照明装置、画像読取装置、および画像形成装置
【課題】被照射体(原稿面)に均一な光を照射でき、光源からの光を照射領域へ高効率に照射可能な照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】導光体70を介して発光素子61からの光を照射する照明装置である。導光体70の導光領域における出射面71bおよび入射面71a以外を囲む包囲部82と、導光領域以外で導光体70の姿勢を規制する支持体83とを有する遮光部材80を備える。遮光部材80が導光体70の導光領域と非接触である
【解決手段】導光体70を介して発光素子61からの光を照射する照明装置である。導光体70の導光領域における出射面71bおよび入射面71a以外を囲む包囲部82と、導光領域以外で導光体70の姿勢を規制する支持体83とを有する遮光部材80を備える。遮光部材80が導光体70の導光領域と非接触である
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、画像読取装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ファクシミリ装置、複写機および複合機等に設けられたスキャナ装置等の画像読取装置では、近年、光源の立ち上がりのスピード、省エネルギー化、長寿命化等の要望があり、光源として点光源であるLED(発光ダイオード)を用いた照明装置(原稿照明装置)が採用されている。
【0003】
また、導光体方式のスキャナ照明ユニットでは、光源部(LED)からの漏れ光の影響を防止するため、又はユーザーが発光部分を直視できることを防止するために、導光体の周辺部を他部品にて遮蔽する構成が既に知られている。
【0004】
しかし、今までの導光体方式のLED照明ユニットにおいて、導光体の導光領域で他部品と接触があると、光が接触部で全反射せず、接触部から光の通過(導光体外部への漏れ)が発生する。スキャナ光源として使用する場合、部分的にこのような領域(導光体外部への光通過領域)が存在すると原稿面上では接触部有無により照度ムラが発生する。また、部分的でなく全域に光通過領域が存在すると照度ムラは解消されるが、その領域全域で導光体外部へ光が漏れるため、光源から原稿面上へ到達する光量が減少し、照明ユニットとしての光利用効率が著しく低下する問題がある。
【0005】
そして、従来には、保持部材で保持している導光体を遮光部材で挟むことによって位置決めしているものがある(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載のものであっても、導光体と遮光部材が接触するものであるので、この接触した部分で光の損失を招くとともに、照射領域での照度ムラが発生するおそれがあった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑み、被照射体(原稿面)に均一な光を照射でき、光源からの光を照射領域へ高効率に照射可能な照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明装置は、導光体を介して発光素子からの光を照射する照明装置であって、前記導光体の導光領域における出射面および入射面以外を囲む包囲部と、導光領域以外で導光体の姿勢を規制する支持体とを有する遮光部材を備え、この遮光部材が導光体の導光領域と非接触であるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の照明装置では、接触することによる光の損失や照度ムラの発生を抑えた状態で、導光体を介した発光素子からの光を被照射体に安定して照射できる。このため、照明装置としてロスが少なくしかも精度のよい照明が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態を示す画像形成装置の全体構成図である。
【図2】前記図1に示す画像形成装置の画像読取装置の簡略断面図である。
【図3】前記図2に示す画像読取装置に用いられる照明装置の要部斜視図である。
【図4】前記図3に示す照明装置の拡大断面図である。
【図5】前記図3に示す照明装置の照明ユニットを示す平面図である。
【図6】前記図5のB−B線拡大断面図である。
【図7】前記図3に示す照明装置の導光体の平面図である。
【図8】前記図7のC−C線拡大断面図である。
【図9】前記前記図3に示す照明装置の遮光部材の平面図である。
【図10】前記図9のD−D線拡大断面図である。
【図11】発光素子が実装された基板の平面図である。
【図12】前記図11に示す基板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0012】
図1は実施形態に係る画像形成装置(複写機)の概略を示す。この複写機10は、自動原稿搬送装置11、給紙部12、画像読取部(画像読取装置)13および画像形成部(画像形成手段)14を備えている。
【0013】
自動原稿搬送装置11は、原稿トレイ16に載置された原稿を給紙ローラや分離ローラ等の各種ローラからなる分離給紙手段17によってコンタクトガラス15上に搬送し、読取りが終了した原稿を搬送ベルト18によって透明部材としてのコンタクトガラス15上から搬出した後、各種排紙ローラからなる排紙手段19によって排紙トレイ20に排紙する。
【0014】
また、原稿の両面を読取る場合には、排紙手段19に設けられた分岐機構および搬送ベルト18によって原稿をコンタクトガラス15上に返送して未読取面の読取りを行うようになっている。
【0015】
給紙部12は、異なるサイズの記録媒体としての記録紙を収納する給紙カセット21a、21bと、給紙カセット21a、21bに収納された記録紙を転写位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段22とを備えている。
【0016】
また、画像読取装置13は、詳しくは後述するが、第1キャリッジ35、第2キャリッジ36を図1中、左右方向(副走査方向)に駆動して光源により原稿面に光を照射して原稿面を読取り、この読取光をミラー部材で反射した後、レンズユニット37によってCCD等の画像読取センサに取り込むようになっている。
