説明

照明装置および表示装置

【課題】電極の電気的な抵抗が大きくなるのを抑制することが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】この表示装置100は、基板12と、基板12の表示領域12aの略全面を覆うように形成される単一の膜からなる陽極15と、平面的に見て、陽極15と重なり、表示領域12aの略全面を覆うように形成される単一の膜からなる陰極18と、陽極15と陰極18との間に配置され、陽極15と陰極18とに電気的に接続される複数の島状の発光素子17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置および表示装置に関し、特に、一対の電極と発光素子とを備える照明装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の電極と発光素子とを備える照明装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1に記載の照明装置では、1つの幹部と複数のライン状の枝部とを有する櫛歯状の透明電極からなる陽極と、櫛歯状の陽極と交差するように配置される1つの幹部と複数のライン状の枝部とを有する櫛歯状の透明電極からなる陰極とが設けられている。そして、陽極の枝部と陰極の枝部との間で、かつ、陽極の枝部と陰極の枝部とが交差する位置に発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−77864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の照明装置では、陽極の枝部と陰極の枝部とがそれぞれライン状に形成されている分、陽極(電極)および陰極(電極)の電気的な抵抗が大きくなるという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電極の電気的な抵抗が大きくなるのを抑制することが可能な照明装置および表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における照明装置は、基板と、基板の表示領域の略全面を覆うように形成される単一の膜からなる第1透明電極と、平面的に見て、第1透明電極と重なり、表示領域の略全面を覆うように形成される単一の膜からなる第2透明電極と、第1透明電極と第2透明電極との間に配置され、複数の島状の発光素子とを備える。
【0007】
この第1の局面による照明装置では、上記のように、第1透明電極と第2透明電極とを表示領域の略全面を覆うように形成される単一の膜からなるように構成することによって、たとえば第1透明電極と第2透明電極とがライン状の複数の電極からなる場合と比べて、第1透明電極および第2透明電極が単一の膜からなる分、第1透明電極および第2透明電極の電気的な抵抗が大きくなるのを抑制することができる。
【0008】
また、第1透明電極および第2透明電極を表示領域の略全面を覆うように形成される単一の膜からなるように構成することによって、たとえば第1透明電極および第2透明電極がライン状の複数の電極からなることにより発生するモアレ(周期的な縞状のパターン)を抑制することができる。また、第1透明電極および第2透明電極を、表示領域の略全面を覆うように形成される単一の膜からなるように構成することによって、第1透明電極および第2透明電極を微細なパターンに加工する必要がないので、第1透明電極および第2透明電極の形成を容易にすることができる。また、第1透明電極および第2透明電極を、表示領域の略全面を覆うように形成される単一の膜からなるように構成することによって、たとえば第1透明電極および第2透明電極をライン状の複数の電極から形成する場合と異なり、電極のパターンが顕在化(視覚化)されるのを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、第1透明電極および第2透明電極は略矩形であり、第1透明電極は、平面的に見て、第2透明電極の一方の辺側において第2透明電極からはみ出した部分を有し、第1透明電極の第2透明電極からはみ出した部分に正電圧または負電圧の一方が接続されるとともに、第2透明電極は、第2透明電極の一方の辺と対向する他方の辺が第1透明電極からはみ出し、第2透明電極の第1透明電極からはみ出した部分は、正電圧または負電圧の他方が接続されている。このように構成すれば、第1透明電極の第2透明電極からはみ出した部分は、第1透明電極の第2透明電極からはみ出した領域の略全面を覆うように形成されているので、第1透明電極の第2透明電極からはみ出した部分が複数のライン状の電極から形成され、複数のライン状の電極に正電圧または負電圧の一方が接続される場合と比べて、第1透明電極と正電圧または負電圧の一方との間の電気的な抵抗が大きくなるのを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、第1透明電極と、第2透明電極との間に設けられる絶縁膜をさらに備え、発光素子は、絶縁膜に設けられる穴部を介して、第1透明電極と第2透明電極とに直接接触するように形成されている。このように構成すれば、照明装置を簡単な構成で実現することができるため、工程およびコストの削減につながる。
