説明

照明器具

【課題】寿命が長く、点滅耐久性が高く、グレアを生じず、かつ照射光を有効に使うことができる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具1は、第1の有機ELパネル51aと、第2の有機ELパネル51bと、第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bを収容するハウジング4と、第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bを点灯させる点灯回路3とを備える。第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bは、それぞれの発光面が間に空間を挟んで対向する状態で、ハウジング4内部に配置される。第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bの、少なくとも一方の有機ELパネルは、光を反射する材質から構成される反射層を備える。少なくとも一方の有機ELパネルの反射層は、他方の有機ELパネル点灯時に、他方の有機ELパネルから放射される光を反射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンスパネルを用いる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
庭園灯、燈篭または玄関灯などの照明器具には、光源として白熱電球または電球形蛍光灯を用いるものが多い。例えば、庭園灯では、白熱電球または電球形蛍光灯を透光性のグローブで覆った照明器具が多く使用されている。また、最近では、発光ダイオードや有機エレクトロルミネッセンスを用いた庭園灯も開発されている。
【0003】
例えば特許文献1には、乾電池を電源とし、発光ダイオードを光源とする庭園灯が紹介されている。該庭園灯は、好ましくは、発光ダイオードの発光輝度を時間的に変動させ、発光ダイオードをシェードで囲み、または本体部を陶磁器製とする。
【0004】
また、特許文献2には、太陽電池を用いた燈篭について記載されている。該燈篭は、太陽電池装置と、該太陽電池装置により発光するLEDなどの発光体とで構成される光学光源発光体を具備する。さらに、特許文献3には、太陽電池の出力を有効に利用し、悪天候の続く時期でも照明できるソーラ庭園灯が紹介されている。該ソーラ庭園灯は、制御装置により点灯が制御される蛍光灯およびエレクトロルミネッセンスを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−319504号公報
【特許文献2】特開2009−026724号公報
【特許文献3】特開平06−181003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、庭園灯、燈篭または玄関灯などの照明器具には、光源として白熱電球または電球形蛍光灯が多く使用されている。しかし、白熱電球は寿命が短いため交換などのメンテナンス上の手間がかかる。また、電球形蛍光灯にも点滅耐久性が低いという問題がある。
【0007】
特許文献1および2には、光源として発光ダイオードを用いた庭園灯などの照明器具が記載されている。しかし、発光ダイオードは、点光源であるためグレアが発生し易いという問題がある。有機ELは面発光光源であるためグレアの問題は起こらないが、有機ELを単独で光源として用いた場合には、用途によっては充分な明るさを得ることができない場合がある。そのため、特許文献3に記載されている庭園灯のように、有機ELを蛍光灯の補助光源手段として用いざるを得ない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、寿命が長く、点滅耐久性が高く、グレアが生じず、かつ照射光を有効に使うことができる照明器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る照明器具は、少なくとも第1の有機ELパネルと、第2の有機ELパネルと、前記第1の有機ELパネルおよび前記第2の有機ELパネルを収容するハウジングと、前記第1の有機ELパネルおよび前記第2の有機ELパネルを点灯させる点灯回路とを備え、
前記第1の有機ELパネルおよび前記第2の有機ELパネルは、それぞれの発光面が間に空間を挟んで対向する状態で、前記ハウジング内部に配置され、
前記第1の有機ELパネルまたは前記第2の有機ELパネルの、少なくとも一方の有機ELパネルは、光を反射する材質から構成される反射層を備え、