【0017】
画像形成部14は、レンズユニット37に取り込まれた読取信号に基づいて書き込み信号を形成する露光装置23と、露光装置23によって生成された書き込み信号が表面に形成される複数の感光体ドラム24と、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックとそれぞれ異なる色のトナーが充填され、各感光体ドラム24に異なる色のトナーを供給して書き込み信号を可視像化させる現像装置25と、感光体ドラム24上に形成された可視像が重ねられて転写されることによりカラー画像が形成され、このカラー画像を給紙部12から給紙された記録紙に転写する転写ベルト26と、記録紙に定着されたカラー画像を記録紙に定着する定着装置27とを備えている。
【0018】
画像読取装置13は、図2に示すように、第1キャリッジ35と第2キャリッジ36とレンズユニット37等を備え、これらがフレーム31に収容されている。また、本体フレーム31の内部には図示しない第1レールと第2レールが設けられており、第1レールには走行体としての第1キャリッジ35が摺動自在に取付けられていると共に、第2レールには第2キャリッジ36が摺動自在に取付けられている。
【0019】
そして、第1キャリッジ35と第2キャリッジ36とは、図示省略の駆動機構によって、それぞれ前記レールに沿って移動する。なお、駆動機構は、駆動用モータと、このモータの駆動力をキャリッジ35,36に伝達する伝達手段とを備える。この伝達手段は、例えば、駆動軸とワイヤ駆動プーリと駆動ワイヤ等で構成できる。第2キャリッジ36は、後述するように、第2ミラー部材45bと第3ミラー部材45cとを備える。
【0020】
図3と図4は、第1キャリッジ35を示し、第1キャリッジ35は、板金からなるベース40と、ベース40の下面に垂下された一対の側板41とを有する枠体46を備える。また、枠体46のベース40の上面に取り付けられた受け台42が固着され、これに後述する照明ユニットUを有する照明装置50が付設されている。
【0021】
ベース40は、前端部40aが上側に折り曲げられたフランジを形成し、この前端部40aの上端部には、ベース40に対して所定の箇所で傾斜するように折り曲げられた傾斜部40bが設けられている。この前端部40aが照明装置50から照射された光を反射されて原稿面での照度分布を良好なものにするための対向反射板、いわゆるリフレクタ44を構成する。また、リフレクタ44は、照明装置50から照射された光を反射させることにより、例えば切り貼り原稿P(図4参照)を読み取った際に、原稿Pの凹凸により発生する影を無くすことができる。
【0022】
また、一対の側板41、41は、主走査方向(矢印Y方向)に互いに離隔して設けられ、主走査方向に沿って長尺とされる第1ミラー部材45aを保持するようになっている。受け台42は、板金からなり、ベース40に対する取付面を有する取付部42aと、この取付部42aに対して所定の角度で傾斜するよう上方に折曲げられた折り曲げ片部42b(図4等参照)とを有する。取付部42aは、主走査方向の両端部に形成され、締結部材29によりベース40に取り付けられる。
【0023】
照明装置50は、図5と図6に示すような照明ユニットUを構成している。この照明ユニットは、多数の発光素子61(発光ダイオード:LED)が直線状に配設されて実装されている基板60と、導光体70と、遮光部材80とを備える。
【0024】
導光体70は、アクリル等の透過率の高い樹脂等で構成され、図7と図8に示すように、導光領域を構成する本体部70aと、導光領域を外れるように本体部70aから延びる支持部70bとを備える。本体部70aは、断面が台形状の棒状体からなり、幅狭側の端面を入射面71aとし、幅広側の端面を出射面71bとしている。
【0025】
支持部70bは、本体部70aの入射面71a側から本体部断面中心線Oに対して直交するように延びる基部72と、この基部72からさらに本体部70aから離れるように延びる延設部73とからなる。また、延設部73の表面に切欠部74が設けられ、入射面71aと、この導光体70の裏面75bとの間に隙間76が設けられている。延設部73には、図7に示すように、長手方向に沿って所定ピッチで膨出部77が設けられ、この膨出部77に貫通孔78が設けられている。なお、長手方向端部の膨出部77(77a、77b)は、他の膨出部77(77c)よりも長手方向が大とされ、一方の端部側の膨出部77aには、前記貫通孔78の他に長孔79aが設けられ、他方の端部側の膨出部77bには、前記貫通孔78の他に円孔79bが設けられている。なお、前記隙間76の隙間寸法Wは、後述する発光素子61の高さ寸法W1より僅かに大きい寸法とする。
【0026】
次に遮光部材80は、図9と図10に示すように、導光体70の導光領域における出射面71bおよび入射面71a以外を囲む包囲部82と、導光領域以外で導光体70の姿勢を規制する支持体83とを備える。また、遮光部材80としては、黒色のカーボンを含むポリエステルフィルムやPET材質等のように低反射率の部材の単一部品からなる。
【0027】
包囲部82は、前記導光体70の本体部70aが遊嵌状に嵌合される扁平の筒状であって、支持体83は、包囲部82から前記導光体70の支持部70bと同様、この包囲部82の横方向に延びる。また、支持体83には、図9に示すように、複数の支持片部84が長手方向に沿って所定ピッチで配設されている。
【0028】
長手方向の一方の端部の支持片部84(84a)には、大長孔85aと、小長孔86aとが形成され、長手方向の他方の端部の支持片部84(84b)には、大円孔85bと、小円孔86bとが形成される。また、他の支持片部84(84c)には、長円孔87が形成されている。そして、包囲部82の反支持体側の壁部に、長手方向によって所定ピッチで配設された切欠89が形成され、この切欠89に係止片88が形成されている。
【0029】