【0011】
この場合、好ましくは、発光素子は第1透明電極および第2透明電極のうち一方の電極に直接接触するように形成されているとともに、第1透明電極および第2透明電極のうち他方の電極と発光素子との間には島状の電極が形成されている。このように構成すれば、発光素子の一方の電極が第1透明電極となり、他方の電極を発光素子と第2透明電極との間に形成された島状の電極とすることができるので、発光素子の発光効率を高くすることができる。
【0012】
上記第1透明電極と第2透明電極との間に絶縁膜が設けられる照明装置において、好ましくは、絶縁膜は、平面的に見て、第1透明電極と第2透明電極との重なり部分の第1透明電極と第2透明電極との間に加えて、第1透明電極の側面と第2透明電極とが対向する部分の第1透明電極と第2透明電極との間に配置されている。このように構成すれば、第1透明電極と第2透明電極とが接触して電気的にショートするのを確実に抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、平面的に見て発光素子と重なるように設けられる遮光膜および反射膜をさらに備え、遮光膜は、基板の表面上に直接接触するように形成されているとともに、反射膜は、遮光膜の発光素子と対向する側の表面上に設けられている。このように構成すれば、遮光膜を基板の表面上に直接接触するように形成することにより、フォトリソグラフィプロセスを使い、遮光膜を所望の大きさに容易にパターニングすることができるので、遮光膜が所望の大きさよりも大きく形成されることに起因して、開口率(光が透過する領域)が小さくなるのを抑制することができる。また、平面的に見て発光素子とオーバーラップするように遮光膜を設けることにより、発光素子から第2透明電極側(遮光膜とは反対側)に光が出射されるトップエミッション型の発光素子において、発光素子から光が出射される側とは反対側に光が漏れるのを遮光膜により抑制することができる。
【0014】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、平面的に見て発光素子と重なるように設けられる遮光膜および反射膜をさらに備え、反射膜は、第2透明電極の表面上に設けられるとともに、遮光膜は、反射膜の表面上に設けられている。このように構成すれば、発光素子から第1透明電極側(遮光膜とは反対側)に光が出射されるボトムエミッション型の発光素子において、発光素子から光が出射される側とは反対側に光が漏れるのを遮光膜により抑制することができる。
【0015】
この発明の第2の局面による表示装置は、上記のいずれかの構成を有する照明装置を備える。このように構成すれば、照明装置を反射型あるいは半透過型の表示パネルを観察者側から照明することが可能となり、表示パネルのパターンと照明装置のパターンとの干渉によるモアレの発生を防ぐことができるとともに、照明装置の電極の電気的な抵抗が大きくなるのを抑制することが可能な表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態による照明装置の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による照明装置の平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による照明装置の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による表示装置の断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態による表示装置100の構成について説明する。
【0019】
本発明の第1実施形態による表示装置100は、図1に示すように、照明装置200と、反射型液晶表示装置300とから構成されている。
【0020】
