説明

照明機能付き時計

【課題】照明機能付き時計において、複雑な構成を必要とせずに、色を変化させることで色を媒体として、情報を伝達し、また装飾効果を発揮する。
【解決手段】照明機能付き時計において、波長が異なるLED11、12、13を複数設ける照明装置10と、その照明装置の複数のLEDに個別に電流を流す駆動回路14と、その駆動回路を制御する制御回路15と、その制御回路および照明装置に電力を供給する電池16と、外部操作したとき制御回路で制御して駆動回路により複数のLEDを一定の周期T内でそれぞれ個別に駆動するスイッチ(外部操作部材)17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、波長が異なるLEDを複数配置して照明色を変化する照明装置を備えてなる照明機能付き時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の照明機能付き時計としては、EL機能を付けたものが古くから製品化されている。LEDを使用したものもあり、フルカラー照明を備えるものについても、特許文献1に記載されている。しかし、特許文献1には、制御については記載されていなかった。他方、カラー表示に関しては、特許文献2に記載されている。しかし、特許文献2に記載のものは、液晶によるカラー表示であるため、構成が複雑になり、時計本来の持つ携帯性を犠牲にするものであった。
【0003】
人間にとって、色は、文字以上にイメージ情報として多くの情報を迅速に伝達できる可能性を秘めていると同時に、色を変化させることで外装以上に装飾効果を発揮できるものである。
【0004】
【特許文献1】特開2006-29896号公報
【特許文献2】特開2003-35904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の点に鑑み、この発明は、照明機能付き時計において、複雑な構成を必要とせずに、色を変化させることで色を媒体として、情報を伝達し、また装飾効果を発揮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成すべく、この発明は、照明機能付き時計において、
波長が異なるLEDを複数設ける照明装置と、
その照明装置の前記複数のLEDに個別に電流を流す駆動回路と、
その駆動回路を制御する制御回路と、
その制御回路および前記照明装置に電力を供給する電池と、
外部操作したとき前記制御回路で制御して前記駆動回路により前記複数のLEDを一定の周期T内でそれぞれ個別に駆動する外部操作部材と、
を備えてなることを特徴とする。
【0007】
そして、外部操作部材を操作することにより、制御回路で制御して駆動回路により複数のLEDを一定の周期T内でそれぞれ個別に駆動し、照明装置の照明色を変化する。
【0008】
照明装置の複数のLEDのうち、1つ目の光の波長は600nm以上680nm未満とし、2つ目の光の波長は500nm以上600未満とし、3つ目の光の波長は450以上500未満とするとよい。また、複数のLEDは、互いに重ならないように駆動するとともに、一定の周期Tを16.7msec以下とするとよい。
【0009】
電池としては、外部の磁場が鎖交することでコイルに誘起電流を発生し、その誘起電流を整流回路で整流してその電力を蓄える二次電池を使用するとよい。
【0010】
外部操作部材を操作することにより、600nm以上680nm未満のLEDを、モールス信号のSOSのタイミングで点灯するとよい。また、外部操作部材を操作することにより、照明装置の点灯と消灯とを切り換えるとともに、照明装置の色連続変化と色固定とを切り換え可能とするとよい。
【0011】
温度センサを備え、その出力を入力して制御回路で制御して駆動回路により照明装置を温度センサの出力に応じて駆動するとよい。また、電池の残量を検出する電池残量検出回路を備え、その電池残量検出回路の出力を入力して制御回路で制御して駆動回路により照明装置を電池残量検出回路の出力に応じて駆動するとよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、外部操作部材を操作することにより、制御回路で制御して駆動回路により複数のLEDを一定の周期T内でそれぞれ個別に駆動し、照明装置の照明色を変化するので、複雑な構成を必要とせずに、適宜色を変えて、色を媒体として、情報を伝達し、また装飾効果を発揮して趣きを増大することができる。
【0013】
照明装置の複数のLEDを600nm以上680nm未満の波長のものと、500nm以上600未満の波長のものと、450以上500未満の波長のものとすると、色の三原色(可視光)で構成して照明装置ですべての色を発し、最小限のLEDで色バリエーションを増大することができる。
【0014】
複数のLEDを、互いに重ならないように駆動すると、消費電流を小さくして、電池を小型化することができる。また、一定の周期Tを16.7msec以下とすると、一定の周期Tを短くしてちらついて違和感を感ずることなく、連続的な光として一様に見えるようにすることができる。
【0015】
電池として、外部の磁場が鎖交することでコイルに誘起電流を発生し、その誘起電流を整流回路で整流してその電力を蓄える二次電池を使用すると、電池残量不足となったとき、電磁誘導により充電を行うことができ、電池交換のわずらわしさを解消することができる。