また、基板60は、図11と図12に示すように、帯板状体からなり、一方の長辺側に長手方向に沿って所定ピッチで多数の発光素子61が配設され、他方の長辺側に長手方向に沿って所定ピッチで膨出部91が形成され、各膨出部91に円孔からなる貫通孔92が形成されている。この場合、長手方向の端部の膨出部91(91a、91b)は、他の膨出部91(91c)よりも長手方向長さが大とされる。また、一方の端部の膨出部91aには、貫通孔92の他に長孔93aが設けられ、他方の端部の膨出部91bには貫通孔92の他に円孔93bが設けられている。
【0030】
基板60の長手方向の他方の端部には、この発光素子61以外の発光素子に電源を供給するためのコネクタ94が実装されている。
【0031】
そして、基板60と、導光体70と、遮光部材80とが一体化される。すなわち、図4と図6に示すように、導光体70の延設部73の表面75aと、遮光部材80の支持体83の裏面83bとを重ね合わせた状態で、導光体70の本体部70aを、遮光部材80の包囲部82内に収納状とする。
【0032】
また、このように、導光体70の延設部73と遮光部材80の支持体83とを重ねた状態で、基板60の固定部(つまり発光素子61が実装されてない長手方向側辺部60a)の表面62を導光体70の延設部73の裏面75bとを重ね合わせる。
【0033】
このように、導光体70と、基板60と、遮光部材80を重ね合わせた状態においては、遮光部材80の各長円孔87と、導光体70の各貫通孔78と、基板60の各貫通孔92との軸合わせが行われ、この状態で、対応する長円孔87と貫通孔78、92とに、遮光部材80の支持体83の表面83a側から締結用のボルト部材(締結ネジ)100が挿通され、受け台42の折り曲げ片部42bに設けられたねじ孔101に螺着される。なお、導光体70の長孔79a及び円孔79b、遮光部材80の長孔86a及び円孔86b、および基板60の長孔93a及び円孔93bは位置決用の孔として機能する。また、図4等に示すように、この照明装置50が組み付けられた状態では、係止片88が受け台42の傾斜片42bに係止している。
【0034】
これによって、導光体70と基板60と遮光部材80とを一体状に枠体46に固定でき、導光体70の本体部70aは、ベース40に対して所定角度θで傾斜している。この際、基板60の各発光素子61は、図4と図5に示すように、導光体70の本体部70aの入射面71aに近接した状態で相対面している。また、導光体70の本体部70aは、遮光部材80の包囲部82内に遊嵌状に収容されることになる。すなわち、包囲部82は、導光体70の導光領域における出射面71bおよび入射面71a以外を囲むことになる。しかも、遮光部材80が導光体70の導光領域と非接触である。また、導光体70の隙間76の隙間寸法Wを発光素子61の高さ寸法より僅かに大きい寸法としているので、このように組み付けられた際に、発光素子61が導光体70の入射面71aに非接触となる。
【0035】
前記のように構成された照明装置において、発光素子61からの照射光は導光体70の入射面71aから入射し、導光体70の上下面、側面で反射(全反射)しながら導光体内を進み、導光体70の出射面(照射面)71bからリフレクタおよびコンタクトガラス15に向けて射出される。
【0036】
また、リフレクタ44は、導光体70の照射面71bと対向している。リフレクタ44の上部には、導光体70から照射された光をコンタクトガラス15に導くことができるように、副走査方向、すなわち、第1キャリッジ35の走行方向リターン側に折り曲げられた折り曲げ部44aが形成されている。
【0037】
リフレクタ44は、導光体70からの射出光を折り曲げ部で反射する。この反射により、例えば、切り貼り原稿Pを読取った際に、原稿Pの凹凸によって発生する影を無くすることができる。
【0038】
発光素子61の照射光は、導光体70を透して、また、リフレクタ44によって反射されて、コンタクトガラス15の照射領域の範囲Eに照射されるようになっている。照射領域は、原稿Pの副走査方向に延在する領域である。照射領域において、コンタクトガラス15上に存在する被照射体としての原稿の画像が読取られる。
【0039】
導光体70から原稿Pに照射され、原稿Pから反射される光は、ベース40に形成された開口部40cを解して第1ミラー部材35aに入射される。
【0040】
また、第1キャリッジ35が所定の速度Vで走行すると、この照射装置がコンタクトガラス15に載置された原稿Pを照射する。
【0041】
導光体70から原稿Pに照射されたときに原稿Pの反射光は、第1ミラー部材45aによって第2キャリッジ36に向けて折り返されるようになっており、この反射光は第2キャリッジ36に搭載された第2ミラー部材45bおよび第3ミラー部材45cによってさらに折り返された後、レンズユニット37に入射される。
【0042】
そして、この反射光はレンズユニット37に含まれる結像レンズによって焦点面に置かれたCCD等の撮像素子に集光結像される。これにより、撮像素子57は発光素子61に沿った原稿上のラインを主走査する。
【0043】
また、第2キャリッジ36は、第2ミラー部材45bおよび第3ミラー部材45cによる光の折り返しに伴う光路の重複分を相殺するため、第1キャリッジ35の半分の速度で第1キャリッジ35と同方向に走行するようになっており、第2キャリッジ36は第1キャリッジ35の走行距離の半分の走行距離で走行する。
【0044】
この走行速度の関係により、第1キャリッジ35および第2キャリッジ36の走行があっても、原稿面からレンズユニット37までの光の光路長が変化しないようになっている。
【0045】
また、図2中、左側には図示しないホームポジションセンサが設けられており、第1キャリッジ35が図2中、左側に走行してホームポジションセンサを通過して図示省略に駆動機構のモータが所定パルスだけ駆動されると、モータを停止させるようになっている。
【0046】
この位置が第1キャリッジ35のホームポジション位置となり、原稿の読取りが終了したときには第1キャリッジ35は常にホームポジション位置に走行してこの位置から再び走行が開始されることになる。
【0047】
