説明

照明装置または信号装置などの、自動車用等の光学装置

【課題】 有効な出射光強度を低下させる、出射面における全反射および屈折を起こさない、照明装置または信号装置などの、特に自動車用の光学装置を提供する。
【解決手段】 この光学装置は、光源から放射された光の少なくとも一部を導くように作られている少なくとも1つの導光体(3)を備えている。導光体は、少なくとも1つの出射面と、導光体中を伝播してくる光を、出射面に向けて反射させるように作られている少なくとも1つの主反射面とを有しており、導光体は、光源との結合部(20)を有しており、この結合部は、主軸(Y)を有している。結合部は、結合部から放射された光が、厳密には360°未満であり、特に320°または300°未満である、主軸を中心として測定された総通過角度範囲で、主軸を中心として導光体中に広がって伝播するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置または信号装置などの、自動車用等の光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用等の照明装置または信号装置は、本出願人による特許文献1によって公知である。この照明装置は、長手方向光軸「A」に沿う線状の光ビーム「F」を放射することができる。
【0003】
この光学装置は、少なくとも1つの導光シートを備えている。導光シートの少なくとも一部分は、球面キャップの一部分の形状を有している。
【0004】
したがって、導光シートは、2つの導光面によって、厚さ方向に境界を定められている。その2つの導光面は、導光シートの少なくとも一部分にわたって、実質的に互いに平行である。
【0005】
導光シートは、光線を出射する前部セクション、すなわち出射セクション、および光を反射させる後部セクション、すなわち反射セクションによって、横方向の境界が定められている。反射セクション端部は、出射セクション端部に直接接続されており、導光シートの外側輪郭を形成している。
【0006】
出射セクションの輪郭は、滑らかな円弧を形成している。
【0007】
導光シートは、導光シート内に光を取り入れるための開口を有している。
【0008】
光線の取り入れセクションの近傍に、または取り入れセクションに接して、開口内に、光源が備えられている。
【0009】
光源は、導光シートに直交する光源軸「S」を中心として、概ね半径方向に沿って、放射状に光線を放射することができる。より詳細には、光源は、少なくとも反射セクションに向かって、半径方向に扇状の光線を放射することができる。
【0010】
導光シートは、透明材料で作られており、その屈折率は、照明装置が配置される媒体(例えば空気)の屈折率よりも大きい。したがって、取り入れセクションから導光シートの内部に導入された光線は、法線「N」に対して、臨界角度より大きな入射角度で、上側または下側の導光面に当る。したがって、導光面によって、光線を全反射させることができる。
【0011】
したがって、光線は、2つの導光面間の連続的な反射によって、導光シートの内部で導光される。
【0012】
導光シートは、後部に向かった入射光線が反射セクションによって反射し、次いで、このようにして反射した光線が出射セクションに向かうようになっている。したがって、反射してきた光線は、出射セクションから出射される。
【0013】
光源は、光源軸「S」に実質的に直交する向きを有する光線を放射する、いわゆる側面放射型の発光ダイオード(LED)であってもよい。
【0014】
光源は、さらに、取り入れセクションによって画定される輪郭内に挿入された白熱灯、例えば軸方向フィラメントを備えたハロゲンランプから成っていてもよい。このとき、取り入れセクションの近傍の導光シートのエリアが、ガラスで作られている場合には、導光シートの残りの部分は、このガラスのエリアを外側被覆したプラスチック材料で作られていると有利である。このように作ることによって、白熱灯光源の使用に伴って生じる可能性のある熱問題を回避することができる。
【0015】
特許文献1の一実施形態によれば、ランベルト型のLEDが、導光面のうちの1つだけに開いている開口内に配置されている。
【0016】
このLEDは、その放射面が結合エリアと同一面を形成するように配置されている。結合エリアは、その各点とLEDとの距離に応じて、LEDから放射された光線が、半径方向に向け直されるように構成されている。
【0017】
結合エリアは、LEDが位置している側の面上に、局所的に、凸状曲面形状の取り入れエリアを備えており、かつ反対側の面上に、凸状曲面の取り入れエリアに対向して、円錐面に近似の形状の面(以後、円錐状面という)を有するエリアを備えている。
【0018】
結合エリアは、回転対称性を有している。
【0019】
これによって、側面放射型のLEDの場合と同程度の性能レベルを得ることができる。
【0020】