照明装置200は、図1に示すように、ガラスなどの透明の部材からなる基板11と、ガラスなどの透明の部材からなる基板12とが対向するように配置されている。ここで、第1実施形態では、基板12の反射型液晶表示装置300側(Z1方向側)の表面上には、クロム(Cr)や酸化クロム(CrO)などからなる遮光膜13が設けられている。なお、遮光膜13は、後述する発光素子17から出射された光が、Z2方向側に漏れるのを抑制する機能を有する。また、遮光膜13は、基板12の表面上にクロム(Cr)や酸化クロム(CrO)などからなる膜を形成した後に、この膜をパターニングすることにより、基板12の表面上に直接設けられている。また、図2に示すように、遮光膜13は、略矩形形状に形成されるとともに、複数設けられている。また、複数の遮光膜13は、基板12の表面上にマトリクス状に島状に配置されている。なお、遮光膜13は、図2に示すように、発光素子17とオーバーラップする(重なる)ように設けられている。
【0021】
また、第1実施形態では、図1に示すように、複数の遮光膜13のそれぞれの反射型液晶表示装置300側(Z1方向側)の表面上には、Alなどの金属からなる反射膜14が形成されている。なお、反射膜14は、図2に示すように、略矩形形状に形成されている。また、反射膜14は、後述する発光素子17から出射された光のうち、Z2方向側に漏れる光をZ1方向側に反射する機能を有する。また、反射膜14は、図2に示すように、平面的に見て、発光素子17とオーバーラップするように設けられている。なお、遮光膜13は、平面的に見て、反射膜14よりも大きく形成されており、遮光膜13は、反射膜14からはみ出すように配置されている。
【0022】
また、第1実施形態では、図1に示すように、基板12、遮光膜13および反射膜14の表面を覆うように、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、SnO(酸化スズ)などの透明電極からなり、単一の膜(開口部の無い膜)からなる略矩形形状の陽極15が形成されている。なお、陽極15は、本発明の「第1透明電極」の一例である。また、陽極15は、約30nm以上200nm以下の厚みt1を有する。
【0023】
また、第1実施形態では、図2に示すように、陽極15は、平面的に見て、基板12の表示領域12a(画像が表示される領域)の略全面、および、表示領域12aのX2方向側の非表示領域12bを覆うように形成されている。また、陽極15は、平面的に見て、マトリクス状に配置される複数の遮光膜13(反射膜14)を覆うように略矩形形状に形成されている。
【0024】
また、図1に示すように、陽極15の表面上には、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiN)からなる絶縁膜16が設けられている。ここで、第1実施形態では、絶縁膜16は、陽極15と後述する陰極18とがオーバーラップする部分の陽極15と陰極18との間に設けられている。また、絶縁膜16は、陽極15のX1方向側の側面15aと陰極18とが対向する部分の陽極15と陰極18との間にも設けられている。
【0025】
また、第1実施形態では、絶縁膜16には、複数のコンタクトホール16aが形成されており、絶縁膜16のコンタクトホール16aには、陽極15と後述する陰極18とに直接接触するように、有機層からなる発光素子17が形成されている。なお、コンタクトホール16aは、本発明の「穴部」の一例である。また、発光素子17は、電子輸送層、発光層および正孔輸送層からなる。なお、第1実施形態では、発光素子17の一方端17a(発光素子17のZ2方向側の表面)の略全面が陽極15に直接接触するように形成されているとともに、発光素子17の他方端17b(発光素子17のZ1方向側の表面)の略全面が陰極18に直接接触するように形成されている。
【0026】
また、絶縁膜16のZ1方向側の表面上と、発光素子17のZ1方向側の表面上には、ITO、IZO、SnOなどの透明電極からなり、開口部を有しない単一の膜からなる略矩形形状の陰極18が形成されている。なお、陰極18は、本発明の「第2透明電極」の一例である。陰極18は、約30nm以上200nm以下の厚みt2を有する。また、図3に示すように、陰極18のX1方向側の部分は、絶縁膜16のX1方向側の側面16bを覆うように形成されるとともに、基板12の表面上を覆うように形成されている。また、第1実施形態では、陰極18は、陽極15とオーバーラップするように設けられ、平面的に見て表示領域12aの略全面および、表示領域12aのX1方向側に位置する非表示領域12bを覆うように形成される。
【0027】
なお、陽極15または陰極18を、アルミニウム層(Al層)や、マグネシウム銀層(MgAg層)や銀層(Ag層)や金層(Au)などの半透過金属から形成する場合では、光透過性を確保するため半透過金属を20nm以下の薄膜に形成する必要があり、半透過金属が段差部に形成された場合、段差部で半透過金属が切断されることが考えられる一方、陽極15と陰極18とを約30nm以上200nm以下の厚みを有する透明電極から形成することにより、陽極15と陰極18とが段差部で切断されるの抑制することが可能となる。