前記少なくとも一方の有機ELパネルの前記反射層は、他方の有機ELパネルの点灯時に、前記他方の有機ELパネルから放射された光を反射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の照明器具によれば、寿命が長く、点滅耐久性が高く、グレアを生じさせず、かつ照射光を有効に使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明器具の構成例を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る第1の有機ELパネルの構成例を示す部分断面図である。
【図3】実施の形態1に係る第2の有機ELパネルの構成例を示す部分断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る照明器具の構成例を示す斜視図である。
【図5】実施の形態2に係る第1の有機ELパネルの構成例を示す部分断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る照明器具の構成例を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態の変形例1に係る照明器具の構成例を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態の変形例2に係る照明器具の構成例を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例3に係る照明器具の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付す。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明器具の斜視図を示す。照明器具1は、支柱2と、点灯回路3と、ハウジング4と、第1の有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機EL)パネル51aと、第2の有機ELパネル51bとから構成されている。照明器具1は、庭などに設置される庭園灯である。
【0014】
支柱2は、庭などに設置する際に照明器具1の土台となる部分であり、内部には点灯回路3が内蔵されている。後に詳説するが、点灯回路3は第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bを点灯させるための回路である。また、支柱2の上部にはハウジング4が配置されている。ハウジング4は、直方体の下面が開口したような形状であり、例えば該開口と支柱2の上面が嵌合することによって支柱2の上部に取り付けられる。なお、ハウジング4は、光を透過する材質、例えばガラスまたはアクリルなどで形成されている。
【0015】
ハウジング4の内部には、第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bが収容されている。第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bは、有機EL素子を含む矩形状の面発光光源である。各有機ELパネルは、ハウジング4の下面の開口から挿入され、第1の有機ELパネル51aはハウジング4内部の上面に沿って、第2の有機ELパネル51bはハウジング4内部の開口近くの下方に設置される。なお、第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bは、それぞれの発光面が間に空間を挟んで対向する状態で設置される。
【0016】
なお、設置方法は、各有機ELパネルを固定できればどのような方法でも構わない。また、図示していないが、第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bには電極部が形成されており、各電極部と前述した点灯回路3とが電気的に接続するよう適宜配線がなされている。
【0017】
例えば、第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bの周縁に形成された電極部と嵌合するように、ハウジング4内部に導電性の材料により凹部を形成する。凹部には配線を行い、点灯回路3と電気的に接続しておく。すると、各有機ELパネルを固定すると同時に電気的な配線も行うことができる。
【0018】
図2は、実施の形態1に係る第1の有機ELパネルの部分断面図を示す。第1の有機ELパネル51aは、基板6と、陰極層7と、有機層8と、陽極層9と、封止層10とが順次積層され形成されている。なお、図2は、上方がハウジング4上面側であり、下方がハウジング4内部側として描かれている。図3は、実施の形態1に係る第2の有機ELパネルの部分断面図を示す。第2の有機ELパネル51bも、基板6と、陰極層7と、有機層8と、陽極層9と、封止層10とが順次積層され形成されている。なお、図3は、上方がハウジング4内部側であり、下方がハウジング4下方開口部側として描かれている。
【0019】