しかしながら、後部反射面がLEDを十分に囲んでいない場合には、このタイプの光学装置の効率は低下する。例えば後部反射面の寸法が比較的小さい場合に、このような事態が生じる。
【0021】
この公知の光学装置においては、結合エリアが、LEDの軸を中心として回転対称になるように考慮されているために、光は、導光シート内で、LEDの軸のまわりに均一に分配される。
【0022】
このような導光シートおよび後部反射面の幾何学的形状によって、いくつかのエリアを区分することができる。
【0023】
第1に、後部反射面に向かって進み、次いで、光軸に沿って完全に前部に向かうように反射する光線に対応するエリアがある。
【0024】
第2に、導光シートの出射面に向かってまっすぐに進み、測定される光ビームに寄与する角度で導光シートから出射する光線に対応するエリアがある。
【0025】
これらの2つのエリアの間のエリアでは、光線は、出射面によって全反射するために最終的に失われてしまうか、または、出射面によって非常に大きな角度に屈折して、測定される光ビームに寄与することができなくなる。
【0026】
したがって、この公知の光学装置は、性能の比較的大きな低下を生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】ヨーロッパ特許公開第1881263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は、上述の欠点を克服することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この目的を達成するために、本発明は、光源から放射された光の少なくとも一部を導くように作られた少なくとも1つの導光体を備えている照明装置または信号装置などの、主として自動車用の光学装置であって、導光体は、少なくとも1つの出射面と、導光体中を伝播してくる光を、出射面に向けて反射させるようになっている少なくとも1つの主反射面とを有しており、導光体は、さらに、光源との結合部を有しており、この結合部は、主軸を有している光学装置を提供するものである。結合部は、この結合部から放射された光が、厳密には360°未満であり、特に320°または300°未満である、主軸を中心として測定された総通過角度範囲で、主軸を中心として導光体中に広がって伝播するように構成されている。
【0030】
言い換えると、本発明によれば、結合エリアから放射される光ビームの通過角度範囲の総計は、厳密には360°未満であり、好ましくは320°未満、または300°未満である。
【0031】
本発明によれば、上述のような導光体の結合部を用いることによって、全く出射損失なしに、またはほとんどなしに、選択された方向に光を向けることができる。
【0032】
例えば光源から得られた光を、光源の軸を中心として全方向に反射させる、回転対称性を有する結合部を用いる、前述の特許文献1に記載されている光学装置とは対照的に、本発明の光学装置は、導光体から放射された光ビームを、出射光強度の測定に有効な方向のみに向かわせることを可能にする。
【0033】
本発明による結合部は、具体的には、限定された、ある範囲の光線を出射面のエリアの方向に向かわせ、したがって、その光線が導光体から放射されることを妨げる、光線の好ましくない全反射が発生すること、または、出射された光ビームの効力を無効にする方向への、光線の好ましくない屈折が発生することを防ぐことができるようにしている。
【0034】
本発明は、導光体の後部主反射面が光源を十分に囲んでいないときに、特に有利である。
【0035】
さらに、本発明においては、第1に、熱点(導光体の側部から見える)を発生させる過度の量の直接光が避けられるために、第2に、光が後部主反射面端部に高いレベルで集められ、これによって、光源からの光を取り入れるための空洞の底から放射される光量に対する、後部主反射面端部から得られる光量のバランスをよりよくとることができるために、均一性を改善することができる。
【0036】
さらに、本発明においては、光源が光線の経路上に存在するために、光源の背後の後部主反射面のエリアによって反射された光線は、結合部によって部分的に隠されるから、均一性の欠如を防止することができる。
【0037】
結合部は、この結合部から放射された光が、第1および第2の光ビームを形成するように構成されており、第1の光ビームは、導光体中を、導光体の出射面に直接に達するように伝播し、第2の光ビームは、導光体中を、後部主反射面に達するように伝播すること、および第1の光ビームの光線は、平均として光軸の方向に伝播することによって、この光線を導光体から放射することができるように選択された角度で出射面に達し、特に、出射面において反射しないことが有利である。
【0038】
例えば主軸に垂直な平面内で測定される、第1の光ビームの通過角度範囲は、例えば実質的に20°以下であり、15°以下である場合もある。
【0039】
