説明

照度制御装置

【課題】簡単な構成で車載機器の表示部の照明を、車両の前照灯のハイビーム状態に応じた適切な照度に自動調整できる照度制御装置を提供する。
【解決手段】前照灯点灯/消灯切替スイッチ2を操作し前照灯3を“点灯”の状態にし、前照灯Hi/Lo切替スイッチ1を操作して前照灯3を“ハイビーム”の状態に切り替えると、メータ類11の照明に夜間用の照度Lxnが設定されているか否かを判定する。メータ類11の照明に夜間用の照度Lxnが設定されていると判定されるとメータ類11の照明に第1の照度L1を設定する。この照度L1の照度情報はメータ照度レジスタ111に設定され、メータ類11の照明の明るさが制御される。メータ類11の照明に夜間用の照度Lxnが設定されていないと判定される場合にはメータ類11の照明に第2の照度L2を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の例えばメータ類を含む照明の行われる装置類の照度を運転者の視野前方の明るさ、特に車両の前照灯がハイビームの状態のときに応じた適切な照度に自動調整する照度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の前照灯は、ロービームの状態からハイビームの状態に切り替える操作手段を備え(例えば前照灯のオン・オフを制御するライトスイッチが設けられている方向指示レバーを手前に倒すことで通常のロービームの状態からハイビームの状態に切り替える)、さらに前照灯がハイビームの状態になっていることが運転席のインストルメントパネルの所定の位置に表示される。
一方、運転席のメータ類、ナビゲーション装置、オーディオ機器などについては、その表示部、操作部は、バックライトやLEDなどの発光素子により視認性を確保して操作が容易になるように照明され発光するようになっている。このような運転席のメータ類、ナビゲーション装置、オーディオ機器などの照明は、昼間と夜間とでは運転席付近の室内外の明るさの違いにより、運転者にとってまぶし過ぎたり、あるいは暗すぎて視認性が損なわれる場合がある。
この視認性の損なわれる状況に対し、表示やバックライトを動的に変更することで視認性を安定化させる技術が提案されている。このような視認性を安定化させる技術としては、正面入射光センサが運転者に対する入射光を検出し、背面入射光センサが表示部の表示面に対する入射光を検出し、表示制御部がこれらの入射光に応じて前記表示部に表示される情報の視認性が損なわれないように、表示デザインやバックライト照度を動的に変更するものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−227253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、従来技術では、運転者に対する入射光を検出するための正面入射光センサ、表示部の表示面に対する入射光を検出する背面入射光センサなどが必要であり、これらセンサが必要となる分、制御が複雑化し高価になるとともに前照灯のハイビームの状態に対応できないという課題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で車載機器の表示部の照明を、車両の前照灯のハイビーム状態に応じた適切な照度に自動調整できる照度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車載機器の表示部の照明の明るさを制御する照度制御装置であって、前照灯がハイビームであるかロービームであるかを判定する前照灯判定手段と、前記前照灯判定手段による判定結果に基づいて前記車載機器の表示部の照明の明るさを制御する表示部照度制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、前照灯がハイビームであるかロービームであるかを前照灯判定手段により判定し、前記前照灯判定手段による判定結果に基づいて前記車載機器の表示部の照明の明るさを表示部照度制御手段により制御するように構成したので、簡単な構成で車載機器の表示部の照明を、車両の前照灯のハイビーム状態に応じた適切な照度に自動調整できる効果がある。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、車載機器の表示部の照明の明るさが前記前照灯の点灯の状態に対応する明るさに制御された状態で、前記前照灯がハイビームの状態になると、前記車載機器の表示部の照明の明るさを簡単な構成で前記前照灯の点灯に対応する明るさから前記前照灯のハイビーム状態に応じた適切な照度に自動調整できる効果がある。
【0009】