【0028】
また、第1実施形態では、図1〜図3に示すように、陽極15は、平面的に見て、陰極18からはみ出した(露出した)部分15bを有している。そして、陽極15の陰極18からはみ出した部分15bは、陽極15の陰極18からはみ出した領域(X2方向側の非表示領域12b)の略全面を覆うように形成されている。つまり、陽極15の部分15bは、開口部の無い膜状に形成されている。また、陽極15の陰極18からはみ出した部分15bに正電圧が接続されている。また、陽極15の部分15bとは反対側(X1方向側)に対応する陰極18の領域に負電圧が接続されている。
【0029】
そして、陽極15と陰極18とに、それぞれ、正電圧および負電圧を印加することにより、発光素子17からZ1方向側に光が出射されるように構成されている。つまり、陽極15、発光素子17および陰極18により、トップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)19が構成される。
【0030】
また、図1に示すように、基板11と、基板12とは、シール層20によって接合されている。なお、シール層20は、図2に示すように、基板11および基板12の四辺を取り囲むように設けられている。これにより、有機EL素子19は、基板11と、基板12と、シール層20とに囲まれた空間に封入されている。また、基板11と、基板12と、シール層20とに囲まれた空間は、窒素が充填されていてもよいし、基板11と屈折率の略等しい部材(樹脂など)を充填してもよい。
【0031】
また、図4に示すように、反射型液晶表示装置300では、ガラスからなる基板31の表面上に画素選択用の薄膜トランジスタ32が設けられている。なお、反射型液晶表示装置300には、複数の画素33が設けられており、薄膜トランジスタ32は、画素33ごとに設けられている。薄膜トランジスタ32は、層間絶縁膜34によって覆われており、層間絶縁膜34の表面上には、薄膜トランジスタ32のそれぞれに接続するように、アルミニウム(Al)などの反射材料からなる画素電極35が形成されている。画素電極35は、層間絶縁膜34に形成されるコンタクトホール34aを介して薄膜トランジスタ32に接続されている。
【0032】
また、基板31と対向するように、ガラスからなる基板41が配置されている。基板41の基板31側(Z1方向側)の表面上には、ITOなどの透明電極からなる共通電極42が形成されている。なお、共通電極42は、複数の画素33に跨るように形成されている。また、画素電極35と共通電極42との間には、液晶層43が封入されている。また、基板41のZ2方向側の表面上には、拡散粘着層からなる光散乱層44と、偏光板45とがこの順で積層されている。光散乱層44は、照明装置200から出射される光を反射型液晶表示装置300に略均一に散乱させる機能を有する。
【0033】
また、照明装置200と反射型液晶表示装置300とは、樹脂層46を介して接合されている。なお、樹脂層46は、たとえばガラスからなる基板11と略同じ屈折率を有するUV硬化樹脂層または可視光硬化樹脂層からなる。これにより、樹脂層46と基板11との界面において光が反射されるのが抑制される。
【0034】
次に、図4を参照して、本発明の第1実施形態による表示装置100の動作について説明する。
【0035】
まず、陽極15に正電圧が印加されるとともに、陰極18に負電圧が印加される。これにより、発光素子17からZ1方向側に光が出射される。発光素子17から出射された光は、偏光板45によって所定の方向に偏光されるとともに、光散乱層44によって散乱される。光散乱層44によって散乱された光は、ガラスからなる基板41および透明電極からなる共通電極42を通過して、液晶層43に入射される。液晶層43に入射した光は、アルミニウム(Al)などの反射材料からなる画素電極35によってZ2方向側に反射される。そして、画素電極35によって反射された光は、反射型液晶表示装置300に入射した経路と逆の経路を進むとともに、照明装置200に入射する。照明装置200に入射した光は、基板11、透明電極からなる陰極18、絶縁膜16、透明電極からなる陽極15および基板12を介して、観察者に観察される。これにより、反射型液晶表示装置300に表示される画像が観察者に観察される。
【0036】
第1実施形態では、上記のように、陽極15と陰極18とを表示領域12aの略全面を覆うように形成される単一の膜からなるように構成することによって、たとえば陽極15と陰極18とがライン状の複数の電極からなる場合と比べて、陽極15および陰極18が単一の膜からなる分、陽極15および陰極18の電気的な抵抗が大きくなるのを抑制することができる。
