説明

照明手摺り

【課題】効率よく光を取り出し、照明領域をより均一に照明することができ、低コストで製作し得る照明手段を用いた照明手摺りを提供する。
【解決手段】照明手摺り100は、手摺り本体101と、手摺り本体101の両端に装着されるエンドキャップ102a,102bと、照明手段103とから構成された握り棒110を複数個のブラケット104に架設して構成される。照明手段103は、筒状部材と、光源体と、端面部材と、端子板と、放熱手段(兼配線)と、配線とから構成されている。筒状部材は、内周面の長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、先端が鋭角であるプリズム効果を有する多数の内面突部が列設されると共に、外周面において内面突部と対応する位置に長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、レンズ効果を有する多数の外面凸部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面等に取り付けられ、照明機能を有する手摺りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、公共施設や住宅の階段や廊下、浴室、便所などには、安全や誘導用として手摺りが設けられており、特に最近では幅広い世代で共通に安全に過ごせる居住環境を作るという要望からマンションや一般家庭の廊下や階段などの側壁に手摺りを設ける需要が増えてきている。
【0003】
従来、手摺りに照明機能を持たせた照明の付いた手摺りが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載された照明の付いた手摺りは、図10に示すように、壁面に固定した2以上の支持固定物(ブラケット)3に握り棒を架設してなる手摺りに、握り棒1の長さ方向に沿って握り棒の外面から内部に切り欠いた切欠部を設けると共に、この切欠部に蛍光灯2を配置したものであり、または、図11に示すように、支持固定物(ブラケット)3に握り棒を架設してなる手摺りに、握り棒1の内部に中空部を形成すると共に、この中空部に蛍光灯2を配置するものである。
【0005】
また、LED光源を用いた屋内用照明手摺りも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この屋内用照明手摺りは、図12に示すように、アルミ押出管5の中空部に列設した溝レール6に、複数個のLEDが植え付けられたLED配線基板7を差し込み敷設して、LEDの発光がアルミ押出管5の円周面に開口する一条の光透過口8からカバーチューブ9を通じて手摺り本体の外部へ透過するように構成されるものである。
【0007】
【特許文献1】特開2001−107531公報
【特許文献2】特開2005−188030公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した特許文献1の握り棒1の外面から内部に切り欠いた切欠部を設け、この切欠部に蛍光灯2を配置する照明の付いた手摺りの場合は、握り棒1に切欠があるので、全面を握ることができず、握り感覚および外観が悪いという問題点がある。また、蛍光灯2が切欠部を有する方向に照らすことしかできないので、照明としての機能が制限されているという問題点がある。
【0009】
また、握り棒1の内部に中空部を形成し、この中空部に蛍光灯2を配置する照明の付いた手摺りの場合は、蛍光灯2の取付部等を設置するために、中空部を大きくする必要があり、そのため、握り棒が太くなり、握りに違和感があるという欠点がある。
【0010】
また、上述した特許文献2の屋内用照明手摺りも、アルミ押出管5の円周面に設けられた開口、即ち光透過口8から光が出射することしかできないので、照明としての機能が制限されているという問題点がある。また、LEDが基板に配置されるため、前方から光りが出射することのみ、裏側への照射ができない。
【0011】
また、アルミ押出管5の円周面に開口を設けるために、加工が複雑になり、コストが高いという欠点がある。
【0012】
また、従来の手摺りは、冷たい感覚があり、特に、寒い季節で手摺りの表面温度が低いので、触り心地がよくないという問題点がある。
【0013】
そこで、本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、効率よく光を取り出し、照明領域をより均一に照明することができ、低コストで製作し得る照明手段を用いて、手摺りとして所定の強度を有すると共に、照明機能を有する照明手摺りを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る照明手摺りは、透明または半透明の樹脂から成型された筒状の手摺り本体と、前記手摺り本体を支持するブラケットと、透明または半透明の樹脂から成型された筒状部材と、前記筒状部材の中に配置された光源体と、前記筒状部材の内部に配置され、金属線または金属パイプからなり、前記光源体からの熱を筒状部材に分散させる放熱手段とを有し、前記手摺り本体の内部に配置された照明手段と、前記手摺り本体の両端に装着され、前記照明手段を固定するエンドキャップとを備えることを特徴とする。
