説明

照明用光源

【課題】配光特性が良好かつ組立作業が簡単な照明用光源を提供する。
【解決手段】基台14の主面である前面44に複数個が環状に配された半導体発光素子であるLED30と、LED30の光出射部に対面する入射面80を有する導光体26を備え、導光体26は、入射面90と対面する状態で形成され、環状をした第1の境界面部90と、記第1の境界面部90の端部から延長して形成された第2の境界面部92とを有し、第1の境界面部90は、入射面90から内部に入射された光の一部を外部前方へ透過させる(L2)と共に、他の一部(L3)を第2の境界面部92へと反射し、第2の境界面部92は、第1の境界面部90からの反射光(L3)の一部を、基台14の前面44を避ける斜め後方へ反射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子を利用した照明用光源に関し、特に配光特性の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白熱電球の代替品として、LED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子を利用した電球形の照明用光源が普及しつつある。
このような照明用光源は、照射角(配光角)の狭いLEDを光源としているため、白熱電球と比べて配光特性が狭いという課題を有している。そこで、図7に示すように、特許文献1に記載の照明用光源900では、基台901が、第1基台部902と、第1基台部902の前面の一部の領域から逆錐台状に突出している第2基台部903とからなり、第1基台部902の前面には第1のLED904が配置され、第2基台部903の前面には第2のLED905が配置され、第2基台部903を前方から第1基台部902へ投影した場合において、その投影域内に第1のLED904の発光面が存在し、第2基台部903の側面が光反射面906となった構成を採用している。この構成によって、第1のLED904の出射光を光反射面906によって斜め後方へ反射させ、LEDの照射角の狭さを補って、比較的良好な配光特性を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−86946号公報
【特許文献2】特表2008−547175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の照明用光源900の場合、第1基台部902の前面と第2基台部903の前面とがLEDの搭載面となり、それら2つの搭載面に別途LED904,905を搭載しなければならないため、LEDの搭載面が1つしかない場合と比べて組立作業が煩雑である。また、基台901を、第1基台部902と第2基台部903とからなるような複雑な形状にすると、基台901のコストアップを招く。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、配光特性が良好かつ組立作業が簡単な照明用光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明に係る照明用光源は、基台の主面に複数個が環状に配された半導体発光素子と、前記各半導体発光素子の光出射部に対面する入射面を有する導光体を備え、前記導光体は、前記入射面と対面する状態で形成され、環状をした第1の境界面部と、前記第1の境界面部の端部から延長して形成された第2の境界面部とを有し、前記第1の境界面部は、前記入射面から内部に入射された光の一部を外部前方へ透過させると共に、他の一部を前記第2の境界面部へと反射し、前記第2の境界面部は、前記第1の境界面部からの反射光の一部を、前記基台の前記主面を避ける斜め後方へ反射することを特徴とする。
【0007】
また、前記複数個の半導体発光素子は円環状に配されていて、前記導光体は、円筒状部と当該円筒状部の一端部から径方向外方に延出されたフレア部とを有し、前記円筒状部の他端部が前記各半導体発光素子の光出射部に対面して、前記入射面を形成しており、前記フレア部は、その内周縁部から外周縁部に至る外表面の、前記円筒状部の軸心を通る平面で切断した断面が、前記円筒状部の前記軸心方向の延長方向に向けて凸状に湾曲形成された山形をしており、前記内周縁部から前記山形の頂部に至る外表面部が前記第1の境界面に構成され、前記頂部から前記外周縁部に至る外表面部が前記第2の境界面部に構成されていることを特徴とする。
【0008】