【0037】
また、第1実施形態では、上記のように、陽極15と陰極18とを表示領域12aの略全面を覆うように形成される単一の膜からなるように構成することによって、たとえば陽極15と陰極18とがライン状の複数の電極からなることにより発生するモアレ(周期的な縞状のパターン)を抑制することができる。また、陽極15と陰極18とを、表示領域12aの略全面を覆うように形成される単一の膜からなるように構成することによって、陽極15と陰極18とを微細なパターンに加工する必要がないので、陽極15と陰極18との形成を容易にすることができる。また、陽極15と陰極18とを、表示領域12aの略全面を覆うように形成される単一の膜からなるように構成することによって、たとえば陽極15と陰極18とをライン状の複数の電極から形成する場合と異なり、電極のパターンが顕在化(視覚化)されるのを抑制することができる。
【0038】
また、第1実施形態では、上記のように、複数の発光素子17をマトリクス状に島状に配置して、マトリクス状に配置される複数の発光素子17を表示領域12aの略全面を覆う陽極15と表示領域12aの略全面を覆う陰極18との間に配置することによって、たとえばマトリクス状に島状に配置される複数の発光素子17を複数のライン状の電極で電気的に接続する場合と異なり、単一の膜からなる陽極15および陰極18によって複数の発光素子17が電気的に接続されるので、陽極15および陰極18の電気的な抵抗が大きくなるのを抑制することができる。
【0039】
また、第1実施形態では、上記のように、陽極15が、平面的に見て、陰極18からはみ出した部分15bを有し、陽極15の陰極18からはみ出した部分15bが陽極15の陰極18からはみ出した領域の略全面を覆うように形成して、陽極15の陰極18からはみ出した部分15bに正電圧を接続するとともに、陽極15の陰極18からはみ出した部分15bとは反対側に対応する陰極18の領域に負電圧を接続する。これにより、陽極15の陰極18からはみ出した部分15bが、陽極15の陰極18からはみ出した領域の略全面を覆うように形成されているので、陽極15の陰極18からはみ出した部分15bが複数のライン状の電極から形成され、複数のライン状の電極に正電圧が接続される場合と比べて、陽極15と正電圧との間の電気的な抵抗が大きくなるのを抑制することができる。
【0040】
また、第1実施形態では、上記のように、陽極15と陰極18とは、基板12から陽極15、陰極18の順番で積層されている一方、基板12から陰極18、陽極15の順番で積層してもよい。また、陽極15と陰極18とを同一の材料によって形成してもよいし、異なる材料によって形成してもよい。
【0041】
また、第1実施形態では、上記のように、発光素子17は陽極15に直接接触するように形成されているとともに、陰極18と発光素子17との間に島状の金属等よりなる電極を形成することによって、発光素子17の発光効率を高くすることができる。また、この場合に島状の電極を金属等よりなる反射性の膜とすることにより、反射膜14を省略することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、上記のように、絶縁膜16を、平面的に見て、陽極15と陰極18とがオーバーラップする部分の陽極15と陰極18との間に加えて、陽極15の側面15aと陰極18とが対向する部分の陽極15と陰極18との間に配置することによって、陽極15と陰極18とが接触して電気的にショートするのを確実に抑制することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、遮光膜13を基板12の表面上に直接接触するように形成することにより、たとえば遮光膜13を透明電極の表面上に形成する場合と異なり、フォトリソグラフィプロセスを使い、遮光膜13を所望の大きさに容易にパターニングすることができるので、遮光膜13が所望の大きさよりも大きく形成されることに起因して、開口率(光が透過する領域)が小さくなるのを抑制することができる。また、平面的に見て発光素子17とオーバーラップするように遮光膜13を設けることにより、発光素子17から陰極18側(遮光膜13とは反対側)に光が出射されるトップエミッション型の発光素子17において、発光素子17から光が出射される側とは反対側(図4のZ2方向側)に光が漏れるのを遮光膜13により抑制することができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、図5を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、ボトムエミッション型の発光素子53を有する表示装置110について説明する。
