説明

照明構造

【課題】デザイン面での制約の少ない照明構造を得る。
【解決手段】バンパーカバー16には、発光させたい所望の発光領域18に、光が回折現象を起こす程度に微笑な複数の孔又はスリットが形成されている。バンパーカバー16よりも車体内側の位置には光源が配設されており、回折現象により、バンパーカバー16の発光領域18の全体が光っているように視認者に視認させることができる。照明構造14としては、一般的な照明等に用いられているレンズ(アウターレンズやインナーレンズ等)を使用しないので、バンパーカバー16における取付位置の制約が少なくなり、デザイン面での制約が少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明構造に関し、さらに詳しくは、自動車等の車体の外面で発光する照明構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用の照明構造としては、たとえば特許文献1に示される車両の装飾用照明装置がある。この構造では、車体のバンパーの所定位置に形成した凹状屈曲縁に臨ませて、フォグランプが取り付けられている。
【0003】
しかし、このようにランプをバンパー等に組み込む構造では、レンズ等を含むランプ自体のサイズや形状によって組み込み位置が限定されるので、デザイン面での制約が多くなってしまう。
【特許文献1】特開2005−67390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、デザイン面での制約の少ない照明構造を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、車体の外面を構成する外面部材と、前記外面部材の車体内側に配置された光源と、前記外面部材に形成され、前記光源からの光を透過させて回折させる孔部と、を有することを特徴とする。
【0006】
したがって、光源からの光は、孔部を透過すると共に回折され、孔部の近傍が外面部材全体として光っているように視認される。そして、外面部材の車体内側には、レンズ等を含んでいるランプを配設する必要がなく、光源のみを配置すればよいので、配置位置の限定が少なくなり、デザイン面での制約も少なくなる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記外面部材がバンパーであることを特徴とする。
【0008】
これにより、バンパーの一部分、すなわち孔部が形成された領域を、パンパー自体が光っているように視認させることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上記構成としたので、デザイン面での制約の少ない照明構造となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1には、本発明の一実施形態の照明構造14を備えた自動車12の前部が示されている。また、図2および図3にはそれぞれ、この照明構造14が図1のII−II線断面、III−III線断面にて示されている。本実施形態では、照明構造14が自動車12のターンランプとして適用された例を挙げている。
【0011】
この自動車12の前端部には、車幅方向に延在すると共に、車幅方向両端部では車両側面側へと回り込むように湾曲されたバンパーカバー16が取り付けられている。バンパーカバー16は、車体の外観の一部を成すと共に、外部から衝撃が作用した場合にそのエネルギーの一部を吸収可能となっている。
【0012】
バンパーカバー16には、ターンランプとして発光させたい所望の発光領域18に、光が回折現象を起こす程度に微小な複数の孔20が形成されている。ここで、図4(A)に詳細に示すように、一般に光を透過しない被透過部材30に対し孔20又はスリットを形成すると、この孔20又はスリットが点光源のように作用し、より小さな孔20又はスリットを形成するほど、回折する光の割合が増す。そして、図4(B)に示すように、このような微小な孔20又はスリットを多数形成することで、この後方に光源22が配置されている場合でも、回折現象を起こす。したがって、孔20又はスリットが形成されている領域全体で考えると、この領域全体を構成している被透過部材30が光っているように見える(図4(C)参照)。
【0013】
図2及び図3に示すように、バンパーカバー16よりも車体内側の位置には、光源22が配設されており、図示しないバッテリーから電力供給を受けて発光するようになっている。図2から分かるように、光源22はバンパーカバー16から前方に臨む向きとされており、光が後方から発光領域18に照射されるようになっている。また、光源22からみて後方(バンパーカバー16の反対側)には、リフレクター24が配置されており、光源22から後方に射出された光を反射して、前方へ導くようになっている。
【0014】
このような構成とされた本実施形態の照明構造14では、図4(C)に示した原理により、バンパーカバー16の発光領域18の全体が光っているように視認者に視認させることができる。
【0015】
しかも、照明構造14としては、一般的な照明等に用いられているレンズ(アウターレンズやインナーレンズ等)を使用しないので、バンパーカバー16における取付位置の制約が少なくなる(アウターレンズやインナーレンズは所定の大きさを有しているので、このようなレンズが配設できる領域には制限がある)。すなわち、本実施形態の照明構造14では、任意の形状及び大きさの発光領域18に孔20を形成すれば、その発光領域18を光らせることができるので、デザイン面での制約が少なくなり、意匠上の自由度が高くなる。加えて、たとえば図3から分かるように、発光領域18を自動車12の角部12Cから側面12Sにまで形成することも容易であり、これにより、側方からの視認性を向上させることができる。特に、本実施形態のように照明構造14をターンランプとして適用した場合には、角部12Cや側面12Sを光らせることが好ましい。
【0016】
また、アウターレンズやインナーレンズ、さらには保護ガラス等も使用しないので、低コストで構成できる。レンズやガラスが破損するおそれがなく、破片が飛散することもない。
【0017】
本発明の孔20又はスリットの大きさは、上記したように回折現象を生じさせる程度であればよく、より小さくすることが好ましい。特に、小さくすることで、孔20やスリット自体は視認されなくなるので、見栄えが向上する。また、より小さくすることで、バンパーカバー16内への異物(埃や雨水等)の侵入を防止可能となる。
【0018】
なお、上記では本発明の照明構造が自動車のターンランプに適用として適用された例を挙げたが、自動車に備えられるあらゆる照明(発光させたい部材あるいは部位)に、本発明の照明構造を適用できる。
【0019】
また、バンパーカバー16に上記したような微小な孔20又はスリットを形成する方法は特に限定されないが、まず、孔20が形成されていないバンパーカバーを成形し(一般的は方法で成形できる)、その後に孔20を形成すれば、微小な孔20であっても容易に形成できる。そして、孔20を形成した後に、その車体内側に光源22やリフレクター24が位置するように組み付ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の照明構造が適用された自動車の前部を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の照明構造を示す図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の照明構造を示す図1のIII−III線断面図である。
【図4】(A)〜(C)はいずれも、光の回折現象を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0021】
12 自動車
14 照明構造
16 バンパーカバー(バンパー、外面部材)
18 発光領域
20 孔
22 光源
24 リフレクター
30 被透過部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の外面を構成する外面部材と、
前記外面部材の車体内側に配置された光源と、
前記外面部材に形成され、前記光源からの光を透過させて回折させる孔部と、
を有することを特徴とする照明構造。
【請求項2】
前記外面部材がバンパーであることを特徴とする請求項1に記載の照明構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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