さらに、口金と、前記口金を介して給電された電力を、前記半導体発光素子を発光させるための電力に変換する回路ユニットと、前記回路ユニットを内包すると共に、前記基台と前記口金とを連結する筐体と、拡散透過性を有し、前記導光体を覆う状態で前記筐体に取り付けられているグローブと、を有し、前記第2の境界面部で反射し、前記基台の前記主面を避ける斜め後方へ進行する光が到達するグローブ内周面部分に、これ以外の内周面部分よりも拡散性が高くなる拡散処理が施されていることを特徴とする。
【0009】
この場合に、前記拡散処理は、グローブ内周面に複数個が一様に形成された半球状の第1の窪みと、第1の窪み各々の内面に複数個形成され、前記第1の窪みよりも小さな第2の窪みであることを特徴とする。
【0010】
また、前記筐体はテーパ筒状をしており、前記筐体の大径側に前記基台および前記グローブが、小径側に前記口金がそれぞれ取り付けられていて、前記テーパ筒の中心軸方向において、前記グローブの前記口金側端部が前記導光体の前記フレア部よりも前記口金に近いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る照明用光源は、複数個の半導体発光素子が基台の主面に配されている構成であるため、半導体発光素子を基台へ搭載し易く、照明用光源の組立作業が簡単である。また、環状に配置された半導体発光素子から出射され入射面から内部に入射された光の一部を、外部前方へ透過すると共に、前記基台の前記主面を避ける斜め後方へ反射する導光体を備えているため、配光角が狭い半導体発光素子を用いながら照明用光源の配光特性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係るLEDランプの概略構成を示す断面図である。
【図2】上記LEDランプを構成するLEDモジュールを示す平面図である。
【図3】図1におけるA部拡大図である。
【図4】図1におけるA部拡大図であり、LEDから導光体に入射した光の行路の一例を説明するための図である。
【図5】照明用光源の配光特性を説明するための配光曲線図である。
【図6】グローブ開口部近傍に形成された拡散処理部を表す拡大端面図である。
【図7】従来の照明用光源を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る照明用光源の実施の形態について、電球形LEDランプを例にとり図面を参照しながら説明する。
図1は、半導体発光素子としてLEDを有する電球形LEDランプ10(以下、単に「LEDランプ10」という。)の概略構成を示す断面図である。ここで、「電球形」とは、一般的な白熱電球の代替光源となるものであって、白熱電球と同規格の口金と光源(LED)を点灯させるための回路ユニットを内蔵し、白熱電球用の照明器具に装着して使用することができるものをいう。
<全体構成>
LEDランプ10は、図1に示すように、LEDモジュール12と、LEDモジュール12が搭載された基台14と、LEDモジュール12を覆うグローブ16と、LEDモジュール12を点灯させるための回路ユニット18と、回路ユニット18を収容した回路ホルダ20と、回路ホルダ20を覆う筐体であるケース22と、回路ユニット18と電気的に接続された口金24と、LEDモジュール12からの出射光を受け入れ、受け入れた光を後述するように導光して出射する導光体26とを備える。
【0014】
ここで、図1において、紙面上下方向に描かれた一点鎖線はLEDランプ10のランプ軸Jを示しており、紙面上方がLEDランプ10の前方であって、紙面下方がLEDランプ10の後方であるとする。また、LEDランプ10を構成するある部材または当該部材のある部位を基準とする場合も、ランプ軸Jに沿う方向、当該部材または部位よりも紙面上方を前方、紙面下方を後方とする。
<各部構成>
(1)半導体発光モジュール
図2は、半導体発光モジュールであるLEDモジュール12を示す平面図である。図2に示すように、LEDモジュール12は、実装基板28と、実装基板28に実装された光源としての複数個の(本例では、16個の)LED30と、それらLED30を被覆するように実装基板28上に設けられた封止体32とを備える。
【0015】
実装基板28は、略円環状をした素子実装部34と、素子実装部34の内周縁の一箇所から前記円環の中心へ向けて延出した舌片部36とからなる。舌片部36の後面には、回路ユニット18の配線38(図1)が接続されるコネクタ40が設けられており、配線38をコネクタ40に接続することによってLEDモジュール12と回路ユニット18とが電気的に接続される。
【0016】
複数個のLED30は、素子実装部34の前面に円環状に実装されている。