基板6は、例えば、透光性を有するガラス基材から構成される。陰極層7は、例えば、アルミニウム、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウムまたは銀などの光を反射する金属材料から構成される。有機層8は、有機化合物または錯体の1以上の層から構成され、発光層を含む。例えば、陽極層9と接する正孔輸送層、発光材料で形成された発光層、陰極層7と接する電子輸送層等から構成される。また、フッ化リチウム層、無機金属塩の層またはそれらを含有する層などが、任意の位置に形成されていてもよい。発光層は少なくとも一種の発光材から形成され、蛍光発光性化合物または燐光発光性化合物などが用いられる。
【0020】
陽極層9は、例えばインジウムチンオキサイド(ITO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、金、酸化スズまたは酸化亜鉛などの導電材料から構成される透明電極が形成された層である。封止層10は、有機層8を封止して外部雰囲気から遮断するための透湿防止層(ガスバリア層)であり、光透過性を有する材料から形成される。
【0021】
以下、第1の有機ELパネル51aまたは第2の有機ELパネル51bの点灯時について説明する。なお、点灯回路3は、第1の有機ELパネル51aまたは第2の有機ELパネル51bを、それぞれ個別に点灯できるよう予め設計されている。
【0022】
まず、第1の有機ELパネル51aを点灯した場合について説明する。外部から電源が供給されると、有機層8中の発光層が発光する。有機層8から発せられた光は、直接陽極層9および封止層10の側へ、または陰極層7により反射されて、図2の矢印に示すように放射される。前述したように、第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bは、それぞれの発光面が間に空間を挟んで対向する状態で設置されている。そのため、図1の矢印に示すように、第1の有機ELパネル51aからの光は、第2の有機ELパネル51bに向かって放射され、第2の有機ELパネル51bの陰極層7により反射される。すなわち、第2の有機ELパネル51bの陰極層7が第1の有機ELパネル51aからの光の反射層として機能する。そのため、照射光を有効に使うことができ、対向する反射板がない状態で、同じ有機ELパネルを照射する場合よりも明るさが増す。
【0023】
第2の有機ELパネル51bを点灯した場合についても同様である。有機層8から発せられた光は直接陽極層9および封止層10の側へ、または陰極層7により反射されて、図3の矢印に示すように放射される。さらに、図1の矢印に示すように、第2の有機ELパネル51bからの光は、第1の有機ELパネル51aに向かって放射され、第1の有機ELパネル51aの陰極層7により反射される。すなわち、第1の有機ELパネル51aの陰極層7が第2の有機ELパネル51bからの光の反射層として機能する。
【0024】
第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bの両方を点灯した場合について説明する。両有機ELパネル51a,51bは、それぞれの発光面が対向する状態で配置されている。したがって、第1の有機ELパネル51aおよび第2の有機ELパネル51bの陰極層7は、当該有機ELパネルの有機層8からの光だけでなく、他方の有機ELパネルの有機層8からの光をも反射する。そのため、照射光を有効に使うことができ、対向する反射板がない状態で、同じ有機ELパネルを2つ並べて照射させた場合よりも明るさが増す。さらに、同場合よりも照明器具自体をコンパクトに設計することができる。
【0025】
本実施の形態1に係る照明器具1では、有機ELパネルを光源として用いている。そのため、白熱電球よりも寿命が長く、電球形蛍光灯よりも点滅耐久性が高く、かつ発光ダイオードよりも柔らかな光を出すことができ、グレアを生じない。
【0026】
また、本実施の形態1に係る照明器具1では、反射層となる陰極層7を有する2つの有機ELパネルが、それぞれの発光面が対向する状態で、ハウジング4内部に配置されている。そのため、それぞれの有機ELパネルからの照射光を有効に使うことができる。
【0027】
また、本実施の形態1に係る照明器具1では、有機ELパネルを2つ備え、それぞれ個別に点灯できるよう点灯回路3が設計されており、両有機ELパネル51a,51b、第1の有機ELパネル51aのみ、または、第2の有機ELパネル51bのみの3パターンの照射ができる。そのため、照明器具1の設置場所である庭園などの雰囲気に合わせた照射を楽しむことができる。
【0028】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、第1の有機ELパネル52aが両面発光のパネルである場合について述べる。
【0029】