【0016】
外部操作部材を操作することにより、600nm以上680nm未満のLEDを、モールス信号のSOSのタイミングで点灯すると、緊急事態の際、外部操作により付近の人に対して、緊急性を感じる赤色照明とSOSを表すモールス信号の両方で緊急性を伝達して、救助要請を行うことができる。
【0017】
外部操作部材を操作することにより、照明装置の点灯と消灯とを切り換えるとともに、照明装置の色連続変化と色固定とを切り換え可能とすると、外部操作を行うことによりユーザーが自分で所望の照明を選択してオリジナル性を出すことができる。
【0018】
温度センサを備え、その出力を入力して制御回路で制御して駆動回路により照明装置を温度センサの出力に応じて駆動すると、温度センサで体温を検知して照明色で体温を感覚的に報知することができる。
【0019】
電池の残量を検出する電池残量検出回路を備え、その電池残量検出回路の出力を入力して制御回路で制御して駆動回路により照明装置を電池残量検出回路の出力に応じて駆動すると、照明色で充電量を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には、この発明による照明機能付き時計の回路構成を示す。
【0021】
図中符号10は、照明装置であり、文字板の周辺に波長が異なるLED11、12、13を3つ配置することにより構成する。この例では、1つ目のLED11の光の波長は600nm以上680nm未満とし、2つ目のLED12の光の波長は500nm以上600未満とし、3つ目のLED13の光の波長は450以上500未満としてなる。この例では、3つのLEDを配置するが、3つに限らず、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0022】
符号14は、駆動回路であり、照明装置10の3つのLED11、12、13に個別に電流を流してそれぞれ独立に駆動する。符号15は、制御回路であり、駆動回路14を制御する。制御回路15には、予め決定された駆動情報を保持してなる。符号16は、電池であり、制御回路15、駆動回路14および照明装置10に電力を供給する。
【0023】
符号17は、外装ケースの周囲などに設けて外部操作可能な外部操作部材としてのスイッチであり、制御回路15の入力に接続してなり、外部操作したとき制御回路15で制御して駆動回路14により3つのLED11、12、13を一定の周期T内でそれぞれ個別に駆動する。
【0024】
図2には、照明装置10の駆動シーケンス例を示す。
例えば図2に示すように、スイッチ17を操作することにより、一定周期T内で、はじめLED11をパルス幅t1で点灯し、次いでLED12をパルス幅t2で点灯し、最後にLED13をパルス幅t3で点灯してひとつの色をつくり、以下周期Tを変えないでこれを繰り返す。
【0025】
3つのLED11、12、13は、互いに重ならないように駆動するとともに、一定の周期Tを16.7msec以下としてなる。これにより、消費電流を小さくして、電池を小型化することができ、また一定の周期Tを長くすると、ちらつきが生ずるので、周期Tを制限することによりちらついて視覚的に違和感を感ずることなく、連続的な光として一様に見えるようにすることができる。
【0026】
ここで、LED11、12、13のパルス幅t1、t2、t3を変化することによって発光する色を変えることができる。周期Tを変えないで、例えば図3(A)に示すようにパルス幅t1、t2、t3を変化すると、発光する色を緑色とし、(B)に示すように変化すると、橙色とし、(C)に示すように変化すると、黄色とすることができる。
【0027】
また、外部操作部材を適宜操作することにより、600nm以上680nm未満のLEDを、モールス信号のSOSのタイミングで点灯するようにしてもよい。図4には、モールス信号のSOSのシーケンスを示す。このようにすると、緊急事態の際、外部操作により付近の人に対して、緊急性を感じる赤色照明とSOSを表すモールス信号の両方で緊急性を伝達して、救助要請を行うことができる。
【0028】
また、外部操作部材を操作することにより、照明装置の点灯と消灯とを切り換えるとともに、照明装置の色連続変化と色固定とを切り換え可能としてもよい。制御回路15から出力する複数のパターンで発光色の異なるパルスを、例えば外部操作部材であるスイッチ17をオンするごとに可変する。または、スイッチ17を1回オンするごとに、パターンが少しずつ変わって色が連続で変化し、変化している最中にスイッチ17をオンすると、以降はその時点での色のパルスのパターンで出力するようにする。スイッチ操作で、点灯/消灯と、色の連続変化/色固定を切り換えるためには、後者の場合にスイッチ17を1秒以上長押しするなどの方法がある。
【0029】
図5には、この発明による照明機能付き時計の別の回路構成を示す。
図5に示す例では、図1に示す照明装置10、駆動回路14、制御回路15、外部操作部材であるスイッチ17を備える時計回路20を設け、外部から交流磁場を鎖交することで誘起電流を発生するコイル21と、その誘起電流を整流する整流回路22と、その整流した電力を蓄えて前記時計回路20に供給する二次電池23とを設けてなる。
【0030】
これにより、電池残量不足となったとき、電磁誘導により充電を行うことができ、電池交換のわずらわしさを解消することができる。