LED30の各々は、略直方体形状の封止体32によって個別に封止されている。したがって、封止体32も全部で16個である。
【0017】
封止体32は、主として透光性材料からなるが、LED30から発せられた光の波長を所定の波長へと変換する必要がある場合には、前記透光性材料に光の波長を変換する波長変換材料が混入される。透光性材料としては、例えばシリコーン樹脂を用いることができ、波長変換材料としては、例えば蛍光体粒子を用いることができる。
【0018】
本実施の形態では、青色光を出射するLED30と、青色光を黄色光に波長変換する蛍光体粒子が混入された透光性材料で形成された封止体32とが採用されている。LED30から出射された青色光の一部が封止体32によって黄色光に波長変換され、当該黄色光と変換されなかった青色光との混色により生成される白色光がLEDモジュール12から出射される。
【0019】
さらに、LEDモジュール12は、例えば、紫外線発光の半導体発光素子と三原色(赤色、緑色、青色)に発光する各色蛍光体粒子とを組み合わせたものでも良い。さらに、波長変換材料として半導体、金属錯体、有機染料、顔料など、ある波長の光を吸収し、吸収した光とは異なる波長の光を発する物質を含んでいる材料を用いても良い。
【0020】
(2)基台
図1に戻って、基台14は、例えば、略円筒形状をしており、その中心軸(筒軸)がランプ軸Jと一致する姿勢で配置されている。したがって、基台14の中空部42は前後方向に貫通し、基台14の前面44および後面46はいずれも略円環形状の平面である。そして、基台14の前面44にLEDモジュール12が搭載されており、これにより各LED30がそれぞれの主出射方向を前方に向けた状態で円環状に平面配置された状態となっている。このように全てのLED30が基台14の前面44に平面配置された構成であるため、基台14へLED30を容易に搭載することでき、照明用光源の組立作業が簡単である。基台14へのLEDモジュール12の搭載は、例えば、ネジ止め、接着、係合などによって行なうことが考えられる。
【0021】
なお、前面44は略円環形状に限定されず、どのような形状であっても良い。また、前面44は、LED30を平面配置できるのであれば、必ずしも全体が平面である必要はない。
【0022】
基台14は、例えば金属材料からなり、金属材料としては、例えばAl、Ag、Au、Ni、Rh、Pd、Cu、またはそれらの内の2以上からなる合金、またはCuの合金、特にAgの合金などが考えられる。このような金属材料は、熱伝導性が良好であるため、LEDモジュール12で発生した熱をケース22に効率良く伝導させることができる。
【0023】
LEDランプ10は、基台14が中空部42を有するため軽量である。また、中空部42内、および、中空部42を介してグローブ16内に、回路ユニット18の一部が配置されているため小型である。
【0024】
(3)グローブ
グローブ16は、本実施の形態では、一般電球形状であるA型の電球のバルブを模した形状であり、グローブ16の開口側端部が基台14およびケース22に固定されている。LEDランプ10の外囲器は、グローブ16とケース22とで構成されている。なお、グローブ16の形状は、A型の電球のバルブを模した形状に限定されず、どのような形状であっても良い。
【0025】
グローブ16は、例えば、合成樹脂材料やガラス材料などの透光性材料からなる。グローブ16の内面は、LEDモジュール12から発せられた光を拡散させる拡散処理、例えば、シリカその他の微粒子のふきつけ塗装や白色顔料の塗布塗装が施されている。すなわち、グローブ16は拡散透過性を有する。グローブ16の内面に入射した光はグローブ16を透過しグローブ16の外部へと取り出される。なお、拡散透過性を得るため、グローブ16自体を乳白色の材料で形成しても構わない。
【0026】
(4)回路ユニット
回路ユニット18は、LED30を点灯させるためのものであって、回路基板48と、回路基板48に実装された各種の電子部品50,52とを有している。なお、図面では一部の電子部品にのみ符号を付している。回路ユニット18は、回路ホルダ20内に収容されており、例えば、ネジ止め、接着、係合などにより回路ホルダ20に固定されている。
【0027】
回路基板48は、その主面がランプ軸Jと平行する姿勢で配置されている。このようにすれば、回路ホルダ20内に回路ユニット18をよりコンパクトに格納することができる。また、回路ユニット18は、熱に弱い電子部品50がLEDモジュール12から遠い後方側に位置し、熱に強い電子部品52がLEDモジュール12に近い前方側に位置するように配置されている。このようにすれば、熱に弱い電子部品52がLEDモジュール12で発生する熱によって熱破壊され難い。