請求項3記載の発明によれば、車載機器の表示部の照明の明るさが前記前照灯の消灯の状態に対応する明るさに制御された状態で、前記前照灯がハイビームの状態になると、前記車載機器の表示部の照明の明るさを簡単な構成で前記前照灯の消灯に対応する明るさから前記前照灯のハイビーム状態に応じた適切な照度に自動調整できる効果がある。
【0010】
請求項4記載の発明によれば、照度制御禁止期間内のハイビームの状態からロービームの状態への前記前照灯の切り替えに対し前記車載機器の表示部の照明の明るさの制御が禁止され、表示部の照明の明るさが短期間で変化する場合の視認性の低下を回避でき、簡単な構成で車載機器の表示部の照明を、車両の前照灯のハイビーム状態に応じた適切な照度に自動調整できる効果がある。
【0011】
請求項5記載の発明によれば、照度制御禁止期間を禁止期間規定手段により調整可能に設定するように構成したので、調整可能な照度制御禁止期間により、表示部の照明の明るさが短期間で変化する場合の視認性の低下を回避でき、簡単な構成で車載機器の表示部の照明を、車両の前照灯のハイビーム状態に応じた適切な照度に自動調整できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態の照度制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の照度制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態の照度制御装置における複数の照度情報の関係を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の照度制御装置における設定照度情報を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における照度制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、この実施の形態の照度制御装置の構成を示すブロック図である。この照度制御装置は車両に搭載されている。そして、前照灯Hi/Lo切替スイッチ1と前照灯点灯/消灯切替スイッチ2の状態を取り込むECU4を備えており、ECU4は設定照度情報41を保持している。
前照灯Hi/Lo切替スイッチ1は、前照灯3のハイビームとロービームとの状態を切り替えるためのスイッチであり、例えば次に説明する前照灯点灯/消灯切替スイッチ2が設けられている方向指示レバーを1回、手前に倒すことでハイビームとロービームとの状態が切り替えらえる。つまり2回手前に倒すことで最初の状態に戻る。前照灯Hi/Lo切替スイッチ1の状態を示す状態信号はECU4に取り込まれる。前照灯Hi/Lo切替スイッチ1は、運転席のステアリング周辺に設けられている。
前照灯点灯/消灯切替スイッチ2は、前照灯3の点灯と消灯とを切り替えるためのスイッチであり、運転席のステアリング周辺に設けられている。前照灯点灯/消灯切替スイッチ2の状態を示す状態信号はECU4に取り込まれる。
ECU4はマイクロコンピュータであり、この実施の形態では設定照度情報41がECU4のメモリに記憶されている。また、ECU4は前照灯判定手段42、表示部照度制御手段43および前照灯スイッチ照度制御手段44を備えている。なお、図1における照度制御禁止手段45および禁止期間規定手段46は後述する第2の実施の形態で説明する。
図4は、設定照度情報41を示す説明図である。この設定照度情報41は、運転席のメータ類11を照明する発光部の明るさを規定するメータ照度、ナビゲーション装置12のディスプレイ表示部のバックライトの明るさであるバックライト照度、へッドアップディスプレイ(以下、HUDという)13を照明する発光部の明るさを規定するHUD照度、オーディオ機器14の操作部あるいは表示部を照明する発光部の明るさを規定するオーディオ機器照度、サブディスプレイ15の操作部あるいは表示部を照明する発光部の明るさを規定するサブディスプレイ照度などの照度情報を含み、この実施の形態ではそれぞれ共通して設定される昼間用と夜間用の二種類の照度情報Lxd,LxnがECU4のメモリに記憶されている。
このECU4のメモリに記憶されている照度情報Lxd,Lxnは、イグニッションキーが操作され電源が投入されるタイミングで、そのときの前照灯Hi/Lo切替スイッチ1と前照灯点灯/消灯切替スイッチ2の状態に応じて昼間用の照度Lxdあるいは夜間用の照度Lxnが、メータ類11、ナビゲーション装置12、HUD13、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の各発光部の照度を決めるレジスタに書き込まれ設定される。
