説明

照明システム

【課題】 患者と同じ部屋で寝ている別の患者の睡眠をできるだけ妨げないようにしながら、患者のベッドと出入口との間を患者が容易に移動できるようにする。
【解決手段】 離床センサ4bが患者の離床を検出すると、その離床センサ4bと関連付けられている照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2bおよび第二の照明装置3を点灯する。その後、患者の退室を検出すると、第一の照明装置2bおよび第二の照明装置3を消灯する。このとき、第一の照明装置2bの照明装置識別情報が記憶される。そして、患者の入室を検出すると、記憶した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2bおよび第二の照明装置3が点灯する。これにより、患者が離床して部屋から退室すると、照明が消されてその経路を照明する位置が記憶されるので、患者が部屋に戻ると、患者のベッド付近の足元と出入口付近の足元とが照明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設などで患者や被介護者が移動する際に患者や被介護者の足元を照らす照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設(以下、施設とする)では、患者や被介護者(以下、患者とする)が患者の居る部屋からその部屋の外にあるトイレなどへ夜間に行く場合に、患者がベッドから部屋の出入口まで一人で移動することがあった。一般的に夜間の部屋内では、最低限の照明しか点灯していないため、患者は暗い部屋内を移動しなければならず、移動し難くなってしまうという問題があった。これを解決するために、患者が部屋内を移動する際に、部屋の天井などに設置されている照明装置を点灯させることが考えられる。しかしながら、この従来技術では、照明装置が部屋全体を照らしているため、その部屋で寝ている別の患者の睡眠を妨げてしまうことがあった。そのため、部屋で寝ている別の患者の睡眠を妨げないようにしながら、患者の移動をサポートする技術が望まれていた。
【0003】
ところで、地震などの災害時に出口までの経路に位置する照明機器を点灯する技術が知られている(例えば、特許文献1など)。特許文献1に記載の災害時照明制御システムでは、地震などの災害が発生した場合に、人感センサによって人が検出された部屋から建物の所定の出口までの経路上の部屋に設置された照明装置のみを点灯させるようにしている。一方、人感センサが部屋内に居る人を検出しなくなった場合に、照明装置を消灯させるようにしている。
【0004】
このような、特許文献1に記載の技術を前述した従来技術に適用すると、患者が移動する際に患者のベッドからの離床を検出し、患者のベッドから部屋の出入口までの経路に設置されている照明装置を点灯させ、患者の退室を検出した場合に、点灯させていた照明装置を消灯させることができる。これにより、患者のベッドから部屋の出入口までの経路が照明装置により照らされるので、患者は、部屋の出入口までの経路を明確に認識することができる。また、患者の退室によって照明装置を消灯するようにしているので、部屋で寝ている別の患者の睡眠をできるだけ妨げないようにすることができる。また、照明装置による照明を患者の足元付近に行うようにすれば、さらに別の患者の睡眠を妨げないようにすることができる。
【0005】
しかしながら、この従来技術では、患者の退室を検出した場合に、照明装置を消灯させるようにしているので、患者がトイレなどから部屋に戻ってきても、部屋の出入口から患者のベッドまでの経路が照明装置により照らされないため、戻ってきた患者は、暗い部屋の中を移動しなければならず、患者が移動し難くなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−157491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、患者と同じ部屋で寝ている別の患者の睡眠をできるだけ妨げないようにしながら、患者のベッドと部屋の出入口との間を患者が容易に移動できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の照明システムでは、患者がベッドから離床したことを検出した場合に、少なくともベッド付近の患者の足元と部屋の出入口付近の足元の位置とを照明し、患者の退室を検出した場合に、点灯していた照明を消灯させるようにしている。このとき、ベッド付近の患者の足元の照明の位置を記憶しておき、患者の入室を検出した場合に、少なくとも記憶しておいた位置と出入口付近の足元の位置とを照明するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明よれば、患者が離床して部屋から退室した場合に、点灯していた照明が消されるとともに、その経路を照明する位置が記憶されるので、患者が部屋に戻ってきたことが検出されると、少なくとも患者のベッド付近の足元と部屋の出入口付近の足元とが照明される。