また、第1キャリッジ35および第2キャリッジ36は、発光素子61から導光体70を透して原稿Pに光を照射して原稿Pを走査する場合に、図1中、右側の走査方向に走行し、ホームポジション位置に復帰する場合には、図1中、左側のリターン方向に走行する。
【0048】
そして、リターン方向に走行する場合には、原稿Pの読取速度の影響を受けないので、原稿Pの生産性を上げるために、高速度で走行する。
【0049】
このような構成を有する複写機にあっては、第1キャリッジ35および第2キャリッジ36を副走査方向に走行させることにより、発光素子61から導光体70を透して原稿に光を照射する。このとき、導光体70から照射された光の一部がリフレクタ44によって原稿Pに反射される。この結果、照射領域範囲Eで原稿に光が照射される。
【0050】
原稿Pからの反射光は第1ミラー部材35a、第2ミラー部材45bおよび第3ミラー部材45cの順に折り返された後、レンズユニット37に入射され、レンズユニット37の結像レンズによって焦点面に置かれた撮像素子57に集光結像される。これにより、撮像素子57は発光素子61および導光体に沿った原稿上のラインを主走査方向および副走査方向に走査する。
【0051】
本発明の照明装置では、遮光部材80が導光体70の導光領域と非接触であるので、接触することによる光の損失や照度ムラの発生を抑えることができる。しかも、遮光部材80はその包囲部82で、導光体70の導光領域における出射面71bおよび入射面71b以外を囲むものであり、かつ、遮光部材80の支持体83にて導光体の姿勢を規制できるので、導光体70を介した発光素子61からの光を被照射体に安定して照射できる。
【0052】
このため、導光体70が他の部材と接触することによる光の損失や照度ムラの発生を抑えた状態で、導光体70を介した発光素子61からの光を被照射体に安定して照射できるので、照明装置としてロスが少なくしかも精度のよい照明が可能となる。
【0053】
導光体70は、導光領域を構成する本体部70bと、導光領域を外れるように本体部から延びる支持部70bとを備え、この支持部70bが遮光部材80の支持体83と重ね合わされた状態で接合されるようにできる。このように設定することにより、導光体の導光領域と遮光部材が非接触となる位置関係を安定して維持でき、精度のよい照明を継続できる。
【0054】
包囲部82が筒状であって、この包囲部82に導光体70の本体部70aが遊嵌状に嵌入されるものであるので、導光体70の導光領域における出射面71bおよび入射面71a以外を安定して囲むことができ、遮光性の向上を図ることができる。
【0055】
発光素子61が実装される基板60の固定部60aと導光体70の支持部70bと遮光部材80の支持体83とが重ね合わされた状態で一体化されているので、より高精度な照明を継続できる。
【0056】
遮光部材80が単一部品からなるので、強度的に優れ、長期にわたって安定して照明機能を発揮できる。また、組み込み性に優れ、組立工数の削減を図ることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0057】
遮光部材80が低反射率材にて構成されるので、照射領域付近での多重反射光を防止できる機能を有効に発揮できる。
【0058】
本発明の画像読取装置では、ロスが少なくしかも精度のよい照明が可能となるので、画像読取機能の向上を図ることができる。
【0059】
本発明の画像形成装置では、精度のよい画像読取機能を発揮することができ、安定して精度のよい画像を形成できる。
【0060】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等がある。また、照明ユニットUを結合するためのボルト部材100としては、前記実施例では、5本であったが、その数の増減は任意である。導光体70の本体部70aの傾斜角度θとしても、レフレクタ44の折り曲げ部44aの傾斜角度に応じて種々変更することができる。
【符号の説明】
【0061】
60 基板
60a 固定部
61 発光素子
70 導光体
70a 本体部
70b 支持部
71a 入射面
71b 出射面
80 遮光部材
82 包囲部
83 支持体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2010−130056号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、画像読取装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ファクシミリ装置、複写機および複合機等に設けられたスキャナ装置等の画像読取装置では、近年、光源の立ち上がりのスピード、省エネルギー化、長寿命化等の要望があり、光源として点光源であるLED(発光ダイオード)を用いた照明装置(原稿照明装置)が採用されている。
【0003】
また、導光体方式のスキャナ照明ユニットでは、光源部(LED)からの漏れ光の影響を防止するため、又はユーザーが発光部分を直視できることを防止するために、導光体の周辺部を他部品にて遮蔽する構成が既に知られている。
【0004】
しかし、今までの導光体方式のLED照明ユニットにおいて、導光体の導光領域で他部品と接触があると、光が接触部で全反射せず、接触部から光の通過(導光体外部への漏れ)が発生する。スキャナ光源として使用する場合、部分的にこのような領域(導光体外部への光通過領域)が存在すると原稿面上では接触部有無により照度ムラが発生する。また、部分的でなく全域に光通過領域が存在すると照度ムラは解消されるが、その領域全域で導光体外部へ光が漏れるため、光源から原稿面上へ到達する光量が減少し、照明ユニットとしての光利用効率が著しく低下する問題がある。
【0005】