図3は、これら照度Lxd、Lxnと、前照灯がハイビームに切り替えられたときに設定される第1の照度L1と第2の照度L2の関係を示す説明図である。昼間用照度Lxd、夜間用照度Lxnと第1の照度L1と第2の照度L2の関係はL1>L2>Lxd>Lxnである。
これら照度情報は、メータ類11、ナビゲーション装置12、HUD13、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の各発光部の照度を決めるレジスタに書き込まれ設定される。すなわち、メータ類11は、その発光部の明るさを規定するメータ照度が設定されるメータ照度レジスタ111を備えており、メータ照度レジスタ111に設定されたメータ照度に応じた明るさにメータ類11の発光部が駆動制御され、メータ類11が照明され発光する。
【0014】
ナビゲーション装置12は、そのディスプレイ表示部のバックライトの明るさを規定するバックライト照度が設定されるバックライト照度レジスタ121を備えており、バックライト照度レジスタ121に設定されたバックライト照度に応じた明るさにディスプレイ表示部のバックライトが駆動制御され、ディスプレイ表示部が照明され発光する。
HUD13は、その発光部の明るさを規定するHUD照度が設定されるHUD照度レジスタ131を備えており、HUD照度レジスタ131に設定されたHUD照度に応じた明るさにHUD13の発光部が駆動制御され、HUD13が照明され発光する。
オーディオ機器14は、その発光部の明るさを規定するオーディオ機器照度が設定されるオーディオ機器照度レジスタ141を備えており、オーディオ照度レジスタ141に設定された照度に応じた明るさにオーディオ機器14の発光部が駆動制御され、オーディオ機器14の操作部あるいは表示部が照明され発光する。
サブディスプレイ15は、その発光部の明るさを規定するサブディスプレイ照度が設定されるサブディスプレイ照度レジスタ151を備えており、サブディスプレイ照度レジスタ151に設定されたサブディスプレイ照度に応じた明るさにサブディスプレイ15の発光部が駆動制御され、サブディスプレイ15が照明され発光する。
【0015】
ECU4の前照灯判定手段42は、後述する図2のフローチャートにおけるステップS2に対応し、前照灯3のハイビームまたはロービームの状態を判定する。
表示部照度制御手段43は図2のフローチャートにおけるステップS5、ステップS6、ステップS8、ステップS9、ステップS11、ステップS12、ステップS14、ステップS15、ステップS17、ステップS18に対応し、前照灯3のハイビームまたはロービームの状態に対応した明るさにメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の表示部の照明の明るさを制御する。
前照灯スイッチ照度制御手段44は、図2のフローチャートにおけるステップS21、ステップS22に対応し、前照灯3の点灯または消灯を切り替える前照灯点灯/消灯切替スイッチ2の状態をもとにメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の表示部の照明の明るさを前照灯3の点灯または消灯の状態に対応する明るさに制御する。
【0016】
次に動作について説明する。
図2は、この照度制御装置の照度制御処理動作を示すフローチャートである。
先ず車両のイグニッションキーが操作され、アクセサリ電源が投入され、ECU4を含む各部へ電源が投入され、エンジンが始動される。
この実施の形態では、最初、前照灯Hi/Lo切替スイッチ1の状態は“ロービーム”の状態、前照灯点灯/消灯切替スイッチ2の状態は“消灯”の状態に切り換えられている。
ECU4の動作が図2に示す照度制御処理に移行すると、先ず前照灯点灯/消灯切替スイッチ2がオン、つまり前照灯点灯/消灯切替スイッチ2が“点灯”に切り替えられているか否かを判定する。前照灯点灯/消灯切替スイッチ2の状態は最初、“消灯”の状態に切り替えられているのでステップS21へ進む。ステップS21ではメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の明るさとして、前照灯3が“消灯”の状態に対応した昼間用の照度Lxdが設定され、続くステップS2で前照灯Hi/Lo切替スイッチ1の状態が“ハイビーム”の状態に切り替えられているか否かを判定する。このとき前照灯Hi/Lo切替スイッチ1の状態は“ロービーム”の状態にあることから、リターンからこの照度制御処理をぬける。このときの昼間用の照度Lxdは、前照灯が消灯の状態に対応した明るさ、昼間に対応した明るさである。
車両が夜間あるいはトンネル内を走行するようになると、運転者が前照灯点灯/消灯切替スイッチ2を操作し“点灯”の状態に切り替え、前照灯3を点灯する。
