説明

照射装置

【課題】光力学治療または診断を提供するための身体のオリフィスへの挿入用の照射装置を提供する。
【解決手段】光力学治療または診断を提供するための身体のオリフィスへの挿入用の照射装置であって、照射装置は、オリフィスへ完全に挿入され固定されるように適合するハウジング1、21、31、51、61、71を備え、ハウジング1、21、31、51、61、71は、LEDランプシステム5、25、35、45、54、62、72と、LEDランプシステム5、25、35、45、54、62、72に電力を供給するための電源41、68、78とを含み、照射装置は、オリフィス内に配置されているときに独立して操作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の病気、病変、および、疾患の光力学治療、または、診断身体のオリフィスへの挿入用の照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光力学治療が有効である身体のオリフィスの例は、女性生殖器官である。女性生殖器官に影響する疾患を、以下に述べる。同様な疾患、または、同様な治療に対応する疾患は、直腸オリフィスにおいて生じる。
【0003】
ヒト・パピローマ(乳頭腫)ウイルス(HPV)は、人の皮膚や粘膜に影響を及ぼすウイルスである。
【0004】
現在までに、100を超える種類のHPVが確認されている。数種類のHPVは、性的行為によって感染する病原性のものである。HPVは、米国では最も一般的な性的行為でうつる感染症といわれている。
【0005】
世界中で数億人の女性が、20−30%の最も高い有病率で、人生で一度はHPVに感染し(〜70%)、若い女性において発生している。これらのウイルスは、女性生殖器における感染症の原因となり、性器いぼ、異形成症、および子宮頸癌などの女性生殖器の病気を生じさせるおそれがある。
【0006】
子宮頸癌は、生命にかかわる病気であり、今日、世界的に女性の3番目に罹患率の高い癌となっている。科学者たちは、子宮頸癌の増加とHPVの間には、強い相関関係があるとみている。
【0007】
頚部の持続性HPV感染症は、頸部上皮内癌(CIN)、前癌病変、および、最終子宮頸癌などの細胞異常を誘導する。
【0008】
幸いにも、CIN1を含む軽度の細胞異常は、高度な自然退縮を有し(>60%)、通常、コルポスコピー(膣鏡診)で経過観察される疾患である。
【0009】
中等度から重度のCIN(CIN2およびCIN3)は、低度の自然退縮を有し、進行の危険性がより高い。よって、CIN2およびCIN3の患者には、ジアテルミー、レーザー円錐切除術、子宮摘出などの外科的処置によって、円錐切除が通常施される。
【0010】
有効性は約90%であるが、副作用として、出血、感染性、狭窄症、不妊症、早期陣痛などを引き起こす高い危険性がある。
【0011】
もし治療されなければ、前癌性細胞が、癌腫や神経内分泌癌のような、より重症型に進行する。子宮頸癌の治療方法は、他の大半の癌のように、病気の進行段階によって決まる。
【0012】
初期段階の子宮頸癌の治療は、通常はさまざまな形態の外科手術であるが、末期段階の子宮頸癌は、放射線療法と化学療法とを組み合わせた外科処置で治療される。
【0013】
子宮頸癌の最も一般的な化学療法は、シスプラチンの使用を含む。年間で約11,000人の女性が、子宮頸癌と診断され、約4,000人が、子宮頸癌によって亡くなっている。生存率(5年以上)は、病気の段階によるが、平均で約50%である。
【0014】
光力学治療(PDT)は、光と光増感剤の組み合わせを使用した治療方法である。適切な波長で照らされると、光増感剤またはPDT薬剤は、組織酸素と反応し、ミトコンドリアと細胞膜を含む細胞器官と相互作用する酸素ラジカルを形成する。
【0015】
これらの相互作用は、細胞壊死や細胞自然死(プログラム細胞死)の原因となる。PDTは、さまざまな皮膚病を含む病気の治療のために今日臨床的に使用されている。
【0016】
皮膚PDTにおいて使用される代表的な製品は。Metvix(登録商標)(Galderma、スイス)と。Levulan(登録商標)(Dusa医薬会社、ウィルミントン、米国)である。
【0017】
光増感剤の範囲は、科学文献から知ることができる。そのような化合物の一つは、標的の細胞または種に対して、本来毒性であるか、または、光にさらされたときに、発光特性を有する。そのような化合物は。比較的大きな分子量を有しており、しばしばフタロシアニン、塩素、ポルフィリン、および、ソラレンのような錯体分子である。
【0018】
その他のより臨床的に有用なタイプの化合物は、本来は光毒性や発光性でなく、生体内の内因性ポルフィリンなどの光活性化合物を形成する光増感剤前駆体である。そのような化合物の代表的なものは、5アミノレブリン酸(5−ALA)や、5−ALAエステルのような5−ALAの誘導体であり、以下、前駆体と称する。
【0019】
現在、頸部のPDTや病気、病変、および、疾患の診断において、市場に出ている製品はない。しかし、ヒト・パピローマウイルス感染のPDTを含む、頸部のPDTに関する臨床研究におけるいくつかの科学的報告はある。
【0020】
最近の公表された研究(P.Soergel等、外科手術と薬物療法におけるレーザー40:611−615(2008))では、CIN2、または、CIN3、あるいは、持続性CIN1の24人の患者が、サーモジェル処方5−ALAヘキシルエステルの局所適用を受けた。
【0021】
患者達は、100J/cmの高い光量のレーザーを使って、17分間行われる照射の前の次の3〜5時間、あおむけの状態でいるように指導された。2、3か月後に、臨床効果が評価され、第1のPDTに不完全な反応を個人には、第2のPDT治療が提供された。すべての患者が第1の治療後の6か月で成功し、63%の完全奏功率が見られた。
【0022】
これは、患者と婦人科医にとって、時間のかかる治療であることは、上記から明らかである。患者は、婦人科医を訪問して、適用する処方を受け、3〜5時間あおむけの状態でいて、処方のために、婦人科医を再度訪問しなければならない。さらに、第1の治療に反応しなかった患者の多くは、もう一度処置を経なければならない。
【0023】
これらの研究からの全体的な結論としては、処置HPVと頸部細胞異常におけるPDTの臨床治療の有効性には、改善の余地がある。さらに、処置は、患者と同様に病院職員にとっても時間のかかるものである。同様に、女性生殖器官に影響する他の疾患の治療、およびその他のオリフィスに影響する疾患の治療には改善の余地がある。
【0024】
膣における使用、頸部薬剤移送、光関連の診断や治療のためのさまざまな装置について記述しているいくつかの特許文献がある。
【0025】
US2008/0065003には、頸部に挿入される照射ヘッドを備えたLEDベースの頸部PDT装置が開示されている。LEDアレイは、照射ヘッド内または光ガイドを経由して、ヘッドに接続されるハンドピース内に配置される。装置は、外部電源に接続され、LEDから発する光が、照射ヘッド内の球面鏡によって頸部に向けられる。
【0026】
GB2370992には、頸部の治療のためのLED PDT装置が開示されている。これは、頸部の開口部にぴったりフィットするように、膣への挿入のための形状をしたLEDアレイを含むヘッド部からなる。ヘッド部は、中空ステムを経由して、ハンドピースに接続され、中空ステムを通して、空気と電力が、外部の空気電力供給部から、LEDアレイに供給される。治療の間、装置は所定位置に固定
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】US2008/0065003
【特許文献2】GB2370992
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
以上から分かるように、両装置ともに医師による操作が必要であり、通常は、病院やGP診療所などの医療機関内で使用される。患者は、照射中は、静止していなければならないので、不自由であり、各治療セッションの実際の長さが制限される。
【0029】
さらに、装置の使用に先立って、光増感剤を頸部に塗布しなければならない。現在の方法では、患者は、通常、光増感剤/前駆体の塗布と、照射の間の数時間待たなければならない。
【0030】
PDTは、今日では、CIN、および、頸部のその他の病気/疾患の治療のための臨床的に有益な方法ではない。それは、上記の報告書に概説されているように、効果のない治療結果によるものである。よって、頚部器官系の治療のための方法は、進歩させる必要性がある。
【0031】
驚くべきことに、光増感剤と前駆体の組み合わせによる特定の装置の使用が、子宮頸癌や、他の頸部の病気、病変、および、疾患、特に、HPV感染症による頸部の病気、病変、および、疾患の治療を改善させることが、本発明の発明者によってわかった。
【0032】
同様な改善が、外陰部上皮内癌(VIN)や、外陰部癌のような、女性生殖器官に影響する他の疾患の光力学治療に関連してなされる。さらに、同様な改善が、人体や動物の他のオリフィスにおける、癌性疾患、または、前癌疾患や、前癌病変のPDTに関連してなされる。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、一つの態様により、光力学治療、または、診断を提供するための身体のオリフィスへの挿入用の照射装置を提供する。