【0031】
図6には、この発明による照明機能付き時計のまた別の回路構成を示す。
この例では、温度センサ25を備え、その温度センサ25の出力を図1に示す制御回路15の入力に接続する。そして、制御回路15で制御して予め制御回路15に設定したパルス幅の比率を変化し、駆動回路14により照明装置10を温度センサ25の出力に応じて駆動する。これにより、温度センサ25で体温を検知してその検知結果に基づき照明色を変化し、体温を色により感覚的に報知することができる。
【0032】
図7には、この発明による照明機能付き時計のまたさらに別の回路構成を示す。
図7に示す例では、電池の残量を検出する電池残量検出回路27を備え、その電池残量検出回路27の出力を入力して制御回路15で制御して駆動回路14により照明装置10を電池残量検出回路27の出力に応じて駆動してなる。この例では、電池として二次電池を用い、図5に示す例と同様に、外部から交流磁場を鎖交することで誘起電流を発生するコイル21と、その誘起電流を整流する整流回路22と、その整流した電力を蓄えて時計回路20に供給する二次電池23とを設けてなる。これにより、電池残量に応じて照明色を変えて、充電量を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明による照明機能付き時計の回路構成図である。
【図2】その照明機能付き時計に備える照明装置の駆動シーケンスの例を示す図である。
【図3】その照明機能付き時計に備える照明装置における3つのLEDのパルス幅の比率を変化したときの発光例を示す図である。
【図4】モールス信号のSOSのシーケンスを示す図である。
【図5】この発明による照明機能付き時計の別の回路構成図である。
【図6】この発明による照明機能付き時計のまた別の回路構成図である。
【図7】この発明による照明機能付き時計のまたさらに別の回路構成図である。
【符号の説明】
【0034】
10 照明装置
11、12、13 LED
14 駆動回路
15 制御回路
16 電池
17 スイッチ(外部操作部材)
20 時計回路
21 コイル
22 整流回路
23 二次電池
25 温度センサ
27 電池残量検出回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長が異なるLEDを複数設ける照明装置と、
その照明装置の前記複数のLEDに個別に電流を流す駆動回路と、
その駆動回路を制御する制御回路と、
その制御回路および前記照明装置に電力を供給する電池と、
外部操作したとき前記制御回路で制御して前記駆動回路により前記複数のLEDを一定の周期T内でそれぞれ個別に駆動する外部操作部材と、
を備えてなることを特徴とする、照明機能付き時計。
【請求項2】
前記複数のLEDのうちの1つ目の光の波長を600nm以上680nm未満とし、2つ目の光の波長を500nm以上600未満とし、3つ目の光の波長を450以上500未満としてなることを特徴とする、請求項1に記載の照明機能付き時計。
【請求項3】
前記複数のLEDを互いに重ならないように駆動するとともに、一定の周期Tを16.7msec以下としてなることを特徴とする、請求項1または2に記載の照明機能付き時計。
【請求項4】
前記電池として、外部の磁場が鎖交することでコイルに誘起電流を発生し、その誘起電流を整流回路で整流してその電力を蓄える二次電池を使用してなることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1に記載の照明機能付き時計。
【請求項5】
前記外部操作部材を操作することにより、600nm以上680nm未満のLEDを、モールス信号のSOSのタイミングで点灯してなることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1に記載の照明機能付き時計。
【請求項6】
前記外部操作部材を操作することにより、前記照明装置の点灯と消灯とを切り換えるとともに、前記照明装置の色連続変化と色固定とを切り換え可能としてなることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1に記載の照明機能付き時計。
【請求項7】
温度センサを備え、その出力を入力して前記制御回路で制御して前記駆動回路により前記照明装置を前記温度センサの出力に応じて駆動してなることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1に記載の照明機能付き時計。
【請求項8】
前記電池の残量を検出する電池残量検出回路を備え、その電池残量検出回路の出力を入力して前記制御回路で制御して前記駆動回路により前記照明装置を前記電池残量検出回路の出力に応じて駆動してなることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1に記載の照明機能付き時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−151651(P2008−151651A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340097(P2006−340097)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】