前照灯3が点灯されると、図2に示す照度制御処理では、前照灯点灯/消灯切替スイッチ2がオン、つまり“点灯”の状態に切り替えられることからステップS1からステップS22へ進む。ステップS22では、メータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の明るさとして前照灯3が“点灯”の状態に対応した夜間用の照度Lxnが設定され、続くステップS2で前照灯Hi/Lo切替スイッチ1の状態が“ハイビーム”の状態に切り替えられているか否かを判定する。このとき前照灯Hi/Lo切替スイッチ1の状態は“ロービーム”の状態にあることから、リターンからこの照度制御処理をぬける。このときの夜間用の照度Lxnは、前照灯が点灯の状態で、夜間、ロービームに対応した明るさである。
夜間用の照度Lxnと昼間用の照度Lxdとの大小関係は図3に示すようにLxn<Lxdであり、昼間では運転席を含む周囲の明るさが夜間に比べて明るいことから、昼間のメータ類11などの照明は夜間の照度Lxnより明るい照度Lxdに設定する。
【0017】
車両が夜間あるいはトンネル内を走行するようになり、運転者が、前照灯点灯/消灯切替スイッチ2を操作し前照灯3を“点灯”の状態にし、さらに前照灯Hi/Lo切替スイッチ1を操作して前照灯3を“ハイビーム”の状態に切り替えると、図2に示す照度制御処理では、前照灯点灯/消灯切替スイッチ2がオン、つまり“点灯”の状態に切り替えられていることからステップS1からステップS22へ進み、さらにステップS22からステップS2で前照灯3が“ハイビーム”の状態にあると判定されステップS3の設定照度判定処理へ進む。
この設定照度判定処理では、先ず、メータ類11の照明に夜間用の照度Lxnが設定されているか否かを判定する(ステップS4)。このとき前照灯点灯/消灯切替スイッチ2がオン、“点灯”の状態、前照灯Hi/Lo切替スイッチ1が “ハイビーム”に切り替えられる直前の“ロービーム”の状態において、ステップS22の処理によりメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されていた。このため、前照灯Hi/Lo切替スイッチ1を “ハイビーム”に切り替えると、ステップS2からステップS3、ステップS4と進み、ステップS4ではメータ類11の照明に夜間用の照度Lxnが設定されていると判定されてステップS5へ進む。
ステップS5では、メータ類11の照明に第1の照度L1を設定する。この照度L1の照度情報はメータ照度レジスタ111に設定され、メータ類11の照明の明るさが制御される。
一方、ステップS4においてメータ類11の照明に夜間用の照度Lxnが設定されていないと判定される場合、すなわち昼間用の照度Lxdが設定されている場合にはメータ類11の照明に第2の照度L2を設定する(ステップS6)。
メータ類11の照明に昼間用の照度Lxdが設定されている場合とは、前照灯点灯/消灯切替スイッチ2をオフの状態にして、さらに前照灯Hi/Lo切替スイッチ1を “ハイビーム”に切り替えた場合である。この場合には、前照灯点灯/消灯切替スイッチ2がオフの状態でステップS1からステップS21へ進み、ステップS21においてメータ照度レジスタ111に昼間用の照度Lxdが設定される。そして、ステップS1からステップS2、ステップS2からステップS3、ステップS4と進み、ステップS4においてメータ類11の照明に昼間用の照度Lxdが設定されていると判定され、ステップS6でメータ類11の照明に第2の照度L2が設定される。
【0018】
続くステップS7では、ナビゲーション装置12のバックライトの明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されているか否かを判定する。このときナビゲーション装置12のバックライトの明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されていた。このため、ステップS7ではナビゲーション装置12のバックライトの明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されていると判定されてステップS8へ進む。
ステップS8では、ナビゲーション装置12のバックライトの照明に第1の照度L1を設定する。この照度L1の照度情報はバックライト照度レジスタ121に設定され、バックライトの照明の明るさが制御される。
一方、ステップS7においてバックライトの照明に夜間用の照度Lxnが設定されていないと判定される場合、すなわち昼間用の照度Lxdが設定されている場合にはバックライトの照明に第2の照度L2を設定する(ステップS9)。