そして、従来には、保持部材で保持している導光体を遮光部材で挟むことによって位置決めしているものがある(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載のものであっても、導光体と遮光部材が接触するものであるので、この接触した部分で光の損失を招くとともに、照射領域での照度ムラが発生するおそれがあった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑み、被照射体(原稿面)に均一な光を照射でき、光源からの光を照射領域へ高効率に照射可能な照明装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明装置は、導光体を介して発光素子からの光を照射する照明装置であって、前記導光体の導光領域における出射面および入射面以外を囲む包囲部と、導光領域以外で導光体の姿勢を規制する支持体とを有する遮光部材を備え、この遮光部材が導光体の導光領域と非接触であるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の照明装置では、接触することによる光の損失や照度ムラの発生を抑えた状態で、導光体を介した発光素子からの光を被照射体に安定して照射できる。このため、照明装置としてロスが少なくしかも精度のよい照明が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態を示す画像形成装置の全体構成図である。
【図2】前記図1に示す画像形成装置の画像読取装置の簡略断面図である。
【図3】前記図2に示す画像読取装置に用いられる照明装置の要部斜視図である。
【図4】前記図3に示す照明装置の拡大断面図である。
【図5】前記図3に示す照明装置の照明ユニットを示す平面図である。
【図6】前記図5のB−B線拡大断面図である。
【図7】前記図3に示す照明装置の導光体の平面図である。
【図8】前記図7のC−C線拡大断面図である。
【図9】前記前記図3に示す照明装置の遮光部材の平面図である。
【図10】前記図9のD−D線拡大断面図である。
【図11】発光素子が実装された基板の平面図である。
【図12】前記図11に示す基板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0012】
図1は実施形態に係る画像形成装置(複写機)の概略を示す。この複写機10は、自動原稿搬送装置11、給紙部12、画像読取部(画像読取装置)13および画像形成部(画像形成手段)14を備えている。
【0013】
自動原稿搬送装置11は、原稿トレイ16に載置された原稿を給紙ローラや分離ローラ等の各種ローラからなる分離給紙手段17によってコンタクトガラス15上に搬送し、読取りが終了した原稿を搬送ベルト18によって透明部材としてのコンタクトガラス15上から搬出した後、各種排紙ローラからなる排紙手段19によって排紙トレイ20に排紙する。
【0014】
また、原稿の両面を読取る場合には、排紙手段19に設けられた分岐機構および搬送ベルト18によって原稿をコンタクトガラス15上に返送して未読取面の読取りを行うようになっている。
【0015】
給紙部12は、異なるサイズの記録媒体としての記録紙を収納する給紙カセット21a、21bと、給紙カセット21a、21bに収納された記録紙を転写位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段22とを備えている。
【0016】
また、画像読取装置13は、詳しくは後述するが、第1キャリッジ35、第2キャリッジ36を図1中、左右方向(副走査方向)に駆動して光源により原稿面に光を照射して原稿面を読取り、この読取光をミラー部材で反射した後、レンズユニット37によってCCD等の画像読取センサに取り込むようになっている。
【0017】
画像形成部14は、レンズユニット37に取り込まれた読取信号に基づいて書き込み信号を形成する露光装置23と、露光装置23によって生成された書き込み信号が表面に形成される複数の感光体ドラム24と、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックとそれぞれ異なる色のトナーが充填され、各感光体ドラム24に異なる色のトナーを供給して書き込み信号を可視像化させる現像装置25と、感光体ドラム24上に形成された可視像が重ねられて転写されることによりカラー画像が形成され、このカラー画像を給紙部12から給紙された記録紙に転写する転写ベルト26と、記録紙に定着されたカラー画像を記録紙に定着する定着装置27とを備えている。
【0018】
画像読取装置13は、図2に示すように、第1キャリッジ35と第2キャリッジ36とレンズユニット37等を備え、これらがフレーム31に収容されている。また、本体フレーム31の内部には図示しない第1レールと第2レールが設けられており、第1レールには走行体としての第1キャリッジ35が摺動自在に取付けられていると共に、第2レールには第2キャリッジ36が摺動自在に取付けられている。
【0019】
そして、第1キャリッジ35と第2キャリッジ36とは、図示省略の駆動機構によって、それぞれ前記レールに沿って移動する。なお、駆動機構は、駆動用モータと、このモータの駆動力をキャリッジ35,36に伝達する伝達手段とを備える。この伝達手段は、例えば、駆動軸とワイヤ駆動プーリと駆動ワイヤ等で構成できる。第2キャリッジ36は、後述するように、第2ミラー部材45bと第3ミラー部材45cとを備える。
【0020】
図3と図4は、第1キャリッジ35を示し、第1キャリッジ35は、板金からなるベース40と、ベース40の下面に垂下された一対の側板41とを有する枠体46を備える。また、枠体46のベース40の上面に取り付けられた受け台42が固着され、これに後述する照明ユニットUを有する照明装置50が付設されている。
【0021】
ベース40は、前端部40aが上側に折り曲げられたフランジを形成し、この前端部40aの上端部には、ベース40に対して所定の箇所で傾斜するように折り曲げられた傾斜部40bが設けられている。この前端部40aが照明装置50から照射された光を反射されて原稿面での照度分布を良好なものにするための対向反射板、いわゆるリフレクタ44を構成する。また、リフレクタ44は、照明装置50から照射された光を反射させることにより、例えば切り貼り原稿P(図4参照)を読み取った際に、原稿Pの凹凸により発生する影を無くすことができる。
【0022】