【0028】
回路ユニット18と口金24とは、電気配線54,56によって電気的に接続されている。電気配線54は、回路ホルダ20に設けられた貫通孔58を通って、口金24のシェル部60と接続されている。また、電気配線56は、回路ホルダ20の後方側開口を通って、口金24のアイレット部62と接続されている。
【0029】
回路ユニット18の一部は、基台14の中空部42内、および、グローブ16内に配置されている。このようにすることで、基台14よりも後方側における回路ユニット18を収容するためのスペースを小さくすることができる。したがって、基台14と口金24との距離を縮めたり、ケース22の径を小さくしたりすることが可能であり、LEDランプ10の小型化に有利である。
【0030】
(5)回路ホルダ
回路ホルダ20は、例えば、両側が開口した略円筒形状であって、大径部64と小径部66とで構成される。前方側に位置する大径部64には回路ユニット18の大半が収容されている。一方、後方側に位置する小径部66には口金24が外嵌されており、これによって回路ホルダ20の後方側開口が塞がれている。回路ホルダ20は、例えば、樹脂などの絶縁性材料で形成されていることが好ましい。
【0031】
回路ホルダ20の大径部64はその一部が基台14の中空部42に進入しており、回路ユニットの一部は回路ホルダ20に収容された状態で基台14の中空部42内に配置されている。回路ホルダ20と基台14とは接触しておらず、それらの間には隙間が設けられている。言い換えれば、回路ホルダ20の外面(外周面)と基台14の中空部42の内面(基台14の内周面)との間には隙間が設けられている。そして、前記隙間のランプ軸Jと直交する方向の幅は、回路ホルダ20の外周全周に亘って略均一となっている。このように、回路ホルダ20と基台14との間に隙間を設けることによって、基台14から回路ホルダ20へ熱が伝搬し難くなっている。したがって、回路ホルダ20が高温になり難く、回路ユニット18が熱破壊し難い。
【0032】
上記したように、回路ホルダ20と基台14との間に隙間が設けられているため、グローブ16とケース22とで構成される外囲器内では空気が対流し易い。すなわち、グローブ16内の空間と、ケース22内における基台14よりも後方側の空間とは、それら隙間を介して空気が循環可能であるため、外囲器内において局所的な高温の箇所が生じ難い。
【0033】
(6)ケース
ケース22は、例えば、前方から後方へ向けて縮径したテーパ筒状をしている。ケース22の前方側端部(大径側端部)68内には基台14とグローブ16の開口側端部とが収容されており、ケース22、基台14およびグローブ16は、例えば、それらで囲まれた空間70に接着剤を流し込むなどして一体に固着されている。
【0034】
基台14の後方側端部の外周縁は、ケース22の内周面の形状にあわせてテーパ形状となっている。そのテーパ面がケース22の内周面と面接触しているため、LEDモジュール12から基台14へ伝搬した熱が、さらにケース22へ伝導し易くなっている。LED30で発生した熱は、主に、基台14およびケース22を介し、さらに回路ホルダ20の小径部66を介して口金24へ伝導し、口金24から照明器具(不図示)側へ放熱される。
【0035】
また、上記面接触により間隙がほとんど生じないため、グローブ16内部を伝播した光が、当該間隙を介してケース22内部へと漏れるのを可能な限り防止することができる。
ケース22は、例えば金属材料からなり、金属材料としては、例えばAl、Ag、Au、Ni、Rh、Pd、Cu、またはそれらの内の2以上からなる合金、またはCuの合金、特にAgの合金などが考えられる。このような金属材料は、熱伝導性が良好であるため、ケース22に伝搬した熱を効率良く口金24側に伝搬させることができる。
【0036】
(7)口金
口金24は、LEDランプ10が照明器具に取り付けられ点灯された際に、照明器具のソケットから電力を受けるための部材である。口金24の種類は、特に限定されるものではないが、本実施の形態ではエジソンタイプであるE26口金が使用されている。口金24は、略円筒形状であって外周面が雄ネジとなっているシェル部60と、シェル部60に絶縁部72を介して装着されたアイレット部62とを備える。シェル部60とケース22との間には絶縁部材74が介在している。
【0037】
(8)導光体