第1の光ビームの光線は、実質的に平行光線とすることができる。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、第2の光ビームの光線は、結合部から放射されるときに、主軸を中心として、実質的に半径方向に放射状に広がって伝播する。
【0041】
第1および第2の光ビームが、結合部から放射されるとき、それらの光ビームはばらばらになり、例えば光の届かないエリアによって互いに分離されることが好ましい。
【0042】
第1の光ビームが、結合部から放射されるとき、その第1の光ビームの通過角度範囲は、第2の光ビームの通過角度範囲より小さく、具体的には、多くともその1/2倍、例えば1/10倍であることが好ましい。
【0043】
一実施形態によれば、結合部は、光源から得られた光を、直接に、すなわち詳細には、後部主反射面における反射を伴うことなく、導光体の出射面に向けて反射させるように作られた第1の反射ファセットを備えている。
【0044】
この第1の反射ファセットは、特に、実質的に、傾斜面(例えば主軸に対してほぼ45°の角度を有する)の一部分、または円筒面の一部分、または放物面の一部分から選択された形状を呈している。
【0045】
結合部の第1の反射ファセットが、円筒面の一部分の形状を呈している場合には、この円筒面は、該当する場合には、結合部の主軸に平行な軸、または一変形例として垂直な軸を有していてもよい。
【0046】
結合部は、光源から得られた光を、導光体の後部主反射面に向けて反射させるように作られている第2の反射ファセットを有している。この第2の反射ファセットは、特に、結合部の主軸の周囲の、その角度範囲において、主軸を対称軸とする回転対称性を有していることが有利である。
【0047】
例えば第2の反射ファセットは、円錐状面の一部分、または放物面の一部分から選択された形状を呈している。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、結合部の第1の反射ファセットと第2の反射ファセットとは、実質的に結合部の主軸を含んでいる平面に含まれている少なくとも1つのステップを介して互いに接続されている。
【0049】
結合部の第1の反射ファセットと第2の反射ファセットとは、好ましくは、実質的に、少なくとも第2の反射ファセットに対する接面を構成しており、かつ特に、到達した光を後部主反射面に向けて反射させるように作られている少なくとも1つの遷移ファセットを介して互いに接続されていることが有利である。
【0050】
この遷移ファセットは、光線を、後部主反射面端部境界に向け、さらに、漸進的に、光源により接近している残りの後部主反射面に向けることができる。
【0051】
例えばこの遷移ファセットは、回転面の一部分によって形成されている。
【0052】
上述のステップを介する接続においては、その鋳造中に、欠損などの製造上の問題が生じ、また測定される光強度の損失が増大する場合があるため、このタイプの遷移ファセットを用いる方が、ステップを介する接続よりも有利である。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、結合部は、結合部の主軸を含む対称面に関して対称的である。
【0054】
結合部の第1の反射ファセットおよび/または遷移ファセットに、少なくとも1つの光学的に中立な接続ファセットが接していてもよい。
【0055】
接続ファセットは、円錐状面の一部分または円筒面の一部分の形状を呈していてもよい。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、光源は、導光体中に形成されている空洞(貫通空洞ではないことが好ましい)に直角に配置されている。
【0057】
一変形例として、光源は、導光体の外面と実質的に同一の平面に配置されている。
【0058】
光源は、結合部の主軸と実質的に平行な成分を有する光ビームを放射するように作られていることが好ましい。
【0059】
必要に応じて、光源は、導光体の実質的に円錐台形の部分の上面上に配置されている。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、導光体は、具体的には鋳造によって、例えばプラスチック材料の鋳造によって、単一片として作られる。
【0061】
導光体は、シートの形態であってもよい。
【0062】
光源は、LEDを有することが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態による光学装置の部分斜視略図である。
【図2】図1の光学装置のII−II線に沿う部分断面略図である。
【図3】図1の光学装置の導光体の後部主反射面で反射した光線の経路を示す略図である。
【図4】本発明の一実施形態による結合部の略平面図である。
【図5】本発明の別の一実施形態による結合部の略平面図である。
【図6】本発明の別の一実施形態による光学装置の部分の略平面図である。
【図7】図6の光学装置の導光体の結合部の略平面図である。