これにより、患者は、患者のベッドから部屋の出入口までを移動する場合だけでなく、部屋の出入口から患者のベッドまでを移動する場合にも、部屋の天井に設置されている照明装置を点灯させることなく、経路を明確に認識することができる。従って、患者は、その患者と同じ部屋で寝ている別の患者の睡眠をできるだけ妨げないようにしながら、患者のベッドと部屋の出入口との間を容易に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態による照明システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による照明システムを適用した部屋における各構成要素の設置例を示す説明図である。
【図3】本実施形態による照明システムの記憶装置の記憶内容例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態による照明システムの構成例を示すブロック図を図1に示す。同図に示すように、本実施形態による照明システムは、制御装置1、第一の照明装置2、第二の照明装置3、離床センサ4、入退室センサ5、記憶装置6を備えて構成されている。
【0012】
図1において、制御装置1は、施設内の患者が居る各部屋の照明を点灯したり消灯したりするためのものである。また、制御装置1は、照明システムの各構成要素を後述するように制御する。ここで、制御装置1には、施設内の各部屋に設置されている第一の照明装置2、第二の照明装置3、離床センサ4、入退室センサ5および記憶装置6が接続されている。
【0013】
第一の照明装置2は、ランプなどにより構成されており、患者の足元を照明するためのものである。ここで、第一の照明装置2は、患者が使用している各ベッド近傍に少なくとも一台以上設置されている。また、第一の照明装置2は、制御装置1に伝送線を介して接続されている。また、第一の照明装置2は、部屋の出入口付近に居る患者が視認できるような程度の明るさで周囲の床を照明する。また、第一の照明装置2は、自装置を他のベッド近傍に設置された第一の照明装置2と識別するための照明装置識別情報(例えば、照明番号など)が割り振られている。
【0014】
第二の照明装置3は、ランプなどにより構成されており、部屋の出入口付近の足元部分を照明するためのものである。ここで、第二の照明装置3は、部屋の出入口付近に少なくとも一台以上設置されている。また、第二の照明装置3は、制御装置1に伝送線を介して接続されている。また、第二の照明装置3は、ベッド付近に居る患者が視認できるような程度の明るさで周囲の床を照明する。
【0015】
また、第一の照明装置2と第二の照明装置3とを同時に点灯することで、患者のベッド付近の床と部屋の出入口付近の床とが照明される。これにより、ベッド付近に居る患者は、その場所から部屋の出入口までの経路を明確に認識することができるとともに、部屋の出入口付近に居る患者は、その場所から患者のベッドまでの経路を明確に認識することができる。
【0016】
離床センサ4は、シート状のセンサなどにより構成されており、患者がベッドから降りたことを検出するためのものである。ここで、離床センサ4は、患者がベッドから降りたことを検出することができるように、各ベッド近傍の床に設置されている。また、離床センサ4は、制御装置1に伝送線を介して接続されている。また、離床センサ4は、シート上の荷重を検出することで患者がベッドから降りたことを検出する。離床センサ4は、シート上の荷重を検出すると、離床検出信号を制御装置1へ出力する。この離床検出信号は、自装置を他のベッド近傍に設置された離床センサ4と識別するための離床センサ識別情報(例えば、装置番号など)および離床センサ4が設置されている部屋を他の部屋と識別するための部屋識別情報(例えば、部屋番号など)を含む。また、離床センサ4は、患者が部屋の出入口からベッド近傍まで移動した際にシート上の荷重を検出した場合も、離床検出信号を制御装置1へ出力する。
【0017】
入退室センサ5は、赤外線センサなどにより構成されており、人が部屋に入退室したことを検出するためのものである。ここで、入退室センサ5は、部屋の出入口付近に設置されている。また、入退室センサ5は、制御装置1に伝送線を介して接続されている。また、入退室センサ5は、部屋の内側および外側の二箇所で、部屋の出入口を横切るようにして放射した赤外線を受光しており、人体などの物体により放射された赤外線が遮られて受光しなくなることで物体を検出する。そして、入退室センサ5は、赤外線を受光しなくなった順番により、人が部屋に入室したことおよび人が部屋から退室したことを検出する。
【0018】