図1に示すように、導光体26は、略「L」字状の横断面(ランプ軸Jを含む平面で切断した断面)を有し、全体的に環状(本例では、円環状)をしている。導光体26は、ポリカーボネートで形成されている。なお、導光体26は、ポリカーボネートに限らず、他の透光性材料で形成することとしても構わない。導光体26は、円筒状部78と円筒状部78の一端部からその径方向外方に延出されたフレア部(フランジ部)82とを有する。
【0038】
導光体26は、これと一体成形されキャップ状(有底円筒状)をした蓋材76を介して、回路ホルダ20に取り付けられている。取り付けられた状態で、円環状をした導光体26は、その環状中心がランプ軸J上に位置する。なお、蓋材76の円筒部分の一部に、スリット77が開設されており、実装基板28の舌片部36はスリット77を通って、ランプ軸Jの方向に延出されている。
【0039】
図3に示すのは、図1のA部拡大図であり、導光体26およびその近傍を表している。
導光体26は、上記したように、ランプ軸J(図1)とその軸心を共通にする円筒状部78を有する。円筒状部78の他端部(LED30の光出射面と対向する面)80は、LED30から出射された光を導光体26内部へと受け入れる入射面80となっている。
【0040】
LED30は、光強度の角度依存性が約半値全幅120°のランバーシアンの特性を示すため、入射面80の幅とLED30からの距離とは、配光角α=120°で拡がるLED30の出射光の全部が入射面80に入射するような関係に設定することが好ましい。
【0041】
導光体26は、また、上記したように、円筒状部78の入射面(端面)80の反対側から当該円筒の外側へ延出された(張り出した)フレア部(フランジ部)82を有する。
フレア部82は、その内周縁部から外周縁部に至る外表面の、円筒状部78の軸心を通る平面で切断した断面(横断面)が、円筒状部78の前記軸心方向の延長方向に向けて凸状に湾曲形成された山形をしている。
【0042】
フレア部82は、当該横断面において、前記山形の頂部84を境に、ランプ軸Jと直交する方向その内側部86と外側部88とに分けられる。
上記の構成からなる導光体26によれば、LED30から出射され、入射面80から入射された光は、LEDランプ10の前方のみならず、側方および後方にも出射されることとなるのであるが、これについて、図4を参照しながら説明する。
【0043】
LED30から真直ぐ前方(ランプ軸Jと平行)に出射された光L1は、入射面80から導光体26内部へ入射し、そのまま内部を前方に進行する。
進行した光は、スネルの法則に従い、内側部86における導光体26外部との境界面(換言すれば、フレア部82の内周縁部から前記山形に頂部84に至る外表面、以下、「第1の境界面90」と言う。)において、その一部は、透過して導光体26外部前方へ出射される(L2)。他の一部は、反射して導光体26内部をランプ軸Jから遠ざかる方向に進行する(L3)。
【0044】
そして、内部をランプ軸Jから遠ざかる方向に進行した光(L3)は、外側部88における導光体26外部との境界面(換言すれば、フレア部82の前記山形の頂部84から外周縁部に至る外表面、以下、「第2の境界面92」と言う。)において、スネルの法則に従い、その一部は、透過して円環状をした導光体26の外側へ出射され(L4)、他の一部は、後方へ反射されて内部を進行し(L5)、導光体26の斜め後方へと出射される(L6)。
【0045】
ここで、第1の境界面90は、ランプ軸Jの方向から視て環状(本例では、円環状)をしており、第1の境界面90の外周縁部から延長して形成された第2の境界面92も環状(本例では、円環状)をしている。
【0046】
なお、円筒状部78を有さない導光体(すなわち、フレア部82のみの導光体)としても、当該導光体に入射した光は導光体の斜め後方へ出射されるのであるが、この場合には、出射位置が基台14に近づき過ぎるため、出射された光(例えば、L6に相当する光)が基台14に遮られてLEDランプの後方へは出射されなくなる。すなわち、円筒状部78は、導光体から斜め後方に出射される光が可能な限り、基台によって遮られないように設けられているのである。一方、円筒状部78の全長をより長くすると、導光体から斜め後方に出射される光の内、基台によって遮られる光は一層減少するのであるが、そうすると、入射面80から入射された光は、フレア部82に至るまでの間に、円筒状部78から導光体26外部へと出射されてしまい、フレア部82に進入する光の量が減少する結果、導光体から斜め後方に出射される光の量自体が減少してしまう。円筒状部78の全長はこの点を考慮して、適宜設定される。
【0047】