また、一対の側板41、41は、主走査方向(矢印Y方向)に互いに離隔して設けられ、主走査方向に沿って長尺とされる第1ミラー部材45aを保持するようになっている。受け台42は、板金からなり、ベース40に対する取付面を有する取付部42aと、この取付部42aに対して所定の角度で傾斜するよう上方に折曲げられた折り曲げ片部42b(図4等参照)とを有する。取付部42aは、主走査方向の両端部に形成され、締結部材29によりベース40に取り付けられる。
【0023】
照明装置50は、図5と図6に示すような照明ユニットUを構成している。この照明ユニットは、多数の発光素子61(発光ダイオード:LED)が直線状に配設されて実装されている基板60と、導光体70と、遮光部材80とを備える。
【0024】
導光体70は、アクリル等の透過率の高い樹脂等で構成され、図7と図8に示すように、導光領域を構成する本体部70aと、導光領域を外れるように本体部70aから延びる支持部70bとを備える。本体部70aは、断面が台形状の棒状体からなり、幅狭側の端面を入射面71aとし、幅広側の端面を出射面71bとしている。
【0025】
支持部70bは、本体部70aの入射面71a側から本体部断面中心線Oに対して直交するように延びる基部72と、この基部72からさらに本体部70aから離れるように延びる延設部73とからなる。また、延設部73の表面に切欠部74が設けられ、入射面71aと、この導光体70の裏面75bとの間に隙間76が設けられている。延設部73には、図7に示すように、長手方向に沿って所定ピッチで膨出部77が設けられ、この膨出部77に貫通孔78が設けられている。なお、長手方向端部の膨出部77(77a、77b)は、他の膨出部77(77c)よりも長手方向が大とされ、一方の端部側の膨出部77aには、前記貫通孔78の他に長孔79aが設けられ、他方の端部側の膨出部77bには、前記貫通孔78の他に円孔79bが設けられている。なお、前記隙間76の隙間寸法Wは、後述する発光素子61の高さ寸法W1より僅かに大きい寸法とする。
【0026】
次に遮光部材80は、図9と図10に示すように、導光体70の導光領域における出射面71bおよび入射面71a以外を囲む包囲部82と、導光領域以外で導光体70の姿勢を規制する支持体83とを備える。また、遮光部材80としては、黒色のカーボンを含むポリエステルフィルムやPET材質等のように低反射率の部材の単一部品からなる。
【0027】
包囲部82は、前記導光体70の本体部70aが遊嵌状に嵌合される扁平の筒状であって、支持体83は、包囲部82から前記導光体70の支持部70bと同様、この包囲部82の横方向に延びる。また、支持体83には、図9に示すように、複数の支持片部84が長手方向に沿って所定ピッチで配設されている。
【0028】
長手方向の一方の端部の支持片部84(84a)には、大長孔85aと、小長孔86aとが形成され、長手方向の他方の端部の支持片部84(84b)には、大円孔85bと、小円孔86bとが形成される。また、他の支持片部84(84c)には、長円孔87が形成されている。そして、包囲部82の反支持体側の壁部に、長手方向によって所定ピッチで配設された切欠89が形成され、この切欠89に係止片88が形成されている。
【0029】
また、基板60は、図11と図12に示すように、帯板状体からなり、一方の長辺側に長手方向に沿って所定ピッチで多数の発光素子61が配設され、他方の長辺側に長手方向に沿って所定ピッチで膨出部91が形成され、各膨出部91に円孔からなる貫通孔92が形成されている。この場合、長手方向の端部の膨出部91(91a、91b)は、他の膨出部91(91c)よりも長手方向長さが大とされる。また、一方の端部の膨出部91aには、貫通孔92の他に長孔93aが設けられ、他方の端部の膨出部91bには貫通孔92の他に円孔93bが設けられている。
【0030】
基板60の長手方向の他方の端部には、この発光素子61以外の発光素子に電源を供給するためのコネクタ94が実装されている。
【0031】
そして、基板60と、導光体70と、遮光部材80とが一体化される。すなわち、図4と図6に示すように、導光体70の延設部73の表面75aと、遮光部材80の支持体83の裏面83bとを重ね合わせた状態で、導光体70の本体部70aを、遮光部材80の包囲部82内に収納状とする。
【0032】
また、このように、導光体70の延設部73と遮光部材80の支持体83とを重ねた状態で、基板60の固定部(つまり発光素子61が実装されてない長手方向側辺部60a)の表面62を導光体70の延設部73の裏面75bとを重ね合わせる。
【0033】
このように、導光体70と、基板60と、遮光部材80を重ね合わせた状態においては、遮光部材80の各長円孔87と、導光体70の各貫通孔78と、基板60の各貫通孔92との軸合わせが行われ、この状態で、対応する長円孔87と貫通孔78、92とに、遮光部材80の支持体83の表面83a側から締結用のボルト部材(締結ネジ)100が挿通され、受け台42の折り曲げ片部42bに設けられたねじ孔101に螺着される。なお、導光体70の長孔79a及び円孔79b、遮光部材80の長孔86a及び円孔86b、および基板60の長孔93a及び円孔93bは位置決用の孔として機能する。また、図4等に示すように、この照明装置50が組み付けられた状態では、係止片88が受け台42の傾斜片42bに係止している。
【0034】
これによって、導光体70と基板60と遮光部材80とを一体状に枠体46に固定でき、導光体70の本体部70aは、ベース40に対して所定角度θで傾斜している。この際、基板60の各発光素子61は、図4と図5に示すように、導光体70の本体部70aの入射面71aに近接した状態で相対面している。また、導光体70の本体部70aは、遮光部材80の包囲部82内に遊嵌状に収容されることになる。すなわち、包囲部82は、導光体70の導光領域における出射面71bおよび入射面71a以外を囲むことになる。しかも、遮光部材80が導光体70の導光領域と非接触である。また、導光体70の隙間76の隙間寸法Wを発光素子61の高さ寸法より僅かに大きい寸法としているので、このように組み付けられた際に、発光素子61が導光体70の入射面71aに非接触となる。
【0035】