【0034】
照射装置は、オリフィスへ完全に挿入され固定されるように適合するハウジングを備え、ハウジングは、LEDランプシステムと、LEDランプシステムに電力を供給するための電源とを含み、照射装置は、オリフィス内に配置されているときに独立して操作可能である。
【0035】
従来技術の装置とは異なり、本発明の照射装置では、治療中に、患者が医療設備にとどまっている必要がない。それどころか、この照射装置を使えば、患者は、医療設備に一度だけ通えばよいということを示していて、そのあとでは、患者は、自由に去ることができる。長期継続治療を行いながら、患者は、通常の日常活動を続けることができる。
【0036】
それは、照射装置は、オリフィスへ完全に挿入され固定されるように取り付けられ、動作中に、外部電源や光源に接続する必要がない。それは、つまり「独立して動作可能」であることにより、本照射装置は、外部装置との並列接続なしに、PDTの照射を提供できることである。従って、本照射装置は、完全に自給式であり、光力学的処置のために必要な光源と電源の両方を含む閉鎖型ユニットを形成する。
【0037】
患者の快適さを増して障害を最小にすることのほかに、本発明の効果は、好ましくは、照射が、非常に低フルエンス率で実行されることである。フルエンス率Fは、単位面積当たりに入射する放射強度であり、W/cmの単位で測定される。
【0038】
低フルエンス率(たとえば、10mW/cm)での照射では、治療効果を達成するのに必要な所望の光量を実現するために、照射を、比較的長い期間(たとえば、数時間)実行しなければならず、それは、医療(病院)の現場では、不可能である。
【0039】
しかし、低フルエンス率を使用する照射は、照射中の患者の苦痛(痛み)を非常に軽減することが知られており、また(前駆体からの)内因性ポルフィリンの連続蓄積を許容することによって、PDT効果を向上し、照射中の酸素欠乏を防止する(S.Jacques等、“ミトコンドリアをターゲットとした長時間露光によるALA/PPIXのPDT強化”、SPIE手順Vol.2972、“腫瘍の治療と検出のための光学的方法”、ed.T.Dougherty、San Jose、1997年2月、および、M. Seshadri等、Clin Cancer Res 14(9),2796−2805(2008))。
【0040】
照射装置は、それゆえに、患者に優しいだけでなく、治療の効果を増加できる。
【0041】
ハウジングの形状は、可変であるが、一般的には、オリフィス内に楽にフィットし、患者の身体活動にかかわらず、所定位置にとどまるように設計される。対象となるオリフィスが、女性生殖器官の場合、ハウジングの外側部の適切な形状は、たとえば、FemCap(登録商標)のような、妊娠を防ぐために使う避妊具や、精液が子宮に入るのをブロックするためのその他の同様な器具の形状と同じでもよい。その他のオリフィスでは、たとえば、坐薬、および/または、医薬ペッサリーとしての使用のために知られた形状に基づいて、その他の適切な形状と構造が使われる。
【0042】
本発明は、人間の患者の治療を念頭に置いてつくられたが、その他の動物の治療に使われる照射装置にも適用できる。したがって、ハウジングの形状は、治療が必要なオリフィス、および照射装置が使われる動物の解剖学的構造による。
【0043】
本照射装置は、オリフィスの壁が包み込んで、所定位置に保持するような、細いハウジングを有する。照射装置が、膣での使用のためのものである場合、ハウジングは、たとえば、タンポンとサイズと形状が同じである。ハウジングの外表面は、照射装置のグリップを向上するために、表面に模様を付けてある。模様付きの表面は、治療を必要とする体の部分への薬剤の送達のための表面を提供する場合にも有益である。
【0044】
それぞれの患者の快適で効果的な治療を実現するために、異なるサイズ、および/または、形状の照射装置が利用できる。たとえば、頸部の治療の場合、(i)妊娠経験がない患者、(ii)妊娠経験はあるが出産はしなかった患者、(iii)出産経験のある患者のための3種類のサイズの照射装置がある。
【0045】
たとえば、直腸のようなオリフィスでは、単純な魚雷形状で、照射装置を挿入、固定できる。しかし、その他のオリフィスの適用の場合は、使用中にオリフィス内で確実に照射装置が保持されるには、さらに別の特徴が必要である。膣での使用の場合は、ハウジングは、好ましくは、膣壁に確実にフィットするように形状を調節でき、照射装置が、さまざまな形状とサイズの膣内で使用できるようにするための柔軟外側部を備えている。
【0046】
柔軟外側部は、患者が身体活動をしながらの長期間の治療の間、照射装置の滑りや、位置ずれのリスクを減少することもできる。必要ならば、他のオリフィスへの挿入用の照射装置でも、同様な柔軟外側部が使用できる。
【0047】
耳や鼻への挿入の場合は、照射装置は、耳栓や鼻栓の公知の設計に基づいた形状になる。
【0048】
柔軟外側部は、その形状を調節できるような材質からなる。たとえば、柔軟外側部は、拡張可能、圧縮可能、または、変形可能な材質で形成できる。少なくとも部分的に変形可能な材質からなるハウジングでは、オリフィスの径に適合する挿入の時に、その形状を調節できる。あるいは、拡張可能な材質を使うと、挿入後にハウジングの外側部が、オリフィスの壁をしっかりととらえるように拡張する。拡張は、体温、液体との接触、配送装置/機器からの取り外しなどによって開始する。
【0049】
しかし、柔軟外側部は、弾力性のある材質で形成されることが望ましい。それによって、装置を所定位置に保持するためのバイアス外力を与えながら、柔軟外側部の形状は、変化することが可能となる。この効果を達成するために、照射装置が、オリフィスに挿入できるように、外側部の外径は、縮小できなければならない。外側部は、オリフィスの壁に対する外向きの力を提供する。
【0050】
弾力性のある材質は、一般的に医療装置に使用されるどのような弾性物質でもよい。たとえば、ゴム、ラテックス、シリコーン、あるいは、他の天然の半合成、または、合成ポリマー、または、共重合体などである。
【0051】
柔軟外側部は、オリフィスの壁としっかりと適合どのような形状でもよい。たとえば、柔軟外側部は、ハウジングのまわりに。および、ハウジングから外側に伸びるように、放射状に、および/または、長手方向に配置される多数の別個の足、隆起、または、その他の突起部の形状に形成されてもよい。
【0052】
他の実施例では、柔軟外側部は、ハウジングの連続外表面を形成する。この表面は、ハウジングの外側の全体、または、一部を形成する。たとえば、外側部は、照射装置の前部、または、後部が、ディスク状、または、カップ状であってもよく、または、ハウジングの全長を超えて伸びる被膜であってもよい。
【0053】
好ましい実施例では、柔軟外側部は、照射装置の後部に向かって外側にテーパー状となる連続表面を形成し、たとえば、使用中、照射装置の後部は、オリフィスの入り口に最も近くなる。たとえば、外側部は略円錐台形となる。
【0054】
ハウジングの外側部だけが、柔軟性を必要とするのであるが、ある好ましい実施例では、ハウジング全体が、弾力性柔軟性ハウジングを有する照射装置の形成は、照射装置の快適性を増加させ、ただ一つの材質のみが必要とされるように、作成を簡単にする。
【0055】
ハウジングは、好ましくは、処置表面と処置表面から放射線を放射するように配置されるLEDシステムを備えている。照射装置は、オリフィスの壁への照射ができるように配置される。
【0056】
その場合、処置表面は、ハウジングの外周面となる。処置表面は、好ましくは、治療領域へうまくフィットするように選択される、サイズ、および/または、形状を有し、PDTが必要な全領域に対応するようなサイズとなる。LEDランプシステムと処置表面は、所望の処置効果を達成するために、好ましくは、十分な近接距離と強度で、放射線が治療領域に対して放射されるように配置される。
【0057】
照射装置は、オリフィスの内側の特定の領域に照射できる照射装置は、照射装置が使用されるオリフィスの内側の特定の領域へ照射を向ける、および/または、集中させるように配置される処置表面を含む。
【0058】
一つの好ましい実施例では、照射装置は、頚部のPDTでの使用に適している。したがって、好ましくは、処置表面は、使用中に頚部の開口部を覆うような形状となる。このように、照射装置が膣に正しく挿入されると、処置表面は、頚部の開口部を覆い、それによって、放射光の頚部への照射が可能となる。
【0059】
処置表面は、子宮頚部の全体部分にわたってフィットするようなサイズとなる。たとえば、直径20〜50mm、好ましくは、直径20〜35mm、最も好ましくは、直径22〜30mmである。
【0060】
所望のPDT治療または診断をするために、LEDからの光が処置表面を透過できるように、処置表面は、少なくとも一部透明であることが望ましい。
【0061】
ある実施例では、処置表面は、PDT治療に必要な波長を有し、少なくとも一つのLEDから発光される光に対して、完全に透明である。しかし、好ましくは、処置表面の部材、および/または、処置表面とLEDランプシステムの発光部の間にある他の部材は、光を拡散するように構成される。それによって、多数のLEDからの均等な配光が可能になる。