【0015】
例えば、照明手段は、透明または半透明樹脂から成型され、2つの半筒状部材を組み立て構成される筒状部材と、前記筒状部材の端部に、または端部および内部に配置される光源体と、前記光源体への配線手段とを備える照明ユニットからなる。
【0016】
また例えば、前記筒状部材は、内周面の長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、先端が鋭角であるプリズム効果を有する多数の内面突部が列設されると共に、外周面には、内面突部と対応する位置に長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、レンズ効果を有する多数の外面凸部または外面凹部が形成される。
【0017】
また例えば、前記光源体は、チップ型発光ダイオードであり、前記配線手段は所定面積を有するU字形端子板を備える。
【0018】
また例えば、照明手段は、前記照明ユニットを複数用い連結してからなる。
【0019】
また例えば、照明手段は、線状または円筒状の有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)発光体からなる。
【0020】
また例えば、前記エンドキャップは、透明または半透明樹脂から成型され、端面がレンズ機能を有する。
【0021】
また例えば、前記手摺り本体と前記照明手段との間に、色または模様を有するシート材が配置されている。
【0022】
また例えば、前記手摺り本体の内表面に、色または模様を塗布される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、透明または半透明の樹脂から成型された筒状の手摺り本体と、透明または半透明の樹脂から成型された筒状部材と該筒状部材に配置された光源体とを有し、手摺り本体の内部に配置された照明手段と、前記手摺り本体の両端に装着され、前記照明手段を固定するエンドキャップとを備えることで、手摺りとして所定の強度を有すると共に、照明機能を有する照明手摺りを提供することができる。また、基板を使用せず、光は360度から照射することができ、照明装置としても優れている。また、エンドキャップで照明手段を固定するため、部品数が少なく、照明手段の装着、固定が容易にできる。
【0024】
筒状部材の内部には、金属線または金属パイプからなる放熱手段が配置されることで、発光ダイオード等の光源体からの発熱を均一に拡散することができ、特に、寒い季節で手摺りの表面温度を最適な温度に保つことが可能となる。
【0025】
また、従来のように、握り棒に切欠部を設けることが必要なく、握り棒を太くする必要もないので、握りに違和感がなく、手摺りの使用性、インテリア性を向上することができる。
【0026】
また、照明手段は、透明または半透明樹脂から成型され、2つの半筒状部材を組み立て構成される筒状部材と、前記筒状部材の端部に、または端部および内部に配置される光源体と、前記筒状部材の両端にそれぞれ配置され、前記光源体への配線手段を有する端面部材とを備える照明ユニットからなることで、配線基板を使用せず、製作コストの削減を図ることができると共に、光は360度方向から照射することが可能となる。
【0027】
また、照明手段の筒状部材は、内周面の長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、先端が鋭角であるプリズム効果を有する多数の内面突部が列設されることで、輝度むらをなくし、照明領域をより均一に照明することができ、さらに効率よく取り出すことができる。また、筒状部材の外周面には、内面突部と対応する位置に長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、レンズ効果を有する多数の外面凸部または外面凹部が形成されることで、拡光効果を向上することが可能となる。
【0028】
また、光源体は、チップ型発光ダイオードであり、前記配線手段は所定面積を有するU字形端子板を備えることで、ハイパワーで高い照度を実現でき、さらに発光ダイオードの数を削減することができる。また、配線手段としては所定面積を有するU字形端子板が用いられることで、放熱効果を兼有することができ、該U字形端子の底面部に複数の光通過用開口部を設けることで、複数の照明ユニットを連結して照明手段を構成する場合、連結部の照度を向上することができる。
【0029】
また、複数の同様構成を有する照明ユニットを連結することによって、照明手段の長さを比較的自由に設定することが可能となる。また、必要に応じてワット数の高い照明手段を容易に構成する。そのため、手摺りの長さに合わせて照明手段を構成することが可能となる。
【0030】
また、エンドキャップは、透明または半透明樹脂から成型され、端面がレンズ機能を有することで、手摺りの両端から光を導出することができる。
【0031】
また、手摺り本体と照明手段との間に、色または模様を有するシート材が配置されることで、または手摺り本体の内表面に、色または模様を塗布されることで、外観品質の優れた手摺りを得ることができる。