図4は、本発明の実施の形態2に係る照明器具の斜視図を示す。照明器具1は、支柱2と、点灯回路3と、ハウジング4と、第1の有機ELパネル52aと、第2の有機ELパネル52bとから構成されている。支柱2、点灯回路3およびハウジング4については実施の形態1と同様である。また、各有機ELパネルのハウジング4内での配置場所についても実施の形態1と同様である。
【0030】
図5は、実施の形態2に係る第1の有機ELパネルの部分断面図を示す。第1の有機ELパネル52aは、基板6と、陰極層7と、有機層8と、陽極層9と、封止層10とが順次積層され形成されている。なお、図5は、上方がハウジング4上面側であり、下方がハウジング4内部側として描かれている。基板6、有機層8、陽極層9および封止層10の材料などの詳細については実施の形態1と同様である。
【0031】
本実施の形態2では、陰極層7は、陽極層9と同様に、インジウムチンオキサイド(ITO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、金、酸化スズまたは酸化亜鉛などの導電材料から構成される透明電極が形成された層である。すなわち、第1の有機ELパネル52aは両面発光のパネルである。なお、第2の有機ELパネル52bについては、図3に示す実施の形態1の第2の有機ELパネル51bの構造と同一であり、陰極層7は光を反射する金属材料などから構成される。
【0032】
以下、第1の有機ELパネル52aまたは第2の有機ELパネル52bの点灯時について説明する。なお、点灯回路3は、第1の有機ELパネル52aまたは第2の有機ELパネル52bを、それぞれ個別に点灯できるよう予め設計されている。
【0033】
第1の有機ELパネル52aを点灯した場合について説明する。外部から電源が供給されると、有機層8中の発光層が発光する。前述したように、本実施の形態2では陰極層7は透明電極層である。そのため、図5の矢印に示すように、有機層8から発せられた光は陽極層9および封止層10の側へ、または陰極層7および基板6の側へ放射される。実施の形態1と同様に、陽極層9および封止層10の側へ放射された光は、第2の有機ELパネル52bに向かって放射され、第2の有機ELパネル52bの陰極層7により反射される。
【0034】
すなわち、第2の有機ELパネル52bの陰極層7が第1の有機ELパネル52aからの光の反射層として機能する。その結果、照射光を有効に使うことができ、対向する反射板がない状態で、同じ有機ELパネルを照射する場合よりも明るさが増す。また、図4の矢印に示すように、陰極層7および基板6の側から放射された光は、照明器具1の上面から透過する。そのため、照明器具1の上方へも光を照射することができる。
【0035】
第2の有機ELパネル52bを点灯した場合について説明する。前述したとおり、第2の有機ELパネル52bについては、図3に示す実施の形態1の第2の有機ELパネル51bの構造と同一である。有機層8から発せられた光は、直接陽極層9および封止層10の側へ、または陰極層7により反射されて、図3の矢印に示すように放射される。第1の有機ELパネル52aは両面発光のパネルであるのに対し、第2の有機ELパネル52bは実施の形態1と同様に片面発光のパネルである。
【0036】
さらに、図4の矢印に示すように、第2の有機ELパネル52bからの光は、第1の有機ELパネル52aに向かって放射される。第1の有機ELパネル52aの陰極層7は透明電極層であるため、反射されず光は透過する。その結果、照明器具1の上方へも光を照射することができる。
【0037】
第1の有機ELパネル52aおよび第2の有機ELパネル52bの両方を点灯する場合について説明する。第2の有機ELパネル52bの陰極層7は、当該第2の有機ELパネル52bの有機層8からの光だけでなく、第1の有機ELパネル52aの有機層8からの光をも反射する。そのため、照射光を有効に使うことができ、対向する反射板がない状態で、同じ有機ELパネルを2つ並べて照射させた場合よりも明るさが増す。さらに、同場合よりも照明器具自体をコンパクトに設計することができる。また、第1の有機ELパネル52aの陰極層7は透明電極層であるため、光を透過し、照明器具1の上方へも光を照射することができる。
【0038】
本実施の形態2に係る照明器具1では、有機ELパネルを光源として用いている。そのため、白熱電球よりも寿命が長く、電球形蛍光灯よりも点滅耐久性が高く、かつ発光ダイオードよりも柔らかな光を出すことができ、グレアを生じない。
【0039】
本実施の形態2に係る照明器具1では、透明電極層である陰極層7を有する第1の有機ELパネル52aと、反射層となる陰極層7を有する第2の有機ELパネル52bとが、それぞれの発光面が対向する状態で、ハウジング4内部に配置されている。そのため、第1の有機ELパネル52aからの照射光を有効に使うことができる。かつ、照明器具1の上方へも光を照射することができる。