【0062】
一つの実施例では、透明部材は、LEDランプシステム周辺のハウジングと、処置表面の両方の形成に使用される。それによって、ランプシステム用のハウジングと、光の拡散体の両方として機能する。
【0063】
また、別の実施例では、非透明部材が、ハウジングの形成に使用され、透明部材が、処置表面の形成に使用される。そうすると、治療に必要な領域のみが照射され、照射装置に接触する他の領域は照射されない。発光される光の拡散体として機能する処置表面の材質としては、透明シリコーンが使われることが望ましい。
【0064】
ある好ましい実施例では、少なくとも一つのLEDが処置表面の上に、または、処置表面の外側に配置される。その実施例では、光が処置表面を透過する必要がなく、よって、不透明度に対する制約がない。
【0065】
一つの好ましい実施例では、処置表面は凹面形になっている。それは、たとえば、頚部のような治療領域へ光向けるのに役立つ。
【0066】
頚部への照射用に考えられえた実施例では、照射装置は、処置表面から伸びる突起部を備えている。この突起部は、好ましくは、円筒状管になっている。これは、膣内で照射装置を正しく位置決めするのに役立ち、子宮口向けるのに使われる。後者の場合、円筒管は、管として機能する。
【0067】
好ましくは、柔軟外側部は、処置表面の後部に位置する。それによって、放射線治療の障害外側部が連続表面である好ましい実施例では、外側部は、処置表面から照射装置の後部に向かって伸びていて、外側部の最も広い部分が、処置表面の後方に位置するような外側に向かったテーパー形状となる。
【0068】
照射装置は、照射装置を頚部内に配置しながら、独立した自在な操作が可能なLEDランプシステムを備えている。
【0069】
ランプシステムは、一つのLED、または、好ましくは、LEDアレイを備えている。頚部のPCTのために特に好ましいLEDアレイは、3個から15個のLEDからなる。LEDという用語は、たとえば、有機発光ダイオードOLEDなどのあらゆる形態の発光ダイオードを網羅する。
【0070】
LEDランプシステムの単位時間当たりのエネルギー消費量は、組織の熱が患者への過度の苦痛や損傷を引き起こさないような程度のものである。照射は、一般的に、10〜200J/cmの線量レベル、たとえば、50J/cmで行われる。それゆえに、好ましくは、LEDランプシステムは、動作中は0.5〜100mW/cm2、最も好ましくは、1〜10mW/cmの範囲のフルエンス率となるように配置される。
【0071】
この低フルエンス率によって、比較的長期間、たとえば、数時間にわたって全線量を施すことができる。上記のように、これは患者への苦痛の減少と治療の効果の両方にとって有益である。
【0072】
照射に使用される光の波長は、有効光力学作用を実現するようなものが選択され、よって、LEDは、その作用に適した波長の光を発光する能力のために選択される。
【0073】
一つの好ましい実施例では、少なくとも一つのLEDが、使用中に300〜800nmの範囲の波長の光を発光する。たとえば、500〜700nmの範囲が、特に効果的であることがわかっている。630nmと690nmの波長を含むことが、特に重要である。
【0074】
したがって、好ましくは、少なくとも一つのLEDが。使用中に630〜690nmの範囲の波長の光を発光する。最も好ましい実施例では、特に、照射装置が、5アミノレブリン酸から選択される光増感剤前駆体、または、誘導体、たとえば、そのエステル、を含む組成物とともに使用される場合は、紅灯(600〜670nm)が使用される。それは、その波長の光は、組織をよく浸透するものとして知られているからである。
【0075】
ある実施例では、LEDランプシステムは、上記のような特定の波長範囲内の光だけを照射装置から発光させることができるフィルターを備えている。処置表面は、その好ましい波長の光だけを伝送するようにつくられる。
【0076】
好ましくは、電源は、一つ以上のバッテリーからなる。好ましくは、バッテリーは、体内にあるときに照射装置が壊れて漏れたりしても、患者にとって有毒化学物質を使った電気化学反応によって動作する。
【0077】
適切なバッテリーは、リチウムバッテリー、または、10年間蓄えられる十分な容量がある同等物を含む。たとえば、1/2AAサイズのLiMnOバッテリーが使われる。リチウムイオンバッテリーの電荷の低下が遅くて、サイズが小さいものならば、照射装置の電源として使うには、特に適している。照射装置の安全性を増すためには、電源がハウジング内でシールされていることが望ましい。シールされていれば、ハウジングは、使用中に流体密封となり、流体が照射装置内または照射装置外に漏れることが防止できる。
【0078】
最も基本的には、ランプシステムは、単純には、電源とLEDとの電気的接続からなる。この設備では、照射装置の挿入の直前にランプシステムが起動して、一つ以上のLEDを点灯する。そして、照射装置が外されるまで、または、電源が消耗するまで、LEDが治療領域を照らすオリフィス内に照射装置が挿入される。
【0079】
ランプシステムは、スイッチによって起動する。照射装置が殺菌状態を保ち、照射装置の電源と他の要素が密閉されているためには、スイッチは、好ましくは、ハウジング内で密閉されて、ハウジング内で密封されながら操作できるように構成される。
【0080】
スイッチは、ハウジングの柔軟部の下に配置される機械スイッチである。スイッチの操作は、柔軟部の弾力性によって可能となる。あるいは、ハウジングを通して伝送電界、または、磁界によって、スイッチを操作することもできる。磁気作動のスイッチは、ハウジングの外側の磁石を使って実現でき、「通常は閉じている」リードスイッチをオープンに保っている。磁石を外すと、リードスイッチは閉じ、これは照射装置を起動するのに使われる。
【0081】
電源とLEDだけを使う簡単なシステムでは、電源の正確な寿命と出力が変化するので、線量レベルを制御するのが難しい。さらに、LEDアレイによる光量は一定である。許容できない組織の熱を避けるために、好ましくは、低強度光が使用され、それは、パルス光を出すことができる照射装置にとっても有益である。
【0082】
したがって、好ましくは、ランプシステムは、少なくとも一つのLEDによる照射を制御するために、さらにマイクロコントローラーや、マイクロプロセッサーなどの制御回路を備える。ランプシステムの制御回路は、上記のスイッチによって起動できる。
【0083】
好ましい実施例では、制御回路は、タイマーを備える。ランプシステムは、起動後所定の時間間隔照射を開始するように、プログラミングされる。
【0084】
それによって、起動から照射の開始まで十分な時間が経過することになる。たとえば、ポルフィリンの吸収や蓄積を許容するためには、光増感剤、または、前駆体薬剤の適用の後に、一定の時間が必要である。制御回路が所定の投与時間が経過した後で照射を切るように構成されるように、照射の長さも厳密に制御される。最初の照射後(前駆体からの)内因性光増感剤をさらに蓄積するために、照射装置は一定時間、たとえば、3時間後に照射を繰り返す(再PDT)。
【0085】
さらに、制御回路は、パルス照射ができるように構成される。それは、マイクロプロセッサー内に関数発生器を設けることにより実現できる。前記のように、パルス光は組織に非許容熱を発生させないために有効である。さらに、照射の時間間隔を設けることにより、組織の酸素付加とPDTの効果が向上する。繰り返しの照射で治療される細胞を生存させる場合、内因性ポルフィリンの再蓄積が可能である。パルスの周波数と長さは、治療計画の要件にしたがって選択され、制御回路に設定される。
【0086】
一つの実施例では、制御回路は、ユーザーによってプログラミングされる。それによって、個々の治療に合わせて、長さ、強度、および、照射パターンが調節できる。適切な再書き込み可能メモリーの形態はEPROM、EEPROM、フラッシュなどを含む。しかし、制御回路メモリーは、読出し専用(ROM)で製造時にプログラミングされることが望ましい。
【0087】
制御回路へのアクセスは、照射装置上のユーザーインターフェースによって行われる。一連の質問に答えることによって、ユーザーは、光パルスの初期遅延期間、投与時間、数と長さ等を設定できる。インターフェースは照射装置と一体になっている。それは、適切なツールで押し込まれる小さなボタン、または、リードスイッチを有する。各ボタン、または、スイッチは、光の線量、強度、パルス光、安定光等のような、所定のあらかじめ設定された条件を有効にする。
【0088】
ランプシステムと、電源のすべての電気部品は、使用中に、ハウジング内で、または、ハウジングに対して、密封されていることが重要である。よって、制御回路は、好ましくは、ハウジング内で密封されている。前記のように、LEDは、ハウジングから突出するように配置される。しかし、好ましくは、LEDランプシステムは、使用中に、ハウジング内で完全に密封されている。
【0089】
ある実施例では、ユーザーインターフェースは、ハウジングの柔軟領域を通して、アクセスできる。また、ハウジングは、インターフェースにアクセスできる密封可能な開口部を備える。
【0090】