【0032】
手摺り本体に金具を直接取り付けることができ、手摺り本体より発生した静電気による感電を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態の照明手摺りについて説明する。
【0034】
図1は、本発明の第1の実施の形態の照明手摺り100の構成を示す斜視図である。 図2は、握り棒110の構成を示す分解図である。図3は、握り棒110の構成を示す断面図である。図4は、握り棒110の構成を示すC−C断面図である。図5は、握り棒110の構成を示すD−D断面図である。
【0035】
図1〜図5に示すように、照明手摺り100は、手摺り本体101と、手摺り本体101の両端に装着されるエンドキャップ102a,102bと、照明手段103とから構成された握り棒110を複数個のブラケット104に架設して構成される。2つのブラケット104の間隔は、例えば350〜450mmとする。また、ブラケット104は、例えば金属製のものである。
【0036】
手摺り本体101は、透明または半透明の樹脂から成型された円筒状ものである。材料としては、例えば透明性、耐衝撃性、耐燃性に優れたポリカーボネートが望ましい。手摺りとしての強度を維持するために、厚さが1.5mm、または2.0mmとされる。なお、透明または半透明のウレタン、アクリル樹脂を用いてもよい。また、手摺り本体101の形状は、円筒状に限定されるものではない。他の断面形状を有する筒状のものを用いてもよい。
【0037】
また、手摺り本体101の一端に配線42a,42bを引き出すための開口部101aが設けられている。
【0038】
エンドキャップ102a,102bは、金属、または樹脂等材料から形成され、手摺り本体101の両端に嵌合して装着される。この例において、手摺りの両端からも光が出るように、エンドキャップ102a,102bが、透明または半透明の樹脂から成型される。
【0039】
エンドキャップ102aには、嵌合部61a,61bが設けられている。この嵌合部61a,61bは、筒状部材10の端部に設けられた凹部15a,15bに嵌合して位置決めすることができる。また、エンドキャップ102bには、嵌合部62a,62bが設けられている。この嵌合部62a,62bは、筒状部材10の他端部に設けられた凸部14a,14bに嵌合して位置決めすることができる。エンドキャップ102a,102bと手摺り本体101は接着等手法で固定される。これにより、照明手段103が固定される。
【0040】
また、エンドキャップ102bの手摺り本体101と嵌合する部分に、手摺り本体101の開口部101aと対応した位置に配線42a,42bを挿通するための開口部63が設けられている。
【0041】
また、エンドキャップ102a,102bの端面に凸状のレンズ部60a,60bが形成されている。これにより、内部の光は、エンドキャップ102a,102bから外部へ効率的に出射することが可能となる。
【0042】
手摺り本体101およびエンドキャップ102a,102bにより、手摺り本体を密封状態にすることができ、また、平滑の外表面を有する。
【0043】
照明手段103は、筒状部材10と、光源体20と、端面部材30と、端子板40a,40bと、放熱手段(兼配線)41a,41bと、配線42a,42bとから構成されている。ここで、光源体への配線手段としては、端子板40a,40bと、放熱手段41a,41bと、配線42a,42bとからなる。
【0044】
筒状部材10は、透明または半透明樹脂から成型される2つの半筒状部材10a,10bより接着して構成される。接着は、接着剤を用いて、または超音波溶接を用いて行うことが考えられる。
【0045】
また、筒状部材10の内周面に先端が鋭角であるプリズム効果を有する複数の内面突部11が形成される。この内面突部11は、筒状部材10の長手方向に対して所定間隔をおき横方向に帯状とされ、筒状部材10と同一材料で一体に成型される。ここで、2つの半筒状部材10a,10bを同一金型で成型することで、コストを抑えることができる。
【0046】
また、突部11の間の底辺はレンズ効果を有する凹形の曲面12、例えば半円形に形成されている。これにより、突部11の間の底辺での光反射が少なくなり、光の外部への出射量が多くなる。また、突部11の間は所定距離を有するようになされている。突部11の間の距離は筒状部材10の直径に比例する。また、突部11の先端の角度θ(先端部が曲面状に形成される場合、突部11の両側辺より形成された角度)は、30度以下に、例えば17〜18度に形成されるのが望ましい。突部11の先端の角度θは、筒状部材10の直径に比例して設計される。この例においては、突部11の先端の角度θを18度とした。
【0047】
また、筒状部材10の外周面にレンズ効果を有する多数の外面凸部13が形成される。この外面凸部13は、内面突部11と対応する位置に長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、筒状部材10と同一材料で一体に成型される。
【0048】