具体的には、放射されている二本の赤外線のうち、部屋の内側で放射されている赤外線が遮られてから部屋の外側で放射されている赤外線が遮られたと入退室センサ5にて判断した場合に、入退室センサ5は、人が部屋から退室したことを検出する。このとき、入退室センサ5は、退室検出信号を制御装置1へ出力する。一方、放射されている二本の赤外線のうち、部屋の外側で放射されている赤外線が遮られてから部屋の内側で放射されている赤外線が遮られたと入退室センサ5にて判断した場合に、入退室センサ5は、人が部屋に入室したことを検出する。このとき、入退室センサ5は、入室検出信号を制御装置1へ出力する。ここで、退室検出信号および入室検出信号は、入退室センサ5が設置されている部屋を他の部屋と識別するための部屋識別情報を含む。
【0019】
図2は、本実施形態による照明システムを適用した部屋における各構成要素の設置例を示す図である。同図に示すように、部屋は、患者がそれぞれ使用する複数のベッドB1、B2、B3、B4、複数の第一の照明装置2a、2b、2c、2d、第二の照明装置3、複数の離床センサ4a、4b、4c、4dを備えている。ここで、ベッドB1は、図2中の部屋の左上側に設置されている。また、ベッドB2は、図2中の部屋の左下側に設置されている。また、ベッドB3は、図2中の部屋の右下側に設置されている。また、ベッドB4は、図2中の部屋の右上側に設置されている。また、ベッドB1、B2、B3、B4の近傍には、第一の照明装置2(2a〜2d)および離床センサ4(4a〜4d)がそれぞれ設置されている。
【0020】
記憶装置6は、メモリなどにより構成されている。また、記憶装置6は、部屋を他の部屋と識別するための部屋識別情報、患者が使用している各ベッド近傍に設置されている離床センサ4を識別するための離床センサ識別情報、患者が使用している各ベッド近傍に設置されている第一の照明装置2を識別するための照明装置識別情報、および第一の照明装置2が点灯しているか否かを示す点灯情報を関連付けて記憶する。
【0021】
記憶装置6は、図3に示すように、部屋識別情報を格納する部屋領域61、離床センサ識別情報を格納する離床センサ領域62、照明装置識別情報を格納する第一の照明装置領域63、点灯情報を格納する点灯領域64を記憶している。部屋領域61には部屋識別情報として、例えば、「01」などの情報が格納されている。また、離床センサ領域62には離床センサ識別情報として、例えば、「4a」、「4b」、「4c」、「4d」などの情報が格納されている。また、第一の照明装置領域63には照明装置識別情報として、例えば、「2a」、「2b」、「2c」、「2d」などの情報が格納されている。点灯領域64には、第一の照明装置2が点灯しているか否かを示すものとして、例えば、第一の照明装置2が点灯していることを示す「点灯」、第一の照明装置2が点灯していないことを示す「消灯」などの点灯情報が格納されている。ここで、点灯情報は、「消灯」が初期値として記憶装置6に記憶されている。
【0022】
次に、制御装置1が実行する処理について説明する。ここで、本実施形態による照明システムは、夜間などの時間帯に使用される。そのため、本実施形態による照明システムを使用する時間帯が制御装置1に接続されている入力装置(図示せず)などにより予め設定されている。現在時刻が入力装置にて予め設定された時間帯になると、制御装置1は動作を開始する。まず、制御装置1は、離床センサ4から出力された離床検出信号を入力したか否かを判定する。離床検出信号を入力したと制御装置1にて判断した場合に、制御装置1は、入力した離床検出信号に含まれている離床センサ識別情報および部屋識別情報を取得する。また、制御装置1は、記憶装置6を参照して、取得した離床センサ識別情報および部屋識別情報に関連付けて記憶されている照明装置識別情報および点灯情報を取得し、取得した点灯情報の値が第一の照明装置2の点灯を示すもの「点灯」であるか、消灯を示すもの「消灯」であるかを判定する。初期状態で、第一の照明装置2が消灯していることを示す点灯情報であると制御装置1にて判断されるので、制御装置1は、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させる。それに併せて、制御装置1は、点灯情報の値を、第一の照明装置2が点灯していることを示すもの「点灯」に書き換えて記憶装置6に記憶させる。
【0023】
第一の照明装置2および第二の照明装置3が点灯すると、制御装置1は、入退室センサ5から出力された退室検出信号を入力したか否かを判定する。退室検出信号を入力したと制御装置1にて判断した場合に、制御装置1は、退室検出信号に含まれている部屋識別情報を取得する。そして、制御装置1は、記憶装置6を参照して、取得した部屋識別情報に関連付けて記憶されている照明装置識別情報の中から点灯情報の値が第一の照明装置2の点灯を示す「点灯」であるものを取得する。また、制御装置1は、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を消灯させる。それに併せて、制御装置1は、患者が退室していることを示す退室情報を、取得した第一の照明装置2の照明装置識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶させるとともに、点灯情報の値を、第一の照明装置2が消灯していることを示すもの「消灯」に書き換えて記憶装置6に記憶させる。