【0045】
本発明の第2実施形態による表示装置110は、図5に示すように、照明装置210と、反射型液晶表示装置300とから構成されている。
【0046】
照明装置210は、ガラスなどの透明の部材からなる基板11と、ガラスなどの透明の部材からなる基板12とが対向するように配置されている。また、基板11のZ2方向側の表面上には、ITO、IZO、SnOなどの透明電極からなり、単一の膜からなる陽極51が形成されている。なお、陽極51は、本発明の「第1透明電極」の一例である。
【0047】
また、陽極51の表面上には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる絶縁膜52が設けられている。絶縁膜52には、複数のコンタクトホール52aが形成されており、絶縁膜52のコンタクトホール52aには、陽極51と後述する陰極54とに直接接触するように、有機層からなる発光素子53が形成されている。なお、コンタクトホール52aは、本発明の「穴部」の一例である。また、第2実施形態では、発光素子53の一方端53a(発光素子53のZ1方向側の表面)の略全面が陽極51に直接接触するように形成されるとともに、発光素子53の他方端53b(発光素子53のZ2方向側の表面)の略全面が陰極54に直接接触するように形成されている。また、第2実施形態では、発光素子53の上面53c(発光素子53のZ2方向側の表面)と、上面53cに接続される側面53dとが陰極54に直接接触するように形成されている。
【0048】
また、絶縁膜52のZ2方向側の表面上と、発光素子53のZ2方向側の表面上には、ITO、IZO、SnOなどの透明電極からなり、開口部を有しない単一の膜からなる陰極54が形成されている。なお、陰極54は、本発明の「第2透明電極」の一例である。また、陰極54は、図2に示す上記第1実施形態の陰極18と同様に、表示領域12aの略全面および、表示領域12aのX1方向側に位置する非表示領域12bを覆うように形成される。
【0049】
また、第2実施形態では、陰極54の表面上には、平面的に見て、発光素子53とオーバーラップするように、アルミニウム(Al)などの金属からなる反射膜55が形成されている。また、反射膜55のZ2方向側の表面上には、クロムや酸化クロムなどからなる遮光膜56が設けられている。なお、遮光膜56は、平面的に見て、反射膜55よりも大きく形成されており、遮光膜56は、図2に示す上記第1実施形態の遮光膜13と同様に、反射膜55からはみ出すように配置されている。
【0050】
そして、陽極51と陰極54とに、それぞれ、正電圧および負電圧を印加することにより、発光素子53からZ1方向に光が出射されるように構成されている。つまり、陽極51、発光素子53および陰極54により、ボトムエミッション型の有機EL素子57が構成される。
【0051】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0052】
第2実施形態では、上記のように、反射膜55を陰極54の表面上に設けるとともに、遮光膜56を反射膜55の表面上に設けることによって、発光素子53から陽極51側(遮光膜56とは反対側)に光が出射されるボトムエミッション型の発光素子53において、発光素子53から光が出射される側とは反対側(図5のZ2方向側)に光が漏れるのを遮光膜56により抑制することができる。
【0053】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0054】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、有機層からなる発光素子を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、有機層以外の発光素子を用いてもよい。
【0056】
また、上記第1および第2実施形態では、複数の発光素子がマトリクス状に配置される例を示したが、本発明はこれに限らず、発光素子を規則的なマトリクス状ではなく、不規則に配置してもよい。
【0057】
また、上記第1および第2実施形態では、基板の表面上に陽極が形成され、絶縁膜を挟んで陽極と対向するように陰極が形成される例を示したが、本発明はこれに限らず、基板の表面上に陰極を形成して、絶縁膜を挟んで陰極と対向するように陽極を形成してもよい。
【0058】