続くステップS10では、HUD13の明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されているか否かを判定する。このときHUD13の明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されていた。このため、ステップS10ではHUD13の明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されていると判定されてステップS11へ進む。
ステップS11では、HUD13の照明に第1の照度L1を設定する。この照度L1の照度情報はHUD照度レジスタ131に設定され、HUD13の照明の明るさが制御される。
一方、ステップS10においてHUD13の照明に夜間用の照度Lxnが設定されていないと判定される場合、すなわち昼間用の照度Lxdが設定されている場合にはHUD13の照明に第2の照度L2を設定する(ステップS12)。
【0019】
続くステップS13では、オーディオ機器14の表示、照明の明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されているか否かを判定する。このときオーディオ機器14の明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されていた。このため、ステップS13ではオーディオ機器14の明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されていると判定されてステップS14へ進む。
ステップS14では、オーディオ機器14の照明に第1の照度L1を設定する。この照度L1の照度情報はオーディオ照度レジスタ141に設定され、オーディオ機器14の照明の明るさが制御される。
一方、ステップS13においてオーディオ機器14の照明に夜間用の照度Lxnが設定されていないと判定される場合、すなわち昼間用の照度Lxdが設定されている場合にはオーディオ機器14の照明に第2の照度L2を設定する(ステップS15)。
続くステップS16では、サブディスプレイ15の明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されているか否かを判定する。このときサブディスプレイ15の明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されていた。このため、ステップS16ではサブディスプレイ15の明るさとして夜間用の照度Lxnが設定されていると判定されてステップS17へ進む。
ステップS17では、サブディスプレイ15の照明に第1の照度L1を設定しステップS2へ戻る。この照度L1の照度情報はサブディスプレイ照度レジスタ151に設定され、サブディスプレイ15の照明の明るさが制御される。
一方、ステップS16においてサブディスプレイ15の照明に夜間用の照度Lxnが設定されていないと判定される場合、すなわち昼間用の照度Lxdが設定されている場合にはサブディスプレイ15の照明に第2の照度L2を設定し(ステップS18)、ステップS2へ戻る。
【0020】
したがって、表示部照度制御手段43の動作を言い換えると以下の通りである。
なお、本実施の形態では、メータ類11、ナビゲーション装置12のディスプレイ表示部、HUD、オーディオ機器14の操作部あるいは表示部、サブディスプレイ15の操作部あるいは表示部が、特許請求の範囲における「車載機器の表示部」に相当する。
1)表示部照度制御手段43は、前照灯判定手段42により前照灯3のハイビームが判定され、かつ、車載機器の表示部の照明の明るさが前照灯3の点灯に対応する明るさに制御されているという条件が成立した場合に、表示部の照明の明るさを前照灯3の点灯に対応する明るさよりも明るい第1の明るさ(第1の照度L1)に制御する。
2)表示部照度制御手段43は、前照灯判定手段42により前照灯3のハイビームが判定され、かつ、表示部の照明の明るさが前照灯の消灯に対応する明るさに制御されているという条件が成立した場合に、表示部の照明の明るさを前照灯3の消灯に対応する明るさよりも明るい第2の明るさ(第2の照度L2)に制御する。
【0021】
以上説明したように、この実施の形態によれば、前照灯3のハイビーム、ロービームの切り替えに応じてメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の明るさが自動的に調整されるため、ハイビーム時の前方視野の明るさ変化により運転室内の各種表示の視認性が低下するのを有効に防止できる効果がある。
【0022】
(第2の実施の形態)
次に、この発明の第2の実施の形態について説明する。