【図8】図7の結合部から放射される光線の経路を示す略図である。
【図9】本発明のさらに別の一実施形態による結合部の略平面図である。
【図10】図9の結合部を有する光学装置の部分略図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
添付図面を参照して、本発明の非限定的な実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことによって、本発明をよりよく理解することができると思う。
【0065】
図1〜図3は、照明装置または信号装置などの、自動車用の光学装置1を示しており、次のものを備えている。
− ランベルト型すなわち軸方向放射型のLEDから成る光源2と、
− 光源2から放射された光を導光するように作られている導光体3。この導光体3は、少なくとも1つの出射面5、および導光体3内を伝播してくる光Lを、出射面5に向かって反射させるように作られている少なくとも1つの後部主反射面6を有している。
【0066】
導光体3は、長手方向軸Xを有するシート状を呈しており、例えば平坦ではないが、実質的に互いに平行な2つの主面10および11を有している。
【0067】
2つの主面10と11との間で測定される、この導光体3の厚さは、例えば3〜5mmの範囲である。
【0068】
出射面5は、この出射面5から得られる光を散乱させるための鋸歯状の縁を有していてもよい。
【0069】
この例においては、導光体3は単一体であり、例えば屈折率nを有するプラスチック材料を鋳造することによって一体に作られている。
【0070】
用いられるプラスチック材料は、例えば1.49の屈折率を有するPMMA(ポリメチルメタクリレート)、または1.59の屈折率を有するPC(ポリカーボネート)であってもよい。
【0071】
後部主反射面6の全長の少なくとも一部において、後部主反射面6をアルミめっきしてもよい。また、その一変形例として、後部主反射面6は、導光体3内を伝播してくる光を、1回または2回の全反射によって反射させるように作ってもよい。
【0072】
図2に示すように、導光体3は、光を取り入れるための空洞12を有している。
【0073】
この空洞12(貫通空洞ではない)は、導光体3の主面10上に開口している。
【0074】
光源2は、空洞12に対して直交している、導光体3の結合部20に対向して配置されており、全空間の半分に光を放射する。
【0075】
空洞12の底21は、凸面状を呈している。
【0076】
図2に示すように、光線r1が、導光体3の内部に直接侵入する。
【0077】
別の光線r2が、最初に空洞12の凸面状の底21で屈折し、次いで、導光体3の結合部20で反射する。
【0078】
この例においては、光学装置1は、導光体3の出射面5から、50〜1000カンデラの範囲の光度を有する光を放射するように作られている。
【0079】
以下において、結合部20を、より詳細に説明する。
【0080】
図4に示すように、結合部20は主軸Yを有している。
【0081】
結合部20は、この結合部20から放射された光が、厳密な意味では360°未満であり、特に320°または300°未満である、主軸Yを中心として測定された総通過角度範囲にわたって、主軸Yを中心として、導光体3中を伝播するように作られている。
【0082】
結合部20は、この結合部20から放射された光が、2つの光ビームを形成するように作られている。第1の光ビームは、導光体3の出射面5に直接達するように、導光体3中を伝播する。また第2の光ビームは、後部主反射面6に達するように、導光体3中を伝播する。
【0083】
第1の光ビームの光線は、それらの光線を導光体から放射することができるように、具体的には出射面上で反射させないように選択された角度で、出射面5に達する。
【0084】
導光体から放射された光線は、実質的に光軸に平行な方向に屈折する。
【0085】
結合部20は、光源2から得られた光を、直接に、すなわち詳細には、後部主反射面6上での反射を伴うことなく、導光体3の出射面5に向けて反射させるように作られた第1の反射ファセット25を備えている。
【0086】
この例においては、この第1の反射ファセット25は、実質的に、例えば主軸Yに対してほぼ45°の角度で傾斜した平面の一部分の形状を呈している。
【0087】
結合部は、さらに、光源2から得られた光を、導光体3の後部主反射面6に向けて反射するように作られた第2の反射ファセット26を有している。
【0088】
この例においては、この第2の反射ファセット26は、主軸Yを中心とした角度範囲ANGにおいて、この主軸Yを対称軸とする回転対称性を有している。
【0089】
第2の反射ファセット26は、例えば主軸Yを有する円錐状回転面を、主軸Yを通る2つの平面P1およびP2で切断することによって得られる、円錐状面の一部分の形状を呈している。
【0090】