【0024】
第一の照明装置2および第二の照明装置3が消灯すると、制御装置1は、入退室センサ5から出力された入室検出信号を入力したか否かを判定する。入室検出信号を入力したと制御装置1にて判断した場合に、制御装置1は、入室検出信号に含まれている部屋識別情報を取得する。そして、制御装置1は、記憶装置6を参照して、取得した部屋識別情報に関連付けて記憶されている照明装置識別情報の中から退室情報が関連付けて記憶されているものを取得する。そして、制御装置1は、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させる。それに併せて、制御装置1は、点灯情報の値を、第一の照明装置2が点灯していることを示すもの「点灯」に書き換えて記憶装置6に記憶させるとともに、この照明装置識別情報に関連付けて記憶されている退室情報を記憶装置6にてリセットする。ここで、退室情報のリセットとは、記憶装置6に記憶されていた退室情報を消去することを示すものである。
【0025】
第一の照明装置2および第二の照明装置3が点灯すると、制御装置1は、離床センサ4から出力された離床検出信号を入力したか否かを判定する。離床検出信号を入力したと制御装置1にて判断した場合に、制御装置1は、入力した離床検出信号に含まれている離床センサ識別情報および部屋識別情報を取得する。また、制御装置1は、記憶装置6を参照して、取得した離床センサ識別情報および部屋識別情報に関連付けて記憶されている照明装置識別情報および点灯情報を取得し、取得した点灯情報の値が第一の照明装置2の点灯を示すもの「点灯」であるか消灯を示すもの「消灯」であるかを判定する。ここで、第一の照明装置2が点灯していることを示すものであると制御装置1にて判断されるので、制御装置1は、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を消灯させる。それに併せて、制御装置1は、点灯情報の値を、第一の照明装置2が消灯していることを示すもの「消灯」に書き換えて記憶装置6に記憶させる。
【0026】
次に、図2および図3に基づいて、本実施形態による照明システムにおける第一の照明装置2および第二の照明装置3の点灯・消灯の具体的な例を説明する。まず、ベッドB2を使用している患者が離床すると、ベッドB2近傍に設置されている離床センサ4bは、患者がベッドB2を降りたことを検出し、自装置の離床センサ識別情報「4b」および離床センサ4bが設置されている部屋の部屋識別情報「01」を含む離床検出信号を制御装置1へ出力する。制御装置1は、離床センサ4bから出力された離床検出信号を入力すると、入力した離床検出信号に含まれている離床センサ識別情報「4b」および部屋識別情報「01」を抽出する。そして、制御装置1は、記憶装置6を参照して、抽出した離床センサ識別情報「4b」および部屋識別情報「01」に関連付けて記憶されている照明装置識別情報「2b」および点灯情報「消灯」を取得し、取得した点灯情報の値が消灯を示すもの「消灯」であると判断する。すると、制御装置1は、取得した照明装置識別情報「2b」により特定される第一の照明装置2bおよび第二の照明装置3を点灯させ、第一の照明装置2bの点灯情報の値を、第一の照明装置2bが点灯していることを示すもの「点灯」に書き換えて記憶装置6に記憶させる。
【0027】
第一の照明装置2bによって患者のベッドB2近傍の床が照明され、第二の照明装置3によって出入口付近の床が照明される。この照明を頼りに、ベッドB2を降りた患者は部屋の出入口へ移動する。そして、そのまま患者が部屋から退室すると、入退室センサ5は、患者が部屋から退室したことを検出する。入退室センサ5は、自装置が設置されている部屋の部屋識別情報「01」を含む退室検出信号を制御装置1へ出力する。制御装置1は、入退室センサ5から出力された退室検出信号を入力すると、入力した退室検出信号に含まれている部屋識別情報「01」を抽出する。そして、制御装置1は、記憶装置6を参照して、抽出した部屋識別情報「01」に関連付けて記憶されている照明装置識別情報「2a、2b、2c、2d」の中から関連付けて記憶されている点灯情報の値が第一の照明装置2の点灯を示すもの「点灯」である照明装置識別情報「2b」を取得する。また、制御装置1は、取得した照明装置識別情報「2b」により特定される第一の照明装置2bおよび第二の照明装置3を消灯させる。それに併せて、制御装置1は、患者が退室していることを示す退室情報を、その照明装置識別情報「2b」に関連付けて記憶装置6に記憶させるとともに、第一の照明装置2bの点灯情報の値を、第一の照明装置2bが消灯していることを示すもの「消灯」に書き換えて記憶装置6に記憶させる。
【0028】