筒状部材10の一端に凹部15a,15bが設けられ、他端に凸部14a,14bが設けられている。これらの凹部15a,15bおよび凸部14a,14bは、手摺り本体101、エンドキャップ102a,102bを装着する際に、エンドキャップ102a,102bと嵌合することができると共に、複数の照明ユニットを連結して照明装置を構成する場合、他の照明ユニットと嵌合することができる。
【0049】
筒状部材10の材質は、例えば透明性、耐衝撃性、耐燃性に優れたポリカーボネートが望ましい。なお、透明性のウレタン、アクリル樹脂を用いてもよい。なお、筒状部材10の透明または半透明樹脂には、予め所定量の光反射物または蓄光材を添加するようにしてもよい。この場合、光を増幅させ、均一に出射させることが可能となる。
【0050】
光源体20は、発光ダイオード(LED)である。発光ダイオードとして、例えばチップ型発光ダイオードを用いられる。この例の場合、ハイパワーで高い照度を実現できるチップ型発光ダイオードが両端にそれぞれ1個の発光ダイオードが配置されている。なお、発光ダイオードの代わりに他の光源体を用いてもよい。例えば、線状または円筒状の有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)発光体、光ファイバまたは蓄光材を用いてもよい。
【0051】
端面部材30は、透明または半透明樹脂から形成され、フランジ部31と、円筒状部32とを有する。フランジ部31に嵌合部33a,33bが設けられている。この嵌合部33a,33bは筒状部材10の端部に設けられる凸部14a(図示せず),14bに嵌合することができる。また、端面部材30に放熱手段(兼配線)41a,41bを挿入するための穴34a,34bが設けられている。端面部材30と筒状部材10とは、接着材を用いて、または超音波溶接を用いて接続される。また、端面部材30のフランジ部31の端面には、端子板40a,40bを配置することが可能とされる。なお、端面部材30を筒状部材10から容易に取り外しできるようにしてもよい。
【0052】
また、端面部材30の材質は、例えばウレタン、または透明性、耐衝撃性、耐燃性に優れたポリカーボネートが望ましい。
【0053】
端子板40a,40bは、配線手段の一部として所定面積を有するU字形端子板である。端子板40a,40bは、端面部材30のフランジ部31の端面に装着される。端子板40a,40bの間には、光源体20が設けられ、この光源体20は、端子板40a,40bとそれぞれ電気的に接続される。端子板40a,40bの形状をU字形端子板にすることで、放熱効果を兼有することができる。なお、端子板40a,40bの底面部に複数の光通過用開口部を設ける。これにより、複数の照明ユニットを連結して照明装置を構成する場合、連結部の照度を向上することができる。
【0054】
放熱手段41a,41bは、光源体20から放出された熱を拡散させると共に、電力を供給するための配線部材としても機能する。放熱手段41a,41bは、半筒状部材10a,10bの継ぎ目の内部の内面突部11の位置に配置される。放熱手段41a,41bはそれぞれ筒状部材10の両端に配置された端子板40a,40bを介して光源体20のプラス端子とマイナス端子に接続される。また、放熱手段41a,41bの一端に、外部へ導出するための配線42a,42bが接続される。放熱手段41a,41bを設けることで、光源体20の熱を照明手段103の全体に分散し、手摺り本体を介して外部へ放出することができる。
【0055】
図6は、照明手段103の光拡散状態を示す局部拡大図である。この図6において、片方からの光のみを示しているが、他方からの光も同じ原理で拡散される。図6に示すように、光は内面突部11により拡散され、さらに外面凸部13で光を屈折させて、筒状部材10の外部へ照射するようになる。また、内面突部11は筒状部材10と同一材料で一体に成型され、また、内面突部11の間を所定距離にし、さらに、内面突部11の先端を30度以下に、例えば17〜18度の角度にすることで、内部の光をより効果的に取り出すことができる。また、内面突部11の間の底辺は凹形の曲面、例えば半円形に形成されているため、突部11の間の底辺での光反射が少なくなり、光の外部への出射量が多くなる。また、レンズ効果を有する外面凸部13が設けられるため、プリズム効果を向上させることが可能となる。
【0056】
また、筒状部材10の外面と手摺り本体101の内面との間は、所定の隙間、例えば、0.3〜0.5mmを有するようにされている。これにより、照明手段103を手摺り本体101の中に配置することが容易にできると共に、筒状部材10により手摺り本体101を補強し、握り棒110が所定の強度を有するようになる。
【0057】
このように本実施の形態においては、照明手摺り100は、手摺り本体101と、手摺り本体101の両端に装着されるエンドキャップ102a,102bと、照明手段103とから構成された握り棒110を複数個のブラケット104架設して構成される。照明手段103は、筒状部材10と、光源体20と、端面部材30と、端子板40a,40bと、放熱手段(兼配線)41a,41bと、配線41a,41bとから構成されている。筒状部材10は、内周面の長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、先端が鋭角であるプリズム効果を有する多数の内面突部11が列設されると共に、外周面において内面突部11と対応する位置に長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、レンズ効果を有する多数の外面凸部13が形成される。
