソシアネートMDI(ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネートとジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとの混合物)500gおよびジブチルスズジラウレート触媒1.6gを反応器に入れ、室温で攪拌した。ここにヒドロキシプロピルアクリレート208g中のHQ(ハイドロキノン抑制剤)0.12gとブチル化ヒドロキシトルエン0.6gとの混合物を約1時間かけて温度を65〜71℃に維持しながら添加し、次いで反応をこの温度で30分間にわたり維持した。次いで、ここに2−(フェニルチオ)エタノール369.9gを1〜2時間かけて温度を88〜93℃に維持しながら添加した。反応混合物をNCO含有量が0.2%になるまでこの温度で維持した。反応混合物にHQ0.12gを添加し、さらに2−フェノキシエチルアクリレートEBECRYL(登録商標)114 270gを添加した。1.15g/cmの密度、1.5804の


および25,400cPs(25℃における)の粘度を有する淡黄色の澄明な液体が得られた。
【0087】
(例2)
ヒドロキシプロピルアクリレート260gおよび2−(フェニルチオ)エタノール308gを使用し、および2−フェノキシエチルアクリレートEBECRYL(登録商標)114 268gを使用する以外は例1の手順を繰り返した。
1.13g/cmの密度および1.5740の


を有する濁った半固形物(hazy semi-solid)が得られた。
【0088】
(例3)
2−フェノキシエチルアクリレートEBECRYL(登録商標)114 を添加しない以外は例1の手順を繰り返した。1.19g/cmの密度、1.6057の


および12,500cPs(60℃における)の粘度を有する淡黄色清明液体が得られた。
この生成物をそれぞれ、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%および50重量%の2−フェノキシアクリレートEBECRYL(登録商標)114によりさらに希釈した。得られた物性を表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
(例4)
重合性ジフェニルメタン−ジイソシアネート(Mondur(登録商標)MR Ligth)369.60gおよびジブチルスズジラウレート触媒1.17gを反応器に入れ、室温で攪拌した。ここにヒドロキシプロピルアクリレート130g中のHQ(ハイドロキノン抑制剤)0.16gとブチル化ヒドロキシトルエン0.78gとの混合物を約1時間かけて温度を65〜71℃に維持しながら添加し、次いで反応をこの温度で30分間にわたり維持した。次いで、ここに2−(フェニルチオ)エタノール277.2gを1〜2時間かけて温度を88〜93℃に維持しながら添加した。反応混合物をNCO含有量が0.2%になるまでこの温度で維持した。反応混合物にHQ0.16gを添加した。
1.1g/cmの密度、1.6187の


および120,000cPs(60℃における)の粘度を有する暗褐色固形物が得られた。
【0091】
(例5)
例1で得られた生成物60g、ビスフェノール−AエトキシレートジアクリレートEBECRYL(登録商標)150 13g、芳香族ウレタンヘキサアクリレレートEBECRYL(登録商標)220 10g、2−フェノキシエチルアクリレートEBECRYL(登録商標)114 17gおよび光開始剤IRGACURE(登録商標)819 0.5gを含む組成物を、均一になるまで混合することによって製造し、空気泡のない組成物を得た。この組成物20〜25gをポリエステルフィルムの最上部境界に沿って注ぎ、このフィルムをもう一枚の別のフィルム片で覆い、次いでこの構造体をワイヤーレスステンレス鋼引落しバーを用いてPETフィルムのシート間に均一に展延することによってポリエステルフィルム上にコーティングを形成した。このサンドイッチ状構造体を次いで、UV光(600W/インチFusionHバルブ−エネルギー密度500mJ/cm)に暴露することによって硬化させた。約0.5ミルのコーティング厚さが得られた。PETフィルムのトップシートを剥離し、硬化したフィルムの屈折率を20℃においてルビー赤レーザーを用い632.8nmにおいて測定した。この硬化フィルムの屈折率は1.5832であった(組成物の


は1.5603であり、および25℃におけるその粘度は2100であった)。このコーティングは3Hの鉛筆硬度、4008psiの引張強度、7.1%の伸び率、182609psiの弾性率および267psiの靭性を有していた。
【0092】
(例6)
例3で得られた生成物46g、ビスフェノール−AエトキシレートジアクリレートEBECRYL(登録商標)150 23g、ペンタエリスリトールトリ−テトラアクリレートPETIA 4.3g、2−フェノキシエチルアクリレートEBECRYL(登録商標)114 26g、シリコーンジアクリレートEBECRYL(登録商標)350 0.1gおよび添加剤ADDITOL(登録商標)VXW6214 0.1gおよび光開始剤IRGACURE(登録商標)819 0.5gを含む組成物を均一になるまで混合することによって製造し、空気泡のない組成物を得た。例5に記載のとおりにしてポリエステルフィルム上にコーティングを形成した。
得られた性質を表2に示す。
【0093】
【表2】

【0094】
(例7)
例3で得られた生成物66g、ペンタエリスリトールトリ−テトラアクリレートPETA−K 6.5gおよび2−フェノキシエチルアクリレートEBCRYL(登録商標)114 27.5gを含む組成物を製造した。この組成物は1.575の


