説明

照明器具

【課題】均一発光の効率を向上でき、断線の虞がなく、効率的に放熱できる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10は、同一平面上に配置される複数の第1LED20と、第1LED20の間から照射するように、第1LED20よりも奥まった位置に配置される複数の第2LED25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井面に取り付けられるシーリングライト等に適用される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被写体を照らす少なくとも一つの照明モジュールが、ハウジング内に収容され、光源と光学手段とを有する照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、照明モジュールが、少なくとも1つのLEDおよびLEDと協働する光学系を有する少なくとも2つの異なる種類の照明ユニットを有する。
特許文献1は、LEDおよび光学系が、光源および光学手段を各々構成する一方、照明ユニットが、動作中被写体の対応する一部を照らし、LEDが、動作中一定の光束を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4014227号公報(図2、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、LEDにより発生された光をより効率よく利用できる。
特許文献1は、LEDと、LEDと協働する光学系がハウジング内に設けられているために、任意に照らす方向や範囲をあらかじめ決めることができる。
特許文献1は、配光に関して、各照明モジュールの光束の制御または、ある照明モジュールの個別の照明ユニットの光束の制御を通じてフレキシブルに調整できる。
【0005】
しかし、特許文献1は、以下の三つの課題を有する。
課題の一つ目は、均一な配光を行ったうえで、その均一配光上に別の照射光をさらに施すことができるものの、個々の照明モジュールが同一基板に取付けられている。
そのため、同一の基板の中から均一発光のための照明モジュールと、別の照射のための照明モジュールとを選択する必要が生じ、別の照射の真下をカバーするので、均一発光の効率が悪くなることである。
課題の二つ目は、均一配光やスポット光を生成するために、照明モジュールを適宜可動して調整する必要があるために、LEDの点灯のための配線に可動部分が生じて断線しやすくなることである。
課題の三つ目は、同一の基板上に光源が並ぶために、放熱を効率的に行えないことである。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、均一発光の効率を向上でき、断線の虞がなく、効率的に放熱できる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明器具は、同一平面上に配置される複数の第1LEDと、前記第1LEDの間から照射するように、前記第1LEDよりも奥まった位置に配置される複数の第2LEDとを備える。
【0008】
本発明に係る照明器具は、前記第1LEDを取り付けるための取付部材に開口部を有し、前記第2LEDは、前記取付部材の前記開口部に対応する位置に配置される。
【0009】
本発明に係る照明器具は、前記取付部材が、凹凸断面を有し、前記取付部材の凸面に前記第1LEDを配置し、前記取付部材の凹面に前記第2LEDを配置する。
【0010】
本発明に係る照明器具は、前記取付部材が、熱伝導性を有する材料で成形される。
【0011】
本発明に係る照明器具は、前記第1LEDを全点灯または調光させる第1点灯回路と、前記第2LEDを全点灯または調光させる第2点灯回路とを備える。
【0012】
本発明に係る照明器具は、前記第1LEDと前記第2LEDとは、異なる種類である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る照明器具によれば、均一発光の効率を向上でき、断線の虞がなく、効率的に放熱できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明器具の斜め上方から視た分解斜視図
【図2】本発明に係る第1実施形態の照明器具の回路構成図
【図3】本発明に係る第1実施形態の照明器具の点灯シーケンス図
【図4】本発明に係る第1実施形態の照明器具の第1LEDの点灯時の配光特性図
【図5】本発明に係る第1実施形態の照明器具の第1LEDと第2LEDとの点灯時の配光特性図
【図6】本発明に係る第2実施形態の照明器具のLED周りの外観斜視図
【図7】本発明に係る第2実施形態の照明器具の垂直断面図
【図8】本発明に係る第3実施形態の照明器具のLED周りの垂直断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る複数の実施形態の照明器具について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の照明器具10は、外枠12および天板13からなる器具本体11を備えてシーリングライトに適用される。
照明器具10は、天板13の下面に取り付けられる第1LED基板15を有する第1LEDユニット14を備える。
照明器具10は、第1LEDユニット14の第1LED基板15の上面に取り付けられる第2LED基板17を有する第2LEDユニット16と、外枠12に取り付けられる透過性を有するカバー18とを備える。
【0016】
器具本体11は、天板13の上面の中央部に、不図示の天井面に設置されている同じく不図示の引掛シーリングに機械的および電気的に接続される取付アダプタ19が取り付けられる。
第1LEDユニット14の第1LED基板15は、器具本体11の天板13に相似する四角形の板形状に形成された取付部材であって、熱伝導性を有する材料で成形されており、下面に複数の第1LED20が封止される。
第1LED基板15は、側縁部に第1点灯回路21と第2点灯回路22とが取り付けられる。