【0040】
また、本実施の形態2に係る照明器具1では、有機ELパネルを2つ備え、それぞれ個別に点灯できるよう点灯回路3が設計されており、両有機ELパネル52a,52b、第1の有機ELパネル52aのみ、または、第2の有機ELパネル52bのみの3パターンの照射ができる。そのため、照明器具1の設置場所である庭園などの雰囲気に合わせた照射を楽しむことができる。
【0041】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、有機ELパネルを4枚用いる場合について述べる。
【0042】
図6は、本発明の実施の形態3に係る照明器具の斜視図を示す。照明器具1は、支柱2と、点灯回路3と、ハウジング4と、第1の有機ELパネル53aと、第2の有機ELパネル53bと、第3の有機ELパネル53cと、第4の有機ELパネル53dとから構成されている。支柱2、点灯回路3およびハウジング4については実施の形態1と同様である。また、各有機ELパネルのハウジング4内での配置場所については、第1の有機ELパネル53aはハウジング4内部の上面に沿って、第2の有機ELパネル53bはハウジング4の開口部近くの下方に設置される。第3の有機ELパネル53cまたは第4の有機ELパネル53dは、その間に挟まれた空間に、それぞれの発光面が対向する状態で設置される。
【0043】
第1の有機ELパネル53aは、図2に示す実施の形態1の第1の有機ELパネル51aの構造と同一である。第2の有機ELパネル53bは、図3に示す実施の形態1の第2の有機ELパネル51bの構造と同一である。両有機ELパネル53a,53bの陰極層7は光を反射する金属材料などから構成される。
【0044】
一方、第3の有機ELパネル53cおよび第4の有機ELパネル53dは、図5に示す実施の形態2の第1の有機ELパネル52aの構造と同一である。両有機ELパネル53c,53dの陰極層7は透明電極層である。以下、各有機ELパネルの点灯時について説明する。なお、点灯回路3は、各有機ELパネルを、それぞれ個別に点灯できるよう予め設計されている。
【0045】
第1の有機ELパネル53aを点灯した場合について説明する。有機層8から発せられた光は、直接陽極層9および封止層10の側へ、または陰極層7により反射されて、図2の矢印に示すように放射される。図6の矢印に示すように、第1の有機ELパネル53aからの光は、第3の有機ELパネル53cおよび第4の有機ELパネル53dを透過する。さらに、透過した光は第2の有機ELパネル53bの陰極層7に反射される。その結果、照射光を有効に使うことができ、対向する反射板がない状態で、同じ有機ELパネルを照射する場合よりも明るさが増す。
【0046】
第2の有機ELパネル53bを点灯した場合も同様である。有機層8から発せられた光は、直接陽極層9および封止層10の側へ、または陰極層7により反射されて、図3の矢印に示すように放射される。図6の矢印に示すように、第2の有機ELパネル53bからの光は、第4の有機ELパネル53dおよび第3の有機ELパネル53cを透過する。さらに、透過した光は第1の有機ELパネル53aの陰極層7に反射される。その結果、照射光を有効に使うことができ、対向する反射板がない状態で、同じ有機ELパネルを照射する場合よりも明るさが増す。
【0047】
第3の有機ELパネル53cまたは第4の有機ELパネル53dを点灯した場合について説明する。図5の矢印に示すように、有機層8から発せられた光は陽極層9および封止層10の側へ、または陰極層7および基板6の側へ放射される。図6の矢印に示すように、両有機ELパネルからの光は、第3の有機ELパネル53cまたは第4の有機ELパネル53dを透過した後に、もしくは直接に、第1の有機ELパネル53aまたは第2の有機ELパネル53bの陰極層7に反射される。その結果、照射光を有効に使うことができ、対向する反射板がない状態で、同じ有機ELパネルを照射する場合よりも明るさが増す。
【0048】
本実施の形態3に係る照明器具1では、有機ELパネルを光源として用いている。そのため、白熱電球よりも寿命が長く、電球形蛍光灯よりも点滅耐久性が高く、かつ発光ダイオードよりも柔らかな光を出すことができ、グレアを生じない。
【0049】
本実施の形態3に係る照明器具1では、反射層となる陰極層7を有する第1の有機ELパネル53aおよび第2の有機ELパネル53bと、透明電極層である陰極層7を有する第3の有機ELパネル53cと第4の有機ELパネル53dとを、それぞれの発光面が対向する状態で、ハウジング4内部に配置されている。そのため、各有機ELパネルからの照射光を有効に使うことができる。
【0050】
また、本実施の形態3に係る照明器具1では、有機ELパネルを4つ備え、それぞれ個別に点灯できるよう点灯回路3が設計されており、多数のパターンの照射ができる。そのため、照明器具1の設置場所である庭園などの雰囲気に合わせた照射を楽しむことができる。