その後、患者が部屋に戻ってきて、部屋に入室すると、入退室センサ5は、患者が部屋に入室したことを検出する。入退室センサ5は、自装置が設置されている部屋の部屋識別情報「01」を含む入室検出信号を制御装置1へ出力する。制御装置1は、入退室センサ5から出力された入室検出信号を入力すると、入力した入室検出信号に含まれている部屋識別情報「01」を抽出する。そして、制御装置1は、記憶装置6を参照して、抽出した部屋識別情報「01」に関連付けて記憶されている照明装置識別情報「2a、2b、2c、2d」の中から退室情報が関連付けて記憶されているもの「2b」を取得する。そして、制御装置1は、取得した照明装置識別情報「2b」により特定される第一の照明装置2bおよび第二の照明装置3を点灯させ、第一の照明装置2bの点灯情報の値を、第一の照明装置2bが点灯していることを示すもの「点灯」に書き換えて記憶装置6に記憶させる。また、制御装置1は、この照明装置識別情報「2b」に関連付けて記憶されている退室情報を記憶装置6にてリセットする。
【0029】
第一の照明装置2bによって患者のベッドB2近傍の床が照明され、第二の照明装置3によって出入口付近の床が照明される。この照明を頼りに、部屋の出入口付近に居る患者はベッドB2へ移動する。そして、そのまま患者がベッド近傍の離床センサ4bを踏むと、ベッドB2近傍に設置されている離床センサ4bは患者の荷重を検出し、自装置の離床センサ識別情報「4b」および離床センサ4bが設置されている部屋の部屋識別情報「01」を含む離床検出信号を制御装置1へ出力する。制御装置1は、離床センサ4bから出力された離床検出信号を入力すると、入力した離床検出信号に含まれている離床センサ識別情報「4b」および部屋識別情報「01」を抽出する。そして、制御装置1は、記憶装置6を参照して、抽出した離床センサ識別情報「4b」および部屋識別情報「01」に関連付けて記憶されている照明装置識別情報「2b」および点灯情報「点灯」を取得し、取得した点灯情報の値が点灯を示すもの「点灯」であると判断する。すると、制御装置1は、取得した照明装置識別情報「2b」により特定される第一の照明装置2bおよび第二の照明装置3を消灯させ、第一の照明装置2bの点灯情報の値を、第一の照明装置2bが消灯していることを示すもの「消灯」に書き換えて記憶装置6に記憶させる。
【0030】
以上、詳しく説明したように、本実施形態の照明システムでは、患者がベッドから降りたことを離床センサ4にて検出した場合に、制御装置1は、その離床センサ4の離床センサ識別情報および部屋識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶されている照明装置識別情報を取得し、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させるようにしている。このとき、制御装置1は、点灯情報の値を、第一の照明装置2が点灯していることを示すものに書き換えて記憶装置6に記憶させるようにしている。
【0031】
その後、患者の退室を入退室センサ5にて検出した場合に、制御装置1は、入退室センサ5の部屋識別情報を取得し、取得した部屋識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶されている照明装置識別情報の中から点灯情報の値が第一の照明装置2の点灯を示すものである照明装置識別情報を取得して、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を消灯させるようにしている。このとき、制御装置1は、患者が退室していることを示す退室情報を、取得した第一の照明装置2の照明装置識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶させるとともに、点灯情報の値を、第一の照明装置2が消灯していることを示すものに書き換えて記憶装置6に記憶させるようにしている。
【0032】
そして、患者の入室を入退室センサ5にて検出した場合に、制御装置1は、入退室センサ5の部屋識別情報を取得し、取得した部屋識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶されている照明装置識別情報の中から退室情報が関連付けて記憶されているものを取得して、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させるようにしている。このとき、制御装置1は、点灯情報の値を、第一の照明装置2が点灯していることを示すものに書き換えて記憶装置6に記憶させるとともに、この照明装置識別情報に関連付けて記憶されている退室情報を記憶装置6にてリセットするようにしている。
【0033】
これにより、患者が離床して部屋から退室した場合に、点灯していた照明が消されるとともに、その経路を照明する位置が記憶されるので、患者が部屋に戻ってきたことが検出されると、少なくとも患者のベッド付近の足元と部屋の出入口付近の足元とが照明される。このことから、患者は、患者のベッドから部屋の出入口までを移動する場合だけでなく、部屋の出入口から患者のベッドまでを移動する場合にも、部屋の天井に設置されている照明装置を点灯させることなく、経路を明確に認識することができる。従って、患者は、その患者と同じ部屋で寝ている別の患者の睡眠をできるだけ妨げないようにしながら、患者のベッドと部屋の出入口との間を容易に移動することができる。