第1LED基板15は、第1点灯回路21および第2点灯回路22とともに、取付アダプタ19から配線が引き回されることなく配策される。
第1LED基板15は、第1LED20に対応しない位置に、複数の開口部23を有する。
第1LED基板15は、その四隅に支持部材24の下端部が取り付けられる。支持部材24は、あらかじめ定められた高さ寸法を有する棒部材であって、熱伝導性を有する材料で成形される。
支持部材24は、上端部が器具本体11の天板13の下面の四隅に取り付けられる。支持部材24は、熱伝導性を有するために、同じく熱伝導性を有する第1LED基板15に生じた第1LED20の熱を天板13に効率よく伝播できる。
【0017】
第2LEDユニット16の第2LED基板17は、第1LED15よりも小さい外形で略コ字形状に形成された取付部材であって、熱伝導性を有する材料で成形されており、下面に複数の第2LED25が封止される。
第2LED25は、第1LED20に対して奥まって配置される。
第2LED基板17は、第1LED基板15および上方の空間を通じて器具本体11の天板13に放熱経路を有する。
第2LED基板17は、取付アダプタ19から配線が引き回されることなく配策される。
第2LED基板17は、その下面において、第2LED25を囲むように、略半球形状に形成された反射板26の上端頂部が取り付けられる。
反射板26は、第1LED基板15の開口部23に一致して第1LED基板15に下端部が取り付けられる。
反射板26は、第2LED基板17および第1LED基板15に熱的に接続される。
そのため、反射板26が第2LED基板17および第1LED基板15の放熱経路になる。
【0018】
図2に示すように、照明器具10は、商用交流電源ACに第1点灯回路21と第2点灯回路22とが並列に接続される。
第1点灯回路21が駆動されることにより、第1LED20に電流i1が流れる。
第2点灯回路22が駆動されることにより、第2LED25に電流i2が流れる。
このとき、第1LED20のみを点灯したり、第2LED25のみを点灯したりすることにより、様々なパターンの配光が利用できる。
【0019】
第1点灯回路21および第2点灯回路22は、個別に調光してもよく、例えば、0から100%の調光比まで可変できる。
なお、第1点灯回路21は、複数の第1LED20のうちの選択されたものを任意に調光したり、消灯したりするようにできる。
また、同様にして、第2点灯回路22は、複数の第2LED25のうちの選択されたものを任意に調光したり、消灯したりするようにできる。
【0020】
図3に示すように、照明器具10は、第1点灯回路21が、時点Tの以後の時点Tにおいて、第1LED20を100%で点灯させる。
また、第1点灯回路21は、時点Tの以後の時点Tおよび時点Tにおいて、第1LED20を100%〜0の間で任意に調光させる。
そして、第2点灯回路22は、第1点灯回路21に独立して、時点Tから時点Tまでの間に、第2LED20を0〜100%〜0の間で任意に調光させる。
さらに、第2点灯回路22は、第2LED25を時点Tにおいて点灯させ、以後の時点Tまでの間に第2LED25を100%〜0の間で任意に調光させる。
加えて、第2点灯回路22は、時点Tの以後に、第2LED25を3%のレベルで点灯させる常夜灯モードを行う。
【0021】
このとき、第1LED20を白色に、これとは異なり、第2LED25を電球色にそれぞれ設定することにより、白色のベース光の中に、時点T〜時点Tの間だけ、電球色のスポットを生成できる。
なお、第1LED20と第2LED25とは、それぞれの種類が反対であってもよく、それらが、第1LED基板15および第2LED基板17に混在するようにしてもよい。
【0022】
次に、照明器具10の詳細構造および配向特性について説明する。
図4に示すように、第1点灯回路21により第1LED20のみが点灯される。
第1LED20が出射した光は、カバー18を通じて床面である照射面を照射する。
このとき、第2LED25は、点灯されていない。
そのため、第1LED20からの光のみによる配光特性の照射範囲A1が生成される。
照射範囲A1は、均一な照度を取得できる。
【0023】
図5に示すように、第1点灯回路21により第1LED20が点灯されると同時に、第2点灯回路22により第2LED25が点灯される。
第1LED20が出射した光は、カバー18を通じて床面である照射面を照射する。
第2LED25が出射した光は、反射板26により反射されて集光され、第1LED基板15の開口部23およびカバー18を通じて床面である照射面を照射する。
そのため、第1LED20からの光による配光特性の照射範囲A1の中に、第2LED25からの光によるスポット光の配光特性の照射範囲A2が生成される。
これにより、ユーザーは、同一のカバー18を通して異なる配光を取得できる。
そのため、カバー18の部分以外に、スポット光を生成するためのランプ等を追加する必要がなく、外観面ですっきりとした意匠でありながら、複雑な配光を生成できる。
なお、反射板26に代えて、レンズ等を用いてもよく、反射板26にレンズ等を加えてもよい。
【0024】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明器具10によれば、第1LED20よりも奥まった位置に第2LED25が配置されるために、照射のための効率を低下させずに、第1LED20および第2LED25により同一箇所を照らすことができる。
また、照明器具10によれば、第1LED20のみ、または、第2LED25のみ、あるいは、第1LED20および第2LED25の色々な配光パターンが可能となり、任意に設定できる。
そして、照明器具10によれば、奥まった位置の第2LED25に反射板26を装着しても、第1LED20の配光を妨げ難い。
さらに、照明器具10によれば、第1LED20の放熱経路と、第2LED25の放熱経路とが異なるために、効率的に放熱できる。
加えて、照明器具10によれば、カバー18を開けても、第2LED25および反射板26をユーザーが直接触れることがないため、発光効率の低下の抑制ができ、配光特性の変動がない。
さらに加えて、照明器具10によれば、第1LED基板15および第2LED基板17が配線を引き回すことなく配策されるために、断線の虞がない。