【0051】
本実施の形態に係る照明器具1、各有機ELパネルおよびハウジング4の形状は一例であり、図に示した形状に限られない。特に、各有機ELパネルおよびハウジング4の形状は、円形、多角形、楕円形、これらの立体形状またはその他いずれの形状であっても適用でき、各有機ELパネルの形状が同一形状でなくてもよい。さらに、ハウジング4の形状は、1面が開口した直方体形状でなくとも、2つの有機ELパネルを空間を挟んで収容できる形状であればよく、例えば筒状の囲いのような形状でも構わない。また、有機ELパネルの位置・数、または片面発光のパネルと両面発光のパネルとの組み合わせについても図に示した形態に限られない。
【0052】
図7は、本発明の実施の形態の変形例1に係る照明器具の斜視図を示す。有機ELパネルの形状については、実施の形態1ないし3では水平な面の矩形状のパネルの場合について述べたが、パネルが屈曲していても構わない。屈曲していても2つの有機ELパネルの主たる面が対向し、一方の有機ELパネルが有する陰極層7が、他方の有機ELパネルからの光を反射できればよい。照明器具1は、支柱2と、点灯回路3と、ハウジング4と、第1の有機ELパネル54aと、第2の有機ELパネル54bとから構成されている。
【0053】
図7に示すように、第1の有機ELパネル54aまたは第2の有機ELパネル54bは、ハウジング4内部に向かって湾曲した矩形状の有機ELパネルである。両有機ELパネル54a,54bの積層構造については、図1ないし図3に示す実施の形態1と同様である。なお、有機ELパネルを湾曲させるため、有機ELパネルの基板6には、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)などの透光性を有するフレキシブルなフィルム状の基材を用いる。
【0054】
第1の有機ELパネル54aまたは第2の有機ELパネル54bを点灯すると、図7の矢印に示すように、湾曲した面から光が照射される。照射された光のうち他方の有機ELパネルに向かった光は、該有機ELパネルの陰極層7に反射される。そのため、照射光を有効に使うことができ、対向する反射板がない状態で、同じ有機ELパネルを照射する場合よりも明るさが増す。また、一部の光は直接ハウジング4外部に照射される。このように、光の照射方向を変化させることができ、水平面の有機ELパネルを用いる場合とは異なる照明の雰囲気を楽しむことができる。
【0055】
図8は、本発明の実施の形態の変形例2に係る照明器具の斜視図を示す。照明器具1の形状については、実施の形態1ないし3ではスタンド型の庭園灯の場合について述べたが、どのような形状の照明器具1でも適用できる。照明器具1は、玄関などの壁に設置される照明器具であり、支柱2と、ハウジング4と、傘部材11と、第1の有機ELパネル55aと、第2の有機ELパネル55bとから構成されている。図示していないが、点灯回路3は例えば壁面内部または傘部材11に内蔵されている。
【0056】
支柱2は壁面に固定されており、ハウジング4を支えている。ハウジング4は下面の大きさが上面の大きさよりも小さく、テーパ状となっている。このように各有機ELパネルの大きさ・形状が異なる場合でも、本発明を適用することができる。また、傘部材11はハウジング4上部に配置されている。この場合には、ハウジング4内部上方の有機ELパネル(第1の有機ELパネル55a)を、図2に示す構造の片面発光のパネルとする方が適している。ハウジング4内部下方の有機ELパネル(第2の有機ELパネル55b)は、図8では図3に示す構造の片面発光のパネルとして描いているが、下面から光が透過するよう図5に示す構造の両面発光のパネルとしてもよい。このように、スタンド型庭園灯照明以外でも、玄関灯照明、埋込型照明さらには携帯型照明などのその他の一般照明にも適用できる。
【0057】
図9は、本発明の実施の形態の変形例3に係る照明器具の斜視図を示す。有機ELパネルの位置については、実施の形態1ないし3ではハウジング4内部の上方(上面に沿って)または下方に配置されている場合について述べたが、両有機ELパネルのそれぞれの発光面が間に空間を挟んで対向する状態で配置されていればどのような位置でも構わない。照明器具1は、玄関などの壁に設置される照明器具であり、支柱2と、ハウジング4と、第1の有機ELパネル56aと、第2の有機ELパネル56bとから構成されている。図示していないが、点灯回路3は例えば壁面内部または支柱2に内蔵されている。
【0058】
第1の有機ELパネル56aは図5に示す構造の両面発光のパネルであり、ハウジング4内部の1つの側面に沿って配置されている。第2の有機ELパネル56bは図2または図3に示す構造の片面発光のパネルであり、ハウジング4内部の前述した側面に対向する側面に沿って配置されている。このように、各有機ELパネルの配置は、それぞれの発光面が間に空間を挟んで対向する状態で配置されていればどのような位置でも構わない。