前記のように構成された照明装置において、発光素子61からの照射光は導光体70の入射面71aから入射し、導光体70の上下面、側面で反射(全反射)しながら導光体内を進み、導光体70の出射面(照射面)71bからリフレクタおよびコンタクトガラス15に向けて射出される。
【0036】
また、リフレクタ44は、導光体70の照射面71bと対向している。リフレクタ44の上部には、導光体70から照射された光をコンタクトガラス15に導くことができるように、副走査方向、すなわち、第1キャリッジ35の走行方向リターン側に折り曲げられた折り曲げ部44aが形成されている。
【0037】
リフレクタ44は、導光体70からの射出光を折り曲げ部で反射する。この反射により、例えば、切り貼り原稿Pを読取った際に、原稿Pの凹凸によって発生する影を無くすることができる。
【0038】
発光素子61の照射光は、導光体70を透して、また、リフレクタ44によって反射されて、コンタクトガラス15の照射領域の範囲Eに照射されるようになっている。照射領域は、原稿Pの副走査方向に延在する領域である。照射領域において、コンタクトガラス15上に存在する被照射体としての原稿の画像が読取られる。
【0039】
導光体70から原稿Pに照射され、原稿Pから反射される光は、ベース40に形成された開口部40cを解して第1ミラー部材35aに入射される。
【0040】
また、第1キャリッジ35が所定の速度Vで走行すると、この照射装置がコンタクトガラス15に載置された原稿Pを照射する。
【0041】
導光体70から原稿Pに照射されたときに原稿Pの反射光は、第1ミラー部材45aによって第2キャリッジ36に向けて折り返されるようになっており、この反射光は第2キャリッジ36に搭載された第2ミラー部材45bおよび第3ミラー部材45cによってさらに折り返された後、レンズユニット37に入射される。
【0042】
そして、この反射光はレンズユニット37に含まれる結像レンズによって焦点面に置かれたCCD等の撮像素子に集光結像される。これにより、撮像素子57は発光素子61に沿った原稿上のラインを主走査する。
【0043】
また、第2キャリッジ36は、第2ミラー部材45bおよび第3ミラー部材45cによる光の折り返しに伴う光路の重複分を相殺するため、第1キャリッジ35の半分の速度で第1キャリッジ35と同方向に走行するようになっており、第2キャリッジ36は第1キャリッジ35の走行距離の半分の走行距離で走行する。
【0044】
この走行速度の関係により、第1キャリッジ35および第2キャリッジ36の走行があっても、原稿面からレンズユニット37までの光の光路長が変化しないようになっている。
【0045】
また、図2中、左側には図示しないホームポジションセンサが設けられており、第1キャリッジ35が図2中、左側に走行してホームポジションセンサを通過して図示省略に駆動機構のモータが所定パルスだけ駆動されると、モータを停止させるようになっている。
【0046】
この位置が第1キャリッジ35のホームポジション位置となり、原稿の読取りが終了したときには第1キャリッジ35は常にホームポジション位置に走行してこの位置から再び走行が開始されることになる。
【0047】
また、第1キャリッジ35および第2キャリッジ36は、発光素子61から導光体70を透して原稿Pに光を照射して原稿Pを走査する場合に、図1中、右側の走査方向に走行し、ホームポジション位置に復帰する場合には、図1中、左側のリターン方向に走行する。
【0048】
そして、リターン方向に走行する場合には、原稿Pの読取速度の影響を受けないので、原稿Pの生産性を上げるために、高速度で走行する。
【0049】
このような構成を有する複写機にあっては、第1キャリッジ35および第2キャリッジ36を副走査方向に走行させることにより、発光素子61から導光体70を透して原稿に光を照射する。このとき、導光体70から照射された光の一部がリフレクタ44によって原稿Pに反射される。この結果、照射領域範囲Eで原稿に光が照射される。
【0050】
原稿Pからの反射光は第1ミラー部材35a、第2ミラー部材45bおよび第3ミラー部材45cの順に折り返された後、レンズユニット37に入射され、レンズユニット37の結像レンズによって焦点面に置かれた撮像素子57に集光結像される。これにより、撮像素子57は発光素子61および導光体に沿った原稿上のラインを主走査方向および副走査方向に走査する。
【0051】
本発明の照明装置では、遮光部材80が導光体70の導光領域と非接触であるので、接触することによる光の損失や照度ムラの発生を抑えることができる。しかも、遮光部材80はその包囲部82で、導光体70の導光領域における出射面71bおよび入射面71b以外を囲むものであり、かつ、遮光部材80の支持体83にて導光体の姿勢を規制できるので、導光体70を介した発光素子61からの光を被照射体に安定して照射できる。
【0052】
このため、導光体70が他の部材と接触することによる光の損失や照度ムラの発生を抑えた状態で、導光体70を介した発光素子61からの光を被照射体に安定して照射できるので、照明装置としてロスが少なくしかも精度のよい照明が可能となる。
【0053】
導光体70は、導光領域を構成する本体部70bと、導光領域を外れるように本体部から延びる支持部70bとを備え、この支持部70bが遮光部材80の支持体83と重ね合わされた状態で接合されるようにできる。このように設定することにより、導光体の導光領域と遮光部材が非接触となる位置関係を安定して維持でき、精度のよい照明を継続できる。
【0054】
包囲部82が筒状であって、この包囲部82に導光体70の本体部70aが遊嵌状に嵌入されるものであるので、導光体70の導光領域における出射面71bおよび入射面71a以外を安定して囲むことができ、遮光性の向上を図ることができる。
【0055】
発光素子61が実装される基板60の固定部60aと導光体70の支持部70bと遮光部材80の支持体83とが重ね合わされた状態で一体化されているので、より高精度な照明を継続できる。
【0056】