【0058】
これにより、手摺りとして所定の強度を有すると共に、照明機能を有する照明手摺りを提供することができる。また、光は360度から照射することができ、照明装置としても優れている。また、エンドキャップ102a,102bで照明手段103を固定するため、部品数が少なく、照明手段の装着、固定が容易にできる。
【0059】
また、従来のように、握り棒に切欠部を設けることが必要なく、握り棒を太くする必要もないので、握りに違和感がなく、手摺りの使用性、インテリア性を向上することができる。
【0060】
また、照明手段103は、透明または半透明樹脂から成型され、2つの半筒状部材10a,10bを組み立て構成される筒状部材10と、筒状部材10の端部に、または端部および内部に配置される光源体20と、筒状部材10の両端にそれぞれ配置された端面部材30とを備える照明ユニットからなることで、配線基板を使用せず、製作コストの削減を図ることができると共に、光は360度方向から照射することが可能となる。
【0061】
また、照明手段103は、プリズム効果を向上させることができ、輝度むらをなくし、照明領域をより均一に照明することができ、さらに内面突部11の間の底辺は半円形に形成されることで、壁の厚さを薄く形成することができ、光を効率よく取り出すことができると共に、筒状部材10の外表面に形成されたリング状の外面凸部13(または13A,13B)により拡光効果が向上し、より明るい照明装置を得ることができる。また、内面突部11の先端部は、30度以下の鋭角であるため、光の熱を蓄熱しにくい効果が得られる。
【0062】
また、チップ型発光ダイオード光源を用いることで、ハイパワーで高い照度を実現できる。さらに、端子板40a,40bの形状をU字形端子板にすることで、放熱効果を兼有することができる。なお、端子板40a,40bの底面部に複数の光通過用開口部を設けることで、複数の照明ユニットを連結して照明手段を構成する場合、連結部の照度を向上することができる。
【0063】
筒状部材10の内部には、長手方向に金属線(または金属パイプ)41a,41bからなる放熱手段が配置されることで、発光ダイオード等の光源体20からの発熱を均一に拡散することができ、特に、寒い季節で手摺りの表面温度を最適な温度、例えば、25〜30℃に保つことが可能となる。手摺りを握る際に暖かい感覚が得られる。
【0064】
図7は、本発明の第2の実施の形態の握り棒110Aの構成を示す断面図である。図7において、複数の照明ユニットを接続されてからなる照明手段を用いた握り棒110Aを示している。
【0065】
図7に示すように、握り棒110Aは、手摺り本体101と、手摺り本体101の両端に装着されるエンドキャップ102a,102bと、照明手段103とから構成されている。
【0066】
照明手段103は、複数の照明ユニットを接続されて構成されるものである。各照明ユニットは、筒状部材10と、光源体20と、端面部材30と、放熱手段(兼配線)41a,41bと、端子板40a,40bと、配線41a,41bとから構成されている。
【0067】
筒状部材10は、前述した照明装置100の構成と同様である。筒状部材10の凹部15a,15bおよび凸部14a,14bは、各照明ユニットを連結する際に、他の照明ユニットと嵌合することができると共に、手摺り本体101、エンドキャップ102a,102bを装着する際に、エンドキャップ102a,102bと嵌合することができる。
【0068】
また、端子板40a,40bの底面部に複数の光通過用開口部を設ける。これにより、複数の照明ユニットを連結して照明装置を構成する場合、連結部の照度を向上することができる。
【0069】
このように本実施の形態においては、握り棒110Aは、複数の照明ユニットを接続されてからなる照明手段を用いた。この握り棒110Aを複数個のブラケット104に架設して照明手摺りを構成することができる。
【0070】
これにより、複数の同様構成を有する照明ユニットを連結することによって、照明手段103の長さを比較的に自由に設定することが可能となる。また、必要に応じてワット数の高い照明手段を容易に構成する。そのため、手摺りの長さに合わせて照明手段を構成することで、長い握り棒110Aを容易に構成することができ、長尺の手摺りが必要とする場所にも応用できる。
【0071】
図8は、本発明の第3の実施の形態の握り棒110Bの構成を示す断面図である。図8において、手摺り本体と照明手段との間に、色または模様を有するシート材が配置されている握り棒110Bを示している。
【0072】
図8に示すように、握り棒110Bは、手摺り本体101と、手摺り本体101の両端に装着されるエンドキャップ102a,102bと、照明手段103と、円筒状のシート材105とから構成されている。