この実施の形態の照度制御装置の構成は前記第1の実施の形態で説明した図1の構成と同一であり、重複する部分については説明を省略する。
この実施の形態ではECU4は照度制御禁止手段45および禁止期間規定手段46を備えており、前照灯3のハイビーム、ロービームの切り替え操作が頻繁に行われるような場合、メータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の明るさが頻繁に切り換わることによる視認性の低下を回避するものである。このため、前照灯3がハイビームに切り替えられてからロービームに切り替えられるまでの照度制御禁止期間をタイマで規定し、この照度制御禁止期間が経過する前にハイビームからロービームに切り替えられた場合には、メータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の明るさ調整を無効とする。
照度制御禁止手段45は、前照灯判定手段42の判定結果に基づいて前照灯3のハイビームからロービームへの切り替えが発生したと認識したとき、表示部照度制御手段43による前記表示部の照明の明るさの制御を照度制御禁止期間禁止する。
禁止期間規定手段46は、図5のフローチャートのステップS26、ステップS27に対応し、前照灯3がハイビームの状態からロービームの状態へ切り替えられたとき、メータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の表示部の照明の明るさがハイビームの状態に対応した明るさから前記ロービームの状態に対応した明るさに制御されるのを禁止する照度制御禁止期間を規定するものであり、前記照度制御禁止期間はタイマカウント値としての規定値に対応し、この規定値が設定されるタイマを備えている。また、照度制御禁止期間に対応する規定値は禁止期間規定手段46により調整可能に設定される。
【0023】
図5は、この実施の形態の照度制御装置の動作を示すフローチャートである。
以下、図5のフローチャートに従って動作を説明すると、先ず前照灯点灯/消灯切替スイッチ2の状態をもとに前照灯3が消灯、点灯の状態を判定する(ステップS31)。次に、前照灯Hi/Lo切替スイッチ1の状態をもとにハイビームに切り替えられているか否かを判定する(ステップS32)。この結果、ハイビームに切り替えられていればメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の照度をハイビーム用の図3に示す第1の照度L1に設定する(ステップS33)。そして、タイマをゼロリセットする(ステップS34)。このタイマは、前照灯3がハイビームに切り替えられてからロービームに切り替えられるまでの照度制御禁止期間を規定するタイマである。前照灯3がハイビームからロービームに切り替えられると、ステップS32からステップS35へ進み、ステップS35においてメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の照度についてハイビーム用であるか否かを判定する。この結果、第1の照度L1に設定されていると判定すると、前記タイマのカウント値を“1”カウントアップする(ステップS36)。続いて、前記タイマのカウント値が予め設定された規定値、つまり前記照度制御禁止期間に対応する規定値以下であるか否かを判定し(ステップS37)、前記規定値を下回っていればメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の明るさ調整を無効としステップS32へ戻る。すなわち前照灯3がハイビームの状態に維持されると、タイマは常にゼロリセットされる。この状態で前照灯3がロービームの状態に切り替えられると前記タイマは“1”カウントアップされ、前記タイマのカウント値に対応する時間が、前照灯3がロービームの状態に切り替えられてからのメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の照度についての前記照度制御禁止期間を超えるか否かをステップS37で判定する。このため前記タイマのカウント値に対応する時間が前記照度制御禁止期間以内であれば前照灯3がロービームの状態に切り替えられてもメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の明るさ調整を無効とし、前照灯3のハイビームからロービームへの前記照度制御禁止期間以内の切り替え操作による視認性の低下を回避する。
一方、前記タイマのカウント値に対応する時間が前記照度制御禁止期間を超えているとロービームの状態に切り替えられた前照灯3に対応してメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の明るさ調整を行い、ロービームの状態に応じた照度(第1の照度L1よりも低い照度)に制御する(ステップS38)。