また、上記第1および第2実施形態では、発光素子の一方端の全面と他方端の全面とがそれぞれ、陽極と陰極とに直接接触するように形成される例を示したが、本発明はこれに限らず、発光素子の一方端の一部分と他方端の一部分とにそれぞれ、陽極と陰極とを直接接触するように形成してもよい。
【0059】
また、上記第1および第2実施形態では、陽極が平面的に見て、陰極からはみ出した部分を有する例を示したが、本発明はこれに限らず、陽極と陰極とを略同一の大きさに形成するとともに、陽極が陰極からはみ出さないように陽極と陰極とを配置してもよい。
【0060】
また、上記第1および第2実施形態では、反射型の液晶表示装置が用いられる例を示したが、本発明はこれに限らず、半透過型の液晶表示装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0061】
11、12 基板
12a 表示領域
13、56 遮光膜
14、55 反射膜
15、51 陽極(第1透明電極)
16、52 絶縁膜
16a、52a コンタクトホール(穴部)
17、53 発光素子
18、54 陰極(第2透明電極)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表示領域の略全面を覆うように形成される単一の膜からなる第1透明電極と、
平面的に見て、前記第1透明電極と重なり、前記表示領域の略全面を覆うように形成される単一の膜からなる第2透明電極と、
前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に配置され、複数の島状の発光素子とを備える、照明装置。
【請求項2】
前記第1透明電極および前記第2透明電極は略矩形であり、
前記第1透明電極は、平面的に見て、前記第2透明電極の一方の辺側において前記第2透明電極からはみ出した部分を有し、
前記第1透明電極の前記第2透明電極からはみ出した部分に正電圧または負電圧の一方が接続されるとともに、前記第2透明電極は、前記第2透明電極の一方の辺と対向する他方の辺が前記第1透明電極からはみ出し、前記第2透明電極の第1透明電極からはみ出した部分は、正電圧または負電圧の他方が接続されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1透明電極と、前記第2透明電極との間に設けられる絶縁膜をさらに備え、
前記発光素子は、前記絶縁膜に設けられる穴部を介して、前記第1透明電極と前記第2透明電極とに直接接触するように形成されている、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記発光素子は、前記第1透明電極および前記第2透明電極のうち一方の電極に直接接触するように形成されているとともに、前記第1透明電極および前記第2透明電極のうち他方の電極と前記発光素子との間には島状の電極が形成されている、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記絶縁膜は、平面的に見て、前記第1透明電極と前記第2透明電極との重なり部分の前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に加えて、前記第1透明電極の側面と前記第2透明電極とが対向する部分の前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に配置されている、請求項3または4に記載の照明装置。
【請求項6】
平面的に見て前記発光素子と重なるように設けられる遮光膜および反射膜をさらに備え、
前記遮光膜は、前記基板の表面上に直接接触するように形成されているとともに、前記反射膜は、前記遮光膜の前記発光素子と対向する側の表面上に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
平面的に見て前記発光素子と重なるように設けられる遮光膜および反射膜をさらに備え、
前記反射膜は、前記第2透明電極の表面上に設けられるとともに、前記遮光膜は、前記反射膜の表面上に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
反射型あるいは半透過型の表示パネルの観察者側に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の照明装置を備える、表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−205634(P2010−205634A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51618(P2009−51618)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】