および25℃で4,400の粘度を示した。2Hの鉛筆硬度を有するコーティングが得られた。
【0095】
(例8)
EBCRYL(登録商標)114として市販されている2−フェノキシエチルアクリレート162g、フェニルフェノキシエチルアクリレート162g、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)1.29g、HQ0.26gおよびEBCRYL(登録商標)3700として市販されているビスフェノール−A−エポキシジアクリレート484.55gを含む混合物を製造した。この混合物を反応器中に入れたジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート(MDI、Mondur(登録商標)ML)500gおよびジブチルスズジラウレート触媒1.94gの混合物に添加し、室温で攪拌した。温度は93℃に維持した。2時間後、ここに2−(フェニルチオ)エタノール308gを1時間かけて温度を約93℃に維持しながら添加した。反応混合物をNCO含有量が0.2%になるまでこの温度に維持した。反応混合物にHQ0.29gおよびBHT0.65gを添加した。
1.6034の


および175,500cPs(60℃における)の粘度を有する低着色度(Gardner<1)の液体が得られた。Mn/Mwは1,425/3,526であった。
【0096】
(例9)
o−フェニルフェノキシエチルアクリレート285.1g、BHT 1.14g、HQ 0.23gおよびEBCRYL(登録商標)3700として市販されているビスフェノール−A−エポキシジアクリレート484.55gを含む混合物を製造した。この混合物を反応器中に入れたトルエンジイソシアネート348gおよびジブチルスズジラウレート触媒1.71gの混合物に添加し、室温で攪拌した。温度は93℃に維持した。2時間後、ここに2−(フェニルチオ)エタノール308gを1時間かけて温度を約93℃に維持しながら添加した。反応混合物をNCO含有量が0.2%になるまでこの温度に維持した。反応混合物にHQ 0.29gおよびBHT0.57gを添加した。
1.6006の


および146,000cPs(60℃における)の粘度を有する低着色度(Gardner<1)の液体が得られた。Mn/Mwは1,203/2,014であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のイソシアネート反応官能性基−XH(ここで、各Xは独立して、OまたはNRである)を含み、少なくとも1.50の屈折率


を有する少なくとも1種の化合物(i)、少なくとも1種のポリイソシアネート(ii)および場合により、少なくとも1個のイソシアネート反応官能性基−YH(ここで、各Yは独立して、O、NRまたはSである)および少なくとも1個の硬化官能性基Qを含む少なくとも1種の化合物(iii)の反応から得られる少なくとも1種の化合物を含む組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の下記式(I)で表される化合物を含む組成物:
[A−X−C(O)N]−R−[NC(O)−Y−R−(Q)
式 I
式中、
n<6
0<m
n+m

は(n+m)個のイソシアネート基を含むポリイソシアネート(ii)の残基であり;
は1〜4個のエーテル架橋、1〜4個の三級アミン架橋、1〜4個の−CO−架橋および/または1〜4個の−O−CO−架橋を含有していてもよいアルキレン、アリーレンおよびアラルキレン鎖から選択され;
Aは式A−X−Hで表される化合物(i)の残基であり;
XはOまたはNRであり、
各Yは独立して、O、NRおよびSから選択され;
各Rは独立して、H、アルキル基またはアリール基であり;
各Qは独立して、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合、チオール基またはエポキシ基を含む硬化性基である。
【請求項3】
少なくとも1種の下記式(II)で表される化合物を含む組成物:
[A−X−C(O)N]−R−[NC(O)−Y−R3’−(Q)−Y−
C(O)N]−R−[NC(O)−X−A]
式 II
式中、




は(n+m)個のイソシアネート基を含むポリイソシアネート(ii)の残基であり;
3’は2個の−YH基およびp個のQ基を含む化合物の残基であり;
Aは式A−X−Hで表される化合物(i)の残基であり;
XはOまたはNRであり、
各Yは独立して、O、NRおよびSから選択され;
各Rは独立して、H、アルキル基またはアリール基であり;
各Qは独立して、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合、チオール基またはエポキシ基を含む硬化性基である。
【請求項4】
化合物(i)が、式R−Y−R−O−H(式中、RおよびRは独立して、1個または2個以上のハロゲンにより置換されていてもよいアルキレン、アリーレンおよびアラルキレン鎖から選択される)で表される化合物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
化合物(i)が2−フェニルチオエタノールを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ポリイソシアネート(ii)が、式R−(NCO)n+m(式中、n+mは少なくとも2であり、およびRはアルキレン、アリーレンおよびアラルキレン鎖から選択され、これらの鎖は1個または2個以上の−N−CO−O−架橋および/または架橋:
【化1】


を含有することができる)で表されるポリイソシアネートから選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
硬化性基Qが(メト)アクリレートおよびアリルエーテルから選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
化合物(iii)が、そのアルキル基中に炭素原子1〜20個を有するヒドロキシアルキル(メト)アクリレート化合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
化合物(iii)がジグリシジル化合物と(メト)アクリル酸との反応から得られる化合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
n<mである、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜3のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、ポリイソシアネート(ii)1当量当たり0.5〜1.2当量の化合物(i)をポリイソシアネート(ii)と反応させ、場合により、0〜0.6当量の化合物(iii)をポリイソシアネート化合物(ii)と反応させる、製造方法。
【請求項12】
化合物(iii)に対する化合物(i)の当量比が1よりも大きい、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
フィルムおよびコーティングの製造方法であって、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物を使用する、製造方法。
【請求項14】
請求項1〜3のいずれかに記載の組成物を用いて得られるコーティングおよびフィルム。

【公表番号】特表2011−503309(P2011−503309A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533545(P2010−533545)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065148
【国際公開番号】WO2009/065743
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(505365965)サイテック サーフェース スペシャリティーズ、エス.エイ. (38)
【Fターム(参考)】