【0073】
この例において、手摺り本体101と照明手段103との間に、色または模様を有するシート材105が配置されている以外、上述した第1、第2の実施の形態の構成と同様である。
【0074】
円筒状のシート材105は、色または模様を有する紙または樹脂から円筒状に形成される。
【0075】
これにより、上記第1、第2の実施の形態で得られる効果以外に、手摺り本体101と照明手段103との間に、色または模様を有するシート材105が配置されることで、手摺りのインテリア性を向上することができ、外観品質の優れた手摺りを得ることができる。
【0076】
図9は、本発明に係る照明手摺りの設置例を示している。図9に示すように、照明手摺り100Aは、握り棒110(または、110A,110B)を金属製のブラケット104Aに架設して構成される。この場合、握り棒110に貫通する穴が設けられ、握り棒110がネジSによりブラケット104Aに固定される。手摺り本体101と照明手段103とが樹脂から形成されているので、端子板40a,40bおよび放熱手段41a,41bが配置された位置以外に、貫通穴またはネジ穴を設けることができる。
【0077】
また、図9に示すように、握り棒110周面から360度方向に照明することができると共に、握り棒110の両端からも照明できる。照明装置としても優れた性能を有している。
【0078】
また、一般的に樹脂は静電気を起こし易く、この静電気による感電の心配が考えられるが、本発明に係る照明手摺りの握り棒は、基本的に絶縁体であり、アース代わりに、内部に金属(例えば、銅)のパイプが設置されており、また、ブラケットとはネジで固定することで、即ち直接ネジを打てるので、表面に発生した静電気はネジおよびブラケット等の金物を介して放電される。そのため、静電気による感電を回避することができる。
【0079】
なお、上述した実施の形態においては、筒状部材10が円筒状に形成されるものについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、楕円形断面を有する筒状に、または、長方形断面を有する筒状にしてもよい。この場合、楕円形断面または長方形断面の短軸方向の幅が小さいため、光の出射効率がよい。また、筒状部材と同じ断面形状の手摺り本体を用いることが望ましい。
【0080】
また、上述した実施の形態において、筒状部材10の外周面において内面突部11と対応する位置に長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、レンズ効果を有する多数の外面凸部13が形成される場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、筒状部材10の外周面に、プリズムパターンを加工するようにしてもよい。
【0081】
また、筒状部材10の外周面にレンズ効果を有する多数の外面凹部を形成するようにしてもよい。例えば、外面凹部は内面突部11と対応する位置に長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされる。
【0082】
また、上述した実施の形態において、筒状部材10の内面突部11は、先端の角度θが30度以下の三角形のものについて説明したが、これに限定されるものではない。三角形の上部を曲面にしたもの、または三角形の上部がカットされたものもこの発明に適用できる。また、上記以外のプリズム効果を有する形状にしてもよい。
【0083】
また、上述した実施の形態において、エンドキャップ102a,102bの端面に凸状のレンズ部60a,60bを設ける場合について説明したが、これに限定されるものではない。他の形状のレンズ部を設けるようにしてもよい。また、レンズ部を設けずに、端面をフラット形状にしてもよい。例えば、端面からの光が必要なく、金属材料でエンドキャップを形成する場合は、端面をフラット形状に形成する。
【0084】
また、上述した実施の形態において、筒状部材10の両端に発光ダイオードの光源体20が配置されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。長尺の筒状部材10の場合、筒状部材10の両端および内部の複数位置に発光ダイオードの光源体20を配置するようにしてもよい。
【0085】
また、上述した実施の形態において、内部の放熱手段として2本の金属線41a,41bを用いたが、これに限定されるものではない。例えば、4本または6本の金属線または金属パイプを用いてもよい。
【0086】
また、上述した第3の実施の形態において、手摺り本体101と照明手段103との間に、色または模様を有するシート材105を配置するものとしたが、これに限定されるものでない。例えば、手摺り本体101の内表面または円筒部材10の外表面に、色または模様を塗布するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、屋内、屋外等に設置される手摺りに利用することができ、また、蛍光灯に代えて、安全、且つ省エネルギーが得られる照明装置としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施の形態の照明手摺り100の構成を示す斜視図である。