【0034】
なお、前述した実施形態では、離床センサ4は、シート状のセンサなどにより構成されているが、これに限定されない。例えば、離床センサ4が赤外線センサなどにより構成されるようにしても良い。この場合、患者がベッドを降りたことを赤外線センサで検出するようにすれば良い。
【0035】
また、前述した実施形態では、制御装置1は、施設内の患者が居る各部屋に設置されている第一の照明装置2、第二の照明装置3、離床センサ4、入退室センサ5および記憶装置6を接続して制御するようにしているが、これに限定されない。例えば、部屋毎に制御装置1を設け、制御装置1が、自装置を設けた部屋に設置されている第一の照明装置2、第二の照明装置3、離床センサ4、入退室センサ5および記憶装置6を接続して制御するようにしても良い。これにより、各構成要素が設置されている部屋を他の部屋と識別するための部屋識別情報が不要となり、記憶装置6は、部屋識別情報を記憶する必要がなくなる。従って、離床センサ4や入退室センサ5は、部屋識別情報を含まない信号を出力することになるので、離床センサ4や入退室センサ5に部屋識別情報を割り振る必要がなくなる。
【0036】
また、前述した実施形態では、第一の照明装置2は、各ベッド近傍に設置されているが、これに限定されない。例えば、第一の照明装置2と部屋の出入口に設置されている第二の照明装置3との間に第一の照明装置2を設置するようにしても良い。これにより、ベッド付近部屋の出入口との間の経路がより明確に照明されるようになるので、患者は、患者のベッドから部屋の出入口までの経路や部屋の出入口から患者のベッドまでの経路をより正確に認識することができる。
【0037】
その他、照明システムの構成、処理手順、内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除するようにしても良い。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 制御装置
2(2a〜2d) 第一の照明装置
3 第二の照明装置
4(4a〜4d) 離床センサ
5 入退室センサ
6 記憶装置
61 部屋領域
62 離床センサ領域
63 第一の照明装置領域
64 点灯領域
B1、B2、B3、B4 ベッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が使用しているベッド近傍に設置され、少なくとも前記患者の足元を照明する第一の照明装置と、
前記患者が居る部屋の出入口付近の足元部分を照明する第二の照明装置と、
前記患者が前記ベッドから離床したことを検出する離床センサと、
前記部屋の出入口付近に設置され、人が前記部屋に入退室したことを検出する入退室センサと、
前記離床センサを識別するための離床センサ識別情報、前記離床センサが設置されているベッド近傍に設置されている第一の照明装置を識別するための照明装置識別情報、および前記第一の照明装置が点灯しているか否かを示す点灯情報を関連付けて記憶する記憶装置と、
前記患者が離床したことを前記離床センサにて検出した場合に、前記記憶装置を参照して、離床を検出した離床センサの離床センサ識別情報に関連付けて記憶されている前記照明装置識別情報を取得し、取得した前記照明装置識別情報により特定される第一の照明装置および前記第二の照明装置を点灯させるとともに、特定された前記第一の照明装置が点灯していることを示す点灯情報を前記記憶装置に記憶する第一の制御と、人が前記部屋から退室したことを前記入退室センサにて検出した場合に、前記記憶装置を参照して、第一の照明装置が点灯していることを示す点灯情報に関連付けて記憶されている前記照明装置識別情報を取得し、取得した前記照明装置識別情報により特定される前記第一の照明装置および前記第二の照明装置を消灯させるとともに、点灯および消灯した第一の照明装置の前記照明装置識別情報に関連付けて患者が退室していることを示す退室情報を前記記憶装置に記憶し、前記第一の照明装置が点灯していないことを示す点灯情報を前記記憶装置に記憶する第二の制御と、人が前記部屋に入室したことを前記入退室センサにて検出した場合に、前記記憶装置を参照して、前記退室情報に関連付けて記憶されている前記照明装置識別情報を取得し、取得した前記照明装置識別情報により特定される第一の照明装置および前記第二の照明装置を点灯させ、特定された第一の照明装置が点灯していることを示す点灯情報を前記記憶装置に記憶して、前記退室情報をリセットする第三の制御とを行う制御装置と、
を備えることを特徴とする照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−138645(P2011−138645A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296637(P2009−296637)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】