しかし、ユーザーインターフェースがあると、ランプシステムのサイズが大きくなり、ある応用例にとっては、好ましくない。よって、また、制御回路は、遠隔端末への接続のための受信機を備える。この方法では、特定のプログラムコマンドが、コンピューターなどの遠隔端末から制御回路に通信される。
【0091】
ある実施例では、受信機は、ケーブルへの接続用に取り付けられる入力ポートを備える。そのような実施例では、入力ポートは、たとえば、USBや他のオスコネクタを適切に受け入れる形をしている。
【0092】
入力ポートは、使用中は密封されている必要がある。ハウジングは、ポートへの挿入用のプラグを有する。また、ハウジングは、たとえば、ねじ山、押し込み式、または、スナップ式接続部、あるいは、バイオネットフィッティングによって接続できる二つの部品からなる。接続部は、ハウジング内で制御回路を使用中に密封するためのシール部を有する。
【0093】
また、プログラムコマンドは、無線接続によって照射装置に伝送される。たとえば、受信機は、赤外線受信機、または、電波受信機である。それは、物理的な入力ポートが不要で、制御回路がハウジング内で恒久的に密封されるという利点を有する。
【0094】
好ましくは、制御回路は、さらにフィードバックシステムを有する。それによって、期待されるLED性能におけるずれの主な原因となる治療プログラムでの調整ができる。
【0095】
たとえば、フィードバックシステムは患者に与えられている光量を測定するための光モニターあるいは直接または間接モニターを備える。そのようなシステムでは、制御回路は、所定の光量が所定時間以上適用された後でLEDのスイッチを切るようにプログラミングされる。
【0096】
また、LEDが期待通りに機能しない場合に、線量計がタイマーを無効にする。たとえば、電源に不具合があると、LEDの出力は減少する。その結果、完全な光量を得るために、所定時間を超えて照射を続けることが必要となる。逆に、LEDの出力が予想より強い場合、所定時間より前に照射は停止する。または、組織の過熱を避けるために、各パルス期間が短くされる。
【0097】
制御回路のその他の附属的特徴は、照射装置が正しく機能しているか、または、不具合が発生しているか否か、をユーザーに知らせるための一つ以上の性能指標光である。制御回路は、治療が完了したときに、照射装置を取り外すことができることを示すために、ユーザーに対して信号を発するように構成される。
【0098】
たとえば、警告音および/または光信号のような音声信号、および/または、視覚信号が発せられる。あるいは、またはそれに加えて、治療の終了を示す信号として、振動を使用することもできる。通常、患者は、治療の長さを知らされるので、信号の使用によって、治療がいつ終わるのかを確認でき、過度な煩わしさをなくすことができる。
【0099】
有利制御回路は治療サイクルの終わりにLEDを切るために使われるので、照射装置が治療時間より長く挿入されていても、幸い患者に対して悪影響は治療が終了して照射装置が外されるかを知ることを望んでいると思われる。
【0100】
好ましくは、制御回路の上記のいくつかの。または、すべての特徴は、マイクロプロセッサーに含まれる。
【0101】
好ましくは、照射装置は、さらに治療領域への均質照射をおこなうように構成される、レンズシステムを備える。処置表面が、レンズシステムとして機能する。たとえば、処置表面は、シリコーン、または、LEDから発する光を拡散するための表面要素を含む物質で形成される。
【0102】
使用中、照射装置は、医者、看護師、または、関連分野に関する経験、または、教育のあるその他の人物によって、オリフィス内に配置されることが好ましい。しかし、ある状況では、患者自身が照射装置を挿入することもできる。
【0103】
一つの好ましい実施例では、照射装置は、後部にハンドルを備える。ハンドルは、患者または医師によって、照射装置を挿入時、または、取り外し時に、しっかりとつかむのに使用される。
【0104】
ハンドルは、照射装置のハウジングから伸びた細長いアームである。好ましい実施例では、滑らかな端部が、患者に対する苦痛や損傷アーチ形状になっている。
【0105】
ある好ましい実施例では、アーチ形状のハンドルが、柔軟外側部上の2つ以上の点で照射装置に取り付けられる。ハンドルをつかんだり引っ張ったりするときに、柔軟外側部が内側に向かって引かれ、それにより、照射装置を容易に取り外せるので、それは非常に有効である。外側部上の少なくとも2点に、ひも、または、コードを取り付けることによっても、同様な効果が実現される。ただし、それは挿入時に役立つわけではない。
【0106】
したがって、好ましくは、照射装置は、さらに、2つ以上の位置で、柔軟外側部に取り付けられ、保持部を備えた取り外し可能
その他のオプションは、ピンセットのような特別な器具を使って、照射装置を配置する(および取り外す)ことである。
【0107】
照射装置は、使い捨てタイプであり、1度使用すると廃棄されるものである。好ましくは、照射装置は、使い切り使用のための、および/または、繰り返しの使用を防止するための1つ以上の特徴を有する。
【0108】
たとえば、電源は、使い切り使用だけに足りる電力を供給できるように構成される。たとえば、必要な治療が終わったら、電源がなくなるようにする。電源は、再充電ができないように構成される。および/または、制御回路には、電源を再充電するための手段がない。
【0109】
制御回路は、プログラミングの特徴によって、再使用を防止するように構成される。および/または、制御回路は、起動時に回路、または、ソフトウエアを使えなくする失活機構を含む。
【0110】
使用時に患者の障害防止する制御回路は、障害が検出されたときに、選択的に動作を停止するように構成される。使い切り使用の実施によって、患者の安全性は向上し、照射装置による生殖不能厳密な制御ができる。
【0111】
本発明の照射装置は、以下の方法にしたがって、PDTを提供するために使用される。最初に、医師光増感剤や前駆体からなる化合物が、治療される部分に塗布される。特殊な塗布器を使って、塗布することもできる。または、体系的に作用する薬剤によって、関心領域が治療される。
【0112】
そのような体系的に作用する薬剤は、たとえば、静脈内に投与されるか、または、経口投与される。プログラミングされた照射装置の電源を入れて、挿入される。その後、患者は、すぐに医療施設を出ることができ、治療領域が照射装置からの照射を受けながらも、日常生活を続けることができる。
【0113】
このようにして、患者にとって、長時間にわたって不自由なく治療を行うことができる。これによって、低フルエンス率が使用され、治療の効果を向上できる。治療が終わると、患者は、照射装置を外すために、医療施設に戻るか、または、自身の手で外すことができる。照射装置は、処分されるか、廃棄のために、医療施設に返される。
【0114】
好ましい実施例では、本発明の照射装置は、さらに、薬剤送達システムを備える。
【0115】
薬剤送達システムは、ハウジング上に、薬剤移送領域を有する。たとえば、処置表面上に、薬剤移送領域がある。
【0116】
これは、光増感剤や前駆体の化合物を移送するための模様付きの表面であってもよく、または、修正を加えて処置表面自身が、薬剤送達システムとして機能してもよい。また、薬剤送達システムは、光増感剤や前駆体からなる化合物(以下、「化合物」と称する)を入れておく容器を有する。
【0117】
本発明にかかる本実施例の利点は、化合物の塗布から照射まで、何時間も患者は病院で待たなくてもよいことである。それは、既存のPDT処置では、標準的なことである。照射装置は、塗布のときにすぐに、または、好ましくは塗布の後で、自動的に照射を実行する。さらに、ただ一つの侵襲的処置が必要である。
【0118】
薬剤送達システムは、さらに、物理的、機械的、または、電気的な送達に関連したシステムを随意備える。
【0119】
そのような任意システムは、たとえば、フィルター、膜、および、薬剤送達のためのプリセットプランに基づいて、または、たとえば、周囲のpH、モル浸透圧濃度、温度、圧力、含水率などの物理的条件に基づいて、光増感剤や前駆体を送達するように構成された一つ以上の容器を有する。
【0120】
しかし、最も簡単なよく見られるケースでは、最も好ましい薬剤送達システムは、単純に、化合物を入れておくための一つの薬剤送達領域である。最も好ましい実施例では、薬剤送達システムは処置表面そのものである。
【0121】
その好ましい実施例における使用方法は、化合物が、別の処置で治療領域に塗布されるものではないということを除いて、上記の方法と同様である。その代わりに、化合物が、薬剤送達領域、たとえば、処置表面に塗布されるので、オリフィスへの照射装置の挿入時に、体に塗布される。それから、上記のように照射が実施化合物は、照射装置と一緒に供給される。その場合薬剤送達領域や容器、好ましくは、処置表面などの薬剤送達システムには、使用するまで、照射装置内に化合物を密閉するための箔、または、キャップなどのカバーが、搭載されている。
【0122】
挿入に先立ち、化合物を発出できるように、カバーが外される。または、照射装置は、化合物とは別に供給される。それによって、医師は、特殊なケースのための最適な化合物を選択でき、それを挿入に先立ち、薬剤送達領域や容器、好ましくは、処置表面などの薬剤送達システムに加えることができる。