また、基台14に遮られることなく、斜め後方へ光を出射させるためには、フレア部82の外径は、できるだけ大きいのが好ましいのであるが、本例においては、円環状をした基台14の外径未満(グローブ16の開口径未満)とする。基台14の外径以上とすると、グローブ16が基台14に取り付けられなくなるからである。
【0048】
そして、導光体26から出射された光は、透過拡散性を有するグローブ16によって拡散された上で、LEDランプ10から出射されることとなる。
以上は、LED30から真直ぐ前方に出射される最も輝度の高い光(主出射光)が、導光体26によって導光され、図示する前方、側方および斜め後方の三方(L2、L4、L6)に出射されることについて説明したが、LED30からは、配光角120°の拡がりをもって光が出射されているため、これら三方のみならず、これら三方間においても導光体26からは光が広範囲に出射されることは言うまでもない。
【0049】
なお、上記の例では、フレア部82の前面は滑らかに湾曲した面としたが、これに限らず、当該湾曲面に沿った連続した平面(微小平面の連続体が好ましい)としても構わない。あるいは、曲面と平面との組み合わせとしても構わない。
【0050】
[照明用光源の配光特性]
次に、照明用光源であるLEDランプ10の配光特性が良好である理由を詳細に説明する。図5は、照明用光源の配光特性を説明するための配光曲線図である。図5に示すように、配光曲線図は、LEDランプ10の前後方向を含む360°の各方向に対する光度の大きさを表しており、LEDランプ10のランプ軸J方向前方を0°、ランプ軸J方向後方を180°として、時計回りおよび反時計回りにそれぞれ10°間隔に目盛を刻んでいる。配光曲線図の径方向に付した目盛は光度を表しており、光度は各配光曲線における最大値を1とする相対的な大きさで表されている。
【0051】
図5において、一点鎖線を用いて白熱電球の配光曲線Aを示し、破線を用いて特許文献1の照明用光源900の配光曲線Bを示し、実線を用いて本実施の形態に係るLEDランプ10の配光曲線Cを示している。
【0052】
配光特性は配光角に基づき評価した。配光角とは、照明用光源における光度の最大値の半分以上の光度が出射される角度範囲の大きさをいう。図5に示す配光曲線の場合は、光度が0.5以上となる角度範囲の大きさである。
【0053】
図5から分かるように、白熱電球の配光角は約315°であり、特許文献1の照明用光源900の配光角は約165°であり、本実施の形態に係るLEDランプ10の配光角は約270°である。このように、LEDランプ10は、照明用光源900よりも配光角が広く、白熱電球により近い配光角を有する。したがって、LEDランプ10は、照明用光源900よりも配光特性が良く、白熱電球に近似した配光特性を有するといえる。
【0054】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態とすることもできる。
(1)上記実施の形態では、半導体発光素子としてLEDを用いたが、これに限らず、例えば、LD(レーザダイオード)や、EL素子(エレクトリックルミネッセンス素子)を用いても構わない。
(2)上記実施の形態では、LED30を円環状に配列したが、これに限らず、他の環状、例えば、三角形、四角形、または五角以上の多角形、あるいは楕円形の環状に配することとしても構わない。
(3)上記実施の形態において、グローブ16には上述したような拡散処理が施されているのであるが、さらに、グローブ16の開口部付近の内周面部には、当該内周面部以外の内周面部よりも拡散性が高くなる図6に示すような拡散処理を施しても構わない。
【0055】
図6は、グローブ16開口部近傍の内周面近傍を切断し、その切断面のみを表した端面図であり、ランプ軸Jを含む平面で切断した端面図である。
グローブ16の内周面16Aの開口部近傍には、半径R(例えば、R=40[μm])を有する半球状の第1の窪み16Bが一様に形成されており、第1の窪み16B各々の内周面には、第1の窪み16Bよりも小さい半径r(例えば、r=5[μm])を有する半球状の第2の窪み16Cが一様に形成されている。
【0056】
このように、一様に形成した微小な窪み(ディンプル)の各々に、これよりも小さい窪み(ディンプル)を一様に形成するといった、二重の窪み構造の拡散処理部94を形成することにより、単一の窪み構造とした場合と比較して一層光拡散性が向上する。
【0057】
グローブ16において、拡散処理部94を形成する領域は、筐体であるケース22から露出している範囲であって、第2の境界面部92からの反射光が到達する範囲(領域)が好ましい。導光体26から後方に出射された光をグローブ16(の拡散処理部94)で拡散して、配光範囲をさらに後方に広げるためである。