遮光部材80が単一部品からなるので、強度的に優れ、長期にわたって安定して照明機能を発揮できる。また、組み込み性に優れ、組立工数の削減を図ることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0057】
遮光部材80が低反射率材にて構成されるので、照射領域付近での多重反射光を防止できる機能を有効に発揮できる。
【0058】
本発明の画像読取装置では、ロスが少なくしかも精度のよい照明が可能となるので、画像読取機能の向上を図ることができる。
【0059】
本発明の画像形成装置では、精度のよい画像読取機能を発揮することができ、安定して精度のよい画像を形成できる。
【0060】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等がある。また、照明ユニットUを結合するためのボルト部材100としては、前記実施例では、5本であったが、その数の増減は任意である。導光体70の本体部70aの傾斜角度θとしても、レフレクタ44の折り曲げ部44aの傾斜角度に応じて種々変更することができる。
【符号の説明】
【0061】
60 基板
60a 固定部
61 発光素子
70 導光体
70a 本体部
70b 支持部
71a 入射面
71b 出射面
80 遮光部材
82 包囲部
83 支持体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2010−130056号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光体を介して発光素子からの光を照射する照明装置であって、
前記導光体の導光領域における出射面および入射面以外を囲む包囲部と、導光領域以外で導光体の姿勢を規制する支持体とを有する遮光部材を備え、この遮光部材が導光体の導光領域と非接触であることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記導光体は、導光領域を構成する本体部と、導光領域を外れるように本体部から延びる支持部とを備え、この支持部が前記遮光部材の支持体と重ね合わされた状態で接合されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
包囲部が筒状であって、この包囲部に導光体の本体部が遊嵌状に嵌入されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
発光素子が実装される基板を備え、この基板の固定部と導光体の支持部と遮光部材の支持体とが重ね合わせた状態で一体化されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
遮光部材が単一部品からなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
遮光部材が低反射率材にて構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
被照射体の照射領域に光を照射する照射手段を備え、照射手段にて被照射体に光を照射し、この被照射体の照射領域で反射された被照射体の画像情報を読み取る画像読取装置であって、前記照射手段に前記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の照明装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
前記請求項7に記載の画像読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
導光体を介して発光素子からの光を照射する照明装置であって、
前記導光体の導光領域における出射面および入射面以外を囲む包囲部と、導光領域以外で導光体の姿勢を規制する支持体とを有する遮光部材を備え、この遮光部材が導光体の導光領域と非接触であることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記導光体は、導光領域を構成する本体部と、導光領域を外れるように本体部から延びる支持部とを備え、この支持部が前記遮光部材の支持体と重ね合わされた状態で接合されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
包囲部が筒状であって、この包囲部に導光体の本体部が遊嵌状に嵌入されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
発光素子が実装される基板を備え、この基板の固定部と導光体の支持部と遮光部材の支持体とが重ね合わせた状態で一体化されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
遮光部材が単一部品からなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
遮光部材が低反射率材にて構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
被照射体の照射領域に光を照射する照射手段を備え、照射手段にて被照射体に光を照射し、この被照射体の照射領域で反射された被照射体の画像情報を読み取る画像読取装置であって、前記照射手段に前記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の照明装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
前記請求項7に記載の画像読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−106246(P2013−106246A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249629(P2011−249629)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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