【0123】
あらかじめ充填されている照射装置内の、または、使用前に照射装置に適用されるか、または、別に治療領域に適用される、照射装置に使われる化合物は、適切な光増感剤や光増感剤の前駆体を有する。
【0124】
さまざまな光増感剤が、科学文献で知ることができる。上記のように、化合物のあるタイプは、それ自体が、対象の細胞や種に対して有毒であるか、または、光にさらされたときに、発光する特性を有する。
【0125】
そのような化合物は、比較的大きな分子量を有し、たとえば、フタロシアニン、塩素、ポルフィリン、ソラレンのような錯体分子であることもある。別のタイプの光増感剤は、それ自体が有毒でないか、または、発光性でないが、体内で活性化合物を形成する。
【0126】
以下、前駆体と呼ばれるそのような化合物は、一般的には、5アミノレブリン酸(5−ALA)や5−ALA エステルのような5−ALAの誘導体である。いずれかの化合物が、本照射装置において使用されるか供給される。
【0127】
5アミノレブリン酸(5−ALA)とその誘導体は、従来技術で公知の最も臨床的に有効である光増感剤の前駆体に含まれる。これらの化合物は、体内でプロトポルフィリンIX(PpIX)に変換される。PpIXは、光を吸収し、酸素と接触すると、一重項酸素を生成する光増感剤である。一重項酸素は、非常に反応性が高く、さまざまな細胞生体分子と素早く反応し、その結果、細胞死となる。
【0128】
5−ALAとその誘導体は、広く知られており、乾癬光線性角化症(AK)、にきびなどの皮膚病のような良性の病変と同様に、皮膚やその他の上皮器官や粘膜の様々な異常や障害、特に、癌や前癌期病変の治療のための、光力学治療(PDT)の方法に使用される。
【0129】
5−ALA(Levulan(登録商標)、Dusa)と、5−ALAメチルエステル(Metvix(登録商標)、Galderma、スイス)は、光線性角化症や基底細胞癌のPDT治療のための市販の治療薬である。
【0130】
5−ALAとその誘導体、たとえば、PDTの5−ALAエステルの使用は、科学特許文献でよく知られている(たとえば、WO2006/051269、WO2005/092838、WO03/011265、WO02/09690、WO02/10120、US6034267を参照)。そのような5−ALAのすべての誘導体と医薬基準に適合した塩は、ここで記述されている照射装置の使用に適している。
【0131】
5アミノレブリン酸のエステルと、そのN置換誘導体は、本発明での使用のための化合物において、好ましい前駆体である。ALAエステルのような5アミノ基が非置換それらの化合物は、特に好ましい。そのような化合物は、一般的に知られており、文献に記述されている(たとえば、Photocure ASAのWO96/28412とWO02/10120を参照)。
【0132】
非置換、または、置換、好ましくは、置換のアルカノール、たとえば、アルキルエステル、または、より好ましくは、置換アルキルエステルを含む5アミノレブリン酸のエステルは、本発明での使用のための化合物において、特に好ましい前駆体である。
【0133】
そのような前駆体の例として、化学式(I)の前駆体と、その医薬基準に適合した塩がある。
【0134】
【化1】

式中、
は、置換または非置換アルキル基を表わす。
【0135】
は、互いに独立して水素原子または基Rを表わす。
【0136】
特に明記しない限り、ここで使われているアルキルという用語は、長鎖、短鎖、環状直鎖、分枝飽和、または、不飽和の脂肪族炭化水素基を含む。
【0137】
非飽和アルキル基は、単価、または、多価不飽和であり、アルケニル基、および、アルキニル基を含む。特に明記しない限り、そのようなアルキル基は、40以下の炭素原子を含んでいる。しかし、30以下、好ましくは、10以下、特に好ましくは、8以下、特に好ましくは、6以下の炭素原子を含むアルキル基が好ましい。
【0138】
化学式(I)の化合物において、R基は、置換または非置換アルキル基である。Rが置換アルキル基の場合、一つ以上の置換基がアルキル基と結合し、および/または、アルキル基に割込んでいる。
【0139】
アルキル基と結合する適切な置換基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、アリール、ニトロ、オキソ、フルオロ、−SR、−NR、および、−PRから選択されるものである。ここで、Rは、水素原子、または、C1−6アルキル基である。アルキル基に割込む適切な置換基は、−O−、−NR−、−S−、または、−PRから選択されるものである。
【0140】
が置換アルキル基の場合、一つ以上のアリール置換基、たとえば、複数のアリール基、好ましくは、一つのアリール基が好ましい。
【0141】
ここで使われているアリール基という用語は、窒素、酸素、硫黄などのヘテロ原子を含む、あるいは、含まない芳香族基を意味する。
【0142】
ヘテロ原子を含まないアリール基が、好ましい。好ましいアリール基は、20以下の炭素原子、好ましくは、12以下の炭素原子、たとえば、10または6の炭素原子を含んでいる。
【0143】
アリール基の好ましい実施例は、フェニル、および、ナプチルであり、特に、フェニルである。さらに、アリール基は、一つ以上、好ましくは、一つまたは二つの置換基によって、随意に置換される。
【0144】
好ましくは、アリール基は、メタ配位またはパラ配位、最も好ましくは、パラ配位で置換される。適切な置換基は、たとえば、トリフルオロメチルやアルコキのようなハロアルキル、好ましくは、1から6の炭素原子を含むアルコキシ基、たとえば、ヨード、ブロモ、クロロやフルオロ、好ましくは、クロロやフルオロのようなハロ、C1−6アルキル、好ましくは、C1−4アルキルを含んでいる。
【0145】
好ましいC1−6アルキル基は、メチル、イソプロピル、および、tブチル、特に、メチルを含んでいる。特に好ましいアリール置換基は、クロロとニトロである。しかし、アリール基が、非置換基であることがさらにより好ましい。
【0146】
そのような好ましいR基は、ベンジル、4イソプロピルベンジル、4メチルベンジル、2メチルベンジル、3メチルベンジル、4[tブチル]ベンジル、4[トリフルオロメチル]ベンジル、4メトキシベンジル、3,4[ジクロロ]ベンジル、4クロロベンジル、4フルオロベンジル、2フルオロベンジル、3フルオロベンジル、2,3,4,5,6ペンタフルオロベンジル、3ニトロベンジル、4ニトロベンジル、2フェニルエチル、4フェニルブチル、3ピリジニルメチル、4ジフェニルメチル、および、ベンジル5[(1アセチルオキシエトキシ)カルボニル]である。
【0147】
より好ましいR基は、ベンジル、4イソプロピルベンジル、4メチルベンジル、4ニトロベンジル、および、4クロロベンジルである。最も好ましくは、ベンジルである。
【0148】
が、置換アルキル基の場合、一つ以上のオキソ置換基が、好ましい。好ましくは、そのような基は、一つ、二つ、または、三つのオキソ基によって置換される直鎖C4−12アルキル基である。その基の例として、3,6ジオキサ−1−オクチルと、3,6,9トリオキサ−1−デシルを含む。
【0149】
が、非置換アルキル基の場合、飽和直鎖アルキル基、または、分枝アルキル基であるR基が、好ましい。
【0150】
が飽和直鎖アルキル基の場合、C1−10直鎖アルキル基が好ましい。好適な直鎖アルキル基の代表的な例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、およびn−オクチルを含む。
【0151】
特に好ましいのは、C1−6直鎖アルキル基、最も好ましいのは、メチルと、n−ヘキシルである。
【0152】
が、飽和分枝アルキル基の場合、そのような分枝アルキル基は、4から8のステム、好ましくは、一つ以上のC1−6アルキル基、好ましくは、C1−2アルキル基によって分岐する5から8の直鎖炭素原子からなる。
【0153】
そのような飽和分岐アルキル基の例は、2メチルペンチル、4メチルペンチル、1エチルブチル、および3,3−ジメチル−1−ブチルを含む。
【0154】
化学式(I)の化合物において、各Rは、独立して水素原子または基Rを表わす。本発明の使用にとって、特に好ましいのは、少なくとも一つのRが、水素原子を表わす化学式(I)のそれらの化合物である。特に好ましい化合物では、各Rは、水素原子を表わす。
【0155】
本発明にかかる照射装置とともに化合物において使用される最も好ましい前駆体は、化学式(I)の化合物と医薬基準に適合したその塩である。そこでは、Rは、たとえば、ヘキシルのようなC−Cアルキル、より好ましくは、n−ヘキシルのような直鎖C−Cアルキルであり、両Rは、5−ALAヘキシルエステルや医薬基準に適合したその塩、好ましくは、HCl塩のような水素を表わす。最も好ましい前駆体は、5−ALAヘキシルエステルであり、5−ALAヘキシルエステルの最も好ましい医薬基準に適合した塩は、HCl塩である。
【0156】
本照射装置とともに使用される光増感剤や前駆体からなる化合物は、ある種の医薬配合物であり、従来技術で利用できる従来の処方によって準備される(Photocure ASAのWO02/10120参照)。
【0157】