【0059】
本実施の形態1ないし3では陰極層7が反射層としても機能する場合について述べたが、陰極層7とは別に光を反射する材質から構成される層を備えてもよい。また、点灯回路3は、各有機ELパネルを同時にのみ点灯できるよう設計されていてもよい。さらに、供給する電流を変化させ、有機ELパネルから発せされる光を調光できるよう点灯回路3が設計されていてもよい。また、各有機ELパネルから発せられる光の色を変化させてもよい。
【0060】
本実施の形態1ないし3では、両有機ELパネルの構造がトップエミッション型の場合について述べたが、ボトムエミッション型でも構わない。
【0061】
発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されることはなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
【0062】
その他、本発明の好適な変形として、以下の構成が含まれる。
【0063】
本発明に係る照明器具について、好ましくは、前記第1の有機ELパネルおよび前記第2の有機ELパネルは、少なくとも基板と、陰極層と、有機層と、陽極層と、封止層とを備え、
前記反射層は、前記陰極層であることを特徴とする。
【0064】
また、好ましくは、前記第1の有機ELパネルおよび前記第2の有機ELパネルは、いずれも前記反射層を備えることを特徴とする。
【0065】
さらに好ましくは、前記第1の有機ELパネルまたは前記第2の有機ELパネルは、前記ハウジング内部の上方または下方に配置されることを特徴とする。
【0066】
また、好ましくは、前記点灯回路は、前記第1の有機ELパネルまたは前記第2の有機ELパネルを、それぞれ個別に点灯できるよう設計されていることを特徴とする。
【0067】
さらに好ましくは、該照明器具は、庭園灯、玄関灯または燈篭であることを特徴とする。
【符号の説明】
【0068】
1 照明器具
2 支柱
3 点灯回路
4 ハウジング
51a,52a,53a,54a,55a,56a 第1の有機ELパネル
51b,52b,53b,54b,55b,56b 第2の有機ELパネル
53c 第3の有機ELパネル
53d 第4の有機ELパネル
6 基板
7 陰極層
8 有機層
9 陽極層
10 封止層
11 傘部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の有機ELパネルと、第2の有機ELパネルと、前記第1の有機ELパネルおよび前記第2の有機ELパネルを収容するハウジングと、前記第1の有機ELパネルおよび前記第2の有機ELパネルを点灯させる点灯回路とを備え、
前記第1の有機ELパネルおよび前記第2の有機ELパネルは、それぞれの発光面が間に空間を挟んで対向する状態で、前記ハウジング内部に配置され、
前記第1の有機ELパネルまたは前記第2の有機ELパネルの、少なくとも一方の有機ELパネルは、光を反射する材質から構成される反射層を備え、
前記少なくとも一方の有機ELパネルの前記反射層は、他方の有機ELパネルの点灯時に、前記他方の有機ELパネルから放射された光を反射することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記第1の有機ELパネルおよび前記第2の有機ELパネルは、少なくとも基板と、陰極層と、有機層と、陽極層と、封止層とを備え、
前記反射層は、前記陰極層であることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記第1の有機ELパネルおよび前記第2の有機ELパネルは、いずれも前記反射層を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記第1の有機ELパネルまたは前記第2の有機ELパネルは、前記ハウジング内部の上方または下方に配置されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記点灯回路は、前記第1の有機ELパネルまたは前記第2の有機ELパネルを、それぞれ個別に点灯できるよう設計されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
該照明器具は、庭園灯、玄関灯または燈篭であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−9385(P2011−9385A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150325(P2009−150325)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】