図4の例においては、結合部20の第1の反射ファセット25と第2の反射ファセット26とは、それぞれ平面P1およびP2に含まれている2つのステップ29を介して互いに接続されている。
【0091】
一変形例として、結合部20の第1の反射ファセット25は、円筒面の一部分の形状を呈している。この円筒面は、結合部20の主軸Yに平行な軸、または一変形例として垂直な軸を有していてもよい。
【0092】
図5に示す実施形態においては、結合部20の第1の反射ファセット25と第2の反射ファセット26とは、遷移ファセット30および31を介して互いに接続されている。遷移ファセット30および31は、実質的に、第2の反射ファセット26に対する接面を形成しており、かつ後部主反射面6に向けて光を反射するように作られている。
【0093】
例えば各遷移ファセット30、31は、回転面の一部分、例えばそれぞれ軸L1、L2を有する円筒面の一部分によって形成されている。
【0094】
図6〜図8は、本発明の別の一実施形態による結合部40を示している。
【0095】
この例においては、LEDから導光体3内への光の取り入れ面は水平である。
【0096】
この結合部40は、放物線の断面を有する円錐状面の一部分の形状を呈している第2の反射ファセット26、および出射面5に向けて、長手方向光軸A上に光を集めることを可能にする、実質的に放物面の一部分の形状を呈している第1の反射ファセット41を備えている。
【0097】
この第1の反射ファセット41は、前述のやり方で、遷移ファセット30および31を介して第2の反射ファセット26に接続されている。
【0098】
結合部40の第1の反射ファセット41と、遷移ファセット30および31とは、光学的に中立な接続ファセット43に隣接している。すなわち、LEDである光源2から得られる光は、これらの接続ファセット43に達しない。
【0099】
各接続ファセット43は、例えば次のように形成されていてもよい。
− 後部主反射面に光線を伝えることを可能にする、楕円タイプの水平母線と、
− 光線が、導光体の上面および下面に対して比較的小さな角度をなすことを保証する放物型垂直プロファイル。
【0100】
さらに、光源から得られる球面波を、導光体に垂直な軸上に集光される円筒波に変換するための面として、接続ファセット43を定めることができる。
【0101】
結合部40は、結合部の主軸Yを含む対称面Pに関して対称である。
【0102】
一変形例として、後部主反射面が非対称である場合、具体的には後部主反射面の寸法が非対称である場合には、結合部40を非対称にしてもよい。
【0103】
図8は、図6および図7の結合部40によって得られる光線の経路を示している。
【0104】
例えば主軸Yに垂直な平面内で測定された第1の光ビーム50の通過角度範囲は、例えば実質的に20°以下である。
【0105】
第1の光ビーム50が、結合部40から放射されると、その第1の光ビーム50の通過角度範囲は、第2の光ビーム51の通過角度範囲より小さく、具体的には、多くともその1/2倍、例えば1/10倍である。
【0106】
この例においては、第2の光ビーム51が、結合部40から放射されると、その光線は、主軸Yを中心として、半径方向に放射状に相当に広がって伝播する。
【0107】
第1および第2の光ビーム50および51が、結合部40から放射されると、それらの光ビームはばらばらになり、光の届かないエリア52によって互いに分離される。
【0108】
図9および図10に示されている別の例によれば、結合部40は、図7の例におけるように2つの接続ファセットを有するのではなくて、単一の接続ファセット43を有している。
【0109】
これは、図9および図10の例に示されている幾何学的形状の間接的な結果である。遷移ファセットに相対的に、第1の反射ファセット41によってカバーされる面を変更することによって、第1の反射ファセット41の焦点が調整される。
【0110】
この例においては、図10に示されているように、LEDから成る光源2は、導光体3の実質的に円錐台形の部分39の上面38上に配置されている。
【符号の説明】
【0111】
1 光学装置
2 光源
3 導光体
5 出射面
6 後部主反射面
10、11 主面
12 空洞
20、40 結合部
21 底
25、41 第1の反射ファセット
26 第2の反射ファセット
29 ステップ
30、31 遷移ファセット
38 上面
39 円錐台形の部分
43 接続ファセット
50 第1の光ビーム
51 第2の光ビーム
52 光の届かないエリア
A 長手方向光軸
ANG 角度範囲
L 光
L1、L2 軸
P 対称面
P1、P2 平面
X 長手方向軸