たとえば、5−ALAのエステルは、塩基の存在下での適切なアルコールとのALAの反応によって準備される。また、本発明における使用のための化合物は、商業化が可能である(たとえば、Photocure ASAより、ノルウェー)。
【0158】
好ましい配合物は、液体(水性および非水性)、散布剤;タブレット;坐薬などの固体、クリーム;軟膏剤;ジェル;ペーストなどの半固体、泡配合物、その他の発泡性配合物(たとえば、体温の加熱に基づく)、パッチに似た配合物/システムなどである。化合物の成分は、市販の医薬製品にみられるものと同じであり、そのような成分のリストは、医薬品賦形剤のハンドブックにみられる。
【0159】
配合物は、化合物が治療される組織に完全に吸収されるようなものであること、または、照射を妨げないように透明であることが重要である。上記のように、患者の静脈内に投与される薬剤のような、体系的に適用される化合物を使用することも可能である。
【0160】
その他の観点では、本発明は、体のオリフィス内の治療領域の光力学治療の方法を提供する。その方法は、治療領域に、光増感剤や前駆体からなる化合物を適用し、本発明にかかる照射装置を、オリフィス内に挿入することを特徴とする。照射装置のLEDランプシステムは、治療領域に照射するように機能する。
【0161】
その方法は、適切なサイズ、および/または、形状の照射装置を選択する工程を有する。照射装置は、第1に、関連オリフィスに適合し、第2に、異なる患者の疾患に適合するように選択される。たとえば、頚部の治療のための照射装置は、好ましくは、患者の妊娠歴によって、さまざまなサイズから選択される。
【0162】
化合物は、照射装置の挿入前に、治療領域に適用され、その化合物は、適切な塗布具を使って、または、静脈注射によって、患者に導入される薬剤のような体系的に適用される薬剤によって、直接に適用される。
【0163】
別の好ましい実施例では、化合物は、照射装置の薬剤送達システムを通して、供給され、化合物の適用と照射装置の挿入が、同時に起こるようにする。薬剤送達システムは、上記のように、薬剤移送領域、または、容器を備えるか、あるいは、単純に照射装置の処置表面として設けられる。
【0164】
好ましくは、ランプシステムは、10〜200J/cm線量レベル、たとえば、50J/cm線量レベルを提供する。ランプシステムは、上記の特徴を有する。
【0165】
照射装置は、化合物とは別に提供されるか、または、薬剤送達システムにすでに含まれている化合物とともに提供される。また、照射装置は、照射装置と照射装置に使用される少なくとも一つの化合物を備えたキットの形態で提供できる。
【0166】
光力学治療のための本照射装置と方法は、他の治療薬剤の投与などの、その他の治療手段
これらの治療薬剤は、照射装置をオリフィス内に入れる前に、または、入れるときに、体に投与される。あるいは、他の投与経路(口腔、血管、皮膚)から投与される。一般的に、そのような薬剤は、ホルモン、抗菌物質、抗真菌薬、抗ウイルス物質、抗癌剤、または、そのような薬剤の組み合わせを含む。
【0167】
膣および頚部へのPDT提供に関連して、本発明の好ましい特徴のいくつかを述べたが、これらの照射装置の特徴は、前記のように、直腸、耳や鼻などの他の身体のオリフィスに使うための照射装置にも含まれる。
【0168】
本発明は、照射装置が使用される特別なオリフィスに限定されない。本発明は、他のオリフィス内のさまざまな疾患の治療に有利利用できる照射装置と方法も提供する。
【発明の効果】
【0169】
本発明は、一つの態様により、光力学治療、または、診断を提供するための身体のオリフィスへの挿入用の照射装置を提供する。
【0170】
照射装置は、オリフィスへ完全に挿入され固定されるように適合するハウジングを備え、ハウジングは、LEDランプシステムと、LEDランプシステムに電力を供給するための電源とを含み、照射装置は、オリフィス内に配置されているときに独立して操作可能である。
【0171】
従来技術の装置とは異なり、本発明の照射装置では、治療中に、患者が医療設備にとどまっている必要がない。それどころか、この照射装置を使えば、患者は、医療設備に一度だけ通えばよいということを示していて、そのあとでは、患者は、自由に去ることができる。長期継続治療を行いながら、患者は、通常の日常活動を続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1A】図1Aは、照射装置の第一の好適な実施例を示す斜視図である。
【図1B】図1Bは、照射装置の第一の好適な実施例を示す断面図である。
【図2A】図2Aは、照射装置の第二の好適な実施例を示す斜視図である。
【図2B】図2Bは、照射装置の第二の好適な実施例を示す断面図である。
【図3A】図3Aは、第三の好適な実施例を示す斜視図である。
【図3B】図3Bは、第三の好適な実施例を示す断面図である。
【図4】図4は、好適な実施例の照射装置に使用される制御回路の概略図である。
【図5A】図5Aは、照射装置の第四の好適な実施例を示す等角斜視図である。
【図5B】図5Bは、照射装置の第四の好適な実施例を示す断面図である。
【図6A】図6Aは、照射装置の第五の好適な実施例を示す斜視図である。
【図6B】図6Bは、照射装置の第五の好適な実施例を示す側面図である。
【図6C】図6Cは、照射装置の第五の好適な実施例を示す端面図である。
【図6D】図6Dは、照射装置の第五の好適な実施例を示す断面図である。
【図7A】図7Aは、照射装置の第六の好適な実施例を示す斜視図である。
【図7B】図7Bは、照射装置の第六の好適な実施例を示す側面図である。
【図7C】図7Cは、照射装置の第六の好適な実施例を示す端面図である。
【図7D】図7Dは、照射装置の第六の好適な実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0173】
以下、本発明のいくつかの好ましい実施の形態(実施例)を図面に基づいて説明する。
【0174】
図1Aと図1Bは、光力学治療のための照射装置10の第一の実施例を示す。
【0175】
第一の実施例の照射装置10は、頚部の光力学治療に使用するように構成される。照射装置10は、柔軟ハウジング1を備える。ハウジングの外側部7は、略円錐台形であり、照射装置の前部から後部に向かって、外側にテーパー状になる。外側部7は、照射装置10を所定位置に確実に保持するために膣壁に対して、使用中に押圧するように弾性力を有する。
【0176】
ハウジング1内には、ランプシステム12が密封されている。システム12は、LEDアレイ5と、制御回路6を備えている。制御回路6については、以下に詳しく述べる。使用中にLEDが頚部を照射するように、制御回路は、LED5にパワーを与える。
【0177】
ハウジング1の前端部は、処置表面2を形成する。この処置表面2は、使用中に頚部の開口部を覆うような形状となり、それにより、LED5からの照射が、治療領域に向かうようにできる。処置表面2は、リング状の接触面2aと凹部2bを有する。一般的に、接触面2の直径は、20〜50mmである。
【0178】
照射装置10の取り出しに役立つように、一本のひも4が、外側部7の少なくとも2つの位置で取り付けられる。ひも4をつかんで引っ張ると、外側部7が、内側に向かって引っ張られ、照射装置10の取り外しが容易になる。
【0179】
図2Aと図2Bは、頚部の治療における使用を目的とする照射装置20の別の実施例を示す。
【0180】
本実施例では、照射装置20は、略円錐台状の柔軟外側部27を備える。さらに、処置表面22は、リング状の接触面22aと凹部22bを有する。しかし、本実施例では、制御回路26だけが、ハウジング21内で密封される。LEDアレイ25は、接触面22の凹部22b内に突出している。
【0181】
さらに、照射装置20は、ハウジング21の後部から伸びる、アーチ状ハンドル23を備える。第一の実施例で使用されるひもと異なり、照射装置20のハンドル23は、照射装置の挿入と引出しの両方に役立つように使用される。
【0182】
図3Aと図3Bに、照射装置30の第三の実施例を示す。
【0183】
ハウジング31と外側部37の主な形状は、そのまま変わらない。
【0184】
照射装置30の構造と照射装置10の構造は、同じである。LEDアレイ35と制御回路36が、ハウジング31内に収納照射装置30の取り出しに役立つように、ひも34が構成される。
【0185】
しかし二つの重要な相違点がある。まず、突起部38が処置表面32から伸びている。突起部38は、薬剤送達システムとLED35からの光が通る光管を形成する。
【0186】
突起部38は、使用中に頸管と接するような形状となる。光管は、LED35からの光とともに、光増感剤や前駆体が頸管(子宮頸部)に送られるようにする。それによって、光力学治療を提供するための照射装置の性能を向上できる。
【0187】
さらに、処置表面の凹部32bは、治療化合物39が収納される容器として機能する。前記実施例の凹部2b、22bも、また、この化合物39を収納するのに好適であることがわかる。
【0188】
このように、本発明の照射装置は、薬剤送達装置としても機能する。化合物39は、光力学治療や診断に適した光増感剤や前駆体を含む。
【0189】