【0024】
従って、この実施の形態によれば、一定の時間が経過する前に前照灯3のハイビームからロービームへの切り替えが行われても、これに伴うメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の明るさ調整は行われず、一定の時間を超える時間間隔でハイビームからロービームへの切り替えが行われた場合のみ、メータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の明るさがハイビームから第2の照度に調整されることになる。このため、頻繁なハイビーム、ロービームの切り替えが行われることによるメータ類11、ナビゲーション装置12のバックライト、HUD13のHUD照度、オーディオ機器14、サブディスプレイ15の照明の変化による視認性の低下を有効に回避できる効果がある。
なお、本発明は、前照灯3のハイビームからロービームへの切り替えは必ずしも前照灯Hi/Lo切替スイッチ1により操作された場合のみを対象とするものではなく、例えば車載カメラによって前方の様子を検出し、前方状況に応じて自動でハイビームとロービームを切り替える場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0025】
1……前照灯Hi/Lo切替スイッチ、2……前照灯点灯/消灯切替スイッチ、3……前照灯、4……ECU、11……メータ類、12……ナビゲーション装置、13……HUD、14……オーディオ機器、15……サブディスプレイ、42……前照灯判定手段、43……表示部照度制御手段、44……前照灯スイッチ照度制御手段、45……照度制御禁止手段、46……禁止期間規定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器の表示部の照明の明るさを制御する照度制御装置であって、
前照灯がハイビームであるかロービームであるかを判定する前照灯判定手段と、
前記前照灯判定手段による判定結果に基づいて前記車載機器の表示部の照明の明るさを制御する表示部照度制御手段と、
を備えたことを特徴とする照度制御装置。
【請求項2】
前記前照灯の点灯、消灯を切り替える前照灯点灯/消灯スイッチの状態に基づいて、前記表示部の照明の明るさを、前記前照灯の点灯に対応する明るさと、前記前照灯の消灯に対応する明るさとに制御する前照灯スイッチ照度制御手段を備え、
前記表示部照度制御手段は、前記前照灯判定手段により前記前照灯のハイビームが判定され、かつ、前記表示部の照明の明るさが前記前照灯の点灯に対応する明るさに制御されているという条件が成立した場合に、前記表示部の照明の明るさを前記前照灯の点灯に対応する明るさよりも明るい第1の明るさに制御することを特徴とする請求項1記載の照度制御装置。
【請求項3】
前記前照灯の点灯、消灯を切り替える前照灯点灯/消灯スイッチの状態に基づいて、前記表示部の照明の明るさを、前記前照灯の点灯に対応する明るさと、前記前照灯の消灯に対応する明るさとに制御する前照灯スイッチ照度制御手段を備え、
前記表示部照度制御手段は、前記前照灯判定手段により前記前照灯のハイビームが判定され、かつ、前記表示部の照明の明るさが前記前照灯の消灯に対応する明るさに制御されているという条件が成立した場合に、前記表示部の照明の明るさを前記前照灯の消灯に対応する明るさよりも明るい第2の明るさに制御することを特徴とする請求項1記載の照度制御装置。
【請求項4】
前記前照灯判定手段の判定結果に基づいて前記前照灯のハイビームからロービームへの切り替えが発生したと認識したとき、前記表示部照度制御手段による前記表示部の照明の明るさの制御を予め定められた照度制御禁止期間禁止する照度制御禁止手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載の照度制御装置。
【請求項5】
前記照度制御禁止期間を調整可能に設定する禁止期間規定手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の照度制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−107413(P2013−107413A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251466(P2011−251466)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】