【図2】握り棒110の構成を示す分解図である。
【図3】握り棒110の構成を示す断面図である。
【図4】握り棒110の構成を示すC−C断面図である。
【図5】握り棒110の構成を示すD−D断面図である。
【図6】照明手段103の光拡散状態を示す局部拡大図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の握り棒110Aの構成を示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の握り棒110Bの構成を示す断面図である。
【図9】本願発明に係る手摺りの設置例を示す図である。
【図10】従来の照明手摺りの構成例(1)を示す図である。
【図11】従来の照明手摺りの構成例(2)を示す図である。
【図12】従来の屋内用照明手摺りの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
10 筒状部材
10a,10b 半筒状部材
11 内面突部
12 底辺
13,13A,13B 外面凸部
14a,14b 凸部
15a,15b 凹部
20 光源体
30 端面部材
31 フランジ部
32 円筒状部
33a,33b 嵌合部
40a,40b 端子板
41a,41b 放熱手段
42a,42b 配線
61a,61b 嵌合部
62a,62b 嵌合部
63 開口部
100,100A 照明手摺り
101 手摺り本体
102a,102b エンドキャップ
103 照明手段
104,104A ブラケット
105 シート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明または半透明の樹脂から成型された筒状の手摺り本体と、
前記手摺り本体を支持するブラケットと、
透明または半透明の樹脂から成型された筒状部材と、前記筒状部材の中に配置された光源体と、前記筒状部材の内部に配置され、金属線または金属パイプからなり、前記光源体からの熱を筒状部材に分散させる放熱手段とを有し、前記手摺り本体の内部に配置された照明手段と、
前記手摺り本体の両端に装着され、前記照明手段を固定するエンドキャップとを備えることを特徴とする照明手摺り。
【請求項2】
照明手段は、
透明または半透明樹脂から成型され、2つの半筒状部材を組み立て構成される筒状部材と、
前記筒状部材の端部に、または端部および内部に配置される光源体と、
前記光源体への配線手段とを備える照明ユニットからなることを特徴とする請求項1に記載の照明手摺り。
【請求項3】
前記筒状部材は、内周面の長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、先端が鋭角であるプリズム効果を有する多数の内面突部が列設されると共に、外周面には、内面突部と対応する位置に長手方向に対して所定間隔を置いて幅方向に帯状とされ、レンズ効果を有する多数の外面凸部または外面凹部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の照明手摺り。
【請求項4】
前記光源体は、チップ型発光ダイオードであり、前記配線手段は所定面積を有するU字形端子板を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の照明手摺り。
【請求項5】
照明手段は、前記照明ユニットを複数用い連結してからなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の照明手摺り。
【請求項6】
照明手段は、線状または円筒状の有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)発光体からなることを特徴とする請求項1に記載の照明手摺り。
【請求項7】
前記エンドキャップは、透明または半透明樹脂から成型され、端面がレンズ機能を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の照明手摺り。
【請求項8】
前記手摺り本体と前記照明手段との間に、色または模様を有するシート材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の照明手摺り。
【請求項9】
前記手摺り本体の内表面に、色または模様を塗布されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の照明手摺り。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−70962(P2010−70962A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238693(P2008−238693)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(506419364)株式会社 近藤工芸 (9)
【Fターム(参考)】