照射装置10、20、30内に化合物39を入れておくことによって、照射装置の挿入時に、化合物を処置領域に適用できる。さらに、頸管への化合物の送達は、照射装置を患者に挿入する前に、突起部38を化合物でコーティングすることによっても実現できる。このように、患者は、光力学治療や診断が行われる前に、一回の侵襲的処置を受けるだけでよい。
【0190】
照射装置の好ましい実施例における使用に適した制御回路を、図4に示す。
【0191】
制御回路40は、LEDアレイ45に電力を供給するのに使われるリチウムバッテリー41から電力を得る。制御回路40は、LEDアレイ45の動作を制御するマイクロプロセッサー42を備える。
【0192】
たとえば、マイクロプロセッサー42は、タイマーと投薬計画がプログラミングされるメモリーとを備える。よって、LEDアレイ45は、治療領域を所定時間照射するように操作でき、連続動作やパルス照射ができるようにも構成できる。
【0193】
さらに、制御回路40は、光センサー43を備える。それによって、マイクロプロセッサー42がLED45の動作を調節できるような、フィードバック回路が形成される。したがって、制御回路40の異常誤動作があっても、患者の受ける投与量に影響がないようにできる。
【0194】
照射装置の挿入の前に、制御回路40の動作を開始するために、スイッチ46が閉じられる。たとえば、それによって、「遅延期間」の測時が開始される。
【0195】
「遅延期間」の後で、マイクロプロセッサー42が、投薬計画にしたがって、LEDアレイ45の動作を開始する。所定時間後、または、(光センサー43によって決められる)一定光量の投与が完了すると、マイクロプロセッサー42は、LED45のスイッチを切る。そして照射装置が外される。
【0196】
修正された実施例では、制御回路は、二つの動作表示光(図示せず)を備える。それは二つのLEDからなり、一つは照射装置が正しく動作しているときに点灯し、第2のLEDは、誤動作が発生したときに点灯する。
【0197】
また、両者の組み合わせによって、特定の不具合を示すこともできる。また、動作表示光は、一つだけ備えてもよく、照射装置の正しい動作が完了したときに点灯し、誤動作が発生していると、点灯しないようになっている。制御回路は、音響信号を発する警報装置、および/または、振動による信号を発する振動装置を備える。
【0198】
このシステムは、誤動作が発生して、患者が正しい光量を受けることができなくなったときに、患者と医師に警報を発する。治療がうまく終了したときにも、制御回路から信号が出される。
【0199】
図5Aと図5Bは、照射装置の第四の実施例を示す。
【0200】
本実施例では、照射装置は、人または動物のオリフィスの壁の治療用に構成される。たとえば、オリフィスは、膣、直腸照射装置のサイズと形状は、オリフィスのサイズと形状に合わせて変更
照射装置は、LED54のアレイを収納するハウジング51と、電源と、制御回路55を備える。
【0201】
実施例に示すハウジング51は、半球形状端部52を有する細長い円筒形状である。この形状は、膣や直腸への挿入に適した形状である。
【0202】
その他のオリフィスへの挿入には、円錐形端部(図示せず)が、半球形状端部52の代わりに使用される。への挿入には、同様な照射装置が使用され、一般的に、その形状は、より円錐形になるように調節される。への挿入には、同様なサイズと形状の照射装置が使用される。
【0203】
半球形状端部52(または、円錐形端部)の反対側には、必要ならば、照射装置は、挿入や取り外しに役立ち、また、ひもを付けることのできるループ53を有する。
【0204】
ハウジング51の伸長円筒部は、その外周
オリフィス壁の治療領域に照射を行うために、オリフィスの内壁に接触する。そのために、LEDランプシステムは、伸長円筒部の周りに設けられるLED54のアレイを含む。
【0205】
LED54は、円筒処置表面を通して照射するように設けられる。修正された実施例では、LEDは、照射装置の半球形状または円錐形状の端部の処置表面の下に設けられる。
【0206】
ハウジング51は、透明シリコーンで構成され、それは、また、薬剤送達システムとして機能する処置表面を形成する。透明シリコーンは、LEDアレイから発光した光を拡散するレンズとして機能し、発光した光を均一に分配するように作用する。
【0207】
図6A、図6B、図6C、図6Dは、光力学治療のための照射装置60の第五の実施例を示す。
【0208】
図6Dは、図6CのA−A線に沿った断面図である。
【0209】
第五の実施例の照射装置60は、頚部の光力学治療における使用のために構成され、第一と第二の実施例と同様な特徴を有するハウジング部61aを含むハウジング61を備える。
【0210】
それには、上部ハウジング部の下に伸びる下部円筒ハウジング部61bが加わっている。
【0211】
上部ハウジング部61aは、柔軟性があり、照射装置の前部から後部に向かって、外側にテーパー状になる略円錐台形の外側部67を有する。
【0212】
外側部67は、照射装置10を所定位置に確実に保持するために、膣壁に対して使用中に押圧するように弾性力を有する。上部ハウジング部61aとその外側部67の形状は、図6Dにおいて、最もはっきりと見ることができる。
【0213】
LEDランプシステム62は、上部ハウジング61a内に密封され、上記実施例と同様な特徴を有する。ランプシステムの電源は、円筒ハウジング部61b内に入れられたバッテリー68である。バッテリーは1/2AAサイズのものが使われる。
【0214】
バッテリーの周りに、比較的密接に、円筒ハウジング部61bが形成される。制御回路69も、また、バッテリー内に入れられ、それによって、有効な使用形状である、バッテリー直径と同じ直径のPCBの形が実現できる。
【0215】
上部ハウジング61aの前端部は、LEDランプシステム62のLEDを覆う透明材質のレンズである処置表面を形成する。
【0216】
第四の実施例と同様に、この材質は、照射装置60の柔軟ハウジングの残りを形成する透明シリコーンである。外側部67のまわり、および、外側部67の側面上の上部ハウジング部61aの側面を覆い、円筒部61bを完全に覆うために、不透明白シリコーン過成形が使われる。
【0217】
この白過成形は、処置表面のレンズの反射器として機能し、バッテリー68や制御回路69などの円筒部内部の部品を隠す。一つの実施例では、発光に対する治療の必要がない膣粘膜を保護するために、ハウジング部61aの下面は黒色になっている。
【0218】
使用中に、頚部の開口部を覆うような形状となり、それにより、LED5からの照射が、治療領域に向かうようにできる。処置表面63は、一般的に、直径が22〜30mmである接触面63aを有する。
【0219】
好ましい実施例では、接触面63aは、薬剤移送領域や容器などの薬剤送達システムとして機能し、光増感剤や前駆体を移送する。
【0220】
円筒ハウジング部61bのもとには、照射装置の挿入や取り出しを容易にするためのループ64が設けられる。必要ならば、ひもが、ループ64に取り付けられる。また、ループ64はなく、ひもが、円筒ハウジング部61bの少なくとも2か所に直接取り付けられてもよい(図示せず)。
【0221】
照射装置70の第六の実施例を、図7A、図7B、図7C、図7Dに示す。
【0222】
図7Dは、図7CのB−B線に沿った断面図である。
【0223】
照射装置70は、上部ハウジング部71aと下部ハウジング部71bを含むハウジング71を備える。上部ハウジング部71aは、第五の実施例の照射装置60の上部ハウジング部61aと同じである。
【0224】
上部ハウジング部71aは、略円錐台形状の外側部77を含む。処置表面73は、接触部73aと円錐台状部77の切頂部内の凹部によって形成される。
【0225】
第六の実施例の外側部77は、第五の実施例の外側部67よりも短く、それは、照射装置を形成する別の方法を表わす。
【0226】
当然のことながら、第五および第六の実施例の両者は、それぞれ異なる特徴や利点がある短い縁、または、長い縁のいずれかを使用するのに適している。
【0227】
第六の実施例では、第四および第五の実施例と同じやり方でループ74が設けられる。または、ループ74はなく、ひもが、円筒ハウジング部71bの少なくとも2か所に直接取り付けられてもよい(図示せず)。
【0228】
第六の実施例の下部円筒ハウジング部61bは、下部ハウジング部71bに置き換えられる。
【0229】
下部ハウジング部71bは、その長軸が、上部ハウジング部71aの直径を越えて伸びている略三角柱状である。この三角柱は、第六の実施例の円筒部に長手方向に配置される代わりに、照射装置を横切って配置される1/2サイズAAのバッテリーを収納するように構成される。
【0230】
三角柱の端部は安全のために丸みを帯びている。制御回路79とLEDランプシステム72は、ともにバッテリー78の上に配置される。
【0231】
第五の実施例と同様に、第六の実施例は、処置表面73に光を向けるための白過成形を含む。
【0232】
上記のように、異なるサイズに調整できる頚部治療用の照射装置を使えば、異なる妊娠歴を有する患者にとって、効果的な治療が可能である。第五の実施例と第六の実施例では、その異なるサイズは、上部ハウジング部61a、71aのサイズを調整することによって、実現できる。
【0233】