【0025】
照明器具10によれば、第2LED25が開口部23に対応して配置されるために、第1LED20の光を損失することなく、第2LED20の光を同一方向に照射できる。
また、照明器具10によれば、第1LED基板15の開口部23を第2LED基板17の反射板26の固定に利用できるために、部品点数を減少できる。
そして、照明器具10によれば、第1LED20の間に開口部23を配置したことにより、第2LED25に干渉することなく、第1LED20のみで均一な配光を容易に達成できる。
加えて、照明器具10によれば、反射板26により、第2LED25の熱を効率的に放熱できる。
【0026】
照明器具10によれば、第1LED基板15および第2LED基板17により、第1LED20および第2LED25の放熱を良好にできるために、第1LED20および第2LED25を延命できる。
また、照明器具10によれば、第1LED基板15により、第1点灯回路21および第2点灯回路22を放熱できる。
【0027】
照明器具10によれば、第1LED20および第2LED25が調光可能であるために、同一の配光中心であっても、照度や照射範囲を変更することができ、演出効果を向上できる。
【0028】
照明器具10によれば、第1LED20と第2LED25とを異なる種類にすることにより、配向に加えて、配色も任意に変更できる。
また、照明器具10によれば、第1LED20および第2LED25のうち、点灯や調光するものを任意に選択することにより、配光切替による演出のバリエーションをさらに多くできる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明器具について説明する。
なお、以下の各実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0030】
図6に示すように、本発明に係る第2実施形態の照明器具30は、第1LED基板の機能と第2LED基板の機能とを有するLED基板31を備える。
LED基板31は、例えば金属材料や樹脂材料の成型しやすい材料により成形される。
図7に示すように、LED基板31は、凹面32と凸面33とからなる凹凸断面を有し、凹面32の下面に第1LED20が配置され、凸面33の下面に第2LED25が配置される。
【0031】
照明器具30によれば、LED基板31を、一枚の板金を折り曲げて凹凸を作りだすことができるので、部材を低コストで供給できる。
また、照明器具30によれば、LED基板31が、平坦な基板よりも、強度的に強くできる。同じ強度であれば、板の肉厚を薄くできるために、重量面で有利にできる。
そして、照明器具30によれば、平らな基板に比べて表面積が拡大するために、放熱性を向上できる。
【0032】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の照明器具について説明する。
図8に示すように、本発明に係る第3実施形態の照明器具40は、第1凸面42と、第1凸面42よりも高さの高い第2凸面43と、凹面44とからなる凹凸断面を有するLED基板41を備える。
LED基板41は、凹面44の下面に第1LED20が配置され、第1凸面42および第2凸面43の下面に第2LED25が配置される。
LED基板41は、第1凸面42および第2凸面53の内面に反射板26が取り付けられる。
【0033】
照明器具40によれば、第1凸面42および第2凸面43の下面に配置される第2LED25により、異なる配光特性を創生できるために、複数の配光による演出のバリエーションをさらに多くできる。
【0034】
なお、本発明の照明器具において器具本体,外枠,天板,カバー等は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0035】
10,30,40 照明器具
15 第1LED基板(取付部材)
17 第2LED基板(取付部材)
20 第1LED
21 第1点灯回路
22 第2点灯回路
23 開口部
25 第2LED
32,44 凹面
33 凸面
42 第1凸面(凸面)
43 第2凸面(凸面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面上に配置される複数の第1LEDと、
前記第1LEDの間から照射するように、前記第1LEDよりも奥まった位置に配置される複数の第2LEDとを備える照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記第1LEDを取り付けるための取付部材に開口部を有し、
前記第2LEDは、前記取付部材の前記開口部に対応する位置に配置される照明器具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明器具において、
前記取付部材が、凹凸断面を有し、前記取付部材の凸面に前記第1LEDを配置し、前記取付部材の凹面に前記第2LEDを配置する照明器具。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の照明器具において、
前記取付部材が、熱伝導性を有する材料で成形される照明器具。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の照明器具において、
前記第1LEDを全点灯または調光させる第1点灯回路と、
前記第2LEDを全点灯または調光させる第2点灯回路とを備える照明器具。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載の照明器具において、
前記第1LEDと前記第2LEDとは、異なる種類である照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−4451(P2013−4451A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137158(P2011−137158)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】