Y 主軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(2)から放射された光の少なくとも一部を導くように作られた少なくとも1つの導光体(3)を備えている、照明装置または信号装置などの、特に自動車用の光学装置(1)であって、前記導光体は、少なくとも1つの出射面(5)と、前記導光体中を伝播してくる光を、前記出射面に向けて反射させるように作られた少なくとも1つの主反射面(6)とを有しており、前記導光体は、さらに、前記光源との結合部(20、40)を有しており、該結合部は、主軸(Y)を有している光学装置において、前記結合部は、該結合部から放射された光が、厳密には360°未満であり、特に320°未満、または300°未満である、前記主軸を中心として測定された総通過角度範囲で、前記主軸を中心として導光体中に広がって伝播するように構成されていることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記結合部(20、40)は、該結合部から放射された光が、2つの光ビームを形成するように構成されており、第1の光ビーム(50)は、前記導光体中を、前記導光体の出射面に直接に達するように伝播し、第2の光ビーム(51)は、前記導光体中を、前記主反射面(6)に達するように伝播すること、および前記第1の光ビームの光線は、該光線を前記導光体から放射することができるように選択された角度で、前記出射面に達することを特徴とする、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記主軸(Y)に垂直な平面内で測定される、前記第1の光ビーム(50)の通過角度範囲は、実質的に20°以下であることを特徴とする、請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記第2の光ビームの光線は、前記結合部(20、40)から放射されるときに、前記主軸(Y)を中心として、実質的に半径方向に放射状に広がって伝播することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学装置。
【請求項5】
前記結合部(20、40)は、前記光源から得られた光を、直接に前記導光体の出射面(5)に向けて反射させるように作られた第1の反射ファセット(25、41)を有しており、該第1の反射ファセットは、特に、実質的に、傾斜面の一部分、または円筒面の一部分、または放物面の一部分から選択された形状を呈していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の光学装置。
【請求項6】
前記結合部(20、40)は、前記光源から得られた光を、前記導光体の主反射面(6)に向けて反射させるように作られている第2の反射ファセット(26)を有しており、該第2の反射ファセットは、特に、前記結合部の主軸(Y)の周囲の、その角度範囲(ANG)において、該主軸(Y)を対称軸とする回転対称性を有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の光学装置。
【請求項7】
前記第2の反射ファセット(26)は、円錐状面の一部分、または放物面の一部分から選択された形状を呈していることを特徴とする、請求項6に記載の光学装置。
【請求項8】
前記結合部の第1の反射ファセット(25)と第2の反射ファセット(26)とは、好ましくは、実質的に、少なくとも該第2の反射ファセット(26)に対する接面を構成しており、かつ特に、到達した光を前記主反射面に向けて反射させるように作られている少なくとも1つの遷移ファセット(30、31)を介して互いに接続されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の光学装置。
【請求項9】
前記遷移ファセット(30、31)は、回転面の一部分によって形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の光学装置。
【請求項10】
前記結合部の第1の反射ファセット(41)に、少なくとも1つの光学的に中立な接続ファセット(43)が接していることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1つに記載の光学装置。
【請求項11】
前記光源(2)は、前記導光体の実質的に円錐台形の部分(39)の上面(38)上に配置されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1つに記載の光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−219044(P2010−219044A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−54040(P2010−54040)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(391011607)ヴァレオ ビジョン (133)
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
【Fターム(参考)】