ハウジング部は、頚部に対して配置される処置表面に対して、膣内の照射装置がしっかり固定されるように機能する。電源を収納する下部ハウジング部61b、71bは、一つのサイズにつくられる。それによって、バッテリー68、78と制御回路69、79のために使用される標準的な構成が可能になる。
【0234】
光力学治療の感光化合物は、照射装置の挿入の前に、治療領域の表面に直接に、または、静脈内に投与されるか、または、経口投与される化合物によって、体系的に患者に適用できる。
【0235】
好ましくは、感光化合物が照射装置の挿入時に、患者に適用されるように、処置表面に化合物が適用される。凹部処置表面のある実施例では、上記のように、配合物の容器を提供する凹部内に感光配合物が配置される。
【0236】
また、照射装置の材質は、所望の感光配合物が患者に移されるように、十分に処置表面に付着し、配合物が簡単に処置表面上の層に適用されるようなものに選択される。たとえば、第四の実施例の照射装置では、配合物は、円筒ハウジングの外側の層に適用される。
【0237】
上記の実施例は、照射のためのものであるが、保護の範囲はこれに限定されることはなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更や機能追加が可能なものである。
【0238】
たとえば、ハウジングは、十分に確実にオリフィス内に挿入できるものであればどのような形状でもよい。ハウジングの正確な形状は、照射装置が人に用いられるのか、または、動物に用いられるのか、および、治療されるオリフィスによる。
【0239】
さらに本発明では、制御回路とLEDアレイのその他の形状も採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0240】
上記から分かるように、本発明の照射装置は、人や動物のオリフィスで長時間にわたって低フルエンス率で実行される光力学治療の便利な方法を提供する。これは、患者の利便性を向上し、場合によっては治療の効果を向上する。
【符号の説明】
【0241】
1 ハウジング
2 処置表面
2a 接触面
2b 凹部
5 LEDアレイ
6 制御回路
7 外側部
10 照射装置
12 ランプシステム
20 照射装置
21 ハウジング
22 処置表面
22a 接触面
22b 凹部
23 ハンドル
25 LEDアレイ
26 制御回路
27 柔軟外側部
30 照射装置
31 ハウジング
32 処置表面
32b 凹部
35 LEDアレイ
36 制御回路
37 外側部
38 突起部
39 治療化合物
39 化合物
40 制御回路
41 リチウムバッテリー
41 電源
42 マイクロプロセッサー
43 光センサー
45 LEDアレイ
46 スイッチ
51 ハウジング
52 半球形状端部
53 ループ
55 制御回路
60 照射装置
61 ハウジング
61a 上部ハウジング部
61a 上部ハウジング部
61b 下部ハウジング部
62 ランプシステム
63 処置表面
63a 接触面
64 ループ
67 外側部
68 バッテリー
69 制御回路
70 照射装置
71 ハウジング
71a 上部ハウジング部
71b 下部ハウジング部
72 ランプシステム
73 処置表面
73a 接触部
74 ループ
77 外側部
78 バッテリー
79 制御回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光力学治療または診断を提供するための身体のオリフィスへの挿入用の照射装置であって、
前記照射装置は、オリフィスへ完全に挿入され固定されるように適合するハウジングを備え、
前記ハウジングは、LEDランプシステムと、LEDランプシステムに電力を供給するための電源とを含み、
前記照射装置は、オリフィス内に配置されているときに、独立して操作可能であることを特徴とする照射装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、使用中にオリフィス壁に確実にフィットするように形状を調節できる柔軟外側部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記柔軟外側部は、照射装置の後部に向かって外側にテーパー状となる連続表面を形成することを特徴とする請求項2に記載の照射装置。
【請求項4】
前記柔軟外側部は、弾力性のある材質で形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の照射装置。
【請求項5】
前記ハウジング全体が、柔軟であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の照射装置。
【請求項6】
前記ハウジングは、処置表面をさらに備え、LEDシステムが、前記処置表面から発光するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の照射装置。
【請求項7】
前記処置表面が、LEDランプシステムから発光する光の波長を有する光に対して、完全に透明であることを特徴とする請求項6に記載の照射装置。
【請求項8】
前記照射装置の使用中に、治療領域がLEDランプシステムからの光で照射されるように、前記処置表面は、オリフィスの治療領域にフィットするように適合したサイズおよび/または形状を有することを特徴とする請求項6または7に記載の照射装置。
【請求項9】
前記処置表面は、前記ハウジング材料の一部の表面によって形成され、前記ハウジング材料は、LEDランプシステムから発光する光を拡散するように構成されていることを特徴とする請求項6、7または8に記載の照射装置。
【請求項10】
前記ランプシステムを起動するためのスイッチを備えたことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の照射装置。
【請求項11】
前記スイッチは、前記ハウジング内で密閉され、ハウジング内で密封されながら操作できるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の照射装置。
【請求項12】
前記ランプシステムは、使用中に、1〜50mW/cmの範囲の光強度を提供するように構成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の照射装置。
【請求項13】
少なくとも一つのLEDが、300〜800nmの範囲の波長の光を発光することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の照射装置。
【請求項14】
前記ランプシステムは、少なくとも一つのLEDによって提供される照射を調節するための制御回路、好ましくは、パルス照射をおこなうようにプログラミングされた制御回路を備えることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の照射装置。
【請求項15】
前記制御回路は、遠隔端末への接続のための受信器、および/または、フィードバックシステム、および/または、照射装置が正しく動作したか否かをユーザーに知らせるための一つ以上の性能表示光を備えることを特徴とする請求項14に記載の照射装置。
【請求項16】
治療領域への均質照射をおこなうように構成されるレンズシステムをさらに備えることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の照射装置。
【請求項17】
前記処置表面が、前記レンズシステムを備えることを特徴とする請求項6から9のいずれかに従属する請求項16に記載の照射装置。
【請求項18】
光増感剤や光増感剤の前駆体を含む化合物、好ましくは、5−ALAまたは5−ALAの誘導体、好ましくは、5−ALAエステルを含む化合物を移送するための薬剤移送領域をさらに備えることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の照射装置。
【請求項19】
前記照射装置は、使い切り使用を促進する、および/または、繰り返しの使用を防止するための一つ以上の特徴を有し、好ましくは、電源は使い切り使用だけに足りる電力を供給できるように構成され、および/または、制御回路は、プログラミングの特徴によって再使用を防止するように構成され、および/または、制御回路は起動時に回路またはソフトウエアを使えなくする失活機構を含むことを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の照射装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公表番号】特表2012−515003(P2012−515003A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544801(P2011−544801)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009037
【国際公開番号】WO2010/078929
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511152474)フォトキュア エイエスエイ (3)
【Fターム(参考)】