【0058】
ここで、第1の窪み16Bの半径は、R=20[μm]〜40[μm]の範囲が好ましく、第2の窪みの半径は。r=2[μm]〜8[μm]の範囲が好ましい。
なお、グローブ16全体に上記二重の窪み構造の拡散処理をしないのは以下の理由による。すなわち、拡散性の高い処理が施された領域ほど、そこを通過する光の損失が多くなる。そこで、拡散性と光の損失のバランスを考慮し、特に、拡散性を重視する箇所については、上記二重の窪み構造の拡散処理を施し、光の損失を可能な限り生じさせたくない箇所には、拡散性が過度にならず適度なものとなる処理を施すためである。
(4)キャップ状をした蓋材76(図1)は、図示した形状に限らないことは言うまでもなく、導光体26から出射される光の進路を可能な限り遮断しないような形状であれば構わない。
(5)上記実施の形態では、ケース22内に回路ホルダ20を設け、回路ユニット18を回路ホルダ20に取り付けることとしたが、これに限らず、回路ホルダ20を廃して、回路ユニットは、基台あるいは蓋材76に取り付けることとしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、照明一般に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 LEDランプ
14 基台
26 導光体
30 LED
44 前面
90 第1の境界面部
92 第2の境界面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台の主面に複数個が環状に配された半導体発光素子と、
前記各半導体発光素子の光出射部に対面する入射面を有する導光体を備え、
前記導光体は、
前記入射面と対面する状態で形成され、環状をした第1の境界面部と、
前記第1の境界面部の端部から延長して形成された第2の境界面部とを有し、
前記第1の境界面部は、前記入射面から内部に入射された光の一部を外部前方へ透過させると共に、他の一部を前記第2の境界面部へと反射し、
前記第2の境界面部は、前記第1の境界面部からの反射光の一部を、前記基台の前記主面を避ける斜め後方へ反射することを特徴とする請求項1に記載の照明用光源。
【請求項2】
前記複数個の半導体発光素子は円環状に配されていて、
前記導光体は、円筒状部と当該円筒状部の一端部から径方向外方に延出されたフレア部とを有し、
前記円筒状部の他端部が前記各半導体発光素子の光出射部に対面して、前記入射面を形成しており、
前記フレア部は、その内周縁部から外周縁部に至る外表面の、前記円筒状部の軸心を通る平面で切断した断面が、前記円筒状部の前記軸心方向の延長方向に向けて凸状に湾曲形成された山形をしており、
前記内周縁部から前記山形の頂部に至る外表面部が前記第1の境界面に構成され、前記頂部から前記外周縁部に至る外表面部が前記第2の境界面部に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明用光源。
【請求項3】
口金と、
前記口金を介して給電された電力を、前記半導体発光素子を発光させるための電力に変換する回路ユニットと、
前記回路ユニットを内包すると共に、前記基台と前記口金とを連結する筐体と、
拡散透過性を有し、前記導光体を覆う状態で前記筐体に取り付けられているグローブと、
を有し、
前記第2の境界面部で反射し、前記基台の前記主面を避ける斜め後方へ進行する光が到達するグローブ内周面部分に、これ以外の内周面部分よりも拡散性が高くなる拡散処理が施されていることを特徴とする請求項2に記載の照明用光源。
【請求項4】
前記拡散処理は、グローブ内周面に複数個が一様に形成された半球状の第1の窪みと、第1の窪み各々の内面に複数個形成され、前記第1の窪みよりも小さな第2の窪みであることを特徴とする請求項3に記載の照明用光源。
【請求項5】
前記筐体はテーパ筒状をしており、
前記筐体の大径側に前記基台および前記グローブが、小径側に前記口金がそれぞれ取り付けられていて、
前記テーパ筒の中心軸方向において、前記グローブの前記口金側端部が前記導光体の前記フレア部よりも前記口金に近いことを特徴とする請求項4に記載の照明用光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−150886(P2012−150886A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6414(P2011−6414)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】